研究開発基盤部会(第23回)議事録

1.日時

令和6年4月11日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 先端研究設備・機器の共用推進について
  2. その他

4.出席者

委員

網塚部会長、高橋部会長代理、雨宮委員、飯田委員、伊藤委員、江端委員、岡田委員、岡部委員、上西委員、上村委員、田中委員、鳴瀧委員、宮下委員

文部科学省

(事務局)科学技術・学術政策局 研究環境課 課長 稲田剛毅、専門職 田邉彩乃

5.議事録

【網塚部会長】  皆さん、お疲れさまです。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、第23回科学技術・学術審議会研究開発基盤部会を開催いたします。
 まず、事務局から本日の出欠と資料の確認などをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【田邉専門職】  ありがとうございます。研究環境課の田邉でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、13名の委員全員に御出席いただく予定となっておりますが、現在、高橋委員が少し遅れているところです。また、事務局からは研究環境課長の稲田が参加しておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、議事次第、資料1から2をPDFにて委員の皆様にお届けしております。説明の際にはZoomの画面上に投影するようにいたしますが、見えにくい場合は適宜、お手元の資料を御覧いただければと思います。
 また、オンライン会議の留意事項についてお知らせさせていただきます。御発言されるとき以外はマイクをミュートでお願いいたします。御発言される際は「手を挙げる」をクリックしていただき、部会長の指名をお待ちください。指名があり次第、ミュート解除にて御発言ください。また、御発言の際にはお名前を言ってから御発言いただくようお願いいたします。会議中、音声の不具合などトラブルが発生した場合は事前にお知らせしております事務局の電話番号までお電話いただければと思います。
 以上となります。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。まず議題の1、「先端研究設備・機器の共用推進」についてであります。資料1に基づきまして、まず事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【田邉専門職】  御説明させていただきます。まずは1つ目ということで、令和5年度先端研究基盤共用促進事業のシンポジウムの実施報告をさせていただきます。4ページになりますけれども、令和6年1月23日にオンライン会議の形で開催させていただきました。右のほうにプログラム、小さいですが載せておりますとおり、網塚主査をはじめ、上西委員、江端委員、上村委員、伊藤委員にも御参加いただきまして、また、コアファシリティ、プラットフォーム各プログラムの実施機関の方々にも御参加いただく形で開催させていただきました。3つのテーマ、イノベーション創出と国際連携、オールジャパンでの研究基盤エコシステム構築に向けた横断的連携、産学連携、こちらのテーマについて先導事例の紹介を交えつつ御議論をいただいたというところです。
 また、こちらにつきましては研究基盤協議会主催の研究基盤EXPO2024という1週間のイベントの中での開催という形で実施させていただきました。エキスポ全体につきましては左下のほうにホームページのアドレスを載せておりますので、こちらを御参照いただければと思います。また、こちらにエキスポ全体についての報告書が近日中に公開予定と聞いておりますので、併せて御覧いただければと考えております。
 次のページ、5ページ目ですけれども、討論会で頂きました主な意見について少しかいつまんで御紹介させていただきます。赤字にしておりますけれども、例えばイノベーション創出に向けて必要なこととしては、オープンファシリティが技術を繋げるコアとなることが必要であるとか、あとは人と人とを研究・技術面から結びつけることができる優秀な人材が必要ではないかであるとか、国際連携に向けて必要なこととしては、例えば国際的に人脈のあるコーディネーターの育成であるとか、プロフェッショナルな人材の配置などが重要ではないかといったような御意見をいただきました。
 次の6ページになりますけれども、人材育成や成果の見える化、データ蓄積なども含め、全国連携にどう取り組むべきかというところにつきましては、例えば各地域で仕組みを作り、そこで確立したシステムを段階的に統合していくといったやり方がよいのではないかであるとか、地域ならではの特色ある分野で全国から使ってもらえるようにしていくということがよいのではないかというような御意見をいただいているところです。
 駆け足になりますが、7ページ目です。こちら、主にプラットフォームの参画機関の皆様方からいただいた御意見になるのですけれども、人材育成につきましては、例えば若手に入ってきてもらうということを考えていかなければならない。シームレスな育成が必要ではないかであるとか、装置を作る人材がいないということで、人材の層を厚くしていく必要があるのではないか。また、設備(技術)の高度化ということに関しては、開発の段階からユーザーのフィードバックをかけながら進めていくことが必要ではないか。また、ユーザビリティの観点での高度化などが課題ではないかといったような御意見を頂戴いたしました。
 また、国際プレゼンスについてという観点では、サイエンスを広げられる機器を開発し、共用されることで国全体の研究力の向上につながればよいでありますとか、あとは産業界に向けたリードも必要と感じるが、そのためには、そこに時間を割ける人材が必要ではないか。また、国際的にフラッグシップとなる装置を開発していくことなども重要ではないかといったような御意見を頂戴いたしました。
 次の8ページをお願いします。また、こちらのシンポジウムですけれども、参加者といたしましては、合計361人の方々に御参加いただきました。終了後にアンケートを実施しておりまして、約50%、半数以上の方に御回答いただいたのですけれども、その結果として御参加いただいた方の約70%程度が国立大学の御所属の方で、主な職種としては45%程度の方々が技術職の方々で、そのほか20%前後で事務職の方、教員の方々に御参加いただいたという形になっております。
 次の9ページ目をお願いします。また、アンケートの中で共用化の進捗の認識ですとか、共用化の阻害要因についてお尋ねしたのですけれども、こちらの結果として70%以上の方々からは、共用化の進捗は進んでいると認識しているという回答をいただいたところです。また、共用化の阻害要因に関しては、特に共用化が進んでいないと回答された方々については、特に経営者層の意識改革が不十分であるとか、体制・システム整備に係る財源が不足しているというところを主な理由として挙げる方が目立ったという結果が得られたところです。
 続きまして10ページ目です。また、共用化と併せて必要な取組についてもアンケートをさせていただいたのですけれども、いろいろな項目について大体30%程度の方々が選択していただいたというところではあるのですけれども、特に特徴的なところとして、技術専門人材の育成強化・活躍促進、を回答された方が70%以上を占めておりまして、依然としてこの点は共用現場における大きな課題になっているということが見て取れる結果が得られたところです。
 御報告としては以上となります。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明を踏まえまして、何か御質問、あるいはコメントなどございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。
 飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】  ありがとうございます。飯田でございます。シンポジウムの御報告、ありがとうございました。8ページにあります参加者の概要で、特に技術職の参加者が多かった。これはこのシンポジウムの意図するところといいますか、ターゲット層といいますか、整合性といいますか、どんな形でございましょうか。
【田邉専門職】  我々の認識といたしましては、まずは、この研究基盤EXPO自体がかなり技術職員の方々にフォーカスを当てた形のイベントになっているかなと思っておりまして、あとは、さらにこの研究基盤共用促進事業に携わっている方々の多く、実務者の方々の多くはやはりこの技術職の方々にもなってくるかなと考えておりますので、出席者の割合としては想定していたような形かなと思っております。
【網塚部会長】  稲田課長。
【稲田課長】  少し補足いたしますと、今回のシンポジウムは特に技術職員の処遇とかキャリアパスに焦点を当てた催し物がたくさんございました。その観点から参加者が多かったということは開催意図に沿ったものと理解しております。
 以上です。
【網塚部会長】  ありがとうございます。だからこそ、教員にももっと参加してもらえると、本当はよかったのかなとも思いますけれどもね。ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。後でもまた何かお気づきの点がございましたら、御発言いただけたらと思います。
 それでは、次に資料2について事務局より御説明をお願いいたします。
【田邉専門職】  続きまして、先端研究基盤整備・機器の共用推進に係る論点整理について(案)というところで御説明させていただきます。
 12ページをお願いします。研究基盤部会の主な審議事項である先端研究設備・機器の共用ということにつきましては、御存じのとおり、これまでに共用促進事業の実施ですとか、ガイドラインの策定により推進を図ってきたところでございますが、特に共用促進事業につきましては、本部会において昨年末までに全採択機関についての中間評価を実施いただきまして、また、令和6年度にはコアファシリティプログラムのうち、第1期校につきましては事業期間が終了するといったような状況になっております。このような状況を踏まえまして中間評価の結果ですとか、あとはガイドラインのフォローアップ等々の各種調査などから見えてきた現状と課題を整理し、今後の共用推進の方向性について総合的に御議論をいただきたいと事務局としては考えております。
 つきましては、本日、資料として議論のたたき台として次ページ以降に中間評価ですとか、各種調査の結果、また、本部会や先ほど御紹介したシンポジウム等でいただいた御意見などを基に基本認識、現状と課題、また、それを踏まえた、考えられる今後の方向性などの案を事務局として整理させていただきましたので、これらをベースに今後御議論をいただければと考えているところです。また、本日を含めまして今後の進め方としては、こちらの資料に記載させていただいているとおり、まず本日は、これらの全体についての御意見を頂戴できればと考えております。
 また、次回、5月ですけれども、関係機関の意見聴取なども踏まえつつ、議論を深めていただき、6月頃に一度中間まとめができればと考えております。また、事務局といたしましては、それを踏まえて令和7年度の概算要求に反映させていければと考えております。それ以降につきましては、また次期の科学技術・イノベーション基本計画などの検討も必要になってくるというような状況でございますので、そちらに向けて継続して御議論をいただければと考えております。
 続けて資料の内容を次のページから説明させていただきます。論点整理のたたき台といたしまして、まず基本認識についてですが、こちらについては御承知のとおりではございますけれども、研究設備・機器は、あらゆる科学技術・イノベーション活動の原動力となる重要なインフラであり、全ての研究者が必要な機器にアクセスでき、多様な研究開発が行われることによりイノベーションを創出し、継続的に国際競争力を確保していくことが求められると認識しておりますけれども、この上で持続的な先端研究設備・機器の整備の利活用とこれらの基盤技術の高度化は必要不可欠と承知しております。
 これまでの共用の観点では、この機器の整備・利活用、そこからの成果創出という部分に特にフォーカスして施策を進めてきたというところですが、基本に立ち返りますと、この先端研究設備・機器の整備、また、その利用による研究成果と新たな研究ニーズの創出、そこから研究ニーズに基づく基盤技術の高度化・開発のサイクルが生まれ、研究開発とそれに必要な機器の開発というものが両輪として進んでいくことが重要ではないかということを改めて書かせていただいたところでございます。
 次の14ページをお願いします。また、現状につきましては、近年の取組としては、こちら、御承知の内容となりますので割愛させていただきますけれども、特に例えば第6期の基本計画のところでは、この枠囲みの中に書いてあるとおりですけれども、国が研究設備・機器の共用化のためのガイドライン等を策定することであるとか、汎用性があり一定規模以上の研究設備・機器については原則共用とすること。また、大学等が組織内外への共用方針を策定し、公表すること。研究機関は各研究費の申請に際し、組織全体の最適なマネジメントの観点から、非効率な研究設備・機器の整備が行われていないか精査をすること。また、これらによりコアファシリティ化を確立していくということ。それから、国内有数の研究施設・設備については、施設・設備間の連携を促進し、利用ニーズや問合わせにワンストップで対応する体制を構築し、それを25年度までに完了する。さらに共用施設・設備についてリモート化・スマート化を含めた計画的整備を行うというようなことが求められているところです。
 文部科学省における具体的な取組といたしましては、御承知のとおり、コアファシリティ事業、プラットフォームの事業、また、ガイドラインの策定などを行ってきたところでございます。
 次の15ページをお願いします。共用化の進捗状況といたしましては、中間評価いただいた内容を踏まえますと、事業の採択機関を中心に共用の仕組みの構築自体は進んでおり、共用の機器数であるとか、利用件数、利用料収入というものは全体として着実に増加してきていると言えるのではないか。また、中間評価のほうでは、各機関の特色や戦略により多様な許容システムが構築され、取組に広がりが見られるという状況が確認されたかと考えております。また、国立大学においては、基本計画ですとかガイドラインを踏まえ、多くの大学において経営戦略に研究設備・機器の共用の推進を位置づけているということが調査の結果から分かっているということと、あと令和5年度末までに共用方針を策定・公表する予定である、戦略的設備・運用計画を策定予定であるとしている大学の数がとても多い状況にはなっているというところです。
 続きまして16ページをお願いいたします。課題のところですけれども、まず、共用ネットワークの機能としての課題といった観点では、コアファシリティ化やプラットフォーム化といった共用化の仕組みについては構築されつつあるという一方で、機器を共用するとともに産学の多様な人材とそれらの人材の持つ知の交流であるとか、データ利活用などによるイノベーション創出、あるいは次世代を担うイノベーション人材の育成について戦略的に共用の場やネットワークを構築して運用していくという取組については、少し弱いと言えるのではないかということ。また、特に新たな研究ニーズに基づいて計測・分析技術等の基盤技術を開発し、多様な研究に活用しながら汎用化していく環境や人材、仕組みといったものが十分ではなく、先端研究設備・機器の開発、導入が遅れ、多くの分野の研究競争において不利となる構造的な問題が生じており、共用の場やネットワークを通じたこのような問題への対応というのが課題と考えられるのではないかという形で整理させていただきました。
 また、続きまして17ページですが、各機関における共用システム構築の課題といたしましては、コアファシリティ化については、繰り返しになりますけれども、共用事業の採択機関を中心に先進的な取組は大きく進んでいる機関が存在する一方で、経営層の意識改革の遅れであるとか、ノウハウや人材・財源の不足等により取組が進んでいないという機関も見られ、格差が広がっているのではないか。このため、全体を底上げする仕組みが必要ではないか。また、全体として共用機器の数は増加しておりますけれども、その中で例えば1年間で一度も利用されていない機器も一定数存在するですとか、競争的研究費により購入された機器の共用化の推進、また、老朽化の対策であるとか、新しい機器を導入していくということについては依然として課題が見られる状況ではないか。
 また、3点目のところですけれども、こちら、NISTEPの調査の結果になりますけれども、研究者による評価といたしましては、大学組織内での共用の仕組みの整備については、おおむね十分であるという一方で、その利用のしやすさについては、十分ではないという結果が出ているところです。また、企業による評価としては、利用のしやすさについて不十分との強い認識という結果が出ているところでございます。
 各機関やコミュニティにおいて、どのような機器やどのようなユーザーを対象として、どのように共用化していくべきか、蓄積された事例等を踏まえた検討を行うとともに、研究力強化やイノベーション創出への効果などを長期的に評価しながら、全体最適化に向けた方策が必要ではないかというふうにこちらのところでは整理させていただいているところです。
 続きまして18ページですが、共用現場の課題といたしましては、各機関、様々に取組の進捗・発展の状況がございますけれども、インセンティブ設計であるとか、共用機器の運用人材、技術職員等の確保と育成、また、評価、あとは機器利用情報と成果のひもづけであるとか利便性の向上、産業界へのアプローチ、また、資金計画といったようなところが共通の継続課題となっていると考えているところでございます。
 続きまして19ページをお願いします。これらを踏まえまして目指すべき方向性の案として2点整理させていただきました。1点目がエコシステムの形成というところで、持続的なイノベーション創出と国際競争力確保に向けて、現在、構築されつつある共用の場やネットワークを発展させまして、基本認識のところでお示ししましたようなサイクルと、その活動に必要不可欠な人材の育成、これらが循環するエコシステムを形成していくということが必要なのではないか、また、特に機器メーカーと組織的に連携し、データ利活用であるとか、次世代人材に係る教育の観点なども含め、中長期的に取り組んでいくことが必要ではないかということで1点目、整理させていただきました。
 また、2点目ですが、次のページ、現場の課題の解決と全体を底上げする仕組みの構築ということで、我が国全体で研究設備・機器の効率的・効果的な整備・活用、利便性の向上を図るため、地域・分野等の枠組みで連携し、共用化のノウハウ等を共有しながら、各機関の共用システムのネットワークを戦略的に構築していくということが必要ではないか。併せて各ネットワークがばらばらに取組を行っていくのではなくて、全体に横串を刺し、全体を見える化するとともに取組の効果についての評価等も行いつつ、全体最適化を図っていくということが必要ではないかという形で2点目を整理させていただいております。
 次ページ以降は、これまで御説明した内容の参考データを入れておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。課題の整理、それから、方向性のたたき台、論点整理を行っていただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、これまでの御説明を踏まえて議論に入りたいと思うのですけれども、本日は、どこか焦点を絞ってというよりは、ブレスト的に今御紹介いただいた課題のどこからでもいいのですけれども、特に気になる点、今後こうしていくべきではないかというような方向性について御自由に発言していただきたいと思っております。時間はたっぷりあります。とは言うものの、やはり最初は、一巡目としてお1人ずつ順番に今の課題に関する印象とか気になっている点を御発言いただければよろしいかなと思います。短めで結構ですのでお願いしたいと思いますが、御準備、よろしいでしょうか。
 名簿順で、いつもすみませんが、雨宮先生からお願いしてもよろしいでしょうか。
【雨宮委員】  ありがとうございます。雨宮です。1人目、かつ一巡目ということで、まずは1点だけ、一番気になったところからお話ししますけれども、16ページに書かれている課題のところで、2つ目のほうです。「特に、現在の我が国の研究開発現場では、新たな研究ニーズに基づき計測・分析技術等の基盤技術を開発し、多様な研究に活用しながら汎用化していく環境や人材、仕組みが」というところ、ここなのですけれども、本当にこの部分って将来に向けてとても大切なことだと思うんですよね。
 我々、物構研は量子ビームという限られた分野について、まさにこれをミッションとしているのだと思うのですけれども、今、話題にしている、いわゆる共用機器というんですか、放射光みたいな大きなものではなくて、もう少しコンパクトなところに対しても、これってとても重要なことだと思うのです。何かごく一部に限られてはいるものの、多分、うまくいっているところもあると思うんですよね。そういったものが、何かモデルケースとして見えてくると、何かこの後どうやっていったらいいかのヒントになったりしないかなと、そんなことを思いました。私からは、まずはそれを言いたいと思います。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 順番に、とはいうものの、只今いただいた御意見に関連することで、もし御発言があれば御自由にしていただいて結構です。よろしいですかね。特にないようでしたら、続きまして飯田委員、お願いしてもよろしいですか。
【飯田委員】  ありがとうございます。飯田でございます。今、雨宮先生のおっしゃった辺りは非常に機器メーカー、それから、分析工業会のJAIMAという、そういう集まりがございますけれども、そういう辺りからも問題意識として持っているところではあるのですけれども、それを除いて、あと17ページのところに少し関係があるのですが、17ページで「全体として共用機器の数は増加しているが、1年間で一度も利用されていない機器が一定数存在するほか」とか、あとその次、特に「競争的研究費により購入された機器の共用化の推進」ということで、多分、大学様によって状況は違うと思うのですけれども、競争的研究費によって購入された機器の中には最先端のものとかも多いのではないかと推察していまして、そういうものが実際、国プロが終わった後、共用という形になるのかなと思うのですけれども、どのようにうまく共用化されて、また、そういう装置・機器とか、維持していく費用というのを、こういう事業が終わった後もどう継続的に利益として、収入としているのか、その辺りのうまい仕組みがこのディスカッションの中からできていくといいなと。今回の中間評価でも積極的に取り組まれている大学様の例もありましたので、そんなところを非常に感じているところです。
 以上です。
【網塚部会長】  ありがとうございました。
 そうですね。ここはさらっと1行で書かれていますけれども、いろいろな理由があるのでしょうね。研究者が競争的資金で設備を入れたけれども、その後、それを共用化して提供するためには、とてもマンパワーが足りないということもあると思いますし、その組織が受け皿として、その設備の共用化を担う技術職員なり、共用システムをきちんと提供してサポートするようになっていないとか、いろいろあるのだと思います。予算面で、人的資源も含めて、不足しているということがそこにはあると思うのですよね。科研費の応募要領に原則共用化せよというふうに書かれてはいるものの、実際、それをやるのは大変だよというところなのだろうなと思います。ありがとうございます。
 何か関連する御意見ございますでしょうか。よろしいですか。それでは、伊藤委員、お願いしてよろしいでしょうか。
【伊藤委員】  伊藤でございます。私からは19ページの目指すべき方向性のところで、このエコシステム非常に重要だと思っていて、産学官の連携の中で、これをいかに強くしていくのかということと、これを国際的な連携としてどういくのかということがポイントだと思っています。もう1点、これからの社会はデータの利活用をいかにしていくのかということ、つまりデータをセキュアに保った状態で、どうやってデータを渡して、それを利活用していくのかということも、日本の国際競争力という点で重要になってくると思うところなので、このエコシステムのイメージの中に、データの利活用的なつながりをもう少し表現してもいいのでは?と感じました。よろしくお願いいたします。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 何か御質問、御意見などございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、江端委員、お願いします。
【江端委員】  ありがとうございます。江端です。先ほどのシンポジウムのまとめの中でも、いろいろな課題が出てきたという話もありましたが、そこからつながってくる話として、私からは18ページと19ページについてコメントさせていただければと思います。
 まず18ページの課題ですが、これは非常に重要で、しっかり整理をしなければならないと思っております。課題の2つ目、共用機器の運用人材、機器共用に関わる職員ですが、これは技術職員の方々がしっかりとサポートをしてやるべきことというのと、プラットフォーム事業等で言われていた研究者の育成も課題としてあげられていたと思っております。この先端研究基盤共用促進事業を長年実施していただいておりますが、そこで雇用された方々は、特任の教員やポスドクだったという方々が結構いらっしゃいました。その方々のキャリアパスは、あまりはっきりしないまま事業が終わってきたというところもあり、その方々がまさに今この時代に必要とされる研究環境を整えるための専門人材になり得るのではないかと思っております。例えば博士を持っている技術職員の方や、今我々で取り組んでいるTCカレッジのようなTC(テクニカルコンダクター)という高度技術人財の方々が担う部分と、研究者目線でこのような環境整備や、この環境の中で研究を進めている方々が活躍する場をしっかりと整えるというところが大きな課題としてあると思うので、ここを一緒くたに考えてしまうといけないのではないかと思っております。
 そういった方々が関わる事業として、5つ目のコンサルテーションというのがありますが、これ自体がまさに先進的に活動してきた機関、あるいは専門人財が底上げのために、活躍するための仕事として、明確に事業を推進できる体制が構築できればいいと思っています。これ自体はコンサルなので、利用料と同じような話になるとは思いますが、一方で、底上げという意味であまり進んでいない機関からお金を取るというような形になると財源が無いので、結局、コンサルもうまく機能しないということもあり、やはり国として何らかのサポートが必要だと思っております。
 次の19ページについては、そういった人材が活躍するという意味でも、ここに書かれてるように、エコシステムという形で産業界との連携・協働で人材育成を行う、あるいは研究開発を行っていくという場を、この設備共用の場を活用して作り上げていくということが、ますます必要になってくると思っており、そこのところにしっかりと集中して、国として支援をいただければブレークスルーが生まれてくるのではないかなと思っております。
 以上のことから、我が国の研究力強化に資する取組と考えると、研究と技術支援という部分がもっと近いところで一体となって事業として進められるようなものができれば、このエコシステムというのが本当にリアルに作り上げることができるような流れができると思っております。18ページ、19ページの点、コメントさせていただきました。長くなり申し訳ございませんでした。以上になります。
【網塚部会長】  いえいえ、どうもありがとうございました。
 何か御質問、関連する御意見などございますでしょうか。産業界がうまく入ってくるような形の共用、要するに共用の場であることによって産業界が入ってきやすくなるようなことというのは、例えばどういうことを想定されますかね。言いたいことは、研究者個々人では企業との、共同研究とか、共同開発とかされているんですよね。そういったものと比べて、共用の場がさらにそれを強化する、あるいはよりその機能を高める場となる要素というのは、どの辺りにあるでしょうか。
【江端委員】  ありがとうございます。あくまでも私見ということでお話しさせていただきますが、人材が育成される場というのは、物としての設備等がしっかりと集まっている場でなければならないと私は思っています。そういった意味で、幾つかのメーカーが、ある大学の拠点に装置を集約して導入していただき、技術職員が運用するようなモデルが必要ではないかと思います。例えば東工大では島津製作所さんと精密機器分析室を立ち上げていますが、これは大学とメーカーとの共同出資で装置を整備し、大学の技術職員がしっかりと運営し、研究者がそこで共同研究をさらに発展させている場として、1つのモデルケースとして考えられるのではないかと思っております。
 個人の先生方の研究では、守秘義務や、かなり高度な手続等が必要になってくると思いますので、ある意味、先ほどJAIMAというお話もありましたが、一企業ではなく複数のメーカーが組んで、そのような場をどこかの大学なり、研究機関なりに設置し、そこに人を集めるということが、共用というキーワードでできる新たな事業になると感じていますので、それも1つのやり方かと思います。
【網塚部会長】  なるほど。ありがとうございます。
 北大にも、ほかの大学にもありますけどね、ニコンイメージングセンターさんとか、そういうことをされているし、今少しお話をお伺いしていて、例えば1つの例としては質量分析機器に関して大学内でたくさんあるのですけれども、共用化して、大学内でプラットフォームができていったりすると、そこの利用者の状況や研究内容、装置をどういうふうに使っているかというようなバルクの情報が大学として収集できるようになります。そういった情報は、きっと企業さんにとってみると、次の開発のニーズを把握する上では非常に有益なのかなと思います。確かに一研究者としてやっていると、ただ装置を使っているだけなんですけれども、これを共用の場で全体をまとめると、発展性が出てくるかもしれませんね。
【江端委員】  そうですね。そのコミュニケーションをとる場になって発展していけば、非常に良いエコシステムにつながっていくのではないかと思います。ありがとうございます。
【網塚部会長】  そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、岡田委員、お願いしてもよろしいでしょうか。
【岡田委員】  なかなか難しい問題で、いろいろなものが、多分、絡み合っていてなかなか難しいところがあると思うのですが、まず1つ論点として挙げさせていただきたいのは、先ほどから何か研究と支援って二元論的に出ているんですけれども、多分、その発想自体が本当は問題があると思っていて、この研究と支援というのは、多分、シームレスにつながっているスペクトルの両端のところを指していて、例えばどこかのページにもあったと思うのですけれども、最先端の研究を支える最先端の技術というのがどこかで研究開発されて新技術が出てきたときに、この新技術をいち早く取り入れて使えるような形にするというのは、それだけでは研究ではないかもしれないけれども、実際、それをしようとすると、研究開発にかなり近いことをやらなきゃいけないような、でも、その成果というのは、結局、それによってフォロワーを生んでいくというのか、支援的な意味もあるというような形で、新しい技術の開発と、それから、最先端の研究というのは、ある意味、車の両輪のようにつながっていて、さらにその下に、もう既に確立された技術の共用というような感じでずっとつながっていくべき、連続のスペクトルだと思うのですが、どうしてもこういう機器の共用の話というと、どちらかというと、何かもう既にでき上がって市販されているけれども、高い機械をいかにみんなでお金を出し合って使えるようにしましょうみたいな、何かそういう話にどうしてもなりがちなのが非常によろしくないなと思って、そうすると、なかなか人材の問題というのも、そこで売っているものを買ってきて使うだけの人というと、メーカーのサービスのおじさんとどう違うのとか、そういう話になってしまって、なかなか評価というのは難しくなってくると思うのですけれども、むしろ、だから、そうではなくて、本当に最先端の研究開発のすぐ次のフォロワーぐらいのところで、でも、自分の研究だけではなくて、支援するマインドを強く持っておられるような方というのを、むしろ、研究しかできない人よりも、そういう支援のマインドを持っていて、最先端の研究開発成果をより多くの研究者の人たちに使えるような形に改善して回していくというような人を評価できるようなシステム、今、多分、そういう人って、どちらかというと、その活動自体は、でき上がったシステムとかは使いやすいといって仲間内は褒めてくれても、論文にはならないし、なかなかそれだけでは評価されないという部分があるのですが、むしろ、そういう人のほうが研究しかできない人よりも国として重要な人材で、そういう人たちを評価して、しかも、複数違う分野の人たちが集まって研究開発できるような、そういう拠点みたいなものを作ると、そういう先端開発ができて、支援マインドがある人が違う分野の、そういうものがさらに集まると、そこでまた相互作用が起きて、まさにイノベーションの源になり得るというようなふうに思うので、既に今できている各大学とか、各拠点での支援事業については、既にサマライズしていただいたように結構うまいことできていて、それなりにそれぞれ工夫されてワークしていると思うのですけれども、じゃあ、次、何を足りないと思って足すかというと、そういう1個上の高度なところで、一部の分野ではもちろん、先ほど説明していただいたとおり、それぞれの分野では幾つかあると思うのですけれども、そういうのをうまく国全体の取組として構造化していくということができると、研究から高度な開発、でも、そのレベルになると、今度、メーカーもまた既製製品の市場化というところで積極的に協力してくださるという形で産業界も巻き込めると思いますし、さらに最終的には、そこで製品化されたものは産業界や、その既にある大学や各拠点でも使われるようになっていくという、そういう何かエコシステムみたいなものをうまくできればいいかなと、ちょっと夢物語的な部分もあるかもしれないですけれども、思いました。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 確かにそういう方たちは、いらっしゃいますね。ここをうまく、確かに引き立てていくといいますか、見える化といいますか、つながりが生まれてくると何か面白い発展性が出てくるように思います。皆様から何か御意見、質問などございますか。よろしいですか。
 それでは、続きまして岡部委員、お願いしてもよろしいでしょうか。
【岡部委員】  1年間、この会に出させてもらって、いろいろ勉強させてもらって非常に有意義だったなと思うのですが、ずっと気になっていることは、本当に果たしてここでやられているものは研究として最先端なのだろうかということがとても気になっていて、非常にデモクラティックなんですけれども、いろいろな大学にいろいろお金を配っているところで、本当にこんなに日本中に最先端な大学があって、何で今の日本のTOP10%の競争力なのかなとちょっと思っていて、1つの理由にやっぱり教育と研究を分けたほうがいいのではないか、教育と産学連携と研究を分けたほうがいいのではないかと思っていて、全ての大学では教育レベルとして学生が先端機器を触るという必要性は認めますけれども、本当に全ての大学がこんなに最先端研究ができるとは、全ての分野でできるとは、僕は思えなくて、もう少し選択と集中がないと、それがいつも何か上村委員が言っていることで、例えばクライオ電顕みたいな話をしたときに、じゃあ、クライオ電顕を、10億もするのを50とか100の大学に入れるのかといったら、とても無理だと思っていて、最先端研究はやっぱり、シンガポールによく行くと、A*STARというのがあって、もう今や彼らにとってシンガポール大、NUSであることもナンヤンであることも意味がなくて、A*STARに選ばれないと、いい機器に触れないんですよね。
 だから、教育の話と最先端研究機器の話は分離すべきだと僕は思っていて、なおかつ、産学連携も分離すべきだと思っていて、産学連携って必ずしも最先端研究である必要がないケースもある。それで企業に貢献できることもある。もう少しちゃんと階層構造を決めて、選択と集中をしないと非常に薄く広くなってしまっていないかなというのをすごく危惧しています。
 以上です。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 また新たな論点ではあるのですけれども、大学機関全体、高等教育行政全体に関わるような御意見にも受け取られますが、皆さんから何か御質問、御意見などございますでしょうか。なかなか、もう既に結構、選択と集中も進んでいるようにも思われるのですけれども、まだ足りないというお考えでしょうか。
【岡部委員】  はい。アメリカだったら、あれだけの大学があってもCaltechにしかない装置とか、ジョンズ・ホプキンスにしかない装置って幾らでもあって、そこは物すごい激烈な競争で装置を奪い合うわけですよね。それをしないと、そういう装置は本当に限られた大学だけであるべきで、一方で教育は幅広く使ってもらったほうがいいと思うんですね。でも、最先端研究が日本全土に行き渡るというのは、本当かなというのが。シンガポールは、そこ、成功していると思っています。
【網塚部会長】  なるほど。そうですね。トップクラスのハイエンドなマシンは、非常に高額なものはやはり日本でも限られたところに置いて特色を出すというのは、それはそうだと思うし、ある程度そうなっているとは思うのですけれども、日本人的な発想で、少し地域性も考えて、ここにもあったほうがいいよねという感じでディストリビュートするところは確かにありますね。ここの事業でカバーする領域として、そこが入ってくるかどうかというのはまたちょっと別な問題かもしれない。
【岡部委員】  私、ここの事業でやっていることは、最先端研究には見えないんですね。僕には、ほぼ最先端研究をトレーニングする教育というのであれば、かなりアグリーできるけれども、何か最先端研究をここでやっています――大体、装置が、研究することがあり得るのかというのは、私自身、かなり気になっていて、そこを何かちょっと、最先端研究というか、先端研究というところが、研究なのか教育なのか、産学連携なのかな、ちょっとぐしゃぐしゃになっているようなイメージがすごくあります。
【網塚部会長】  なるほど。それぞれの大学では、それらが全部一応、ミッションとして入っているので、すごく尖ってはいないかもしれないけれども、それなりのスタンダードなところを全般的にできるように最適化して整理することを行なっていると思います。先生がおっしゃる最先端の定義に照らしますと、ここでやっていることは、最先端とはいえず、そういうことかなと思いますね。ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、上西先生、お願いいたします。
【上西委員】  上西です。私は、地方の国立大学の理事として、先ほどの、岡部委員の話はいろいろ考えさせられるところですけれども、我々のところは研究と教育と産学連携を一体としてやっています。分離するという考え方は、いわゆる最先端領域では、そういうことは必要かもしれませんけれども、我々は、教育するためには研究も必要だし、教育研究をしっかりやるためにも産学連携は必要だという考えです。
 そういう意味で、19ページのエコシステム、研究基盤エコシステムというのは非常に重要だと思っておりまして、我々も今の共用システムというのをどのようにして持続可能な研究基盤エコシステムに持っていくかということを常々考えているわけですけれども、このイメージを示していただいたので、非常に分かりやすいかなと思っています。ただ、この中で、このエコシステムを回すためには、この上のほうに1から4までのサイクルを回すという話がありますけれども、そう簡単にそのサイクルが回るというわけでもありません。このサイクルも含めて、このエコシステムを回すためには、しっかりとした財源が必要で、ここには利用料収入というのが1つ書かれていますけれども、それだけでは不十分で、もっと多様な財源をしっかりとこのエコシステムの中に入れていく必要があります。
 その中で、先ほどからも少し議論が出ていますけれども、コンサルの部分とか、あと、コンサルと一緒になるといいと思うのですけれども、データの利活用とか、そういうものも含めることと、人材育成も内部の人材を育成するだけではなくて、外部の企業さんの人材を育成することによって財源を得るとか、そういう多様な財源を得ながら、このシステムを維持していくような、ビジネスモデルが必要なのだろうなと思いました。そのために必要なものというのは何なのだろうかということをもう少し議論できればいいかなと思っています。
 これとの兼ね合いで言うと、19ページのエコシステムのイメージと、その次の20ページのネットワークのイメージがどうつながるのかなということです。1つ1つの共用システムがエコシステムになったとして、それ同士をネットワークでつないでいくと、それぞれのエコシステムにはいろいろなステークホルダーが周辺におられるわけで、その周辺のステークホルダー同士の何かがネットワーク上では利害関係があったり、何か阻害要因になったりする場合もあるので、エコシステム同士がネットワークでつながるというのは、簡単ではないのではないかなというのは思っています。この19ページと20ページのところをうまくつなぐような、何か仕組みが必要ではないかなと思っています。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 確かにおっしゃるように、エコシステムのスケール感がどういうものなのかというのが分かりにくいかな。全国で行うものがエコシステムなのか、それとも地域、あるいは一機関で行うものがエコシステムなのか、その辺の整理が今後必要になってくるかなと思います。おっしゃるとおりかなと思います。
 ほか、いかがでしょうか。何か御質問などございますか。よろしいですか。それでは、上村委員、お願いしてよろしいでしょうか。
【上村委員】  こんにちは。上村でございます。私が一番、今回思ったのは、やはり皆様もおっしゃっていたように、いわゆる各大学の格差をなくすとか、そういうのをなくすために、ネットワーク、やっているんじゃないかなと思うんですね。だから、何かみんな同じように、使えるような状況にするために、例えば経営層とか、そういうのに依存しない形で使えるようなシステムをやっぱりネットワークを使って発展させるというのが、多分、文科省さんの御意思なのではないかなと思います。ですから、話を聞いた中でもやっぱり、本当に大きい大学の中でも格差が結構あって、経営陣が、東北大学とか何かは物すごく心構えからして違うなというような感じがするんですよね。
 だから、そういうのにやっぱり依存しない形のネットワークを作って、それで、17ページに底上げと書いてありましたけれども、各大学の足並みをそろえるのではなくて、たとえ何か経営陣がちょっと理解がなくて進まないところでも、ちゃんと何か全体として使えるようなネットワークを作るというのが最終的な目的なのかなと思います。だから、どうしてもパーソナリティとかあったり、大学の伝統みたいなのもあって、なかなか進まないところは進まないと思うんですよ。それを1個ずつfigure outしていくような時間はないので、そこのところは、ちゃんとネットワークを通じて、そういうところも、例えばほかのところを使えばやれるというような感じで、日本全体の底上げ、何か仕組みとおっしゃっていましたけれども、それをまさにネットワークを使ってやるというのが大事なのと、もう一つ大事なのは、伊藤委員もおっしゃっていましたけれども、私、データベース、非常に重要だと思っているんですね。
 その中で、結局、キュレーションが必要なような、データ。こっちの大学で取ったら、こんなになって、同じデータ、同じサンプルでも別の大学で取ったらこんなになるというような、そういう凸凹感というか、それがあると絶対データベースって充実しないんですね。だから、統合したときに、結局、みんながちゃんとそれを1つのまとまりのデータとして使えるような、そういう教育もちゃんとして、いわゆる入力フォーマットとか、それから、出し方の手段とか、そういうのもちゃんと何かフォーマット化していくような、、それをそのまま実験ノートに載せられるような、そういうやつをやっていかないとやっぱりデータベースなんて全然個別の大学で作っていたって意味がないわけですから、結局、そういうような共用のところで使えるようなのに耐えられるようなフォーマットを考えるとか、そういうのをちゃんとこの物の中でやっていくということが、企業とかにとってもそうなんですけれども、使えるデータ、それから、海外からのアクセスにおいても信頼できるデータというふうになるのだと思うんですね。だから、その辺がてんでんばらばらだと、幾ら何かいろいろな大学にいろいろな機器を入れたって駄目ですよ。だから、そういうところをちゃんとこの委員会を通して、ちゃんと意識を共有化するというか、そういうのがやっぱり、やれたら、とても意味があると思います。
 以上です。
【網塚部会長】  ありがとうございます。大変重要な御指摘かと思います。
 何か皆さんから質問などございますでしょうか。研究現場の格差は法人化してから広がる一方であると思います。先ほどの岡部委員のお話にもありましたけれども、もちろん最先端の世界と戦うトップの研究も進めていかなければいけないし、そこを強く支援していく必要はあると思うのですけれども、アメリカと違うのはその底辺の部分というんですか、ベースの部分が、底が抜けているような感じが私は抱いております。
 大学の中でも産学連携で予算が潤沢にある部局から、基礎研究で科研費取得で苦労しているような、私もその1人ですが、そういうところもあり、そしてかつ、大学によっては電子ジャーナルも十分に読めず、学生の旅費などもない研究環境にあり、共共拠点を頼りに、旅費を出してくれるところには学生を連れていけるので、そこで先端機器を使って研究教育をするというような、本当に涙ぐましいことをしているケースもあります。
 トップの大学、何大学かで学位を取ってポジションを得た方も、トップの大学にずっといられるというわけではないので、そういう環境の大学にも行く、就職していくわけなので、そこで十分な能力が発揮できないということが起きているように思われます。ここで行っていることが、そういった研究環境の底上げをする、日本の大学全体の特に若手研究者の方の研究環境を充実させるという要素があるのであれば、今、上村委員がおっしゃったような体制整備というのは非常に重要ではないかなと思います。
 岡部委員、よろしくお願いします。
【岡部委員】  多分、飯田委員が先。
【網塚部会長】  ごめんなさい。飯田委員が先でしたね。
【飯田委員】  ありがとうございます。今、上村委員が言われたデータのフォーマットのことですね。先ほど伊藤委員も言われていたんですけれども、これ、こういう共用化を進める話になると必ずついてきて、非常に重要だと思っておりまして、ただ、そこでこのフォーマットを日本だけで作っていても駄目だと思うんですね。世界で、アメリカとかヨーロッパではいろいろな動きがございますし、それをどう取り込むのかというのは、今、こうしたらいいというソリューションを持ち合わせているわけではないのですけれども、その辺りを共用化事業を進める中で避けては通れない問題だろうというのが1つ。
 それからあともう一つは、共用化でもう一つあります、さっきも出ていましたけれども、データを比較するときに特にライフサイエンス系とかもそうなんですけれども、プロトコール、前処理というのがございまして、これも何かそろえていかないと、結局、その比較ができないというか、バルクな情報にならないというか、これもどこで扱うのが一番妥当なのかというのはクエスチョンがあるのですけれども、本当に使える、研究レベルを上げるところに持っていこうと思うとあると思って発言させていただきました。
 以上です。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 上村委員、よろしいですか。それでは、岡部委員、すみません、お待たせしました。
【岡部委員】  いやいや。私自身、別に地方大学が研究してはいけないって、そういうことを言いたいわけではないんですけれども……。
【網塚部会長】  よく分かっています。
【岡部委員】  ただ、1つは先ほど上村委員が言っていたように、格差をなくすという、それはすごいいいと思っています。ただ、それは本当に、例えばデータの共有化が起きたりしたときにモビリティというか、本当の意味での戦える最先端性があるかというと、それはまた違う話で、だから、やっぱりある一定のレベルの共用、研究推進のためとか、産学連携のための共用施設と本当に戦わない、日本の主権に関わるようなレベルで取り組まなければいけない、いい共用施設とを分けないと、何が何だかよく分からない話になってしまうなというのがちょっと思っているところであって、別に、めり張りがもうちょっとあってもいいのではないかと思うんですね。各大学の話って、すごく似た話が大学の規模感で相似的に変化しているだけにしか見えないというか、みんな似たような話を大学の規模感で相似的に変化しているように僕には見えたんですね。資料を今回読ませてもらって。本当にそれでいいのかなと。
 あとやっぱり、もう少し国としてのプラットフォームを作ったほうがいいという上村委員の意見も賛成で、もう1点だけ、データなんですけれども、アメリカを見ていると、デジタルツインがやっぱり肝なんですよね。だけど、今回、どこにもデジタルツインという議論がほとんどないし、もう一つはやっぱり、僕の分野なんかだと、Model-Based Systems Engineeringといって実験データをいかにモデル化して、実験データを組み上げながら原料につなげていくところが、大学がすごくケアして、なので、ドイツなどは、それを利用してインダストリー4.0とかという話がうまく回っていると思うんですけれども、こういう話があんまり出てこないなというのが、plan to offer型のことが出てこないなとかというのはすごく、私としては何かすごく遅れている感じがしたので、すみません、先ほどの発言になったので、誤解がないように、地方大学の人たちに対してということではなくて、めり張りを大事にしたほうがいいのではないかというだけです。
【網塚部会長】  ありがとうございます。よく分かりました。
 関連する御意見などございますでしょうか。
【上村委員】  私としては、岡部委員のおっしゃっているところもすごくよく分かって、それはやっぱりライフサイエンス系だと、ライフサイエンス委員会というか、ここの課とは違うところでやっているんですね。だから、そこはまたそこで課が違っていたりするのでいいと思います。
 それとあと、結局、今、AIができるようになって、結局、データ数というのが非常に重要なんですけれども、データ依存なんですよね。だから、先ほど飯田委員がおっしゃったようなプロトコールの統一とか、しかも、世界に通用するようなデータ、信頼できる大きなデータ、そういうのをちゃんとストックするという意味では、このネットワーク、非常に使えるのではないかなと思いますし、だから、AlphaFoldに当たるようなものが本当に日本でちゃんとプログラミングできるような、素地になるようなデータをちゃんと作ればいいのではないかと思うんですね。AlphaFoldというのはやっぱり、PDBとか、そういうのがあってこそで、PDBはすごく、私も何十件もデポジットしましたけれども、結構、レギュレーションがあって、ちゃんとインプットのフォーマットとか、それから、スタンダードな解析法とかがきちんとしているんですよね。
 だから、そこが今ないじゃないですか。いろいろなものが入っているので。そういうのを一文ずつでもいいので、スタンダードなやり方とか、そういうのをみんなでそろえていくというか、そうすると、いわゆる機械学習をやったときに、本当に次のプログラムを作ったときに使えるデータになると思いますし、いわゆる世界中の中のone of 1つとしてコントリビューションができるような立場になると思いますので、だから、そこをちゃんとするって、大変ですけれども、一緒くたに全部はできないと思うんですけれども、だんだん進めていくというような何か方針が出せるのがこのネットワークシステムだと思うんですよね。だから、そういうところをちゃんと目指してやっていくというか、そういうアウトプットの出口が見えるだけで全然やっぱり、ただデータを取るのと違ってモチベーションが違うと思うんですよね。だから、そういうところを強調していくようなプロジェクトになるといいかなと思っています。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 サイエンスやイノベーションを進めるという点でも有効だと思いますし、あとはやっぱりビジネスになるんでしょうね。オープンサイエンスのデータを設備から出てきた、あるいはこういうネットワークから出てきたデータを売れる。そうすると大学にとっては外部収入に結びつけられる、その流れは多分これから間違いなくできてくる。もう起こり始めているんだろうなと思っております。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、続きまして高橋委員、お願いいたします。
【高橋部会長代理】  高橋です。これまでよく共通の課題として挙げられていたのが、江端先生もおっしゃるましたけど、やっぱりどうやって産業界をより巻き込んでいくか、機器・施設を利用してもらって持続可能な体制をつくっていくかというところだと思います。
 その観点で申し上げますと、16ページに課題として書かれているところで、共用機器に関わる産学の人材を交流させることが必要だというように書かれているのですけれども、ここはちょっとどうかなとは思っていまして、もちろん産学が連携していくことは非常に重要なんですけれども、いろいろな分野のいろいろな人を無意味に交流させても、ただ時間とお金がかかるだけで、どちらかというと、必要なときに必要な人にアクセスできるということのほうが大事なのかなとは思っていまして、むやみに交流の場を作るというよりは、もう少し例えば共用機器でしたり、それに関する人材でしたりというところをきちんとデータベース化して、誰もが機器に関して困ったときに検索すればすぐにアクセスできるくらいの形に持っていくほうが意外に効率的なのではないかなと感じました。
 やはり私自身も産業界の立場から申し上げると、いろいろな機器があるということは知っていても、実際に、じゃあ、アクセスしようと思ったときに、コネクションがなければ、どこから行けばいいのかは検索するしかないというような状況なので、そういった背景を踏まえて、やはりどうやって産業界、もっと押し込んでいくべきかというのは、もっとできることがあるのではないのかなと思いました。
 あと、シンポジウムのところのアンケートでもありましたけれども、共用化が進んでいないと回答した人が理由で、経営層の意識改革が不十分というところがありましたけれども、ここについても、どの経営層にはどんな意識改革をしたらいいのかというところまで踏み込んでいかないと、「意識改革が不十分」だけだとちょっとぼんやりとしていて、じゃあ、どうしたらいいのかというところが不明瞭だなと思いました。なので、やはり産業界を巻き込んで行く必要があるという課題に関した効率的な施策をもう少し入れたほうがいいんじゃないかというのが考えです。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。
 確かにここは経営層の意識改革、参加者の多くの方は技術職員ですので、技術職員の方の多くがそういう意識を持たれているということだと思うのですけれども、詳しい分析が必要な点であろうかとは思います。
 関連する御発言ございますでしょうか。江端委員、お願いします。
【江端委員】  ありがとうございます。今、高橋委員がおっしゃったように、経営層の問題や、具体的にどのような手を打つべきか、というような話は、研究基盤EXPOでの各シンポジウムでも指摘されていますが、うまくいかないとずっと話をしております。では、どうやったらその経営陣を巻き込めるかという観点で、こちらの部会で議論すべき点としては、コアファシリティ事業ができ、そのコアファシリティ事業で統括部局と技術的な職員が集まる組織を作り、窓口を一元化し、そういう組織をしっかりと作ってやっていきましょうという話だったと思います。
 それができている大学とそうでない大学があるというのは、多分、コアファシリティ事業に採択されているところとされていないところで、格差が出ているのだと思いますし、大学の規模感によっては、執行部と現場が近いところもある。一方で、大きな大学では逆もあるわけで、その点を我々が今議論している事業の中で、どこまでカバーできるのかというのは非常に難しいところだと思っています。
 したがって、実際に各大学のミッションにおいて、何をするべきかというのが、例えば今だと国際卓越研究大学や、地域中核研究大学など、それぞれの大学の役割というのを改めて見直しているタイミングでもありますので、先ほどの、岡部先生をはじめ、皆さんがおっしゃっているとおり、それぞれの大学の役割に応じた共用システムの作り方や、共用の場のあり方というのはあって、それに対して適切な支援をするための事業設計というのが、今まさに必要になっているというのがここまで皆様方のお話を伺い、さらに今、高橋委員が言及されたところをお受けして改めて思ったところなので、コメントさせていただきました。ありがとうございます。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、続きまして田中委員、お願いします。
【田中委員】  田中です。私からは2点ほどお話しさせていただきたいと思うのですけれども、まず、この設備というのが最先端か、先端設備なのかという、そこのところなのですけれども、必ずしも最先端である必要はなくて、先端機器であればいいかなというような認識でおりました。というのは、皆さん使いに来る、使いたい、自分が持っていない装置を使いたいというときは、自分のほうで何か最先端のものがあった上で、それをカバーする、サポートするような材料として使いに来られるようなイメージを持っていましたので、その場合、最先端ではなくて、まあ、汎用品よりは先端のほうがいいと思うのですけれども、そういう設備であればいいのかなと思っていました。
 そういう意味で、例えば我々のところでは、国プロ等で買われた最先端の設備というのが、それが終わった後で共用のほうに移すというようなことが時々あって、そういう形でちょっと型落ちした最先端設備を皆さんに使っていただくということをやっていますので、そういう考え方もある。だから、大学さんとか組織によって違うと思うのですけれども、部局間とか、そういう中で自由にその装置の管理者であるとか、運用体制というのを変更していけるようなことができれば、この中でもありましたけれども、先端設備を更新するのが大変ですよと。稼いだ料金でそれを支払うのは難しいというのがありましたけれども、確かにそれは難しいので、そういう形で新しい設備を入れて、メンテナンス費用ぐらいは、この稼いだ費用で何とかするというようなことをやっていくと、もう少し装置のエコシステムが回りやすいのかなと感じました。まずそれが1つですね。場合によると、研究者の持っている設備で、もう今は売っていないような設備、この部品が欲しいんだけれども、もう市販されていなくてというのがその設備から取れることもあったりして、そういう意味で、なるべく設備を循環させるというのか重要かなと思いました。
 あともう一つが、企業をどんなふうに巻き込んでいくかということで、我々のところでは、企業さんに来ていただいていて、そういう方へのアンケートをしてみると、2つぐらい来られている理由を挙げる方が多いかなと思うのですけれども、1つは最先端のものがあるというのと、もう一つは解析とかを手伝ってもらえる。どんなふうにスペクトルを見たらいいのかとか、どういうふうに分析していけばいいのかということを教えてもらえるというようなところを挙げる方がおられます。
 それはやっぱり人材が、技術者の人材のレベルをある程度保持しているというか、高いものにしておく必要があるということになると思うのですけれども、技術者と支援者と研究者でしたっけ、技術者の仕分けみたいな話がありましたけれども、そうではなくて研究をやっていたけれども、今、支援をやっていますという人ですとか、特任でずっとこういうプロジェクトで支援者をやっていて、それで博士号を持っていますけれども、今は支援のほうを担当しているという人は、そういうことが高度な解析だとか、そういうのを提供することができると思いますので、そういう人材をプロジェクトが終わった後も何とかいていただけるような取組というのを各大学さんとかでもやっていただければいいのかなと思います。
 ただ、今は技術者の方、いろいろなことをやらなければいけなくて、装置を持ってきて、装置の面倒を見て、それから、デジタル化で何かいろいろやってとか、コンサルタントもやってとか、産学官連携もやってというと非常に大変なので、人材をそうやってプロジェクトが終わった後、入れて増やすことで1人当たりの負荷を減らしてうまく回していけるようにするということは重要かなと思いました。
 私からは以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 たくさんの有益な御意見をいただきました。何か御質問、関連する御意見などございますでしょうか。よろしいですか。それでは、続きまして鳴瀧委員、お願いいたします。
【鳴瀧委員】  鳴瀧です。私、昨年度まで名古屋大学におりましたけれども、4月から東京医科歯科大学に異動となっております。そしてまた10月からは、今度、江端委員と同じ大学になる予定ですので、こういった大学の統合等の流れの中で機器共用の仕組みというのがどういうふうになっていくのかというところも注視していきたいと思っているところです。
 私ですけれども、どちらかというと、まだユーザーとか現場に近い立場で仕事をすることが多いので、普段感じているところを人材育成の観点から少し意見を述べたいと思います。最先端というよりは全体的な底上げに関わるところかなと思うのですけれども、やはり機器共用の仕組みを作ったところで何となく安心してしまって、そこからイノベーションに至る道筋というのがなかなか戦略的にできていないというのは、私も感じているところです。
 特に現場で装置担当している先生などに話を聞くと、要は、こういう仕組みができました。あなた、この装置を担当してくださいという形で助教の先生がアサインされるわけなのですけれども、やはり決してその装置の専門家でもないし、どうしても片手間でやってしまうことになる。そうすると問合わせが来たときにも決してベストのパフォーマンスができているかは分からないというようなことを聞いたことがありまして、教員がそういった装置共用に関与するときは、そこをきちんと評価されるような仕組みを作っていくことがまず大事かなと思います。何件支援した、あるいはスキルアップしたというところを教員評価の際にしっかりと上の評価する人が見てくれるような、そういったところが大事かなと思います。
 あと、岡田委員からもありましたが、資質の問題といいますか、研究者の中でも自分がどんどん先端の尖った研究者となってPIとなっていくことよりも、むしろ、例えば技術そのものに興味があったり、ほかの研究者をサポートすることに自分の適性を感じている研究者も一定数いるということを感じておりまして、なので、キャリアパスとしてやはり技術職員の地位をもう少し向上させて、研究者から技術職員になるような、そういったキャリアパスもできてくるといいなとはすごく思っていますし、あるいは教員がエフォートの数十%をそういった機器共用だとか、全体的な支援に入ったときにしっかりとそこが評価されるような、そういった下支えをするようなことが性に合っている教員もしっかりと評価されるような仕組みができていくといいのではないかなと思っております。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 御質問、何か御発言等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。最後になりました。宮下委員、お願いいたします。
【宮下委員】  宮下でございます。18ページ辺りを拝見しますと、課題をたくさん書いていただいきました。去年にやりました中間評価で、産業界へのアプローチが大事だと書かれております。しかしながら、この事業が終わったら、なかなか維持するのが難しいという大学も結構あったと思います。産業界のアプローチですけれども、必要だといっても、なかなか先生方とか職員の方は忙しく、かつやりにくいと思います。むしろ、そこにファンドするといいますか、民間の方でもいいですし、人を引きつける力があるような方を2、3人雇うお金を文科省が出して活性化を図るといいのかなという気がいたしました。
 それで、ちょっとおかしな例で恐縮ですけれども、私は理学系の学生が好きでして、例えば理学部数学科とか、物理の素粒子をやった方を採用に当たって面接したとき、それは何の役に立つのかと問うてしまったんです。そうすると、ほとんど口ごもってしまって、私の問いが悪かったかなと思いました。要するに大学でその問いは、そういった方にはないんですよね。じゃあ、言い方を変えて、夢を語ってもらうと、非常にすばらしい夢を語っていただいて、しばらくすると、この方は、例えば産業界でも力を持って、こういうふうにやっていけるんだなと感じ、マッチングすればぜひ採用させてくださいというのがあります。何かそこら辺が教育に欠けているんだと思いました。
 民間からしますと、高度な機器は、これは何の役に立つんですかというところがありまして、その答えを夢とともにパッと語っていただけるような方がいれば、自然にお金が集まってくるような気もします。まだ時間があるようですから、もう少し言わせていただきますと、例えば今、夢を語っているのは何ですかといったら、量子コンピュータなんてありますね。でも、あれ、蓋を開けてみると、ほとんどもう物性物理の世界の難しい機械ですよね。AIといいますと、それはいろいろなところが投資しているのは、NVIDIAのGPUであるとか、それを作っているのがTSMCの半導体プロセスですよね。それで、これは何でしょうかというと、何かの雑誌で読みましたけれども、ゴールドラッシュであると。
 それで、ゴールドラッシュで一番もうけているのは誰かというと、スコップを作っている会社だというところで、NVIDIAもTSMCもスコップを作っているんだと思います。スコップとなるとほとんど基礎的なことになりますので、そういうのは、いわゆるこの理学系といいますか、ここにあるような先生方の研究が夢を語れば、それが幾つもあるんじゃないかなと思います。それをうまく伝えてくれるような方にファンドすると、自動的にお金が集まってきて、数年で結果が出なくてもやっぱり夢があれば集まってくるなというような気がいたしました。共用という切り口もありますけれども、民間のお金を呼び込むのはやっぱり夢を語ることであるかなと思われました。
 私からは以上です。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 私も物理の基礎研究分野なので非常に心強いお言葉をいただいたように思いますが、なかなか夢を語ってもそうそうお金は集まるものではありません。やはり工学部と比べると理学部は、受託研究はそれなりにあるんですけれども、共同研究となるとやはり大きく水をあけられていますかね。1980年代後半に銅酸化物高温超伝導体が見つかったときには一気にフィーバーとなり、巨額の予算が企業からも国からも物性物理学の分野に結構落ちたのを記憶しておりますけれども、それ以降はなかなか。
 でも、今おっしゃった量子コンピュータは、まさに超伝導を利用した物性物理の世界で、希釈冷凍器というミリケルビンまで冷やす装置が売れて、関連企業は潤っていますから、そういったところでは産学連携は進みます。夢は、物理はもちろん、数学の分野にもありますけれども、確かにそういう世の中になっていただけるといいなと思います。もっとアウトリーチをしなければいけないとも思います。
 関連する御意見などございますでしょうか。あと、先ほど鳴瀧委員がおっしゃっていたところでコメントを忘れてしまいました。確かに研究者と技術者の境目は幅広く、スペクトルが連続的になっていて、研究者ですけれども、支援に非常に能力を発揮されている方もいらっしゃって、あるいは装置開発されるというようなこともあって、そういった方々をうまく引き立てていく、何でしょうかね。そこは人材育成、人材の活用のマネジメント、組織におけるマネジメントになるのでしょうかね。そういうことは非常に重要なのかなとまさに今思っております。特に私の身の回りだと技術職員の方の人材育成をしていく上で、もう旧態依然としている勤務体系、ずっと続いているわけです、大学では。しかし、やることは非常に幅広くなり、かなり高度なことまで技術職員の方がカバーしているという状況になっている。その辺を少し整理しなければいけないのではないかなと思っています。
 すみません、私のコメントに入っていますけれども、もう大体、皆さんおっしゃっていただいたことで尽きております。それから、まとめていただいた論点というのは全て網羅されていて、私が思っているようなことは、既にまとめていただいた資料の中にありますので、これをこの後どう絞って次の事業、施策につなげていくかということだと思います。コアファシリティを進めてきた大学、総合大学の1つとして思っていることは、皆さんおっしゃったように設備共用の基盤が充実した大学は全国にもたくさん構築された、作られたという状況だと思います。課題に書かれていましたけれども、これからはそういった充実した共用体制をベースに人の連携を作っていって、そこから共同研究ですとかイノベーションを発展させていくことが必要であろうということが書かれていました。
 もともと結構、それは設備共用が生み出す付加価値の理想形として計画されていたことだったのですけれども、やろうと思ってもなかなかできず、小さな規模でしかできていなかったと思います。今は例えば北大ですと、そのコアファシリティ事業で経営陣の意識も改革というか、かなり意識が高まって、大学運営の一環としてそういったことを大胆に進めていける状況になったと思っています。国際卓越ですとか地域中核、北大は地域中核事業が走ることになりましたけれども、その中で設備共用は非常に重要な機能として位置づけられていて、大学の中で新たに生まれる多様な研究をしっかり支えられるようにさらに体制を整備していかなければいけないという意識で今やっています。
 それで、各大学で充実した設備共用の体制に今後横串を刺して、人を育てていくやり方として、まず各大学の個性を発揮していただくのがいいのかなと思います。北大の場合だと、まずは地域ベース、北海道のネットワークをきちんと作っていって、底上げと言うとほかの大学に失礼なのかもしれませんけれども、北海道全体の研究、教育の基盤を充実させていくことがミッションだとと思っています。
 また、国際連携の話も課題として挙がっていましたけれども、これも以前、北大の共用機器管理センターをグローバルファシリティセンターに改組したときに、留学生とか、海外の大学にも共用利用をどんどん売り込んで、国際的にも使ってもらおうと宣伝したのですけれども、なかなかそれで発展するものでもないということはよく分かりました。やみくもにやっても駄目なので、戦略的にやろうということで、海外の協定校の中でも戦略的パートナーシップを結んでいる大学とまずは1対1、あるいは1対2とか、そういったところで設備共用の実質的な国際連携を整備して、技術職員の方の国際性も養っていくようなことを考えております。
 さらには、ネットワークの絵がいろいろ出ていましたけれども、個人的には物性物理学の分野で大学間をつなぐ設備共用プラットフォームを立ち上げる活動を始めたところです。
 あともう1点、技術職員の話が出てきておりますけれども、コアファシリティを総合大学でやった結果、一番大きな課題だったのは、設備共用に携わる技術職員ばかりではないことです。医療系、教育系の技術職員の方もいらっしゃいますし、北大の場合ですと、80名ぐらいがフィールド系の技術職員の方たちなんですよね。ですけれども、コアファシリティの事業では、技術職員の方々の人材育成も併せて行うということになって、それを大学では公平性を担保して実施しなければいけないことが大変でした。
 そこでいろいろと試みて、例えば技術職員の方々のスキルを見える化して、北大技術者図鑑というようなものを作りました。そのような活動の中で、さらにこの先どうしていこうかというところで出てきた発想として、設備を共用するというコンセプトから、技術を共用するというコンセプトに移行すれば、大学の技術職員が広く入って、この活動を発展させていけるということになりました。オープンファシリティからスキルシェアリングとか、オープンエクスパタイズみたいな感じで専門知識や技術を共用する体制に持っていこうと考えています。組織名も技術を共用化する印象の名称に変える形で次のステップに進もうとしています。そのように分析、測定以外の技術も見える化して共用化していくというのも1つの方向性なのかもしれません。この部会の事業でそこまでカバーするかどうかはまた別問題だとは思います。
 私からは、以上です。ということで、一応、1ラウンド終わったのですけれども、2ラウンド目ということで自由に御発言をいただけたらと思います。せっかくですので、もし何かございましたら。特に1ラウンド目、初めのほうで短めに終えられた方々、言い足りない部分がありましたらぜひお願いいたします。いかがでしょうか。
 雨宮先生、いかがでしょうか。
【雨宮委員】  言い足りないということもないですけれども、先ほど来、共用に関わる人の評価の話が結構出ていたと思うんですよね。そういう方がされている支援であったり技術開発であったりが評価されるべきだというのは間違いなくそうだと思うし、それは大学なりにとって将来的には絶対そのほうが得な話だと思うんですが、実際、必ずしも適正に評価されるようになっていないと。この問題に対して、そういう方を高く評価することに対するインセンティブ、評価する側へのインセンティブというのを何か準備できるということはないですかねというのが、少し聞いていて思ったところです。何かいいアイディアがあるわけではないのですけれども。
【網塚部会長】  よく分かります。本当、評価するのは大変ですからね。管理職は管理職手当をもらっているから、それが仕事だと言われるとそうかもしれないのですが、結局、管理職ではない現場の上長の方がコメントを上げることもしなければいけないから、やはり全体を通じていろいろな階層の方にとってメリットがあるような、やりがいのある評価システムにしないといけないですね。おっしゃることはよく分かります。
 何か皆様から御発言はございませんでしょうか。ぜひここで述べておきたいということ。よろしいですか。今日は何かにまとめるということではございません。皆さんから本当にいろいろな側面の御意見をいただいたと思います。大変なことと思いますけれども、事務局のほうで本日のご意見をまとめていただいて、次の部会で再度議論させていただけたらと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議題は以上となります。最後に事務局から連絡事項等ございましたらお願いいたします。
【田邉専門職】  ありがとうございます。先ほど主査のほうから御発言いただきましたように、本日いただきました御意見をまとめさせていただきまして、また次回の資料を作成させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次回の部会につきましては、5月16日、木曜日を予定しているところでございますけれども、日程が近くになりましたら、また正式に案内を送付させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、本日の部会の議事録は、部会の運営規則に基づき、資料とともに公表することとなっておりますので、後日、メールにて議事録をお送りさせていただきますので、その際は御確認のほどよろしくお願いいたします。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、以上をもちまして第23回研究開発基盤部会を閉会とさせていただきます。本日は、お忙しい中、どうもありがとうございました。次回、よろしくお願いします。
 
── 了 ──

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