スポーツ審議会(第38回)議事録

1.日時

令和6年3月7日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. スポーツ審議会健康スポーツ部会の審議状況について
  2. 運動部活動の地域連携・地域移行と地域スポーツ環境の整備について
  3. 独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る令和6事業年度事業計画、予算及び資金計画案の認可等について
  4. 令和5年度第1次補正予算及び令和6年度におけるスポーツ団体に対する補助案について
  5. 第3期スポーツ基本計画の令和5年度の進捗状況について
  6. その他

4.議事録

【早川会長】  それでは、ただ今からスポーツ審議会第38回総会を開催いたします。はじめに、この度の能登半島地震に際し、亡くなられた方々に心からお悔みを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。本日は、大変お忙しい中ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。まず、本日の運営に関する説明と資料の確認を事務局からお願いいたします。
 
【先﨑政策課長】  事務局でございます。まず、前回9月の総会から事務局に人事異動がございましたので、職位順にご紹介させていただきます。11月1日付けでスポーツ庁審議官に着任いたしました橋場でございます。
 
【橋場スポーツ庁審議官】  橋場でございます。どうぞよろしくお願いします。
 
【先﨑政策課長】  続きまして、10月1日付けで国際担当参事官に着任した柿澤でございます。
 
【柿澤参事官(国際担当)】  柿澤です。よろしくお願いいたします。
 
【先﨑政策課長】  また、柿澤の後任でありますが、同じく10月1日付けで政策課企画調整室長に着任いたしました赤間でございます。
 
【赤間企画調整室長】  赤間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【先﨑政策課長】  それでは、本日の運営に関する御説明と資料の確認をさせていただきます。本日は、事前にご希望いただきました委員の皆様におかれましてはWeb会議でご参加いただいております。また、伊藤委員におかれましては、所用のためご欠席されておりますが、代理人として公益財団法人日本スポーツ協会専務理事の森岡 裕策様にご出席いただいております。この他、ご欠席の方が3名いらっしゃいます。会場での傍聴は報道関係者のみとさせていただきまして、一般の方につきましてはライブ配信での傍聴とさせていただいておりますので、ご承知おきください。資料につきましては、議事次第に記載されております一覧のとおりでございます。会議室にお越しの委員の皆様には、机上にも配布させていただいております。不備等ございましたら、遠慮なく事務局までお声掛けいただきたいと思います。以上でございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、議事に入ります。まず議題1「スポーツ審議会健康スポーツ部会の審議状況について」です。それでは、健康スポーツ部会の渡邉部会長より、ご説明をお願いいたします。
 
【渡邉委員】  皆さん、こんにちは。健康スポーツ部会の部会長の渡邉でございます。本日は、健康スポーツ部会の審議状況につきまして、3点ほどご報告いたします。お手元の資料の1頁をご覧ください。第1に、現場視察・ヒアリングの実施及びガイドブックについて。第2に、ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進について。第3に、障害者スポーツ振興ワーキンググループについてであります。当該報告につきましては、昨年9月に開催されました第36回スポーツ審議会総会で御説明を既にいたしておりますが、その後の進捗状況の報告となります。したがいまして、限られた時間ですので、要点のみの御報告とさせていただきます。
 第1に、現場視察・ヒアリングの実施及びガイドブックについてでございます。お手元の資料の2頁をお開きください。こちらにタイトルとして「Sport in Life ガイドブック」についてという記載がございます。当該ガイドブックの目的・対象につきましては、第3期スポーツ基本計画で掲げる目標の達成、施策の着実な実施を図るため、スポーツ実施の環境整備や改善に積極的に取り組む地方公共団体、民間事業者、スポーツ関係団体、保険者等の取組に着目し、健康スポーツ部会の部会委員が現場視察・ヒアリングを行いまして、部会において報告をし、また、議論を展開しています。なお、このガイドブックにつきましては、地方公共団体、民間事業者、スポーツ関係団体、保険者、医療機関等が、今後スポーツ政策を推進していく上で参考となるように、事例として盛り込まれたガイドブックを策定、年度末に公表する予定となっております。
 ガイドブックの骨子については同じく2頁にございますが、1番の「はじめに」から5番の「参考資料」という構成で出来上がっております。1番の「はじめに」から4番の「終わりに」というところまでで大体90頁ぐらいのボリュームになる予定になっております。最後の5番の「参考資料」を含めますと300頁近いガイドブックになります。したがいまして、このガイドブックについては製本ということではなく、スポーツ庁のホームページにアップしダウンロードして活用していただくという予定にしております。ただし、今申し上げたとおり300頁近くの大ボリュームになりますので、使い勝手が良いような工夫をするようにまず努力しているということと、これが実際に周知啓発の下活用されて初めて意味があるといった観点から、部会では戦略的な周知啓発、あるいはアウトリーチ等についての議論が進められております。
 3頁をご覧いただきたいと思います。このガイドブックでは、対象を6つに分類されておりまして、1番の「子供」から6番の「多様な主体」まで、全国26事例をここに集めております。そして、もう1枚めくっていただいて、4頁・5頁をご覧ください。
 一つの事例について約2頁のダイジェスト版を作成しております。そして参考資料の中にはその詳細版が添付される予定になっておりますが、このサマリー的な概要版におきましては、左の項目をなぞっていただきたいのですが、具体的な取組、取組を開始・継続できたポイント、そして第3期スポーツ基本計画の記載、こことの連動が大きな意味を持ちます。
 そして5頁に行きますと、取組の概要、成果の要因・工夫のポイント、今後の課題、そして委員の所見といった構成で出来上がっております。
 4頁の右肩をご覧いただきたいのですが、これは地方公共団体、スポーツ関係団体と書かれております。地方公共団体の政策・施策、あるいはスポーツ関係団体の事業に参考になる事例だということをここに示しております。
 そして、1頁目にまたお戻りください。ライフパフォーマンスの向上に向けた目的を持った運動・スポーツの推進についてであります。前回の審議会でもご説明しておりますが、健康スポーツ部会では4回にわたる部会の議論を経まして、昨年8月にスポーツ庁より、この推進についてが公表されております。これは運動・スポーツの効果を高める等、質的な視点を持った取組を更に推進していくことが重要であるという考え方から、性別、年齢、障害の有無等に関わらず、多様な人々のスポーツを通じたライフパフォーマンスの向上を図るため、心身の維持・向上が必要な機能に焦点を当てて、運動・スポーツの影響に着目し、それに適した方法、目的を定めた運動・スポーツ、すなわち目的を持った運動・スポーツを推進していくための狙い、方向性を示したものであります。現在のところ、それぞれのライフステージにおいて最高の能力が発揮できる状態をライフパフォーマンスの向上と解釈しておりますが、スポーツ庁におかれましては更に詳細な定義の議論が進められていると伺っております。
 7頁・8頁をお開きください。ここに推進のための工程表というものがあります。項目としては1番、知見の集約と実証研究の推進及び得られた成果の周知。そして次頁に参りますと、実施促進に係る環境整備の推進。モデル創出の支援、実践モデルの推進。そして最後に、セルフチェック等の周知啓発と指導者のためのツール等の検討・作成というのが載っております。
 現在は9頁に周知啓発についてという案が1枚紙に落とされておりますが、基本的な考え方を整理し、戦略的な周知啓発に努めているといった状況にあります。
 10頁、11頁、さらに12頁をご覧いただきますと、室伏長官が様々な場面を活用して周知啓発に励んでいただいている写真が見て取れると思いますが、室伏長官の知名度、発信力、あるいは影響力といったものを、戦略的な意味合いにおいて最大限活用させていただいております。
 再び1頁にお戻りいただきたいと思います。最後になりますが、障害者スポーツ振興ワーキンググループについてであります。健康スポーツ部会の下に障害者スポーツワーキンググループが設置されておりまして、昨年6月に中間まとめを公表しております。前回の総会でもご報告いたしまして、いろいろ御質問等を受けたわけでありますが、中間まとめでは、障害のある人がより身近な場所でスポーツに親しむ環境の実現を目指して、さらには、障害の有無に関わらず健常者と共にするスポーツをも推進するために、障害者スポーツセンターを地域全体で障害者スポーツ振興の包括的な拠点とする必要があるといったことが中間まとめで掲げられております。そのためには、ネットワーク機能、情報拠点機能、人材育成、関係者支援機能、指導・相談機能といった機能を整理しているところであります。
 この中間まとめを踏まえまして、スポーツ庁におきましては令和6年度事業として、障害者スポーツセンターの機能強化を重点的に実施するため、地域の障害者スポーツセンターの在り方を検討する構想会議の開催、あるいはコーディネーター人材の育成等について予算要求もしております。また、日本パラスポーツ協会におかれましても、拠点としての障害者スポーツセンターを広域レベル(都道府県単位になります)で一つ以上整備することを目標に、現在、地域の障害者スポーツ協会等の関係者を通じまして、拠点の整備に向けた掘り起こし、働き掛けを実施していると伺っております。
 引き続き障害者スポーツ振興ワーキンググループにおきましては、指導者、コーディネーター等、障害者スポーツを支える人材の在り方、障害者スポーツ団体の組織基盤強化、こういったところに向けまして、民間企業との連携、協働の在り方等についても議論を進めていただきまして、夏頃までには最終的な報告を取りまとめる予定となっております。簡単ではございますが、以上でございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今の説明について御質問、御意見はございますでしょうか。
 
【山口委員】  市町村の立場で申し上げたいと思います。
 私どもの笠間市の自治体はいわゆる小さい7万人規模の自治体なのですが、東京オリパラ以降、障害者スポーツを進めようと思ったときに、障害者の協会はあっても障害者のスポーツ協会というのはないのです。周辺を調べてもないのです。県に障害者のスポーツ協会があったということなのです。障害者がどこでどういうスポーツをやっているかということがほとんどの自治体で把握できていないのが現状です。我々も一番思ったのは、やはり市町村の中に障害者協会ではなくて障害者スポーツ協会を作ることがまずスタートではないかなということを思いました。障害者協会はスポーツはやっていないのですね。障害者のスポーツをやっているのは競技別みたいなものなのです。後は仲間同士の集まりのような。県の中でも、我々もそうなのですが、障害者スポーツというと福祉なのですね。教育委員会ではないのです。普通のスポーツは教育委員会なのですが。特に我々のような小さい自治体がたくさんあります所は組織がまず成り立っていないので、障害者スポーツを進める上で、ここに書かれてあるような組織基盤の強化というのは、ぜひスポーツ庁も含めて国も応援していただければと思います。
 
【早川会長】  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。本件は御意見を頂きましたところで終わりにしたいと思いますが、今のお話を今後の健康スポーツ部会の審議等に役立てていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、続きまして議題の2つ目「運動部活動の地域連携・地域移行と地域スポーツ環境の整備について」に入りたいと思います。本議題については、昨年3月に行われました第34回総会においても皆様から御意見を頂きました。今年度で運動部活動の改革推進期間の初年度を終えることを踏まえまして、その成果、それから今後の課題も含めて、スポーツ庁地域スポーツ課よりご報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
【橋田地域スポーツ課長】  地域スポーツ課長でございます。資料の1頁目でございますが、ポイントのところだけ説明してまいります。この下段の方にございますように、少子化が進む中でも将来にわたって生徒がスポーツに継続して親しむ機会を確保していくこと。また、多様で豊かな活動を実現していく。また、このことはまちづくりにもつながっていくという観点で、今部活動改革を進めているというところでございます。
 資料の2頁をご覧ください。令和4年度の運動部活動の地域移行に関する検討会議の提言を踏まえまして、予算ガイドライン、また、令和5年度に入っても事例集、必要な予算確保、特に最近では広報に力を入れているというところでございます。
 資料の4頁からでございますが、これは令和4年12月のガイドラインでございます。1年前の総会でも説明しておりますので、ポイントとして、続きまして5頁のところでございますが、この左側のⅢのところでございますけれども、まずは休日の環境整備を着実に推進していくという中で、令和5年度からの3年間を改革推進期間として休日の部活動の地域連携・地域移行に取り組みながら、地域の実情に応じて可能な限り早期の実現を目指すというような方針となっております。
 また、この右側にございますように、大会の参加資格に係りましては、令和5年度の中学校体育連盟の全国中学校体育大会から初めて地域クラブの参加と着実な実施を求めるという内容になっております。
 続きまして、資料の10頁に飛んでいただければと思います。こちらは令和4年度の実践研究の事例集でございます。資料の11頁をご覧いただければと思いますが、市区町村の運営型、また、地域スポーツ団体運営型ということで、個別の市町村と紐付けながら、その事例も紹介させていただいております。
 また、資料の14頁でございますが、これは多様な種目に取り組んでいる事例、併せて障害の有無に関わらず共に楽しむ活動に取り組んでいる事例を紹介させていただいております。
 資料の15頁をご覧ください。こちらは令和5年度の実証事業の委託先を日本地図で示したものになります。全国339の市区町村で取り組んでおりまして、特にこの中にございますように岐阜県、新潟県、茨城県といった所、県がイニシアチブを発揮しながら市町村を巻き込んで取り組んでいるような県はかなり委託先も多くなっているというところでございます。
 資料の16頁をご覧ください。こちらは推進計画・協議会の整備状況でございますが、令和5年度中に5割近い自治体が推進計画、また、協議会をともに整備することとしているという結果も出ております。
 17頁でございますが、こちらの方は都道府県の主な役割ということで、方針・推進体制、また、市区町村への支援、指導者の確保、普及啓発等の取組ということでまとめさせていただいております。
 18頁でございますが、こちらは新潟県の事例でございまして、県として市町村に令和7年度末までの地域移行完了に向けた推進計画の策定・公表を求めているというところでございます。予定では今年度中に全ての市町村で推進計画を策定予定というところでございます。
 19頁をご覧ください。新潟県内各市町村は非常に熱心に今取り組んでいただいておりまして、23市町村で200クラブの取組が出てきているというところでございます。
 20頁は、特色ある取組事例ということでお示ししておりますので、またご参照いただければと思います。
 21頁からでございますが、こちらは長崎県長与町、人口4万人規模の町でございますが、22頁にございますように、令和5年4月から地域の三つの中学校の休日の部活動を全て地域クラブで実施しているという事例でございます。
 23頁をご覧ください。内容については1年前にも少し方針の状況を説明させていただきましたが、令和5年12月末時点で350名の生徒が参加、指導者については124名を確保して取り組んでいただいております。
 24頁にございますように、教育委員会、学校、家庭、また、受け皿の総合型クラブが一体となって取り組んでいるという事例でございます。
 25頁でございますが、事務局体制としてもコーディネーターの配置等の観点での体制整備。
 また、26頁でございますが、指導者確保の観点で申しますと、右側にございますように、大阪体育大学と連携して指導者の養成プログラムを実施しているというところでございます。
 27頁でございますが、この財源確保の左下でございますが、企業版ふるさと納税、企業からの寄付ももらいつつ、この財源確保に努めているということ。また、右側にございますように、月会費3,000円を徴収しておりますが、経済的に大変なご家庭向けには月2,000円の支援をしているというところでございます。
 28頁をご覧ください。単に既存の部活動を横スライドする取組だけではなく、海洋スポーツですとか多様なスポーツ機会の確保に取り組めるような活動を展開しているというところでございます。
 29頁は、これは長与の収支構造でございますが、実証事業の委託先についてはこういう収支構造にしっかり取り組んでいただきまして、その分析にも努めていきたいと考えております。
 資料の30頁をご覧ください。これは昨年のスポまち!長官表彰の受賞した団体でございますが、萩市の方では青山学院大学陸上部の原監督とも連携して指導者育成研修会ですとか陸上クラブの創設といったような取組を進めているという事例でございます。
 資料の31頁をご覧ください。これは福岡大学のスポーツを通じたまちづくりの取組でございますが、本件についてはサッカーの指導者としても輝かしい実績をお持ちの乾真寛先生を中心に大学が中核となって、自治体、スポーツ団体、企業と連携した取組の事例でございます。事業概要にございますように、このような交流を推進するとともに、部活動の地域移行に対応して指導者研修会、集合型の活動の場の提供をしているという事例でございます。
 資料の32頁でございます。スポーツ庁の部活動改革ポータルサイトの中で、様々な取組事例ですとか各種説明会の資料、ポスター、チラシ、さらに先ほど長与町の動画の他、舞鶴市、宗像市等の動画も掲載しております。先生方にも事前にお知らせしましたが、もしよろしければまた事後的にも結構ですので、ぜひこの動画の方ご覧いただければと思います。
 33頁でございますが、こちらはアドバイザー事務局ということで、自治体からの問合せに対応してサポートができるようにということで今取り組んでおります。友添委員をはじめ先進自治体の皆様にもご協力いただいて取組を進めているところでございます。
 34頁は、こども家庭庁と連携して子供の意見を聞く取組をしたいという中で、多様な活動をしたり、いろいろな交流を図りたいといったような子供の声も拾っております。
 資料の36頁をご覧ください。こちらは部活動改革地域スポーツ関係予算というところでございますが、令和6年度予算、令和5年度補正を合わせると、これは文化と合わせてでございますが、総額47億円を確保したというところでございます。左側にございますように、実証事業の関係では、運営団体整備、指導者確保等の実証事業でございますが、こちらを拡充していくというところでございます。先ほど339と説明しましたが、540ぐらいの自治体が出てくるのではないかというところ。また、重点地域における政策課題への対応というところで、多様な機会の確保ですとか障害のある子供たちを含めた学びの提供を含めて政策課題の解決に取り組んでいきたいと考えております。また、併せて課題の検証あるいは整備方策の検討にも努めていきたいと考えております。
 右上の部活動指導員の配置は、ニーズが高いものでございますので、これを拡充しているところでございます。この実証事業、部活動指導にそれぞれ概算要求と比べて満額を確保できたところでございます。
 3ポツ目の、地域における新たなスポーツ環境の構築のところで申しますと、施設の整備・改修、指導者養成のための取組、さらに、大学生が卒業後の指導に当たる取組についてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。
 資料の37頁でございますが、こうした取組を補完するものとして、デジタル動画を活用した部活動、地域クラブ活動のサポート体制にもしっかり取り組んでいきたいと考えております。
 最後に39頁に飛んでいただければと思います。こちらは特別支援学校等の関係でございますが、スポーツに継続して親しむ機会を確保していくということで、令和5年度から総合型地域スポーツクラブ、あるいは社会福祉施設を活用した受け皿整備、人材育成等の取組を進めているところでございます。以上でございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明につきまして御意見、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。友添委員、お願いします。
 
【友添委員】  ありがとうございます。部活の地域移行の提言ができて、それまでは当時の学校体育室のマターだったと思うのですが、地域スポーツ課が立ち上がって以降、地域スポーツ課の皆さんが懸命に推進されてきたことに対して、本当に心からの敬意を表したいと思います。懸命なご努力で成果をあげて来られたことを痛感しています。
 実は今お話がありましたようにアドバイザーを拝命していまして、この段、全国47都道府県の半分以上を回ってきました。その中で感じた感想を少しお話しさせていただこうと思います。また、県のスポーツ協会、あるいは大学、それから企業等の依頼もあって、そういうところでもお話をさせていただき、様々なご意見を伺ってまいりました。
 ちょうど昨年の春から改革推進期間がスタートしたわけですが、昨年5月ごろにかけては、例えば今お話がありました新潟県のように、先進的に、また意欲的に地域移行を進めようとしている所と、様子見をされている所もあったように思います。しかし昨年の秋の終わり頃には既に協議会が立ち上がり、推進計画も策定され、県や市の意欲的な取組を肌で感じだしたということを記憶しています。
 この1年間では自治体が音頭をとって県のスポーツ協会や、あるいは総合型クラブ、スポーツ団体等が運営団体あるいは実施主体となって、全国的に多様な取組が展開されてきたように感じています。特に改革推進期間はまだ1年目の終わりなのですが、2年目の次年度は大切な1年になるのではないかと思います。
 特にコーディネーターの配置だとか運営団体、実施主体の体制の整備、それから、これも大きな課題でありますが指導者の確保をどうするのかということ、そして参加費用の負担、これは経済的な困窮家庭のお子さんには参加費用の補助をするということでありますが、このスキームの構築も急がれるというふうにも感じています。
 また、自治体にとっては、地域移行に必要となる体制の構築だとか、あるいは整備等の実証事業を実施していく上で、次年度は大きなチャンスだと思っています。特に子供たちの豊かなスポーツ環境を整備する条件が今地域の中で整ってきたように思っています。
 また他方で、今ご紹介がありましたが、先進している自治体は選定の結果、政策課題に対応して重点地域の指定を全国で10か所程度受けると伺っていますが、これを受けながら市や町の独自の課題に対応した新しい地域クラブを生み出す非常に大きなチャンスであるように思っています。
 こういった状況を考えるときには、スポーツ庁としても今後一層実証事業の成果・課題を検証しながら、更なる整備の促進方策を検討していただければ有り難いと思っています。今は部活の地域移行について大きく前に動き出したところで、この歩みを止めないように、ぜひ一層促進していただきたいとおもいます。日本のこれからのスポーツの大きなグランドデザインを描いていくときに、今後の地域スポーツの振興は非常に大きな存在であると思っています。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、赤間委員、お願いします。
 
【赤間委員】  部活動の地域移行ということで、地域のスポーツ環境の整備のお話があったわけですが、学校管理下の部活動と地域の環境とを比べた場合に、学校管理下では安全の確保体制は養護教諭を中心としてしっかりとした体制が組まれていると理解しています。地域の状況はクラブとか場所によってかなり異なると思いますし、学校に比べてどうかというのが保護者の関心も高いところではないかと思っております。この資料を拝見しただけではなかなかその辺は読み取れなかったので、現状どういったことで進まれているのかということを確認したいと思います。よろしくお願いします。
 
【橋田地域スポーツ課長】  ご指摘ありがとうございます。こちらの方でいいますと資料の6頁をご覧いただきながらというところでございますが、御指摘のとおり地域クラブ活動になりますと、学校の管理下外というところでございますが、当然事故防止の徹底、安全確保の観点というところが非常に重要になってくると考えております。そうした中で、ガイドラインの中でもこの地域クラブ活動の運営団体・実施主体が、この事故発生時の一般的な指導の観点から責任を負うといったようなところですとか、施設設備に起因する事故については、一般的には施設設備の管理者の責任で適切に対応いただくと。また、通知の中では怪我等を補償する個人賠償責任保険の加入といったものを求めていくというところでございます。
 その上で、赤間先生の御指摘の点に絡んでというところになりますが、例えば36頁の予算事業でございますが、36頁の左下の重点地域における政策課題の対応のところの左側の下から二つ目でございますが、トレーナーの活用を含めた安全確保・体制作りというところを含めて、こういった安全確保のところもしっかりやってくような事例の全国的な発信にも取り組んでいきたいと考えております。
 
【早川会長】  ありがとうございます。赤間委員、いかがでしょうか。
 
【赤間委員】  よろしくお願いいたします。一点、資料の31頁のところに福岡大学の事例として、左側の大学スポーツ資源を活用というところで、医学部、薬学部、スポーツ科学部を含むとわざわざ書いてあるのですが、これは何か特別そういった活動事例が挙がってきているということでしょうか。
 
【橋田地域スポーツ課長】  ここのところはまた確認した上でご連絡差し上げたいと思います。
 
森岡専務理事(日本スポーツ協会)】  先ほど冒頭でご紹介いただきました伊藤委員の代理の日本スポーツ協会の森岡でございます。いま橋田課長からご説明いただきまして、私からはスポーツ庁地域スポーツ課さんと連携している取組を中心にお話しさせていただきます。
 現在、遠藤会長の下、JSPOとして事務局内に設置している部活動改革のプロジェクト・チームにおいて、都道府県体育・スポーツ協会や中央競技団体等の加盟団体と連携しながら、運動部活動と地域スポーツ環境の整備に取り組んでいるところです。
具体的には、今ご説明にもありましたが、指導者の量の確保です。特に、やはりどの地域においても指導者不足は顕著ですので、量をどう確保していくのかということと、単に量を増やすだけではなく、質をどう担保していくかということが大事と考えています。
また、今ご説明いただきました総合型地域スポーツクラブ並びにスポーツ少年団をはじめとする運営団体・実施主体をどう確保するかを含めて、中学生期を中心としたジュニアスポーツの環境整備に向けた具体的なロードマップを策定し、着実な実施とフォローアップに取り組んでいます。
 加えて、加盟団体もそういった意識がやや薄いところもございましたので、昨年から連携・協働して取り組むための情報共有と協力体制の構築を目的とした加盟団体ミーティングを、スポーツ庁さんにもご参画いただきながら開催しており、今月22日には通算5回目の開催を予定しています。
JSPOとして力を入れている施策の一つとして優れた指導者の確保と申しました。
その観点では昨年10月に株式会社日本郵政と協賛契約を締結した上で、日本郵政の持つネットワークと我々JSPOの指導者育成に関する知見を融合させることにより、日本郵政の職員の方々をはじめ多くのスポーツ指導者の確保を進めていく予定です。
 さらに、先ほど特色ある事例、あるいは長与町の事例からもありましたが、JSPOでも先月の2月6日には、神奈川県の桐蔭横浜大学が実施している「地域部活動指導者資格認定プログラム」を、JSPOの公認スポーツコーチングリーダーの集合講習として承認することを発表しました。今後、更なる指導者の確保に向けて大学あるいは自治体とも連携していくことを想定しております。
 また、運営団体・実施主体の一つであるスポーツ少年団では、全国大会の在り方に関して1年間の検討期間を経て、3月6日開催のJSPO理事会において、我々が主催している全国スポーツ少年競技別交流大会の3大会について、大会の内容・運営方法を改善して、当面の間、全国大会については継続実施することを決議したところです。
 いずれにしましても、今後とも中学生世代はもちろんのこと、幅広い年齢における地域スポーツ環境の整備のため、JSPOとして既存のインフラを最大限に活用しまして、スポーツ庁さんと連携しながら取り組んでいきたいと考えております。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。諸橋委員、お願いします。
 
【諸橋委員】  発表ありがとうございます。友添委員からもお話がありましたように、素晴らしいこの地域スポーツクラブのアドバイザー事務局が具体的にアクションをなされたことで、かなり広まったのではと思っております。やはり実際に実行に移すにあたって様々な悩みが各自治体にあることも私は聞いておりますが、これほどまでにこの格差がこの段階で出てきたかということが次の課題になってくるなと思っています。特に16頁にございます計画に対してまだ策定していない、整備されていない、協議会を設置していないエリアに関しまして、地域移行自体に課題があるということに対して、その課題が何なのか、県が方針を出せないのはなぜなのか、また見通しが立たない理由はどこにあるのか等々、これらの細かいフォローアップも含めて、今後格差をなくすべく各自治体、その地域に合わせた細かい対応が今後の取組の推進、環境整備につながると思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【早川会長】  ありがとうございました。久野委員、お願いします。
 
【久野委員】  筑波大学の久野です。ご説明ありがとうございました。いくつかの類型化をして、進んでない自治体が自分に合ったものを選んでもらおうという方向性が見て取れたのですが、例えば20頁の受益者負担を前提とした取組というのが、結構ここは難しいのだろうなと思っているところが新潟県の場合いくつかあるわけですね。この辺の詳細、例えば保護者への調査はあるのでしょうかというのが一つ目の質問です。
 もう一つが、これは特別支援学校等の方の頁で40頁のところですが、こういうパターンは、必ずしも特別支援学校でなくても全体で通常の学校も含めてこういうパターンのときに、やはりこの辺の類型化していく根拠といいますか、あるいはわりあいエピソードベースが多いので、定量的なものがこの後どれくらい出てくるのか、その辺の計画や状況を教えていただけると有り難いです。
 諸橋委員がおっしゃった点で、私が自治体といろんなプロジェクトをやってきた経験からすると、最初にワァーっと来るのですが多分その後ずっと凪で、多分ずっと動かないところがこのままだとかなり出るなと。格差とおっしゃったのですが、格差と言っている方が特殊で、余りしっかりやらない方が普通になってくるリスクも多分あるのです。ここをどのように来年度以降持っていかれるかがすごく政策的なポイントだと思います。私が首長と話すと、やはり首長さんの多くはここは教育長の方の管轄で口出しづらいとかそういう問題があって、結構この問題は感覚的な議論になりがちで、なかなか客観的なものがなく議論が進めづらいというようなお話を複数の首長からお聞きしている点からすると、いわゆるうまくいっているところの客観的なデータで類型化を示していただくと、中での説得が進むような気がする、そういう意図でお聞きしました。以上です。
 
【早川会長】  それでは、スポーツ庁よりお願いします。
 
【橋田地域スポーツ課長】  ありがとうございます。まず費用負担の関係でございますが、先ほどの長与の例で申しますと、非常に保護者対応は丁寧にやっておられます。つまり、今まで学校部活動は先生がやってくれて、部費は払っておりましたが、新たに地域クラブ活動になってそれの経費が入るという中で、なぜこの改革をそもそもしないといけないのかという中で、少子化の中での子供たちのスポーツ機会の確保というところをしっかりお伝えしながら、また、指導者もそれ用の方々を雇って提供していかないといけないというようなところを、行政と学校が一体となって、家庭の理解を、歴史的に求めていったという、これは非常に丁寧な対応をしております。
 今日の資料には付けておりませんでしたが、1年前の資料の中では説明をさせていただいていたのですけれども、そういったものをいろいろ先進事例の説明の中では紹介させていただいております。
 また、いろいろ類型化に絡むお話もありましたが、今後少しこの類型化も、いろんな運営団体の軸もそうですし、規模別の軸ですね、そういう中でマトリックスを作りながら、自分のところに合った取組というのを選べるような分析を進めていきたいと思っております。
 また、先ほどのデータ的なところでいいますと、令和4年度も少し行ったのですが、実証事業の委託先には、かなり運営団体、指導者、あるいは参加費用負担を含めて細かいデータも取らせていただいたりしておりまして、令和5年度もそういった実証事業の成果を分析する中で、先ほどの36頁の資料の左側の下の(2)のところでございますが、様々な類型、競技分野ごとのモデル、プロセス、マネジメントを含めて分析・検証しながら、今後の政府方策をしっかり検討していきたいと考えております。
 
【早川会長】  ありがとうございます。日本医師会の方から参加いただいています長島委員の方からご発言をお願いします。
 
【長島委員】  日本医師会の長島でございます。医師の立場からコメントさせていただければと思います。運動の部活で問題になるのは、怪我だけではなくて、恐らくそれ以上に数が多いのはスポーツ障害です。オーバーユース等によって肘、膝、腰等、様々なスポーツ障害が起こります。それがかかり付け医等を受診した場合においては、例えば学校には学校医がいますのでそこを窓口にしたり、あるいは学校の部活であれば一本化されているので、そこときちんと連携を取るということで、より適切な部活がされるとか、あるいはお子さんのその後のスポーツ活動について様々な指示が反映されるということが担保されてきたと思いますが、これが地域に移行した場合に、そのような窓口の一本化、あるいは医師の考えがしっかりと反映されるのかというところは、どのように担保されるのでしょうか。教えていただければ幸いです。
 
【早川会長】  それでは、スポーツ庁よりお願いします。
 
【橋田地域スポーツ課長】  地域クラブ活動の取組にあたっても、先ほど申し上げたとおり安全確保の体制も含めてしっかり対応していかないといけないところだと思っております。例えば先ほどの重点地域の取組例としても、地域クラブ活動における外傷、障害、事故防止のための研修プログラムの整備等々についても例示させていただいておりますので、医師の皆さんの御協力を含め、関係者が一丸となってこの安全を確保できるような取組を、もう少し事例としても拾いつつ、またそういう好事例を広めながら、子供たちの安全も守っていく取組を進めていきたいと考えております。
 
【長島委員】  今の点ですが、であれば学校医がどのようにしっかり関われるのか。あるいは地域の医療機関、例えば地域の医師会等とどのように最初から連携・協力体制を取っているのかということが非常に重要だと思いますので、その辺りの御検討をお願いしたいと思います。私からは以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、山口委員、お願いします。
 
【山口委員】  先ほど久野先生から首長がなかなか言いづらいのではないかという話がありましたが、そういうことは多分いろんな自治体がありますけれどもないと思います。この地域移行、何となく最初教員の働き方改革から入っていったような気がしたのですが、今の状況を踏まえると、部活の維持ではなくて学校が維持できないと。それだけ少子化で急激に子供が減ってきているという状況が茨城県内にはかなり出てきています。そういう中で、地域に移行しようにもやはり人材がいない、これが最大の課題だと我々は思っております。当然学校の単位が小さくなってきますので、部活もなかなかできない、大会もできない。そういうことになってきている現状がありまして、一つの定番ではなくて自治体によってはいろんなパターンがあって私はいいと思うのです。
 我々が例えば今やろうとしているのは、地元に通信高校で運動部の盛んな高校があるのです。そこのバレー部なのですが、そこの部活に中学校6校のバレー部を全部、地域移行ではなくて高校に移行してしまおうと。それで、高校を地元の行政として支援していく。バレーならば、高校生と一緒にやっていても、試験的に何か練習をずっと続けてやっているのですが、そんなに問題はないのです。例えば野球だったら軟式と硬式とかを一緒にできませんが、合同でできるものについてはそういう移行もあってもよいのではないかと思います。
 
【早川会長】  ありがとうございます。他にございますでしょうか。大日方会長代理、お願いします。
 
【大日方会長代理】  ありがとうございます。大分整理されてきて少しずついよいよ進んできたなと思っております。その中で先ほどマトリックスで今後整理していくというようなお話もありまして、ぜひそういったところでこの良い事例をどういうふうにうまくいったのかというところをより掘り下げていっていただくような報告書ができればなと思っております。その際にやはりマトリックスの視点の一つとして使えるであろうものが、先ほどの議事1の方にもあった資料の3頁の、具体的なアクションガイドの目次で対象者が誰かというところで、子供や女性や働く世代など誰を対象にしているのかというような整理の仕方がありました。ではこれもどういうふうに地域での活動の中で対象者を増やしていくのかというような視点の中で、整理の一つとして共通でできるといいのではないかと思いました。
 先ほど山口委員からお話があった、例えば障害がある人たちがどこでスポーツをしているのかが分からない。やれているところは誰が支え手になり、どういう人が参加したのか、そういうことが分かるような報告書になると、かなり事例として進められるのではないかと思います。
 そうした意味において、例えば資料の中で31頁、福岡大学での報告書、大学のスポーツ資源を活用した事業ということで、多様な人が参画できるようなプログラムを作ったということであるのですが、例えば障害者との触れ合いと書いてありまして、バスケをやったということが分かり、結構な数の方が参加しているのだけれども、ではどういうふうにこれが実際に行われたのかというようなところまで書いていただけると、恐らくもっと使いやすくなるのではないかと、そのような形で今後も進めていっていただけるとよいかと思いました。
 最後に、これは気になった表現で微細で恐縮なのですが、障害者との触れ合いというのはどうも障害のある人がスポーツをする主体者としては描かれていないという点が気になりました。本来であると一緒にやるインクルーシブなスポーツの視点という意味では、一緒にやったと書いてあるのが正解な話なのですが、小さいところなのですけれどもやはりこういったところもしっかりとスポーツを我々が進めていく報告書の中では、表現、影響に気を配っていただくこと。あるいはこれが本当にただの触れ合いであったら正直ここに書くものには値しないと思いますので、その辺りのところは精査は必要かと思いました。以上になります。ありがとうございます。
 
【早川会長】  それでは、細田委員、お願いします。
 
【細田委員】  時間の関係もございますので手短に申し上げたいと思います。16頁のところの推進計画を策定していない理由のところに、先ほども諸橋委員がおっしゃっていた地域移行自体に課題があるためという部分が大変引っ掛かってしまっているところなのですが、この部活動の地域移行に様々な形で関わらせていただいている中で、自治体によって大きく意識の差がある根本的なところに、一つ大きな要因として自治体の規模の差が非常に大きいと思います。山口委員がおっしゃっていたように、部活動どころか学校の存続が危ぶまれるような自治体についていえば、喫緊の課題で、今日から何とか子供たちのスポーツ環境を整えていかなくてはいけないという危機感を持っている自治体だと思います。
 そういう意識下で改革を進めていく自治体と、それから、まだ子供が増えている、私が教育長をやっておりましたさいたま市等はそうなのですが、そういう自治体との意識の差が非常に大きいわけです。
 ですので、マトリックスを整理する際の一つの軸としては、やはり地域規模の違いによるグッドプラクティスや課題などをしっかり明記していく必要があると強く思います。そこの部分の課題を、例えばこの規模の地域ですとこういうグッドプラクティスがある、大きな自治体ですとこういうグッドプラクティスがあるというような事例だったりマトリックスでの提示だったりするものが明確にあると、うちはここだなとかいうことが分かって、取り入れる際に非常にハードルが低くなっていくかなと思います。担当の皆さんが、粉骨砕身やっていらっしゃることはもう十分に承知しておりますので、部活動の地域移行を確実に前進させるために発言させていただきました。
 
【早川会長】  ありがとうございました。境田委員、お願いします。
 
【境田委員】  境田でございます。本当にこの地域移行は、私も数年この審議会にいますが、難易度が最も高いですよね。1,700の自治体があって、本当にそれぞれに課題を抱えていて、森岡さんが一生懸命地方の県スポーツ協会でサポートしてくださるにしても、利害調整がすごく大変な割には予算がやはり全然足りないような気がしていて、駆動する予算というものがあれば、やはり人もそこに付いてくるし、育つし、巻き込めるというメリットがあるかと思っています。
 あと、やはりこれを1,700の自治体でやるときにばらばらに任せますというのか、例えばデータのところだけを一元化するというのがよい気がしているのですが、これはGIGAスクールで子供たちは皆タブレット配られているのだけれども、確かそこのスポーツでの利用は進んでないのだと理解していますが、その後進んでいるのかもしれませんけれども、本当はそういったところで子供たちのスポーツのデータを取って、それに子供たちの目標値を与えたり、いろいろ自分たちのテクニックをあげるというようなところにも使えたらよいのだろうなと思います。
 後は、先ほど医師会の長島さんがおっしゃったように、ドクターのサポートというのもこれから地域に移行すると必要でしょう。それから、恐らく多くの部活でトラックマンと、それから、携帯で筋骨格の動きが分かるようなスマートウォッチ等でのいろいろなアプリがあるのですが、そういうのを使うと一気に子供たちの技術は上がる可能性があるのですよ。なので、お金を掛ければ子供たちのスポーツの機会がよりサイエンティフィックになり、技術も上がり、そこでデジタルを学んだりバイオメカニズムを学んだり統計学を学んだりすることができるわけですね。実はスポーツはそういう教育の要素が強いではないですか。
 なので、本当はそういったお金を掛けて子供たちの最先端のデジタル教育を受けさせることだってやろうと思えばできると思うのです。恐らく余りそういう取組はないかなと思っているのですが、あったらすみません。そういったところは正に国のデジタル政策の中でも中心に置くべきだろうと思っておりまして、やはりそのためにも予算が必要で、単に学校から地域のみではなくて、せっかくだったらこの機会にもっと最先端のものを全国で統一的にできるようなサービスを開発していくということも考えた方がよいかと思っています。
 
【早川会長】  ありがとうございました。河合委員、お願いします。
 
【河合委員】  ありがとうございます。境田委員の意見は何度か私もいろんな所で提案しているのですが、自由研究的なこととか、子供たちが科学的に考えてとても良いことだと思うので、ぜひスポーツ庁さんも含めて検討いただければと思います。
 障害者の話がいくつか出ていて、大日方会長代理からもありましたように、本当に様々な取組を今回部活の地域移行の際にも、ちょうど1年前の時にも、いくつかお話をさせていただいたかと思っており、報告の中身が少し増えてきたのはとても有り難いし評価できるところかと思いますが、とはいえいろんな所でやはり担当する指導者が少ないというのは当然言われてきております。ただ、やはり日本スポーツ協会さんと我々日本パラスポーツ協会は非常に連携をしておりますし、我々も加盟しながら一緒にやっているわけですので、各都道府県も当然我々パラスポーツ協会あるいは障害者スポーツ協会というのは県ごとにもあるのですが、実はやはり基礎自治体の市町村のレベルではないのがほとんどになりますので、そういう意味ではやはりインクルーシブにこういうものに取り組んでいくということを前提に、どうすればできるかということを一緒に考えていけるような関係性が絶対的に重要ではないかと思います。
 そういった中で、何度か言っているように学校の先生方の免許を取る際も含めた、障害のある方々のスポーツについてという授業を一つ増やすのも、学校の先生になりたい方々が少なくなってきている中で、やはりこれ以上単位数を増やすともっと成り手が減ってしまって困るのだという声があったり、特別支援教育という半期のコマを取れば、障害のある子供たちも含めて理解をできるから、体育の専門性の授業をあと取っていれば、体育の授業で障害のある子供たちも普通は教えられる資格があるのだから、プラスアルファ勉強する必要性がないというような意見も耳にします。
 そのようなところから、障害者パラスポーツ指導員の初級の資格取得認定校というのが約200校あるのですが、国立大学はほぼゼロなのですね。こういった国立大学の体育学部とか教育学部の体育の免許が取れるところとかの話をしたら、今言ったように、ではどうせ教える資格があるのに何でプラスアルファやらなければいけないのですかみたいなことも言われているのも現実です。やはりこういったものをより充実させるためにも、あるものを活用していただきながらも、しっかりと学ぶべきことを学んで安心して障害のある子供たちも、要するに国民であり県民であり市民ですので、誰一人取り残すことなく全てを進めていくと。4月から障害者差別解消法が改正されて、民間事業者も全ての合理的配慮を求められたら対応していくということが決まっているわけですよね。そういった中で今我々にできることが何なのかを一緒になって考えていく姿勢こそが重要ではないかと改めて感じました。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、石野委員、お願いします。
 
【石野委員】  まず、長与町のYouTubeを拝見しました。学校、地域、企業がWin-Winの関係になっていて非常によかったなと思ったのと、やはり子供たちが専門性のスキルを意外と求めていることが分かったので、すごく勉強になりました。ありがとうございます。
 もう一点なのですが、地域移行に関して実は私もスケートをやっていましたが、競技特性からか、中学生時代というと20年以上前になるのですが、もうその頃から実は学校の部活動ではなく、学校単位で集まったグループと、もう一方はスポーツクラブというような形でやっていました。今もそれが続いております。競技特性によるかもしれないのですが、そういった昔からやっているところが他にもあるかと思いますので、そういったところが、どのような体制でやっているのか、そして、地域移行となったことでどのように変わってきているのかというのを、調べていくとまた新たに他の地域に良い情報が入るかと思いました。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、本件に関する意見聴取はここで終わりとさせていただきます。頂いた御意見は今後適宜政策に反映していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に入ります。議題3「独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興投票等業務に係る令和6事業年度事業計画、予算及び資金計画案の認可等について」に関して意見聴取を行います。それでは、日本スポーツ振興センターより、資料の説明をお願いいたします。
 
【大西理事(JSC)】  日本スポーツ振興センターの理事の大西と申します。よろしくお願いいたします。着席してご説明させていただきます。資料は資料3-1と3-2をご用意しております。資料の御説明に入ります前に、令和5年度のスポーツくじの売上についてご報告させていただきます。
 令和5年度のスポーツくじの売上につきましては、現在約1106億円となってございます。令和3年度が過去最高の1131億円だったのですが、このまま順調に年度末まで推移すれば今年度は史上最高の売上金額となる見込みでございます。この要因としましては、なるべくBIG系の商品の販売機会を多く確保したということですとか、BIGの1等当選金額が最高7億7万7千円となる開催回を確保したということ、それから、効果的な広告宣伝に取り組んだということがあったのではないかと考えてございます。
 それでは、資料の方に移らせていただきます。資料3-1でご説明したいと思います。資料3-1は令和6年度の事業計画等の概要です。運営の基本方針に記載している考え方に基づいて業務を推進したいと考えております。
 四角囲いの中に4つ挙げておりますが、1つ目がスポーツ振興くじの安定的な売上の確保ということで、売上目標として1100億円を設定いたしております。こちらは今まで過去3年間1100億を超えてございますが、やはりこれはキャリーオーバーの発生状況等で相応の振れ幅がございますので、引き続き着実に1100億円を確保したいと考えてございます。それから②でございますが、広告宣伝の効果は継続的に検証した上で、より効果的・効率的に実施していきたいということ。それから③にございますように、くじの販売を通じて国内リーグの発展を目的とした取組を実施したいということで、くじを買うことはエールになるのだということをより周知してまいりたいと思っております。
 それから(2)が、地域スポーツの振興のための効果的な助成ということで、やはり様々なニーズを頂戴しておりますので、それを踏まえた助成メニューの不断の見直しを行いたいと考えています。
 (3)が、スポーツ振興助成制度の趣旨の普及・浸透ということで、くじが我が国のスポーツ振興に重要な役割を果たしていることについて、広く国民に理解されるような広報に取り組みたいと考えております。
 それから(4)が、スポーツ振興投票等業務の効果的・効率的な運営ということで、コンサルタントと共働しまして、民間の経営手法を十分に活用したいと思っております。それから、システムの安定的な運用、情報セキュリティの確保に取り組む等、効果的・効率的な運営を行っていきたいと考えています。
 それから、収入支出の予算でございます。まず収入につきましては、くじの売上金の1100億円に加えまして時効金収入等が6億円ございますので、足して1106億円ということになります。次に支出としましては、売上の半分が払戻金でございますので、550億円が払戻金。そこから、くじの販売を行うための運営費、こちらはシステム稼働、販売手数料や広告宣伝費等でございますが、こちらはシステム更改費用を含めまして297億円。それから、大規模スポーツ施設の整備に充てる特定業務勘定への繰入額が55億円。それらを差し引いた後の黄色のところが収益ということになりますが、この収益は3分の2が助成財源、3分の1が国庫納付金でございますので、助成財源としては152億円を確保するといった予算になってございます。令和6年度のスポーツ振興投票等業務につきましては、このような形で進めてまいりたいと思っておるところでございます。説明は以上になります。どうもありがとうございました。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、本件につきまして御意見等ございましたらお伺いしたいと思います。なお、参考資料4としてご用意しておりますスポーツ審議会運営規則の第7条の利益相反に該当する可能性がある方につきましては、御発言及び議決の参加はご遠慮いただきますようにお願いいたします。いかがでしょうか。特に御意見はないということでよろしいでしょうか? ありがとうございました。それでは、本件に関する意見聴取を終了させていただきます。
 続きまして、議題4「令和5年度第1次補正予算及び令和6年度におけるスポーツ団体に対する補助案について」に関して意見聴取を行いたいと思います。はじめに、本日の出席者のうち、スポーツ審議会運営規則7条の利益相反に該当する可能性がある方がいらっしゃいますので、事務局より御説明をお願いいたします。
 
【先﨑政策課長】  失礼いたします。ただ今、会長からご指摘ございました利益相反に関する規定に該当する可能性のある方は、日本スポーツ協会、日本オリンピック委員会、日本パラスポーツ協会、日本武道館、大学スポーツ協会に関係する方となります。私どもの方で認識させていただいている方のお名前を読み上げさせていただきます。石野枝里子委員、伊藤雅俊委員代理の森岡裕策様、大日方邦子委員、河合純一委員、境田正樹委員、友添秀則委員、三屋裕子委員でございます。この方々は大変恐縮でございますが、この議題終了までご発言及び議決の参加はご遠慮いただきますようお願い申し上げます。以上の方々を存じておりますが、その他に該当する委員の方はいらっしゃいますでしょうか。
 
【斎木委員】  すみません。質問ですけれども、私は日本スポーツ協会の評議員ですが、利益相反の対象にはならないと理解してよろしいでしょうか。
 
【先﨑政策課長】  そこは大丈夫だと思っております。ありがとうございます。よろしいでしょうか。では、お返しいたします。よろしくお願いします。
 
【早川会長】  それでは、本議案につきましては、事務局からの御説明を行った後に、委員の皆様から御意見等を頂きたいと思います。それでは、よろしくお願いします。
 
【先﨑政策課長】  ありがとうございます。それでは、資料4をご覧ください。令和5年度第1次補正予算及び令和6年度当初予算におけるスポーツ団体に対する補助(案)についてでございます。令和5年度第1次補正予算の1、公益財団法人日本パラスポーツ協会。障害者スポーツへのアクセス改善のため、必要な障害者スポーツ用具の整備・導入を補助。特に、2025年デフリンピックを睨み、デフスポーツの普及・振興に向けた環境整備も推進する。6億98万3千円でございます。
 続きまして、令和6年度当初予算案でございます。公益財団法人日本スポーツ協会。我が国のスポーツの普及・振興を目的として行われる幅広い知識を有する指導者の養成、市民レベルによるスポーツを通じた国際交流、地域のスポーツ環境の基盤強化等についての補助。5億2015万7千円です。
 続きまして、公益財団法人日本オリンピック委員会。国際総合競技大会への日本代表選手団の派遣、国際審判員の養成等についての補助でございます。4億7344万9千円。
 続きまして、公益財団法人日本武道館。我が国の伝統である武道の普及・振興を目的として行われる武道錬成大会の開催、武道指導者の養成、武道を通じた国際交流の推進、古武道の普及についての補助。6193万5千円でございます。
 続きまして、公益財団法人日本パラスポーツ協会。障害者スポーツの普及・啓発や障害者スポーツ指導者の養成・活用等の障害者スポーツ振興を行うとともに、国際総合競技大会への日本代表選手団の派遣や国際競技力向上に資する情報収集・提供等についての補助。7億4568万円でございます。
 最後に、一般社団法人大学スポーツ協会。大学スポーツ統括団体として、大学スポーツ全体の価値を更に向上させていく観点から、大学スポーツ振興のための普及啓発の活動についての補助を行うということでございます。5563万8千円でございます。資料のご説明は以上でございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明について御意見等はございますでしょうか。特に御意見はないということでよろしいでしょうか? それでは、スポーツ庁におきましては適切な補助金執行を行っていただきたいと思います。
 では、続きまして議題5「第3期スポーツ基本計画の令和5年度の進捗状況について」に入りたいと思います。第3期計画では、取組の実効性を高めるための、EBPMの推進が掲げられたということです。ロジックモデルに基づき、第3期スポーツ基本計画の進捗を毎年定期的にフォローアップすることとされております。今年度の取組状況について、事務局の方から説明をお願いいたします。
 
【先﨑政策課長】  失礼いたします。資料5をご覧ください。第3期スポーツ基本計画の令和5年度の進捗状況についてという資料でございます。委員の方々におかれましては前回、また前々回と、この第3期スポーツ基本計画の評価のためのロジックモデルについて御議論、御指摘を頂いてきたところでございます。年度末ということでございまして、5年度の進捗状況についての御説明をさせていただきたいと思います。
 資料を1枚おめくりいただきまして2頁、左肩にロジックモデルと入れさせていただいております。この2頁については、東京大会を契機とした共生社会の実現、多様な主体によるスポーツ参画の実現とございますが、これは今までご覧いただいてきたものでございますけれども、その次の3頁の左肩に進捗(概要)とある紙を新たに付けさせていただいております。これは令和5年度の進捗、課題、それから課題に対応する来年度以降の取組という形で整理をしているものでございます。次の4頁も同様、進捗の概要の続きでございます。
 5頁は、進捗の詳細でございます。これが2頁にわたっておりますが、担当各課におきまして、その状況について詳細に書いたものでございます。これは非常に詳細にわたるものですので、これらをまとめましてご紹介をさせていただいたのが先ほどの3頁・4頁の②進捗の概要ということになります。
 7頁以降、今度は東京大会のレガシーを継承した持続可能な競技力向上体制の構築ということで、またロジックモデルということでございます。同様に資料が参りまして、12頁に今度は3本目のロジックモデルでございます。スポーツDXの推進、スポーツ団体の組織基盤の強化となりまして、15頁でございますが4番目の最後の柱、スポーツを通じた地方創生・日本経済の活性化。こういう資料構成とさせていただいております。詳細につきましては、政策課企画調整室長の赤間の方から御紹介をさせていただきます。
 
【赤間企画調整室長】  引き続き資料の中身の御説明をさせていただきます。資料の2頁が1つ目の柱であります共生社会の実現、多様な主体によるスポーツ参画の実現のロジックモデルを示したものでございます。こちらにつきましては、下側のKPIの更新以外は前回から変更点がございませんので、説明については割愛をさせていただければと思っております。
 続きまして、3頁から4頁にわたる進捗の概要の部分についてご説明させていただければと思います。上段の1つ目の箱でございますが、子供・若者のスポーツ機会の充実、大学スポーツの振興という柱でございます。左から順に進捗、それから今年度の課題、それから令和6年度以降の取組の方向性というもので、こういった形で全体をお示しさせていただいているところでございます。
 一つ目でございますが、まず学校の体育の授業にアスリートを派遣しまして、体育授業の充実といったものを今年度からの新規事業として開始をしております。それから、運動部活動の地域移行につきましては、先ほど縷々地域スポーツ課長の方からご説明させていただきましたとおり、全国の地域におきまして実証事業を推進しているところでございます。それから、大学スポーツ資源を活用した地域振興モデル事業といったものも実施をしているところでございます。
 それに伴いまして課題として見えてきているところでございますが、全国体力調査の中でも分かっておりますけれども、子供の体力に関しては改善傾向が見られますが、コロナ以前の水準にはまだ戻り切っていないような状況でございます。それから、地域移行の関係でございますが、先ほどもご議論いただきましたとおり、多様なモデルの構築、参加費用負担の支援の在り方、こういったものに関しても検証が必要であると。それから、大学スポーツに関しましては、様々な不祥事案を踏まえまして、インテグリティ確保が課題になっているということでございます。
 こういったところを踏まえまして、それぞれ来年度以降の取組といたしましては学校・家庭・地域が連携をしながら生活の中に運動習慣を取り入れて定着させる取組を進めていく。それから、地域移行の観点につきましては、先ほどご説明させていただいたように重点地域を指定した政策課題への対応、モデル・プロセスの分析といったものを進めていくと。それから、大学スポーツに関してはガバナンス強化に向けた取組を推進していくというような形で整理をさせていただいております。
 それから二つ目、国民のスポーツ機会の創出、スポーツによる健康増進のところでございます。左は今年度の進捗でございますが、Sport in Lifeは様々な企業・団体にご協力いただいておりますが、コンソーシアムの加盟団体数は約3,300ということで確実に伸びているというような状況でございます。それから、スポーツ実施率の向上に向けましては、コンディショニングに関する研究をはじめといたしまして様々な分野のテーマで調査研究を実施させていただいておるところでございます。それから、実際に医師が患者に運動を勧める際に必要な「運動・スポーツ関連資源マップ」を作成する取組の支援も行っているところでございます。
 課題として見ておりますところは、20歳以上のスポーツ実施率については減少傾向にあると。また、依然として女性や働く世代のスポーツ実施率が低いというような状況がございます。それから、エビデンスや医・科学の知見を活用し、普及・促進、そして国民への周知啓発を更に進めていく必要があるというところでございまして、6年度以降、こういったものを予算事業を活用いたしまして情報発信、取組モデルの創出、それからエビデンスに基づいた健康増進の取組といったものを着実に進めてまいりたいと考えてございます。
 4頁目。障害者スポーツの推進でございます。令和5年度の進捗につきましては、障害者スポーツ推進プロジェクトを通じまして、ユニバーサル、インクルーシブなスポーツ環境の整備に取り組んでございます。それから、冒頭に渡邉部会長から御報告がありましたとおり、障害者スポーツセンターの在り方につきましては正に中間まとめの中でこういったことをご指摘いただきながら公表しているところでございます。
 それから、令和5年度の課題につきましては、こちらに①から④まで整理をさせていただいてございますが、障害者のスポーツ実施率の向上に向けまして、様々な実施環境づくりでありましたり、障壁の解消にしっかりと取り組んでいく必要があると。そして二つ目のポツでございますが、障害者スポーツセンターを広域レベル(都道府県単位)で1つ以上整備をしていくことが必要であるということです。
 右側の予算事業でございますが、障害者スポーツ団体、それから民間企業、地方公共団体から構成されるコンソーシアムを構築・運営していく。それから、実態把握が十分でない障害種に関する調査研究の実施。そして、障害者スポーツセンターの機能強化。こういったものに取り組んでいきたいと考えてございます。
 下の段ですが、身近なスポーツ実施環境の整備というところでございます。一つ目のポツのところにございますのは、休日の地域スポーツクラブ活動が行われていく中で、学校施設の動線、出入口、あるいは用具庫の整備に関する補助金を創設したものでございます。また、スポーツ施設のユニバーサルデザイン化につきましては、昨年の3月にガイドブックを作っておりますが、その周知を広く実施させていただいているところでございます。それから、スポーツに親しむことができる場の量的な充実という観点からいきますと、公園等のオープンスペースの活用といったものに関してもモデル実証に取り組んでいるところでございます。
 令和5年度の課題といたしましては、学校体育施設を有効活用していくという意味では、一般開放だけではなくて地域スポーツ環境の充実の観点から、更なる活用が求められるだろうというところ。それから、ユニバーサルデザイン化につきましても、地方自治体の現場が実践できる形で更なる普及啓発を進めていく必要があると。それから、オープンスペースの活用につきましても、まち全体でスポーツに親しめる場づくりの在り方を具体化していく必要があるということで、右側に記載させていただいていますが、これらの内容を予算事業の中で検討してまいりたいと考えてございます。
 5頁・6頁は、その内容を個別に各担当課の方で整理したものを詳細にわたって記載をさせていただいているところでございますので説明を割愛させていただきまして、7頁をお願いいたします。
 7頁が2つ目の柱、東京大会のレガシーを継承した持続可能な競技力向上体制の構築というところでございます。こちらにつきましてもロジックモデルそのものに関しては変更ございませんで、KPIについて現時点で更新できるところについて更新をさせていただいております。
 続きまして9頁をお願いいたします。9頁で進捗の概略の説明をさせていただきます。国際競技力向上に関しましては、正に今年はパリ大会ということでございますが、メダル獲得の可能性が高い競技を重点支援競技として選定して、重点的に支援をさせていただいているところでございます。また、全国のアスリートがスポーツ医・科学のサポートを受けられるような環境整備に向けまして、新規モデル事業の実施も開始をしたところでございます。
 令和5年度の課題、これは継続的な話でございますが、正に国際競技大会での活躍を一過性のものとしないためにも、持続的に国際競技力の維持向上を図ることが必要でありまして、令和6年度以降も引き続き各競技団体の取組の支援を継続する。それから、令和7年のミラノ・コルティナ大会に向けまして、重点支援を実施していくという方向性でございます。
 二つ目の柱でございますが、国際交流の令和5年度の進捗といたしまして、スポーツ分野における二国間・多国間の国際協力推進、SFT事業のポストフェーズの推進、それから、国際競技連盟等におけます日本人役員のポスト獲得に向けた取組を実施しているところでございます。
 令和5年度の課題でございますが、IF等の役員ポストの維持、それからポストSFT事業における国際社会へのアピールを継続しながら日本のプレゼンスを維持していく必要がございます。
 そのために令和6年度以降もこういったポストSFT事業を推進するとともに、第5回の日中韓スポーツ大臣会合を東京で開催する等、取組を進めていきたいと考えてございます。
 最後の段はドーピング防止活動でございます。令和5年度、教育実施者の養成・認定を行いますEducator制度を開始しているところでございます。課題といたしましては、このドーピング検査のオンライン化等への対応、それから、国内におけます検査技術研究に関する認知度及び研究成果の国内外への発信力の向上等が課題であろうと考えてございます。令和6年度以降、そういった検査水準に対応できる検査員の育成に加えまして、検査技術研究の認知度の向上、参加機関の拡大に取り組んでいきたいと考えてございます。
 10頁・11頁につきましては説明を割愛させていただきまして、12頁をお願いいたします。3つ目の柱、スポーツDXの推進、スポーツ団体の組織基盤の強化というところでございます。こちらのロジックモデルにつきましては記載の変更が加わっております。こちらにつきましては前回9月の総会におきまして複数の委員の先生方から御指摘を頂いた点を今回見直しを行ってございます。
 具体的には、真ん中のロジックモデルの上半分、いわゆるスポーツDXに関する部分の記載でございますが、特に右端のインパクトの部分につきまして、前回はこの一番下にあります持続的なスポーツの発展ということで一括りになっていたわけですが、スポーツDXを行うことによって与えられるインパクトは、必ずしもそういった持続的なスポーツの発展にとどまるものではないだろうと。社会に対するインパクトということでは、そういったことに限られない、健康長寿社会の実現というようなものも含めて、もっと幅広に捉えてよいのではないかという御指摘がございました。そういったものは、他の柱のところでも掲げられていますような社会に対するインパクトということで共通するものになってきますので、再掲ということでありますが、社会の活力創出でありましたり、地方創生・日本経済の活性化、健康長寿社会の実現ということで、インパクトを幅広に取るということで整理をさせていただいてございます。それに伴いまして、初期アウトカム、中期アウトカム、長期アウトカムのところにつきましても、記述の見直しをさせていただきまして、整理をさせていただいたものが、現在のこのロジックモデルでございます。
 続きまして、13頁をお願いいたします。スポーツの場におけます先進デジタル技術、データ活用の促進というところでございますが、新しいスポーツの楽しみ方やビジネスモデル創出の支援のための実証事業の実施でありましたり、スポーツデータの活用に向けまして課題やレギュレーションの部分、それから人材に係る調査を実施してございます。
 課題といたしましては、やはりスポーツDXによるビジネスモデルの好事例の収集、横展開、それに加えまして、DX人材をしっかりと育てていくというところが重要だと考えてございます。それに対応する形で、令和6年度以降、スポーツデータの利活用に向けた調査でありましたり、人材の活用を促進するための仕組み作りを検討してまいりたいと考えております。
 下段の、ガバナンス改革・経営力の強化、安心・安全なスポーツ環境の創出というところでございますが、令和5年度の進捗、こちらもJSPOさんの方でやっていただいております公認スポーツ指導者資格、こちらの登録者数は25万人以上という形で増加をしているところでございます。それから、競技団体が自ら行う持続可能な組織基盤確立のための取組も、スポーツ庁として支援をさせていただいているところでございます。それから、ガバナンスの強化や仲裁活動の推進、それから女性役員の育成・支援等々を目的とした事業も実施するとともに、ガバナンスコードの見直しもさせていただいたところでございます。
 令和5年度の課題でございますが、指導者の部分につきましては、相談窓口が充実した反面、相談件数が増加をしているというような状況がございます。それから、競技団体の更なる経営力強化につきましては、障害者スポーツ競技団体でありましたり、平均収入が1億円未満というような団体に対する重点的な支援を継続していくと。それから、競技団体のガバナンスの確保・向上に引き続き取り組んでいく必要があるだろうと考えてございます。
 こういったものに対応する形で6年度以降、様々な養成講習会、あるいはセミナーでしたり、団体間の横連携を促すような取組を行っていきたいと考えてございます。
 15頁をお願いいたします。最後の4つ目の柱、スポーツを通じた地方創生・日本経済の活性化のところでございます。こちらにつきましてもKPIの変更以外はロジックモデルの変更がございませんので説明を割愛させていただきまして、16頁でご説明させていただきます。スポーツ産業の活性化支援というところでございますが、スポーツ未来開拓会議の御議論の中で2025年をターゲットとしましたスポーツ産業の更なる拡大に向けた方向性を取りまとめまして、中間報告として整理をしているところでございます。また、スタジアム・アリーナのモデル施設を選定しながら、さらにスタジアム・アリーナの社会的価値の可視化にも取り組んでいるところでございます。また、スポーツホスピタリティに関しましては、ホスピタリティの高い国内外のスポーツイベントの事例の調査も実施をしてございます。
 令和5年度の課題でございますが、最新(2020年)のスポーツ市場規模の状況でございますが、2019年から0.7兆円減少しているところでございます。これは新型コロナウイルスの影響等々いろいろな要因が考えられるわけでございますが、やはり改めてスポーツ市場規模拡大のために目指すべき方向性の検討が必要になってくるというところでございまして、右側に書かれているようなスポーツ市場の拡大に向けた施策の着実な実施でありましたり、ガイドブックの内容の見直し、スタジアム・アリーナの改革といったものにしっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。
 それから下段の、地方創生・まちづくりの取組の増加というところでございますが、一つ目、テーマ別の実証モデルを武道ですとかアウトドア等で採択し、コンテンツの磨き上げを実施しております。また、地域スポーツコミッションの新規設立でありますとか、経営の多角化に対する支援も行ってございます。それから、KPIの一つになっておりますスポーツ・健康まちづくりに取り組む地方公共団体の割合につきましては、目標を40%と掲げてございますが、令和5年度は30.3%ということで着実に増加をしてきているという状況でございます。
 令和5年度の課題でございますが、スポーツコミッションに関しましては経営の安定化、それから基盤人材の育成・確保をしていく必要性がございます。そのために、令和6年度以降の取組といたしましては、コンテンツのモデル創出の支援を引き続きやっていくことと、データの分析と担い手による利活用の促進でありましたり、スポーツコミッションの新規設立、それから経営の安定化に対しても、引き続きの支援を行っていきたいと考えてございます。雑ぱくではございますが、事務局からの説明は以上でございます。
 
【早川会長】  どうもありがとうございました。それでは、ただ今の御説明につきまして御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。赤間委員、お願いいたします。
 
【赤間委員】  日本アンチ・ドーピング機構の赤間です。9頁の一番下のドーピング防止活動の令和5年度の課題のところで発言させていただきます。ドーピング検査技術研究の認知度及び研究成果の国内外への発信力の向上が課題として挙げられております。世界アンチ・ドーピング機構でもドーピング検査技術研究に対して研究費を助成しているのですが、今年度は日本の研究者が3件の研究費を獲得しております。これは従来なかったことです。世界アンチ・ドーピング機構の研究費は、毎年新規に20数件が採択されます。今年度は非常に大きな一歩が着実に踏み出せていると思います。お陰様でそういった成果の芽も出てきているということで発言させていただきます。ありがとうございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。それでは、友添委員、お願いします。
 
【友添委員】  ご説明ありがとうございました。状況をよく理解いたしました。感想ということですが、例えばどのレベルまで今回施策の実効性を担保していくのかというのは結構難しいところだと思うのです。先ほど来お話にもありました障害者スポーツ論みたいな授業が組めないというのは、多分組めないなりの理由があって、教免法で教員免許取得に必要な単位と科目名が規定されていますので、それにプラスして大学で実施するとなると担当者の手配等、大学の負担になってくるように思います。現状では専門家も少ないですし、これまで大学ではそういう専門家を養成してきていませんので、授業の開設は難しい部分もあるように思います。ではこれを施策論で掘り起こしていくのかいかないのかということは、やはり次の期の重要な柱にはなってくるかと思うのです。
 そうなってくると、例えば3頁にありますが、学校体育の授業の充実で、アスリートを派遣し、体育授業等の充実・高度化を図る、これも非常に有効だと思うのですが、いわゆるイベント方式なので一回きりになってしまいがちです。感想としてよかったねという思いだけが残る。多分ここも、ミスマッチが起こる場合があって、授業で子供たちが生まれる前にオリンピックで活躍した選手を呼んできても全くピンと来ないわけです。ところが現役の人はなかなか来られないし、来てもらえない。そうすると、参観に来ているお父さんお母さんの方が熱狂してしまって、保護者の授業参加がそれで非常に多くなるというケースもあるようです。こういうミスマッチも現場サイドではあるのだけれども、経費が付いているからやらなければいけないという形でやってしまうようなことになってしまいがちになるようにも思います。
 また、例えば小学校の先生方でいうと、教免法上は、免許取得に必要な体育の授業は教科に関する専門科目の8単位だと思うのです。つまり4科目程度でいいことになります。これであれば、小学校の先生方にとっては現場に出て体育授業の研鑽を積まないと、体育の専門性などを身に付けることは難しくなるように思います。全教科の授業研究をやらなければいけないので、それも難しい現状かと思います。そのような現状の中では、授業を実際にやったときに、子供の前で実技の良質なパフォーマンスを示すことはなかなか難しくなってきます。そういうときに例えばTTの教員を増やす施策をやっていくとか、あるいは体育の専科教員を増やす施策を打っていくのかということにやはり発展していくところまで掘り下げてやっていくことも必要に思います。
 教免法を振り返ってみると、現状では大学での教科名が戦後からほぼ変わらず今でも生きています。体育原理だとか体育心理学なんていう、もう今はスポーツ心理学といいますし、スポーツ倫理学とかスポーツ哲学といって体育原理とはもう言わないわけです。これは今もやっているのです。こういうことでいうと、大学の授業は変わらない。長官もこういう授業を受けてこられたと思うのです。実はそれが本当によいのかどうかというところまで掘り起こすときに、体育とか保健体育の教免法上の科目についての検討がスポーツ庁の中だけでできるのかどうかということと関係してくるところで、なかなか難しい問題も生まれてくるかと思います。教科に関する専門科目も20単位ぐらいなのですね。私どもが学生だったころはもっと多かったです。つまり、専門性が重視されたわけです。今は教職の科目が増えたわけで、学校が荒れた時期に、こういうことへの対応方法についてしっかり充実しなければいけないとの理由だと記憶しています。それから、教育実習に加えて介護実習も行かなければいけないということで、時代時代の社会的要請をうまく取り込んでいかなければいけないことはよく分かるのですが、例えばスポーツ庁のスポーツ基本計画の中で、実際に実現をめざせることの限界はどこなのかということも見据えて検討したり議論をしていくことが必要かと思います。以上、一つの例としてお話しした次第です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。結城委員、お願いします。
 
【結城委員】  ありがとうございます。結城と申します。この2頁から始まります東京大会を契機とした共生社会、多様な主体によるスポーツ参画というところに関して、少し引いた視点から一言述べさせていただければと思います。前回の総会からここまで、札幌のオリンピック、パラリンピックの機会が当面ついえたことは銘記すべきこととしてございましたし、これは人々のスポーツへの関心度の高まりや、特に冬季のスポーツの施策を進めるという意味では残念なことだったかと思います。オリンピックのような、そしてそれに類するメガイベント開催への理解については非常に厳しい視線が社会にあるのは事実でございます。その理解や支持を得ていくということの一つの大きな要素としては、ここに頂いているロジックモデルのような形でレガシーがどのように国民の中で実感され、根付いているのか、これを示し続けることではないかと思います。非常に重要なことだと思いますし、特にここに書いてあるような課題、そしてそれ以降の取組、この成果、帰結というものを人々に見える化して、しっかりとそれを感じていただけるように示していただければと期待をいたします。
 海外での事例を見ると、今年のパリ大会に関しても、パリではOECDの開発したモデルも使いながら、レガシー新戦略という非常にユニークなものを描いています。メガイベントとしての新しい試みとして注目をされている。大会が終わった後も行政とタイアップをして、様々な社会レガシーのプロジェクトを継続する。それを独立した機関で評価をしていく。そのようなことだと聞いています。比較するのは簡単ではございませんが、それがどのように国民に根付いていき受け取られていくのか、その流れを我々としてもしっかり注視し、ロジックモデルや将来のKPI設定等々にも生かせるものは生かしていくというような姿勢は有用だと思いますので、申し上げたいと思います。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。細田委員、お願いします。
 
【細田委員】  前回の会議の際に、スポーツDXの推進について意見を述べさせていただいたところ、このようにアップデートされて大変うれしく思います。そこで実は先日私は教育周りのスタートアップのピッチイベントに参加をする機会がありまして、そこでスポーツDXに関する優れたプロダクトを披露したスタートアップの企業もいくつかありまして、大変面白く見させていただきました。ちょうど今政府でもスタートアップ支援強化という施策も動いておりますので、どうやら政策の窓が開いていると思いますので、ぜひこのスポーツDXに係るスタートアップの支援も盛り込まれていくとよいなと思っております。
 インパクトのところにありますとおり、スポーツを通じた地方創生、日本経済の活性化にダイレクトにつながっていくような、そういうわくわく感があるスタートアップも多くなっていますので、ぜひここの場でも支援できるような仕組みづくりがあるとよいなと思います。まずもってアップデートをしていただいているところに感謝を申し上げます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。
 
【境田委員】  今の細田委員と同じように、DXに関してアップデートしていただきましてありがとうございますということが一つと、あと、先週か今週かな、ニュースを見ていて、今デジタル庁が1,700の自治体の基幹業務システムを統一化するということをやっていて、実はそのうち1,600はもう統一化に向かっていると。170ぐらいはまだ検討中とかできないとか言っているのですが、でも1,700の自治体がシステムの統一化をすると、ものすごい新しい価値が生まれると思うのですよ。なので、ここでもう検討されているのかもしれませんが、確か健診情報とか医療情報までいかないかもしれないけれどもそこの共通化もされると思うのです。どこでも利用できるというふうになると思うので。ここでやはりスポーツに関するデータを一元化してDXを推進するというのも検討が必要かと思いました。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。時間の関係もございますので本件の意見聴取はこれで終わりにさせていただきたいと思います。頂いた御意見は今後のスポーツ施策の実施、更には第3期計画の中間評価に向けた部分において適宜反映いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 最後の議題「その他」でございます。内容は2つございます。1点目は、元旦に発生しました令和6年能登半島地震のスポーツ関連の被害状況、そして支援について、スポーツ庁よりご報告いただきます。よろしくお願いします。
 
【先﨑政策課長】  ご報告いたします。参考1-1をご覧いただければと思います。今年の元旦に発生いたしました令和6年能登半島地震は、スポーツの分野にも影響を与えております。まず、スポーツ施設の被害状況でございますが、社会体育施設と学校施設に分けまして、それぞれ休館、避難所利用、物的被害の件数をまとめたものでございます。左側が発災後初めてまとまったデータとして我々が得た1月12日の12時時点のもの。右側が最新の状況ということでございます。被害の状況でもありましたように、休館とか避難所利用の件数というのは減少傾向に確かにあるわけでございますが、未だに石川県を中心として多くの施設が該当しております。物的被害については、施設の状況についての調査が進んだこともあって、認識されている件数は増加しているということです。まだまだ被災地は混乱が続いておりまして、数字については改善されたものもあれば、また新たに数値としてカウントされたものもあるという現状でございます。
 次の2頁でございます。学校・地域におけるスポーツ活動の再開状況でございます。施設の被害状況でもありましたが、学校は物的被害を被ったり避難所、あるいは仮設住宅等に提供されている場合もあります。そういった状況の中、できる範囲で体育の授業や部活動等のスポーツ活動を行っているというのが現状でございます。空き教室等を利用したりオンラインを活用したりして体育の授業を行ったり、近隣又は当該自治体以外の活動場所に移動して部活動を実施したりしているというところでございます。
 また、輪島市、珠洲市、能登町の中学校の一部の集団の避難先では、生徒それぞれが施設内の体育館等を活用しながら体を動かしています。さらに、石川県は令和6年度の全国中学校体育大会の開催地の一つになっておりまして、複数の競技大会で施設被害があることから、今回の開催に向けて関係機関との協議を行っているところでございます。学校教育活動につきましては、学校施設が被害を受けていると。教職員自身がまた被災しているというようなこともあり、その生活環境の確保から始めなければならないケースもあること等から、復旧・復興の段階に応じて、スポーツ以外の教育活動の再開状況も踏まえながら支援を行うことが大切と考えております。施設の復旧の状況や被災地からの要望等を踏まえて、今後どのような支援ができるか、更に検討していきたいと考えております。
 最後に3番目、被災者の健康保持に関する運動・スポーツの観点からの支援でございます。避難生活に伴って、運動不足による被災者の健康被害、ストレス増加等による被災者の精神面への影響が懸念されます。そこで、被災者やその支援を行う地方公共団体、スポーツ関係団体、民間企業等が活用できる子供向けの運動遊びや、運動不足解消、健康被害予防等のための情報を、スポーツ庁のホームページに周知をしてSNSで発信しているところでございます。
 恐縮でございますが参考1-2の方をご覧いただきたいと思います。私どもの取組の一端でございます。まず、室伏スポーツ庁長官からのメッセージを掲載させていただいて、発信しております。また、室伏スポーツ庁長官が実践するエクセサイズ、セルフチェック動画、それから次の頁に長官が考案したエクセサイズでありますとか、あるいは簡単に取り組むことができる「エクササイズのすゝめ」の動画、あるいは3頁には、子供向けということで、「子供の運動あそび応援サイト」でありますとか、運動不足による健康被害の予防等についても、厚生労働省等の関係機関や関係団体と連携しながら提供させていただいているところでございます。
 いずれにしても、スポーツ庁が特にWell-beingにもたらす価値の活用でありますとか、アスリートから得られた知見の活用、そういったことをスポーツ庁らしい取組として掲載をさせていただいているところでございますが、まだまだ私どもとしても被災地の状況を踏まえながら、今後何ができるか検討しつつ積極的に支援をさせていただきたいと思っております。以上でございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。何か御質問等はございますでしょうか。
 
【赤間委員】  資料の3番目で出ましたスポーツ関連あるいはスポーツ医学関連の情報発信なのですが、私は日本臨床スポーツ医学会でも活動しておりまして、その学会でも同様の情報をWebサイトで発信をしています。他の学会でもいくつか発信されていますので、ぜひスポーツ庁で集約していただければと思っています。学会では、情報を掲載はしたけれども実際に現場まで届くのだろうかという懸念を持っているところですので、ぜひスポーツ庁のチャンネルで現場に届くような方策を考えていただきたいと思います。今後ますますこういった情報が現場では必要になると思いますので、ぜひ御検討をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
 
【早川会長】  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。河合委員、お願いします。
 
【河合委員】  ありがとうございます。質問ではないのですが、改めて今回の被災されたときの一時的な避難先になった中で、体育館等で生活する障害のある方々も高齢の方々も含めて、やはり学校体育施設のバリアフリーとアクセシビリティの部分というのはすごく問題だったとお聞きをしていて、もちろん市町村の規模とかいろんなことがあるとはいえ、これは東日本大震災や、もっといえば阪神大震災の頃からやはりそうなることを想定して学校施設という社会インフラをどうするかというところはしっかりやらなければならないと私も聞いていて思っていたけれども、この令和の時代でもそこが大きかったというのは、大きな課題と私自身はすごく感じたので、スポーツ庁さんだけではないと思うのですが、そういう視点からも学校の運動施設とかスポーツ施設がそういうふうにより充実していって、誰もが使いやすくしていく。そしていざというときにそういった拠点になっていくというところを踏まえて、様々な予算とかも含めて活動いただくのがよいのではないかと思いましたのでコメントしました。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。大日方会長代理、お願いします。
 
【大日方会長代理】  ありがとうございます。このような形でスポーツ庁としてどういう被害があったのかとか、どういう取組が行われているのかという、これをいかに継続的にトレースをしていくのか、あるいは情報発信していくのかというところが非常に重要なのではないかと思いました。
 特に、2頁のところも、3番に書いてあります被災者の健康保持に関わる運動やスポーツの観点からの支援。ここが今後大切になっていくところであろうと考えています。振り返って2011年の東日本大震災の時のことを考えてみると、アスリートやスポーツ関係者が何ができるのかということについてすごく議論をして、それこそスポーツの価値だというふうに、この総会の一つ前の段階だったと思いますが、議論が多くされたことを思い出しました。今回そういったことが果たして議論されているのか、あるいはアクションがあるのかというと、残念ながらまだそのステージにいないほど被害が大きく、またこれからそういう意味では復興していくのに時間が掛かる。そして、アスリートやスポーツ関係者が、自分たちが持っているもの、支援をどんどん出していくところというのはこれから必要になっていくのではないかと思います。
 そうなったときに、ではこういう活動をすると役に立つのだよというようなことを、スポーツ庁の室伏長官の動画等もありますが、こういうものを使って届けていってくださいというような、アスリートたちに向けた支援をする、こういう一つの切り口もあるというような紹介等も非常に役に立つのではないかと思いますし、それが正にスポーツが社会の大切なものであるということを皆さんにも認識してもらう、あるいはアスリートたちも活動していく、社会と関わっていく、そういった場になるのではないかと感じています。ぜひこの被害の状況だけではなく、この支援の内容、支援していく取組について、スポーツ庁としてできることを積極的に発信し、それを長く続けていくことを一つの枠組みにしていただきたいなと思います。ありがとうございました。
 
【早川会長】  ありがとうございました。森岡専務理事、お願いします。
 
【森岡専務理事(日本スポーツ協会)】  ありがとうございます。いま大日方委員がおっしゃったところと同じ健康増進に係る運動・スポーツの観点からの支援について、我々JSPOも1月11日から3月15日まで、能登半島地震災害義援金の募集を行っており、3月7日の現在で、多くの関係団体の皆様にご協力いただき、1000万円を超える義援金が集まっております。総合型クラブやあるいはスポーツ少年団、あるいは公認スポーツ指導者は先ほど25万人と言いましたが、そういった多くの方々からの御支援を頂いていることに、大変感謝しているところです。
 また、先ほど施策のところでも紹介がありましたが、JSPOでは、「アクティブ・チャイルド・プログラム」という運動プログラムの普及にも取り組んでおり、運動不足のところに書いていますが、やはり特に子供たちが運動不足になったり、あるいは高齢者の方については避難所生活が長くなることによる運動不足を解消するため、JSPOでは、アクティブ・チャイルド・プログラムを使った運動プログラムに取り組んでいただけるよう派遣を考えています。いずれにしても避難生活等が続きますと、運動不足が必ず起こりますので、そういったところに対応できるように準備しています。以上です。
 
【早川会長】  ありがとうございました。大変貴重な御意見、御示唆を頂きましたが、事務局には御検討をよろしくお願いいたします。それでは、その他の議題の2点目です。昨年末に閣議決定されまして、現在国会審議中の令和6年度予算案について、スポーツ庁の主要事項を事務局よりご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【先﨑政策課長】  この資料の説明に入ります前に、先ほどのスポーツ団体助成の際に統括団体の評議員が利益相反に当たるかどうかというところで、可能性のある方として評議員は対象にならないと申し上げましたが、確認をしたところ対象になる可能性があるということでございます。大変申し訳ございませんでした。幸いにして御指摘、御発言はありませんでしたが、今後はこういうことのないように気を付けたいと思います。ご指摘ありがとうございました。
 参考2-1に入りたいと思います。令和6年度予算案についてでございます。スポーツ立国の実現を目指したスポーツの振興ということでございまして、令和6年度予算額が361億の政府予算。昨年度に比べまして2億円増ということでございますが、令和6年度予算につきましては、補正予算を目一杯使いまして、四十数億円の予算をこれとは別途計上して予算の確保に努めたところでございます。あらましをざっとご説明いたします。
 最初の地域スポーツ環境の総合的な整備充実の(1)、(2)が先ほど来話題になっております部活動についてでございます。予算としてはほぼ満額を確保したところでございますが、御指摘のようにいろんな課題等々ございます。今後も予算の獲得に努めていきたいと思います。(3)、これも御指摘のありましたアスリートの学校への派遣等を通じた日本型の学校体育構築支援事業ということでございますが、こちらの方も予算の増ということでございます。それから(5)、Sport in Life推進プロジェクト。予算上は少し減っておりますが、ここはラインパフォーマンスにおけるコンディショニングという新しい切り口を入れているということもございます。それから(7)、(8)は障害者スポーツに対する支援でございます。こちらの方は増額を図っております。(9)、スポーツ・体育施設の整備でございますが、こちらの方は予算自体は政府予算としては減少しておりますが、補正予算の方で16億ほど増加をして、施設予算全体としては大きく増加をしているところでございます。
 次に、持続可能な競技力向上体制の確立ということでございます。(1)、(2)、(3)でございますが、今年はパリ大会の当年ということでございまして、予算の確保も非常に関心があったところでございます。(1)の競技力向上事業は100億を突破していますが、更に2億円増の102億という形で計上し、さらに(3)、ハイパフォーマンス・サポート事業はハウスの設置が重要になってまいりますが、こちらの補正予算12億をこれとは別途計上して予算の確保を図っております。それから(4)、先端技術を活用したハイパフォーマンス・サポート・センターの基盤強化事業ということで、こちらはハイパフォーマンスにおけるコンディショニングという新しい切り口を入れて予算の増を図っております。(5)、(6)はスポーツ国際展開、ドーピングということでインテグリティの分野でございますが、こちらの方も予算の増を図ったところでございます。まだまだ予算の方は充実が足りていないところでございますが、来年度、再来年度、それ以降もスポーツの予算の充実に努めていきたいと思います。説明は以上でございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。御質問等はございますでしょうか。大日方会長代理、お願いします。
 
【大日方会長代理】  ありがとうございます。一つ要望になりますが、競技力向上事業が拡充されて非常に有り難いのですけれども、現場の思いを申し上げますと、非常に宿泊費等が高騰していること、あるいは航空運賃等も値下がりせずに、また、円も弱い状況になっている中で、なかなか同じことを同じようにはできなくなっているという状況があります。なかなか厳しい状況であるということをぜひ来年度に向けた予算要求の中で、実態を反映した中身であるように、十分分かっていただいているとは思うのですが、大変厳しい状況であるということをお伝えいただき、同じようにこの競技力向上がしっかりと進められるように、引き続きやっていただきたいなということで一言申し上げさせていただきました。ありがとうございます。
 
【早川会長】  ありがとうございました。他にはよろしいでしょうか。それでは、これで意見交換は終了したいと思います。最後に、室伏長官からまとめの御発言をお願いしたいと思います。長官、よろしくお願いいたします。
 
【室伏長官】  早川会長、ありがとうございます。委員の先生方からは、御専門の知見から忌憚のない御意見をたくさん頂きまして、誠にありがとうございます。本日の総会では、健康スポーツ部会での審議状況、運動部活動地域連携、地域移行について、更には第3期のスポーツ基本計画の今年度の進捗状況等を議論させていただきました。
 また、先ほどの最後にもありましたが、令和6年初頭の能登半島地震に関しては、私自身もスポーツ庁のホームページで配信していますが、これは最初のステップということで、これでもちろん終わりではございませんし、被災地の状況を見ながらどう支援していくかということは皆さんとスポーツ界全体として取り組んでいくべきことだと思っておりますので、引き続きお願いしたいと思います。
 最初の健康スポーツ部会ですが、こちらはガイドブック策定に向けましては渡邉部会長、そして久野委員からも多大なる御尽力を頂きまして、地方のいろんな所に行っていただきました。ガイドブックも大変素晴らしいものになったかと思います。これが使われるように取り組んでまいりたいと思います。
 また、今後、ただ運動をたくさんやればいいというだけではなくて、質的な面でライフパフォーマンスを向上できるように、こちらに関してもしっかり取り組んでいきたいと思います。私もいろんな自治体や学校に行ったりさせていただいて、学校の話、友添先生の話ですが、私も昔のアスリートですけれども、事例にYouTubeとか動画を十分見せておくと昔のアスリートでも喜ばれる。この間シンガポールの日本語学校に行って、やはり十分に見せて分かっていて、そういうやり方もあるかなと思いましたので、まだまだ頑張りたいと思います。
 あと、こういった障害者スポーツ振興に関して、かなりもっと細かいことをいろんな部会でやっています。例えばU-SPORT PROJECTということもやっていまして、これは自治体や地方公共団体、企業と、どうしても県の競技団体だけですとすごく小さいですので、こういったコンソーシアムを作って好事例を生んでいこうということで、まず種まきからやらないと大きくは育ちませんので、そういうことをさせていただいたり、また、指導者マニュアル、何か障害のある方を教えるときに教えにくいとかいうことがないように、安心で安全に教えていただけるように、また、その逆も今、この間卓球のデフの方が健常者を教えるという逆パターンも今ありますので、余りその辺は、私はもう障害の有無で分けることはよいと思っていませんので。全然教えられるわけですよね。どんどん指揮を執っていただいた方がよいと思いますし、分け隔てなく指導者として、地域のスポーツでも上下関係ではなく、大谷選手やボクシングの井上選手、バスケットもそうですね、皆上下関係の中というよりは、今は随分指導も変わってきて、スポーツサイエンスの指導法も全く変わってきて、これは日本の今のあらゆるスポーツで成績を残しているのは、やはりそういうところが変わってきているからだと思います。
 地域移行に関しては、学校が担ってきた部活動は本当に大きいものがあるのですが、これだけ地域のスポーツが育ってきて、また、家庭も、私の父もハンマー投げ選手だったのですが、いろんなケースもあって、全部学校で抱えるということではなく、地域に出るとモータースポーツもありますし、いろんなスポーツもありますし、学校ではないスポーツもある。多くの子供たちは、ほぼレクリエーションのような感じで楽しんでやるスポーツも、本格的にやるスポーツもありますし、多様なスポーツの体験を豊かに育てていただき、学校が開放されて、学校が担う部分ももちろんあるとは思うのですが、地域も含めて子供たちのそういう良い環境を作っていくことが大切かなと思います。
 本日頂きました皆様方からの御意見は、第3期スポーツ基本計画の中間評価を含め、今後のスポーツ行政にしっかりと生かしてまいりたいと思います。引き続き皆様方の御協力を頂ければと思います。本日はありがとうございました。
 
【早川会長】  長官、ありがとうございました。この震災は本当にひどいと思いますが、長官が日頃、あるいは現場に行ってもらっているように、行かないと分からないこともたくさんあると思います。我々委員のメンバーも、できるだけ現場に届くようにということを常に意識して動いていただくと、この中身ももっとレベルアップしていくだろうと思います。よろしくお願いいたします。
 
【室伏長官】  YouTubeもありますので。事前のYouTubeがどれだけ素晴らしいか。分かっていただけますから。
 
【早川会長】  なお、次回の対面での総会の日程ですが、事務局で調整しまして、後日連絡をさせていただきます。それでは、本日はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。


 

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