ライフサイエンス委員会(第111回)議事録

1.日時

令和6年1月16日(火曜日)10時00分~12時05分

2.場所

WEB会議

3.出席者

委員

宮園主査、有田委員、大津委員、大曲委員、岡田委員、加藤委員、金倉委員、上村委員、木下委員、熊ノ郷委員、澤田委員、鹿野委員、杉本委員、鈴木委員、武部委員、辻委員、豊島委員、西田委員、坂内委員、宮田委員、山本委員

外部有識者

倉永教授(東北大学大学院生命科学研究科)

文部科学省

釜井ライフサイエンス課長、廣瀨ライフサイエンス課課長補佐

4.議事録

【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】  定刻になりましたので、ただいまより、第111回ライフサイエンス委員会を開会いたします。
 本日は、Web会議システムによる開催とさせていただいております。本審議会は、報道関係者と一般の方にも傍聴いただいております。
 本日は、畠主査代理、金田委員、鎌谷委員、桜井委員より御欠席の連絡をいただいておりますが、出席委員数が総委員数25名の過半数13名に達しており、定足数を満たしていることを御報告いたします。
 会議の円滑な運営のため、ZoomによるWeb会議システムで御参加いただいております皆様にお願いしたいことがございます。委員の先生方、傍聴の皆様におかれましては、表示名は、本名、日本語表記、フルネームとしていただきますよう、お願いします。傍聴の皆様は、表示名冒頭に「傍聴」と御入力ください。傍聴の皆様におかれては、マイクとビデオを常にオフにしてください。委員の先生方におかれましては、回線への負荷軽減のため、通常はマイクとビデオをオフにしていただき、御発言を希望する場合はビデオをオンにしてください。また、発言される際のみマイクをオンにしてくださいますよう、お願いいたします。発言が終わられましたら、両方を再度オフにしてください。その他、システムの不備等が発生しましたら、随時お知らせいただきますよう、よろしくお願いいたします。Web会議システムの音声が切れてしまった場合には、事務局より事前にいただいておりますお電話番号に御連絡させていただきます。表示名や音声・映像については、事務局により操作させていただく場合がありますこと、御承知おきください。御不便をおかけすることがあるかもしれませんが、何とぞ御理解いただけますと幸いでございます。
 それでは、以降の進行は宮園主査にお願いいたします。
【宮園主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議事と配付資料について、事務局から確認をお願いいたします。
【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】  議事次第を御覧ください。本日の議題は、4点ございます。
 議題(1)は、委員等からのプレゼンテ―ションの第3回、今後のライフサイエンスの潮流です。今回は、東北大学大学院生命科学研究科教授の倉永英里奈先生より御発表いただきます。
 議題(2)は、これまでの議論の論点整理マル1です。これまでのライフサイエンス委員会で皆様からいただいた御意見を整理し、宮園主査に御確認いただいたものを事務局より御説明し、御議論いただきます。
 議題(3)は、橋渡し研究プログラム(大学発医療系スタートアップ支援プログラム)の基本的な考え方についてです。令和5年第1次補正予算にて措置いたしました大学発医療系スタートアップ支援プログラムにつきまして、その基本的な考え方を皆様にお示ししまして、御意見を頂戴できますと幸いです。
 議題(4)は、その他としておりますが、ライフサイエンス分野における令和6年度当初予算案について、事務局より御報告させていただきます。
 配付資料は、議事次第に記載されているとおりです。委員の皆様には、事前にメールにてお送りさせていただいております。資料番号は議事に対応しております。不足等ございましたら、議事の途中でも構いませんので、事務局にお声がけください。
 事務局からの説明は、以上です。
【宮園主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、これより議題に入ります。一つ目の議題は、委員等からのプレゼンテーションの3回目、今後のライフサイエンスの潮流です。今回は東北大学の倉永英里奈教授より御発表いただきますので、よろしくお願いします。御発表の後、質疑応答に移りますので、よろしくお願いします。
 では、倉永教授から、お願いいたします。
【倉永教授】  御紹介、ありがとうございました。東北大学の倉永と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、プレゼンテーションを共有させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回、タイトルとしましては、「ライフサイエンス研究の潮流」というふうにお題をいただいていたのですが、少し趣向を変えました。こういった場でどういった話をするのかということを少し考えてみたのですけれども、求められているものに対して私がどのぐらい応えられているか分かりませんが、少しバックグラウンドの勉強なども必要でしたので、かなり文科省のほうで調査されている資料を勉強させていただきました。勉強した上で、私自身は基礎研究の研究者なんですけれども、ノンバイアスで日本の研究力向上のためにはどういったことが必要なのかということについて、こちらでお話しさせていただきます。あくまで私見ですので、これが何か方向性を示すとかっていうことではないことは皆さん既に御存じだと思いますけれども、いろいろとコメントをいただければ幸いです。よろしくお願いします。
 最終的に、プレゼンテーションをつくって結論と思いましたのは、多様性の力というのが必要だなという結論に至りました。この結論に至るまでの経緯というか、調べた内容について、ここで紹介させていただきます。現在、東北大学の生命科学研究科におります。京都大学のほうにもクロスアポイントメントでポジションを持っております。どうぞよろしくお願いします。
 「研究力の向上にむけて」ということで、お話をいただいたときに、基礎研究の重要性についてちょっと紹介してほしいということをちらっといただきました。基礎研究が研究力低下を止めるような鍵になるかどうかということを、まず、自分自身、批判的な目で見るというか、疑うところから始めました。まずは、日本の研究力低下がどうクローズアップされてきたかということなんですけれども、去年の話になります。2023年に『Nature』の記事でわざわざ、日本のtop10%論文数の順位が低下している、数が減っているということを報告されました。論文総数の割合も世界的に見て低下しているということになっていました。これで実際にいろいろ日本のほうでも調査・報告されまして、これは間違ってはいない部分もかなりあるようだということもありましたので、目標としては恐らく、top10%論文を増やすということと、論文総数を増やすということが目標になっていたのではないかと思います。これをクリアする手っ取り早い手段としては恐らく、top10%論文を増やせる研究領域や研究者に予算を集中させたりとか、論文総数を増やせる研究領域などに予算をあてがうということがあったのではないかと思います。これが選択と集中というようなことのキーワードになってきます。
 選択と集中というのではなかなか底上げは難しいのではないか、というふうに直感的には感じていただけると思います。私自身もそういうふうに思いまして、その根拠について少し調べてみましたところ、これも去年ですが、筑波大学の大庭先生たちのグループから2023年に論文が報告されておりまして、こちらは日本の科学研究費助成事業データベースに登録されている1991年以降の生命科学・医学関連分野の研究論文と課題、18万件以上を対象として調査を報告されました。科研費で補助されている研究領域に対して、そこにどういう論文が報告されたかという、コストパフォーマンスについて調べたような論文になります。論文の成果の数と萌芽的キーワードの報告数ということでこちらのほうに示してありますけれども、このグラフで見えますのは、研究成果と萌芽的キーワードは研究費を受給した後に増加していますので、効果的に働いているということがこれで分かると思います。もう一つは、投資総額に対する研究成果というのをこの成果を基に示してありまして、論文数に対して金額がどういうふうに効果的に働いているかということです。コストパフォーマンスがいいのは100万円から200万円のところと200万円から500万円規模の研究であるということがここで示されております。一概にこれでこれが一番いいということはなかなか言えないというのは分かりますけれども、この研究成果で示されたのは、こういった規模の研究予算はコストパフォーマンスがいいということでした。こういうところをどういう研究領域に配分するかというところに、次は注目したいと思います。
 研究領域の分析として、サイエンスマップというものが文科省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)のほうから報告されておりました。こちらはサイエンスマップ2002から10時点目の2020まで報告されておりまして、報告されたところの前後5年間の研究の報告、論文の内容について、全世界的に調査されているものになります。特に、こういうふうにマップにされているのはtop1%被引用論文で、コアペーパーというものになります。なので、言ってみれば氷山の一角ではありますけれども、かなりビジビリティーの高いものとして考えたときに、こういったものは、先ほどの全世界的に見た研究力の低下というものを向上させるのに、いいように働く、効果的に働くのではないかというふうに考えます。サイエンスマップ2020で見えてきましたのは、世界的に注目を集めている研究領域というのは919領域ということで抽出されました。このように点で示してあるのがそれぞれの研究領域になりまして、ヒートマップで表しているのがtop1%被引用論文の数になってきます。
 こういったところは委員の先生方も何度か資料で御覧になっていると思います。こちらも文科省の資料から抽出したものになりますが、最初に2002年に調べられたときに比べて54%増加しておりまして、全世界的に見ると最初は598領域だったのが919領域に研究領域が増加しているということが分かります。これに対しまして、日本は283領域になります。2020年でも283領域ですので、世界的に見ると割合は非常に低いのではないかということになります。
 このサイエンスマップにおける米・日・英・独・中の参画領域数(コアペーパー)の推移として、経時比較されているデータを示しております。全世界的に見て研究領域数が増加したというのは、先ほどのサイエンスマップから抽出した内容でも御覧いただけたのではないかと思います。この領域数の増加は中国がかなり起因しているというか、貢献しておりまして、中国のペーパーに対する研究領域数がかなり高騰しているということがあります。米国も伸びてはいるのですけれども、領域は安定的に増加しておりますが、中国先導型の研究が増加していることにより、全体的な割合は低下しているという結果になります。英国、ドイツについては、領域数は世界トレンドに合わせて増加しているんですけれども、合わせているということで割合としてはそこまで伸びていないということになります。一方で、注目しなければならないのは、日本の領域数は微増という状況にとどまっておりまして、その分、全世界的に見ると増えている領域数の割合がかなり縮小しているという結論に至っております。
 ほかの国ではどういった研究領域が増えているのかということをここで考えなければならないと思います。どういった研究領域、先ほどの膨大なデータの中から抽出するために、サイエンスマップから、NISTEPの調査としまして、ヒートマップから、マップと言うからには地図として考えるというのが恐らく直感的・主観的に見やすいからということだと思いますけれども、小さい点々で示しているのが一つ一つの研究領域です。例えば、スモールアイランド型(小島)の、アイソレートされたような、小さいとか、あとは、このマップのところに見えてこないような、すごく小さい研究領域から、少し見えるようになったアイランド(島)型。ペニンシュラ(半島)型というのは、コンチネント(大陸)型のものから少しはみ出しているけれども、つながっているというような研究領域について、コンチネント型、ペニンシュラ型というふうに名前をつけて分類されております。自分自身、これを基にして考えてみるのがやりやすかったので、ちょっとそちらを紹介させていただきたいと思います。
 スモールアイランド型、アイランド型、ペニンシュラ型、コンチネント型、それぞれの違いについて、それぞれの論文データに基づいて解析されております。継続性については、スモールアイランド(小島)型、アイランド(島)型というのが発展的に「なし」から「あり」のほうに移行していくということと、ほかの研究領域との関係の強さというのはやはり、ばらばらよりも、つながっているもののほうが強いということになります。それぞれ時系列も含めて解析したデータとしては、スモールアイランド型は小規模の領域、アイランド型、ペニンシュラ型、コンチネント型は中規模から大規模へ変動していくという形になっております。最も領域数が多いのは全体の4割を占めますスモールアイランド型で、ぽちぽちとした、ほとんど見えないような点が一番多いということです。もう一つ、スモールアイランド型というのは、入れ替わりが活発なんですけれども、3割がアイランド型へ移行、1割がコンチネント型へ移行というふうに、徐々に、大型研究というか、横のつながりが高い、継続的な研究へと移行しているというふうに見えます。4割が移行しているので、6割はターンオーバーしているというふうにお考えいただいていいと思います。アイランド型の研究とペニンシュラ型の研究も同様にコンチネント型の一番大きなところに1割・5割が移行していきまして、最終的に、コンチネント型の研究は6割弱がコンチネント型で継続、アイランド型へ移行、また戻っていくというようなものも見られるということになります。
 この分類したものが各国でどういうふうに推移してきたかについて調べられたデータを次にお見せしたいと思います。サイエンスマップ2004から2020への移行の状況です。下のほうに、スモールアイランド型とコンチネント型、上と下、一番突出したものだけ並べました。スモールアイランド型の研究というのは数が多いので世界的にも増えておりまして、英国、中国で伸びております。米国、日本で、これは低下しております。コンチネント型の研究推移は、それに反対の相関を示しまして、世界ではちょっと少なくなる、英国で少なくなる、ドイツでもちょっと減っている、中国で少なくなる、日本でだけ増えているという結果になります。これから考えられる考察としては、研究領域数の増加とスモールアイランド型の増加に相関があるのではないかというふうに考えております。
 もちろんコンチネント型の研究に大きなメリットはありまして、コアペーパーの数はコンチネント型の研究から出ているものが非常に多いということはデータで示してあります。こちらは日本だけではなくて世界の研究領域数に対する世界のコアペーパー数について比較されているものですけれども、コアペーパーの数は非常に多く、スモールアイランド型のものはもう少し少ないということになっております。研究規模のほうも、こちらは示しませんが、予算としてはかなり大きいもの、というふうな傾向があるということで示されておりました。
 スモールアイランド型の研究領域の重要性ということで、こちらに書かせていただきました。まだ発展的なものなのでコアペーパーの数は少ないということは実際だと思うんですけれども、新しい研究領域というものがここから始まって、その中から大型研究に徐々に移行するものが出てきます。つまり、コンチネント型の研究成果、コアペーパーを増やせるような研究領域の種になるようなものがスモールアイランド型に多く、個人型、挑戦型、探索型、萌芽型の研究領域が含まれていることになります。スモールアイランド型の研究領域は研究開発の源泉となり、この研究力の増強を下支えするのは非常に多様性のある研究になりますので、この多様性の成長というものが研究力向上の突破口となり得るのではないかというふうに考えております。将来大きくなる可能性のある領域を見つけ出し、いかにサポートするかということが重要で、それをどうやって見つけ出すのか、それがそもそも一番難しいということになるかと思います。
 どうやって見つけられるかということと、あとは、私は基礎研究者ですので、どうしても基礎研究の重要性をここで推していきたいということを考えておりまして、少し紹介させていただきたいのは、去年1年間が「持続可能な発展のための国際基礎科学年」であったということで、全世界的に基礎科学の重要性について示されてきたということもあります。
 令和元年には日本の文部科学省からも『科学技術白書』として「基礎研究による知の蓄積と展開~我が国の研究力向上を目指して」という日本語の本が出されておりまして、非常によくまとめられておりました。基礎研究の重要性については、ノーベル賞を取られた日本の先生方も非常に大きく紹介していただいております。
 日本の研究力向上に基礎研究が重要だというふうに言っていただいておりますので、私自身も重要なのかどうかということをもう少しデータ示したいと思います。スモールアイランド型の研究に基礎研究がどのぐらいの割合で含まれているかということについては基礎データがなかったのですけれども、その相関関係を表す図を見つけましたので、こちらを紹介させていただきます。
 臨床研究と基礎研究について、世界の各研究段階の研究領域数の推移について、こちらは示してあります。オレンジが基礎研究の数になります。日本では、基礎研究の数が減っておりまして、臨床研究のほうはこのように推移して増えております。中国では、コンチネント型の研究が減って、スモールアイランド型の研究が増えております。日本では、コンチネント型が増えて、スモールアイランド型が減っております。こちらのほうで減っているスモールアイランド型と、基礎研究のほうと、コンチネント型が増えているということで、ある程度、相関が見られるかなというふうに考えております。基礎研究はスモールアイランド型に多くて、研究の多様性の源泉としては、発展の源でありますので、こういったものにたくさんの支援をしていただきたいというふうに考えております。
 今、どういう基礎研究に注目しているかということをお話ししたいんですけれども、宮園先生、もしかして15分たってしまいましたでしょうか。
【宮園主査】  そうですね。でも、もう少し続けてください。
【倉永教授】  すみません。頑張って、駆け足で行きます。
 どういったものに注目しているかということについて、少しだけ触れます。資料もお渡ししておりますので、どういうところを私が推しているかということは見ていただければ分かると思いますけれども、発生生物学、細胞生物学、分子生物学の研究者ですので、生き物はどうやって体が形づくられているかということに私自身はすごく興味があります。これは細胞が体を形づくる仕組みというものがあるんですけれども、細胞そのものが何によってつくられているのかということにも注目すべきかと思います。分子によって、こういう構造体によって、細胞の中の小器官ですとか、細胞そのもの、タンパク質、核酸、脂質といったものから形づくられているということで、それぞれのステップにおいて自己組織化による集合体の形成と機能との連携がすごく美しく備えられているなというふうに考えております。それぞれの集合体の破綻というものが生命の維持に悪影響を及ぼしますので、こちらのほうの研究というのは発展する方向へと導くこともできるんじゃないかと思います。
 私自身の研究は、このようにショウジョウバエのお尻の部分の組織がぐるっと回転して形態形成しますよという、これがマクロのレベルで見えてくるところなんですが、これは、1細胞レベルで見ると、その中にアクチンの集合体としてリングのような構造が見えたり消えたりとかしますので、これが、集団移動、動きと左右軸に対してどういうふうに関与しているのかということを今頑張って調べているところで、そういうそれぞれのステップにおいて、無限に広がる可能性のある、多様性のある研究だと思いますので、そういったところを基礎研究として重点的に支援していただければというふうに考えております。
 今の研究につきまして、今、特に注力している研究、頂いている研究費ですとか、それに必要な技術などについて、こちらに紹介しております。
 もう一つだけ、どうしても最後のところで言いたかったのは、「現状から考察-研究力向上のために-」、これを説明するためにすごく大事な、研究室パネル調査というものがあります。実際に研究をやっている人たち、日本人だけですけれども、調査されている内容が文部科学省の資料から出されておりました。どういうふうにしてみんながモチベーションを持って研究をやっているのかということについて、こちらに示してあります。1位が知的好奇心、2位が基礎原理の追求、3位が挑戦的課題、4位が現実問題の解決になります。これは基礎研究の理学・工学・農学の方々の意見ですけれども、保健というふうに医学系の研究者たちでも1位はやはり知的好奇心に基づくもので、現実問題の解決というのが2位に入ってきますが、グラフの形状は基礎系と非常に似ています。研究のモチベーションはみんな同じであるということを考えます。
 研究プロジェクトの目的としましては、やはり基礎原理の追求ということが大きくありますけれども、それぞれの職位に合わせてのスタンスというのは少し違っておりまして、教授のケースですと挑戦性が上がったりとか、助教のケースですと業績を出せるようなものに注力するような傾向があるということです。こういったところも雇用の安定化というものが必要かなと思いますので、近年の、それぞれの研究者、若手研究者を独立PIとして増やすような施策としては非常にいいのではないかと思います。これが一つ一つのプロジェクトの数を増やすことにつながって多様性ポテンシャルが上がっていて、スモールアイランド型の研究が増えていくというのも非常にいいのではないかというふうに考えます。
 ただ、PIが増えていけば増えていくほど、それを下支えするマンパワーが非常に減っていくというふうに考えます。人口減少の中でどうやってマンパワーを保持するのかということを考えたときに、今まではこういうふうなピラミッド型の構造になっておりましたけれども、独立PIを増やすと下支えしていた方々がリーダーとして研究をやっていくのですが、その研究を実際に実施していく人のヒューマンリソースが非常に不足してしまうと。基盤B・Cですとか、若手研究、学変公募ではなかなか、人件費を賄えるだけの金額が担保できないということがあります。そこには共同研究を発展・展開したらいいんじゃないかということが考えられますが、参画研究者が少ないという問題は同じになります。なので、大学院生のプロジェクトへの参画というのは非常に重要になると思います。一方で、博士にはなかなか進学しないということがありますので、修士の大学院生にもぜひ参画してもらったらいいのではないかということをここでお話しできればと思います。
 研究プロジェクトにどういうメンバーが参加したのかということをこちらに示してあります。修士のメンバーは非常に多いです。博士のメンバーも多いです。医学系では博士からなので博士のメンバーが多くなっておりますが、こういったように学生がプロジェクトに参加してもらうということでヒューマンリソースは稼げますし、あと、人材育成にも非常にいいと思いますけれども、お金の問題とか、ライフイベントの問題とか、解決すべき重要課題というのはたくさんあります。
 修士の学生がなかなか博士に進学してくれないという問題があります。それについて調査された結果をこちらに示したいと思います。修士から博士へ進学しなかった理由というのを調べられておりますけれども、社会に出て仕事がしたいとか、経済的自立とか、ポジティブな理由はありますが、ネガティブな理由としては、経済的な不安とか、就職が心配とか、そういったところが示されております。どうしたら博士に残りますかというふうに聞いたところ、経済的支援があったらよかったというふうに答えているケースが非常に多かった(50%以上)という結果が出ております。
 長くなりましたが、まとめと私見になります。研究の多様性の確保が将来的な研究力向上につながるのではないかと考えております。基礎研究、スモールアイランド型の研究というのに投資していただければと思います。投資には失敗も成功もありますので、4割成功すればいいぐらいと考えて、失敗してもいい研究への投資の設計というのがあればいいなと思います。あと、高コスパなボトムアップ型研究費の拡充。これはノーガードである必要はあると思います。若手だけに絞らずに大人の先生方にも申請権を与えるとすれば忖度が生まれますので、何ならAIによる審査でもいいじゃないかというふうに考えておりますが、ちょっと乱暴な意見かもしれません。マンパワーとしての人財育成としては、私は修士からが大事だとすごく思っておりますので、ぜひ修士から経済的支援をするような施策をしていただければ、特にプロジェクト予算で重点的に雇用できるようにしていただくことがすごく大事かなと思います。結論としては、研究の多様性が非常に重要でありますので、研究の多様性を下支えする基礎研究ですとか、人材への御支援をお願いいたします。
 長くなりましたが、以上になります。ありがとうございました。
【宮園主査】  どうもありがとうございました。大変詳細にわたって、御提案をいただきました。
 それでは、質疑に移りますので、ただいまの発表に関する、御意見、御質問等がありましたら、ぜひ積極的によろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 加藤委員、お願いいたします。
【加藤委員】  順天堂大学の加藤です。包括的なお話、どうもありがとうございました。
 多様性を確保することの必要性とか、ボトムアップ型研究費の拡充と、そういう結論に関しては完全に同意なんですけれども、その過程として大庭先生の『PLoS ONE』の論文のデータを引用されていたのですが、これの図を見ますと、プロダクティビティーの指標というのが論文の数というふうになっていまして、100万から200万のお金だったら小さい論文を1本出すということになるわけですけれども、何千万円もらったら、いろんなデータ、何本分の論文を詰め込んだぐらいの大きな論文を1本出すというのが求められる中で、数を指標にするというのが妥当なのかという点は少し気になったのですが、その点はいかがでしょうか。
【倉永教授】  どうもありがとうございます。今回、画面の制約もありまして、一部だけ出してしまったということもあります。これは実はノーベル賞級の萌芽的キーワードについても調べられておりまして、そういったところでも同様の相関が見られるということは示してありましたが、金額的な問題としては、多いだけではないということを示してあっただけですので、もちろん、どういうビッグジャーナルを狙っていくというか、インパクトがあるとか、あと、これから残っていくような研究をどういうふうにして出していくのかということについては、もう少し詳細に研究していく必要があるんじゃないかとは思います。今回、人の論文をこういうふうに出してしまったのは私の不手際だと思いますけれども、御意見いただき、ありがとうございました。
【加藤委員】  どうもありがとうございます。
【宮園主査】  では、続きまして、大津委員、お願いいたします。
【大津委員】  すばらしい発表、ありがとうございました。
 1点お伺いしたいのですが、多様性が日本では少ないということの要因として、それは要するに、全く領域を設けずに自由な研究というところの予算枠が少ないということの影響なのか、それとも、ファンディングする側がそういう新しいところのグラントの計画が少し遅れてしまうのか、その辺でもし考察されたことがありましたら、教えていただければと思います。
【倉永教授】  ありがとうございます。今回、資料を作成するに当たって、私もいろいろなことを考えまして、本当にそうなのかということはちょっと考えていたのですけど、なかなかどういうテーマであっても申請できる研究グラントというのがそこまで多くないというのは、実際、自分で感じていたところではあります。今回みたいにかなり挑戦的な、失敗するかもしれないというので出せるのが財団の研究費だったりとかしまして、財団で1年間100万円頂いて頑張ってやってみて、のるか反るかというところで、のったら次のステップアップをさせていただける財団もありますので、そういったところは非常にいいなと思いました。国の科研費のほうでは、基盤研究はあるんですけれども、とにかく、出せはするのですが、採択率が低くて、充足率も低いとなってくると、通った人はいいのですけれども、10%以下とか、採択率の問題があって、なかなか隅々まで行き渡っていないんじゃないかという印象になります。
【大津委員】  そうすると、領域の設定自体が日本は少ないとか、そういうことはまだ分からないという理解でしょうか。
【倉永教授】  日本以外のところでの研究費に関するデータというのは、サイエンスマップ2023ではたくさん出されていたのですけれど、そこまで勉強できなくて、今回、答えを持っておりません。申し訳ありません。
【大津委員】  ありがとうございました。
【宮園主査】  それでは、有田委員、お願いいたします。
【有田委員】  遺伝研の有田です。まず、基本的にサイエンスマップを基に議論が展開されているのですが、私の理解では、サイエンスマップは過去6年の論文の情報から作られているものです。ですので、長期的な方向性を見るのには、それこそサイエンスマップの推移というのをかなり昔から見ていく必要があると感じています。そもそも、論文のサイテーションに基づいた解析というのは、僕はバイアスがかかっていると思いますし、冒頭の、あれは『Nature』のニュースですけれども、ニュースの内容も、『Nature』に不利な内容というのは、もちろんニュースのスタッフというのは『Nature』の運営スタッフとは別だとは言っていますが、やはり影響を受けざる得ないわけです。ですので、大手の学術出版の利するような方向性というのは、僕は間違っていると思っています。
 それから、日本は人口が減少していて、僕らの世代に比べると今の出生数は半分しかないわけです。ですから、若手の研究者は自動的に半分しかいない。じゃあ、どうしてほかの国が伸びるのかというと、中国が顕著ですけれども、それは人口が増えて研究者人口が爆増しているからなんですね。ですから、そういう人口の推移と合わせた考え方というのも重要に思いました。
 以上です。
【倉永教授】  ありがとうございました。
【宮園主査】  ありがとうございました。
 それでは、杉本委員、お願いいたします。
【杉本委員】  杉本です。非常に、NISTEPの資料などを使って数値でお示しいただいて、ありがとうございました。今、いろいろコメントありましたけれども、指標に何を使うかということについてはいろいろ議論があるにせよ、御紹介いただいた、スモールアイランド型、アイランド型、ペニンシュラ型、コンチネント型という、その分類を基に考えるというところは、今後、将来の展開を考える上でも大事な点かというふうに感じました。だから、数字の指標は別として、スモールアイランド型も存在するということが将来のコンチネント型を育てるにも必要だというのが倉永先生の御趣旨かと思うんですけれども、そこは非常に大事だと思いました。
 それから、8ページの2004年と2020年を比べたというデータで、それが今取れるデータの中ではかなり長期的なデータかもしれませんけど、そこを見ると、日本だけスモールアイランド型が減ってコンチネント型が増えているという傾向は見られるということなので、そこで、もう少しスモールアイランド型を増やすということは必要ではないかと思いました。
 1点、一番最後のまとめで100万から500万の研究費はコスパがいいということだったんですけど、そこに関しては、やはりコスパというのを何ではかるかというところは議論があって、500万ではもう一つの大きな問題であるマンパワーを育てるには不十分な額だと思いますので、どういうシステムでサポートするかというのはこれからこの委員会でも議論していただければと思いますが、スモールアイランドからコンチネントまでを日本としてどういうバランスで増やしていくかということが大事なんじゃないかなと感じました。
 以上です。
【倉永教授】  おっしゃるとおりだと思います。客観的に書いただけで、私の主観も入っていますけれども、バランスが大事だと思います。このピラミッドも、それを考えて描きました。
【宮園主査】  それでは、鹿野委員、お願いいたします。
【鹿野委員】  大変興味深い御説明、ありがとうございました。私も、サイエンスマップとは違うんですけど、論文の引用関係を基に、一つはAI搭載医療機器と、もう一つは免疫関係の製品についての発展経緯を追ったことがあるんですね。そうすると、AIのような機械関係、工学関係は、物すごく発展が速い、サイクルが速いんです。6枚目のスライドで中国がすごく伸びているというのは、もしかしてこれは工学系の内容なのかなと思ったのですが、内容は特に確認はされていないでしょうか。
【倉永教授】  膨大な資料の中で中国についてまとめたものもあったんですけれども、それはこちらで示してありませんが、やはりエンジニアリング系は多いということだったと思います。ただ、ここに点に見えてこない部分も増えているということは記載されておりました。私自身がサイエンスマップで点を打っていったわけではないので、出された資料だけを拝見しているという状況になります。
【鹿野委員】  ありがとうございます。私はそういう経験があったので思うのは、ライフサイエンス系は研究期間が長いんですね。免疫チェックポイント阻害剤の研究経緯とかも確認したら、皆さん御存じだと思いますけども、何十年もの研究の成果としてあれが出てきているということを考えると、研究費であったり、人材育成なんかもスパンを長くしないと、一つのまとまった成果を出していくというのは、工学系とか、そちらに比べると難しいのではないかと思うので、そういう点も含めて、今後、文科省なり、研究費等の検討をされる方には御検討いただきたいなと、拝見しながら思ったところです。ありがとうございました。
【倉永教授】  ありがとうございます。すごく同意します。スモールアイランド型の研究で、これで終わりではなくて、これがどんどんステップアップするには期間が長く続くということが必要で、そのためにも発展的に長い研究スパンで考えていく必要はありますので、それぞれの型が、どれがいいかとか、そういうことではなくて、長期的に見てスモールアイランド型からコンチネント型に発展していくということが一番ベストなんだと思います。ありがとうございます。
【宮園主査】  ありがとうございます。
 お二人、手が挙がっておりますので、まず、豊島委員からお願いいたします。
【豊島委員】  豊島でございます。丁寧な御説明と、研究力向上に関する御提案、御意見、ありがとうございました。
 1点だけ、とても賛同して、ちょっとだけ意見を加えさせていただきたいのは、最後のスライドにあります、大学院生の修士課程からが大事で、修士課程からしっかりサポートしようという御意見、私も大賛成でございます。ただ、ここの「マンパワーとしての人財育成」の一番下のところに「プロジェクト予算で重点的に 教育と投資」というのがあるんですけれども、プロジェクト予算といいますと、私の経験では、大学院に入るとき、あるいは進学するときに、どの研究室、どういう分野で研究しようかというときに、学生は非常に敏感で、お金のある研究室に行くと、いろいろなサポートが得られる、研究費ももちろん潤沢にある、機械もいっぱいあるということに加えて、その周りのサポートする体制だったり、例えば、学会に行く旅費とか、学会誌とか、そういうことに関しても予算が潤沢なところでは楽ができると、そういうようなことまで調べて、どの研究室に行きたいかというようなこともはやるというか、結構話題になっていたりするので、その時点でバイアスがかかるということがちょっと懸念されます。プロジェクト予算というのはどちらかというとスモールアイランド型というよりは大きなコンチネント型みたいなところにつきやすいというのが今までありましたので、そこで少し偏りが出てしまうというようなことを非常に懸念しておりまして、大学院生には、プロジェクトに参画することももちろん賛成なんですけれども、いろいろな面の資金の支援という点では、文科省がベースになった修士課程全員というような形の支援があるとうれしいなというふうに思っております。
 以上でございます。
【倉永教授】  私も大賛成です。プロジェクト予算と書いたのは、科研費の在り方というか、使い方についての提案だったんですけれども、大学運営費が一律増額されるということが一番、ノンバイアスでいいと思います。どうもありがとうございます。
【豊島委員】  ありがとうございました。
【宮園主査】  ちょっと時間は過ぎてますけど、皆様の御意見をぜひお聞きしたいので、今、4名の手が挙がっておりますが、坂内委員からお願いいたします。
【坂内委員】  坂内です。大変包括的なまとめで、現状がすごく理解できて、感謝しております。サイエンスマップからの解析についてちょっと思ったことがありますので、お話しさせていただきたいと思います。
 まず、今、2002年で増えているところというのは、先ほど鹿野委員からも御指摘ありましたナノの材料のところだったりもあるのですが、一番大きいのは下のほうのクラスターですね。AIのところではないかと思いますから、こちらは、社会のニーズだったり、そのときの世界の流れというのがすごく反映されているデータかなというふうに思いましたので、今後発展する領域とかいうのを考えるときには、世の中に常にアンテナを張っておかなきゃいけないなというふうに思う、いいデータかなというふうに思いました。
 もう一つ、スモールアイランド型、アイランド型ということについて、もし御存じだったら教えていただきたいのですけど、これは、研究者をマップしたものではなく、現在出ている動向をマップしたものなんですよね。
【倉永教授】  はい。
【坂内委員】  ということは、同じ人がスモールアイランド型にもいたりして、コンチネントもスモールアイランドも両方やっているというような可能性もありますでしょうか。
【倉永教授】  はい。これはキーワードでの分類ですので、1人の人が違うキーワードでたくさん論文を書いていたりとか、一つの論文で違うキーワードをたくさん入れていたりとかしても、それはちょっと分けられないと思います。
【坂内委員】  また、スモールアイランド型であちこち飛んでいる人たちが集結してコンチネント型をつくったり、実はそれがすごく理想なんじゃないかなというふうに考えさせられる結果かなというふうに思いましたので、仕組みとしましては、スモールアイランドを発展させ、大事なこの芽を育てることは大前提で、その中でスモールアイランド同士の協力関係をつくっていくことで、日本の中にもコンチネント型とかペニンシュラ型、今、増えてはおりますけど、実際、本当にスモールアイランドも増やしつつ、コンチネントも増やす方法としては、スモールアイランドをつなぐという動きが必要じゃないかと考えましたが、倉永先生、このような解釈って成り立ちますでしょうか。
【倉永教授】  大賛成です。ありがとうございます。
【坂内委員】  ありがとうございました。私の意見は以上です。
【宮園主査】  ありがとうございます。
 事務局から一言コメントがあるそうですので、お願いいたします。
【釜井ライフサイエンス課長】  文科省のライフサイエンス課長の釜井でございます。今日は、倉永先生、本当にありがとうございます。
 まず、おわびでございますけれども、サイエンスマップは、科学技術・学術政策研究所、文科省の機関のほうの分析でございますので、本来であれば私どものほうがきちっと、研究力の低下と言われている要因とか、そういうのも含めて説明のほうをしないといけないところ、おわびを申し上げます。文科省といたしましては、こういった要因分析、今日、複数の先生からも御指摘ありましたような、いろんな解釈があります。私も前職のほうとかではまさにこういうふうな仕事とかもやっていたのですけれども、そういったところの要因分析というのはしっかり我々のほうとしてさせていただいて、中間取りまとめまでに御報告のほうをしたいというふうに思っております。
 また、さっきコスパの問題とかもありましたけれども、これは、私のほうも論文の一つとしてそういった支障があるというのは前から承知はしていましたが、この辺りは要因分析をしっかりやっていければなあと思っております。
 次の議題になりますけど、私どもにとって重要なのは、ライフサイエンス研究というのは本当に重要だと思うんですよね。その中で、論文のアクティビティーだけが研究活動ではないですけれども、論文全体のアクティビティーで見ても、なおも半数ぐらいがライフサイエンス研究なので、ここを伸ばしていくということが日本の研究力のほうに寄与していくというふうなつもりで、我々、まとめていきたいというふうに思っていますし、鹿野先生がおっしゃったように、ライフサイエンス研究としての特性というふうなものもあると思うんですよね。今、分析中ですけれども、例えば研究時間ということであれば、臨床系のほうの研究時間というのは非常に少なくなっているというのは知っていますし、ともすると、基礎生命系、基礎医学系のものについても、ほかと比べるとというふうな傾向もあるやに、そういったデータも出始めているところですので、そういったところをしっかりまとめた上で、日本の研究力の向上、それからライフサイエンス研究は本当に大事だと思っているので、それを振興するためにどうすればいいかという視点で夏に向けて議論をさせていただければと思っております。ありがとうございます。
【倉永教授】  ぜひよろしくお願いします。
【宮園主査】  引き続き、まだ3名の方から手が挙がっていますので、まず、大曲先生からお願いいたします。
【大曲委員】  ありがとうございます。大曲です。倉永先生、プレゼン、ありがとうございました。すごいしみじみしました。
 ちょっと、自分の背景、問題意識を申し上げると、自分の立場上、事が起こったときに極めて行政的・公的に近い研究をやるのと同時に、自分も自由な発想からの研究をやる意思はあって、それをどう両立させようかとすごく悩んでいるのは本音のところがあります。まだ若いつもりですが、自分の若い頃を思い出すと、どちらかというと後者の自由発想的な研究のほうが種をたくさん思いつくのですが、そういうのって大体、公的研究費の応募がないので、要は研究費を取りにいっても全然取れないわけですね。ですので、僕、今思うことあるんですけど、若い頃に抱いた多くの研究クエスチョン、捨ててきたものがたくさんあるのですが、やっておけばよかったと思うものが実は山ほどあるのが本音です。今回、データをこうやってお示ししていただくと、日本の研究に多様性がないというのは、すごく腹落ちするなと思いました。若い先生たちが持つようなシーズを全部取り上げていればこうではなかっただろうと、本音で思います。ですので、今の状況というのはなるべくしてなっているというところはすごく分かっていて、これは変えなきゃいけないなと思いました。
 その中で、先生のお話を聞いてなるほどと思ったのは、若くて、なかなか研究費を取れない子たちがどこで研究費を取りにいくかという、研究財団の話が出ましたよね。実は、この前、僕は研究財団が集まるところの審査員をやらせていただいて、本音を言うと、どこに自分は目的意識を持って点をつけるべきか、よく見えなかったんですね。ただ、今、お話を伺っていると、その財団もテーマを決めない募集だったんですけど、びっくりするぐらい多様なテーマが出てきます。ですので、今、先生の話を伺ってから思ったのは、なるほど、その中で、キラッとしたもので、ちょっと後押しすれば動きそうなものにお金をつけるように意識をする必要があったんだなというのをすごく思ったんですね。ですので、例えば、財団の研究費も今どれぐらい枠組みがあるのか分からないですが、そうしたところ、多くのものを拾い上げていただくようなところに問題意識・目的意識を持っていただくような、行政的な支援といいますか、枠組みをつくるのも変な話なんですけど、財団の側でもそういったことを意識して財団をつくって研究費の支援をするような社会的な動きをつくっていくということは大事なんじゃないかなと思いました。もちろん、公的な研究費で若者のシーズを支援するような枠組みをしっかり増やしていくということも同時に大事だと思って聞いていました。ありがとうございました。参考になりました。
【倉永教授】  どうもありがとうございます。
【宮園主査】  それでは、鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】  ありがとうございます。大変いい議論があると思います。インパクトファクター的な文献というのは通過点でしかないと思っています。インパクトというのは別なところにあって、研究のインパクトをどうはかるかというところに私はすごく興味があるのですけれども、先生のほうで何か御提案というのはございますか。
【倉永教授】  はかり方ですか。それとも、進め方というか、発展の仕方ということでしょうか。
【鈴木委員】  指標をはかるという意味で伺いました。
【倉永教授】  多分、今後の予測をするということは恐らくAIなどでこれからできるようになるかもしれないのですけれども、予測のためにも、過去50年間とかのキーワード分析とか、そういうものがもしあったら、過去のことを遡ると、結局、それがどうなったか、成功したか、しなかったかとか、例えば、さっきの論文の話になってしまうとあれなんですが、ノーベル賞級のキーワード、萌芽的キーワードがどういうところから生まれてきたのかとかっていうのがある程度情報として蓄積されてくれば未来のことは、挑戦的な場合はなかなか分からないと思いますけれども、少し、方向性というか、どういったものが大きな成果にというか、インパクトのある成果に、社会還元するということがインパクトなのかどうか分からないですが、そういうところにつながるのかというようなことがキーワード分析によってなされていけばいいのではないかというのは、ちょっと思いました。
【鈴木委員】  分かりました。ありがとうございます。
【倉永教授】  ありがとうございます。
【宮園主査】  それでは、このセッションの最後ですけど、木下委員、お願いいたします。
【木下委員】  本当に包括的なまとめ、ありがとうございました。論文で評価するというのは私も非常に違和感を持って伺っていましたけども、結論に関しては、本当におっしゃるとおり、多様性は非常に重要だなと思いました。
 それと、たしか10ページのところでおっしゃっていただいたと思うんですけど、将来大きくなる可能性がある領域を見つけ出すのが難しいという、これは多分、非常に重要なことだと思うんですね。それにもかかわらず、いろんな審査をして選んでいるという、この矛盾を何とかしてほしいなというのは強く思っていて、それこそ、科研費の審査とか、いろいろやらせていただいていますが、採択率10%とかは、意味がないと言うと失礼ですけども、審査が有効に機能しているとは思えないですよね。だから、文科省におかれましては、ぜひ科研費の採択率にはすごく注意を払っていただいて、審査が意味のあるものになるように、ある程度、採択率を上げていかないと、3割でもちょっとなあというふうに実は思ってないではない。ばらまくのはよくないと思いますけども、4割、5割、採択率を上げて、その代わり、数を減らすか、それこそコスパがいいところにブレークダウンするかとか、やり方はいろいろあると思いますので、ぜひ、採択率を意識しながら、きちんとした、ばらまきでない形で、でも、多様性を増やすような、バランスのいい研究費の配分ができるようにしていただくといいなあと思いながら伺っておりました。どうもありがとうございます。
【倉永教授】  ありがとうございます。ばらまきでもいいぐらいかなと、私は思っていました。ただ、審査もある程度必要だとすると、AIとか、ノーガードの審査が、匿名とか、何か……。でも、やっぱり採択率を上げないと何とも……。
【木下委員】  ノーガードでも、多分、読めば分かるので、ちょっとそこは融通させて。僕も、ばらまきだと実は思ってないんですよね。大学にきちんとオーソライズされて雇われている以上、無茶なことは言わないだろうという信頼の下にもうちょっとばらまいてくれたほうがいいなあというのが、実は正直なところです。ただ、その代わりとして、批判もあるのは理解はしますので、採択率を上げるというのが一つの落としどころかなあと思っているので、ちょっと発言させていただきました。
【倉永教授】  全面的に同意です。ありがとうございます。
【宮園主査】  どうもありがとうございました。たくさんの御意見をいただきまして、ありがとうございます。時間の関係でこの議題はここで止めなきゃいけませんけど、何か御意見等ありましたら、メールでも結構ですので、事務局に送っていただければと思います。大変活発な御議論、ありがとうございました。本日の議論はここまでとさせていただきます。特に私からまとめはありませんけれども、大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。また、倉永先生、本当にありがとうございました。
【倉永教授】  ありがとうございました。
【宮園主査】  それでは、議題(2)に移ります。議題(2)は、これまでの議論の論点整理ということの1回目ということになります。まずは事務局より資料を説明していただきまして、その後、質疑応答に移りたいと思います。
 それでは、事務局から、よろしくお願いいたします。
【釜井ライフサイエンス課長】  宮園先生、ありがとうございます。若干、事務的には時間のほうは押しておりますけれども、以後の議題、後半の議題とかもうまく簡略化しながらやっていければと思っているところ……。
 すみません。文科省のライフサイエンス課長の釜井でございます。今、議論が結構活発で時間が押しておりますけれども、後半の話題もうまくコンパクトにまとめながらやっていければと思っております。それから、先ほど科研費の話題もありましたが、しっかり文科省として受け止めて、やっていければというふうに思っております。
 資料2のほうを御覧になっていただければと思います。これまでの議論をまとめたものでございまして、事前に各委員の先生のほうにはお送りさせていただいております。こちら、各先生がこれまで言われたことをベースにいたしまして、主査の宮園先生とも相談しながら作ったものでございまして、これで終わりということではなくて、夏頃の中間取りまとめに向けまして、追加していったりとか、あとは、表現がまだちょっとばらばらなところもございますので、直していければと思っております。
 ポイントだけ、御説明いたします。1ページ目のところで、課題認識・目的ということでございますけれども、ライフサイエンス研究、別に論文だけで研究をはかるものではございませんが、研究力のほうに大きな役割を果たしております。そういう中で相対的に日本の立ち位置というのも低下しているという評価もありまして、特に基礎生命系といったところは深刻になっているという意見もあるかと思います。少子高齢化が進んでいきますので、そういった中で生活の様式も大きく変わっていく。それから、これまで何度も議論がありましたけど、AIの進展など、ライフサイエンス以外の技術というのもかなり進展して、方法論も変わりつつあると。そういう中で、ライフサイエンスのほうの中長期的な視点、宮園主査のほうから、今後四半世紀の在り方などを骨太の形で議論のほうをしてきているということでございます。
 2ポツ目といたしまして、今後のライフサイエンス研究ですが、こちらは委員の先生のほうから提案があったものですけど、ライフサイエンス研究というのは、Curiosity(基礎研究の根幹をなす、生命現象解明への探究心)、Methodology(最新計測・解析技術が可能とする、生命科学への新展開)、Mission(ライフサイエンス研究として期待されている、健康・医療やバイオといった不可欠な社会ニーズへの対応・貢献)、この3要素が融合して、お互いに相乗効果を発揮していくのが、今後のライフサイエンス研究なんじゃないかということでございました。今日の議論でも、倉永先生、大曲先生のほうからも議論ありましたけれども、Missionと生命現象への探究心というのは結節点になるというのもありますし、それを実現して高度なものにしていくというのがまさに解析とか計測技術なんじゃないかというふうな考え方もできると思います。ただ、こういうワーディングでいいかというのも含めて、御議論のほうを今後いただければと思っております。
 上記の必要性やニーズということで、(2)でございますけれど、いろいろ生命現象解明のほうをされてきた点もありますが、高次の脳機能解明や、免疫、がんとか、まだ未解明の現象も多いと。それから、時間変化や老化・高齢化、時空間のほうで見たときのまだ未解明なところがあるということでございます。それから、前回でも御議論ありましたけれども、ディベロップメントも重要ながら、強みのあるディスラプティブ(破壊的)な研究を可能とする体制も重要なんじゃないかということでございます。
 2ページ目を御覧になっていただければと思いますが、こちらにつきましては、Methodologyのところで計測の話を言っていますけれども、シーケンサー、マルチオミックス、メタボローム解析とかありますが、それだけでなくて、数理、AIや通信、コンピューティング技術などが進展していく中で、特に、データが入る、要するに大量のデータとどういうふうに向き合っていくのか。それから、AIそのものが、今、研究手法のほうにますます多大な影響を与えることをどういうふうに対応していくのかと。特に、年齢で区切るわけではないのですけど、中堅から若手の研究者の先生ほど、こういったところについてどういうふうにやっていくのかということを多分深刻に、重要性とともに捉えているんじゃないかと思います。
 それから、Missionのところでございますけれども、健康・医療のところは言うまでもなく重要でございますが、健康という概念のほうの拡張ということだと思いますけれども、少子高齢化社会を迎える我が国におきましても、誰もが幸福感を感じつつライフサイクルを過ごせるようにというふうなお話もございました。それから、個別化医療(Precision-Medicine)や、予防医療・先制医療のほうにも個別化の流れが加わり、ある意味、いわゆるPrecision public healthなど、こういった要請もございます。それから、何度か複数の先生から御意見ございましたが、ライフサイエンスは、健康・医療のみに貢献するのではなくて、エネルギーや資源、バイオエコノミー・環境、農業、食料など、様々な社会課題解決に幅広く資するものでございます。
 (3)として、今後の潮流ということでございますが、この辺りからちょっとはしょって御説明しますけれども、縦糸型のアプローチのほうから、相互作用を加味したモデル、いわゆる横糸型の形成が必要なんじゃないか。それから、オルガノイドを含めて、ライフコースに着目した研究。それから、社会課題への対応といたしましては、ライフコース全体を俯瞰しつつ、幼年期の貢献から成長期の貢献まで含めるといいのではないかと。高齢化の視点のみならず、あらゆるライフステージのほうで対応していく必要があるんじゃないかということでございます。
 3ページ目に移っていただきまして、これも何度か御指摘いただきましたけれども、ライフサイエンスのCMM(Curiosity-Methodology-Mission)を達成していく上で、医学のみならず、情報、数理・AI、生物学といった多彩なバックグラウンドを持つ専門家チームが連携していく。いかにほかの分野の研究者の方から参画していただくかというのは重要だというふうに思います。
 具体的な対応方策として、基盤力のところでございますけれども、今日も御指摘ありました、基礎研究、人材育成、研究基盤の話ですが、基礎研究力のところにつきましては、裾野の長い基礎研究、それから、流行に左右されない研究が容認されていくという、多様性の話をちょっと書かせていただいております。それから、人材育成のところにつきましては、研究時間の関係、研究環境の関係というのもございますので、臨床研究系も含めてですけれども、こういったところにつきましては分析が必要かと思っております。
 4ページ目に移っていただきまして、これは1回目と2回目とかで比較的早めに論点として出たものを加えさせていただいておりますけれども、例えば四つ目の丸につきましては、今日もちょっと御議論ありましたが、待遇面の改善というのも大事なんじゃないかと。それから、最後の丸とかで言いますと、さきがけ、ACT-X、PRIMEなど、多様な視点から助言できて、コミュニティーのほうを形成するような、既存の取組もございますので、それも生かしていけばいいんじゃないかということでございます。それから、研究支援人材、データサイエンス人材につきましては、こちらに書かせていただいたとおりでございます。その他でございますが、必ずしも国の取組ではございませんが、学会のスリム化ですとか、そういったものも重要なんじゃないかという話でございました。それから、研究費の報告書の簡素化、経費の使途制限に伴う負担の軽減なども重要なのではないかということでございます。それから、ライフサイエンスの研究のほうも、長い期間の支援が必要になってきますが、途中で新たな知見や価値が生じるところもございますので、そういったところに柔軟に対応するようなところも必要なのではないかということでございました。
 5ページ目にお移りいただくと、研究基盤のところでございますが、コアファシリティ化の話、データの話、バイオリソースの話がございます。それから、バイオバンクの国際的なオープンポリシーの話につきましても、研究基盤の最後のところで、公平性・透明性を確保しながら公開・共有・非属人化を推進していくということも重要なんじゃないかという御指摘のほうをいただいております。
 6ページ目に移っていただきますと、基礎研究から社会実装、イノベーションへの実装、社会貢献ということでございまして、この辺りはもうちょっと書き加えられればと考えておりますけれども、基礎から臨床への橋渡し、それから、リバーストランスレーショナル、そういったところも書かせていただいております。それから、今日の議論とかでもございましたけれども、国費だけに頼ることではなくて、エンダウメントとか、寄附とか、そういったところもということでございます。あとは、一番最後ですが、ライフサイエンスと社会との関係ということで、ELSIの関係もちょっと書かせていただいているところでございます。
 その他の視点は、一部重複するところはございますけれども、前回まで、それから、倉永先生の御説明でもありましたような、特に若手、若手という言い方はよくないかもしれませんが、多くの研究者に広くファンディングを行う。それから、人に対するファンディングのほうが重要なのではないかということでございます。
 7ページ目のところは、国際展開、地域のライフサイエンスのところでございますが、もうちょっとアジアに着目していく必要があるんじゃないかということが国際のところではございましたし、地域のライフサイエンスのところにつきましては、計測機器とか解析機器が使えないがゆえにオープンアクセスになっていないと。それがライフサイエンス研究の中では致命的になるんじゃないかということがあるので、より一層、こういった基盤を拠点化し、共有していくべきではないかということでございます。
 以上、説明でございますけれども、2月以降もまだまだ、ライフサイエンスデータベースの話ですとか、個別論点もございますので、そういったものを追加していければと思いますし、夏に向けてよりよいものにしていきたいと考えておりますので、今後とも、御意見、御指導のほど、よろしくお願いします。
 説明は、以上でございます。
【宮園主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました点につきまして、これから御議論させていただきたいと思います。多分、たくさん御意見がありますと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。今日は、事務局から、私はまとめなくていいということで、これから継続して議論をしていきますので、ぜひ皆様の今回の感想をお聞かせいただければと思います。
 では、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】  ありがとうございます。非常によくまとめていただいて、ありがとうございます。先ほどの御発表も含めて、これからの日本の研究者に必要なのは多様性ということと、逆に言うと多様性を保持するためには研究者の地位とか経済的な面の確保というところも非常に重要になってくると思うのですが、多様性をどうやって増やしていくかというか、多様性を増やすという言い方もちょっとおかしいのですけれども、それは、いろいろお題目のようなことを言っていても、なかなか増えないと思うんですね。多様性を増やす一番のやり方は、日本はだんだんそうなってきていますけれども、もっと若い頃からあちこちに異動するべきだと思うんです。私、最近ちょっと気がついてきたのは、著名な教授、特に男性の御高齢の、60超ぐらいの、私がよく知っているのは医学部だけですが、医学部で教授になっていらっしゃる先生って、大半が最初の研修のときにちょっと市中病院に出たぐらいで、あと、留学しているぐらいで、ずーっと大学病院で過ごされている方というのがすごく多くて、あるときびっくりしたんですけれども、私はその中ではちょっと異様な状況になっていまして、大学こそ変わってませんが、医局は実は精神科から内科に変わっておりまして、今までのキャリアで、病院は、海外は留学なので働いていたわけではありませんけれども、海外も含めて6か所、あと、いわゆる中央行政あるいはその関連機関に3か所行ったことがありまして、そうすると、いろんな人と、いろんな職種の人と、仕事をしたり、研究をしたりしますので、いや応なく多様化してしまうんですね。そういういろんな経験をするということが、一つは重要だと思います。それを確保するためには、先ほど申し上げたように、ある程度、経済性がちゃんと保持されないといけないということがあります。特に医学部で問題になるのは、医師としては働く場合と研究者として働く場合の給与差があまりに大き過ぎて、本当は研究に行ったほうがよさそうな方であっても、医師として働いてしまうというところは問題があります。
 あと、私はライフサイエンスという意味で医学部の中しか知らないのですが、多様性がないということと、データサイエンスに対して今までの医学があまりに無知であったというか、医師のかなりの人たちが、データサイエンスというか、基礎的な、統計的な考え方についても非常にリテラシーが低いというのは事実でありまして、例えば、2015年頃からビッグデータとかいうのが急に話題に上がって、そうすると、病院の外の方々は、カルテの中にいろいろあるんだから、電子化しているんだから、電カルからデータを取ればすぐにいろんなことができるというふうにおっしゃるんですけれども、病院の中にいる者としては、電カルの構成と、その中に入っているデータの入れ方から考えて、そんなことはあり得ないということはすぐ分かるのですが、ですから、私は、2015年に、ビッグデータとか、そういうことを言い出して、電カルさえ使えばそれはすぐにできるというようなことを割といろんな方がおっしゃり出したときに、そんなことはないというのをあちこちで一生懸命言ったのですけど、当初は、ほとんど賛同を得てないというか、同じふうに考えている方というのが、特に委員会とかに出てこられている先生方ではあんまりいらっしゃらなくて、10年ぐらいたってから、要はフリーテキストで日本語で書いてあるものをデータ化するのは非常に難しいとか、実は電カルの中にデータが全部入っているわけじゃないとか、そういうごくごく当たり前のことをようやくみんなが真面目に議論するようになって、ですから、ようやく今、それの解決のために動き出しているのですが、そのために10年かかっているんですよね。それもこれも、多様性のなさと、あまりに医学系が閉じちゃっているような気がしているのと、あと、他の理工系、特にデータサイエンスとの接点がなさ過ぎたというのがあって、今、解決に向かっていると思いますけれども、多様化と言うのであれば、もっと人が動ける人事制度というのがもうちょっと確保されないと駄目なんじゃないかなというふうに思いました。具体策は、ぜひ文科省の方に聞いていただきたいと思います。
 以上です。
【宮園主査】  ありがとうございます。
 そのほか、御意見ございますでしょうか。
 上村委員、お願いいたします。
【上村委員】  上村です。この間の武部先生のお話と、今日の先生と、同じような感じだったと思うんですね。ですから、いかにスモールアイランドの独創的なものを選択して、それに、環境と待遇だと思うんですけど、かけていくかというのが非常に重要だと、お二人の意見を聞いて思ったのと、それがこういう形でライフサイエンスのほうでも言われていると思うんですが、どうしても論文志向となりますと、やっぱり大きいところに、日本だけいわゆるコンチネント型に非常に投資が多いということにもなってしまうし、そこは財団頼みというのもちょっとまずいと思うので、その辺は待遇と環境を両立していくというのが非常に重要かなと思うんですけど、そのときに、この間、武部先生もおっしゃっていたんですが、メンターの組織というのがとても大事だと思うんですけど、今日のライフサイエンス課長の釜井様がおまとめになった中ではメンターに対して書かれていなかったのですが、ここについてはどういうふうにお考えかというのをちょっと聞きたかったんですね。というのは、さきがけとかCRESTにおいてはアドバイザリーボードがあって、メンターの役目というか、ちょっと弱いですけど、そういう形になっていると思うのですが、ですから、そういう形をもうちょっと、組織的に考えていくいろんなものに対して、科研費とかにおいても、取った後のケア、そういうものも大事じゃないかなというふうに思うんですけど、その辺、どういうふうにお考えかをちょっと聞きたかったのですが、いかがでしょうか。
【宮園主査】  こちらは、文科省からコメントありますでしょうか。
 お願いします。
【釜井ライフサイエンス課長】  上村先生、ありがとうございます。実は私も前職の関係でさきがけとかCRESTとかの担当でありましたので、特にさきがけとかを中心にメンターの制度が非常に重要な役割を果たしているというのは、実感として伺っていました。ちょっと昔話になりますけれども、前々のライフサイエンス委員会の主査、中西重忠先生がライフサイエンス委員会の主査だったときにさきがけのメンターをしていまして、いかにさきがけがいい制度かというのをライフサイエンス委員会でも御発言されたときがあったんですね。メンターのところにつきましては、コミュニティーの方とも一緒につくり上げていかないといけない部分もありますので、ファンドと、それに相当するもので何ができるかというのも含めて、夏までに検討をしていきたいというふうに考えております。ありがとうございます。
【上村委員】  ぜひそこを考えていただきたいのと、あと、次の話題にもなるんですけど、例えば、アカデミア発のいわゆるスタートアップ、そういうのをつなげていけるときにも、私なんかは製薬会社だったのでさきがけのアドバイザーとかもやらせていただいて、いわゆる社会的なニーズにおいて何が大事かということもその中で言う機会があって、この間、武部先生の話にも、そういう方が来ていただいて、すごくサポートしてくれたというようなことをおっしゃっていて、財界の偉い人の中ではアメリカみたいに科学が分かる人はいないんですが、そういう出口を考えた考え方というのも非常に大事で、さきがけ、CREST、私は今、LEAPのPSをやっているんですけど、LEAPとかやっているときにも本当にそういうのが大事なんですね。そこはずっとアカデミアの1、2、3の積み重ねで行くんじゃなくて、アウトカムを意識した形で3、2、1という形で計画を立てていくというのが次の話題でも非常に必要だと思うので、その辺のトータル的な、アカデミア、スタートアップにつながるようなところも、多分、メンターの方たちから学ぶことはすごく大きいと思いますので、ぜひ力を入れてまとめていただければと思います。
 以上です。
【宮園主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、木下委員、お願いいたします。
【木下委員】  非常にバランスよくまとめていただいて、ありがとうございます。多分重要だなあと感じたところとしては、少子高齢化で人が減っていく中で人材育成をどうするかということで、そこもきれいにまとめていただいているかなと思います。特に、今の議論でもありました、さきがけ等のことを明記していただいたのは、とってもよかったなあと思います。
 一方、多様性が重要だということで学際的な人材を育てるといったときに、研究者以前のことの記載がちょっと欠けているのかなというふうに、見ていて思いました。それこそ大学の制度とかいうことにちょっと踏み込むようなことになるので、ひょっとしたらライフサイエンス委員会の所掌外なのかもしれませんが、多様なバックグラウンドを持った人材を育てるとき、一つはリベラルアーツみたいなことがもちろん重要ですし、もう一つはダブルディグリーみたいなことをそろそろ大学も踏み込んで制度化していくようなことを文科省が後押ししてもいいのかなあというのは実は思っていて、特にライフサイエンスなんかでバイオロジーとインフォマティクスというのがいつも議論になりますけども、それらがコラボするというのももちろん重要なことではあるのですが、両方の言葉がある程度分かる状態でコラボしたほうがより生産的ではありますし、それこそ若くてパワーがあるうちは1人で両方こなすというのもやられてもいいと思いますので、そういう意味で両方学べるような仕組みがもうちょっとシステマティックにできるといいのかなと。そういうところに関してちょっと言及があるといいなと思いました。
 以上です。
【宮園主査】  ありがとうございます。
 続けて、大曲委員、お願いいたします。
【大曲委員】  ありがとうございます。本当によくまとめていただいて、ありがとうございます。大変参考になりました。
 1点、視点として問題意識を持っているものを共有いたしますと、例えば、今、計測方法にしても物すごく進歩して幅も広くなっていますし、その内容を追いかけるだけでも大変ですし、バイオリソースへのアクセス、情報も含めてですが、これが非常に重要だというのは、コロナでもよく分かったところです。それも充実してきています。それらがあると大きな数のデータが取れるようになるわけですが、さっきも山本先生の御議論にあったとおり、これをどう使うかというのはまた別の話で、そうするとデータサイエンティストの出番ということになります。そういう人材はたくさんいるのかという話も出てきます。ということで、個別の領域でいくと、本当に指数関数的にといいますか、領域が発展している中で、今回、いろんな研究者の方々の話を聞くと、その中で大きな成果を出すということになると、それらをどうつなげていくのかというところが視点としては非常に重要になるんじゃないかと思います。その結果生まれてくる、我々の領域で言えば、新しいお薬とか、ワクチンとかあるわけです。ですので、こうした個別のところの重要性というのはこの文書は非常に強調してあって、そのとおりだと思いますが、書かれてあるのですけれども、僕、日本語が上手じゃないからかもしれませんが、それらの統合、ネットワークというのか、全体として一つで動く有機体というのか、エンジンというのか、そういったものを意識してつくっていく、その結果、成果を出すといった視点も重要だと思っておりますので、御提案をしたいと思います。
 以上でございます。
【宮園主査】  ありがとうございます。
 それでは、加藤委員、お願いいたします。
【加藤委員】  「今後のライフサイエンス研究とは?」のところで本当に漏れなくしっかりまとめてくださって、ほとんど追加するところもないかなと思いました。ただ、(3)の今後の潮流の中の「これらを達成する上での分野融合」のところで、ライフサイエンスのCMM、このCMMのまとめ方も非常にすっきりしていていいなと思ったのですが、医学から疫学までの多彩なバックグラウンドを持つ専門家チームが連携・糾合というふうに書いてあるのですけれども、脳科学の場合は、最初、1990年代の脳科学運動で医学・生物学と数理科学あるいは情報科学の融合ということを目指してやってきて、その後の10年、20年というのは人文・社会科学との融合ということも目指してやってきていると思いますし、科学技術基本法でも「人文科学のみに係るものを除く」という文言をわざわざ外していただいたということもありますので、人文・社会科学との連携というようなこともどこかに書いてあってもいいかなあというふうに思いました。
 以上です。
【宮園主査】  ありがとうございます。
 それでは、大津委員、お願いいたします。
【大津委員】  ありがとうございます。非常によくまとめていただいて、ありがとうございます。私自身、がんのほうのシーズ開発等で関わって、実用化のほう、非臨床から臨床まで関わっていまして、実用化研究の場合には、製造等の基盤さえできていると、ある意味、定型的な話が中心になると思うんですね。ですから、そこをやっていればやっているほど、本当の意味のディスラプティブなものがどれだけ出てファースト・イン・クラスというものにつながるかというところに行くのが非常に大事だと、本当に痛感しています。ただ、その中で心配しているのは、今、解析技術が進歩してデータが非常に増えているのは確かなんですけれども、そのデータシェアリングという観点において、日本のデータ自体に遅れがあると、結局、そこからディスラプティブに展開するのも難しいんじゃないかということで、ある意味、早い段階でのデータシェアリングをどうするか、あるいは、共同研究、企業も含めてどのようにつくっていくかということが非常に大事になると思いますし、海外の企業等といろいろ連携していると、次の議論になると思うのですが、スタートアップのところというのが日本と海外とではかなり格差がありますので、そこの強化というのは非常に重要なところではないかと思っております。
 私のほうからは、以上です。
【宮園主査】  ありがとうございます。
 あとお二人、手が上がっておりますので、順にお願いいたします。
 澤田委員、どうぞよろしくお願いします。
【澤田委員】  澤田でございます。どうもありがとうございます。非常によくおまとめいただいて、私も付け加えることはあまりないのですが、一言コメントさせていただきます。先ほどのお話でも、多様性を確保するために初期フェーズの研究をどんどん広げていく必要があるというお話がありましたが、日本の場合、スモールアイランドがなかなか、次のアイランドあるいはペニンシュラのほうになりません。孤立して、独立して研究が進んでしまうというところがありますので、他分野融合をどう進めていくのか、支援者、メンターなども必要になってくるでしょうし、御本人がダブルディグリーなどを持って、他分野の知識も持って、スモールアイランドからアイランドに拡大していくための手法・ネットワークを持つというプロセスを強化推進しないと先に進まないと思っておりますので、そのための支援組織あるいはメンターのようなものはぜひ考えていただければありがたいと思っております。それはスタートアップのところでも同様ですし、AIをどう使っていくのかというところに関してもデータの収集は非常に重要な観点になってきています。最終的な使い道を考慮してデータを集めなければデータサイエンスの方々があるいはAIが分析し易いデータにならないというところもありますので、ボトムアップだけでなく、解決したい課題のほうからのバックキャスト的な発想も加えていく必要はあるかなと考えております。
 以上でございます。
【宮園主査】  ありがとうございます。
 それでは、有田委員、お願いいたします。
【有田委員】  多様性を考える上で、医学との連携というのは非常に時間をかけて考えていかねばならないと思います。日本の教育制度だと、18歳で医学部を選んで、その人だけが医者になるという仕組みになっていますけれども、先ほども申し上げたような人口減少とか分野をまたぐということを考えると、例えば、社会経験を積んだ方が医学に戻るとか、医学研究を後から志すということができてしかるべきに思います。ですので、教育制度から、どうやって変えていくのか難しいと思いますけれども、ぜひ省庁横断型で考えていただきたいと思います。
 以上です。
【宮園主査】  ありがとうございます。
 それでは、最後に、西田委員、お願いいたします。
【西田委員】  ありがとうございます。今後の潮流ということで非常によくまとめられていて、面白く拝見したんですけれども、一つだけ出てこないタームがありまして、多分、進化的な側面というのが生物学にとって非常に重要だと思うんですね。時間変化という言葉は出てまいりましたけれども、生命とは何かとか、あるいは人とは何かという、ある意味、生命科学の根幹とも言えるところで進化ということは避けて通れないし、また、知的好奇心の中でもかなり大きな部分を占める部分であると思いますので、進化的なアプローチ、あるいは進化的な観点の生物学というのは非常に重要ではないかというふうに感じておりますので、少し検討していただければというふうに感じています。
 それから、全然違う観点ですが、まさにこれから生命科学を進める上では多様性が一番のドライビングフォースになると思いますけれども、逆説的に聞こえるかもしれませんが、枚挙の生物学、二、三十年前は生物学は枚挙学だからけしからんと言われていたのですけれども、枚挙していくって、一見、横に広がるようなことを徹底的にやることによって、ある意味、新しいことも生まれてくることがあるので、徹底した観測や観察や計測を枚挙していく、枚挙の生物学の復権というような観点もあるのかなというふうに感じています。
 以上でございます。
【宮園主査】  どうもありがとうございました。
 このほか、今日は御欠席ですけれども、金田委員から、CMMという三つの考え方に非常に同意するので、これを本質としてもっとブラッシュアップをしていく必要があるだろうということで、御意見をいただいております。
 まだまだ御意見あるかと思いますけれども、時間が大分過ぎておりますので、本日の議論はここまでとさせていただきまして、あくまで今回は1回目ですので、これからまた皆さんと一緒にブラッシュアップしていきたいので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、文科省から、どうぞお願いします。
【釜井ライフサイエンス課長】  宮園先生、ありがとうございます。今、宮園先生から御発言ありましたとおり、これで終わりということではございませんので、今いただきました意見につきまして、しっかり検討させていただきます。それから、後日、メールでもお送りいただければ、それを基にしっかり検討していきたいと思います。よろしくお願いします。
 私からは、以上です。
【宮園主査】  ありがとうございます。
 それでは、議題(3)の橋渡し研究プログラム(大学発医学系スタートアップ支援プログラム)の基本的な考え方についてに移ります。まず、事務局から説明していただきまして、その後、質疑応答に移ります。今日は、盛りだくさんで、12時を少し超過するかもしれません。その後の御予定がある先生には大変申し訳ございませんが、よろしくお願いします。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】  事務局でございます。本件の説明の前に、本日、この後、予算の説明を予定していたのですけれども、時間の関係もございますので、もしよろしければ、予算の説明のほうは資料配布のみにて割愛という形でもよいかというふうに思っております。それでは、スタートアップの資料を説明させていただきます。
 まず、参考資料のほうで配付させていただいております、事業の概要に関して簡単に触れさせていただければというふうに思います。こちらは、前回のライフサイエンス委員会でも説明いたしましたけれども、令和5年度の補正予算において152億円の基金という形で大学発医療系スタートアップ支援プログラムというものを開始しております。こちら、これまで橋渡し研究支援プログラムにおきまして、企業導出や医師主導治験を目指しまして実用化支援をしてきたのですが、昨今、スタートアップというルートによって医薬品の開発を行うことが非常に重要になってきているということがございます。また、スタートアップ一般への支援は様々あるんですけれども、医療系に関しましては、治験等を見据えた薬事規制対応等、そういった特別な支援が不可欠だろうということで、AMEDにおいてこういった事業をしていくことを考えております。
 また、よりレイターなフェーズにおいては経産省等の事業等あるんですけれども、文科省が所掌するようなシード期(非臨床段階)におけるスタートアップの支援に関してはまだ不十分であるという問題意識を持っておりまして、そこに関して、今回、てこ入れといいますか、新しい事業を開始させていただくという経緯でございます。
 以下、様々、事業設計を書いているのですけれども、この後説明する資料においてより詳細に説明しておりますので、こちらは割愛させていただければというふうに思います。
 資料3のほうに移らせていただきまして、こちらが本日御議論いただきます基本的な考え方でございます。こちら、公募要領ほど詳細にはなっていないですけれども、先ほどのポンチ絵よりも詳細に事業の設計に関して書かせていただいておりまして、こちら、ライフサイエンス委員会の皆様はじめ様々な方の御意見を伺った上で、文科省として正式に「案」を取った形で決めまして、AMEDにこのように実施してくださいというふうに依頼するという形にしたいと思います。
 事業の目的のところは、先ほど説明した内容と少しかぶってはきますけれども、スタートアップの支援が大変不可欠であるということがございまして、これまで医療分野の実用化にノウハウと実績のある橋渡し研究機関がございますので、そちらを活用しまして、また、柔軟かつ機動的な支援が可能な基金というものを活用しながら、スタートアップの起業に係る専門的見地からの伴走支援、非臨床研究等に必要な費用の支援、医療ニーズを捉えて起業を目指す若手人材の発掘・育成といったことを実施していく、そのことによって、最終的には自走可能な民間資金を獲得しまして、その上で大学発の優れた基礎研究の成果を革新的な医薬品・医療機器等として国民に提供する。そういった事業の目的を書かせていただいております。
 「なお」以下のところは補足事項でございまして、まず、4機関程度を最終的に選ぶことを考えているんですけども、それは、その選ばれた機関の中のシーズだけを支援するのではなくて、拠点内外のシーズを支援することによって、全国全てのスタートアップを幅広く支援していくということを書かせていただいています。また、こちらは「大学発」という名前を書いておりますので、国研ですとか公的研究機関は対象外なのかという疑念を時々持たれますので、広くアカデミア発の研究成果を実用化するものを含むといったことを書かせていただいているのが1番でございます。
 2番でございますけれども、こちらはより具体的な事業の実施の構成でございまして、(1)は、既に認定を受けている橋渡し研究支援機関の中からスタートアップ支援拠点というものを選んでいくということを書かせていただいております。ただ、こちらは機関によって状況はまちまちだと思うんですけども、これまでの橋渡し研究支援拠点の中には、事業化やスタートアップといった経営的な支援はあまり得意ではない機関もあるかと思いますので、そういった機能も果たせるように、拠点内外の、機関内外の他組織と連携することとすると、そういったことを書かせていただいています。
 (2)に関しては、どのような体制を整備するかというところでございまして、「専門的見地からの伴走支援等を行うための体制を整備する」ということを書かせていただいています。こちらは、「伴走支援等」と言った場合に、まず、審査の面において、医学研究上の革新性だけではなくて、事業としての将来性、経営としてどうやっていけるかといったことも見据えた視座で議論をしていくと。また、「事業計画の立案等に係る伴走支援を含む」ということを書かせていただいておりまして、こちらは、これまでから橋渡し研究機関で行っていた医学的な支援だけではなくて、スタートアップというものを見据えて経営上の支援というものもしっかりできていくようにと、そういったことを少し強調して書かせていただいております。
 続く箇所では、「(3)で選定された課題」に対して、先ほど申し上げた様々な支援をしていくと、その上で、本事業の実施期間は5年間となっておりますけども、その期間の終了後もスタートアップへの支援を継続できるような体制を構築すると、そのように書かせていただいています。
 (3)のところは、ページをまたいで恐縮ですけれども、どういったシーズを対象とするかといったことを書かせていただいておりまして、一つはハイリスクなシーズであるということ。スタートアップでなければ実用化できない課題であることが重要かと思っておりまして、新規モダリティの要素が含まれるなど革新的であり、実用化までのリスクが高い、そういったシーズというものを対象としていくといったこと。また、もう一つ、橋渡し研究支援拠点という非常に専門性の高い機関を使って実用化を図っていく以上は専門性の高い伴走支援が必要と考えられる課題を対象とすると、そういったことを書かせていただいています。こちらは、追って詳細は説明しますけども、3種類のシーズを設けまして支援していくということとなっております。
 3番はどのような体制で事業を実施していくかという実施体制のほうでございますけども、(1)は、AMEDにおいて、PS・PO、また、それを支えていく科学技術調査員の方ですとか、そういった体制を整備していくということです。
 また、(2)に関しましては、各拠点が孤立して支援するのではなく、AMED、文科省、その拠点、その他、事業関係者が参加する推進会議を開催しまして、その会議に限られませんけども、様々、事業の中の連携・協力といったものをしていくということを書かせていただいています。
 4番は支援拠点に求める機能でございまして、こちら、今後、審査等でしっかり見ていかなければいけないところかと思うんですけれども、(1)は体制の整備ということで、先ほど少し申しましたとおり、経営・資本戦略、事業化戦略等、民間人材等が持っていますようなビジネス面での能力を備えた体制をまず整備していただくということ。それから、マル2のところは、最終的にはスタートアップが自走可能な民間資金を獲得して、文科省の事業の支援がなくとも自ら経営していくということを目標とするものでございますので、そのためには早期からベンチャーキャピタル等との対話、コミュニケーションが必要かというふうに思っておりまして、拠点においてもそういったVC等のコネクション、ネットワークを持っていただくといったことを求めております。マル3、マル4は、これまで橋渡し研究支援機関でも持っていた能力の強化でございますけども、研究課題の発掘、伴走支援、また、製造開発の支援体制等、実用化のための機能というものをしっかり持っていただく、必要に応じて強化していただくといったことを想定しています。
 (2)は、何をするかというところでございまして、研究課題の発掘・選定、事業化戦略等に関する伴走支援、開発戦略に関する策定支援、また、スタートアップに関しましては、市場の状況はどうか、競合品はどうかというのは重要ですので、そういった調査をしていくといったことでございます。また、マル5のところは少し厳しい表現になっているかもしれませんけれども、スタートアップはなかなか、審査のときにはよいものだったとしても、その後、進捗が厳しい、もしくは競合品が出てしまうといったことはあり得ますので、より有意義な、見込みがあるような課題に対して支援を集中できるように、厳格な進捗管理を実施していくといったことを書かせていただいています。
 5番のところは支援の内容でございまして、先ほど名前だけ申し上げた、S0、S1、S2に関しまして、詳細を書かせていただいています。S0は、人材育成という側面を持っている若手人材の発掘・育成のことでございまして、拠点のプロジェクトマネジャーが自身で支援したい若手人材・チームを選定しまして、研究費の支援と伴走支援を並行して実施していくと。そういったものを想定しています。S1に関しましては、起業を目指す、起業の前の研究者の支援でございまして、フィージビリティ・スタディですとか人材の確保等、そういった起業の前段階で必要な支援というものをしていくということを考えております。金額は数千万円程度というふうに考えています。S1は最終的に起業する段階まで出していくんですけれども、起業した後、自走可能な資金を得るまでの間も特に医療系に関しましては多くのスタートアップが苦労するところだというふうに聞いておりまして、こちらはしっかり支援したいというふうに思っています。それがS2でございまして、非臨床研究等に必要な支援等、そういった起業直後の段階での支援をさせていただいております。経産省の事業等ですと数十億円単位の支援というものが一般的かと思うんですけども、そこに至る前の数億円単位の支援をしまして、自走可能な民間資金の獲得につなげていきたいと考えています。
 (4)は、少し細かいところではあるんですけども、費目、何にお金を使えるかというところでございまして、事業化マイルストーンと研究開発マイルストーンを設定していただきまして、S1、S2は、事業化マイルストーンの達成に向けた経費に使えるようにしていただく。ただ、S0に関しましては、まだ研究開発段階にあるということを踏まえまして、事業化マイルストーンの達成に限らず、研究開発マイルストーンを達成するための研究活動に係る経費を計上可とすると、そういったお金の使途に関して書かせていただいています。
 ここまで、ある程度具体的なイメージが湧きますように金額及び支援期間といったものを書かせていただきましたけども、こちらは、これに限るというものではございませんで、モダリティによって、また、個別の課題によって状況は様々だと思いますので、合理的な理由がある場合には期間及び金額に関しまして柔軟に支援が可能であるということも書かせていただいています。
 また、スタートアップに関して様々な意見交換等をする中で人材育成が極めて重要だという話もよくございましたので、そちらも盛り込んでおりまして、スタートアップ支援拠点に選ばれた拠点においては、このような人材育成プログラムを実施していただきたいということを書かせていただいています。
 また、7番に関しましては、本事業の成果指標でございまして、こちらは起業を掲げた事業であるんですけれども、起業自体を指標としてしまいますと、今後の見込みがあるかどうかにかかわらず、起業自体が自己目的化してしまうということは事業設計としてよくないかなというふうに思いますので、起業の数の把握はするとしても、本事業の成果指標としましては民間資金の獲得割合とすることを考えております。獲得割合だけでは、金額や件数などもある程度分からないとその後も把握はできないかと思いますので、(2)のところで様々なモニタリングをする指標というものを書かせていただいています。モダリティですとか課題によって金額ですとかはかなり変わってくるかと思いますので、最終的に事業は目標を達成したかという成果指標は獲得割合としつつ、様々な情報を取得しまして総合的に評価していくということを考えています。
 8番はよりテクニカルなところでございまして、(1)は、基金という形を取りますので単年度の予算にとらわれずにできますので、その財源を生かしまして、空白期間が生じないようにすること、また、支援の加速・減速、打切りや計画変更等、様々な柔軟かつ弾力的な支援ができることをしっかり活用していただきたいということです。今回、本基本的な考え方を文科省として定めますけれども、事業の状況の変更が生じましたら修正することももちろんあり得るということを(2)で書かせていただいています。
 (3)に関しましては、先ほど成果指標を述べましたけれども、あちらは事業の評価のために3年間・5年間といったスケジュール感で評価できるものを書きましたが、この事業が目指していくのは、薬となり、もしくは医療機器として開発がされ、実用化され、それが患者さんに届いていくということが本来の目標でございまして、3年・5年で分かる民間資金の獲得状況は、まだ途中経過にすぎないですので、事業終了後も、その後どうなったのかをしっかり追跡していくということを書かせていただいておりまして、それには拠点にも、支援を受けた方々にも協力いただきたいということがマル1です。また、マル2は国際展開のところでございまして、昨今、医薬品・医療機器の実用化に当たりまして、国際展開は重要、時には不可欠とも言えるかと思うんですけども、国費を使った支援でございますので、将来的には日本の患者さんのために役立つように成果還元がなされるよう努めること、国際展開は重要ですけども、最終的にアメリカだけで終わってしまうようなものにならないようにしていきたいということを書かせていただいています。
 9番、こちらが最後でございますけれども、今後、AMED、文科省でそれぞれ評価していくということを書かせていただいています。文科省の評価する場といたしましては、ライフサイエンス委員会において橋渡し研究プログラムと一体的に評価していただくことを考えておりまして、数年後、ライフサイエンス委員会において、この事業がうまくいったかどうかを扱っていただきたいというふうに考えております。
 事務局からの説明は、以上でございます。少し早口になってしまいまして、失礼いたしました。
【宮園主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明内容につきまして、御質問やコメントがございましたら、お願いいたします。なお、この資料は、公募における個々の拠点の評価に直結するようなものではありませんけれども、審議会における議論の中立性に疑念を持たれませんように、各拠点の立場からではなく、事業全体としていいものとしていくという観点から御発言をいただきますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。
 上村委員、お願いいたします。
【上村委員】  どうもありがとうございました。私、幾つか質問があったんですけど、いわゆる単年度ではないということと、拠点以外のプロポーザルもピックアップすると。あと、事業後のトレーシングをするということで、これは今の御説明で納得したんですけど、まだ疑問が残っておりまして、一つは、医薬品を開発するにおいては、いわゆるアンメットニーズに対して、どのぐらいはまるかという、そこでかなり決まってしまうんですね。今までいろいろなファンディングをしてきて、アカデミア創薬のスタートアップの一番難しいところは、皆さん、それぞれシーズがあるんですけど、調査が非常に甘いというところがございまして、アンメットニーズに対して、どこにはまるのかというのをきちんと、どこにやったら自分のシーズが生かされるかというところを一番最初にどうしてもやっていただかなきゃいけないと思って、そこに関しては、製薬協がそういうチームをつくっていて、どういうふうにアンメットニーズがあるのかというのを毎年出しているんですね。そこのところにきちんとアクセスして、最初に提案するときに、ここにはまるんだということをやっていただくような仕組みが必要だと思うんですね。そうしないと、いくらシーズがよくても、最後、これは絶対失敗しますよ。そういう形にあって、その後の橋渡しの、最後に製品化するところもそうですし、キャピタルがファンディングするときにもつきませんので、そこのところを、一番最初のところをやっていくのが必要だと思うんですけど、それに関しては、文科省の方、いかがでしょうか。
【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】  御指摘、ありがとうございます。おっしゃるとおり、初動の段階で、どのようなニーズが見込まれるか、もしくは市場においてアンメットであるということが大変重要というふうに考えておりまして、幾つかそれに対応する記載があるかと思います。一つは、4番の(2)のマル4のところに書かせていただきましたけれども、拠点においてしっかり市場・競合品調査、ニーズ調査といった、単に革新的なシーズだけではなくて、市場においてうまくやっていけるようなものであることをしっかり調査する機能を持っていただくということを書かせていただいています。また、先ほど製薬協の話もおっしゃいましたけども、各拠点においてのみの能力を持ってニーズ調査というものが完遂できるということもないかというふうに思っておりまして、拠点内外の各機関と連携して、また、時にはAMEDにおいて専門的な知見を提供するなどして、研究者の方々というのはニーズの調査に関しまして自ら判断するのはなかなか難しいことも多いかと思いますので、そこを支えるような、拠点、AMED、拠点外の機関というものを合わせまして、アンメットニーズは何かといったこと、それに対してどのように適合するのか、うまくいくのかといったことを、審査の段階でも、また、その後、伴走支援していく段階でも確かめていくこととしています。そして、もしこれはうまくいかないというふうになった場合には、厳格に進捗管理を実施していくことも記載しています。
【上村委員】  アンメットニーズというのは、ほかで薬が出ちゃった場合、いわゆるサブマリンでやっていたものが出ちゃった場合は、そこでクローズするという勇気も必要になってくるんですね。ですから、プロジェクトをやったら最後まで走るんじゃなくて、アンメットニーズがなくなったらそこでやめるという決断も非常に大事なんですよ。ですから、そこは製薬協とタッグをちゃんと組む必要があって、今まで各拠点に任せていると、本当に甘くて、全然、製薬会社のレベルを満足するような調査ができてこない反省もありまして、そこが間違っちゃうと本当に効率の悪いファンディングになってしまいますので、そこのところを非常に厳しくやっていく必要がございますので、ぜひ、その辺は、製薬協も利用した形というか、活用した形で御提案に結びつけていただけるのがいいんじゃないかと思うんですね。1社1社ですといろいろもくろみが入ってきますので、どんな会社でも自分が成長する領域ってありますでしょう。だから、そこにもくろみが入ってきちゃうとフェアな判断にならないので、ああいうオーガニゼーションみたいなところを使うというのは一つの手段かと思いますので、ぜひ御考慮ください。
 以上です。
【宮園主査】  どうもありがとうございます。文科省、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、宮田委員、お願いいたします。
【宮田委員】  宮園先生、ありがとうございます。今回の文科省に加えて、経産省のほうもここ数年間で数千億という大きな金額が動くので、ぜひ、将来の日本のためにつなげていただきたいと思います。ただ、今まで我々が議論していた研究とは違って、事業というか、ビジネスに関わってくるので、質的にかなり変わってくるんだと思うんですね。ですので、その辺りは、本来、ほかの事業ですと事業で完結になりますが、これはそもそも人材育成と基盤整備だと思っておりますので、もう少し長期的な視点で体制をつくったり、評価の指標をぜひ考えていただきたいと思います。先ほど若手の人材育成の話がありましたけれども、これは究極的に言えば支援機関の橋渡しの育成にもなりますし、また、PIの方たちの、若手を含めて全員を対象として人材育成になっていると思いますので、そういう意味では、この事業自体が人材育成をしっかりできる、むしろ、機関内での成果というよりは、その先につながるものをしっかりと見据えるというのが成否につながると思います。
 具体的には、例えば橋渡し拠点でも、これまでは臨床試験の支援が中心だったので、ここに来て急遽スタートアップということで、恐らく、今、キャピタルマーケットの人材を含めて取り組んでおられると思いますが、本当にこれからのことなので、しっかりと、ここに書かれている厳格な進捗管理、そういうことでは恐らくPIの先生の人材育成にはならないので、例えば、マイルストーンも一緒になってつくってくるとか、いろんな課題・問題点が途中でいっぱい出てきたときに柔軟に対応して、いわゆるメンタリングみたいな形で一緒になって考えて乗り越えていくような体制にしないと、恐らく、PIの先生方から提案されたマイルストーンを一方的な進捗管理をしても、双方、あまりいいことはないと思いますので、むしろ支援の方たちが、当然、キャピタルから来た人たちが大学の先生を支援するといっても当初は戸惑うと思いますので、そういったハンズオンの在り方というのをしっかりやっていただくといいかなと思っています。また、PIの方も、研究費の獲得ではなく、恐らく文科省さんの狙いとしては、将来的に民間から投資を受け自立できるようなPIを育てていくということにあると思いますので、評価指標も、5年間で拙速にスタートアップをつくったとか、そういう指標というよりは、もう少し長期的な指標で、独り立ちができて、国の公的資金に加えて民間投資のお金をうまく集めながら社会実装していけるような一部の人たちをうまく育てていくというような、ぜひ、そういった事業にしていただきたいと思います。ですので、成果というよりは、しっかりして最初から枠組みをつくって、橋渡し機関、PI、それぞれがこの期間の中で育成されて、この事業後につながっていくような枠組みというものをぜひ考えていただけたらいいんじゃないかと思います。
 以上です。
【宮園主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、鹿野委員、お願いいたします。
【鹿野委員】  ありがとうございます。今、お二方の委員からも御指摘ありましたが、伴走支援とか、支援する体制は非常に重要だと、私も思います。私はAMEDの幾つかの事業の委員をやらせていただいているのですが、その中で、伴走している製薬会社のOBの方なんですけど、どことは申しませんが、すばらしい人がいて、某プロジェクトはすごく理想的なアカデミアのシーズが実用化に向かって走っているというのを先日確認できました。個々の製薬企業になるとそれぞれ会社の事情もあっていろいろ難しい部分も出てきますので、例えば、製薬企業OBであるとか、ベンチャーキャピタルの人も含めてなんでしょうけども、支援体制の人材プールみたいなのをつくってマッチングみたいなのをする機能、AMEDのほうでやるんでしょうか、そういうのをやってもいいのではないかと思いました。
 私が見た例では、大学院の学生が実質的に事務的な部分も含めてPI的なことを独りでやっているんですよ。本人はそういうのに非常に興味があったというのもあったんですけど、それは全部、製薬企業のOBの方が指導をして、こういうふうにする、ああいうふうにするとか、あと、関連するような、いろんな試験機関なんかの紹介もして、これはすごい理想的な進め方ができているなあということで、先ほど上村先生からもあったニーズですね。この技術は、どういう治療薬、どういう医療に生かせるかというところも提案をして、そこのデータも取っていくということをやっていました。ですので、もう既に何社か製薬企業から、共同研究、投資の依頼が来ていて、悲しいことに日本企業と海外企業では額が1桁違うということで日本企業とのタイアップはならなかったようなんですけども、そういうことを見ていると、どういう伴走の仕方をするかというのは非常に重要になるので、ぜひ、いい伴走ができる方をプールして、幾つかのプロジェクトを指導してもらえるような、もしかすると伴走者への研究費といいますか、サポートも含めて、何か御検討いただけるといいのかなと思いました。
 以上です。
【宮園主査】  ありがとうございます。
 それでは、大津委員、最後ですが、お願いいたします。
【大津委員】  ありがとうございます。非常に重要な事業になると確信しております。私は厚労省側のプログラムのほうでやっているのでちょっとあれですけども、基本的に、厚労省側のプログラムで言うと、ある程度、臨床が見える近いところからは完全にベンチャーの伴走ということをかなり、デューティーではないですが、そこがないと厳しいという話に既に変えていまして、実際、ベンチャーの伴走がつくか、つかないかで、そこから先のスピードが全然違うのと、あと、クオリティーも違うということ。それから、先ほど鹿野先生もおっしゃったように企業のOBの人材とかでその辺に関わっている方がかなり増えてこられているので、ニーズ調査等もかなりしっかりしてきているんですね。ですから、その辺が入ってくると本当の意味の実用化にかなり近づいてくるんじゃないかなと、非常に期待しております。
 その中で、今回のこの中の体制等を拝見すると、民間人材を積極的に登用するというのはいいとは思うんですけれども、ただ、今の体制は、我々もそうですが、恐らく大学とかも、給与制度等々の難しさもあって、完全に中で雇用するというのは難しいのかなというふうに感じています。一方で、今は大手も結構、スピンアウトベンチャー的なところがかなり増えてきていて、そういったところとコラボとか伴走していただいて、あるところからそちらに導出するのか、それとも、自らでそこから先をやっていくのかというところの選択にもなってくるんじゃないかなというふうに感じておりまして、ですから、民間人材を積極的に登用するということは分かるんですけれども、実際上、中で雇用するのか、せめてフルサポートとか、そういった形になるのか、中での人員要件とかっていう話になると難しい部分が生じてくるかなというふうには感じています。それ以外は、これは絶対、シーズ開発の成否を決める上で極めて重要な部分かと思っております。
 私のほうからは、以上です。
【宮園主査】  どうもありがとうございました。
 まだ御意見あるかと思いますけれども、時間を過ぎておりますので、ここまでとさせていただきまして、もし何か追加で御意見等ありましたら、メール等で御連絡いただければと思います。
 文科省から、コメントございますでしょうか。
【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】  ありがとうございます。本日は、お時間ない中でございましたけれども、様々な御意見をいただきまして、ありがとうございます。特に、体制の整備と伴走支援について、すなわち、民間出身の方とともに伴走支援をしていく体制をとることが非常に重要だということについて御意見いただいたというふうに思いまして、そちらは、我々のほうでも留意して、しっかり検討をしてまいります。こちらの事業は、体制整備に関しても機関に一定の金額を補助することとしておりまして、そういったものも活用いただきながら、これまでにない支援をしていくことになるかと思いますけれども、しっかり成果を出せるような、成功していくような支援となるように、我々としてもAMEDさんとも協力しなから取り組んでいきたいというふうに思います。
 本日いただいた御議論を踏まえまして、資料につきましては必要に応じまして修正させていただきまして、本事業の効果的な実施に向けて引き続き取り組んでいきたいというふうに思います。
 事務局のほうから、この議題に関しましては、以上でございます。
【宮園主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、議題のその他は今日は割愛させていただくということになりましたので、本日予定しておりました議事は以上となりますが、委員の先生方から、ほかに、御意見、御質問等、ございますでしょうか。
 特にございませんでしたら、本日のライフサイエンス委員会はここまでといたしますが、事務局から連絡事項をお願いいたします。
【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】  事務局でございます。本日は、大変有意義な御議論いただきまして、誠にありがとうございました。議事録につきましては、事務局作成の案を皆様にお諮りし、主査の御確認を経た後、弊省のホームページにて公開いたします。
 次回のライフサイエンス委員会は、2月16日、金曜日、14時から16時を予定しております。詳細な議事等は、追って御連絡させていただきます。
 事務局からは、以上でございます。
【宮園主査】  どうもありがとうございました。
 今日は、皆様から大変活発な御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。もう少し皆様の御意見を時間をかけてお聞きするべきだったところ、まだ御意見あるかと思いますが、御容赦いただいて、繰り返しになりますが、メール等でも御連絡いただければと思います。
 では、ライフサイエンス委員会、本日はこれにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――


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