研究開発基盤部会(第24回)議事録

1.日時

令和6年5月16日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 先端研究設備・機器の共用推進について
  2. その他

4.出席者

委員

網塚部会長、高橋部会長代理、雨宮委員、飯田委員、伊藤委員、江端委員、岡田委員、岡部委員、上西委員、上村委員、鳴瀧委員

文部科学省

(事務局)科学技術・学術政策局 研究環境課 課長 稲田剛毅、専門職 田邉彩乃

5.議事録

【網塚部会長】  それでは、上村委員がまだですけれども、定刻となりましたので、ただいまから第24回科学技術・学術審議会研究開発基盤部会を開催いたします。
 まず、事務局から本日の出欠と資料の確認などをお願いいたします。
【田邉専門職】  改めまして、環境課の田邉でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 本日の御出欠ですが、田中委員、宮下委員が御欠席、岡田委員が16時30分頃からの御出席となっております。また、上村委員が遅れているようですが、その他9名の委員の皆様に御出席いただいております。また、本日は、議題に関連いたしまして、コアファシリティ令和2年度採択校の早稲田大学より、研究推進部部長の天野様、リサーチイノベーションセンター教授の丸山様にも御参加いただいておりますので、御承知おきいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、議事次第、資料1から3、参考資料1をPDFにて委員の皆様にお届けしております。説明の際にはZoomの画面上に投映するようにいたしますが、見えにくい場合は適宜お手元の資料を御覧いただければと思います。
 また、オンライン会議の留意事項についてですが、御発言されるとき以外はマイクをミュートでお願いいたします。御発言される際は、「手を挙げる」をクリックしていただき、部会長の指名をお待ちください。指名があり次第、ミュート解除にて御発言をお願いいたします。また、その際、議事録作成のため、速記者を入れておりますので、お名前を言ってから御発言いただければと思います。会議中、音声の不具合などトラブルが発生した場合は、事前にお知らせしております事務局の電話番号までお電話いただければと思います。
 以上となります。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。議題1は、先端研究設備・機器の共用推進についてです。こちら、資料1につきまして、まず、事務局から御説明をお願いいたします。
【田邉専門職】  承知いたしました。まず、本日なんですけれども、御議論いただきたいことといたしましては、この後御説明させていただきます関係機関の意見等を踏まえ、前回より御議論いただいております今後の方向性につきまして、新たに課題認識すべき点や、今後の方向性に盛り込むべき内容について、また、現在の検討において不足している観点があるかといった点について御議論いただければと考えております。
 まず最初に、事務局にて、関係機関のヒアリングということでコアファシリティ構築支援プログラム令和2年度採択大学のヒアリングを実施いたしましたので、その結果概要を御報告させていただければと思います。
 実施趣旨につきましては、記載のとおり、今回の検討の参考としていただくため、まさにコアファシリティ化のモデル校として実施していただいております令和2年度採択大学に対しまして、支援期間終了後の自立的運営や発展についての見通しとか、今後の方向性に対する意見等について、事務局にて聴取させていただいたというところです。
 対象機関につきましては、御存じのとおりでございますけれども、北海道大学、東京工業大学、金沢大学、山口大学、早稲田大学の5大学となっております。
 ヒアリングさせていただいた項目としては、こちらの記載のとおり、令和7年度以降支援期間終了後の見通し、また、継続課題とか新たな課題について、また、事業実施の結果どのような波及効果があったか、また、今後の方向性案に対する意見としてどのような御意見があるか、また、アウトカム指標についてどのように考えていらっしゃるかといったところをお伺いさせていただきました。実施方法は、書面で意見を提出いただくとともに、オンラインで事務局にてヒアリングをさせていただきました。実施時期は、前回の会議後、4月中にさせていただいたところです。
 次ページからが、こちらの結果の概要をまとめたものになります。5機関からの意見を事務局にてまとめた形となっております。まず、1ポツですけれども、支援終了後、令和7年度以降の見通しというところにつきましては、皆様、計画していた取組や仕組みの構築は完了し、今後は自立的かつ定常的に運営を継続していくことを見込まれているといったところです。また、今後、さらなる経営の効率化とか、各大学が特徴的に進めてきた取組の強化とか、課題となっているところに発展的に取り組んでいくことを検討しているといったようなことをお伺いいたしました。
 2ポツです。実際に継続または新規課題としてどういったところがあるかというところですけれども、項目としては、左側に挙げているようなものを基本的には挙げていただいたというような形になっております。
 1つ目ですけれども、研究力向上、イノベーション創出に向けた取組、体制整備等といったところで、右側のところに詳細を記載させていただいております。例えば共用機器をハブとしたイノベーション創出の方法論の確立とか、企業等を引きつける魅力の構築とか、広範な分野の技術自体の共用化といったところが今後の課題ではないかといったような御意見がございました。また、そのほか、記載のような、様々な人材・体制の確立といったところを挙げていただいたところです。
 また、2点目としては、基盤技術開発の促進といった観点では、国際競争力強化に向けて、機器開発のエコシステムと人材育成とか、共用プラットフォームを機器開発に活用していくといったところが課題ではないかといった形で挙げていただいております。
 3点目としては、共用システムのネットワーク化というところですけれども、地域ネットワークの充実とか、戦略性を持ったネットワークの構築といったようなところを挙げていただきました。
 また、システム面の充実というところでも御意見がございました。ユーザビリティーを高度化させていくこととか、機器と論文等の成果とのひもづけや、それらのデータや利活用情報をどのように活用していくべきかといったところについて御意見がございました。
 また、安定的な共用システムの運用というところで、機器の更新とかそういったことに対する財源の確保とか、恒常的な技術職員の確保・育成、処遇の向上、活躍促進といったところを引き続きの課題ということで挙げていただいたところでございます。
 続きまして、次のページになります。3ポツの波及効果のところでは、実際に機器運用の効率化・高度化とか、研究力強化に資する効果、あるいは連携の活性化というようなところが御意見として挙げられました。具体的には、機器運用の効率化・高度化というところでは、大学全体で機器の利活用の環境についての改善が進み、効率的な運営の体制の構築がしっかりとできているとか、あとは定量評価に基づき、維持管理、廃棄、更新の判断に資するようになったといったところや、あるいは技術職員の育成制度を立ち上げ、上位職階への登用などモデルとなる人材の輩出につながったといったようなところを挙げていただきました。また、研究力強化に資する効果としては、実際に地域中核への採択とか技術職員による研究費の獲得といったような、資金獲得につながる効果があったというところを挙げていただきました。また、活性化というところですけれども、地域において、人的・知的・物的資源を相互に活用し、研究力・技術の向上を目指す地域ネットワークの構築につながったというようなところを挙げていただいたところです。
 次、4ポツの今後の方向性への御意見というところです。まずは、基盤技術開発の推進というところで、国際競争力確保の観点から研究基盤エコシステムの形成は重要であり、研究ニーズの集約とエビデンスベースの機器開発、次世代人材育成、また、標準データフォーマットの普及促進が必要ではないかということとか、基盤技術開発に係るGAPファンドや機器メーカーとの組織的な連携の必要性を挙げていただきました。
 また、共用システムの発展・ネットワーク化の推進に関してですけれども、こちらについても、構築された仕組みを全国に広げるような全国的な連携ができるとよいという御意見とか、地域ネットワークを地域の研究力強化、イノベーション創出とか地域貢献、地方版のエコシステム形成につなげていけるとよいといった御意見とか、効率的・効果的に大学のコアファシリティ化・外部共用化を進めるために、まずは各大学が戦略的に強みを生かすフラッグシップ共用機器を設定して外部共用に取り組んではどうかというような具体的な御意見とか、人材リソースをオープン化させることや、地域の研究教育基盤の底上げに資する取組をやっていくことが必要ではないか。あるいは、ネットワーク化する上では、測定・分析手法と学術分野の両方から横串を刺していくべきではないか。あるいは、安定的な機器の整備を支援する仕組みが必要ではないかといったような様々の具体的な御意見をいただきました。
 あとは、次世代人材育成の推進ということで、機器メーカーと連携した共用設備拠点の整備と、そこを利用した産学連携での技術人材の育成を次世代人材の育成に向けてやっていくべきではないかという御意見をいただいているところです。
 次のページです。最後になりますが、アウトカム指標をどのように考えるかというところです。共用に関する定量的な指標は今のところ掲げられていないところではございますが、こういったところについては引き続き考えていく必要がある課題であると認識しておりまして、各機関どのようなことを考えていらっしゃるかというところを伺ったところです。
 まず、1つ目は、機器運用の効率化・高度化に関する指標というところで、共用化によって軽減されるコストとか、スペースの効率的な活用状況とか、共用化率、こういったところを指標として考えているというような御意見がございました。また、研究力強化に関する指標としては、これはこれまでにも結構言われているところであると思うんですけれども、研究成果創出とか、新たな異分野連携、産学連携の成果ということで、論文数とか、共同研究件数、外部資金獲得額、特許等についてを指標として考えていくというような御意見をいただいております。また、人材育成の観点からは、人材の育成・高度化の成果といったところで、学位授与数とか、地域への就職率、技術職員の上位職階への登用人数といったところを挙げていただきました。
 また、一方でというところなんですけれども、2つ目の研究力強化に関する指標の部分に関連するのですが、機器から創出された論文特許などの成果が考えられるけれども、まずは多大な労力・コストをかけずにひもづけできるシステム化とか、1つの成果を何倍にも過大評価する等の正確性に欠けるようなことがないよう工夫が必要だということで、現状ではこのような指標を設定することは時期尚早ではないかというような御意見も頂戴したところです。
 ヒアリングでいただいた御意見の概要としては以上となります。この後に参考資料として各機関の具体的意見、取組概要をつけておりますので、適宜御参照いただければと思います。事務局からの説明は以上となります。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。それでは続きまして、ヒアリング対象機関のうち幾つかの機関について、ヒアリングについての補足の説明をいただきたいと思います。北海道大学は私、それから、東京工業大学は江端委員、山口大学は上西委員、そして早稲田大学は天野様、丸山様にそれぞれ御説明いただく予定です。質疑応答につきましては、各機関の説明の後で最後に行いたいと思います。
 それではまず、北海道大学については、私から説明させていただきます。
 1枚めくっていただきますと、こちらは北海道大学からのコメントとなります。令和7年度以降の見通しについてですが、北大はこのコアファシリティ事業の一環として、設備共用を運営管理するGFC、グローバル・ファシリティ・センターと、全学の技術職員を統括する技術支援本部が協働するコアステーションという新たな企画運営組織を立ち上げまして、これを母体に活動を行ってきました。この組織には、分析・実験・工作系の技術職員だけではなく、フィールド系や医療系など広い分野の技術職員の方々が参画しています。これにより学内全体での技術支援体制の強化に向けたボトムアップの動きを促進してきました。
 それと同時に、北大の次のビジョンにこの取組の内容と目的をしっかりと位置づけてもらうために、担当理事と協力して取組を進めてきました。その結果、資料の最初にありますように、コアステーションの次のステージとして、総合技術支援本部、ITeCHという組織を来年4月に新設することが決定しました。現在、その組織の詳細を詰める作業を進めているところです。これが令和7年度に向けた発展的な見通しとなります。
 それから、継続課題、新たな課題についてですが、一番最初の記載内容については、設備共用の利用システムを改訂した際に、管理者側の分析機能などは充実させましたが、利用者目線での整備が不十分だったことが反省すべき点としてあげられます。
 その次に書いてあるのは、先ほどのお話にもありましたが、機器の更新のための費用やサポートスタッフの人件費についてです。これらは大学として何らかの事業費の獲得を狙う申請の際には、一応、優先的に考慮されるポイントになったのは大きな進展なのですが、通常予算の中に恒常的、安定的に確保されているかというと、まだそこまでは至っていないという現状があります。幸い幾つかの事業が採択されたため、引き続きそのような形で予算を獲得し、運営していくのがベースであるという雰囲気になってしまい、通常予算の中にまだ組み込むには至っておらず、今後の大きな課題と捉えています。
 また、人材、設備の両面で、下から2つ目ぐらいのところにありますが、やはり魅力的な研究基盤を大学が提供することで研究者や学生、さらには企業も引きつけることが期待できると思いますが、現状では十分にこれが達成されているとは言い難い状況にあります。
 あとは、国際協力です。競争力を強化するという点でも、エコシステムの整備と同時に、人材育成の改善も急務だと捉えています。技術支援の分野でも、博士レベルの人材を活用していくことが促進されるべきだと思っています。そのためには、よりよい技術職員の方の就労環境を提供することや人事体系の整備が必要だと考えており、それをこの新しく立ち上げる組織の中でしっかり制度設計をしていきたいなと思っています。
 その他にも色々ありますが、右側の最後のほうにある通り、今までは設備共用に力を入れて、焦点を当ててきましたが、これからは技術の共用という概念に進化させていきたいと考えています。これが次の重要な課題だと思っています。
 また、波及効果としては、繰り返しになりますが、組織の再編が実現したことと、その組織が重要な研究基盤を提供する形で申請した地域中核事業が採択に至ったことが挙げられます。
 さらに次のページに行っていただきまして、前回部会の今後の方向性の案についてですが、エコシステム形成については非常に意義を感じているということで、先ほどもお話に出ていましたが、技術開発のGAPファンドがあると良いと思っています。また、機器メーカーとの組織的な連携については、利益相反の問題を避けるために慎重な制度設計と透明性のある環境整備が必要であるという点を指摘させていただいております。
 最後の方に課題解決と全体の底上げについていろいろ書いていますが、強調すべき点としては、まず、コアファシリティ機関が中心となって地域の研究教育基盤の底上げを図ることの重要性を挙げることができると思っています。また、ネットワーク化、プラットフォーム化は、多角的に進めることで、資料にありますように、重合構造を形成することができます。それにより、共同利用や技術交流が促進されるものと期待しております。
 アウトカム指標はスタンダードなものを提示しておりますが、先ほどの話にもありましたように、これをいかに効率的に収集していくかが次の課題と思っております。
 北海道大学からは以上となります。
 続きまして、東京工業大学の御説明を江端委員からお願いしたいと思います。江端委員、よろしくお願いします。
【江端委員】  ありがとうございます。東京工業大学、江端です。
 20ページに参考として東京工業大学の取組というのが概要で1枚あると思います。そこの中で、5年後目指す姿ということで、星1、星2、星3と書いてあります。星1は共用化を推進するための目指すべき姿というところなんですけれども、星2と3は、人材関連のところ、特に技術者の高度化、そのためのネットワークをこのコアファシリティ構築支援プログラムでやっていこうということで、どちらかというと、物の話よりも人を中心にした事業ということで、そこが東京工業大学の特徴かなと思っております。そういった視点で今回事業を進めさせていただいて、意見ということで御説明をさせていただきたいと思います。
 すみません、12ページに戻っていただいて。冒頭の田邉さんから御説明いただいたところでしっかりとまとめられていますので、重複するところはなるべく簡易的にお話しさせていただいて、ポイントだけ御説明できればと思っております。
 左側の7年度以降の見通しという意味では、先ほど先に御説明させていただいた統合設備共用システムの構築ということで、こちらは他大学の皆様方が先行して進められている部分、そこに何とか追いつけ追い越せで新たなシステムを構築したと。そういった意味で、学外利用も非常に増えてきたという意味で、今後も新しく東京科学大学という形で新たなシステムを構築していくわけですけれども、その辺はこれまで以上にこのシステムを活用するということを考えています。
 2点目、TCカレッジの運営ということで、こちらの部会でも再三御紹介させていただいておりますけれども、当初の狙いどおり、このTCカレッジを通じて多くのTM、テクニカルマスターとテクニカルコンダクターの取得者が増えてきております。また、TCという称号を持った高度な技術者が、運営だけではなくて、共同研究等研究者の大きなプロジェクトに共同研究者のような形で入って研究力強化に資する取組を始めているということで、技術者の高度化の認定制度の確立と、さらに活躍を広げていくような皆さんの場の形成というようなところは、狙いどおりと書いてありますけれども、狙い以上の成果ということで我々は認識しております。また、今後、TCカレッジの仕事を通じて、先ほど網塚先生からも御紹介があったように、日本全国の多くの大学との連携も多くできておりまして、現時点で50名以上の受講生も入っていただいていますし、十数機関の方々に参加していただいているというような状況です。4年間で22機関100名以上の方々の高度な技術支援者のネットワークも構築できていると認識しております。
 継続的な課題と新たな課題というところで、こちらは2点ありまして、1点目が、設備・機器の更新ということを考えたときに、まだまだその維持管理にとどまっているのが現状というところで、新しい設備に更新していくような費用を捻出するところには至っていないというところは全国共通の課題かなと思っておりますし、この事業を進めていく上で改めて大きな壁として、課題として我々の前に立ち塞がっているような状況かなと思っております。そのときに、やはりファンディングの制度自体に課題があるかなというのは思っておりまして、大学の制度の問題もあるけれども、同時に、国から頂く予算の制度設計等のところもぜひ検討していただきたいというところで、少し課題として書かせていただいております。
 人材育成に関しましては、人事制度改革というのは、このコアファシリティ事業の中でも技術職員というところに焦点を当てて、人事課とか財務部とかを巻き込んでやってくださいというようなことはあったと思うんですけれども、なかなか制度改革に至るような事例は上がってきてないと思いますので、そういったところを先行的にやっている事業をしっかりと文科省の皆さん含めてバックアップしていただいて、多くの方に好事例を広めていただければと思っておりますが、なかなかそういった宣伝がまだできていないかなというところがあります。
 波及効果とかそういうものは今御説明させていただいたとおりのところなので、飛ばしていただいて、次のページをお願いします。
 それで今回、今後の方向性案に対する意見ということで、TCカレッジ自体が産学協働の人材育成システムというところで、それをオールジャパンでやっていきましょうというのを声がけとしてやらせていただいていますけれども、特にこういう人材育成の話というのは一大学だけでできるような話ではなくて、そもそも東京工業大学だけでやったら破綻していたと思うんですけれども、山口大学さん、岡山大学さん、長岡技科大さん、また、協力機関として自然科学研究機構の皆様にも御協力いただいて、全国規模の体制がある程度出来てきたかなと思っております。
 そこに今、島津製作所さんだったり、日本電子さんだったり、メーカーさんをはじめ産業界の皆様にも御協力いただいてこういった仕組みが出来ているということから考えますと、産業界との連携を、さらにこの設備を中心とした形、拠点化というものを模索すべきかなと考えております。これはまずきっかけとして、共同研究に至る以前に、共通の課題としての人材育成は誰にとってもメリットがある話だと思いますので、そういったところの拠点形成、そういう視点での拠点形成というのが必要ではないかということを意見として出させていただいております。
 最後に、アウトカム指標のところです。我々の事例でいきますと、TCカレッジでTM、TCの取得者というのは研究力強化に資する人材として我々は認定していくような形になっておりますので、そういう意味ではそういった方々の認定者数であったり、その技術者の方々がどういった外部資金に関わっているのかとか、研究者の取得したプロジェクトに関与しているというところのカウンタブルなところを見ていくというのは、新しい視点として、人という視点から、切り口から見ていくということは必要かなと思っております。
 最後になりますけれども、すみません、順序が逆になりますけれども、右側の上のほうにちょっと書いてあります、機器共用とかそこに関わっている人件費を含むようなコストカット額が書いてあるんですけれども、設備とセットで技術職員の方々を配置することによって、修理費であったり、それをアップグレードするようなところでお金がかかるところを、人によって多くの予算がかからずにうまく進めている部分があるかなと思っております。それでどれだけ無駄なコストを削減しているのかというのは、共有事業の一つの成果あるいは技術職員の方々が関わっていただいた大きな成果だと思いますので、ちょっと難しいとは思いますけれども、そういった視点も加えるのが必要ではないかということで提案させていただいております。
 こちらについては以上になります。ありがとうございます。
【網塚部会長】  ありがとうございます。江端委員からは、併せて、研究基盤協議会からの政策提言についてもこの場で御説明いただけたらと思いますが、よろしいでしょうか。
【江端委員】  分かりました。では、すみません、手短に紹介させていただきます。
 研究基盤協議会からの政策提言ということで、前回の2月の末に開催させていただきました研究基盤EXPO内で提言を1回させていただいて、パブリックコメントを通じて政策提言として確定させていただきましたので、そちらの御紹介ということで資料を提出させていただきました。時間も短いので、かいつまんで、新しいところだけ御説明させていただきます。
 全体のまとめとしましては、こちらの下線で書かれていますとおり、全国規模の研究基盤ネットワークにまとめて研究基盤マネジメントの質と量を統括するというところは今後必要になってくるかなと思っております。特に地域の中核大学がしっかりとハブとなって複数の大学・研究機関をつなぐような人的・組織的な拠点を形成するということと、真にオールジャパンで取り組む体制を実現する我が国独自の研究基盤・エコシステムプラットフォームの構築が求められているということで、ぜひそれを実現するための検討をしていきたいということです。
 この観点で、次のページから4つほど項目がありますので、簡単に説明させていただきます。1つ目がIR・共用システムということで、こちらはエビデンスに基づいた研究基盤マネジメントの確立、EBRIMと書かせていただいておりますが、こういった研究基盤IRというのは、先ほどの北大の御紹介もありましたけれども、非常に先進的に進めている大学もあれば、そういったデータがなかなかまとめられない、うまく活用できないというところがあります。ですので、これは一つの統一的な基準をしっかりつくっていく必要があるのではないかというところで、具体的な提案をさせていただいております。例えばですけれども、この研究基盤を実際に活用していくためのガバナンスであったり、2番目に書いてありますけれども、Impactと書いてありますが、論文や特許といった研究設備による生産性に係る2次的項目に係るデータの収集というところは絶対的に必要であって、これは直接的に共用が研究力強化に資する取組につながっているというふうに言うエビデンスを取るのは我々もチャレンジしましたけれども、なかなか難しいところです。したがって、これをどう関連づけるかというところが大きな課題になっておりますので、ぜひ国とも連携しながらそういったデータを活用して取っていきたいと考えています。
 次の次のページをお願いします。次に、人材の活用の観点です。これは今までもいろいろこちらの部会でも議論されていることなんですけれども、56ページの下のほう、統一的な資格認定制度の確立がやはりオールジャパンで進めていく上では必要かなと考えております。また、組織をマネジメントする専門人材として、管理職としての技術職員を育成するというところは早急にやらなければいけないというところです。
 ※2-3のところで、特定の技術職員の不足であったり、技術職員が行うべき業務を教員が担うということもありまして、各機関では技術職員の業務に大きな差異があるというところは改めて認識すべきところかと思います。技術職員の流動化とかそういったところもアイデアとしてはあるんですけれども、その妨げとなっている課題自体はしっかりと把握した上で、なぜキャリアアップを図れない、そういったキャリアパスを構築できないかというような要因分析も必要ではないかと言っています。次のページをお願いします。この流動性を確保するために、キャリアアップのための完全移籍であったり、期間を定めた在籍出向、あるいは地域ブロック内の人事交流等が考えられるかなということで提案をさせていただいております。
 次、お願いします。次はデータ分析というところで、これは研究環境指標が内閣府から出ております。この研究環境指標に基づいた研究力強化の政策立案を実現する仕組みとして、研究支援を担うような技術職員の高精度及び高粒度データの取得の必要性を提言させていただいております。例えば、研究者1人当たりの技術職員数を正しく見積もることが必要であるということと、次の2番になりますけれども、共用設備の活用度と関連技術職員の配置について相関調査を実施すべきと考えております。
 次、お願いします。あとは、地方地域の関係の話です。これは御紹介あったとおり、地方地域大学の実情に見合ったような研究基盤の整備・運用・共用に係る成果及び実績を正当に評価することが求められておりますので、そういった視点で※4-2のところに新たな視点の評価指標を提言させていただいております。61ページをお願いします。例えばですけれども、地方地域の産業界からの技術相談、依頼分析、収入の金額も一つ考えられると思いますし、地方自治体や周辺の高等機関とのコミットメントの状況も考えられるかなということで提案をさせていただいております。
 併せて、研究基盤協議会では、ラウンドテーブルといって各会員校との意見交換会、これはクローズドでやった意見交換会なんですけれども、そちらについてもまとめさせていただいたので簡単に紹介させていただきます。概要につきましては、ここに書いてありますとおりです。こちらに関しましては、主に各大学における経営的視点からの課題意識についてまとめております。対象としましては、団体正会員18機関のうちラウンドテーブルを希望された15機関、また、この15機関のうち10機関は学長もしくは研究担当理事が参加するような意見交換会であったというところでまとめております。
 最後の67ページになりますけれども、では、どういった意見が出てきたのかということで、これはクローズドな会なので、できるだけ生の声に近い形でまとめております。5つ観点としてありまして、こちらに書かれてあるとおりです。財政安定と資金調達、戦略的計画と組織運営、知の価値と人材育成のジレンマ、内外の連携強化と技術部門の統合、共用設備の効率化というようなところで、実際にこういうことをやらなければいけないということは経営者の皆さんとしても認識はされているんだけれども、やはり実際にそれを動かしていくときには非常に悩みながら、でも、実際に効果的な組織であったり、コアファシリティ化というもの、あるいは体制づくりというところで大きな悩みがあるというところで、そういった視点からも同じような課題が出ているというところをまとめさせていただきました。
 少し長くなりましたけれども、以上になります。ありがとうございます。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。それでは続きまして、山口大学について上西委員から御説明をお願いいたします。
【上西委員】  上西から山口大学について説明をさせていただきます。
 まず、令和7年度以降の見通しですけれども、まず、1ポツ目のところ、コアファシリティ構築支援プログラムに取り組んだことによって、共用機器の数、それから、利用件数、利用収入いずれも増加しております。また、人材育成に関しても成果が着実に上がっておりまして、共用とかコアファシリティ化の機運が全学にしっかりと浸透して、その成果も出て、研究者個人にとってもメリットがあるということが実感できてきているため、比較的順調に令和7年度以降もこの取組は継続できると思っております。
 具体的にはリサーチファシリティマネジメントセンターという機器共用の統括部局を学長直下に置いて、研究担当の理事の私がそこを所掌するということで、かなりトップダウン型で研究設備・機器の戦略的な導入・更新・共用する仕組みをつくってきたということです。共用機器を置いている各実験施設を取りまとめた総合科学実験センターと、それから、技術職員を全学化した総合技術部とも連携して、共同利用の環境の整備に取り組んできたということです。
 ただ、今後、最後の4ポツ目に書いているところは、この5年間トップダウン型で統括部局が共用化を進めてきましたけれども、実際の現場である共用機器を置いている総合科学実験センターとの間が必ずしも一体的に動けるかというと十分そういうわけでもなくて、トップダウン型でかなり強力に進めてきた分、現場との間の、溝とまでは言いませんけれども、そういうものも少し感じてきているところです。そこで、2つの組織を統合しようということで、今その準備をしております。これによってまたさらに運営・経営の効率化を進めて、本学のさらなる研究力向上に寄与できるのではないかと思っております。
 それから、2番目、課題です。当然ほかの大学もそうだと思いますけれども、共用機器がかなり老朽化しているので、どういうふうにそれを更新していくかというのは大きな課題になっています。概算要求とか自己財源、外部資金の間接経費で更新を進めていますけれども、それには限界があるし、利用料収入はメンテナンスをするので手いっぱいという感じですので、なかなか減価償却引当特定資産とかを使っても更新がなかなか追いつかないかなという感じです。一定期間でもいいので、毎年まとまった予算が確保できれば、計画的な機器整備の検討が行いやすいなというところです。
 それから、2番目は、利用者の方の満足度を最大化するということで様々な取組していますけれども、そのためにはかなり労力が必要で、そこの部分がまだ十分足りてないということです。利用者の満足度をもっと上げていくためには人材が必要で、技術職員だけではなくて、コーディネーター等、そういう人材の確保と育成が課題になっているということです。
 右上に新たな課題ということを書いていますけれども、山口大学は地域の国立大学ですので、「明日の山口大学ビジョン」でも地域イノベーションエコシステムの構築を一丁目一番地に置いております。そういう意味で地域イノベーションエコシステムの中でも研究基盤は非常に重要なものですので、県内、地域のほかの大学、それから、公設試、それから、地域の企業との間でネットワークを組んで、地域全体での研究力向上につなげていきたいということで、今、やまぐちファシリティネットワークをつくって、その強化に取り組んでいます。しかし、そこにも新たな、つなぐためのコーディネーター的な人材が必要だというところを感じているところです。
 あと、右下、波及効果のところです。共用機器の予約システムの一元化とか、導入・更新の仕組みを強化して、二重投資の防止ができたというのは非常に大きいと思っていますし、それから、各実績との紐づけ、そこもできるようになってきたということです。そこに労力をあまりかけたくないというような御意見もありましたけれども、我々の場合は、リサーチマップと、研究推進機構が持っているデータベース、共同研究をどれだけやったとか、受託研究をどれだけやったとか、特許をどれだけ出しているとかという情報と、それから、予約システム、それと機器の利用実績のシステムが全部つながっておりまして、教員はそれ一つ一つは入力する必要はなくて、それが一覧で出てくる表の中で研究機器とその成果のところを紐づけるためにクリックだけしてもらえば情報が得られるというシステムにしています。このことにより、教員にとっては最小限の労力でしっかりとした紐づけができるような仕組みが出来たかなと思っています。
 それから、技術職員の集約・全学化ですけれども、マイスタートラックとマネジメントトラックのダブルトラック制が順調に機能して、技術職員の方のモチベーションアップにも非常につながっていると思っています。
 それから、他大学との連携もしっかりと強化できたということで、大変よかったと思っていますし、あと、外部資金もここに書いていますように、受託研究は令和2年からで大体3億以上ぐらい増えていますし、科研も1億以上増えてきているので、いい循環が出来てきているかなと思っております。
 次のページをお願いいたします。次、今後の方向性ですけれども、現場の課題というのはまだまだあるので、それを解決することと、全体を底上げする仕組みですね。あと、ほかの地域と異分野のネットワークとの連携、それから、今我々が取り組んでいる地域ネットワークの活性化により、地域貢献、特に、地域の企業さんとの新たな出会いや、共同研究によってイノベーション創出につなげていきたいと思っています。
 それから、共用のアウトカム指標のところですけれども、特に地域内外での共用機器の利用件数、利用料金、それから、学生の地域への就職率と書いているのは、地域からかなり強くここは求められているからです。研究機器のインストラクター制度も設けて、学生さんが共用機器に携わって、それを通して民間の企業さん、地域の企業さんともつながっていっておりますので、その中から地域の企業に就職する学生さんを増やしていければというところで、そういう指標も挙げさせていただいております。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。それでは続きまして、早稲田大学につきまして、天野様、丸山様から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【早稲田大学(天野)】  それでは、先に天野のほうから令和7年度以降の見通しにつきまして御説明し、その後、丸山のほうから御報告させていただきます。
 今御提示いただきましたこの資料のとおり、左側にございますとおり、早稲田大学におきましても、全学的な組織として共用整備をする部会を設置いたしました。これで総長からの全学的な意向がきちんと確認できるという状況で、これまではやはり箇所ごとにそれぞれの箇所で独自に共用設備の動き・管理はあったんですが、これを全学的にきちんと管理する体制が出来たということで、このプログラムに参加してよかった点でございます。
 次にございますとおり、全学を統括した後にどういった仕組みで機器の導入・整備・管理をしていくかといったことですけれども、ここでは、現場を知る技術職員だけではなくて、研究の動向等も反映させるために、URAとの連携をするというような仕組みをつくりまして、こちらで戦略的な機器の導入の計画をするといった体制を取っております。もちろん設備そのものの利用につきましても、利用者の管理機能等を一元化した予約管理システムを整備したということでございます。
 一方、設備を使いますと、そこから出てくるデータを、今後は共有して、研究者同士で共用したいということで、オープンデータへとつなげたいという、こういった流れがございますけれども、オープンデータ化するときに重要な視点といたしましては、そのデータが独立、可用性があるということです。そのデータを見ただけで、メーカーによらずに、こういうデータであるということの中身が分かるというようなことが重要であるということが世界的に言われ始めておりますけれども、日本分析機器工業会様でもこういった動向に合わせてJIS化をされているという状況がございます。それで、早稲田大学といたしましても、この分野につきまして協力させていただきまして、設備の導入に当たっては、こういった標準化されたデータフォーマットへの対応をするといったことを前面に推し進めていきたいと考えております。
 それから、共用設備の利用状況、それから、成果とのひもづけが可視化できるようなといったことで、論文等にまずはきちんと記載していただいて、そこから可視化させていただくといったことを進めております。
 共用設備・機器の計画的な整備といったことも、一元化されたシステムの管理システムがございますので、これを基に、選定プロセス、それから、選定基準等を随時アップデートしながらこれを管理するといった体制が出来ております。
 それから、その下の外部機関とのコアファシリティに関するネットワークでございますけれども、特に私立大学様、東京農工大学様ほか、国立大学様以外にもいろいろなところと連携をさせていただいて、特に機器の相互利用あるいは技術職員の相互研さんといった場として、いろいろな機会を利用して、内部に閉じ籠もった状況ではなくて、いろいろなお知恵を拝借するといったことができて、これもよかったなと思っております。
 先ほどからありますとおり、管理をするための人材ですけれども、その人材に関しましては、早稲田大学は従来より、理工系のこういった技術職員とそのほかの一般の事務職員が厳密に分離するという形ではなくて、一緒になったいろいろなキャリアパスのプログラムを用意しているという状況がございます。このようなところを他大学様といろいろ意見交換させていただいて、この特異なところを他大学さんからは評価されていると伺っております。
 また、学生に対しまして、私立大学では特に非常に多くの学生がいるといったことが特徴でございまして、機器の利用状況におきましても、やはり学生の利用をまず第一ということで、外部の利用がなかなか制限されてしまうという状況がございますが、逆に学生さんをきちんと教育することで、そこから出てくるデータの信頼性も上がる、研究者としての第一歩としてもこれが非常にうまく寄与するといったことで、JAIMA様、日本分析機器工業会様とそういった研修のプログラムを制定して、今後はこれを横展開できるということを進めていきたいと考えております。
 それでは、ここ以降、丸山先生、お願いいたします。
【早稲田大学(丸山)】  ありがとうございます。丸山からは、今回の趣旨であります今後の方向性案に対する意見のところのみ、補足させていただきたいと思います。
 17ページの右下のところの波及効果ですけれども、早稲田大学の特徴的なところが、4ポツ目、他の私立大学さんとの議論が進んだというところです。唯一私立大学の中で選んでいただき、私立大学は産業界に直接的に人材を輩出していることで、学生第一で経営を進めているわけです。その学生に、これからの新しい時代においても活躍できるよう育ってもらうために、私立大学としてどのような共用機器を揃えるべきかという議論ができたことは非常によかったということです。
 それから、一番下にあります、JAIMA様との連携です。これからデジタル化社会になっていくわけですけれども、そこで大事とされる、複雑なシステムの中から適切なデータをどうやって計測分析して抽出するかという素養を、学生にしっかりと身につけてもらわなければいけません。その育成の仕組みをJAIMA様と一緒に考えることができました。こういう能力を身につけていれば、学生に対して認証してもいいだろう、もしくはそういう育成の仕組みを持っている大学かどうかもJAIMAとして検証してもらうことを特に進めました。
 次のページに進んでいただいて、上から5点、今後の方向性案に対する意見、もしも早稲田大学としてやらせていただくならば、こういった事業が考えられるということを述べさせていただきました。
 まず、エコシステムに関しては、やはり初めに機器がどうやって開発されるかという観点は大事です。研究用途であっても、機器メーカーはしっかりとニーズがあるものを製品化していくことになるので、新たな機器ニーズというものが、このコアファシリティ事業、もしくは全国的な機器ネットワークの中でしっかりと蓄積・集約される必要があると思います。この新たな機器ニーズに基づいたエビデンスベースでの先端機器開発が必要ということで、こういった事業があれば、早稲田大学としては協力させていただけるということです。
 2点目は、繰り返しになりますが、学生の育成、JAIMAさんと連携したような仕組みのところです。これからの時代にとってデータ取得が大事になってくるところ、機器分析を熟知した学生を認定する仕組みが、日本全体として必要だということです。
 3点目は、使えるデータを流通させるためには、各社それぞれの機器から取得されるデータが、標準データフォーマット形式に変換されることが必要だと思います。オープンサイエンスの観点、日本中でデータがしっかりと利活用されるためには、コアファシリティを整備する拠点群が、しっかりと標準フォーマット形式に対応することは大きいと思っています。
 右側の全体を底上げする仕組みに関して2点書いております。共用機器が外部利用者に対してしっかりと開放され、単に勝手に使っていいよというだけではなく、お客様に接するような、高度なユーザビリティーまでを備えた対応が必要と思っています。フラッグシップ機器を、研究に力を入れるような大学にしっかりと備えるとともに、そこには外部利用者に対するしっかりとしたアドバイスまでを約束する仕組みを備え、人件費もサポートいただけるといいなということで意見させていただきました。
 最後の5点目ですけれども、やはりこういった仕組みがエコシステムとして回っていくためには、あらゆる種類の民間企業等と、学生も含めた大学が、頻繁に意見交換できるような機会が大事だと思っています。一つの機関でもやれる部分、地域でこそやれる部分もありますし、全国的に交流できる機会をつくることも大事だと思いますので、ここに書かせていただきました。 以上になります。長くなってすみませんでした。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。それでは、冒頭の事務局からの御説明と、その後の各機関からの補足の御説明を踏まえまして、何か皆様から御質問などございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 私から一つ、細かいところではありますが、全体のまとめのところで、東工大さんでしたか、技術職員の方による外部資金の獲得につながったという波及効果についてのお話がありましたが、技術職員の方がどのような外部資金獲得をできたのかが気になりました。技術職員の方が研究費を獲得できる資格といいますか、そのようなことが認められているのかお伺いできますか。江端委員。
【江端委員】  ありがとうございます。それはすごい重要な論点なので、ありがとうございます。全国的に標準化されてはいないと思うんですけれども、東工大の場合は、博士を持っている方は研究者番号を持っているので、自分で科研費、例えば基盤Cとかに自分で自ら代表として申請できる仕組みがあります。一方で、我々TCとして推奨しているのは、自分が主体としてやっていってほしいという意味でやっているわけではなくて、大型の研究者がやっている研究のしっかりとしたサポートを求めていますので、今回TCとしてそういう成果が上がったというのは後者の話で、例えばですけれども、CRESTであったり、科研費の大きいものであったり、そういったところに共同研究者あるいは研究協力者というような形で名を連ねて、非常に重要なミッションを担ってしっかりとサポートしているというような実績が上がっているというところで紹介させていただきました。
 研究者番号を持つかどうかというところと、技術職員の方がどこまでそれにコミットするのがいいのかというのは本当に議論が必要なところで、本部会でもぜひ、と思いますけれども、少なくとも技術職員の方々の活躍の成果の見える化という観点からは、見える化の具体的な事例の一つとしていい事例なのかなとは思っております。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。状況がよく分かりました。これは各大学によっても議論が分かれるところですかね。前回の部会でも話題になりましたが、研究者と技術職員の間はシームレスにつながっているので、いろいろな職務形態があっていいとは思います。結構、大学によってははっきり線を引いてしまっているので、そこはきっとこれから考えていくべき点なのかなと思うところです。
 ほか、皆さんから何かございますでしょうか。よろしいですか。
 特にないようでしたら、1時間も過ぎたということで先に進ませていただきたいと思います。それでは続きまして、資料2に基づきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【田邉専門職】  事務局より御説明させていただきます。資料2につきましては、前回お示しさせていただきましたこちらの論点整理のたたき台につきまして、前回いただきました御意見を踏まえ、更新をさせていただきました。更新箇所につきましては、網かけをしているところになりますので、そちら、更新部分について御説明をさせていただければと思います。また、冒頭申し上げましたとおり、こちらの内容につきましては、先ほどの関係機関の皆様からの御意見等を踏まえ、御意見をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、こちらのページですけれども、こちらのページでは、「すべての研究者」の前に「若手研究者をはじめとした」という言葉を追記させていただいておりますけれども、こちらの趣旨は次のページで御説明させていただければと思います。
 現状のところは、冒頭、少し追記をさせていただきました。前回の部会の中で、ここでの取組の対象は最先端の機器なのか、先端機器なのかといったような御指摘もございましたけれども、現在のコアファシリティ化とかといった取組を進めてきた背景の部分を改めて追記させていただきました。現状の取組につきましては、こちらに書かせていただきましたとおり、まず1つ目は、国費により整備された先端研究設備・機器を最大限活用するということ。また、研究者が必ずしも必要な研究設備・機器にアクセスできていないという状況を改善するため、若手研究者など必ずしも潤沢な研究資金を持たない研究者からトップ研究者に至るまで、意欲ある研究者が十分に研究活動を行える環境を構築することが必要である。こういった認識の下に、全ての研究者がアクセスできる共用システムを構築し、持続的にイノベーションを創出していくということを目的として現在の取組を進めてきたというところでございます。
 次のページをお願いします。共用化の進捗状況につきましても、前回の部会の中で好事例、波及効果といったところに関する指摘がございましたかと思いますが、少し追記をさせていただきました。中間評価では、機関ごとに地域等のネットワーク形成とか、体系的な技術人材育成の仕組みの構築とか、研究基盤IRシステムの構築といった、それぞれの強みを発揮した特徴的な取組が構築されているということが確認されたかと承知しておりますので、こちらのところを書かせていただきましたこととともに、参考資料で後ろの35ページから46ページのところに具体的な内容をつけさせていただきましたので、そちらを併せて御覧いただければと思います。また、波及効果の部分につきましては、先ほどのヒアリングの概要の説明のところで御紹介したような内容を追記させていただいたところです。
 次のページをお願いします。また、課題の部分のところですが、まず、共用の場や共用ネットワークの機能としての課題の後半のところに追記をさせていただいております。前回の御議論の中で、エコシステムの形成といったようなものが必要ではないかというところを御提示させていただいておりましたけれども、エコシステムでの取組の具体的なイメージが分かるとよいのではないかといったような御意見あったかと思いますが、そういったことを踏まえ、少し一般論的にはございますけれども、追記をさせていただきました。
 下から2番目ですけれども、例えば機器メーカーと大学が連携し、大学に共同機器室を設置しているといったような事例がありますけれども、こういったような場が新たな研究ニーズに基づく基盤技術の開発とかその実証を行う場として発展するというようなこととか、また、一部の分野では、トップ研究者を中心に機器メーカーと連携してアカデミアと産業界の知とノウハウが融合した研究開発、人材育成、また、そこで生まれた最先端の技術を他分野に活用していくというような活動が行われていると言われておりますので、一部でこういった小さく行われているようなものをより広げていく、大きくしていくということが必要なのではないかという形で書かせていただきました。
 最後のところですけれども、こちらも前回の部会の中でかなり、データに関する多数の意見をいただいたかと思いますので、そちらを踏まえて追記させていただきました。多くの研究データが蓄積され得る場として、研究データ利活用に向けた仕組みを検討することも必要だと書かせていただいております。ただし、その際、それぞれの共用の場やネットワークにおいて、どういった目的でデータの共有化をするのかというところを明確化した上で、その目的に適した形でしっかりとデータを取得していただくということと、あと、先ほどのヒアリングの中でもお話がありましたけれども、標準化といったような動きもございますので、国内外のそういったデータの取扱いに係る動きに留意をしながらこういったことを進めていくべきではないかということで書かせていただきました。
 次のページ、こちらは追記がないので、もう1ページ行きます。共用現場の課題のところです。こちらも前回の御議論の中で、共用プラットフォームなどで育成された、いわゆる技術の専門人材という方もいらっしゃいますので、コンサル機能なんかにそういった方たちを活用していくといったことが考えられるのではないかという御意見を踏まえて少し追記させていただいたというところと、あと、産業界へのアプローチに関して、産業界の求める技術レベルの高い人材の維持・育成とか、あとは、産業界の方々が求める技術人材にアクセスできる仕組み、こういったものの構築、人にフォーカスした取組が必要ではないかという御意見をいただいたことを踏まえて、このように追記をさせていただいたところです。
 次のページをお願いします。目指すべき方向性のエコシステム形成のところにつきましてですが、こちらのところはデータ利活用のところのくだりで、当然ながら、データ利活用とセットで研究機器等のDX化も必要になろうかと思いますので、その旨をちょっと追記させていただきましたというところです。
 それから、イメージの絵の中、細かくて恐縮ですが、まず、「共用の場・ネットワーク」から上の「共用システム運用組織」のところの上向きの矢印のところ、グレーの網かけでさせていただいておりますけれども、前回お示しした資料の中では、運営資金として利用料金のみこちらに記載させていただいていたんですけれども、コンサル料や外部人材育成等による収入といったような多様な資金を考える必要があろうというような御意見をいただいたかと思いますので、このような形で修正させていただきました。あとは、「機器メーカー」から「共用の場」への矢印のところに、実証の場として活用するという観点とか、あるいは「共用の場・ネットワーク」の部分全体として、データインフラの整備・DX化が必要だろうというものも絵の中に入れさせていただきました。
 最後のページです。こちらは、まず最初のところは、冒頭のところで御説明したような趣旨で、研究者が所属する機関によらず必要な機器にアクセスして研究活動が行えるようという目的の部分を改めて記載させていただきました。このネットワーク化をしていく上で、全ての機関があらゆることをみんな同じように頑張らなければいけないというわけではなくて、やはり各機関の強みを生かし、相互補完的に共用化のノウハウ等を共有しながら共用システムのネットワーク化を図っていくということが必要であろうかというところがございましたので、その旨を追記させていただきました。
 修正点は以上となります。事務局の説明は以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、これまでの全ての説明を踏まえまして、議論に入りたいと思います。改めまして、本日御議論いただきたいこと、スライドの一番最初のほう、3ページにありましたけれども、関係機関のご意見等を踏まえて、新たに課題認識すべき点、また、機器共用推進に係る今後の目指すべき方向性に盛り込むべき内容について、特に不足している観点はあるかといった点について、御意見をいただきたいと思います。
 それでは、時間も限られておりますので、いつもどおり、お一人ずつ三、四分程度でいただけたらと思いますが、よろしいでしょうか。先ほど御報告いただきました各大学の委員の方々は、私も含めて、すでに御発言いただいたものとみなしまして、飛ばして進めさせていただきます。
 それでは、いつも最初で恐縮ですが、雨宮委員、よろしいでしょうか。
【雨宮委員】  承知しました。雨宮です。今日のお話を聞いていて、あるいは今までヒアリングとかをしてきてやっぱり感じたのは、本当に大学は、当たり前ですけれども、千差万別であって、いろいろ違いがあると。本当にそれぞれの大学でいろいろ取組をされていて、すばらしいことをされているんですけれども、一方でやっぱり今、課題として出てきたようなことをそれぞれの大学が全てを高いレベルで実現するというのは、それはなかなか難しいんだなというのを改めて感じたところです。
 例えば、機器を共用化するところはできるかなとは思いますけれども、それを維持管理して、場合によっては新しく更新してなんていうところになると結構大変になってくるわけですし、さらに人材育成、技術開発と、これもみんながみんなできるわけではないと思うんですね。そういったことを考えますと、やっぱりもうこれから先は、大学単位ではなく、先ほど事務局からも話がありましたけれども、もうちょっと広い範囲で大学間の連携というのを本当に重視していかなければいけない。連携なのか分業なのか分からないですけれども、そういったところをより重視したような事業をやっていけるといいんじゃないかなと感じました。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。ただいまの御意見につきまして、何かコメントなどございますでしょうか。よろしいですか。
 特にないようでしたら、続きまして、飯田委員、お願いしてもよろしいでしょうか。
【飯田委員】  飯田でございます。ありがとうございます。各大学様のお取組、委員の先生方の御意見等を伺いまして、また、今日事務局の方に御説明をいただきまして、次のフェーズに移ることに対して期待、希望があるとともに、雨宮委員が言われたとおり、やはり個々の大学ではなかなか難しいところがあるので、大学間の連携や、産学官、産産学などの多様なネットワークが、すごいスピードで動いているグローバルな競争に勝つためにも重要ではないかと改めて思ったところでございます。
 あと、私は分析・計測機器を作っている企業に属しているということで、最先端研究を含め研究に使われる設備・機器には分析・計測機器も多いことから、そのような企業の集まりである日本分析機器工業会の委員の方々の御意見等も伺い、これを含めて今まで発言、コメントさせていただいたところが、今日事務局にまとめていただいた資料にも反映していただいているなと思ったところです。
 今回、共用の在り方として、既に製品になっているものを効率よく使ってさらに研究を進めるということに加え、国、JST等が支援されて行われてきた最先端研究の成果を社会実装するため製品化する、その社会実装までの橋渡しの在り方として、最先端研究の成果である、発売前のプロトタイプを大学で共用として、最先端の研究に使っていくというところも、ぜひ日本発の研究成果が製品という形になって新たな成果を生んでいくという、エコシステムの推進として、企業も一緒に取り組ませていただきたいと考えています。
 データの標準化とか、研究機器のDX化など、この動きを支援するためのポイントにつきましても、今回の資料で指摘いただいておりますので、今後具体化するところを皆様と一緒に議論し、仕組みとして進めていきたいと思っております。
 以上です。ありがとうございます。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。ただいまの御意見につきまして、何か御質問、コメントなどございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは続きまして、伊藤委員、お願いしてよろしいでしょうか。
【伊藤委員】  伊藤でございます。皆様、御説明のほどありがとうございました。採択校様の御説明含めて、コアファシリティ構築プログラムの中での今後の課題も含めて現状をよく理解させていただくことができて、ここまでの議論を通じて、まとめのほうもかなり具体的になってきたんじゃないかなと思っています。
 私も前回、生成AIなどが発展していく中でデータ駆動型になっていくということで、データが重要じゃないかということを申し上げたと思うんですけれども、そういった辺りも反映していただけて、本当にありがたいなと企業の立場として思っている次第です。
 追加でちょっと申し上げるなら何かあるんだろうかということをずっと考えてたんですけれども、全体の底上げは、現在含めてそういったところはかなりできたという中で、今後、全体の底上げという意味での普及させていく部分と、さらにグローバルでどこをとがらせていくんだということも、先端研究設備といった観点では重要になってくるんじゃなかろうかなと。グローバルの中でのポジショニングといったところも一つ議論してもいいアイテムなのかなということも、どこもかしこもというわけには多分、限られたリソースの中での話だと思うので、どういったところを強みとしてさらにとがらせていくんだというようなところの議論というのが今後、共用機器の設備においてもあってもいいのかなということを感じた次第です。
 企業としても、なかなか一企業で持てるものというのは限界があるので、そういった形で日本全体として機器をとがらせていただいて、それを橋渡しという形で企業のほうにも門戸を開いていただけると本当にありがたいなと思っていますということで考えております。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。皆様から何か、御発言ございますでしょうか。よろしいですか。
【飯田委員】  よろしいでしょうか。
【網塚部会長】  お願いします。
【飯田委員】  ありがとうございます。伊藤委員、ありがとうございました。今言及いただきました、とがらせていくというところに関係しまして、少し御意見をお伺いしたいと思った次第です。と申しますのは、分析・計測機器の企業等で御意見等を伺った際、今まで国プロでされている成果で、とがらせて、具現化・社会実装をしていく、そのキーワード的なものとして、量子コンピューターや量子センシングという言葉が出て参りました。伊藤委員がご発言頂いた、とがらせていく部分というのは、例えばどういうところを想定、お考えになっているか、お伺いできたらと思います。
【伊藤委員】  ありがとうございます。量子コンとか量子技術というのは当然国の施策としてもやっているので、そこはそこで多分ハードもソフトはまだまだ技術途上、発展途上だと思っているので、研究としてはなされているというふうに私は認識しているんですけれども、こういった先端分析機器といったところも、仮に量子コンピューターのようなものが進化したとしても、データの最適化みたいなものが進化していったとしても、そこに入れる正しいデータをいかに先端分析として取っていくのかということもやっぱり今まで以上に重要になってくると思うんです。それがどこまで原子レベルのものが見られるのかといったところだったり、量子、いろいろなミュオンとか中性子とかあると思うんですけれども、そういったものもどこまで見られるようになってくるかというようなところも、多分コアファシリティの話とはちょっと違うかも分からないんですけれども、これから重要にますますなってくるんじゃなかろうかと思っているので、そういった観点も含めて申し上げました。お答えになっていれば幸いです。
【飯田委員】  どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
【伊藤委員】  こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【飯田委員】  ありがとうございました。網塚部会長、ありがとうございました。
【網塚部会長】  ありがとうございます。そうですね、とがらせていく部分のアイデアというのは、きっと大学等の研究者側から出てくる部分と、企業側からそういうニーズと言いますか、こういうアイデアがあるけれど、大学で先鋭化してもらえないかという要求が出てくることもあると思うので、双方でと言っていいように思います。そのような状況が生じた時にうまく機能する体制が用意されているといいのだろうと聞いていて思いました。
 ほかいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは続きまして、まだ岡田委員は入られてないようですので、岡部委員、お願いしてもよろしいでしょうか。
【岡部委員】  岡部です。御説明ありがとうございました。皆さんがすごいいろいろ取り組んでいるということは分かった上で、課題ということですので、課題として幾つか御説明させていただきたいと思っています。
 目指すべき方向性という観点でいうと、本当にこれが先端なのかというのが非常に私としては疑問があります。先端というのは、この国の産業競争力ないしは研究力をドライブするものでないといけないんだろうと思っていまして、やっぱりTop10%論文もしくは先端性の高い製品のR&Dに直結するものでない限り、先端とは言わないのではないかと思っています。その点からいうと、前回も指摘させていただきましたけれども、大学におけるサイズ感の差はあるけれど、特徴があまり感じられない。それと、やはり満遍なく全ての47都道府県に研究レベルを行き渡らせるというのが今の日本の国力で可能なのかというのは非常に思っていまして、やはり選択と集中というところをもう少しやらないと、そこをなしには先端性というのは確保されないのではないか。
 もう1点は、やはり今日の話は全て国内の議論でした。国際的な観点で議論がされているのかということですね。それをまとめていったときに、コアコンピタンスって一体何なんだろうと。あそこの大学なしには成立しない、日本の産業界が例えばあるA大学なしにはもう産業が止まってしまうというようなレベルまで先端をとがらせてほしい。もしくは例えばMITだとかスタンフォード大学だとかシカゴとかケンブリッジと戦えるのはB大学のみだというような研究力からバックキャストに施設が整備されるべきだとすると、それが47都道府県に全部行き渡るというのは本当に現実的なのかということを少し考えます。
 なので、今日、早稲田大学の方々がおっしゃっていたように、教育って非常に重要で、教育ということと最先端研究はやっぱりちょっと分離させないといけないところはあって、最低限学ばなければいけない教育と最先端の研究を一緒くたにしてしまうともうぐちゃぐちゃになっていってしまうので、今回のような取組をもしフェーズ1と考えて、47都道府県で最低限の教育はちゃんと担保しますよと。それは非常にすばらしいと思いますが、フェーズ2の最先端研究を全部にばらまくのは私は反対です。この辺りも考慮に入れたことが重要なのかなと思っています。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。ただいまの御発言につきまして、何か御質問、コメント等ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、上西先生は先ほど御発言いただきましたので、上村委員、お願いしてもよろしいでしょうか。
【上村委員】  ちょっと入りが遅くなりまして、申し訳ございません。途中から聞かせていただきましたけれども、ほぼ全部聞けましたので、意見を述べさせていただきたいと思います。
 私も非常に、先ほどの先生方がおっしゃったように、選択と集中というのは大事だと思っています。それで、日本が国力として海外とコンペティティブに戦えるデータ、そういうものをやっぱりデータベース化すべきだと思います。というのは、データベースだけの維持管理でも相当大変なんですね。JSTとかもやっておられますけれども、もう本当にPDBでさえ、非常に予算を取るのが毎年毎年手を替え品を替えやっていかないと取れないというところがございまして、全部のデータを取るというのは、費用対効果も含めまして維持管理まで考えますと、やっぱり難しい。
 その中で、大学だけでなく産業界も含めまして、やっぱりどういうデータがあったら世界に対して競争力があって、それでほかの各国も、日本のようなものを結局お手本として集めたいと思うような、そういうデータからデータベース化をきちんとしていくというのが必要だと思います。
 もちろん入力において、先ほどの人材育成でちゃんとしたデータを出すというのは非常に大事なんですけれども、あと、インプットのファイルをそろえて、しかも煩雑じゃなく、皆さんがちゃんと入れてくれるような質の高いデータをそろえるということはもちろん言うに及ばずなんですけれども、その後のデータベース化したときにいかに日本のプレゼンスを示せるようなデータからやらなければいけなくて、それには企業とアカデミックとの両方の話し合う場がやっぱり必要かなと思います。
 ですから、そういうところで一つ産学連携、本物の意味での産学連携を確立していき、それで、そこからやっぱりデータをきちんと整えていくというようなところが、次の具現化するところではやっぱり一番重要ではないかと思っております。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。皆様から何か御質問、コメントなどございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは続きまして、高橋委員、お願いいたします。
【高橋部会長代理】  高橋です。私からは、ちょっと細かいかもしれませんが、企業との連携についてです。今後の方向性のところで、基盤技術開発の推進に関して、機器メーカーとの組織的な連携があるとよいといったような話もあった一方で、北海道大学さんの御発表の中では、利益の相反上難しいというお話もありましたので、機器メーカーとの組織的な連携を今後ここを国として推進していくべきなのかどうか、もし推進していく場合はどんなところに気をつければ進められるのかみたいなところは方針として打ち出してもいいのかなと感じました。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。皆さんから何か御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは続きまして、鳴瀧委員、お願いいたします。
【鳴瀧委員】  鳴瀧です。ありがとうございます。本日の前半のほうで令和2年度採択大学様からのかなり具体的な意見を聞かせていただいて、それぞれ特色ある取組が行われていて効果が上がっているというのは非常に印象的に思いました。
 一方で、江端委員から報告のあったラウンドテーブル実施報告の課題を読ませていただいたときに少し驚きました。というのも、一見いろいろ成果が上がっているように見えつつも、ここで各大学様から挙げられている悩みで、具体的にどうしていいか分からないというようなことがかなり多数挙げられていて、なかなかやはり好事例の共有がまだまだできていないのかなという印象を感じました。なので、こうやってラウンドテーブルのように各大学が一堂に会して議論をするような機会があったときに、特に研究大学と地域中核大学というふうに2つの階層に例えば分けて、かなり具体的な事例について紹介するような機会を設けていくと効果的なんじゃないかなというような印象は持ちました。
 私が今日御報告いただいた中でも幾つかこの取組についてもうちょっと知りたいなと思った事項もありまして、例えば早稲田大学さんの取組で、URAをうまくこのシステムに取り上げている事例とか、あるいはやはり標準データフォーマットへの対応、そういったところで、例えばどういった機器について標準データフォーマットの対応を始めているのかとか、そういう情報も現場にとっては非常に参考になると思いますので、そういった共有化ということを今後もぜひ進めていただけたらなと思っております。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。大変貴重な御意見を皆様からいただいたと思います。
 岡田委員が30分ぐらいに入られるということだったのですが、まだいらっしゃらないですよね。あ、今いらっしゃいましたね。
 岡田委員、お忙しいところ、お越しいただきまして、ありがとうございます。
【岡田委員】  いえいえ、すみません、遅くなりました。
【網塚部会長】  今、コアファシリティ事業のヒアリングの報告と、それから、前回の部会でいただいた御意見を踏まえて課題等を改定していただいたんですけれども、それについて事務局から御説明いただいた後、皆さんに、さらに何か盛り込むべき内容があるか、不足している点はないかといったことを一言ずつ御意見をいただいたところです。入っていただいて早々大変恐縮ですけれども、岡田委員から、前回の部会で言い足りていないことなどがもしございましたら、お願いいたします。
【岡田委員】  ちょっと突然なのであまりコンテクストに合う回答になっているかどうか分からないんですけれども、機器共用推進の観点では、やっぱり機器を購入することにお金をつけるというのも非常に大事ですけれども、多分それ以上に大事なのは、人をどうやって評価してサポートしていくかという部分で、その辺りについて多分いろいろな施設ごとに工夫をされている点とか、成功事例とか、あるいはあまりうまくいってない例とか、そういうものをうまく吸い上げて、いい例についてはみんなでシェアできるような形にするというような、そういうところをうまくより強化していければいいんじゃないかと思っております。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。今おっしゃっていただいたところも非常に重要な観点で、これまでのお話の中ではあまり出てきていませんでしたので、大変助かります。
 関連して、最初の研究基盤協議会からの政策提言というところで江端委員がお話しされていましたが、今日は結構、企業と連携をしていくべきだというお話がありました。機器開発に割とフォーカスされていましたが、人材育成に関して企業と連携することは、双方が持つ課題として協働しやすいのではないかというようなお話があったと思います。
 それは非常にいい観点のように思います。機器開発となりますと、今日のお話にもありましたように、研究ニーズ、設備の改良・高度化に関するニーズ把握について出せるところと出せないところ、出せたとしても実際にどの企業さんと連携していくかデザインするのは結構大変なことと思います。一方、技術人材の育成は広く共通の課題であって、いろいろな企業さんと連携が図りやすいのではないかと思いました。
 皆様から全体を通じて何か御発言ございますでしょうか。最後のコメントのところでは、江端委員と上西委員を飛ばしましたので、もし補足で何か御発言ありましたらお願いいたします。
【江端委員】  では、よろしいでしょうか。江端です。
【網塚部会長】  お願いします。
【江端委員】  私、今日は2つの立場でお話をしたので、すみません、ちょっと分かりづらくて恐縮なんですけれども、先ほど網塚先生から御指摘いただいたのは東工大の立場でお話しさせていただいたところですね。私も、これも協議会の立場でもいろいろな大学の好事例とかを伺って、特に企業との連携の新しい形というのは御紹介いただいたり、というのはしているんですけれども、やっぱり好事例として公表できないような拠点形成とか、共同研究ベースでやっている非常に強力な連携の形というのはあるので、それがなかなか好事例として広がらない大きな理由として、守秘義務とか先ほどの利益相反の話とかが関わってきているのではないかなと想像しています。
 できる限りそういうものは公表するということで、幾つかの大学では、民間企業さんとの連携拠点をこういうふうにつくりましたというふうに大々的にやっているところもありますが、一方でもっとたくさんあるのに出てこない、見えないという形が、実は高橋委員も御指摘されたように、連携の話を推進しようとしているんだけれどもなかなか進まない大きなところかなと思っています。その辺の論点整理というか、これを推進したいんだけれども、どういう形で見える化するのかというのは、正直、私もすごく悩ましく、協議会の議論の中でもなかなかクリティカルな解決策を提示できないようなところだと思っています。
 話としては民間企業の話はそういう話で、もう1点、鳴瀧委員から御指摘いただいたラウンドテーブルのところなんですけれども、これはもう本当にあえて生の声として出させていただきました。具体的な好事例の共有ができていないというのは御指摘のとおりで、このときに、こんなの悩んでいるんですよといっぱい悩みをいただいたときに、実は何とか大学さんでこういう事例がありますよというところは、協議会として、いろいろ知っている理事の方とかと同席して議論しているので、その際に紹介をさせていただいています。
 そのときに、共用ガイドラインの中に参考事例として好事例がいっぱい書いてあって、いろいろな大学の事例があってそれを基に紹介をするんですが、あの一枚物の資料だけだと、やっぱり肝となるところとか、その好事例を、どういうふうにしたら、ほかの大学でもうまく機能させることができるかということは読み取れないので、結局、資料をまとめていても、皆さん読んでくださいねで終わって、なかなか読んでも、各大学に問い合わせないといけないとか、そういったところが二度手間、三度手間になってしまって、なかなか好事例が広がっていかないのかなというのが協議会の活動を通して実感しているところです。
 そういった意味で、実はこういう問題というのは皆さん認識していて、いろいろな大学で非常に進んでいるところはクリアしているんだけれども、という部分をいかにして共有するのかというのは、この共用政策とかここで議論している話だけではなくて、いろいろなところで起こっていると思いますが、好事例自体をもっと詳細に分析するような取組が実は必要で、それが一つクリアできれば、ファンディングの制度の改革であったり、この共用化の制度の改革につながっていく解決策になるんじゃないかなと思っております。そういった意味でこの好事例の取扱い、岡田委員からもありましたけれども、そういうところはもう少し突っ込んでこの論点整理の資料のところに記載できればいいかなと思っています。すみません、どう記載すればいいのかというのは今ノーアイデアですけれども、ちょっと考えたいと思っています。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。ほかに皆様から何か御発言ございますでしょうか。よろしいですか。
 特にないようでしたら、本日も様々な貴重な御意見、御議論をいただきました。この議題1につきましては、事務局にてまた、まとめていただきまして、次回の部会で御報告いただければと思います。
 それでは、本日の議事は以上になりますけれども、最後に何か御発言等ございましたら、いただければと思いますが、いかがでしょう。よろしいですか。
 それでは、事務局から連絡事項等ございましたら、お願いいたします。
【田邉専門職】  ありがとうございます。本日も大変貴重な御意見を様々いただきまして、ありがとうございました。部会長からも御発言いただきましたとおり、今回いただきました御意見を踏まえまして、また資料をブラッシュアップさせていただき、次回お諮りさせていただければと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 次回の研究開発基盤部会の日程につきましては、6月21日金曜日を予定しております。日程が近くなりましたら、また正式に開催案内を送付させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、本部会の議事録は、部会の運営規則に基づきまして、資料と共に公表することとなっておりますので、また、議事録を後日メールにてお送りさせていただきますので、御確認いただければと思います。
 以上です。
【網塚部会長】  ありがとうございます。それでは、引き続き、皆様、次回もよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして第24回研究開発基盤部会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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科学技術・学術政策局 研究環境課

(科学技術・学術政策局 研究環境課)