参考3 「視覚障害者の読書環境の整備の推進に係る基本的な計画(第二期)」の策定に向けた意見 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: (社福)日本身体障害者団体連合会 氏名: 阿部 一彦 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 図書館・点字図書館に関する連携強化や取り組み支援が行われてきたと評価する。 しかし、公立図書館や点字図書館などにおけるディスレクシアの人や全身性障害などでページをめくれない人の利用実態の調査、ならびに図書館においてそれらの方々にコンサルティングできる司書などの育成や配置に関する調査も大切であると考える。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 一定の成果が挙げられてきたように思うが、サピエ図書館などに関する支援についてはさらに充実する必要がある。 サピエ図書館並びにICTサポートセンターの運営に関する課題の抽出と課題解決のための支援の強化が必要。とくに自治体により格差が大きいことが指摘されることもあるICTサポートセンターが期待される役割を果たしているのかを知るとともに、その重要な役割を果たすための人員体制、財源基盤強化をもとに、当事者の円滑な利用につなげる必要がある。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 アクセシブル・ブックス・サポートセンター(ABSC)と特定(電子)書籍等製作者の役割が整理されてきているが、それらの運用上の課題などについて注視するとともに、成果について調査し続ける必要がある。さらにこの仕組みについて周知を図ることも重要。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 どのような形態での提供が求められるのかについては、読書困難性の種別や書籍自体の特性にもよると思う。多様なニーズを分析し、先端的技術の活用も含めて取り組む姿勢を常に持ち続けることが重要。高等教育で求められる書籍については、出版社の経済的な負担が多くなることが予想されるので、公的な支援などについても検討すべき。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 外国で制作されたアクセシブルな電子書籍などの入手にあたっては、どのような問題があるのか及びそれらの問題解消のための環境整備についてどのような取り組みを行ったのかなどについて好事例も含めて具体的に検討する必要がある。 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 地方公共団体による、アクセシブルな電子書籍などを利用するための点字ディスプレイやデイジープレイヤーなどの端末機器などが日常生活用具として給付されている地域と給付されていない地域について調査し、場合によっては現状について公表する。そのためにも、自治体における内容の充実した読書バリアフリーに関する計画が求められる。 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 端末機器の習得支援には地域のICTサポートセンターの役割が大きい。ICTサポートセンターの運営に関する課題の抽出と課題解決のための支援の強化が必要。自治体により格差が大きいことが指摘されることもあるICTサポートセンターが期待される役割を果たしているのかを知るとともに、その重要な役割を果たすための人員体制、財源基盤強化をもとに、当事者の円滑な利用につなげる必要がある(再掲)。 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 先端的技術などの研究開発には資金面での支援が必要となるが、それらの支援と開発成果について公表し、研究開発者のモチベーションを高め続けていく必要がある。 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 司書の給料が低いことなどが話題になることが多い。ボランティアとして活動してきている音訳者、点訳者などの数は減少してきている。そこで、必ずしもボランティアに頼るだけではなく社会的位置づけに配慮して人材の確保を行うべきである。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 次期計画策定に向けて、これまでの5年間の取組で見えてきた課題を明確にするとともに可能であれば、数値目標なども作成できることが望まれる。 そして、地方公共団体における、内容の充実した「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画」づくりを実現し、特定の障害のある人に関する読書環境の困難をなくすことが必要である。 併せて、子どもたちも含め、多くの人に読書の習慣、図書館の重要性を認識していただきたい。 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 日本発達障害ネットワーク 氏名: 市川 宏伸 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 1(2)に、第2条1項に示された「視覚障害者等と同様、読字に困難がある発達障害者・・・が体制整備の対象である」ことの周知を図ることを明記していただきたい。また、利用にあたって、障害者手帳の提示などを条件とせずに、申し込みがしやすい手続きのしくみとしていただきたい。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 2に、第九条関係と同様、利用にあたって、障害者手帳の提示などを条件とせずに、申し込みがしやすい手続きのしくみとしていただきたい。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 7 に、「読字に困難がある発達障害者等、当事者のニーズを確認する機会を確保しながら・・・」を追記していただきたい。 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 8(1)(2)に沿って行われる研修に、「読字に困難がある発達障害者」の障害特性やニーズについて触れる内容を位置付けていただきたい。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 今回示していただいた内容の整備が進むことに、大変期待感を持っています。ぜひ一般国民にも周知が進むよう積極的な情報発信をしていただきたいと考えています。ありがとうございます。 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 専修大学 氏名: 植村八潮 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 国立国会図書館や点字図書館でのアクセシブル対応は進んでいると受け取っていますが、公立図書館や学校図書館での体制整備が遅れていると思います。 そもそも、現状の公立図書館・学校図書館では、行政による予算削減の結果、図書費の減少、会計年度任用職員の採用による人件費の抑制などにより、新たなサービスを手がける余裕が全くない状態です。アクセシビリティについてパンフレットの配布など小手先の運用で、現場にまかせたところで、体制の整備が進むわけがありません。これは図書館現場の責任ではなく、予算的措置に基づく有効な方策が打てていないからだと思います。 アクセシビリティに関する知識のある専門職員の配置や、デイジー図書などの制作費の増加など目に見える施策を期待します。 学校図書館の運営を学校司書にまかせてしまい、司書教諭資格のある教員は担任の負担増大で、学校図書館に関与できない状態と聞きます。しかし、学校における学校図書館を活用した教育では、司書教諭の関与が必須です。学校図書館を分掌する校長への理解を促すためにも、積極的な通達か研修が求められます。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 国立国会図書館のみなサーチはとてもよい取組だと思います。ただ、37条3項によるサービスと言うことで、行政や公立図書館、視覚障害者等の家族などの間で認知が低い気がします。障害当事者に情報が行き渡る方策を期待します。 また、視覚障害者等の個人が身近な団体・組織でサピエ図書館が利用できるよう、団体の会員加入を増やす方策を期待します。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 視覚障害者等当事者が期待するほどには、特定書籍・特定電子書籍等の製作環境が整っていないのではないと感じます。全盲、弱視、中途失明、ディスレクシア等、視覚障害者等の障害によって、何がアクセシブルといえる書籍なのか、提供媒体及び利用方法は異なると指摘されています。そのようなバリエーションは、出版社側ではなく障害者等に近いところで細かなケアが必要です。障害当事者の期待に応えられる窓口の整備を期待します。また、点字図書館と公立図書館においてアクセシブルな書籍等の製作等に携わる人材の確保を促すためにもしっかりとした予算措置を期待します。この点については、出版環境はますます厳しくなっており、民間にまかせるのではなく、より一層の国・地方公共団体の予算的措置も含めた支援が必要と考えます。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 大学での教科書、中学高校での学習参考書は、検定教科書と異なり、民間出版物です。しかし、これらの書籍出版社は経営規模が小さく、専門図書の市場も小さいことから電子書籍化が遅れています。電子書籍の製作が容易になるように、大学教科書、学習参考書の電子化については補助金などの支援策も検討の俎上に上がる段階と考えます。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 特に知見はありません。 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 障害者ICTサポートの推進が行われていますが、実際、高齢者になってからの中途視覚障害者が年々増える中で、スマートフォンなどの音声ガイダンスでも利用が困難なのが実態です。また、ウェブアクセシビリティの対応も通り一遍で、実際、行政資料や電子書籍などを視覚障害者が利用するためには、困難と言わざるを得ない状況です。ICT機器の操作やサピエの利活用支援を行うには、ボランティアに依存しない体制が必要です。地方公共団体等では、図書館はもちろんのこと行政職員全般の研修が必須であり、その際、現場裁量に依存せず、過重労働にならないためにも人材の手当も考慮すべきと考えます。 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 第十四条でのコメントと同様です。 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 研究者、企業の積極的な開発を促すために、さらなる研究助成を期待します。 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 公共図書館・学校図書館の現場では会計年度任用職員や非正規職員が増えており、人材育成とは真逆の傾向が進んでいます。研修を実施しても現場では参加が困難な状況もあると聞きます。 ともすれば、図書館単位での取組や成果が問われがちですが、これは国や地方公共団体の責務です。日本図書館協会などが実施する研修なども、国・地方公共団体がしっかりと支援して機会を増やすとともに、専門知識を持った専任職員の手当を期待します。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 音訳ボランティアも高齢化して従事者が減っていると聞きます。視覚障害者等の環境を支える人たちの実態を把握する調査をし、ボランティアに依存しない体制も検討すべきでしょう。 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 日本弱視者ネットワーク幹事、筑波大学附属視覚特別支援学校教諭 氏名: 宇野 和博 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 ・公立図書館の図書資料購入費が減っているという現状をつまびらかにするために、地方交付 税として措置された額の何%が実際に図書購入費に充てられているかを調査し、公表する。 ・図書購入費の一定割合を障害者用図書資料の購入費に確実に充てられるようなスキームが作れないか、検討する。 ・「アクセシブルな書籍の紹介コーナー」の設置を推進するために、設置状況を調査し、その結果を公表する。 ・アクセシブルな書籍(点字図書、拡大図書、音訳図書、触る絵本、LLブック、布の絵本等)の入手方法などを整理し、後述する障害者用電子書店等で紹介する。 ・図書館の望ましい基準を改定し、読書バリアフリーに資する施策を具体的に分かりやすく明記する。 第二項 ・視覚障害者等の「等」にあたる読書障害者の点字図書館やサピエ図書館の利用が停滞している状況を改善するために、障害福祉課などの行政との連携を深め、広報活動を充実する。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 ・子ども読書推進法の基本理念「すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備が推進されなければならない。」に基づき、すべての視覚障害特別支援学校、肢体不自由特別支援学校、病弱特別支援学校の図書館がサピエに加入できるようにするための予算措置を講じる。 第二項 ・サピエ、または国立国会図書館のどちらかで活字を読むことが困難であることが確認できれば、IDとパスワードに互換性を持たせ、障害者が利用登録を双方で行わないでよいようにする。また、マイナポータルやミライロを活用し、障害者手帳の確認が効率化できないか、検討する。 ・サピエでもテキストファイルを所蔵、配信できるようにし、点字図書や録音図書と同じように国立国会図書館がアップロードしているテキストファイルもサピエで利用できるようにする。 ・サピエと国立国会図書館のアクセシブルなデータの二元管理を見直す。具体的にはサピエが所蔵する図書データを国立国会図書館に移し、日本点字図書館が所蔵するテレビデイジーをサピエにアップしたり、複数の点字図書館で重複製作されてしまったものもアップできるようにする。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 ・次項、及び次条においてテキストのDRM が問題になるのであれば、アメリカのブックシェアが導入している電子透かしやフランスで導入されているようであるLicensed contents Protectionという仕組みについて調査研究を進め、日本での導入を検討する。 第二項 ・学校図書館や大学図書館、公立図書館が点訳等のためにテキストデータが入手できるよう速やかにモデル事業を実施し、現在の案の前倒しを検討する。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 ・2024年4月から改正障害者差別解消法により合理的配慮の提供が義務化されたことにともない、国が障害者用電子書店を立ち上げ、各出版社がアクセシブルな書籍を販売しやすい環境を整備する。 ・障害者用電子書店の立ち上げ等、データ販売促進の環境整備に必要な予算を措置する。 ・特に児童生徒の参考書・ 問題集、大学生や研究者のための専門書のテキストデータの販売が喫緊の課題であることを考慮し、まずは数式や図表、挿絵がない活字中心の人文科学系・社会科学系の学術文献図書について、2025年度にはテキストデータが販売されるような環境を整備する。 ・文芸のみならず、学術文献図書の販売が促進されるような具体策を検討する。例えば、検定教科書を発行している出版社や教育関係の学会、業界団体などに依頼文書を発出したり、関係者協議会に関与してもらえないか、検討する。 ・データ販売を促進する上で、音声読み上げと著作権法上の後述件など、誤解が生じている問題を整理し、関係者に周知する。 ・インデザインの編集において、「One Source, Multi Use」しやすいテキストファイルを生成するための配慮店を整理し、周知する。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 ・日本に在住する障害のある外国人のための多言語サービスとの効果的な連携について検討する。 ・英語を中心に有名な作品や資料価値の高い書籍などのラインナップを拡充し、学生等が親しみやすい原書の著作物に触れられる環境を整える。 ・利用者が諸外国にどのようなバリアフリー図書があるか、直接確認できるようにする。 ・国立国会図書館と全国視覚障害者情報提供施設協会との役割分担を明確にし、利用者にとって分かりやすい利用方法を周知する。 ・アメリカのBook Shareに国立国会図書館または、全視情協が団体として登録できないか、検討する。 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 ・アクセシブルな書籍(特に特定電子書籍)の読書方法を分かりやすく整理し、ホームページ等で周知する。 ・デイジープレイヤーのように現在視覚障害者だけにしか日常生活用具の対象になっていない読書支援機器について、どうやったら市町村がすべての読書障害者を対象にしてくれるかを検討し、実効性ある策を講じる。 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 ・ITサポーターがあまり機能していないため、その問題点を洗い出し、改善していくか、別の方策を検討する。 ・アクセシブルな書籍の読書方法の動画を動画投稿サイト等で配信するなど、読書障害者が自分に合った読書媒体と出会える手段を広く提供する。 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 ・サピエや国立国会図書館が所蔵するデイジー図書をスマートスピーカで再生できるようにする。 ・書籍内にある挿絵、図表、グラフなどの解説に生成AI を活用するために、調査研究を実施する。 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 ・図書館司書、司書教諭、及び学校司書の養成課程において、「読書バリアフリー論」の講義を必修とする。 ・都道府県立図書館において、「読書支援コーディネーター」を任命し、地域における障害者サービスの中核を担っていただくとともに、市町村立図書館への啓蒙も推進する。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 第十八条 ・年1回の固定化した開催を改める。6月頃の省庁からの報告と意見聴取の場とは別に重要な課題を関係者が議論するために、秋にもう1 度開催するか、課題別にワーキンググループを設置し、具体的な協議が進展するような仕組みにする。 ・特に障害者用電子書店等、12条の実現は喫緊の課題であるため、2024、2025年度は電子書店ワーキンググループを設置するなど、検討を加速する。 その他 ・著作権法37条3項の但し書きが、障害者の「買う自由」と「借りる権利」を実現するのに妨げになっていないかを議論し、必要な措置を講じる。 ・障害者の読書問題に詳しい有識者が関係者協議会の委員に入っていない。また、第2期においては適切な有識者の人選を行い、その中からもっとも障害者の読書の現状や出版業界の事情に明るく、改革に意欲のある方に座長を担っていただきたい。 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 一般社団法人日本出版インフラセンター ABSCセンター長 氏名: 落合 早苗 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 学校図書館について、「司書教諭・学校司書の配置の重要性について周知するとともに、司書教諭をはじめ学級担任や通級の担当者、特別支援教育コーディネーター等の教員間の連携の重要性について周知するなどして支援体制の整備を図る。」とありますが、公共図書館についても関係各所との連携を密にする必要や支援体制の整備を図ることは必要だと思います。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 サピエ図書館の会員要件を満たさないボーダーの人たちに対するものとしては、公共図書館による電子図書館の導入も有効です。電子図書館を導入する自治体も増えてきてはいますが、電子図書の購入冊数は低いまま推移しています。電子図書の購入費用についても検討する必要があるのではないでしょうか。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 出版者の理解を得るためには、特定書籍や特定電子書籍等の製作を行う者によって、品質に違いが出ないよう製作手順の共有化をお願いしたいです。またその製作手順の一部は、第十二条関係「アクセシブルな電子書籍」の製作で共有できることもあるはずで、そのノウハウを出版者が電子出版製作において獲得すれば、特定書籍や特定電子書籍等の製作を行う者の作業負担も軽減できるようになるのではないでしょうか。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 とくにありません。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 とくにありません。 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 第十七条関係の項にて詳述します。 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 第十七条関係の項にて詳述します。 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 とくにありません。 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 昨今では、公共図書館において図書館運営を受託する民間事業者が増えてきています。公共図書館のみではなく、これらを受託する民間事業者に対しても同様に対応していただきたいです。 また、これまでアクセシブルな書籍/アクセシブルな電子書籍の製作を担ってきたボランティアの方々が高齢化していることが問題となっていますが、このノウハウをうまく出版者に継承できないものか検討できるといいと思います。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 視覚障害者等に対する読書のバリアは、これまでボランティアの方に依存しすぎてきたのではないかと思います。今後は、少なくとも「借りる」について、何らかの形での予算化も必要ではないでしょうか。 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会 理事長 氏名: 川崎 弘 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 (1)地域における読書バリアフリー体制強化事業予算と施策について この事業予算については、従前事業の予算振り替え(付け替え)や施設の指定管理費にこの強化事業予算を含む等の対応がなされている例が多数あり、地域の要望に則した読書バリアフリー事業の進展が見られない現状があります。 各自治体に対して、本事業の趣旨を十分に理解し、読書バリアフリーの拡大に繋がる事業の予算化を行うよう、好事例の収集と公表並びにご指導をお願いいたします。 (2)「点字図書館の利用対象者を障害者手帳所持者のみに制限することの撤廃」について 読書バリアフリー法では、読書困難者は「視覚障害者」に限らず、読字障害、肢体障害など何らかの理由で読書に困難のある方と位置付けられており、権利保障の対象としては、障害者手帳の有無は要件ではありません。 しかし、いまだに一部地域では、設置・委託自治体の条例等規程により、点字図書館の利用対象者を「障害者手帳を持つ視覚障害者」に限定している施設が少なくありません。 読書バリアフリー法に則って、全国の点字図書館及び公共図書館で障害者手帳の有無によらず、視覚障害者及び視覚障害者以外の視覚による表現の認識が困難な者へのサービスを提供出来るよう全国の自治体に指導をお願いいたします。(参考資料:日本図書館協会「図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン」(2019年11月改定)等) 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 ・公共図書館、学校図書館のサピエ図書館加入について 公共図書館や学校図書館(視覚特別支援学校図書館を含む)で障害者サービスを進める上で、サピエ図書館への加入は必要不可欠と考え、当協会では、以前から公共図書館や学校図書館等にサピエ図書館への加入を勧め、令和4〜5年度の2か年において、各地域における公共図書館等へのサピエ研修事業を行ってきました。 これにより、各地の公共図書館や視覚特別支援学校の図書館の加入は少しずつ増えていますが、多くの公共図書館や学校図書館から、予算上、サピエ図書館の年会費(4万円)が払えないので加入できない、という声が聞かれます。(令和5年度末時点で盲学校(視覚特別支援学校)の加入は67校中33校にとどまっています。) 各地の公共図書館や学校図書館がサピエ図書館に加入できるよう、文部科学省をはじめ各教育委員会で財政措置を取ってくださるようにお願いいたします。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 読書バリアフリー法の立案・制定に向けて期待された主要な目標は、第12条の「視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等が促進される」ことであると理解しています。 これに対して、視覚障害者情報提供施設・団体の役割は、第12条の利用しやすい電子書籍の販売で補いきれない視覚障害者等の需要を満たすため、著作権法第37条に則って点訳と音訳・録音、マルチメディアデイジーやテキストデイジーの製作を行うことであると考えます。第十七条関係「製作人材・図書館サービス人材の育成等」とも関わりますが、利用者の「借りる権利」がしっかり担保できるシステムの構築をお願いします。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 読書バリアフリー社会の推進において最終的な目標を第12条第1項の実現と定めて進めていただきたいと考えています。 (1) アクセシブルな電子書籍等の国際規格の準拠について 国内の電子書籍出版において、国際規格(EPUB)に準拠する環境整備の主導をお願いいたします。 また、電子書籍の違法コピーの対策について、アクセシビリティを阻害しない手法を用いた不正コピー防止システム(LCP)がISO 規格になっています。この技術について、適切な調査と評価を進めてくださるようお願いいたします。 将来的には利用者の利便性を高めるため、より検索性の高い、ナビゲーション機能を備えたEPUB(もしくはマルチメディアデイジー)形式の電子書籍が国内の規格の主流となるような検討を継続してくださるようお願いいたします。 ついては、電子出版の国際標準規格であるEPUBの国内向けのガイドラインを整理し、アクセシビリティのチェックが客観的に行われる環境整備に着手くださるようお願いいたします。 (2)視覚障害者等が書籍を購入する際のウェブアクセシビリティの保障について 読書バリアフリー法第12条第1項に基づき、国内の書籍販売サイトが、販売する書籍情報の検索時や購入決済時の案内を含め、視覚障害者等にとってアクセシブルなウェブサイト、ウェブコンテンツになるようご指導くださることをお願いいたします。 出版業界の出版情報登録センター(JPRO)データベースの改修(アクセシブル情報追加等)を推進される際に、一般向けデータベースサイトの視覚障害者等のアクセシビリティの向上をお願いいたします。また、このデータベースから遷移するすべての書籍販売ウェブサイトがアクセシブルになるようご指導くださることをお願いいたします。 (3)購入した書籍の電磁的記録の提供方法に関する考え方 読書バリアフリー法第12条第2項は、あくまでも、同法第12条第1項の「アクセシブルな電子書籍等の販売」の目標に付随する代替手段として考え、取り組むべきであると考えます。また、個人のプライバシーの問題もあるため、書籍を購入した視覚障害者等と出版者、もしくはABSCが直接販売サイト等を通じてやりとりするなどの方法を検討すべきものであると考えます。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 海外で製作されたコンテンツの利用について、視覚障害者等が地域の公共図書館経由で国会図書館を活用し、外国語のコンテンツ利用ができる体制の拡充を求めます。 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 (1)機器の開発に関する課題 現在、サピエ図書館の資料を利用する機器は、専用機(デイジープレイヤー)、パソコン、スマホ(アプリ)の3種類があり、その中で最も利用が多いのが専用機です。 専用機は複数ありますが、大半の視覚障害者が利用しているのがシナノケンシ社のプレクストークであり、卓上型のPTR3と携帯型のリンクポケットです(共にインターネットに繋がり、サピエ図書館も利用出来ます/2024年5月現在)。 2022年10月に、シナノケンシ社より、リンクポケットを生産終了し(在庫がなくなり次第販売終了)、携帯型の後継機は開発しない、という発表がありました。 シナノケンシ社が後継機を開発しない理由は、市場が限られているため、仮に開発・発売しても採算を取れる見込みがないため、ということですが、これにより、今後、視覚障害者の方が使える専用機は、限定されることになります。 携帯型としてはスマホと専用アプリがありますが、スマホはボタンがないため、使える方は一定の技術を習得された方に限られており、携帯型の専用端末に置き換わるものとはなり得ず、デイジー図書を聴く方の読書環境が著しく低下します。 今後、視覚障害者がサピエ図書館や特定書籍及び特定電子書籍を利用する上で欠くことの出来ない機器類の安定的な生産・提供に向けて、@生産体制の資金面での支援、A視覚障害者等の機器操作サポート支援体制の充実等の方法をご検討くださるようお願いいたします。 (2)機器の普及、入手に関する課題〜地域格差を無くすための施策 日常生活用具の対象者・基準額等が各自治体で異なるために、地域格差が発生しています。また、対象者・基準額が福祉機器の実態に合わないために、利用者が機器を入手できず、読書権が担保されない事例があります。 例えば、デイジープレイヤーは日常生活用具候補品として普及していますが、現在以下の課題が発生しています。 ・視覚障害者用ポータブルレコーダーの給付対象者を視覚障害1・2級に限定している自治体が大半を占め、3から6級の視覚障害者が給付を受けられない。 ・サピエ図書館に接続可能な多機能化した小型情報機器の販売価格が基準額を上回り、新たに日常生活用具の申請を行う際の視覚障害者の自己負担が増額している。 また、各自治体が全国の動向を把握できるよう、都道府県に対して各自治体の視覚障害者用情報支援機器の品目、基準額、耐用年数に関する実態調査を実施し、機器の給付の好事例として、下記の事例等を、厚生労働省のホームページで掲載するなどの方法により紹介する等の対応をお願いいたします。 ・視覚障害者用ポータブルレコーダーの給付対象者を1〜6級としている(名古屋市等) (日常生活用具制度として重度視覚障害者(1・2級)に限定するものではないことの周知) ・点字ピンディスプレイを視覚障害単独で給付している(大阪市や千代田区等) ・OCR機能を備えた多機能デイジープレイヤーを活字読み取り装置として給付する ・耐用年数を満たす前に故障、利用環境に機能が対応しなくなった(バージョンアップが不可能)などで使用不能になった際、証明書の提出などをもって耐用年数に関わらず必要な給付を行う 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 ・障害者ICTサポート総合推進事業における視覚障害者の支援について 視覚障害者のICTサポートは、PC画面の音声化ソフト(スクリーンリーダー)等、特別なソフトを使い、画面を見ずに、かつマウスを使わずに使いこなす技術が必要で、身体障害や聴覚障害の方々のサポートとは異なる、特別な知識・技能と熟練が必要です。また、単独での移動が困難である視覚障害者の自宅に出向いての支援も必要です。 しかし、各地の本事業の受託団体を見ると、そうした専門性やマンパワーを持っているようには思えない団体が少なからずあります。 例えば石川県、愛知県、兵庫県のように視覚障害、聴覚障害、肢体不自由の障害別に3ヶ所で事業を受託するのが実際的であり、有効であると考えます。 いずれにしても、本事業の委託自治体に対しては、読書バリアフリー法に基づき、視覚障害者等がICTを活用して、読書をする上で必要なサポートを受けられる体制を組むようにご指導をお願いいたします。 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 (1)点字プリンターの安定供給について 点字図書を製作するために必須の点字プリンターは、現在、国内の点字図書館が利用している機種はジェイ・ティー・アール1社にほぼ限られていますが、安定的な製造・販売に不安がある状態です。これが供給されなくなると、日本国内の点字製作は大きな危機に直面することになります。 今後、視覚障害者がサピエ図書館や特定書籍及び特定電子書籍を利用する上で欠くことの出来ない点字印刷機器の安定的な生産・提供に向けて、生産体制の資金面での支援、複数企業による点字プリンター開発の活性化等の方法をご検討くださるようお願いいたします。 (2)視覚障害者が使いやすいEPUBビューアーの開発支援について 視覚障害者等がアクセシブルな電子書籍等を利用する際に、視覚情報に依存せずに容易に扱うことが可能でありかつ安価な再生機器及び日本語やAlt 読み上げにも対応した使いやすいEPUBビューアーの開発(既存ビューアーの日本語版の発展)を積極的に支援し、また視覚障害者等がその機器やビューアー等の情報を容易に入手する手段が円滑に提供されるよう支援することをお願いいたします。 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 点字・録音図書を中心に国内で利用出来るアクセシブルな書籍の大半を製作しているボランティアの養成と活動支援をお願いいたします。 このことについては、「地域における読書バリアフリー体制強化事業」にもメニュー化されていますが、実態としては、これまで行ってきた「点訳・朗読奉仕員養成事業」の予算に振り替えているのがほとんどであり、「強化」には繋がっていません。 そのため、当協会では以前から次の要望を続けています。 『高齢化と漸減が進む点訳・音訳ボランティアの養成を強化するため、国に対し、「身体障害者社会参加支援施設の設備及び運営に関する基準」において「校正員又は音声訳指導員 1以上」とされている職員配置基準を「各1以上」に改めるとともに、障害者総合支援法において都道府県・市町村の「任意事業」に留められている「点訳・朗読奉仕員等養成研修」事業を「必須事業」に改めることを要望する。』 この要望の趣旨は、点字図書と録音図書の製作を維持・発展させるためには、点訳と音訳等のボランティアの養成と活動支援が基本であるにも関わらず、「身体障害者社会参加支援施設の設備及び運営に関する基準」では、「点訳指導員」の配置は単独で「1以上」であるのに対し、「音声訳指導員」は「校正員」と合わせて「1以上」にされている不備を是正し、音訳活動の安定化を図りたいというものです。 また、障害者総合支援法の地域生活支援事業の意思疎通支援事業において、手話通訳者、要約筆記者等の養成研修は都道府県・市町村の必須事業に位置付けられているにも関わらず、点訳奉仕員と朗読奉仕員(及び点字・声の広報等)は任意事業に留められている不公平の是正を要望するものです。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 読書バリアフリー法の理念を全国に行き渡らせるには、全都道府県・指定都市・中核市における「読書バリアフリー推進計画」の策定を欠くことが出来ません。しかし、令和6年2月1日現在の調査では、「既に策定済み」と答えたのは、19道府県、3指定都市、11中核市の合計33自治体に止まる一方、「策定する予定なし(未定も含む)」が6指定都市、36中核市の合計42自治体と道半ばの状況にあります。こうした消極的な地方自治体に対して、「読書バリアフリー基本計画(第1期)」の最終年度にあたる令和6年度中に策定(に向けて検討)するよう指導をお願いいたします。 「策定済み」の自治体の「計画」を確認すると、鳥取県などは非常に積極的な計画を立てて、具体化を進めていますが、多くの自治体で、関連施設・事業のネットワーク化や組み替え、従来から行っている障害者サービスの衣替えなど、新たな予算や新規事業の伴わない取り組みが目立ちます。さらに、少なからぬ自治体で、教育委員会と障害福祉課との連携どころか協議さえ行われておらず、相互に責任を委ね合う例が見られます。地方自治体における読書バリアフリー推進計画がより充実した地域での取組みに繋がるよう、新規事業の着手や予算編成を進めるよう指導をお願いいたします。 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 認定NPO法人DPI日本会議 氏名: 工藤 登志子 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 施設の整備の中には、閲覧コーナーのテーブルが車いすの高さに合わせたものであること、検索機が車いすでも使いやすいこと等にも留意していただきたい。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 特になし 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 特になし 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 特になし 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 特になし 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 例えば地方自治体の障害福祉課や相談窓口、教育機関等がアクセシブルな電子書籍等について相談を受けた際に的確な情報提供を行えるよう、職員への教育も推進していただきたい。 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 特になし 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 特になし 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 特になし 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 特になし (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 一般社団法人電子出版制作・流通協議会事務局長 氏名: 藏本 琢也 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 ・特になし 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 ・特になし 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 ・出版者から特定書籍及び特定電子書籍等の製作者への電磁的記録等の提供方法に関しては、費用負担や流出防止のための管理手法の在り方等について引き続き検討を行っていく必要があると考える。 ・検定教科書の電磁的記録の提供についてはAEMC が取り組んでいるが、補助教材や参考書等の視覚障害等のある児童・学生が特に必要とする一部の書籍については電子書籍化が進んでいなかったり、されていてもテキストデータを持たない画像形式(フィックス型EPUB等)で流通されているものが多い。こうしたアクセシブルな電子書籍等が存在しないが必要性の高いジャンルの書籍の電磁的記録の提供の推進については出版社等民間企業の自助努力だけでは容易ではないため、国の支援策の検討が必要と考える。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 ・アクセシブルな電子書籍等の販売の促進のためには、電子書籍サービス事業者が取り扱う当該電子書籍が、出版者よりアクセシブルかどうかを示す書誌データと共に供給され、視覚障害者等が利用する端末機器(スクリーンリーダー等)を通して利用できることが求められるため、アクセシブルな電子書籍等の製作や流通に関わる規格の整備や環境整備に関わる施策や支援についての検討が必要と考える。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 ・特になし 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 ・特になし 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 ・特になし 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 ・特になし 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 ・特になし 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 ・特になし (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 調布市立図書館 氏名: 小池 信彦 全体を通してですが,5年後の到達目標を設定し,行動計画を明示していただきたい。 ヒアリングの際にいくつかの団体から,計画を早めることを望む意見がありました。 モデル事業を行うことは必要ですが,検証期間や体制を考慮し早める計画となることを期待します。 また, 2.基本計画について (4)基本計画の対象 中 視覚障害者等以外の とありますが,本計画策定時の議論でもあったように,対象者を拡大する準備を進めていただきたい。 3 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る意義と課題 第4 パラグラフ「借りる」中“点字図書館と一部の公共図書館が”とありますが,ここは“一部”を削除することが適当と考えます。 計画策定時に参照したデータ以降の調査では,全国公共図書館協議会「公立図書館における読書バリアフリーに関する報告書(2022年度)」「公立図書館における読書バリアフリーに関する実態調査報告書(2021年度)」があり,激増したとは言えませんが,一部とは言えないくらいの実績はあるかと思います。 第5パラグラフ「購入する」中,個人が対象の電子データの引換券の記述がありますが,電子データの提供は個人が対象であり,図書館などが購入した場合は対象とならないことから,提供ができない課題が残っています。 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 国立国会図書館においてテキストデータ製作の促進に関して,具体的な数値目標が欲しい。 点字図書館等による製作の支援に関して,具体的な事例が欲しい。 アクセシブルな書籍等の紹介コーナーの設置などに関して財政的支援が必要ではないか。 教員間の連携の重要性について周知とありますが,具体的な研修計画,実施の支援が必要ではないか。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 システムの周知,サピエ図書館などの会員加入に関して,費用の無償化を図れないか。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 音声読み上げ機能(TTS)等に関して,ベンダーへの説明など促進するための具体的行動が欲しい。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 点字ディスプレイ,デイジープレイヤー等の端末機器等の給付については,個人だけではなく,図書館など施設も対象として欲しい。 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 点字ディスプレイ,デイジープレイヤー等の端末機器等の給付については,個人だけではなく,図書館など施設も対象として欲しい。 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 研修に使用する機材等整備の財政的支援が欲しい。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 東京大学 氏名: 近藤 武夫 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 NDLの取り組み(みなサーチ、電子図書館アクセシビリティガイドライン)は重要な進展であった。全国の図書館司書に対する障害者サービス担当職員向け講座にはさらなる機会拡大が必要。またその際、「(2)円滑な利用のための支援の充実」のために、学校図書館司書教諭・学校司書を対象とした研修機会を充実するとともに、その中で、アクセシブルな資料が提供されていないものについて学校図書館が地域の公立図書館と連携してアクセシブルな資料を制作する機能を持つことの重要性について強調してほしい(または、自治体に対して、それが可能となるよう、学校図書館や公立図書館の機能強化と財源の準備を求めたり、各地の図書館関係者が、自分たちの自治体にそうした必要性を述べる方法論についても事例研修などを通じて研修してほしい)。そのような機能が充実しない限り、以下の文言は画餅に過ぎない状況が状況が残ることとなる(下線・太字は筆者)。これを実現するためには各自治体での地域連携による課題解決が不可欠だが、それを促進する政策が必要。京都府(京都府総合教育センター)では、府内の基礎自治体の中の学校の特別支援と学校図書館、地域の大学の連携で、著作権法37条に基づいて単元テストの問題をアクセシブルなものに改変する取り組みもおこなれており、こうした取り組みを全国で一般化させる政策的なバックアップが期待される。 「3.視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る意義と課題 読書は、乳幼児・青少年期、成人期、高齢期の一生涯にわたって、個人の学びや成長を支えるものであり 、教養や娯楽を得る手段のみならず、教育や就労を支える重要な活動である。特に、学校教育段階においては、教科書以外にも 、副読本、参考書、資料集、学術論文等が、学習や教育・研究に関連する活動の支えとなる。また、中等教育機関、高等教育機関及び職業教育機関への選抜試験の受験、進学や、資格取得のほか、就職活動、職業生活等の人生のあらゆる段階において、書籍を通じて専門的知識を得ることが不可欠である。」 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 みなサーチにアクセシブルな資料の情報を一元化(ワンストップ化)してほしい。 関連して、国立情報学研究所リポジトリへの大学で制作したアクセシブル書籍を登録する行為について、各大学のボンタリーな努力について、社会認知を高めるなどして大学にとってのインセンティブを向上させたり、そうした行為を行なった大学に対して、大学等での障害学生支援の取り組みにおける国立大学等の交付金算定や私学助成の積算メニューに加えるなど、書籍を登録する作業を実施することを促す具体的なインセンティブが作れないか検討してほしい。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 教科書(教科用図書)については、教科書バリアフリー法による出版社からのPDF提供に基づく強化用特定図書等のボランティア団体による制作・提供の文科省の支援が安定的に行われているほか、出版社からの学習者用デジタル教科書のアクセシビリティ機能の向上が少しずつ進んでいる。後者が発展し、前者をほとんど行わなくても良くなり、前者のリソースを「副教材やその他の教材(ほぼ手付かずの状態)」に投入する政策が行われるべき。関連して、前者においては、出版社から文科省が委託する教科書データ管理機関へは、同法に基づいてアクセシブルではないPDFデータが提供されるが、そろそろ日本でも、2004年の改正米国障害者教育法による教材アクセシビリティ基準NIMASによりNIMACセンターが行ってきたように、検定教科書については、出版社に対して、ある程度の基準に則ったアクセシブルなデータ提供を行うよう求められるべきではないか。その実現のためには、出版社へのそうした実務への財源的な補助が行われるべきであるし、NIMASのような明確な基準も整えられるべき(加えて、出版社への過重な負担とならないように、検定スケジュールも見直されるべき)。本来であれば事前的改善措置として保障されているべき検定教科書のアクセシビリティ保障をボランティア団体等が支えている状況は、特に2024年4月の改正障害者差別解消法以降は、放置すべきではない社会課題となったのではないか。まずは、現在の教科書アクセシビリティ保障に振り向けられているボランティア等の社会資源を、副教材やテスト問題等のさらなるアクセシビリティ保障に向かわせることができるような施策が必要である。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 さらなる加速が期待される。著作権者や出版社での意識の醸成が見られることはポジティブな要素。一方で、実際に「どんな本でもアクセシブルなデータが手に入れられる」という状況は未だ遥か遠い。ABSCに行政的に大きな財源をつけるなどがないと、実際にアクセシブルな書籍を一つでも提供できた、という事例を生むような実効的な活動はできないのではないか。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 事例が知られておらず、図書館関係者への事例の共有と啓発が期待される。 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 公共図書館や学校図書館とICTサポートセンターの連携事例など、具体的にその事例が成立した背景や地域社会政策の経緯も含めて、事例を全国の関係者に理解啓発する必要がある。 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 特に、一般事業者が、障害のあるコンシューマーにアクセシブルな技術を活用する利用支援を行う(BtoCの支援サービス提供を行う)事業者に対して、そのBtoCの支援サービス提供自体に関する事業費や助成、補助を得られるスキームが必要。現在は、日常生活用具の物販や、それらの開発助成が主で、支援サービス提供に対して対価が得られる仕組みは基礎自治体では整備されていないと考えられる。 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 ここまでに述べた社会課題を設定して、その解決をターゲットやKPIに据えた先端技術研究の推進が必要。製品開発や、技術開発の支援では、実際の社会課題の解決にはつながらなかったり、新規性が説明しやすい技術開発のみが目的化し、課題の解決としては現実性が低いものとなり、社会的に無意味なものとなってしまう。 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 第9条関係で述べたとおり。単に「既存の図書館での障害者サービスの一般的技術」にとどまらない、各地の自治体の地域性とそこでの課題解決にターゲットを据えた、地域の市民活動も巻き込んだ、包括的な人材育成プログラムを開発して実践すべき。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 愛知県福祉局福祉部障害福祉課 氏名: 坂上 滋泰 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 意見なし 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 意見なし 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 意見なし 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 意見なし 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 意見なし 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 意見なし 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 意見なし 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 意見なし 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 意見なし 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 日本図書館協会(障害者サービス委員会) 氏名: 佐藤 聖一 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 ・図書館には視覚障害者等の読書バリアフリーの実現に大きな役割があるが、そもそも図書館が設置されていない自治体が22%もあり、そのこと自体が大きな課題といえる。 そこで以下の文を適した場所に入れたい。 <文例> 「視覚障害者等の読書環境の整備にあたっては、公立図書館等の図書館が大きな役割を持って いる。にもかかわらず全国の図書館の設置率が78%に留まっていることが大きな課題といえ る。未設置自治体に図書館を設置するための方策と支援が求められる。」 ・資料の充実のために具体的に何をすべきかを書く必要がある。 <文例> 「具体的には、アクセシブルな資料の購入、著作権法第37条第3項による資料の製作、及び著作権法第37条で全国で製作された資料やデータの複製等がある。特に、全国で製作された資料の積極的活用が求められる。」 ・国立国会図書館は「テキストデータ」を中心に製作しているわけではない。 <文例> 「国立国会図書館において、学術文献の録音資料やテキストデータやアクセシブルなEPUBの製作を促進するとともに、公立図書館等で製作される特定電子書籍等を収集し、アクセシブルな書籍等の充実を図る。」 ・公立図書館等が行うサービスを「障害者サービス」として最後に書かれているが、大変重要な要素なので(2)として独立させる。 <文例> (2)公立図書館等が行う読書(図書館利用)に困難のある人へのサービス(障害者サービス) 主に公立図書館では、前述のアクセシブルな資料の充実に努めた上で、対面朗読、郵送貸出、宅配サービス、施設等入所者へのサービス、学校へのサービス、アクセシブルな電子書籍の配信サービス等を行い視覚障害者等への資料情報提供に努める。併せて、可能な図書館においては著作権法第37条第3項による資料製作を行う。 ・学校図書館、点字図書館の記述について、小見出しをつけて整理する。 ・文末は検討するではなく、努める、に改める。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 ・特定書籍等の製作の支援」なのに【基本的考え方】で「質の向上」のみをいっているのはおかしい。また、基準を作るだけでは質は向上しない。 <文例> 「特定書籍・特定電子書籍等の製作を支援するため、資料製作者の確保とその技術向上のための支援、製作に係る基準の作成を含む、質の向上を図るための取組に対する支援等を行う。」 ・全視情協ではすでに、特定書籍や特定電子書籍等の製作基準などを新たに出している。また、製作基準のみで資料の質の向上はできない。それよりも、音訳者等資料製作者の確保のための支援、資料製作者の専門技術の習得のための研修への支援、製作のための予算の確保を記した方がよいのではないか。 ・(2)出版者からの製作者に対する電磁的記録等の提供の促進のための環境整備への支援について、大きく変更することになる。後半部分で「流失の防止」とあるが、製作館にデータを提供している場合はその心配はない。すでにABSCの活動も開始されているので、どのように記述するか。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 ・【基本的な考え方】に、「すでにある優れたアクセシビリティ基準及び諸外国の先進的な取り組みも参考にしながら」を加える。 ・(2)著作権者と出版者との契約に関する情報提供 に以下の文を追記。 「また、電子書籍を刊行する場合は、現在ある技術でのアクセシビリティの確保が必須条件となっている。」 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 ・端末機器等の給付に関する記述について、次の文を追加したい。 「給付に当たっては、従来の福祉制度にある障害者を特定したものではなく、実際に読書が困難な視覚障害者等に、必要に応じて給付されるよう、その運用や判断に十分に留意する。国は自治体の給付事業が円滑に行われるよう支援する。」 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 同上 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 内容的に十分とはいえない。具体的取り組みが見えてこない。 そこで、以下の文を加える。 「国は、新たな技術開発、助成の内容等を公開し、視覚障害者等利用者への普及のための支援と、開発者への啓発を行う。」 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 ・【基本的考え方】について、資料製作者と資料利用の支援者(職員等)が一緒に書かれていてわかりにくい。「視覚障害者等に対する図書館サービス」だけが障害者サービスではない。 上記を踏まえた修正案は以下のとおり。 「特定書籍・特定電子書籍等の製作を行う資料製作者、及びアクセシブルな書籍等の利用のための支援を行う者(司書等職員)について、これらの養成、資質の向上及び確保に係る支援を行い、円滑な利用を促進する。 また、公立図書館等及び国立国会図書館において、アクセシブルな書籍等の円滑な利用のための支援の充実のため、司書等を対象とした研修及び養成において、視覚障害者等を含む図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)について取り上げ、司書等の資質の向上を図る。」 ・職員と、ボランティア・図書館協力者をいっしょに書いているため、誤解を招いている。 ボランティアや図書館協力者を職員の助けになるものと考えているようだが、図書館協力者は音訳者等の資料製作者のこと。また、この節の記述は足らないので補足する。 <文例> (1)司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上 ・司書及び司書補(以下「司書等」という。)、司書教諭及び学校司書並びに職員、図書館ボランティア(以下「職員等」という。)を対象に、障害者サービスに関する内容を理解し、支援方法を習得するための研修や、読書支援機器の使用方法に習熟するための研修等を実施し、資質の向上を図る。また、公立図書館においては、障害当事者でピアサポートができる司書等及び職員等の育成や環境の整備を行う。公立図書館の研修は、オンライン方式も活用し、全国レベル及び都道府県単位のものを定期的に開催する。また、地域の状況も考慮して、地域や職場単位の実務につながる研修も実施する。 ・職員の確保の項目を小見出しを付けて新設する。 <文例> (2)公立図書館における担当職員の配置と学校図書館における専門職員の確保 公立図書館では障害者サービスを担当する職員を必ず配置し、図書館全体の障害者等へのサービスを総合的に企画運営すると共に、自館の障害者サービスの実務を行う。 学校図書館には学校図書館を専任で運営する司書教諭・学校司書などの専門職員を配置する。学校図書館の専門職員は、児童生徒への資料・情報提供に加え、学校図書館の長期的視野に立った運営、教育活動との連携、他図書館と関連期間との連携等様々な業務を行うため、正規職員を配置することが望ましい。 ・大学の司書科目履修において、障害者サービスが学べるようにすることを、小見出しを付けて新設する。 <文例> (3)司書科目における障害者サービス論の履修 司書等の資質向上のためには、大学教育の司書課程における充実した障害者サービス論の履修が求められる。各大学での履修ができるように、国は条件の整備を行う。 視覚障害者等を含む図書館利用に障害のある人へのサービスは、対象となる利用者の拡大、扱っている資料の種類の増加とデジタル化、サービス方法の多様化等、ICT技術の進展に合わせて大きく変化してきている。これらを学ぶ十分なカリキュラムが必要となっている。 なお、インターネットを活用した授業を行う等、授業方法を工夫することで各大学で開講できるように工夫する。 ・(2)点訳者・音訳者、アクセシブルな電子データ製作者等の資料製作人材の確保と養成、育成について、以下のとおり差し替え。 ・点字図書館等や公立図書館等及びそこで活動するボランティア団体等における点訳、音訳、アクセシブルな電子データ製作等に携わる資料製作人材について、その確保に努め、製作基準の共有や製作ノウハウ等の習得に係る研修の取組を支援し、質の向上を推進する。 ・人口の高齢化、経済状況・ライフスタイルの変化等を理由に、点訳や音訳、アクセシブルな電子データ製作に携わる人材の不足が課題となっており、この分野における人材の確保が必要となっている。このため、点字図書館、公立図書館等と地方公共団体が連携して、人材の募集や養成、活動支援等に計画的に取り組むことができるよう支援する。 なお、製作人材の確保に関しては、ボランティアのみに頼ることなく、様々な方策を関係者間で検討していく必要がある。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 ・基本計画に新たに指標(数値目標)を入れる。それに合わせて目次なども修正する。(別紙案) ・障害者を特定して支援を行う従来の福祉的考え方から、何らかの理由で読書に困難のある人(社会的不利益のある人)が平等に読書・情報にアクセスできる社会にすることが分かるように追記する。 ・第2期に合わせて、語句の修正、統計数字、調査名、説明文等の更新等を行う。 T はじめに 3.視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る意義と課題 <文例> ・「 教養や娯楽、生活に役立つ情報を得る手段であり、」 ・「 一方で、我が国では社会のあらゆる場面で、障害者等への利用の保障を、そのサービス等を行う者自らがしなくてはならないという機運に乏しく、結果、視覚障害者等(*5)が利用しやすい書籍等はいまだ少なく(*6)、障害の有無にかかわらず全ての国民が文字・活字文化を等しく恵沢できる状況とはなっていない。」 ・ 「例えば、AA 準拠のEPUB(*8)等の音声読み上げ対応の電子書籍、・・・」 ・「 全国の視覚障害者等が効率的に利用できる仕組みになっているものの、それらを知らないために利用につながっていないことが指摘されている。」 U 基本的な方針 1.アクセシブルな電子書籍等の普及及びアクセシブルな書籍の継続的な提供 <意見> 利用者自身が使えるようになるための支援・訓練等について、もっと積極的な取り組みを促す書き方が必要。 <文例> 「今後アクセシブルな電子書籍等が多く提供されることになっても、利用者自身の情報入手技術が向上しなくては利用が進まない。そこで、個々の状況に合わせた情報入手技術の習得支援に積極的に取り組む必要がある。」 2.アクセシブルな書籍等の量的拡充・質の向上 <意見> 基準の作成だけでは質の向上は図れない。また、資料製作者の確保の問題を追加する。 <文例> 「 「質の向上」については、書籍等の製作に係る基準の作成はもちろん、製作に従事する者の十分な研修が必要である。なお、資料製作者の高齢化と減少の問題があり、資料製作者の確保と技術向上が喫緊の課題となっている。」 <意見> 出版社からのデータ提供の仕組みが製作に効果的とまではいいきれない。そのための出版社の努力ほどの効果はない。 <文例> 「また、「量的拡充」及び「質の向上」のいずれにおいても、これまでに製作された書籍等について、書籍・電子書籍等の形態を問わずアクセシブルなものにし、長期的にデータとして保存するための取組や、製作者が効率的に作業できるよう出版者から製作者に電子データを提供する仕組みを構築することが考えられる。」 <意見> 最後に、以下を追記 <文例> 「従来の福祉制度では障害者を特定して助成や支援を行ってきた。読書バリアフリー法では、視覚障害者等の社会的不利益のある人を幅広くとらえ、合理的配慮を含む必要な配慮や支援等を行うことにより誰もが平等に図書や情報にアクセスできることを目指している。そのため従来の福祉制度の見直しや弾力的な運用を行うことで、制度の活用を推進していく。」 (以上) 読書バリアフリー基本計画の指標案(新規追加提案) 2024年5月10日 日本図書館協会(障害者サービス委員会) 指標案の数値やその割合は現時点の分かる範囲での参考数値。 指標として必要で、分からない数値は今年度中に調査をする必要がある。 指標の各項目は関係者で十分検討する必要がある。 第2期(2025年〜2030年)中の達成目標 指標目次 1 自治体の読書バリアフリー計画の策定状況(第8条) 2 図書館・点字図書館等サービス施設の「みなサーチ」「サピエ図書館」登録館数 (第10条) 3 視覚障害者等の「みなサーチ」「サピエ図書館」登録者数(第10条) 4 公立図書館における担当職員の配置、資料費・製作費の予算措置(第9条) 5 公立図書館の障害者サービス実施と実績(第9条) 6 点字図書館の実績(第9条) 7 著作権法第37条第3項による資料製作館数(みなサーチ・サピエ図書館登録数) (第11条) 8 図書館・点字図書館等による資料製作数(みなサーチ・サピエ図書館の年間製作数) (第11条) 9 アクセシブルな電子書籍の刊行(第12条) 10 アクセシブルな図書館の電子書籍システム(第12条) 11 ICTを活用した再生環境の充実、再生機器の入手支援(第14条、16条) 12 視覚障害者等の情報入手スキルの向上(第15条) 13 サービス人材の確保と資質の向上(第17条) 14 資料製作人材の確保と資質の向上(第17条) 指標 *1 割合(%)を出しているものについて、点字図書館は全館数(86)、公立図書館は図書館設置自治体数(市区町村1352)を全数として算出した。(図書館未設置自治体は389市町村) *2 ただし、資料の製作に関する指標(7、8、14)については、みなサーチ(視覚障害者等用データ送信サービス、データ提供館)、または、サピエ図書館に資料製作施設として登録している、図書館・施設・ボランティアグループを対象とした。割合もその全数を元に算出した。 *3 数字が明らかでないものについては、調査を行う必要がある。 (以下の数字は、表記のあるものを除いて2024年3月31日現在のもの) 1 自治体の読書バリアフリー計画の策定状況(都道府県47、指定・中核市82) (1)都道府県 現状策定済み 19(40%)→100% (2)政令指定都市、中核市 現状策定済み14(17%)→50% 2 図書館・点字図書館等サービス施設の「みなサーチ(視覚障害者等用データ送信サービス)」「サピエ図書館」登録館数(第10条) (1)みなサーチ @公立図書館(都道府県立含む) 現状186館( %)→50% A大学図書館 現状75館 ( %)→ % B学校図書館(特別支援学校含む)現状45館 ( %)→50% C点字図書館 現状27館 (31%)→ % (2)サピエ図書館 @公立図書館 都道府県立 現状 39館(83%)→ %、 市区町村立 現状234館( %)→20% A特別支援学校図書館 現状 33館( %)→20% *点字図書館はすでに100% (3)サピエ図書館の利用確認が視覚障害者等の内、視覚障害以外にもできる @公立図書館のサピエ登録館 273館の内 169館→ A点字図書館 全86館の内 48館→ 3 視覚障害者等の「みなサーチ」「サピエ図書館」登録者数(第10条) (1)みなサーチ 現状 799人→ 人 (2)サピエ図書館 現状 20,716人→ 人 4 公立図書館における担当職員の配置、資料費・製作費の予算措置(第9条) (1)障害者サービスを担当する職員がいる(兼務も可) @都道府県立 現状 館( %)→100% A市区町村立 現状 館( %)→50% (2)実際にバリアフリー図書を購入する予算がある @都道府県立 現状 館( %)→100% A市区町村立 現状 館( %)→80% (3)対面朗読やバリアフリー図書を製作する予算がある @都道府県立 現状 館( %)→50% A市区町村立 現状 館( %)→20% 5 公立図書館の障害者サービス実施と実績(第9条) (1)次の障害者サービスを実施している(サービス体制がある、HP等で広報をしている) @点字録音資料の郵送貸出 現状 館( %)→60% A一般図書資料の郵送貸出 現状 館( %)→50% B特別支援学校等の学校・障害者施設・高齢者施設等へのサービス 現状 館( %)→ % C対面朗読 現状 館( %)→ % D職員等による宅配サービス 現状 館( %)→ % (2)次の障害者サービスの実績がある @点字録音資料の郵送貸出 現状 館( %)→40% A一般図書資料の郵送貸出 現状 館( %)→30% B特別支援学校等の学校・障害者施設・高齢者施設等へのサービス 現状 館( %)→ % C対面朗読 現状 館( %)→ % D職員等による宅配サービス 現状 館( %)→ % (3)みなサーチからの年間データ送信数 @公立図書館製作分 現状 件→ 件 A大学図書館製作分 現状 件→ 件 B学校図書館製作分 現状 件→ 件 Cボランティアグループ製作分 現状 件→ 件 6 点字図書館の実績(第9条) *「日本の点字図書館」調査から主だった数値を目標にする。 *下記の数値のほか、具体的には全国視覚障害者情報提供施設協会などの当事者団体で検討をしてもらう。 (1)サピエ図書館からの年間データ送信数 @点字図書館製作分 現状 18,107件→ 件 Aボランティアグループ製作分 現状 1,908件→ 件 7 著作権法第37条第3項による資料製作館数(みなサーチ(データ提供館)・サピエ図書館登録数)(第11条) (1)公立図書館 現状97館( %)→ 30% (2)大学図書館 現状15館( %)→ % (3)学校図書館 現状3館 ( %)→ % (4)ボランティアグループ等 現状 25+47グループ→ グループ * 点字図書館は全86館で製作している。 8 図書館・点字図書館等による資料製作数(みなサーチ・サピエ図書館の年間製作数)(第11条) (1)公立図書館 現状 3500タイトル→ タイトル (2)点字図書館 現状 タイトル→ タイトル (3)大学図書館 現状 タイトル→ タイトル (4)学校図書館 現状 タイトル→ タイトル (5)ボランティアグループ 現状 タイトル→ タイトル 9 アクセシブルな電子書籍の刊行(第12条) (1)アクセシブルな電子書籍の存在確認 BOOKSの登録数 現状5000タイトル→ タイトル (2)電子書籍のアクセシビリティの確保 →100% *アクセシビリティの程度は以下のアクセシビリティ基準のAAに準拠する 「EPUB3.3」「EPUBアクセシビリティ1.1」「WCAG2.2」 @販売サイトのアクセシビリティの確保 Aビューアのアクセシビリティの確保 Bパソコン・スマホ、OSによらない再生環境の確保 (3)指標9と10を確認するため、電子書籍のアクセシビリティを検証する機関を設ける 10 アクセシブルな図書館の電子書籍システム(第12条) (1) 国立国会図書館電子書籍ガイドラインの活用(調達、検証、職員研修等) 現状 館→60% (2) アクセシブルなコンテンツの割合 現状 ?→アクセシビリティ基準A100% AA50%を満たす (3)サイトのアクセシビリティの確保 (4)ビューアのアクセシビリティの確保 (5)視覚障害者等の電子書籍システム利用登録者数 現状 人→ 人 11 ICTを活用した再生環境の充実、再生機器の入手支援(第14条、16条) (1)国によるICT技術開発のための予算化 現状 件 円→ (2)新たに可能となった再生環境(一覧) (3)日常生活用具給付制度の拡大 国の決算総額 現状 円→ 円 自治体の決算総額(算出可能か?) 12 視覚障害者等の情報入手スキルの向上(第15条) (1)ICTサポートセンターの設置状況 @都道府県 現状 施設( %) → % A市区町村 現状 施設( %) → % 13 サービス人材の確保と資質の向上(第17条) (1)司書資格取得のための履修科目に「障害者サービス論」を独立した科目として設置する。(必要により政令改正も) 障害者サービス論が独立した講座としてある 現状 大学( %)→ % (2)障害者サービスを担当する職員研修会の開催 @国レベル・日本図書館協会等による担当職員向け講座の開催 A都道府県単位の担当職員向け講座の開催(毎年) 現状 館( %)→47(100%) B点字図書館職員のための研修(現状すべての施設で行われている) 14 資料製作人材の確保と資質の向上(第17条) (1)資料製作者の数 @音訳・音声デイジー編集 現状 人→ 人 A点訳 現状 人→ 人 Bテキストデータ製作 現状 人→ 人 Cマルチメディアデイジー・テキストデイジー・EPUB編 現状 人→ 人 Dその他の資料製作 現状 人→ 人 *公立図書館・点字図書館等すべての製作館・グループの合計。 (2)資料製作者の募集・育成、広報等の実施 @公立図書館 現状 館( %)→ % A点字図書館 現状 86館(100%) B大学図書館 現状 館( %)→ % C学校図書館 現状 館( %)→ % 38 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 公益社団法人全国学校図書館協議会 氏名: 設楽 敬一 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 児童生徒の障害の程度や種類に応じた書籍や電子書籍が容易入手できるようご配慮ください。 また、普通学級においても一定の割合でバリアフリー図書を必要とする児童生徒がいます。児童生徒や教師がバリアフリー図書に触れる機会としてバリアフリー図書の展示コーナなどの普及にご尽力ください。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 GIGAスクール構想により、一人1台端末が実現して授業での活用が進んでいます。児童生徒が安全・安心して電子書籍にアクセスできるインターネット環境として、普通教室に加えて学校図書館にも高速データ通信の整備を希望します。また、児童生徒の障害の程度や種類に対応した電子書籍等の製作を希望します。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 特別支援学校の児童生徒に加え、普通学級に通う読みが困難な児童生徒に対しても利用しやすい電子書籍の製作ができるような基準の作成を希望します。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 特別支援学校を含むすべての学校図書館がバリアフリー図書を含めた蔵書構成の充実が図れるような法整備をお願いします。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 特別支援学校の児童生徒に加えて、日本語以外の母語を持つ児童生徒が多様な言語で読書に親しめるような環境整備をお願いします。 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 日常的に活用している情報端末を用いてすべての児童生徒が容易に電子書籍等を利用できる環境整備を進めてください。 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 すべての児童生徒に対して、ICT技術を活用した授業が効率よく実践できるようにICT支援員への技術指導の機会の充実を希望します。 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 いつでもどこでも児童生徒が障害の程度や種類に応じて、電子書籍が利用できるような情報端末の高機能化やアプリの改良を進めてください。 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 特別支援学校では、障害の程度や種類に応じたきめ細かな支援が必要です。そのための電子書籍等の製作や障害の程度や種類に応じた支援ができる人材育成を希望します。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 特別支援学校に通う児童生徒の読書環境の整備は、喫緊の課題です。普通学級に通う児童生徒の6%〜8%程度は、読みに困難があると言われています。こうした児童生徒にとって、電子書籍は、障害の程度や種類に応じた対応が可能だと捉えています。児童生徒の読書環境の改善にご尽力いただきますようお願いいたします。 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: NPO法人エッジ 氏名: 藤堂 栄子 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 アクセシブルな書籍等の充実:@すでにある書籍の収集、A教科書の音声化(文部科学省委託事業)でDAISY以外に5つの方法があり、そのノウハウの活用、あるものの収蔵、制作依頼、B市販の音声図書(オーディオブックなど)の収集。 円滑な利用のための支援の充実:@展示や紹介コーナーを推進、A担当者の研修(利用者の理解、アクセシブルな書籍の理解、地域のリソースの活用)、B児童生徒が使いやすい環境(本人の利便性)、C周りの大人、生徒の教育、D一般への啓発 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 システムの周知:まだ、使い勝手が良いとは思われない。ディスレクシアの人が使えると知らないことに対しての対策 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 (1)技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進 内部で技術開発を進めるのもよいが、民間の技術の活用も積極的に推進すべし 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 学校のICTサポーターはICTのことを知っているが、障害についての知識やそのような機能が役に立つのかを知らない。ICTサポートセンターやICTサポーターへの研修が必須。DAISYに限らず、広くデフォルトで使用できる機能や音声化した教科書、デジタル教科書などについてもしかり 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 (1)司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上、機材だけでなく、必要としている児童生徒や利用者のニーズの理解特にディスレクシアなど理解が遅れていて、利用者は人口の10%はいる人たちの理解が不可欠 (2)人材はボランティアだよりにするのではなく、立派な仕事として育成すべし 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 点字図書館、視覚障害者等の二つの文言の変更はできませんか?違和感があります。 利用へのハードルとなっています。 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 慶應義塾大学 氏名: 中野 泰志 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 国立国会図書館等の努力により、アクセシブルな書籍等が増加している点は評価に値すると考えられる。しかし、小中高等学校等で利用される学校図書や大学等で利用する学術書については、圧倒的にコンテンツが不足しており、公立図書館等の連携によるアクセシブルな書籍等の充実が必要不可欠だと考えられる。また、公立図書館等が連携して、アクセシブルな書籍等を増やしたり、アクセシブルな書籍等の種類(デイジー、プレーンテキスト等のファイル形式)を増やしたりするためのシステマティックな取り組みが必要だと考えられる。例えば、国立国会図書館に集約されているアクセシブルな書籍等をさらに増加させるために、公立図書館等が役割分担し、PDFからテキストファイルを作成したり、未校正のテキストデータを校正したりする取り組みをシステム化させる等の仕組みづくりが必要不可欠だと考えられる。また、視覚障害者等から依頼があってからアクセシブルな書籍等を製作するだけでなく、事前的改善措置として、潜在的なニーズを考慮した上でアクセシブルな書籍等を製作するフローも考慮する必要があると考えられる。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 インターネットを利用したサービスの提供体制は、国立国会図書館の「みなサーチ」を中核にしたシステムが正式に公開されたことにより、大きな成果を挙げていると考えられる。しかし、小中高等学校等では、教育委員会や自治体等のセキュリティ制限が厳しく、公衆送信を介してアクセシブルな書籍等をやり取りすることが困難であるという指摘がある。制度的に公衆送信が可能になっているにもかかわらず、運用ルールのために、アクセシブルな書籍等をやり取りに制約がある状態は早急に改善する必要があると考えられる。文部科学省から各教育委員会等へアクセシブルな書籍等をやり取りするためのネットワーク制限を解除するように周知・徹底(公文書の発出等)することが急務の課題だと考えられる。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン」が公表されたり、EPUBのアクセシビリティに関するJIS規格「JIS X 23761」が制定されたりしたため、製作基準の作成等の質の向上のための取組は大きく進展したと考えられる。しかし、ユーザの多様なニーズに対応するためには、アクセシブルなPDFを始め、多様なデータ形式の特定書籍・特定電子書籍等の製作を支援する仕組みも重要だと考えられる。また、ABSCが稼働し始めたことで、出版者からの製作者に対する電磁的記録等の提供の促進のための環境整備は前進したと考えられるが、特定書籍・特定電子書籍等の製作に資する段階には至っていないと考えられる。実現可能性の高い提供促進方法として、出版社が提供可能なデータ(PDFや未校正テキストファイル等)を国立国会図書館に視覚障害者等用データとして提供する方法を早急に検討する必要がある。また、出版社から提供されるデータは、必ずしもアクセシブルではないと考えられるため、国立国会図書館が集約したデータを公立図書館等がEPUB3 やDAISY 等のファイル形式に変換する等の方法を検討する必要があると考えられる。また、出版社がデータを提供しやすくするために、著者との権利処理上の課題等を整理し、なるべく簡便かつ短期間に権利処理にかかわる手続きができるようにする必要があると考えられる。さらに、提供されたデータから、生成AI等の新技術を使った特定書籍・特定電子書籍等の製作支援を実現するための課題等を整理し、解決策を提示する必要があると考えられる。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 アクセシブルな電子書籍等の販売実績に関する情報収集が必要だと考えられる。また、アクセシブルな電子書籍等を販売しているKindle、Audible、Books 等のサービスを利用しやすくする仕組みづくりが必要だと考えられる。また、電子書籍等にアクセスするためのアクセシブルなブラウザ・アプリ等の開発を国等が支援・広報することで、アクセシブルな電子書籍等の販売実績を増やしていく必要がある。さらに、電子書籍等の販売システムのアクセシビリティを工場させるための仕組みづくりが急務の課題だと考えられる。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 国立国会図書館、特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会等が、アクセシブルな電子書籍等の受入れ・提供のための国内外の連絡・相談窓口として中心的な役割を果たしているが、利用実績は必ずしも多くない。これらのサービスの認知度は低いと考えられるため、普及・啓発を行う必要があると考えられる。特に、外国からのアクセシブルな電子書籍等のニーズが高い大学等への普及活動が必要不可欠だと考えられる。 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 アクセシブルな電子書籍等を利用するためのブラウザ・アプリについての周知が不十分だと考えられる。また、アクセシブルな電子書籍等の利用事例をわかりやすくまとめ、普及・啓発を行う必要があると考えられる。ICTサポートセンターに加えて、学校への周知も必要不可欠だと考えられる。 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 ICTサポートセンターで習得支援が実施されているが、必ずしも、多様なニーズに対応できているわけではない。また、ICTサポートセンターが近隣にない地域もある。今後、オンラインによる習得支援セミナー等の実施も必要だと考えられる。 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 近年、アクセシブルな電子書籍等を利用するために、専用の機器ではなく、スマートフォン等の端末で動作するブラウザ・アプリが活用可能になってきている。また、EPUBのアクセシビリティに関するJIS規格「JIS X 23761」が制定されたため、アクセシブルな電子書籍のフォーマットが統一しやすくなってきている。そのため、JIS規格「JIS X 23761」でのアクセシブルな電子書籍等を増やす取り組みが必要不可欠だと考えられる。また、アクセシブルな電子書籍等をスマートフォン等の端末で利用するためのブラウザ・アプリの開発支援が急務の課題となってきつつあると考えられる。さらに、アクセシブルでない電子書籍等を、アクセシブルな形式に変換するために生成AI 等の新技術を活用する方法が注目されている。そのため、身近なスマートフォン等の機器を活用するための変換支援アプリ開発や生成AI を活用するための開発を支援する必要があると考えられる。 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上のための研修が全国各地で実施されている点は評価できる。しかし、人材育成のためには、大学等で司書の養成を行う段階で、読書バリアフリーや障害者サービスに関する講義を必修にする必要があると考えられる。また、点訳者・音訳者、アクセシブルな電子データ製作者等の人材の養成は急務の課題である。これらの活動に従事する人材は決定的に不足しているため、公立図書館等への人員配置やインセンティブの提供が必要不可欠だと考えられる。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 基本計画を策定していない自治体が多いため、これまでよりも強い要請が必要ではないかと考えられる。また、読書バリアフリーを推進するためには、教育委員会と障害福祉課の連携が必要不可欠だと考えられる。 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 社会福祉法人日本点字図書館 氏名: 野村 勝之 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 2015年度より国立国会図書館と日本点字図書館が協働して実施してきた「アクセシブルな電子書籍製作実験プロジェクト」につき、取り組みの総括と今後の展開を整理及び協議を進めていきたい。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 既存のサピエ図書館と国立国会図書館との役割について、整理する必要があると考える。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 書籍に係る電磁的記録の提供を促進するための環境整備を、早急に実現してほしい。 電磁的記録の形式については、どの程度のものであれば、出版者の理解と協力が得られやすいのか、製作者は製作の役に立つのか、早急に調査研究を実施してほしい。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進をするためには、出版社側の課題だけでなく、障害当事者が簡便・確実に利用できる端末の安定的な供給が必要となることも検討してもらいたい。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 外国で製作された学術文献のアクセシブルな電子書籍等を円滑に入手するためには、求める文献の所在が利用者である視覚障害者等にわかりやすい、または検索しやすい環境をつくることが必要である。さらには文献入手についての相談窓口を充実させると同時に、利用者に広報することが望まれる。 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 視覚障害者等が利用しやすい端末機器(DAISY 用の小型録音・再生端末)について、国内メーカーが撤退して選択肢が少なくなっている現状を踏まえ、汎用性のあるものが必ずしも高齢者の多い視覚障害者には使い勝手の良いものとはならないことを認識して、メーカーの研究開発さらには製品維持に対して、国から積極的な働きかけと助成が必要である。 また点字図書製作用の機器(製版機、印刷機、高速プリンタなど)の供給が現在不安定化しているため、製造企業の育成や製造に対する公的な助成の整備も必要である。 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 点字データや点字そのものが読書手段としてもっと有効に活用されるようにするために、複数行表示機能などを有する高機能点字端末を開発してほしい。学術文献などの円滑で確実な利用には必須と言える。 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 特定書籍及び特定電子書籍等の製作の多くが高齢のボランティアによって担われている現状は、製作数の増加はもとより、その維持にも不安をもたらすものである。ボランティアに製作の多くを依存する現状は改善せねば持続的な図書の提供は困難となることを認識し、そうした構造の転換を図ることをも意識した対策を講じねばならない。製作にかかる費用に対する助成を、将来にわたって持続可能なものにしていくことは必須である。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 9条から17条の全体を通じて、各条に記されている取り組みの内容について、それぞれ管轄する省庁、あるいは実行する主体を明記し、責任の所在を明確にすべきである。それによって基本計画とした事柄それぞれが実現に向けて動きやすくなると思われる。 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 一般社団法人日本書籍出版協会 氏名: 樋口 清一 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 出版者から特定書籍・特定電子書籍製作者への電磁的情報の提供を促進するためには、出版者側で設立したアクセシブル・ブックス・サポートセンター(ABSC)のカウンターパートとして、障害者団体側の共通の窓口組織の設立が待たれているところでありますが、国としてもその実現に向けて具体的な目標設定がなされることを強く要望します。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 現在、紙の出版物の売上げは減少しており多くの出版社は厳しい経営状況に直面しています。いっぽう、電子書籍は発行点数としては増加していますが、コミック分野以外では売上としては伸び悩んでいるのが実情です。このような環境では、電子書籍の発行を促進するためには、紙・電子を含めた出版業界の活性化が不可欠であると考えます。経済産業省の書店支援プロジェクト等の動きとも連携して。電子書籍の販売促進策を検討すべきではないかと考えます。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 製作人材・図書館サービス人材の育成等に関しては、ボランティアに頼るだけでなく、予算措置を真剣に検討すべきであると考えます。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 一般社団法人デジタル出版者連盟(以下略称:電書連) 氏名: 眞鍋 礼孝 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 電書連加盟社は、EPUB 3 のリフロー型ファイルを多く製作しており、音声読み上げが既に可能となっている。一方市場では、この数年で、スマートスピーカーの普及が進み、様々な音声読み上げアプリも登場して、主要OS の独自機能以外にも、音声読み上げ手法が拡充した。今後も引き続き、技術の革新と市場の進展に期待していきたい。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 電子書店のサイト作りや閲覧ビューアのユーザビリティ向上等、各所の環境整備に取り組んでいくことが解決方法と考える。また、電子書籍の豊富な作品数も大切である。デバイスや配信事業者が積極的に市場でのTTS 対応を進めていくことに期待しつつ、電書連加盟社に、より多くの電子書籍の作品刊行を働きかけていきたい。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 (以上) 1.所属・氏名を以下に記入ください。 所属: 堺市健康福祉局障害福祉部障害施策推進課 氏名: 吉田 慎一 2.条文ごとに御意見を以下に記入ください。 第九条関係 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等 現行計画に意見はありません。 第十条関係 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化 現行計画に意見はありませんが、サピエ図書館への登録について。公共図書館が登録した場合に何かしらのインセンティブを与えるなど、公共図書館が登録しやすい環境づくりが必要だと考えます。 第十一条関係 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援 現行計画に意見はありません。 第十二条関係 アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等 現行計画に意見はありませんが、販売促進ができる計画とすべきだと考えます。 第十三条関係 外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備 現行計画に意見はありません。 第十四条関係 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援 現行計画に意見はありません。 第十五条関係 情報通信技術の習得支援 現行計画に意見はありません。 第十六条関係 アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等 現行計画に意見はありません。 第十七条関係 製作人材・図書館サービス人材の育成等 現行計画に記載のとおり、製作人材についてはボランティアだけに頼らない方策が必要だと考えます。 3.その他、次期計画策定に向け、御意見がございましたら、以下に記入ください。 自由記述欄 特にありません。 (以上)