宇宙開発利用部会 将来宇宙輸送システム調査検討小委員会(第5回) 議事録

1.日時

令和2年4月27日(月曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 宇宙基本計画(案)(令和2年4月6日内閣府宇宙開発戦略推進事務局)における将来宇宙輸送システム研究開発について
  2. 将来宇宙輸送システム調査検討小委員会提言(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

主査 遠藤 守
主査代理 永田 晴紀
専門委員 有田 誠
専門委員 石井 由梨佳
専門委員 石田 真康
専門委員 稲川 貴大
専門委員 大貫 美鈴
専門委員 神武 直彦
専門委員 齊藤 靖博
専門委員 竹森 祐樹
専門委員 中村 裕子
専門委員 野口 裕一
専門委員 兵頭 翔洋
臨時委員 松尾 亜紀子
専門委員 山崎 直子

文部科学省

研究開発局長 生川 浩史
大臣官房審議官 岡村 直子
研究開発局宇宙開発利用課企画官 原田 大地
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 渡邉 真人
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 岡屋 俊一

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 研究開発部門 第四研究ユニット ユニット長 沖田 耕一

5.議事録

【遠藤主査】遠藤です。時間になりましたので、将来宇宙輸送システム調査検討小委員会第5回を開催させていただきたいと思います。
 本日は、こういう形で、コロナ対策ということでオンラインでの会議になります。私も含めて皆さんも勝手が違って、なかなか進行がうまくいかないこともあるかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず事務局から本日の会議に関する確認事項等をお願いいたします。
 
【原田企画官(事務局)】ありがとうございます。文部科学省原田でございます。
 後ほど御覧いただければと思いますが、参考の2で運営規則を添付させていただいておりますけれども、こちらを改正させていただきまして、オンラインでの会議をこのように開催可能とさせていただいております。
 本日は、ただ今遠藤主査から御説明いただきましたように、オンラインでの会議進行とさせていただきます。本日は、小委員会に御所属いただいております16名の委員のうち、現在15名のようです。したがいまして、本日は、運営規則に定める定足数の要件を充足しております。よって、本日の会議が成立していることを報告いたします。
 また、本日の資料ですが、事前送付させていただいておりますように、議事次第の4.が資料の一覧となっております。
 オンラインの状況につきましては、音声がつながらないなどの問題点がございましたら、事務局へメールなどで御連絡をいただければと思います。オンラインシステムの運用上の注意などにつきましては、あらかじめ送付いたしました運用の手引きを御覧いただければと思います。今回のこのような形の開催は初めてということで、いろいろと不手際があるかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
 事務連絡は以上でございます。
 
【遠藤主査】それでは、1番目の議題に入りたいと思います。議題は「宇宙基本計画(案)における将来宇宙輸送システム研究開発について」です。
 これは、3月末に内閣府が宇宙基本計画の原案を取りまとめまして、4月6日から外部に公開して、現在パブリックコメントということで、既に御覧になっている方もいらっしゃると思うのですけれども。この現状の宇宙輸送関連の内容につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
 
【原田企画官(事務局)】はい。文科省の原田でございます。
 もし可能でしたらお手元のメディアファイルがございましたら資料5-1です。また、恐れ入りますが、恐らく参考1という内閣府が作成した資料が宇宙基本計画の概要としてございますので、そちらも可能でございましたら御参照をいただければと思います。
 現在、宇宙基本計画の改定作業が進んでおりまして、先般内閣府から4月6日付でパブリックコメントが行われております。こちらの方で御覧をいただければと。もう皆さんは既に御承知と思いますけれども、宇宙基本計画は全体で大きく4つの章からなっております。1つ目が、宇宙政策を巡る環境認識です。こちらは参考1で御覧いただけると思いますけれども。また恐らく行ったり来たりするとあれなので。
 環境認識としては主に7点ほどございます。従前の宇宙基本計画と同様に安全保障における宇宙空間の重要性の高まり。また、2つ目としては、社会の宇宙システムに対する依存の高まりということで、災害対策や気候変動問題などの取組に宇宙が活用されているという状況があります。また3つ目としては、様々な宇宙空間の持続的かつ安定的利用を妨げるリスクの深刻化が進んでいます。4つ目としては、諸外国の宇宙活動が活性化しています。例えば、欧米だけでなく、中国やインドの活動が急速に存在感を増しているという点です。5つ目としましては、民間の宇宙活動の活発化があります。6つ目としましては、様々な宇宙活動の広がりということで、サブオービタル飛行やデブリ除去サービスなどです。また、国際宇宙探査といった大きな動きも今は動き出そうとしています。7つ目としましては、科学技術の急速な進化などがございます。小型であるとか低コスト化などの新しい技術、あとAIや量産化などという、そうした新たな技術の展開があるということです。
 2つ目です。5-1を御覧いただければと思います。「2.我が国の宇宙政策の目標」ということで、大きく2つのカテゴリーがございます。1つが多様な国益への貢献という点と、2つ目が産業・科学技術基盤を始めとする我が国の宇宙活動を支える総合的基盤の強化といった構成となっております。「2.我が国の宇宙政策の目標」の全体的目標の中にも、基本的な宇宙活動が社会を支えるといった、社会を支える宇宙活動で基本的な役割を果たすのが人工衛星であり、また打ち上げに必要不可欠なのが基幹ロケットであると。まして、それを我が国自身が自立的に開発できる能力を継続的に強化する必要があるといったところが、冒頭に記述されているところでございます。
 宇宙政策目標2つの柱立てのうち、多様な国益への貢献には4つのカテゴリーがございます。1つが安全保障、2つが災害対策・国土強靭化や地球規模課題の解決、3つ目が宇宙科学・探査、4つ目が経済成長とイノベーションの実現となっております。
 2つ目の柱の「産業・科学技術を始めとする我が国の宇宙活動を支える総合的基盤の強化」というところで、これらが(1)の安全保障や地球規模課題、あるいは経済成長とイノベーションといったものを支える総合的基盤をしっかり強化していく中に、そういった戦略の中に宇宙活動の根幹となるような宇宙輸送システムの高度化ということも含まれております。
 資料5-1の真ん中の方に基本的なスタンスがございますが、こちらは割愛をさせていただきます。出口主導であることや、友好国や同盟国としっかりと連携していくということが3つ目として触れられております。
 4.の中に宇宙政策に関する具体的なアプローチの考え方が載っており、こちらの方に各分野における具体的な政策や事業といったものが記載されています。その「4.宇宙政策に関する具体的アプローチ」の中の「(5)産業・科学技術基盤を始めとする宇宙活動を支える総合的な基盤の強化」の中身として、基本的な考え方の中にも宇宙輸送システムについて国内外の技術や市場や政策に関する調査分析の下、我が国自身が自立的に開発・運用できる能力をしっかりと継続していくといった趣旨のことが記載されております。
 そのうち主な取組として、最初ここに載っているのがまず基幹ロケットです。資料5-1の2ページ目を御覧いただければと思います。丸2のi.のところで基幹ロケットでH-ⅡA/Bロケット、H3、イプシロンロケットの開発・運用というところが1つ目の柱としてきております。
 その中には、当然、現在開発中のH3ロケットの完成も含めて、基幹ロケットの開発・高度化などを継続的に進めるといったことです。
 官民の分担を整理しつつ民間移管を進めながら、基幹ロケット技術の継承を着実に行うとされております。
 そして2つ目でございます。将来の宇宙輸送システムの研究開発ということで、この部分は本小委員会のある意味中間的な報告をさせていただいておりまして、本小委員会の議論が反映されたものとなっております。残りを全部読み上げることはいたしませんけれども、小委員会の検討の中途経過を3月上旬の内閣府の関係部会に事務局として御報告をさせていただき、この将来宇宙輸送システムの研究開発をしっかりとやるということです。
 小委員会の途中経過でございますけれども、抜本的な低コスト化を目指すような革新的な将来宇宙輸送システムの実現を目指した研究開発を進めるといったことで、例えば本小委員会でも後ほど御議論いただきますけれども、ロードマップの策定や産学官の幅広い主体が参画した推進体制の構築などがこういった形で明記されておりまして、小委員会の御議論が、今はパブコメ中ですけれども、原案においてもしっかりと反映していただいているところでございます。
 参考には最後の9ページでございますけれども、簡単に掲載させていただいておりますが、将来宇宙輸送システムの取組が本小委員会の議論のある意味方向性としてうまく打ち込むことができたということで、御報告をさせていただくものです。
 事務局からは以上でございます。
 
【遠藤主査】ありがとうございました。
 ただ今の御説明に対して、御意見あるいは御質問がございましたらお願いいたします。事務局からもありましたように、オンラインですので御質問がある方はまずお名前を言っていただきまして、私の方から指名させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 よろしいでしょうか。それでは、次の議題に移りたいと思います。
 では、引き続き、2番目の議題に入ります。「将来宇宙輸送システム調査検討小委員会提言(案)について」でございます。これまでの4回の小委員会とメール等も含めまして議論を踏まえた本小委員会の提言として、今後設定していくロードマップの視点について、内閣府の部会や先月の宇宙開発利用部会での書面審議を踏まえて、事務局が案を制作しておりますので、これまでの経緯も含めまして事務局から説明をしていただきます。
 よろしくお願いします。
 
【原田企画官(事務局)】はい。文科省の原田でございます。
 資料5-2-1と、後ほどあと5-2-1の別添もございますので、そちらも御覧をいただければと思います。必要に応じて資料5-2-3で先般の宇宙開発利用部会、親部会の議事要旨を、具体的には参照しませんけれども、そちらも一応関係資料としてございます。
 まず経緯を申し上げます。3月10日に内閣府の宇宙産業科学技術基盤部会におきまして、本小委員会における議論の中途経過の御報告をさせていただき、情報提供をさせていただきました。先ほど申し上げたとおり、宇宙基本計画の原案に盛り込まれているところでございます。
 また、前回3月18日の小委員会の書面審議におきましても、委員の先生方からメールベースの御意見を頂きまして、その意見を聴取集約し反映させていただきました。
 そして、その後、3月25日でございますけれども、こちらも昨今の事情ということで同様にメールベースの書面審議をさせていただきました第54回宇宙開発利用部会におきまして、小委員会の提案骨子ということで御説明をさせていただきまして、メールベースで御議論いただきました。
 その内容を踏まえたものが資料5-2-1の本小委員会の提言案ということで、骨子案というところから提言案ということで、少しまた肉付けをさせていただいたものとなっております。
 こちらにつきましては、宇宙開発利用部会、親部会委員の先生方からの意見を集約したものとなっておりまして、そちらのベースとなったのは資料5-2-3の議事要旨です。必ずしもそのときの委員の意見を100%反映し切れなかった部分もございますけれども、そういったものも反映しながら今回は骨子から提言という形での案を作成させていただいております。
 まず、資料5-2-1から御説明を差し上げます。今、画面が写っておりますけれども、もしよろしければお手元の資料5-2-1のファイルも御覧いただければと思います。
 先般、骨子案という形で御提示をさせていただいておりましたけれども、すいません、既に骨子案の段階で若干もう肉がついていたという状況ではあるのですが。そのときは若干箇条書になっていた部分もございますけれども、提言案ということで文章化をさせていただいております。
 書面の方でございますけれども、大きく骨子案とは内容は変わっておりません。まず、宇宙輸送システムというものは宇宙活動の根幹からつながっておりまして、自立性を確保することが我が国の宇宙政策の基本であるといった点であります。
 2つ目のパラでございます。これまでH3やイプシロンロケット関係の開発といった研究開発、またH-ⅡA/Bロケットの運用を通じて、我が国の基幹ロケットシステムを維持・発展させているといったところがございます。こういった持続的な発展をしていくためには、再使用宇宙輸送システムを含めた将来宇宙輸送システムの発展、また関連技術の継続的な取得と維持・強化をしていく必要があるといったところを、冒頭でこの提言の全体的な趣旨として記載させていただいております。
 1ページの2.でございますけれども、(1)宇宙輸送システムの意義というところでございます。こちらの方も骨子から大きく変わっておりません。ちょっと文言の補足をさせていただいております。一部安全保障上の意義ということで、例えば宇宙領域というのがサイバーや電磁波のところに安全保障上の観点でも意義・価値が高まっているといった点のところが若干補足させていただいております。
 2ページ目を御覧いただきます。主に前回から変わった分ですと段書きところです。3つ目のパラになりますけれども、「なお、基幹ロケットについては」というこのパートにつきまして、ちょっと加筆させていただいております。
 基幹ロケットの意義・価値、そもそものこの章立ての自立性確保といいますか、宇宙輸送システムの意義ということで、基幹ロケットの意味ということで、もともと平成25年の宇宙政策委員会の議論におきましては、安全保障を中心とする政府ミッションの達成のために必要な輸送システムと位置付けられておりましたけれども、今般このような議論をさせていくに当たり、改めて基幹ロケットといった意義を少し、今日的な意義ということで若干補足をさせていただいております。
 具体的には、今日安全保障や国民生活になどには不可欠になっている宇宙開発事業のためにということで、宇宙政策において継続的な自立性の確保が求められる手段が宇宙基幹ロケットではないかと考えております。その産業基盤や技術的な人的基盤の維持というようなところが重要であると。したがって、その基幹ロケットというものを優先的に使用しているといったところを記載させていただいております。
 (1)の最後のパラなのですが、こちらは部会の委員会などの御指摘もございまして、これまでロケット開発にはある意味巨額の国費が投じられてきたわけでございます。ここには当然国民的な理解や支持があったということでございます。こういったものが引き続き重要であろうと記載をさせていただいています。
 2ページ目の(2)内外の動向でございます。1のところは国内における宇宙輸送システムの研究開発と運用ということで、H-ⅡA/Bロケットやイプシロンの開発やH3の開発といったところがございますが、こちらは前回と大きく変えてはいません。2ページの終わりから3ページ目なのですけれども、親部会の委員から2000年代ぐらいまでの、これまでのロケット開発の経緯をもう少しちゃんと書いた方が、成果といったものをしっかりと記載した方がいいのではないかということで、2ページの最後のパラでは「2000年まで」というところから3ページ目中段までの固体燃料ロケットの記載まで、H-ⅡAロケット、H-ⅡBロケットやM-Vロケットやイプシロンロケットの開発とその成果といったものを少し細かめに記載させていただいております。
 あとは、3ページ目の中盤以降は、骨子とほとんど変わりがございません。部会の委員などの意見も加えながら若干補足をさせているのは、3ページ目の下から2つ目の「これらを通じ」のパラグラフでございます。
 過去のロケット開発といったものがお大体国主導、官主導で行われてきたのですけれども、現状としましてはH-ⅡBロケット、H3ロケットの開発などにおきましては、民間事業者の役割が増してきているといった現状について言及させていただいているところでございます。
 4ページ目の丸2でございます。こちらは余り大きく変わってはいないのですが、2つ目の丸2の宇宙利用拡大及び将来宇宙ビジネスの可能性ということで、これまで審議でも探査あるいはビジネス拡大といったことを御説明いただいたところを簡単に記載させていただいているのですが。親部会の委員の先生から、近年は低軌道領域への打ち上げといったものが日本の地理的な不利といったものを下げていると。低軌道領域への打ち上げの拡大というのは、例えば日本国内では小型のロケット事業者が出てくるなど、事業環境を改善する方向にあるといったところを補足させていただいております。
 4ページ目の真ん中の丸3でございます。国外の宇宙輸送システムの動向としまして、こちらの方は少し加筆させていただいております。米国における月探査に使うSLSあるいはヨーロッパのアリアン5、また中国でも当然有人システムを持っておりまして、将来の有人月探査に向けたロケット開発を推進していくといった動きです。
 5ページ目を御覧いただければと思います。5ページ目の冒頭の方でございます。最初は特定の企業名は出していなかったのですが、スペースX社といったやっぱり大きな動きもございますので、そういった動きがあるといったことと、あるいはメガコンステの話といったところを補足させていただいております。
 5ページ目の(3)は革新的将来宇宙輸送システムの必要性ということで、現状ということでございます。基本的に宇宙輸送システムの自立性を確保して、これを発展させていくためにはしっかりと将来の宇宙輸送システムの在り方を見据えながら、国としても適切な関与を行って、その方向性を提示していくことが必要であると。これは前回の骨子案でも同様の内容でございまして、若干の文言を付け加えております。特に2つ目のパラですけれども、国主導による枠組みだけではなく、適切な民間事業者や大学などとの共創関係を構築していくといった動きが、また重要になっているのではないかという記載となっております。
 あと5ページ目の最後のパラにつきましては、こちらも宇宙開発利用部会、親部会のコメントとして、国民的な理解もしっかりと得ていく必要があるだろうというような現状についての記載させていただいております。
 6ページ目でございますけれども、大きな第3章といいますか、3つ目の課題ということで、(1)基幹ロケット技術の維持と強化でございます。こちらも若干文言を補足させていただいております。「民間事業者の主体性を重視しつつ」というところに関しては、民間事業者はこれまでの研究開発を通じて宇宙輸送システム、ロケットに関する技術能力を向上させてきたと。それらの民間事業者の主体性を重視していく必要があるだろうといったことや、もちろん打ち上げ能力の自立性といったことが重要であることを(1)でも補足させていただいています。
 (2)でございますが、こちらも骨子から少し文言を補足させていただいております。宇宙輸送システムの発展については、どういうふうに発展させていくかという方向につきましては、当然将来の安全保障政策や様々な政策、探査や市場ということで、ビジネスの面における小型衛星のメガコンステや宇宙旅行、またP2Pといわれる高速二地点間輸送など、そういったものの市場の拡大に対応する期待があり、そういったものどのように応えていくかといったところが一つの課題なのだろうと考えております。
 また、多方で、下の方でございますけれども、当然スペースデブリの増加のような環境の悪化というところに関しても、適切に考慮していく必要があるだろうといったことを、ほとんど変わってないのですが、少し補足させていただいております。
 最後の「これらに対応する公共インフラ」というところも、少し文言は補足しています。前回は骨子案でしたので、今回は提言案ということで少し文言を書き加えさせていただいております。
 特にこのパラとしましては、現行の基幹ロケットというものがある意味我が国のツールになっているのですが、これらとともに将来の革新的な輸送シスの発展に向けた取組を進めていくことが必要であるといったところを課題として提起させていただいております。
 7ページ目の(3)でございますけれども、「将来宇宙輸送システムの研究開発の進め方」ということで、将来の政策ニーズへの対応ということと、市場の形成といったところも見据えながら、当然そのためには産業と人的基盤の構築ということも行いながら、再使用型宇宙輸送システムといった研究開発課題もあるのですけれども、それらに加えまして最先端の技術であるようなものの推進技術なども獲得を進めていく必要があるといったところです。
 真ん中の方に、こちらは小委員会の委員から頂いたコメントでもあったのですが、現段階で特定の方式や特定の技術といったものに集中して絞り込むというのは、ちょっと危険であるといいますか、難しいだろうということで、そういった趣旨と。あと背景といいますか。現段階におきましては、そういったところの技術的な成立性やコストというのが必ずしも明確でないという趣旨をお伝えさせていただいております。
 (3)の真ん中の方の「研究開発においては」というパラでございます。下の方の「あわせて、幅広い産学官の主体による参画・協力に向け」という文でございますけれども、幅広い関係者に参画をしていただいくためには、当然幅広い国民の理解・支持を得るといったところが必要になってくるので、そのための周知・広報活動も重要であろうというところを課題として記載させていただいております。
 「(4)社会実装や市場獲得・形成に向けた取組」でございます。こちらは研究・開発活動の本筋と若干それに附属するといいますか、附帯する、されど当然境界条件として重要となる部分でございますけれども、そこにつきまして若干部会等の先生からも少し分かりづらいといった声も出ましたので、ちょっと文言の補足をさせていただいております。
 当然その中身としましては、骨子案でも記載させていただきましたけれども、民間事業者の方に主体的な参画が得られるようなルール設定であるとか、資金の調達であるとか、そういった枠組みの構築を国としてもしっかりと推進するであるとか、産学官の共創関係を構築していくことであるとか。また、こういった基幹ロケットシステムを通じて得られた産業基盤、技術基盤といったものを確実に将来につなげていくとともに、新しいユーザーであるとか非宇宙分野の民間事業者の活動へ裨益(ひえき)させていくことも必要であるということを記載させていただいております。
 また7ページの下の方でございますけれども、前回の小委員会の書面審議で頂いたコメントとしましては、海外の宇宙関係機関であるとか、ユーザーを含むような民間事業者、また海外の大学や関係者との適切な連携方策といったことも留意する必要があるだろうという形で記載をさせていただいております。
 8ページ目でございます。「4.今後の取組方策」ということで、1.から3.まで現状と課題といったところを記載させていただいておりまして、4.以降で今後の将来宇宙輸送システム全般に関する取組の方策ということで記載させていただいております。4.につきまして、今後の取組方策は主に(1)(2)(3)(4)とあるのですが、一応(1)(2)が大きな2つの柱だと考えております。そのうち(1)が基幹ロケットの維持・強化といったところでございます。こちらの方は既にH3ロケットの開発も現在正に本年度初号機の打ち上げに向けてしっかりと進めておるところでございます。これらのロケットが今現在唯一我が国として宇宙空間にアクセスでき得る手段といったことから、これは着実に継承・強化させるといったところを記載させていただいております。ただ、記載に関しまして、そういった意味ではしっかりとやっていくといったことでございます。
 (2)は本小委員会として主に取り組む提言すべき内容として、まずは(1)と考えております。で、革新的将来宇宙輸送システムの実現といったところでございます。現在、H3ロケットであるとか、H-ⅡA/Bロケットあるいはイプシロンロケットの運用なども行っておりますけれども、それらのロケットがしっかりと宇宙にアクセスする手段を維持・継承させつつ、将来の革新的な輸送系といったものもしっかりと今から体制をつくっておきたいといった趣旨での(2)です。
 本小委員会での一番大きなアウトプットとなるというところが(2)だと考えております。こちらにつきましては、基本的には大きく骨子案と変わっていないのですけれども、将来宇宙輸送システムをなぜやるかといったときには、当然我が国としての自立性確保であるとか、将来的には宇宙開発利用の飛躍的な拡大といったところが大きな大目標としてあり、そのための手段としての抜本的低コスト化を実現する技術といったものが必要となり、そのためには国は革新的な研究開発などを主導するし、他方で民間事業者や大学あるいはその他関係者の方にそれぞれの役割を果たしていただくことになるのですけれども。前回の親部会の書面審議におきましては、資金分担も含めてしっかりとコミットメントをしていただくべきといった御指摘もございましたので、ここで「資金分担も含めて」といったワードを加えさせていただいております。
 8ページの(2)の丸1でございます。研究開発課題の設定と進捗管理につきましては、こちらは前回の骨子と大きく変わってはおりませんけれども、しっかりと複数の研究開発課題が想定されますので、それぞれの技術的な成立性やコストの見通し、また我が国としての優位性であるとか将来の発展性、拡張性といった観点に基づいて、選択と集中を図るといったことを記載させていただいております。
 また、研究開発課題につきましては、将来のシステム全体を俯瞰(ふかん)しながら、宇宙分野だけではなく、非宇宙分野を含む最新の知見・技術を取り込んでいくということで、将来のイノベーションを生み出すような難易度の高い、挑戦的なものを含めて技術課題を明確化していくべきであると記載をさせていただいております。
 前回も少しありましたけれども、実用システムを前提として考えられる個別技術例といたしまして、前回の小委員会の書面審議におきまして委員の先生から少し技術の記載のレイヤーが少しばらばらであるといった御指摘もあったので、少し整理をさせていただいて、改めて記載させていただいております。
 注記で、個別技術は事例ということで、中には既にJAXAなどで研究開発に着手されているものもございます。
 具体的に申し上げますと、エアブリージングエンジンであるとか、LNG推進系といったものに関しては、既に研究開発に着手されているところもございますけれども、中には他方でされていないものもございますので、革新的な将来宇宙輸送システムに関する技術といったものは現在あるもののみならず、これからやらなければいけないものもあるといったことで注記をさせていただきました。
 小さく書かせていただいて恐縮なのですけれども、本小委員会といいますか、そもそもこの研究の発端となっていた宇宙基本計画の工程表におきましては、将来宇宙輸送システムの技術的課題、コスト的課題について検討を行うといったこととされておりましたので、それに関しましては今特定の技術に関する技術的な課題、コスト的な課題というものをすることは困難であるのですけれども、JAXAの資料の方で若干その点の少し試みの案といったものがございますので、軽く御紹介をさせていただくこととなります。
 9ページの丸2でございます。本小委員会としては、まずこの仕組みといいますか、方向性、体制といったものをしっかりと整備することが一つのアウトプットだと考えております。その体制の中で丸2としてロードマップをしっかりと作成、策定をしていくといったことを考えております。実用システムの時期であるとか役割の分担なども明示しながら、段階的な計画・道筋、ロードマップといったものをしっかりと示していくというものです。
 国というワードでこれまでの骨子はしておったのですが、将来宇宙輸送システムの研究開発といったものを実態的に担っていくのが文部科学省の当局、研究開発局となりますので、その辺を明示させていただいております。
 また、後ほどロードマップの策定に当たってどういうふうに考えるかといったところの視点といったものを、別添という形で紹介させていただきます。
 丸3共創体制(オープンイノベーション)の構築でございます。こちらも後ほどJAXAからも補足で説明させていただきます。骨子案からは大きく変わっておりませんけれども、これまでJAXAでも、多分皆さま御存じだと思いますけれども、J-SPARCであるとか探査ハブ、イノベーションハブといった取組などもございますので、そういったものも経験も参照しながら様々なユーザーであるとか、様々な産業界を巻き込むような取組をしていくといったところが重要ではなかろうかと考えております。
 9ページの丸4研究開発マネジメントの推進でございます。研究開発に関しましては、具体的に技術に関してはJAXAを中心として行いながら、当然中心とすると言いましてもJAXAが単独で行うという意味ではなく、JAXAが中心となって民間事業者や大学の方と、様々なプレーヤーの方と協力をしながら推進するのですが。国としての研究開発政策の方向性につきましては、研究開発を担う当局の方で関係省庁と協力しながら推進していくといったところを想定しておるところでございます。
 10ページになりますけれども、またその際には当然変化が激しいといったところにも迅速に対応するということを、前回小委員会の書面審議でも御指摘を頂いております。で、その趣旨を反映させていただいておりますけれども、そういった迅速な対応をするとともに、調査分析、ベンチマーキングなどをしっかりと行うことを記載させていただいております。
 (1)(2)がある意味本小委員会の一つの大きな取組としての方向性なのですが、(3)は留意事項として記載させていただいております。基幹ロケットの維持発展であれ、あるいは将来宇宙輸送システムの実現であれ、留意すべき事項として(3)を記載させていただいております。
 丸1としましては、これらの基幹ロケットの取組、また革新的将来宇宙輸送システムといったもののシナジーをしっかりと発揮させる、ばらばらで独立してやらないという趣旨を丸1で記載させていただいております。
 丸2で関係省庁との協力ということで、当然文科省は文科省の役割があり、例えば産業振興であれば経産省であるとか、安全保障であれば防衛省であるなど、その他の役所といったところの関係省庁との連携協力をしっかりと行うといったことが考えられます。また、当然制度的な枠組みといったところになってくると、様々な行政機関との連携といったものも図っていく必要が出てくるといったことも記載させていただいております。
 10ページ目の(3)の丸3産学官の役割分担でございます。従前の1回対面でちゃんと審議いただいた際に、官民の分担となっておりましたけれども、3月18日の書面審議で産学官をしっかりと記載した方がいいのではないかという御指摘も頂いたので、産学官と記載させていただいております。産業界とあとは学術アカデミアの取組ということで、ア)イ)ウ)のイ)を記載させていただいております。当然大学等におきましては教育研究を通じた人材育成を行いますし、また先導的な基礎研究なども革新的な将来宇宙輸送に向けてそういったものも推進をしていくといった役割になるのではないかと考えています。
 11ページのウ)になりますが、政府等においてはハイリスクな革新的研究開発を担うといった役割もございます。また、その様々なルール設定であるとか、制度的な枠組みの推進といったものも政府の役割として考えられるというものです。
 また、アンカーテナンシーの方策というところを御指摘いただいておりましたので、将来こういった民間事業者の主体的な宇宙輸送システムが実現された暁には、そういったものを政府としてはアンカーテナンシーとして民から調達するという枠組みになっていくことを明確化するといったことを記載させていただいております。
 11ページ目の丸4でございます。前回の骨子案では人材育成のみだったのですが、部前回の親部会の御意見も踏まえまして、「国民の理解を充実」というワードも記載させていただいております。
 また、最初のパートのパラグラフで、研究者、技術者の育成といったところを記載させていただいておったのですが、通常のいわゆるイノベーティブな研究者や技術者のみならず、しっかりと生産現場を担えるような技能者の方も含めてそういった方々もしっかりと継承していくという、そういった人的基盤を強化・拡大すべきであるといったところを、部会の御意見も踏まえて反映させていただいております。
 また、「このとき」といったパラグラフの真ん中の方の「国民の理解を充実させる取組」ですが、そのときに人文学、社会科学の知見を得ながら進めるといった趣旨の文言につきましては、この辺は親部会の御議論を踏まえながら加筆させていただきました。
 丸5でございます。海外との戦略的な連携ということで、これは前回の小委員会の書面審議で海外との連携といった御指摘を頂きましたので、しっかりと海外との連携もできるところはやるということです。
 他方で、海外と競争となる部分もありますし、他方で協調する部分もありますので、そういった趣旨を記載させていただいております。
 11ページ目の(4)でございます。(1)(2)がしっかりとやるべきこととしての大きな方向性としての基幹ロケットと、あと将来宇宙輸送システムをしっかりやるということで、(3)が留意事項なのですが、(4)は正に本年度から来年度に向けて、まず、やりましょうということです。ある意味(2)と(3)の中身のうち、とにかく本年度また来年度に向けて早々に行うべきことということで、少しその部分を切り取って抽出させていただいておるところでございます。速やかに取り組むべき事項としてロードマップの策定を行うということで、これにつきましては本年度の秋には検討に着手し、来年度の2021年度中に初版を策定する時期を記載させていただいております。
 12ページ目でございます。これらに関してもJAXAの御協力も頂きながら、JAXAにおいても必要な調査分析あるいは各種計画などの検討を行っていただくと。
 2つ目のパラでございます。共創体制の構築といったこともしっかりとやるといったことでございます。このときに宇宙イノベーションパートナーシップ、J-SPARCであるとか探査イノベーションハブといったこともございましたので、そういった取組なども参照しながら、幅広い内外の創意工夫・アイデアを得て共創体制を構築するといったことを記載させていただいております。
 3つ目のパラでございます。革新的な将来宇宙輸送システムの実現に向けてということで、JAXAにおける現行の様々な取組がございます。これらの取組を糾合して共創体制であるとか調査分析などを含めて、総合的なプログラムとしての実施を図るということで、こういったものを今年度、来年度に向けて文科省、JAXAとしてしっかりと更に発展させていきたいと考えているところでございます。
 すみません。ちょっと長くなり恐縮なのですが。5-2-1の別添を御覧いただければと思います。左上に「別添」と記載させていただいております。
 ロードマップに関連しまして、ロードマップの視点という形で、今回が初めてなのですけれども、この小委員会で本提言に付随する別添という形でこういったものを付けてはどうかと考えさせていただいておりますので、こちらの方も御議論いただければと思います。基本的な趣旨としましては、策定に当たっての今後ロードマップを今年の秋以降に策定、着手し、来年度中に初版を策定するといったときに、そのための基本的な考え方ということで提示させていただいております。
 目標としましては、2040年代までに宇宙輸送システムの自立性を確保し、併せて競争力や新しい産業の発展なども目指したような抜本的低コスト化を実現する革新的な将来宇宙輸送システムといったものを通じて、自立した宇宙開発事業を飛躍的に拡大するといったことです。そういった目標の下でこのロードマップの位置付けとしまして、2.でございますけれども、2040年代の革新的宇宙輸送システムを目指しまして、まずは今後10年、あるいは20年、2040年であれば20年になるのですが、可能な限り時期を明確化して、研究開発から実用システムまでの道筋とその方向を示したいと考えております。
 ロードマップのこういったものを通じまして、国としては政策の進捗管理であるとか、評価、改善を不断に実施します。また、様々な関係者がこの革新的な将来宇宙輸送システムの実現に参画することで、宇宙輸送システムだけではなくてそれ以外の分野でも波及効果を与えるということを考えております。1つのロードマップを通じて、今、国全体のオールジャパンで進めていくためのコミュニケーションツールとなると考えております。
 この(1)以降は、これをどこまで盛り込むかというのはまた御意見を頂ければと思っております。細かいかもしれませんので。(1)以降でございますけれども、将来宇宙輸送システムを実現する意義・価値ということで、コミュニケーションツールということで、幅広くいろいろな方に参画いただく、あるいは御理解いただくという意味では、なぜこれをやるかといったところに意義・価値をまず明確化するということです。
 2つ目としては、実用システムの出口の在り方ということで、将来国としてのビジョンや政策動向なども踏まえながらの事業化を目指したような実用システムの出口の在り方です。3つ目としましては、イノベーションを目指すような研究開発課題の洗い出しや技術の方向性ということで、技術をこれから特定するということは難しいのですけれども、どういったものが成立する、あるいはコストとして妥当か、優位があるかなどという点から、そういったものの方向性を記載することです。また(4)としましては、産学官の役割、費用分担や共創体制の在り方で、(5)としては国際協力の考え方です。次の2ページ目となりますけれども、(6)としては事業化における優先度や、選択と集中、今後どれを取捨選択するといった場合におきましてはその評価の視点といったところなるかと考えております。
 3.のロートマップを策定・実施に関する留意事項でございます。ロードマップの策定や、あるいはそれに基づく今後の研究開発活動の実施に当たっての留意事項としましては、徹底した国内外の政策や市場にそういったものの調査分析を行うというものです。これは、宇宙基本計画の現在改定が進められているところでもよく記載されているところなのですが、徹底した調査分析を行うといったこと。あと(2)としまして、参画主体を多様化していくというもの。さらには(3)としましては、政策ニーズを見据えた関係省庁や関係の政府関係機関との連携を行うこと。(4)としましては、人材の育成、国民への広報周知といった点。(5)以降はちょっとテクニカルになってくるのですが、現行の基幹ロケットをいかに応用していくかと、うまくそこを取り込んでいくかという点など。(6)としては、そのコア技術の明確化といいますか、あるいは知的財産の保護など。(7)としましては、必要な制度・基準で、どういったものが今後必要になるのかといった制度的なものの基準、ルールといったものになります。(8)も同様のものでございますけれども、環境への配慮事項といったものがどういったものであるかという点が留意事項として考えられるのではないかと記載させていただいております。
 4.でこのスケジュールなのですけれども、ロードマップは国として策定、政策的な方向としての研究開発のロードマップといったことになるのですが、さらにそれを基に具体的な研究開発課題・技術ごとに定めた技術ロードマップというものが策定されると考えています。それは個別の領域で、領域といいますのは例えば大きなシステムあるいは小さなシステムなるのか、宇宙旅行のようなシステムなるのかといった、そういった領域や技術も推進系をどうするかであるとか、横に飛ばせるのか、垂直に飛ばせるのかといったところで、多分様々なやり方や考え方によって技術ロードマップがそれぞれまた異なるものになるのだろうと考えております。
 全体に大きな政策的なロードマップにつきましては、当初の研究開発局に置く検討チームということで、そこで関係省庁など、あるいは政府関係機関の人、有識者を通じて、機能的に調査・審議して策定するといったことを考えております。
 それに基づくその技術ロードマップにつきましては、共創体制を構築するJAXAにおいて、技術マネジメントとしてのJAXAがいて産学官の有識者などから構成されるタスクフォースのようなものを一定策定するといったことを考えております。
 ロードマップの策定後につきましては、検討チームやJAXAに置かれるタスクフォースが連携をして、研究開発活動や事業化に向けた活動の進捗管理や評価・改善して、OODAと呼ばれるもの、あるいはPDCAといったもので評価活動を行い、場合によっては不断にこれらのロードマップの見直しを行っていくといったことを考えております。
 3ページ目でございます。具体的なスケジュール・考え方として、ロードマップそのものは今年の秋にも検討着手をさせていただき、来年度の夏までにいったん中間まとめのようなことができればと考えております。これは来年度の夏に概算要求がございますので、それに合わせていったん中間まとめを行い、来年度中にいったん初版といったものができればと思っております。
 あとは技術ロードマップでございます。こちらはJAXAを事務局とする共創体制といったものを考えておりますので、こういったものの枠組みを生かしながら、技術レベルの実現可能性やコストなども盛り込める可能な範囲で盛り込みながら、そういったロードマップを策定し、これも今年の中頃には検討着手し、国として定めるロードマップを踏まえながら、令和3年度以降に必要なものから策定し、ものによっては実施をしていくと考えてございます。
 4ページ目は、ロートマップといったときにいろいろなイメージを持ってしまうので、ロードマップの概念を少し整理させていただいております。ロードマップの視点というのが一番上の考え方ということで、今、この紙として、別添として示させていただいているのが一番上のロートマップの視点でございます。真ん中にあるのが、今後研究開発局を事務局として検討チームにより本年度中に着手したいと思っておりますロートマップとなります。もう一つ、下の方にある箱が技術ロードマップあるいはその研究開発計画ということで、JAXAを事務局とするタスクフォースという形で領域や技術分野においてそれぞれの技術ロードマップといったものが策定されていくといった形です。こういったものを総合的に行うことによって、革新的な将来宇宙輸送システムの実現に向けた取組を本格化していきたいというのが取りあえず本小委員会としてのアウトプットとして考えさせていただいているところでございます。
 すみません。大変長くなって恐縮でございますけれども、以上でございます。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございました。
 あとJAXAの説明もありますので、それを聞いていただいてから、まとめて議論を進めたいと思いますので、JAXAから資料の説明をお願いいたします。
 
【沖田ユニット長(JAXA)】承知しました。では、ちょっとコンパクトにまとめて説明したいと思います。
 本資料は前回の小委員会で確認いただいた利用部会の資料をアップデートしたものでございます。内容については、先ほど原田企画官の方から御説明のあった文科省の調査小委員会提言資料の補足追加及び共創体制であります。なので、ちょっとアップデートした所を中心に説明させていただきたいと思います。
 1ページ目は、小委員会に置けるJAXAからの報告と本資料の位置付けでございます。若干補足を加えてございます。
 変わった所は5ページになります。よろしいでしょうか。先ほど共創体制というキーワードが何度も出てございます。この共創体制案としましてまとめてまいりました。研究開発フェーズに応じた共創体制の狙いとしまして、大きく3つございます。
 1つは、オープンイノベーションによるSEEDS作り。これは協調体制での研究開発活動で、ブレークスルーに向けたSEEDS作りといったものを宇宙探査イノベーションハブの枠組みを活用し、新たなプレーヤーの発掘、それから幅広いプレーヤーの参画、効率的ネットワークの広がり等を目指してまいりたいと思います。
 2つ目ですけれども、連携パートナーの明確化による研究開発の加速。とかくJAXAのやる業務についてはスピード感がないという指摘も頂いております。で、今回はSEEDSから効率的かつスピード感を持って技術実証、事業の掘り起こし、拡大に向けたシームレスな体制といったものを検討してございます。企業間競争と企業育成をバランスさせ、幅広い産業振興策をベースに研究開発を推進。で、連携パートナーの事業計画と国の政策の実現に向けた適切な役割分担、先ほど資金負担割合等ございましたけれども、役割分担の下、推進していくといったことを目指してございます。
 それから、3つ目でございます。出口戦略の明確化及び官民共同開発による実用成果の獲得ということです。実証された技術はスピード感を持って様々な事業者の活動へ実装する仕組みということで、効果は2つです。1つは、社会実装による国際競争力の強化と、実用成果の獲得により技術成熟度を早期かつ格段に向上と。あともう一つは、部品レベルからシステムレベルまで各事業計画に応じた出口戦略とセットで連携パートナー、これは基幹ロケット、民間事業者のコミットメントを明確化すると。
 こうした取組を通じまして、人材育成の拡大、産業基盤の維持・拡大に資していきたいと考えてございます。
 それを図示したものが6ページになります。上位のロードマップから技術ロードマップ、個別ロードマップを構築しつつ、研究開発計画の設定、推進を実施していきます。
 ここでも仕組みというのは下の欄にある青い枠の点線で囲ってあるオープンイノベーションの枠組みと。これは探査ハブの枠組みを活用するとか産業連携による人材の流動化・育成を図ると。ここでは、金融機関・商業・コンサルほか、やはり幅広いプレーヤーの参画や効率的なネットワークの広がりを目指した仕組みを構築してまいりたいと思っております。
 左枠がJ-SPARCの枠組みです。民間事業者、ベンチャー企業、事業に関心のある企業といったものの要求、要望を研究開発計画、技術ロードマップも盛り込んで、基幹ロケット事業者との目標等、共通できるものはこういうオープンイノベーションの枠組み若しくはクローズイノベーションの枠組みでイノベーティブにスピード感を持って進めてまいりたいと考えてございます。
 で、オープンイノベーションの枠組みでは、やはりいわゆるユーティリゼーションと。ここで研究開発した成果を社会課題の解決、産業競争力の向上につなげていきたいといったことも考えてございます。
 それから、飛ばしまして、10ページになります。先ほど原田企画官からも御説明がありましたけれども、コストの使用部分をまとめてございます。これは技術戦略の方向性(試案)ということで、JAXAの中でここの選択と集中までの技術ロードマップを構築して、それを基にお金がどれぐらいかかりそうかといったものを試算したものを右の文章で記述してございます。これらの試算は、技術難易度が過去の開発と同等な場合ということでいわゆる算出してございます。
 まず、青点線から下までの選択と集中までの研究開発費ということで、試算として1,000~2,000億円と。で、ここにポツで書いてございますけれども、研究開発費、要素技術の部分実証を含んでございます。システム実証も含んでございます。
 それから、試験設備・製造設備整備費、こういったものも既存の過去の整備費から類推して一応含んでいると。ただし、基幹ロケットの維持・発展・戦略技術の維持に関する費用は含んではございません。
 それから、選択と集中、いわゆるシステムを一本化した後の社会実装実用化に至るまでに要するまでの試算として約5,000億円と。これは過去のロケット開発規模から類推してございます。で、有人化する場合は、2,000億円相当が更にかかると。ここも過去の基幹ロケットの有人化仕様で検討した数字をそのまま付けてございますので、システムによっては大きく変わる可能性はございます。
 それから、最後に射場建設費は別途必要としてございまして、今はここでは加えてございません。
 それから、11ページと12ページは変わってございません。
 次の分冊に移ります。5分の2になります。ここからが参考資料集となります。利用部会で質問、指摘のあった点について補足ということで付けてございます。
 3分冊目について、これまでの小委員会では書いてなかったものを付け加えた所のみ説明いたします。3分冊目の84ページです。お手元の資料はすぐに御覧になれると思いますので、お手元がもう開いているものとして説明を続けたいと思います。
 このH-A/Bロケット民間企業活動事例といったものを加えてございます。これまでの基幹ロケットの開発を通じて獲得した技術で民間企業が海外企業と独自の企業活動を展開ということで、ロケットエンジン部品については米国デルタロケットに対して供給していると。あと、タンクについても供給していると。
 ここには記述してございませんが、ガスジェット等、ほかにも海外に引き合いのあるものはございます。
 それから、85ページです。これは探査関係のビジネスの広がりということで、Gatewayへ参画するということで追記してございます。
 それから、86、87、88、89ページについては、これは安全保障関係の利用の広がりといったものを、小委員会等で説明があったものを追記してございます。
 それから、90ページですけれども、これは宇宙デブリへの対策と。今回のまとめの提言でもございましたけれども、デブリへの対応といったところで、問題意識及び真ん中のポツ2つに、H3では運用終了後の2段機体を制御再突入する計画を検討中と。で、イプシロンにおいてはデブリ低減活動として、スラグレス固体推進薬等の研究開発を進めているところでございます。
 それから、91、92ページです。これは、宇宙利用ビジネスにおける拡大ということで、石田委員の資料等を抜粋させていただいてございます。
 93から96ページまでは、これはJ-SPARCの活動について、既に小委員会で説明している資料を添付してございます。
 97ページに、先ほど来から共創体制の中でオープンイノベーションの重要な役割を果たす探査イノベーションハブの概要について説明してございます。探査イノベーションハブについては、大型化・長期化などの課題にどう対応するかと。で、地上の民間技術をいかに活用するかの視点でゲームチェンジング技術を開発し、探査の在り方を変えると同時に地上技術の革命を起こすといったところを目標に、オープンイノベーションを実施していると。基本はリアルユーティリゼーションということで、探査と地上の社会課題の解決をしていくといったものが大きな形になってございます。
 ここに様々なプレーヤーがもう既に参画してございます。こういった枠組みを活用しつつ、宇宙輸送システムにおいても更に広がりを持って拡大していきたいということを考えてございます。
 98ページは、この探査ハブで成果を創出した事例を提示してございます。
 説明は以上です。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。
 それでは、この2つの御説明に対して、御意見、御質問等、お願いをしたいと思います。発言をされる方はお名前を言っていただければと思います。よろしくお願いします。
 
【永田主査代理】すいません。永田ですが、よろしいでしょうか。
 
【遠藤主査】はい。永田先生、お願いします。
 
【永田主査代理】はい。
 今、説明いただいた2つの資料に共通して全体的な確認なのですけれども。ロートマップの議論と、それから提言の中でも8ページの中でどのように開発の道筋を立てていくのかという議論、両方ともあったのですが。そういう技術開発を通じて、どういうゴールに到達するのかという、ゴールの検討ですね。つまり将来あるべき宇宙輸送システムというのはどういう姿なのかという議論、ロートマップとか、そういう開発のステップの検討などに含まれるという理解でよろしいのでしょうか。いずれにしろ、議論するときには、まずゴールの議論をやった後でロートマップの議論をやらないと多分まとまらないのではないのかと気になったものですから、確認です。
 
【遠藤主査】はい。これは事務局からお答えいただけますか。今回の中間まとめの人ということだと思うのですが。
 
【原田企画官(事務局)】文科省の原田です。ありがとうございます。
そうです。御指摘のとおり、ゴールを含めてあるべき姿といったものもロートマップの中で更に明確化できればと思っておりますけれども。他方で、一応ロートマップの視点といったところで記載させていただいておりますけれども、1つ考えておりますのは、まずは抜本的な低コスト化を実現するというところでございまして。それを通じて宇宙開発利用も飛躍的に拡大させるといったところの一つのゴールかなと思っております。
 ひょっとしたら、永田委員の御指摘は、恐らく例えばそれが低軌道への、例えばどれぐらいの重量の輸送システムであるとか、あるいは例えば高軌道領域へのどれぐらいの輸送システムがあるかといったところの御指摘なのかもしれないと思うのですけれども。まずは、若干抽象度が高いのですが、抜本的な低コストを実現するような将来宇宙輸送システムというところが一つの概念的な目標となっております。それを実現するものがどういったシステムが考えられるかといった形で幾つか方式などが考えられるのではないかと考えております。
 他方で、すみません、ここはまだいろいろな委員の先生方の御意見もあるかもしれませんけれども。まず当面考えられるところとしては、すみません、私の意見になってしまうかもしれないのですが、まずは低軌道領域に対するいわゆる格段に安い輸送システムということは考えられるのではなかろうかなと考えているところでございます。
 以上でございます。
 
【永田主査代理】はい。ありがとうございます。
 そういう議論が正に大事だと思っていまして。後半のJAXAからの説明でもSSTOや再使用というのがゴールとして設定されていましたけれども。本当にそれがゴールなのか。あと、委員会の中でも議論があって、本当に再使用が一番安いのですかなど、そういったことも含めてちゃんと議論をしておく必要があるのかなということを思っていまして。そこのゴールの議論というのは、どういう体制で、誰がやるのかというところが余り書いていないというところが気になっていました。そういう意味で質問させていただいたということです。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。
 私もちょっと永田先生の御意見に対して追加で意見を申し上げます。
 恐らくこの小委員会の当面のアウトプットとしては、将来宇宙輸送の研究開発のプロセスをどういうふうに設定していくのが一番いいのかと。まずはその最終の姿を、出口の姿の検討がもちろん必要なのですが、そこにもっていくためのプロセスをまずこの中間まとめではやるのではないのかなと思っております。で、そのためには、やはり10年、20年を見通したような計画というのはいったん設定すればそのままいくものでは恐らくなくて、この機動的にPDCAを回しながら、機動的なそういう資金投入をしていくというようなことができるような、そういうプロセスをまずは提言としてまとめてはどうかなというのが私の意見でございます。
 そのほか、何かありましたら、是非。特にロードマップについては今後の詰め方は大変に重要なポイントになると私は思っておりまして。是非、御意見を頂きたいと思います。
 
【神武委員】すいません。慶應の神武ですけれども、よろしいでしょうか。
 
【遠藤主査】はい。神武先生、お願いします。
 
【神武委員】ありがとうございます。
 今の永田、遠藤委員のお話にも関係すると思うのですが。やはりゴールを設定して、ゴールに対するシナリオが描かれないといけないというように私も思います。で、その上で、やはり今日お話しいただいた点、全てが順調にできればいいわけなのですが、全部が全部同時に完璧にできるというようにはなかなか思えませんので。やはりこの辺りは優先度をある程度つけるというところが、考え方に起因するところはあるのですが、その辺りも議論すべきかなというようには思いますが、いかがでしょうか。絶対にこれはやらなければいけないということと、若しくはこれはもう少し先送りしていい、若しくはできるのであればやりたい、若しくはAというものをやった上でなければBというものをやる意味が余り出てこないというような辺りの、先ほど遠藤委員がおっしゃったようなプロセスと優先度という辺りをもう少し明確にしていただいた方が時代の変化に対応しやすいかなと思います。
意見です。以上です。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。
 是非、そういうところはこのロードマップの意見というか、そういうことに是非含めておいていただけるといいかと思います。
 そのほかございますか。
 
【石田委員】石田ですけれども、1点よろしいでしょうか。
 
【遠藤主査】はい。お願いします。
 
【石田委員】今、ちょうど写っているロードマップ策定・実施に係る留意事項のところの、1番と2番に関してなのですが。革新的な輸送システムの開発をしようとしたら、アプローチも革新的じゃないとやっぱり駄目だと思っています。この1と2のところが何となくオーソドックスなように見えていて、もうちょっと踏み込んだ包括的な検討をしないと答えが出ないかなと思っています。1に関していくと、政策ニーズと市場動向以外にもう一つはやっぱり競合分析というのを徹底してやるというのが必要かなと思ったのと、輸送システムの設計開発の手法に関する最先端動向もやっぱり見なきゃいけないと思っています。民間企業ですとやはりデジタル技術をガンガン使い倒していたり、ロケットの運用期間やアップデートのサイクルなど、もう10年前と今は変わってきたりしていると思うので。そういった輸送システムの設計開発手法の最先端動向というのも見て、物づくりの在り方そのものも見直さきゃいけないのではないかと思って、その2点が(1)には必要かなと思いました。
 それと、多様化だけではなくて、戦略的な役割分担というのをやはり決めなければいけないと思いました。先ほどの永田先生にも関係するのですが、この革新的な輸送システムというのが何をイメージするかによって、やっぱり役割分担が変わると思っています。仮にSLSのようなものをつくるという話であれば、あれはアメリカだとやっぱりNASAでないとできないと思います。そもそも遠い所にくっつきに行くという目標がないとあんなのは始まらないので、NASAじゃなきゃできなかったりしますが。ファルコンのようなロケットをつくろうとすると、ファルコンができた後にNASAがオフィシャルレポートであれば自分たちでは絶対にできなかったと言い切っていたコッツレポートというのが確か出ていたと思いますけれども、やっぱりあれは民間企業を主体としたからこそああいう革新的なコスト低減のようなことがされたというのがあったりします。一方で、有人のファルコンの今度実証されるやつでいけば、あれはやはりNASAの技術をガンガンSpaceXに移転しているからこそあのスピード感でできるというのもあると思います。やっぱり将来目指すものによって役割分担というのを適切にしていかないと革新的なものはできないと思います。そういう意味で(2)のところが、参画主体の多様化プラス戦略的連携とか戦略的役割分担というのがやっぱり留意事項としては必要かなと思いました。
 以上、2点でございます。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。大変に重要な視点をありがとうございます。
 そのほか、お願いします。
 
【野口委員】IAの野口です。よろしいでしょうか。
 
【遠藤主査】どうぞ、お願いします。
 
【野口委員】はい。ありがとうございます。
 先ほどちょっと目標の設定が大事ですよということで、資料5-2-1の別添の1.の目標のところ、それから2.のロードマップの位置付けとあるところで、時間軸について少し触れられています。そこで「2040年代までに」という記載があるのですけれども、「年代」としてしまうとこれだけで10年間の幅が出てきてしまうので、少し目標がぼやけてしまうかなと思います。で、目標も含めて、この後でロートマップの議論の中で明確化していきましょうということですので、もう少し具体的な時間、ピン止めのようなものが必要かなと思いました。
 以上です。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。
 確かに40年代というと大変、そもそも40年というのがかなりの先です。文科省サイドとしてはどうですか。この辺の目標、時間軸をやはり何かぼやかしたいという意図があるのでしょうか。
 
【原田企画官(事務局)】文科省原田です。
 今の宇宙基本計画が20年を見通した10年計画ということで、これにひも付いて今回将来宇宙輸送システムの検討も進めさせていただいているところでございます。
したがって、今の基本計画が20年として大体2040年というのは大きくターゲットとしてある中で、もうこれがはまるとなると一つ2040年にという大きな山の頂を考えたときに、まずそこを目指した抜本的な革新的な宇宙輸送システムを目指した取組かなというふうに思っております。そういった意味では、ぼやかしたいというわけではないのですけれども、他方で考えられるならば、そうは言っても2040年は結構20年も先の話でもあるので、今の個別の技術なり方式なりが特定できない中で、ピン止めというのはどこまでできるのかなという、そういった思いもあって「2040年代までに」という、そういった書き方をさせていただいているのですけれども。
 他方で、テクニックだけで申し上げると、例えば「2040年代前半までに」などという言い方もできるのかもしれないとは思いますけれども。すいません。若干現在一つの技術システムなり方式なりというのは特定できないままで、具体的に20年後なのか、25年後なのか、30年後なのかという、そこの幅を特定しづらいといったところはございます。他方で、スピード感を持ってやるべしといったところございます。考えられるのが多分その40年代前半までに実用システムを実現するというのが一つの考え方としてはあろうかなと思います。
 以上でございます。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。
 恐らくこの文書が公開されたときに、やはり受け止める人がどう受け止めるかということも、よく思って受け止めてもらえるかどうかということもあると思います。表現振りだと思いますので、もうちょっとこれは検討していただければと思います。
 それでは、続いてどなたかございますか。
 
【齋藤委員】齋藤ですけれども、よろしいでしょうか。
 
【遠藤主査】はい。お願いします。
 
【齋藤委員】1点今日の感想的なことと、あと1つ質問です
 感想的なことは、ロードマップの中には一気に革新的に2040年代という、もちろん目標設定は必要なのですが、そこまで一気に行かないのだろうなと思うので、やはりステップ・バイ・ステップのシステムというか事業というか、マイルストーン設定が重要なのでしょうし、そこも検討されていくのだろうなと思いました。
 それと、このロードマップの中の最後の方にスケジュール的なところがありました。3ページですが、ロードマップと研究開発ロードマップをやりますという中に、蹴り出しのタイミングが一緒になっているのが気になりました。技術ロードマップはインプットがないと蹴り出しにくいというところもあるので、ここを一緒にしているという意図は、その技術ロードマップ側からロードマップへのインプットというのも期待している。つまり、次の4ページでいうと上向きの矢印か何らか、まず技術ロードマップ側は、ロードマップはある程度何らか仮定して進めて、あるところでイタレーションというのを考えられているのか。どういう意図があるのかなというのを確認したいです。
 
【遠藤主査】それでは、これは文科省の方にお答え願えますか。
 
【原田企画官(事務局)】はい。文科省原田です。
 齋藤委員が御指摘のとおりでございます。確かに理想的にはそこでロードマップを策定してからというのがあるのですけれども。他方で、割と御承知かもしれませんが、稲谷先生からも一度インプットしていただいこともありますけれども。第1回でしたでしょうか。その動きというのは相当速く動いているということもございますので、他方でH3の完成というのもある中で、完成を待たないとなかなか本格化ができないという、そういった状況もある中で、だけれどもその検討はやはり早めに着手したいといったところが我々としてはございます。したがいまして、おっしゃったとおりでございまして。今、既に着手できるものとして、例えばCALLISTOのような取組や、あるいはエアブリージングやLNG推進系など、現に今進んでいて相当程度先の応用の見通しなどもあるものに関しましては、それらをどのように発展させるかといったものは今からでも議論ができるものはあるのだろうと思っております。
 他方で、大きなそのロードマップがない限りは、なかなか大きなシステムには絵が描けないということに関しては、そういったものを見据えながら技術ロードマップといったものも個別にまた走らせていくということになるのであろうと考えているところでございます。
 以上でございます。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 
【齋藤委員】はい。結構です。ありがとうございます。
 
【遠藤主査】それでは、次の方、どなたかお願いいたします。
 
【遠藤主査】山崎さん、どうぞ。
 
【山崎委員】はい。簡単に3点です。
 まず1つが、やはりゴール設定がとても大切だと私も同意します。で、抜本的なコスト低減ということですが、その抜本的というところでどの程度を狙うのかというところもまだきちんと議論ができていないと思っています。10分の1なのか、本当は100分の1なのか、その時間軸はどうなのかと。その辺りも調査・分析などを行いながら、ゴール設定をきちんと議論していく必要があると思います。
 2点目が、留意事項の中でも(6)に必要な技術の国産化・保護すべきコア技術の在り方とありますが、逆に言えば必要な技術を守りつつ、ほかのところでは国際協力をしていくという道も考えていくと思うのですけれども。その辺りの役割分担の中で、国内の産官学の連携だけではなく、コア技術とそうではない協調すべき技術の海外との役割分担というところも留意いただければと思います。
 で、最後に3点目なのですけれども、やはりその抜本的なコスト低減を狙うには、これは以前にも石田委員もよく御指摘されていましたが、やはり需要を喚起していくと。需要形成が大切ということで。特に今は新型コロナの影響もありし、より国民への理解、それからその上での宇宙輸送という位置付けをしっかりと需要喚起とともにより図っていかないといけないと思っています。
 例えばですけれども、アメリカのシエラネバダ社などではSDGsのミッションを国連と一緒に行って協調ミッションを行っているわけですけれども。このような社会に貢献する宇宙輸送としてもSDGsなどに貢献していくような、そういったことも含めて、需要とユーザーと一体となっていくということがより大切になってくると思います。
 以上です。その点に関していかがでしょうか。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。
 今の御意見に対して、原田さん何か。
 
【原田企画官(事務局)】文科省原田です。ありがとうございます。
 御指摘のとおり、ゴール設定、山崎先生、いろいろと大変。正にそのゴール設定というところは一番コアな、皆さんは一番よく御存じだと思うのですが、最も難しく、また最も重要なところだと思っておりまして。ただ、他方で、また若干総括的なことを申し上げると、今回の小委員会における一つの趣旨でありアウトプットであるのは、このH3の開発や輸送系のいろいろなやることの中で、次の世代に向けた抜本的な輸送系といったものの議論をする、あるいは体制を持つということがなかなか難しい中で、こういった小委員会のアウトプットを受けてJAXAあるいは文科省の中にその体制をしっかりとやることによって、H3が終わったらロケットは終わったよねという流れにさせないということが一つ大事だと思っております。H3の後、また間断なく将来に向けた宇宙輸送システムに向けた取組というものをしっかりと本格化させていけるような、そういった体制をこの小委員会の一つのアウトプットとしていただきたいと思って委員の皆様の御協力を頂いているところでございます。
 で、おっしゃるとおり、そういった意味ではゴール設定が大事でございます。我々の中でもいろいろな議論をさせていただいております。正に本日いらっしゃっている輸送系の専門家の方にも実際にどれぐらいできるかというのは私も正にお聞きしたいとは思っておるのですが。他方で、我々の中での議論の中では、例えば今H-ⅡAやH-ⅡBというのが大体コストは100億から百数十億といったレンジがございますけれども。この部分のレンジを例えばどれぐらいできるかというときには、本当に可能であれば我々サイドは10分の1、あるいはそのコストを1桁あるいは2桁ぐらい下げられるのかどうかというところの可能性といったものは追求していきたいと考えているところでございます。
 時間軸としましては、正に先ほど野口委員からもございましたとおり、例えば2桁、本当に究極的には2桁ぐらいのオーダーというものを目指せるのであれば、そこは可能な限り早くという思いがあるのですけれども、2040年代の前半ぐらいを目指してということになろうかと考えております。
 で、留意としての国際分担に関しましても、これに関しましては一応提言案の本文においてもこちらの神武先生からの御指摘なども頂いて、国際協力あるいはネットワーキングといったことの重要性といったものも記載させていただいております。提言案本体の11ページ目でございますけれども、4.の(3)の留意事項といったところの中に、丸5ということで海外との戦略的な連携ということで、当然海外では競争する部分と、他方で協調する部分もあるだろうと。協調できる相手と戦略的な連携といったものもやっていくと考えております。それに関しましては、別添でも2.のロードマップの位置付けの中の(5)に、戦略的な国際協力の在り方ということで、将来事業化や一つのシステムとして運用する際には、当然自律性といったところが重要にはなるのですけれども、可能なところにおいては例えばルール設定などにおいてもいろいろと、航空機の分野であれば国際的なルールがあるように、こういったものが何らかのルール設定をなさせるのであれば、そういったものは連携していくといったことは考えられるだろうと想定しているところでございます。
 3つ目でございます。3つ目は需要の喚起を目指していくということで、市場を形成していくといったところが本小委員会でもいろいろと提言を頂いているところでございますので、正に極めて競争力のある輸送系を実現していくことで、日本でもそういったマーケットを取っていくといった動きをしていきたいのですけれども。山崎委員にも御指摘いただいたように、国民の理解といったことが大変に重要になってきます。そこにつきましては、一応ロードマップの視点の中の3.の留意事項の中に(4)ということで人材育成というところがあるのですけれども、その中では国民への広報や理解の確保と。本文中にも宇宙開発利用部会の委員の先生からも国民への理解や指示といったところが不可欠であると。当然巨額の投資になる可能性もあるので、もちろん100%官のお金というわけではないのですけれども、そういったものに国民的な理解といったものが必要であるだろうということで、そういったものにも留意していくといったことを記載させていただいているところでございます。
 環境への配慮というところにデブリ対策等と書かせていただいておったのですが、SDGsの関係は、正に一つ国民へのコミュニケーションといいますか、国際的な社会においても重要な視点となりますので、可能であればといいますか、この留意事項の中にそういった持続可能な開発といった観点もしっかりと配慮していくといったところは明記をさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
 
【遠藤主査】山崎委員、よろしいでしょうか。
 
【山崎委員】はい。了解いたしました。ありがとうございます。
 
【遠藤主査】そのほか、御意見のある方、お願いいたします。
 
【兵頭委員】MHIの兵頭です。いいですか。
 
【遠藤主査】はい。兵頭委員、お願いします。
 
【兵頭委員】私から2つコメントさせていただきたいと思っています。
 1つ目なのですけれども、最初に革新輸送の中で目標が抜本的低コスト化ということだったのですが。その議論の中で、将来的な二地点間輸送を考えたときに、有人輸送が重要課題を大きく喚起するのではないのかというのがありましたように、私もそれは思っています。多分有人に対してこれから本気で取り組むかといったところが別添でありましたロードマップ策定実施に関する留意事項の1つポイントになってくるのかなと思いました。
 あともう一つなのですが、国際探査などがある中で、軌道間輸送機が今後想定されていて、ある意味そういったところが今回のロードマップの扱いに入ってくるのか、それかどうなのかなというのをちょっと伺いたくて聞きました。
 何となく低軌道領域での有人の経験は日本でもありますので、逆にその低軌道領域から地上に降りていく形で有人の技術がどんどん発展していくというスコープも一つの発展方向としては考えられると思いますので、そちらも含めて検討すべきかなというのがあって、今、聞きました。
 
【遠藤主査】原田さん、いかがですか。
 
【原田企画官(事務局)】文科省原田です。
 1つ目は、有人がポイントということで。実は、すみません、この小委員会は取りあえずアウトプットとしてはそこまでは有人に関して強調はしておりません。というか、皆さんお気付きだと思うのですけれども。他方で、なかなか有人というのはちょっと。一応この小委員会としての御提言を頂いてこれは文科省が受け止めるということになるのですけれども。まず有人を目指すというゴール設定は余りにもちょっとハードルが今は大き過ぎるかなと考えているところでございます。他方で、もう以前も御議論いただきましたとおり、本文の中でも想定される技術としましては有人化にも資する信頼性、安全性技術といったところがあり、先ほど沖田ユニット長からも御説明いただいたJAXAの資料の中でも有人化に向けた検討というのは行っていくということを考えております。
 それは、この革新的に安い輸送システムといったときには、単に安いだけではなく当然信頼性のある輸送システム、あるいは高頻度運用が可能となるシステムといったところを目指すことによって、それは当然発展するものと。拡張性、私が実は提言の中にも将来の拡張性という観点というところをワードとして1つ書かせていただいておるのですが、この将来の拡張性というのは正にこういった有人システムといったものにも資する可能性がある信頼性なり、高頻度性なりといったものの技術を磨くことができればそういったものにもつながるのかなということで、1つの観点として記載させていただいております。
 ただ、実はこれは内閣府の基本政策部会でも有人宇宙輸送システムをしっかりと目指すべきといったお声は頂いてはいるのですけれども、いきなりそこの目標設定をするというのはなかなかちょっと。先ほど沖田ユニット長からも若干の試算のようなものを行いましたけれども、少しそこはまだ様々な御議論を頂く必要があろうかなと考えております。
 他方で、その技術的な目標としましては、そこにも資するようなつながりを得るような技術課題などを着実に積み重ねることによって、そういったところに土壌をしっかりとつくっていくということが、今は正に遠藤主査がおっしゃったようにまだプロセスをしっかりと作るということで。そういったところのまずは土壌づくりの1つのステップとして、こういった議論を今はさせていただいているということでお考えいただければと感じます。
 2つ目の御指摘を頂いた軌道間輸送なのですけれども、これは技術ロードマップの中で考えられるかなと想定しております。この辺はロードマップの中でも当然1つの方式だけに限定されないということを今は想定されるわけでございます。まずは地上から低軌道領域への輸送といったものをいかに安く、あるいは安定に信頼性を高くやるかといったとこから1つの目標として考えられるのではないかと私は考えております。その中で、将来新宇宙探査なり、あるいは月探査などといったところのリンケージの中で、低軌道から高軌道にいかにもっていくかといった技術といったものもそこは応用問題としてしっかりと考えておく必要があって、低軌道領域はその後に高軌道にいかなきゃいけないときに全く違うシステムをまたゼロから考え直さなきゃいけないといったことにならないように当然そこから高軌道への更なる応用というか可能性も含めて、ロードマップの検討というのはされるのではないかと考えております。
 以上でございます。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。兵頭委員、よろしいですか。
 
【兵頭委員】すいません。ちょっと追加で1個だけ質問していいですか。
 
【遠藤主査】はい、どうぞ。
 
【兵頭委員】原田さんが有人の部分は明確になかなか今の段階で議論するのは難しいというのは、その世論なども考えたらそうだろうなと思うのですが。
そういった移行や実際に計画を立てていくのは、このJAXAさんの資料の中にありました選択と集中、少なくともそれ以降の議論じゃないかということですか。
 
【原田企画官(事務局)】そうです。選択と集中はタイミングにもよるのだとは思います。当然選択と集中のタイミングでそういったものにいく可能性もあります。他方で、余り予断を持って申し上げづらいのは、今回こういったいろいろな可能性を前提に研究開発なり検討を進めていくに当たっては、当然新しいイノベーションのようなものが起きたときに、ある意味ほかの国が有人輸送に割と容易にキャッチアップできるような状況にあるにもかかわらず、日本だけがそれに取り残されるという状況というのは避けなきゃいけないので、そこは選択と集中のタイミングをしっかりと待つのがいいのか、あるいは新しいイノベーションが起きたときに日本がそこに直ちにキャッチアップできるための能力をしっかりと持っておくことが重要なのかというのは、すいません、なかなか今の段階でこのタイミングにおいて判断根拠を入れるかどうかというのを申し上げづらいかなと考えております。
 答えになっておりますけれども、すいません。
 
【兵頭委員】いえ。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございました。
 そのほか、御意見をお願いいたします。
 
【竹森委員】竹森なのですが、よろしいですか。
 
【遠藤主査】はい。よろしくお願いします。
 
【竹森委員】変な質問ですいません。
 ロードマップのところでよく出てくる革新的将来宇宙輸送システムなのですが、てっきり私は革新的というのは再利用や探査や有人や二地点輸送など、そういう将来の輸送を考えたときのその革新性というものを正に御議論しているのかなと思っていたら、いや、いや、その革新的というのは飽くまでも抜本的低コストのところにかかっていると。だから、その抜本的低コストというのは革新的だというところなのですね。そうなると、再利用や探査、いわゆる目的と手段がよく分からなかったのですけれども。その革新的将来宇宙輸送システムというのが抜本的低コストということでいくならば、その将来の再利用や探査や有人ということを、H3やイプシロンや今の稲川さんなどの有人ロケットなどでも使われている技術やそのサプライチェーン、これは安くしていくという延長上でもあるわけですから、この革新的というのは今回議論するのはやっぱり飽くまで抜本的低コストが主眼なのか、それともその先の再利用やそういうところを目指そうとしているのか。何となくその辺がふわっとなってしまったのですが。その辺りはもう一回だけ、ちょっとすいません、クリアに教えていただいていいですか。
 以上です。
 
【遠藤主査】原田さん、よろしいですか。
 
【原田企画官(事務局)】はい。文科省の原田です。
 すみません。正に何を目指すかといったときに、抜本的低コスト化を実現する革新的将来宇宙輸送システムと申し上げたので、革新的というのは抜本的低コスト化ということと同義というように竹森委員は御理解されたかもしれないのですが。クリアに申し上げますと、一応今回の議論については、正にある意味技術の革新化というところがやっぱり重要だと思っております。竹森委員から御指摘いただいたような再利用や将来の何らかの二地点間など、そういったものにつながるような革新的な技術といったものは、それを通じて低コスト化につながるということだと考えられています。
 
【竹森委員】すいません。竹森です。
 その理解であれば最初の理解で私は合っているのですが、どうもこの文書の先ほどのやりとりを聞いていると、その抜本的低コストによって革新的にいくのだというように何か聞こえてしまうので、何かそこをちょっと表現など注意した方がいいのではないかなと思った次第です。
 以上です。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。
 私の意見を言わせていただくと、革新的な将来宇宙輸送システムというのはいろいろな形態が恐らくあって、我々がまだ思いついていないようなものもあるかもしれないのだけれども。それでもその革新的なシステムはこの低コストという要件を外したものであってはならないというような意味で、ちょっとこれは何か苦しい説明ですけれども、文言としては何か頭にこれが来ているからそうなってしまうという理解も確かなのですが、もうちょっとその辺りを何か表現振りはお考えいただければいいかと。
 
【原田企画官(事務局)】文科省原田です。承知しました。
 
【遠藤主査】それでは、ほかの方。
 
【石井委員】石井です。よろしいでしょうか。
 
【遠藤主査】はい。お願いします。
 
【石井委員】私の方からはコメントを2つと、提言に関して確認を1つさせていただきたいと思います。
 正に今、御議論になっていたゴールについてなのですけれども。提言の中では基幹ロケットの維持というのがゴールとして明確に打ち出されていますので、それ自体は賛成ですので、その提言を通じて説得性、正当性を高めていくことが大事なのかなと思います。
 で、その中で低コスト化ということが出てきていると思うのですけれども、お話を聞いていますと、それは直ちにやるというわけではなくて20年スパンぐらいで目指していくと。そうしますと、やはりその間にほかの国も民間事業者も含めて競争をしているわけですので、それをもって競争力を強化するということにはなかなかなりにくいのかなと思いました。その点についてどう答えていくのか教えていただければと思います。宇宙開発利用部会の中でもH3の国際的競争力について適切に評価していくことが大事と書かれていますので、その点については答えていく必要があるのかなと思いました。
 コメントの2つ目は、産学官の役割分担のところですけれども、正に宇宙ビジネスにどこからその資金を調達してくるのかということだと思います。提言の中では、この産業界において新たな宇宙市場の形成を目指し、資金調達を含めたビジネスプランの策定・事業化と事業者間の競争と協調を進めると書いてあるのですけれども、これ自体は賛成なのですけれども、産業界と国とJAXAの取組がどのように連携していくのかについて、もう少し具体的に書いていただけると非常にいいのかと思いました。
 この点、JAXAの資料の中では、宇宙輸送技術の共創体制の具体的な中身について特に5-2-1の資料6ページの辺りなどで御説明いただいているところだと思うのですが、提言には具体的に反映されていないのではないかという点が気になりました。
 また、これに関しまして、やはりそのニーズを見定めるにはやはり輸送事業の多様性といいますか、どの軌道に何を運んで、何のためにやるのかというところをはっきりさせないと、具体的な話ができないところだと思います。提言の中ではそれらが余り区別されずに議論されていますので、どこまで細かく書くのかというところも含めて考える必要があるのかなと思いました。
 最後に確認なのですけれども、宇宙開発利用部会のコメントの6番で、衛星の打ち上げ需要が低軌道打ち上げにシフトしていっているので、日本射場の地理的弱点は薄れつつある一方で、日本の宇宙輸送システムの国際競争力を考えるに当たって留意しておくべきだと指摘されているところです。これが提言の4ページでは日本の事業環境を改善する方向にあると書かれているのですけれども。
 これは宇宙開発利用部会のコメントを反映しているのかどうか。むしろ、そのコメントの中では射点が低緯度地域である必要性が小さくなるということで、もちろん日本としてはその地理的弱点が薄れつつあるわけですけれども、ほかの国も同じ条件なので、競争力をむしろ高く上げる必要があるので、競争が激化するということを意味しているのだと思ったのですけれども。こういった確認にいいのかどうか、確認させていただければと思います。
 以上です。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。
 それでは、文科省からお答えいただけますか。
 
【原田企画官(事務局)】文科省原田です。
 すみません。最初の方ですが、後半が聞き取りづらくなっていて申し訳ないのですけれども。H3の評価が大事というところの前の部分で、すみません、ほかの国と。
 
【石井委員】はい。国際競争力を高めていくために、その手段の一つとして低コスト化を進めていくというお話でしたね。
 
【原田企画官(事務局)】ええ、そうです。はい。
 
【石井委員】しかし、その時間軸としては10年規模ぐらいで考えていると。
 
【原田企画官(事務局)】はい。
 
【石井委員】10年、20年で考えていると。
 
【原田企画官(事務局)】はい。
 
【石井委員】そうすると、基幹ロケットの低コスト化だけではやはり競争力にはならない。
 
【原田企画官(事務局)】そうです。
 
【石井委員】その点を提言にどこまで反映するのか。
 
【原田企画官(事務局)】そうですね、分かりました。すいません。
 そうなのです。それで4.はその(1)(2)というのは2つの柱だと申し上げたつもりです。1つ目が、現行にある基幹ロケット、例えば今はH-ⅡA/Bがあり、あるいは気象ロケットというラインナップがありますけれども、これまではH3はH-ⅡA/Bの半額ということで、それでコスト競争力を何とか高めているといった現状がございます。こういったところでは、当然その基幹ロケットの高度化といった取組というのもしっかりとやっていくのですけれども。で、(2)のこの小委員会でも柱と申し上げていた革新的将来宇宙輸送システムといったところを目指すことによって、これが抜本的低コスト化といったところが革新的なのかどうかというのはちょっとあるのですけれども。この抜本的な低コスト化を目指したような革新的将来宇宙輸送システムといったものは、必ずしも現行の基幹ロケットの延長にはない技術形態になる可能性もございまして。そういったものも今はある意味同時並行で進めていこうというのが、今回の小委員会における1つの提言として考えているところでございます。
 他方で、その革新的な将来宇宙輸送システムといったものが、ひょっとしたら現行のこの立て打ちになる垂直に飛ばすようなロケットタイプのものの発展系が革新的な将来宇宙輸送システムになるのかもしれません。そうすれば、正に今ある基幹ロケットで技術の将来形態、20年スパンで考えたときの革新的将来宇宙輸送システムといったものが基幹ロケットの正に直系の延長線上で抜本的な低コスト化であり、あるいは技術的にも革新的なものになるといった形態も考えられます。他方で、今、その革新的な将来宇宙輸送システムの技術検討を行う体制をつくることによって、やはりこの2~3年、石田委員などもおっしゃったような内外の技術的な、あるいはシステムなどを徹底的に調べた結果、全く違う飛び方、例えば飛行機のように飛ぶようなやり方といったものが出てきた場合においては、当然応用できる部分もあるのかもしれませんけれども、場合によっては射場のシステムなども含めて全て考え直す必要が出てくるかもしれません。
 そういった可能性も全く排除することなく、他方でそれが仮に山崎委員もおっしゃったような将来1回飛ばすのに100分の1コストなど、そういったものが実現できるのであれば、そういったものを果敢に検討できるようにするための、まずこの体制というかプロセスをこの小委員会の御提言を頂いて、そういった枠組みといったものができるように、検討を着手するといったところを進めていきたいというように考えています。そこは、まず1つ目のお答えになろうかと思っております。
 2つ目は、役割分担のところで、もう少し具体的にということで。
 ビジネスプランがあって、JAXAのところに記載してあるところは、盛り込めるところはなるべく産業界や国とJAXAとの協力の方策、どういうふうにあり得るかといったところは、なるべく本文のところでも、すいません、ちょっと検討させていただければと思っております。
 あと確認事項でございます。低軌道領域の宇宙開発利用部会委員のコメントで、低軌道領域界の打ち上げといったものは日本の地理的不利といったものを改善する方向にあるいうことで、石井さんがおっしゃるとおり他方では確かに他国も同様なのである意味で同じ意味ではあるのですけれども。そういう意味では、そういうように逆に取られると当然競争が激化するという可能性もあるのですけれども。他方で、今は日本の場合は既に宇宙輸送システム技術を持っておりますので、小型にせよ大型にせよ、そういった意味では世界的にも比較的優位にあるというように考えております。
 この場合に特に低軌道領域に対する日本の優位が考えられるものとしては、正に民間の小型ロケットなども登場してきておりますけれども。そういった人たちへの事業といったものが他国の小型ロケットなどと比べても、小型ロケットの場合は低軌道領域となりますので、そういった方々の事業を目指している人たちからすると、日本という地理的制約というのは、当然国土が狭いとか住居が近いといった不利な点はあるのですけれども、そういった点を除けば単に緯度の違いによって事業環境が不利になるということが薄れているのではないかといったところを指摘させていただいております。そこの記述は正に先ほど石井委員からも御指摘いただいた資料5-2-1の現状のところで記載させていただいたところでございます。資料5-2-1の4ページ丸2の「また」以下のところです。そこでは正に部会の委員からの御指摘を踏まえて、ここの部分は加筆させていただきました。
 以上でございます。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。
 石井先生、いかがでしょうか。
 
【石井委員】はい。ありがとうございます。
 すみません。1点だけ確認といいますか、もうほかの先生方と同じになってしまうのですけれども。
 革新的将来宇宙輸送システムとそれから基幹ロケットの維持というところをつなげようとするのは理解できるのです。しかし、革新的宇宙輸送システムは政府とは独立したところでやるという考え方も当然あるわけですので、そこをつなげさせようとする必要はないのかなと思いました。
 もう一つは、安全保障については提言の中でも触れられているのですけれども。安全保障といいますか、国益のために基幹ロケットを維持する必要があるのかということを書いてもいいのかなと思いました。これはコメントです。
 以上です。ありがとうございました。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。
 時間も迫ってまいりましたので、ちょっと私の方から提案がございます。
 これまでの議論を踏まえまして、事務局ではこの提言を次回の委員会で中間取りまとめというふうにまとめたいということでございます。ただ今日も御議論いただいたように、この提言は飽くまでもロードマップやゴールを定めるプロセスの進め方について提言をするという、これまでの議論はそういうことだったと思いますので、その範囲で中間取りまとめとさせていただくのが適切かなというように思っております。
 で、最終的には、この内容で小委員会を代表して私から親部会の利用部会に報告をさせていただくということになります。やはり今日の御議論の中で、このロードマップの策定への留意点というところが、そのプロセスにしても大変重要だと思います。今日は大変にたくさんの御意見を頂いておりますし、次回まで、恐らく後で事務局から説明があると思いますが、そんなにたくさんの時間も取れないと思いますので、更に今日の御議論から委員の皆さんの御意見がありましたら、極力それを取り込んだ形でこの取りまとめというようにさせていただきたいなと思います。これは事務局にお願いなのですが、期限を定めていただいて、委員の皆さんからこの提言案、そしてロードマップの留意点についての御意見をメールベースでまたまとめていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
【原田企画官(事務局)】文科省の原田でございます。
 委員の先生方、もしそれでよろしければ、メールなどになってしまうかもしれませんけれども、そういった形で反映させていただく方向で進めさせていただければと思います。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。是非委員の皆さんも御了解いただきたいと思います。
 それで、次回は取りまとめということにさせていただこうと思うのですが。この提言は文科省においては今後どういうふうに取り扱っていただけるのかというところをちょっと御説明いただけますか。
 
【原田企画官(事務局)】文科省の原田でございます。
 本提言につきましては、まず宇宙開発利用部会の小委員会ということで、提言の宛名先は文科省になると考えております。文科省としましてはこれを受けまして、今後の宇宙基本計画の工程表策定等もございますので、そちらの方になるべく反映させていただきたいと考えております。この小委員会におけるそもそもの議論の発端となっておりますのがその基本計画の工程表でございますので、またフィードバックをさせていただきたいと思っております。
 冒頭に申し上げましたとおり、本提言の宛名が文科省ということになっておりますので、我々としましてはこの提言を受けて、正に提言の中に記載していただいております4.の(4)ということで、直ちに行うべきことということで、近々行うべきことということで、今後の概算要求などにもつなげていきたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございます。
 それでは、そういうことで時間にもなりましたので、委員の皆さまには是非メールベースとなりますが、更に御意見を頂ければと思います。
 よろしゅうございますか。はい。御了解いただけたということにさせていただきます。
 それでは、最後に事務局から連絡事項等ありましたらお願いいたします。
 
【原田企画官(事務局)】まず小委員会の名簿を資料5-3に記載させていただいております。一部委員の先生方に所属名等に変更がございましたので、資料5-3になっております。
 また、会議の資料と議事録につきましては、本日本件はこのような形になりましたけれども、原則公開となっておりますので、後ほど確認をさせていただきまして、ホームページに記載させていただきます。
 また、次回の小委員会につきましては、5月13日を検討させていただいております。こちらにつきましてはできれば対面ということが望ましいと考えておりますけれども、昨今の事情等がございますので、またオンラインの会議という形を取らせていただく可能性もございますことをあらかじめ御了解いただければと思います。
 以上、よろしくお願いいたします。
 
【遠藤主査】はい。ありがとうございました。
 それでは時間になりましたので、本日の議事は終了とさせていただきます。今日は長い時間ありがとうございました。
 以上でございます。

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課