原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第20回) 議事録

1.日時

令和6年4月18日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

対面及びオンライン会議にて開催

3.議題

  1. 新試験研究炉の実験装置の検討状況
  2. 新試験研究炉への期待
  3. 原子力研究・人材育成の拠点形成に向けたロードマップ
  4. その他

4.出席者

委員

寺井主査
黒﨑委員
石川委員
尾崎委員
小澤委員
高木委員
松浦委員
中熊委員
和田委員

 

文部科学省

奥 原子力課 課長
髙倉 原子力課 課長補佐
竹ノ内 原子力課 課長補佐

オブザーバー

日本原子力研究開発機構 新試験研究炉推進室 村尾室長
日本原子力研究開発機構 新試験研究炉推進室 峯尾様
日本原子力研究開発機構 新試験研究炉推進室 和田様

5.議事録

原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第20回)
令和6年4月18日(木曜日)13時30分~15時30分

【竹之内補佐】 それでは定刻となりましたので、第20回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催いたします。今回の作業部会は、対面とオンラインを併用したハイブリッド形式にて開催しており、これに関連した確認事項などもございますので、議事に入るまでの間、事務局にて進行を務めさせていただきます。
 まず、オンラインにて御出席いただいております方への留意事項を御説明いたします。
 委員の皆様におかれましては、現在、遠隔会議システム(Webex)上で、映像及び音声が送受信できる状態となっております。御発言を予定される場合は、「挙手」ボタンを押していただくと、画面の左上に「挙手」マークが表示されますので、順番に主査から御指名をいただきます。御発言をいただいた後は、もう一度「挙手」ボタンを押して手を降ろしてください。
 会議中に、ビデオ映像及び音声が途切れている場合は、その時間帯は御退席されているものとみなします。遠隔会議システムの接続の不具合等が生じた際は、随時事務局あてにお電話にてお知らせください。議事録につきましては、事務局にて会議を録音し、後日、文字起こしをいたします。事務局以外の方の会議の録画及び録音はお控えください。
 以上が、本日の進行にあたっての留意事項となります。
 続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。委員の皆様及び傍聴の登録をされた方あてに、メールにて配布資料をお送りさせていただいております。
 お手元に議事次第を配布しておりますが、本日の議題は4点ございます。
 1点目が、「新試験研究の実験装置の検討状況」
 2点目が、「新試験研究炉への期待」
 3点目が、「原子力研究・人材育成の拠点形成に向けたロードマップ」
 最後4点目が、「その他」となっております。
 配布資料として資料が3つと、参考資料が5つございます。
 お手元の資料を御確認いただき、不備等ございましたら事務局までお知らせください。また、そのほかにも何かございましたら、随時お申し付けください。
 時間は15時30分までの2時間を予定してございます。
 委員の皆様の御出席状況については、開始前に事務局にて確認をさせていただいております。本日、現時点では9名の委員に御出席をいただいておりまして、運営規則の第3条に規定されている定足数の過半数を満たしておりますので、御報告いたします。
 また、本日は話題提供のため、京都大学複合原子力科学研究所教授、杉山正明(すぎやままさあき)様。また、中性子産業利用推進協議会から久米卓志(くめたくじ)様、吉岡研一(よしおかけんいち)様、小室又洋(こむろまたひろ)様に御参加をいただいております。
 また、オブザーバーとして、日本原子力研究開発機構、新試験研究炉推進室から村尾裕之(むらおひろゆき)室長、峯尾英章(みねおひであき)様、和田茂(わだしげる)様に御出席いただいております。
 続きまして、事務局の参加者について御連絡いたします。
 文部科学省からは、研究開発局原子力課課長の奥、同課長補佐の髙倉、竹之内が出席しております。
 それでは、これから議事に入らせていただきますが、運営規則の第5条に基づき、本会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の議事録につきましても、ホームページに掲載をいたします。事務局からは以上となります。ここからは寺井主査に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【寺井主査】 忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。それでは、御指名でございますので、ここからは私の方で進行させていただきます。本日の議題は、お手元の議事次第にございますとおり、議題1から議題4まででございます。それでは早速、本日最初の議題は「新試験研究炉の実験装置の検討状況」です。京都大学複合原子力科学研究所教授、杉山先生から御説明をお願いいたします。
【杉山先生】 ありがとうございます。
 本日は、このような場にお招きいただきまして、誠にありがとうございます。京都大学複合原子力科学研究所、新型研究炉開発利用センターの杉山と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は、御指名もありまして、新試験研究炉の実験装置の検討状況、我々京都大学複合原子力科学研究所の方でどのような検討をしているかと、それがどういう状況にあるかということをお話させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まずはこれまでの経緯、我々がどのような検討をこれまで行ってきたか、ということのお話をさせていただきまして、そのあと、今後どのように検討を進めていくつもりなのか、ということをお話させていただきたいと思います。更に、中性子放射化分析等々も含めた上で、いろいろな既存施設もありますので、この装置と今回のプロジェクトと基本装置との相互関係、どういうふうにしてこれから進めていくかについてお話させていただきたいと思っています。最後に、運転開始後の支援体制のあり方です。これは我々が思っているあり方と、夢みたいなこともお話させていただきたいなと思っている次第です。
 それではまず、これまでの経緯と我々の活動状況についてお話させていただきます。
 これから先の部分は、新試験研究炉の概要ということを少し書かせていただきました。
 まず、これは10MWの熱出力、10MWの原子炉であり、中性子ビーム利用を主とする試験研究炉です。目的は、これは広い意味で、私が少し付けさせていただきましたけれども、基本的には原子力分野の研究開発・人材育成・地元振興です。これを我々なりに理解したところでは、要するに、最先端の装置、実験装置を用いて実現できるであろうと考えています。位置付けは、西日本の中核的試験研究炉であるということ。これは最初に書かれていましたけれども、我々なりに解釈して、地元、まず西日本の学術・産業の利用の受入ということが大事であると同時に、できたら全国、さらに国際的な公共財まで持っていくべきではないか、という面も考えながら、検討を進めたいと思っている次第です。
 そして、本検討を進めるために、2020年11月から「概念設計と運営の在り方検討」というものが始まりました。これは皆さん御存知と思いますけれども、この中で、中核機関はJAEA様、福井大学様、そして、我々京都大学複合原子力科学研究所が選ばれて進めております。
 それぞれのミッションは、3項目矢印で書かせていただいているところでございますけれども、この各項目は、各グループが、機関が、独自に勝手に進めるものではなく、お互いに話し合いながら進めていかなければいけないものです。これが要するに、メインのものはこういうふうに割り振られていると理解し我々は進めており、他の機関の方も理解されていると考えています。
 そして、2023年4月から、本格的「詳細設計」の業務に移行しました。ただ、枠組み自身は基本的には変わっていないということになります。
 それで、ここで京都大学の幅広い利用を検討しています。この幅広い利用の検討とはそもそも何なのか、というのは、我々も考えました。結局のところ、実験装置を考える、利用体制を考える。人材育成・産業利用、振興も考える。こういうことをしなければいけないのだろうと考えています。そこで我々は、我々の研究所の中に、新型研究炉開発・利用センターというものを設置させていただきました。
 ここで、所内にいるこの中性子利用者、放射光分析者も含めて、原子力の専門家を集結いたしまして、専任部門や主体的に考える部門、他のミッションを持っていながらも本件もしっかり考えるという兼任部門というものを設置しまして、右の図に書かせていただきましたが、装置や運用体制の検討の各班を設置したという状況になっております。
 では、どういうふうなことを考えなければいけないのか。まず、実験装置の検討から始めましたけれども、その上側にお示ししたスキームを書かせていただきました。具体的に御説明させていただきますと、1から6点目までの項目が大事であると我々は考えています。まず、我々は装置の検討。ここの部分で、真ん中の部分に書かせていただいておりますが、当然ながら、装置を考えるというものは、炉心の方を考えていただいているJAEAと密に話し合いをする必要がありまして、我々はこういう装置が欲しいから、こういうビームを出してほしい。いやいや、原子炉の事情からはこういうビームだよ、という、要望すり合わせが非常に大事であると思っています。
 同時に、今度は福井大学との関係です。地元連携、装置を運用するためにはこういう装置がほしい。我々はこういう装置作っているけれどもどうですか。という話し合いをしている。これが1点目に書かれている情報交換や意見交換にあたります。
 そのあと、我々は国内の装置の利用状況の調査を行っているのですが、これは我々の参考資料、後ろのところに出させていただいています。これは一例ですが、JRR-3にあるJAEAの、特にどの装置がどの程度使われているか、物性研がどのぐらい使われているか、J-PARCで、どの装置がどのくらい使われているか、要するに人気度がどうかということです。ある特定の年度だけを集めていますけれども、このような調査を進めていたということでございます。
 3点目に入ります。当然、今までの経験ある方々からお話を聞きたいと。それは学識経験者、装置を作ったことのある方、さらに施設そのものを作ったことのある方、こういう方から情報を収集し、なおかつ、当然、ここの上の図の関連学会というところを書かしていただいて、左上の矢印の方向ですが、コミュニティからの各要望、こういうものを集めまして、どんなものが必要、どういうふうに作るのだという話をしました。
 その辺の内容については、資料2の方に書かせていただいております。上側の方には、色々な学会から要望書みたいなものをいただいて、その内容は検討させていただきまして、今申し上げたように、コミュニティの学識経験者、あと装置設置の経験者の方々から、こういうふうに意見を聞いていくという、こういうふうな経緯でございます。
 行ったり来たりで申し訳ありませんけれども、それで、5・6点目のところは産業利用の分析等々、御要望もお聞きし、さらに中性子の利用、研究炉というものを、皆様に言うまでもなく、世界的にいろいろなところにあるわけですが、世界ではどうなっているのだ、という点での動向調査みたいなこともしております。
 それは、例えば、いろいろなところに回ったと。それが、この参考資料の3というものになりますが、いろいろと我々も回って、話を調べてきたということになります。
 それで、まず原子炉につけているだけではなく、J-PARCなどもそうですけれども、いろいろな装置の性格は一体どういうものなのだろうか、というものがだんだん見えてくるということで、マップを書かせていただきました。下側に行く方が、基礎的なもの、上側の方が応用的なもの。使う技術とか、目的みたいなものが、放射化するような技術を使うもの、構造解析でやるようなもの、ダイナミクス、運動を見るようなもの、こんなようなものがあります。
 今までこうやっていろいろと調べた装置を、このマップの中に割り付けてみると、どういうふうな位置付けになるかということを見ていきたいと思っているわけです。
 まず最初、放射化については、やはりこれ放射化分析というものがあって、放射化分析は、縦に非常に長い枠であります。要するに、これは基礎的なことから応用的なことにまで利用されているという我々の判断になります。
 BNCT、これはがん治療に使われているようなBoron Neutron Capture Therapy、ホウ素を使ったがん治療のこと。あとは生物照射、RI製造というものは少し応用的かなと。ここで誤解のないように言いますけれども、細かく言えば、当然BNCT、RI製造でも、基礎的な学問的なことはありますけれども、大枠を見るということで御理解いただきたいと思います。
 では、構造解析の方はどんなものがあるかというと、イメージングという手法、反射率という手法、小角散乱という手法、粉末回析、単結晶、材料照射、陽電子という、正直申し上げて、資料のように分布するのかなという我々の判断です。
 さらに、ダイナミクスの解析というものは、これはどちらかというと学術的・基礎的なところのものが多く、非弾性、準弾性というものは、位置することかなと考えています。
 あとは、素粒子実験、原子核実験など、我々がいろいろと調べた結果の分類になってくるかなということです。
 さて、これを見た上で、では、どのような装置を我々は作っていくべきか、ということになりますと、まず初期の装置としては、要するに、いろいろな人に使ってほしいということを考えると、基礎でもあり、応用にもわたっているのが利用可能な装置ということで、放射化分析、要するに枠が長いやつです。これからまず、詰めて作っていくことを考えるべきであろうということで、ここに赤字で書かせていただいた、5つの装置というものを、まず最初に考えるべきという我々の初期のこれまでの研究の流れになります。
 この装置の分類はその次の頁にありますが、細かい要件はこんなものかなというものを書きましたけれども、今ここでは、こういう細かい内容について話す時間もありませんので、それはお時間のある時に見ていただいたら嬉しいなと思っています。中性子小角散乱装置、中性子のイメージング装置、中性子の回析装置、あとは中性子の反射率、これはビームを利用する装置で、さらに放射化分析の装置、これは右下の方にある、これがファーストの5つの装置であろうと考えています。
 それに加えて、これだけではなくて、2次的に、さらにこれを、施設を有効利用するために作っていくべきであろうと思っている装置が、そこのところに2次整備装置、AdvanceXと書いてありますけれども、そういうふうな考え方に応じて、いろいろな装置を作っていくということがよいのではないかということが、我々のこれまでの検討の結果になっております。よろしいでしょうか。
 それで、これらのことを決めた上で、今後どういうふうにしてこれらの装置のことを考えていこうかということであります。そういうわけで装置の整備体制ということが大事かなというふうに思っているのですけれども、ここで大事なポイント、キーポイントと我々が考えているのは、中性子に関する装置というものは、ほぼ全て固有の測定目的に合わせた一品ものとして製作、設置、調整が行われる。これは言い換えると何が言いたいかというと、要するに、市販品、専属メーカーというものは存在しない。外に行って、この装置が欲しいから売ってくださいと言って買ってくるわけにかないというのが大事。なので、そこのいわゆるビームラインサイエンティストや研究者という方々が、最新の学術技術を使って装置を作り、技術を使って装置を作っていかなければいけないものであるということになってしまうのが少し難しいところです。
 なので、何を考えたかというと、我々は、各装置ごと、先ほどファーストの5つの装置に加えて、Advanceの装置に対するタスクフォースというものを設置したと。左下にあるものが、そのタスクフォース群、先ほど申し上げたFirst5というものが、この赤い装置、さらに発展的なやつが黒い字で書かせていただいたもの。こういうものを作っていかなければいけない。
 このタスクフォースの中の検討項目というものは、参考資料4のところに列記しておりますけれども、内容がいろいろと多いので簡単になりますけれども、国内の施設の稼働状況の調査とか、実際に今国内の施設にどんな問題があるかとか、新試験研究炉の特徴づけはどんなことが、ここでだからこそできることは何かとか、さらに広範囲な利用の促進と。そういうふうなことを考えて、あと10年、20年後のことも考えて、アウトプットを考えた上で、ある段階でデザインのレビューをかけて、OK ですということになったらば、設計に移っていくということになるのですけれども、タスクフォースとしては、まずこのような段階のことを考えていく必要があるなということです。
 このタスクフォースのメンバーですけれども、先ほど我々、新型研究炉開発・利用センターというものを設置させていただいたというふうに言いましたけれども、まず、そこから各検討班というものを置きまして、その検討班の者と専門家の方、特に、JAEAさんには、ぜひ必ずどのタスクフォースにも、なるべく多くのタスクフォースに入っていただいて一緒に検討していきたい。ISSP というものは、これは東京大学の物性研究所、あと JRR-3 を使っておられますので。あとさらに、各大学の研究機関、産業界からの参加も考えており、さらに産業界からの参加も非常に期待して、できる限り All Japan の体制を組んでいきたいと。さらに人材育成ということも考えるならば、若手の参加を求めたいということです。
 全体としてのスキームとしては、これは参考資料5の方に書かせていただきましたけれども、今言ったことをまとめた資料になっていますので、あとで御覧いただけると嬉しいですけれども、こういう形で、タスクフォースを構成していきたいと、こういうふうに考えている次第です。
 タスクフォースの現状と今後ですけれども、このタスクフォースの人選がほぼ終わり、先ほど申し上げたように、我々の方とJAEAさんを筆頭とする専門家の方々と入ってタスクフォースが構築されたというものは、これは2023年度で、現在2024年度に入りましたので、仕様とか、先ほど申し上げた目的に沿った形で活動を開始していくと。
 今後の具体的なスケジュール案は、参考資料6、7に載せておりますので、そこを参考に御覧いただきたいと思っているのですけれども、活動期間としては、3年程度で、先ほど言った課題を抽出し、それについての内容を検討し、アウトプットとしては、こんな装置をこんな形で作ったらいいのではないかという Conceptual Design Report みたいなものを出していただきたいなと、そういうふうに考えている次第です。
 さらにプロジェクト全体と、今言った委託プロジェクト全体と装置整備の関連の連携体制ですけれども、先ほど言いましたけれども、我々、京都大学複合原子力科学研究所、今ここに失礼ながら真ん中に書かせていただいていますけれども、先ほど申し上げたJAEAさんと懇切丁寧にお話をしながら進める、福井大学さんと話を進めるというのが、これが先ほど一番最初に申し上げた概念設計の段階ですけれども、これが今、詳細設計と進化したので、改めて中核機関の連携とプロジェクトの統括的推進を目的した、カチッとした体制を構築して、その中で装置検討も行っていきたいというふうに思っております。
 具体的に言いますと、そこのところに書いておりますけれども、Head Querter の部分、これは当然、中核機関の代表であるJAEAさんになっていただき、我々が入った形で全体を統括していくと。そこの下に、原子炉を考える部門、装置を考えるところ、利用のところ主体的に考えているサブグループを設置する、こういう形で考えている。
 さらに、このサブグループのところが先ほど申し上げたタスクフォースに連動しているということになっている、そういうふうな体制が必要なのかなと。
 あと最近、いろいろなところで言われています、今日この場にもこういうふうにお呼びいただいて嬉しいのですけれども、ちょっとアウトリーチ活動が大変少ないのではないかということなので、キャラバン活動みたいな形で、いろいろなところに話をして、ここのところにまで話を進めていくと、紹介していくということも必要であります。
 少し話が逸れました。戻りますけれども、この連携体制ですけれども、これに関してはJAEAさんの方でも、こういうことをやったということをお聞きしています。これから、我々もそこに御協力する形で進めていきたいなというふうに思っている次第です。
 では、既存施設との相補連携のあり方について、少しお話させていただきたいと思います。
 ここで、我々が考えている新試験研究炉プロジェクトにおける問題点は、問題点といえば、いろいろあるのはあると思うのですけれども、今一番気になっていることは、先ほど申したPhase1、Phase2。Phase1というものは、設計とかそういうこと。ペーパーワークに基づいた話をしていて、Phase2は実際に装置を作っていくところの段階で、要するに中性子のビームが出てこないと、原子炉が動き出さないとPhase2に行けないところにあるのですけれども、これは非常に期間が長いというわけなので、そのためには、実際に装置を作ったときとか、装置を作るときに人がいなければいけない。なので、この間でも人材育成をしなければいけない。技術の継承をしておかなければいけない。学術の発展をしなければいけない、産業も活性化させなければいけないという、こういう大きな課題があるだろうと。つまり。原子力のここのまさに科学技術の振興、人材をどうやって行っていくのかと。この長い期間を、ということが大事であるというふうに思って、そこで我々が考えたのは、やはりこれは既存の中性子施設の利用を活性化というのは少しおこがましいですけれども、そういうプロジェクトを動かしていったらどうなのだろうか、という、これはあくまでも提案ではございますけれども、思っているし、京大、我々複合研とJRR-3さん、東大物性研、あとJAEAさんがコアになった形で、各大学、産業界、他の国研巻き込んだ形でプロジェクトを推進していく。
 こういうことによって、実際の中性子、右側の方を話しますけれども、JRR-3が再活用。再活用といっても、今でも十分活用されているのですけれども、さらに利用するし、その中の装置、既存の整備もできると。できることならば。モックも作ってしまって、そこで作ったモックをビームが出たときに福井にちょっと移動させるみたいな、そんなこともできたらいいのではないか。
 あと我々の方にも、京大複合研にもサイクロとか、ホットラボみたいな施設があるので、そういうところを使う。こういうふうに人材育成とか装置を活用して、長いというとあれですけれども、先ほど言った、このテーマを続けていくということです。
 利点は今そこに書かせていただいているところです。問題点としては、全施設のうまい具合の同意形成は、いろいろな話し合いをまとめていく必要があるかなと、そういうふうに思っています。
 今みたいな話をまとめますと、Phase1のところでは、ペーパーワークのところでいろいろなこういう先ほどの Sub Quarter 2のところで物を考えていくわけですけれども、これができたものは、審査、レビュー委員会で、不合格になったら再検討するのですけれども、出来た装置は、今度は、合格したらコントラクトチームに代わって装置を作っていくと、こういう段階になると。
 今申し上げたように、この間に長い時間がかかってくるので、これをどうするかということで、先ほど申し上げたような、こういうふうなプロジェクトを動かしていきたいというふうに思っています。このプロジェクトには、このタスクフォースの人たちが当然参加するし、そこからタスクフォースで育った人たちがコンストラクトチームに動いていくということになると考えている次第です。問題点は、ここのところに書いてあるような、各施設間の合意とか、そういうことを考えています。
 駆け足ですみません、最後になります。運転開始後の支援体制のあり方についてになります。考えなければいけない問題、検討項目というものは何か、ということです。3つあると考えております。
 まず1つは、施設の運営機関、これをしっかり作らなければいけないと。これは原子炉を運転管理しなければいけない。装置を利用高度化しなければいけない。これはタスクフォースコンストラクトチームから人員を養成していく必要があるだろうと。さらに、施設の共用体制。共同利用なのか、外部ユーザーの対応とか、そういうところを進める機関をそこにちゃんと設置するべき。
 もう1つは、これだけでは駄目だと。学術・産業の利用の振興が重要であるというふうに思っております。なので、学術振興のための研究センターなどを外部に作る必要もあるのではないかと思います。そういうことによって、大学等の研究機関を設置する。例えば、ナノテクの研究所、バイオの研究所などを近くに設置すると。当然、産業利用は重要です。コンサルタント機関を作る必要も必要であるだろうと。さらに、産業利用、そこの先として、できたら、今日来られているような企業の方々が、そこに誘致できるような施策が必要と。当然、地元振興・人材育成ということが、教育ということが必要です。北陸地方を中心とした、関西の大学との共同利用、研究を推進していくこと。地元企業との共同利用の充実。そういうことが大事であると。若年層への教育。ただし、これは独立に行うものではなく、各項目の連携が必要であり、我々京都大学複合研究所としては、タスクフォースの活動を通して、A3のところも考え、運転後はB1へ関与し、さらに各項目にも検討していきたいと。
 本当の最後の最後になります。私の持っているDreamというものを少しだけ紹介させていただきたい。試験研究炉による、真の人材育成とか地元振興とは一体何なのかと。原子炉を作ればよいのかと。そうではないと私は。試験研究炉とは何かというと、きちんと技術の集積地をそこに作り出し、将来にわたって、そこの地域の財産となるものを作る必要があるのではないかと、こういうことになります。
 つまり、研究炉を中心とした地域意識、地域振興、サイエンスシティみたいなものが作れることが、本当のゴール、理想なのかもしれませんけれども、というふうに私自身、我々は考えております。そこのところにちょっと敦賀ということで洒落もありますけれども、T-CRABなどというふうにありますけれども、原子炉が、先ほど申し上げましたように、そこのところに、ナノ、バイオの研究センターがあると。そこでは、原子力工学、物質科学、ナノ工学、生命科学研究、応用物質科学、素粒子物理学、こういうものが発展すると。そういうことによって、福井地域の大学、研究所群とも連携が進み、最終的には、いろいろな企業がそこのところに集まってくると。こういうふうなサイエンスシティを作り出していくということが、この試験研究炉での真の地元振興ではないのかなと思っています。
 すみません、時間が少し超過してしまいましたので、まとめの部分はここに出すだけで終わらせていただきます。私の方からは以上となります。御清聴どうもありがとうございました。
【寺井主査】 どうも御説明ありがとうございました。
 新試験研究炉の実験装置の検討状況ということで、検討チームの状況、それから検討内容、それから将来に対するビジョン、夢までを語っていただきまして、ありがとうございました。非常に分かりやすい御説明であったと思いますが、それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 挙手にてお願いいたします。小澤委員、どうぞ。
【小澤委員】 御説明ありがとうございます。小澤でございます。
 こういう夢のある話は大変面白いと思います。委員として、どうこうコメントするというよりは、どんどん創意工夫でもって、やっていただきたいと思いますし、教育機関とか、企業の研究者との意見交換で、また新しいアイディアが出てくれば、それはそれでどんどんと盛り上げていっていけばいいかなと思います。
 質問は2つほどありまして、4頁目のJAEAの京大複合研、福井大と役割が書いてあって、今回の話は、中性子を受けて、それで試験する装置側の話と思いましたけれども、それでよろしいのですね。
 そうすると、その次の次の頁ですかね、6頁目にFirst5とかAdvanceXと書いてあるので、装置を入れ替えたり、追加したりということが起こるのではないかなと思っていますので、この辺はどういうふうに進めるのかなと思っている次第でありまして、多分、これは1回使って入れ替えるとなったら、多分放射化の履歴だとか、いろいろな要因が出てくると思いますので、この辺はちょっと地味な。研究というよりは地味な運転管理の領域をしっかりやっていくべきかな、と思っていますので、その辺は何か構想がありましたら教えていただきたいということが一つ。
 それから、同じく4頁目のJAEAと複合研の間ですね。原子炉施設は、これは確実に原子炉等規制法になると思うのですけれども、こんなことができるのかどうか分かりませんけれども、装置側はRI法といいますか、障防法の方ですね、そちらの規制を考えていらっしゃるのかどうか、その辺の創意工夫があれば、教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【杉山先生】 ありがとうございます。
 非常に大事なポイントで、好き勝手なことばかり言っていてはいけないということが、ある意味、言われているかなと思います。
 まず運転の方で、装置の入れ替えということは、多分、多分という言葉は少し失礼かもしれないですが、それは間違いなくあると思います。ただし、一品物で作り込む、かなり金額も高い装置でございますので、それなりの期間は運用されるということは間違いないと。それは逆の意味で言うと、そういうことによって、放射化とか相当の問題が発生するであろうということはある。なので、この装置、これらの装置群に関しては、この段階から作っていきますので、ちゃんとヒストリーはとっていくということと、あとこれはJAEAさんとも協力させていただかなければいけないということもありますし、あと我々自身、京都大学複合原子力科学研究所の立場で言いますけれども、この点というふうな経験等々は蓄積しておりますので、そういうグループも今回、我々の検討チームのところには、入ってもらっていますので、常々、逆に、すみません、そんな装置のことだけではなくそちら側も考えなければいけませんよ、という、逆に先生が今おっしゃられていたようなことを言われていますので、そちらの方と十二分に検討していきたいというふうに思っております。
 もう一つは、規制の方に関しても、我々、少し正直、難しいところはどんなところかと言いますと、研究者は好きなことをしたいと。だから規制が緩い方がよいということが、我々本当の本音なのですけれども、ただそればかりやっていくわけにはいかないということで、これは先ほど申し上げたような、JAEAさんとうちのチームもありますので、ここまではいいし、ここまでは駄目だというところの線引きを、これが非常に難しいことではあるのですけれども、考えながらやっていきたいという。これはこれからの課題で、まさにだから我々はタスクフォース、検討チームというものは、そこがありますので、そういうところを検討するチームもしっかりと入っていますので、自由にやりたい、自由にやりたいけれども、自由も限度がありますよ、というところをうまい具合にバランスを取りながら進めていきたいと思っております。ありがとうございました。
【小澤委員】  ありがとうございます。
 普通の原子炉に比べれば、リスクが低い利用側になると思いますので、そこは、規制側と十分、提案と議論によってうまくやっていただければなと思います。ありがとうございました。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 おそらく、原子炉等規制法とRI法が両方絡むのですよね。放射化したりもしますし。なので、そこは、でも、今小澤委員がおっしゃったように、なるべくややこしくならないようにグレーデッドアプローチを最大限使っていただいて、ということだと思います。ありがとうございます。その他、いかがでしょうか。松浦委員、どうぞ。
【松浦委員】 私の大学の方は福井の地元にあるわけですけれども、大学としても地元の企業さんと一緒に何かやっていければよいかと思っております。
 そういった場合、実際に使ってもらうという面で、使い勝手の工夫とか、最初に使う場合の費用の工夫について、先ほど仰っておられたキャラバンで地元の方にもいろいろと周知していただくとか、もちろん我々も協力できるところがあればさせていただきたいと思うのですが、そのような工夫についてどうお考えになっておられるのか教えていただきたいです。
【杉山先生】 ありがとうございます。
 まず、先生がおっしゃられたとおり、地元の企業さんにも当然使ってもらわなければいけないので、これは第一の使命というぐらいに思っているところはございます。
 なので、先ほども少し申し上げた、キャラバンみたいなことも当然しなければいけないし、受け入れやすい体制を作らなければいけない。
 では、受け入れやすい体制というものはどういうことなのかというと、やはり、これは失礼ですけれども、地元のところにそういうことの詳しい研究者の方々がある大学があり、さらに先ほどコンサルティングとか、どこかに書かせていただきましたけれども、そういうふうなところは当然充実させてあげて、こんなのがあるのだけれども、どう?みたいなところもちゃんと受けられるような形にしていくという、これはもう必須であると、こういうふうに思っておりますので、むしろ、いただいた質問に対して、先生のようなところの福井工業大学さんともよくさせていただいて、どうしたらそういうところをもっと充実できるか、ということを教えていただきたいと。アウトラインとしては、そういうものを作らなければいけないということは思っているところでございます。
【松浦委員】 分かりました。ぜひ協力させていただきたいと思います。
【杉山先生】 よろしくお願いいたします。
【寺井主査】 おそらく将来産業で使おうと思うと、使ってもらおうと思うと、そこに行く人材を育成しないといけないですよね。
 だからやっぱり、そういう中で、こういう設備を使った仕事ができるのだ、ということを若い人に理解してもらって、将来そういう仕事に就きたいね、という、そういうふうな流れが一つ重要かなというふうに思っておりますので、地元大学の方の努力というものも重要かなというふうに思っております。
【松浦委員】 もう一つ、追加でよろしいでしょうか。
【寺井主査】 どうぞ。
【松浦委員】 最後に夢を語っていただいたところで、その研究炉を中心とした、地域振興、サイエンスシティというもので、実際使ったり、それを解析したりする技術というものも非常に大事ですが、途中の御説明で、試験装置自体は一品物というふうなことをおっしゃっていたので、これは装置を作る技術も非常に大事なのではないかなと思うのですけれども、これは国内の企業とか、そういうもので作っていけるような状況に今なっているのでしょうか。
【杉山先生】  非常に大事な御質問をいただきました。
 基本的には、できないこともないぐらいですけれども、今多くの技術が失われつつあるところがあります。例えて言うならば、一番大事なものの一つに、検出器というもの、中性子を検出する、どこに中性子がいます。この技術というものは、失われてしまうと言うと、一生懸命やってくださっている企業さんに申し訳ないのですけれども、非常に難しい。これは外国に行って買わなければいけないということが、10年このままいったら起こるかもしれない。
 あと、ベロシティセレクターという、中性子を、ちょっとあれですけれども、特定のエネルギーを取り出すための装置。これももう日本ではなかなか難しいという、外国のエアバス社のところにそういうのを作る技術がある。これを整備することすら、技術すら、なかなか難しい。
 これを、我々は先ほどの3者連携のようなところで、そういう技術をまた日本に呼び返すようなこともやらせてもらって、できるならば、そういう会社が、福井の地元さんのところに作れたら良いかななんて思っていて、それですぐサービスも受けられますし、これから多分新しい原子炉が期待する、JRR-3 なり言っている後継炉なり、いろいろなところで、全部のところでこれは必要なものだと思います。なので、こういう技術を国産のところに戻していくということは、僕は大事なことだと非常に思っています。
 全く先生のおっしゃるとおりで、本当にこのままいったら危ないというところだと。今ならまだ作れると。
【松浦委員】 ありがとうございます。
【寺井主査】 多分利用だけではなくて、物づくりとしての産業貢献と言うのですかね。そういうストラクチャーを作るということは大事な話かなということだったと思います。ありがとうございます。
 その他、いかがでしょうか。どうぞ、高木委員。そのあと、石川委員。高木委員、どうぞ。
【高木委員】 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。
原子力分野で、久しぶりの新設で、若い人、高校生、大学生の皆さんに、私たちが原子力を語る際に、非常に夢や希望のある貴重な話題だと思っております。
 先ほどの中高生の巻き込み方というところにも関連するのですけれども、小学生に語るのは難しいのですが、中学生からすると、いよいよこれに関わることができるのが大学生のときなのか、若手の社会人なのか、それとも中堅になってからなのか、というイメージが湧くと、より現実的に、地元でもそういう高度な技術の仕事ができる、そう捉えることができるようになると思います。資料を拝見すると、Phase1からPhase2にかけて、5年から15年と書いておられるのですけれども、今はそのつもりで進められておられるということでよろしいでしょうか。
【杉山先生】 こういう会議の場で、無責任なことを言っていいのか分からないのですけれども、キャラクターだと思ってお聞きください。
 5年から10年の間、確かに長いです。ただし、そこのところに関わる人材は、多分、この業界、日本のトップのサイエンティスト。私は思うのです。トップのサイエンティストの人たちは、ここに関わる責任上、地元の人たちに出張事業なりなんなりをするというのをマスト。その代わり、少し資金援助が入ってくる。その代わりに付随するのをマスト。そういうふうなことをすることによって、地元の方だけではなく、日本全国で、そういう原子力を使ってエネルギーを作る、ものを測る、新しいものを作り出す、物質を作るということを、こういうことをやっているのだよ、ということを教えていくと。そういうふうな、先ほどの三者連携の中には、そういうこともできたら組み込みたいなと思っているので、できる限り、若い人たちに教えるということは、先ほど、高木先生は、高校生と。私は、もう中学生、小学生からやっていくくらいのつもりでやれたらいいのではないかなと、そういうふうに考えている次第でございます。お答えになっているか、これはだからやりたいと、非常に強く思っている次第なことでありますし、そういうオーダーがあったら、言ってください。責任持って対応したいと思います。以上です。
【寺井主査】 よろしいでしょうか。では、石川委員、どうぞ。
【石川委員】 御説明どうもありがとうございました。
 これまで、この新試験炉の検討のお話を伺ってきた中では、京大複合研、JAEA、福井大を中核に、ということだったのですが、今回、お話の中で東京大学の物性研究所、明示的に入ってきたということは、ちょっと特筆すべきかな、と思いまして、既にもうかなり意見交換とか、そういうことは始められているところなのでしょうか。
【杉山先生】 まず、最初のところで、先ほどそこのところで出させていただいたやつは、現状での案ということなので、確定事項ではございません。
 しかしながら、今後の連携とか、体制ということは、既存施設の利用ということにおいては、JRR-3を、ぜひとも、ここの中で、我々は協力体制を作って、使わせていただくとか、一緒にやっていきたいと思っていると。そういう中で、まずはJAEAさんが中核ではございますけれども、東大物性研さんも入っているので、そこで入っていただきたいというわけなので、東大物性研さんの方々とは、タスクフォースも含めた上で、常々話をしていると。もし、こういうものが動くようなことがあったら、我々としては、ぜひとも協力したい。ある意味、指摘ではございますけれども、アンオフィシャルの部分では、お話をしているので、もし動き出したら、こういうところにも入って、どういう形かはまた別で、あくまでもこの段階だと御理解していただけると嬉しいと思います。
【石川委員】 東大物性研の中性子の先生方のJRR-3とかを使って、やっぱり国際的に非常にレベルの高い、評価される成果を出されている。まさにさっきおっしゃったとおり、トップサイエンティストで、そちらの要望とか、ノウハウとかも入ってくるのは、本当に最初に書かれていたこの「全国の学術」とか、そちらに広がっていったり、さらにそれで、海外からも、この試験炉を使いたいと言って、福井の方に、新試験炉の方に、たくさん来るみたいな感じで、学術的にも広がる、人材育成にもなるし、地元振興にもなるということで、しかも全国の大学に開かれているのだという、何かメッセージがあるのかなと思いますので、ぜひそちらの方向で、方向でと言うのはあれですけれども、是非進めてもらいたいという印象を受けました。
【寺井主査】 多分、3号炉と、それから、この新試験研究炉、そこを一体的に運用していくといいますか、少なくとも新試験研究炉ができるまでにはだいぶ時間かかりそうなので、その間技術をどうつないでいくかとか、あるいは人材をどういうふうに育成していくかとか、そこをだから3号炉との連携で、というところは、極めて重要な話かなと思いますし、それから、先ほど3号炉の方で、少し試験をしたような設備を移設すると。その前段階として、3号炉で試験するというようなお話もあったと思うのですけれども、そういう形で、うまく3号炉も含めたネットワークの中で、考えていったらいいのかなというふうに思います。ありがとうございます。
 その他、いかがでしょうか。どうぞ、尾崎委員。
【尾崎委員】 御説明ありがとうございます。
 先ほど、例えば中性子検出器であれば、作れる企業がいなくなっているというお話をされたのですけれども、全般的にそういう傾向があると思うのですが、以前から原子力関係の事業をやっている企業だけでは、多分裾野として限界が見えているのではないかと。だから、新規の参入企業も引っ張ってくるといいますか、これまで、原子力の市場自体が将来的にどうなるか分からなかったので、新規参入を検討できないという企業が多かったと思うのですけれども、ちょっと状況が変わってきているなという感じがするのですよね。
 だから、元々小澤さんがいらっしゃったような、昔から原発をやっているような会社だけではなくて、審議会にも情報を出すという、そういう動きを、ぜひ、していただければと思うのですけれども。
【杉山先生】 努めたいと思います。もし、こういう方面というものがあったら、ぜひ御紹介いただけたらば、そのキャラバンを遠慮なく、図々しくしたいと思っております。
【尾崎委員】 思いもよらぬところといいますか、今の予定調和的にやっている関係以外のものができればと思うのですけれどもね。
【杉山先生】 ありがとうございます。勉強になります。頑張りたいと思います。
【寺井主査】 ありがとうございます。
 その他、いかがでしょうか。黒崎委員、それから中熊委員、御意見はございますか。秋山委員もおられます。リモートで参加されている先生方、もし御意見、あるいは御質問がございましたら、挙手にてお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、私の方からいくつか御質問、まだちょっと時間があるようなので、5頁目に、設置候補装置の分類と書いてあって、それで、6頁目に、それを検討した結果、First5とAdvanceXというものが提案されている。この中で、5頁のところで、材料照射と陽電子というものが、やや見えにくいかなという話があって、もちろん一つの原子炉で全てやるということは当然無理なので、プライオリティを付けるのは当然必要ですけれども、材料照射というものは、やっぱりある程度のフラックスが要りますよね。だから、ここで書いてある材料照射というものは、むしろ照射したものを分析するとか、そんなようなイメージという理解でよろしいですか。
【杉山先生】 そういう方面もありますし、このフラックスでもやりたいというような御要望を私達の中で挙げている。なので、最初からどういう、もちろん、誤解のないように申し上げしたいのですけれども、決めたから、決定事項ではないと。このあとタスクフォースが、材料照射のタスクフォースを設けますので、その中で、いやいやこれはもう最初に作ってください、ということになる可能性はないわけではない。
 ただし、先生がおっしゃられたとおり、フラックス総量とかありますけれども、その中でもどういう学術的、産業利用的な意味があるかというものは検討。それは、陽電子についても同じというふうに御理解いただきたいです。
【寺井主査】 ありがとうございます。
 おそらく、半導体などは、ある程度低いフラックスもできる話ですしね。
 それから、20頁にこれはちょっと今日の資料と頁が違うのですけれども、いただいている資料で、参考資料2です。20頁で、いろいろなコミュニティからの情報収集というもので、それが先ほどの5頁に反映されているのだと思うのですけれども、ここで材料に関して言うと、原子力学会材料部会からの提言とか、それから、日本陽電子科学会からの陽電子ビームの提言というものがございますよね。
 材料照射のグループがどういうふうな提言をされたかということと、もう一つは、陽電子科学会で、これは多分中性子そのものというよりは、中性子との複合効果みたいな、照射下でどうなるかという、多分そういう分析かなと思うのですけれども、その辺りの御提案について、具体的にはどんな感じだったのでしょうか。
【杉山先生】 その辺のことに関しては、まさしく、先ほど先生から御質問されたとおりであって、要するに、それでもできますよ、というお話はいただいているのですけれども、低速でも十二分に、例えば、陽電子の方は、他のところへカナダかどこかにこんなものがあって、こういうことをやっていると。でも、似たようなもので、さらに良いものができますよ、というふうなお話を聞いていると。
 その中で、その発展性とか応用性とかを考えて、現時点では、そういうことで、おっしゃられている提言というものは、今言ったように、まさに先生も本当におっしゃられたような内容そのものだったというふうに御理解いただければ。
【寺井主査】 分かりました。
 その辺りのところは、また追加でいろいろと御意見をいただいたり、あるいはタスクフォースの中で検討していくという、そういう理解でよろしいですかね。
【杉山先生】 はい。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 他によろしいでしょうか。もし、よろしければ、リモートの先生、よろしいですかね。もしよろしければ、時間になりましたので、これで議題1を終了させていただきます。引き続き、どうぞ御検討のほどよろしくお願いいたします。
【杉山先生】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】 それでは、議題の2に移らせていただきます。
 議題の2は、「新試験研究炉への期待」でございます。こちらは、中性子産業利用推進協議会の久米様から御説明をお願いいたします。
【久米委員長】 よろしくお願いいたします。中性子産業利用推進協議会の久米です。私は花王株式会社の解析科学研究所という分析部門におります。本日は、今年4月から拝命しました、研究開発委員長の立場としてお話しさせていただきます。
 次の頁をお願いします。まず、簡単に中性子産業利用推進協議会の御紹介をさせていただきます。推進協は、ここにありますように、高性能・新機能製品の開発により産業の先進性を高めるために大型中性子施設であるJ-PARC、 MLF、JRR-3と書いていますが、それだけでなく最近は小型のものもあります。そういう施設を活用して、施設と連携して推進する、民間企業中心の団体となっております。このあとでも御説明しますけれども、産業利用を推進する観点から、いろいろな研究会や講習会を開催して、情報を提供するということをしております。
 組織はこのようになっておりまして、参加企業はこの下にあるように、現在約50数会員です。大体50社近くと数件の研究機関で、いろいろな分野に渡って参加をいただいております。次の頁をお願いします。
 少しだけ私の紹介としまして、私が関わりました花王での量子ビームの利用について、どういうようなことをやってきたかということ、放射光も含めて原子炉も使っていましたということのご説明です。一番左上のものが、中性子、これはJRR-3の利用です。これは化粧品の美容液として使おうとしたゲル状の粒子について、レオメーターといって粘度を測るものと一緒に測定しました。青枠で囲っているものは、実際に美容液として出したものですけれども、そのような研究をしていたことがあります。これは中性子科学会の技術賞をいただいた内容になります。
 その後、そのすぐ横の真ん中のものは、今度は剤ではなくて、直接皮膚を測ったものです。このときはSpring-8で高速にずっと変化を測っていきました。一方で、界面活性剤が構造を作っていたら測定の邪魔になるので、中性子で測定するとそれを透明にできる、そういう技術があります。そうすると皮膚の構造だけ見えるというようなことで、放射光と中性子を組み合わせて連携した測定を行いました。あとはその右の、皮膚もさらにビームを細くして、本当に皮膚の上に塗っている化粧品の膜だけ見ることが、この右のマイクロビームという放射光のX線の技術で行いました。さらに下段の、口紅に使うポリマーの微細構造を解析したりとか、X線CTでエマルションの中の油滴を見たりとか、最近だと毛髪の解析があります。下段一番右の毛髪に使えるスプレーのビオレの商品です。去年よく売れまして、そのおかげで久しぶりに日経の番付に載りまして、賞もいただいたというものです。ちょっと変わった研究が、この吸収材のイメージングいうものがありまして、弊社はB to Bでコンクリートに使う界面活性剤、というのも石鹸の会社ですから界面活性剤でコンクリートの粘度を調整するものを売っております。そこに混ぜるコンクリートをB4Cという中性子を止める剤に変えたら、福一のデブリの周りに塗りつけて、再臨界しないようにするといった社会貢献的なことができないかなという提案です。これはまだものになっていないのですけれども、そういったことをやらせていただいたりということで、全部化粧品などの技術の研究から来ているもので、原子炉型の施設も使わせていただいたりしておりました。
 少し話は戻りまして、推進協での中性子の産業応用の狙いというものは、ここに書かれたものになります。優れたものづくりを通じて、持続可能な社会の実現と人々の幸福に貢献するために、高度な計測技術継承が欠かせない。そして、強力な中性子ビームを供給できる実験施設を有する我が国は、その深い技術に支えられたものづくりで世界をリードすることができると考えております。そのために、原子力機構、高エネ研や、大学、学会などと緊密な産学官連携のもとにその相乗効果を発揮しようといった狙いで進めております。
 次に、中性子の優れた特徴につきましては、もう改めて言うこともないのですけれども、先ほど杉山先生の資料にもありましたように、使う技術については、真ん中の分析するところで、ナノメーターサイズを見たりとか、そういった技術を使って分析するというようなことがメインです。ですので、これらの物質透過性とか、リチウムや水素などの軽元素測定に有利とか、このような特徴をいかして、X線や電子顕微鏡とともに、産業界でもよく使われるようになってきていると言えます。
 その結果として、産業界の中性子の利用例としましては、このようにいろいろありますが、やはり国として重要なものとしてはエネルギー、Liイオン電池であるとか、燃料電池とかです。それから金属材料、あとゴム、プラスチックといった複合材料、タイヤとか、そのようなものでいろいろと使われています。そして、杉山先生もされています、生物・生態材料の研究、医療用だったりのもの。それから、デバイス・機器といった各種産業分野での利用例があります。それらに使う技術は、すみませんが個別に説明はいたしませんが、青字で書かれたような計測技術を利用させていただいております。
 次の頁です。ということで、ほぼ同じことを書いていますけれども、このようないくつものところで、産業で必要な課題解決に向けて、中性子、MLFの場合はミュオンとかもありますのでそれも含めてですけれども、その応用、計測というものは拡大してきています。先ほどから触れさせていただきました、電池とか、半導体とか、輸送機器、薬とか、それから高機能材料、インフラ、そのようなところに産業分野でいろいろと使われているということになります。次をお願いします。
 ということで、先ほども少し触れましたが、このあと協議会の主な活動として、研究会の少し詳しい紹介もさせていただきます。研究会とは別に、若手の育成とかも含めまして、これは学会とかにも協力いただきながら講習会、講演会として産業利用報告会といったものもあります。また、参加いただいている企業様に対しての情報発信で、いろいろ施設の情報を提供したりとか、それから協議会の会誌、季報「四季」というものを発行したりということを進めております。また、産業利用の推進のために、文科省様、茨城県様、あと各種施設の方々と連携・調整とか、そういうこともさせていただいております。次にお願いします。
 ということで、そういうことを含めまして、推進協のビジョンとしましては、ここにありますとおり、JAEA様、高エネ研様、J-PARCや関連学会の皆様との連携とともに、中性子ビームを利用して、ものづくりの高度化を図って、持続可能社会の実現と人々の豊かさに貢献する・日本のものづくり産業の優位性を確保する・経済の安全保障の実現に寄与する、ということになります。特に高度計測が中心ですけれども、産業分野の推進に寄与しようと進めております。次の頁、お願いいたします。
 我々の重要な活動として、先ほども少し触れさせていただきましたが、研究会が全部で11あります。大きく分けまして、対象の名前が入っています産業分野の4つの研究会と、解析の技術で分けた7つの研究会がありまして、そこでの主な検討内容も1行で書かせていただいています。
 研究会で、産業分野のところは有機・高分子材料、金属材料、電池材料、生物・生体材料というような4研究会と、それから、解析技術の方では、構造生物学、液体・非晶、ものづくり基盤、磁性材料、材料の名前が入っているやつもあるのですけれどもそれに対応する解析技術というものが必要ですので、あとはイメージング、小型中性子施設、小角散乱というような、7つの研究会の体制で活動を進めています。
 これらについて、各研究会は毎年定期的に進めておりますが、最近、将来に向けて、どのような考えを持って進めていかなければいけないかということで、将来ビジョンを作らせていただきました。毎年変えていこうということで、今年もまさに今ちょうど変えていこうとしているところです。次の頁をお願いいたします。
 協議会発足してから15年という節目だったこともありまして、そこで今からさらに15年を見据えまして、将来ビジョンというものを各研究会で案を作成していただきました。それを去年取りまとめまして、推進協の報告会とかで報告させていただいたりとか、関連の学会のところで御紹介させていただいたりしました。
 本日は、そこからピックアップしたものを少し御紹介させていただきます。これはアップデートしていくので、今年も今ちょうど各研究会の主査の方に新しく直していただいているのですが、今はまだ行っている最中です。これは去年のところまでになります。ここにも書いてありますように、中性子利用のための実験施設・新規装置や、解析手法を新規に提案・開発することで、新規産業分野の開拓や既存産業分野の飛躍に貢献しようしますと、そのビジョンが必要だということで進めております。次の頁をお願いいたします。
 全部は説明できませんので、一部をピックアップしながら、とさせていただきます。これは、有機高分子材料研究会の説明資料になります。右側には保有技術として、この研究会でどういうようなことをするか、それをするための技術だったり、開発している技術だったり、というようなことがあります。これですと、ガスフロー湿度コントロールシステムというもので、反射率の実験をされています。このような内容に対して将来ビジョンのところでは、左側にありますように、水素原子を特異的に検出するプローブである中性子を使って、高い競争力を持つ有機・高分子材料を開発し、持続可能な社会を実現させるために、5年後、10年後、15年後にどういうふうになっていきたいか、というような形で示させていただいております。次の頁をお願いいたします。
 これが、杉山先生も関われておられます、生物・生体材料研究会と構造生物学研究会の将来ビジョンになります。これも一つ一つ細かくは説明すると長くなってしまいますので、次のボタンを一つ押していただけますか。下のところに赤く、資料ではもう赤くなっているかもしれませんが、15年後の下のところには、新研究炉を建設して、生命科学専用ビームラインを基軸に以下のことをするというふうに、こちらの10年、15年後のところには、新試験研究炉のところを視野に入れて、ビジョンというものを書いていただいております。やはり、特に杉山先生の他、京大複合研の方が研究会のメインにおられたということもありまして、特に新試験研究炉の重要性というものがこちらのビジョンにとり込まれているのかなと考えております。次の頁をお願いいたします。
 これは液体非晶質研究会、これは鉄鋼とかの結晶があるものとは違って、液体とか、それから非晶質とはガラスですね。そういうものの構造を調べて、それを色々なエネルギー変換デバイスとかに応用していくなどという、そのための技術を作る研究会と理解しています。こちらの方も、一番下の15年後のところに、福井の新試験研究炉、J-PARC、MLF、そしてMLFの次も想定した第2ターゲットステーションというものも含めて、その辺りに出来上がる施設を利用して、構造解析手法の高度化によって、新しい機能材料を創出してといった想定でビジョンを書いていただいています。次のところをお願いいたします。
 次は、小型中性子施設活用研究会です。これも一つボタンを押しますと、一番上のところに赤いものがあります。こちらの将来ビジョンには、小型中性子源が、現在理研様とか、産総研様にも出来上がってきていますし、元々は北大とか、京大とかにもありますけれども、これは小型の施設は、小型ならではの活用ということで、それと大型(中性子)施設や放射光施設とかと連携して、複合的な利用というものをするということを想定されています。当然、ここには新しく出てくる中型の位置付けになるのかもしれませんけれども、今回の新試験研究炉というものも含まれてくると考えています。そういう意味で、15年後のところには、小型中性子施設の産業利用におけるビジネス構築とビジネスの促進には、他の施設との連携を含めて進めていくのだろうと理解しております。
 次に、これは一番最後の紹介になりますが、小角散乱〈実験デザイン・解析〉研究会になります。こちらは小角散乱という、ナノメーターサイズの構造解析をする技術で、私もそれが専門です。この研究会の主査の小泉先生は、ここにあります iMATERIA という装置、これはJ-PARCにあります茨城県のビームラインの装置のご担当でした。現在は、CROSSに運用が委託されていますが、元々産業利用の専用ビームラインだったということもありまして、産業利用の研究会ではそのための技術、小角散乱をどういうふうに使うかという応用を考えた研究会です。ここでは産業界の専用のビームラインをうまく活用していこうと、そのために専用のビームラインを新しく作るというイメージを、こういう風にビジョンに書いていただいていますが、やはり同じようなことが新試験研究炉でもできれば、産業の推進になるのかなと思いまして、こちらを紹介させていただきました。
 次の頁をお願いします。これは、各研究会の将来ビジョンをずらっと並べたものです。その中でも枠をつけたところは、福井の新試験研究炉のところに関係するような言葉が入っているものです。そして、小型中性施設活用の研究会などで、直接的には書いていないですけれども、連携するという意味で入ってくると思っています。
 先ほど個別の資料での15年後とかには書いてありますが、ここには入っていない研究会もあります。どの研究会も濃淡はありますが、既に今まで使ってきた以外の新しい施設もさらに活用して産業に利用していくということでは、同じように期待していると考えております。
 最後の方になってきましたが、次の頁で、少し私の私見も入りますけれども、産業利用のユーザーからの希望という形で、どういうことがあってほしいかというようなイメージで書かせていただきました。産業利用のユーザーにとって、新試験研究炉というものは、やはり必要なデータが得られるものであってほしいです。また、やはりユーザーは必ずしも専門家ばかりではありませんので、施設が使いやすいものであって欲しいとか、そういうようなことが希望としてあると思います。1番目の必要なデータが得られるものであってほしいということは、やっぱりJRR-3とかJ-PARCであれば、強度も強いですし、施設も立派なものがありますので、そこへ行けば絶対できるだろうということはあります。一方でそれらはやはり申請が大変であってとか、混んでいて必ずしも使えるわけではないとか、費用的なものもありますとか、そういうことも含めて、必ずしもパッと行って簡単に使えるというわけではないというところもあります。しかし、そういうところがいろいろと便利になればいいかなと思うのと、もう一つはやはりJRR-3、J-PARCという施設のレベルだと、やっぱり精度がよいデータが取れたりとかいったことがあると思います。
 今回の新研究炉のところに期待しているところというか、私のイメージで書いているところがあるのですが、中型でも、これまでの技術開発などで、小型よりも十分高くて、いわゆるJRR-3とかの大型に迫る精度の測定が可能になっているのではないかなと思います。私も学生のときからJRR-3には行かせてもらっていたので、定常炉の中性子についても結構昔から使わせていただきました。それから現在再稼働を始めたところで、例えば、中性子を持ってくる導管のミラーなどの技術が進んで、すごく中性子のフラックスとかも上がっているといったように技術は進んでいます。そういう技術が中型の今回の新試験研究炉にきちんと組み込めれば、出力は確かに少ないですけれども、昔のJRR-3と遜色ないぐらいのデータが取れるのではないかと、そんなイメージでおりますし、多分、間違っていないのではないかなと思っています。そうすると、大型施設までいかなくても、新試験研究炉の方で十分に使える機会も増えて、ということになるのではないかなと、そういう期待をしています。
 そしてまた、そこでデータがしっかりとれれば、中性子事情に詳しくないユーザーに向けて、取得データの解析サポートの体制、これは中性子の分野だけではないですね、放射光のところでも、いろいろと体制というものが進んできています。コロナ禍でオンラインでの実験や、郵送して実験してもらうということも進みました。取ってきたデータの解析の支援については、放射光施設も中型施設もありますし、そういうところで産業利用をやっているところだと、結構親切に最後の解析のところまで支援をしていただくとかもあります。そういう体制というものはやはり必要かなと思います。逆にそういうところの特徴を出すと、大型施設とのすみ分けもできるかもしれないと思います。
 あと、2番目の施設が使いやすいことです。先ほどのサポート体制でも使いやすいという、まさにそれも入るのですけれども、利用機会、頻度の向上のための制度整備ということは重要かなと思います。J-PARC・JRR-3では年2回という申請利用は、やはり少ないかなと思います。そういう意味で、Spring8では、産業利用の申請は年6回になっていて、それがさらに他のビームラインにも年6回申請を増やしていっております。そういうように、やりたいときにできる体制、もちろん審査などの申請業務は大変だと思うのですけれども、そういう体制があると、非常に企業ユーザーとしては使いやすいかなと思います。
 それから、先ほども少し触れましたが、J-PARC茨城県ビームライン、それからSpring-8の兵庫県ビームラインというように、それぞれ大型の施設のところには、地元のビームラインがあって、それらは産業利用専用ビームラインだったりしています。今は体制が変わってきたりとか、東北のNanoterasu、あとはJ-JOINの制度とか、いろいろ制度を模索して新しくなっていったりとしているので、必ずしも昔のやり方がいいとは限らないですけれども、茨城県のときもそうですし、兵庫県のときも確かそうだったと思いますが、地元のビームラインについては地元の企業様には優遇として、ビームタイムの使用料が半額という制度があったりとか、様々な支援、産業推進のための仕組みというものがあったと思います。こういうような制度、設備というものがあると、やはり施設が使いやすいものになり、裾野も広がっていくのかなというふうに考えております。
 最後の頁です。ということで、「中性子推進協議会の研究会の将来ビジョン」、「産業利用のユーザーからの希望」というところでお話させていただきましたように、新規産業分野の開拓・既存産業分野の発展のために、今回の新試験研究炉には大きな期待をしております。以上で私の話を終わらせていただきます。ありがとうございます。
【寺井主査】 どうも御説明ありがとうございました。
 中性子の産業利用という観点で、様々な利用の現状、それから将来に対するビジョンですね。そこを御説明いただきました。非常に分かりやすい御説明で、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、委員の御皆様方から御意見、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。挙手にてお願いいたします。石川委員、どうぞ。
【石川委員】 御説明どうもありがとうございます。
 産業の側から、いろいろと御意見を伺うことができて、私は大変参考になりました。先ほど、産業利用のユーザーからの希望というところで、JRR-3やJ-PARCに遜色ないと言われたのですが、それとは別に、JRR-3とかJ-PARC、あるいは放射光とかを使っても取れないような、こういうデータを新試験炉で取りたいみたいな要望は、産業界からありますでしょうか。
【久米様】 御質問ありがとうございます。
 今の一番最先端のもので取れないというようなところは、多分なかなか想像がつかないことが現実だと思います。最新の技術というものは、やはり基礎をされている大学の先生方とか、装置のところでも開発されていて、それらの情報を仕入れてきまして、我々はこういうことができるのかなと考えます。そうすると、我々の製品での測定とかで使えるのかな、というような考えから使わせていただくということの方が多いので、必ずしもその上というものは、なかなか考えにくいところではあります。ですけれども、そういうものは、やっぱり大学の先生方と意見交換しながら、こういうことできるかということで進めていくということが多いのかなというふうに考えております。
【石川委員】 ありがとうございました。もう1点。
【寺井主査】 どうぞ。
【石川委員】 あと先ほど、産業界の中性子の利用例で、リチウム電池とか、燃料電池とか、その次の頁の課題解決に向けた中性子・ミュオン応用計測の拡大だとか、半導体とか、2nm&Beyondとか、何かこういうものがあって、こういう分野で、産業界で欠かせない技術だ、ということが目に見えると、多分、人材育成というか、それこそ中高生とか、すごく目を輝かせて興味を持ってくれるのではないかなと思うのです。かなりの部分は、やはり構造解析とか、そういう用途ということになるのでしょうか。
【久米様】 御質問ありがとうございます。
 やはり、この中性子ビームを使う、あまり照射というものは、我々のところは使うことはゼロではないのですけれども、どちらかというと計測、特にナノメーターサイズの構造、もしくは、その分子とかの動き、ダイナミクス、イメージングはもう少しスケールが大きくなりますけれども、μmオーダーのものを透過してみるとか、そういうようなことで、形を見る、運動を見るということが多いので、どうしても構造解析というものが主体になると考えています。
 ですので、我々は化粧品とかをやっていても、エマルションとか、水滴、油の動きとか、サイズがどうだとか、そのために何か塗りやすいような構造をしていて、粘度が出ているとか、そういうことを分析したりします。一方で、電池とか、国としても重要な産業分野のところですと、電池を動かしながら中身を見るとかという、イメージングですよね。そういうような用途があります。また、さらに小さいところだと、リチウムとかが、X線ではなかなか見づらくて、低元素である水素とリチウムというものは、やっぱり中性子でないと見づらいです。特異的な技術であるということで、これらはもう昔から必要性が高くて、大手様も含めて確実にやっているところです。あとは、鉄鋼はX線が通らないので、それは中性子で透過試験というところで、やはり昔から結構しっかりされています。そのように、たくさん行われているところはそれなりに理由があると考えております。
【石川委員】 何か、そういう鉄鋼までという、本当にすごくたくさんの分野で使われているということが、広く知られるようになるとよいのかなというふうに思いました。どうもありがとうございました。
【寺井主査】 ありがとうございます。松浦委員、どうぞ。
【松浦委員】 御説明ありがとうございました。
 産業利用側の中性子利用の需要と施設側の供給のバランスというか、産業が使いたいのだけれども、結構施設側の能力で、今は飽和しているような状態なのでしょうか。それとも、ちらっとありましたけれども、小型の施設とか、そういうものも使いながら、うまく使えているのか、そういった需給のバランスみたいなものが、今どういう状態なのか教えていただけないでしょうか。ゆくゆくは、需給の状況は、新型研究炉の方にもつながっていくかなと思うのですけれども。
【久米様】 我々もJAEAとか、J-PARC、施設管理者の方といろいろ話を聞かせていただくときに、その辺の状況というものを聞かせていただいています。その中での理解になるのですけれども、例えば、J-PARCなどでも、大体2割ぐらいが定常的に産業利用です。なかなか、それより増えていないというところもあるのですけれども、ただ一方で、全然需要がなくて、空いているのかというと、そういうことでもない感じですね。解析の手法によって、濃淡、倍率が高いというようなところもあります。小角散乱などは、特に2倍ぐらいの競争率で、それは産業の申請も含めてですね。そういう意味だと、正直足りないので、やっぱり先ほど杉山先生が言われていた、新試験研究炉の最初の5つの装置には、確実に小角散乱などを入れていただきたいし、計画にも入っているなというふうに見ておりました。
【松浦委員】 分かりました。
 分野ごとで、やっぱり需要の高いところがあるということですね。
【久米様】  あります。
 あとイメージングなども、やはり産業に使いやすいので、人気が高いところだと思います。
【松浦委員】 使う企業さんの状況はどういうものでしょうか。こちらの協議会の企業さんの数は、増えていっている方向ですか。 
【久米様】  今はどうですかね。一旦コロナの影響だと思うのですけれども、2、3年前一旦下がりまして、2年前は45だったのですけれども、今回、コロナも復活して、いろいろな協議会の活動も実施してまいりましたので、昨年度、一気に8増えまして、52になっております。
【松浦委員】 分かりました。ありがとうございます。
【寺井主査】 ありがとうございます。
 おそらく、いろいろな中性子源がございますよね。先ほど、お話があったものだと、J-PARCとか、あるいはSpring-8とか、3号炉ももちろんそうですし、それから最近では、小型の加速器型の中性子源、これもたくさん出てきている。もちろん用途がそれぞれ違うと思うのですけれども、今度の新試験研究炉の、そういうものの中における位置付けみたいなものが、うまく整理してもらえるといいかなと思うのですけれども。つまり、フラックスとか、フルーエンスとか、あるいはサイズとか、あるいは精度とか、いろいろな指標があると思うのですけれども、そういう軸でもって、いくつかの軸で整理をしていただいて、既存の中性子源はこんな感じになっていますと。今回の新試験研究炉はここです、みたいな、そこが明確になると、すごく説得力あるような気がしますね、適切な機会でいいと思うのですけれども、ぜひそういう整理をしていただくといいかなと思います。
【久米様】 ありがとうございます。そのとおりだと思います。
 我々はどちらかというとユーザー側なので、なかなか専門的なところは分からないところもありますので、ぜひ杉山先生とか、施設の方々に御協力いただいて、そういうところをまとめていきたいなと思います。
【寺井主査】 多分、その中でKURが今までやってきたところはここで、それはもう2026年で終わるから、そこを補う意味も当然必要だからという、そういうふうな御説明をいただくと、すごく説得力が増すような気がしますね。よろしくお願いします。
 その他、いかがでしょうか。おられますか、リモートの方。秋山委員、どうぞ。
【秋山委員】 御説明ありがとうございました。
 非常に興味深くお話を聞かせていただいて、すごく未来がひらけているなと思ったのですけれども、一つ教えていただきたいことが、中性子施設を昔から使われている、ここに書いていただいている企業さんみたいなところは、おそらく昔から使われているのでしょうけれども、もう少し他の企業さんにも広く使っていただく際に、やっぱり中性子自体を知らないというか、どういうものか分からないということがありまして、そこのハードルがあると思うのですけれども、そもそも、ここにある企業さんが、どういうきっかけで中性子を使ってみようとなったかということを知っていくと、何か大学とか、施設としても、どういう働き掛けをしたら、広く使ってもらえるかというものが、ヒントになるかなと思うのですけれども、その辺りは産業界としてはいかがでしょうか。
【久米様】 御質問ありがとうございます。
 自分は、もう学生のときからこの分野でしたので、よく知っている方だったので、なかなか難しいのですけれども、やはり推進協の立場からすると、例えば、こういう放射光とか、中性子というような、こういう技術の学会だ、とかではなくて、対象の方の例えば、日本化学会であったりとか、物理学会であったりとか、あと産業分野の方の学会とか、我々のところでは、日本化学会の分科会でコロイド討論会とか、そういうようなものがあるのですけれども、そういうところに行って、ブースを持って紹介するとか、そういう活動をして、新しい企業様の参加というものをお願いするというか、紹介するというようなこともしております。そういうようなことを地道に続けながら、やっぱり広げていくということが重要なのかなと思います。
 おそらく、今回の協議会に入った企業ですと、新試験炉の関連で、福井の企業の方々とかにも、確かいろいろと御紹介、お話いただいて、いくつか入っていただいたというものもあったというふうに記憶しております。
【秋山委員】 分かりました。どうもありがとうございました。
【寺井主査】 ありがとうございました。小澤委員、どうぞ。
【小澤委員】 ありがとうございます。小澤です。
 ちょっと恥ずかしい話になるかもしれないのですけれども、90年代後半にJ-PARC構想というのですかね、中性子科学の構想があったときに、まさにこういう雰囲気で構想していたかと思うのですけれども、こんなにすごいことになっているというのは本当に驚きだと思いました。
 それから、最近JRR-3とかJ-PARCを見せていただいたのですけれども、装置の方にばかり目がいって、こういう素晴らしい成果が、企業の実名入りといいますか、個人名まで入って、こういうことがもう当たり前のように生活に近いところでやっているということは初めて知りました。どうもありがとうございました。この審議会に出てきたということは、非常に大きいことだと思いますし、こういうきっかけでもって、流行りの言葉でバズるというのですかね、拡散していくと、もっともっと盛り上がっていくと思うし、次の新試験研究炉の方にも反映できるのではないかなと思います。ありがとうございました。
【久米様】 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
【寺井主査】 ありがとうございます。尾崎委員、どうぞ。
【尾崎委員】 ちょっと長期的な将来ビジョンについてお聞きしたいのですけれども、今、施設は、国が作った施設があって、それを企業が使うという、一方通行の構造ですけれども、もし本当にこの中性子利用が収益を生んで、ということになると、市場原理で、民間でもこういう施設を作っていく方向に当然行くはずですよね。今の構造だけでは、本当に産業は大きくならないということですから、そういうビジョンは、協議会では議論されているのですか。
【久米様】 御質問ありがとうございます。
 なかなか、そこまで自分たちで作るとなると、やっぱり金額的な面とか。
【尾崎委員】 もちろん、そうですけれどもね。
【久米様】 もしかすると、企業がある程度お金を出して、ということでしたら、東北にできたNanoterasuの構想というもので、コアリションのシステム、要は会員権システムですよね。5000万1口出して、それでいくらか年間自由に使えるみたいな。それでタダで使えるわけではなくて、安く使えるという感じなのですけれども。そういうものが一つの解かもしれないとは思います。
 ただ、自分たちで小型の施設でも一つ作るとなると、X線のラボ装置とはやはり値段の桁が全然違うと思うので、そこまではなかなか難しいかなというふうには思います。
【尾崎委員】 本当にコストを下げようと思ったら、多分民間が開発に入らないと下がりませんよね、ということで聞いていたのですけれども。
【久米様】 分かりました。
【尾崎委員】 その構造のままでは値段は変わらないと思います。
【久米様】 ラジオアイソトープ作る装置は、医療用途という意味ではあるわけですから、完全に非現実的な話ではないはずですよね。
【尾崎委員】 医療以外に、どういう分野で可能性があるのかなと思ってお聞きしたのですけれども。
【久米様】 1社だけだと、今のレベルではちょっと通常厳しいかなと思いますけれども、そういうところも含めて、どういうことができるか、ということをまた考えていきたいと思います。ありがとうございます。
【寺井主査】 今のことは非常に貴重な御意見かなというふうに思いますね。
 やっぱり、これまでは国が大きなものを作って、それを使うみたいなところが多かったのですよね。そうすると、基本的にやはり税金からほとんど出ていってしまうと、それが日本の社会全体を成長させていくとか、産業を成長させていくことになればもちろんよいのですけれども、やっぱりそこのところは、産業界なりに少し、独立採算とは言わないですけれども、ある程度コントリビューションしていくということは絶対大事だし、そうではないと長続きしないですよね、やっぱりね。その辺のところの仕組みは、結構重要なポイントで、多分文科省さんもこの辺はしっかりとお考えいただく必要があるかなというふうに思うところでございます。貴重な御意見ありがとうございました。
 その他、いかがですか。リモートの委員の先生方は大丈夫ですか。よろしいですか。他によろしいですかね。それでは、これで議題の2を終了いたします。どうもありがとうございました。
 それでは、次に議題の3に移らせていただきます。「原子力研究・人材育成の拠点形成に向けたロードマップ」でございます。こちらは事務局の方から御説明をお願いいたします。
【奥課長】 奥の方から説明をさせていただきます。資料の3を御覧いただければと思います。
 ロードマップの前に、これまでの議論の経緯をまとめたものを資料3の方でお配りしています。2頁目のところは、これまでの「もんじゅ」試験研究炉の経緯を書かせていただいています。特に2つ目の丸です。新試験研究炉が国内で減少している中で、研究開発と人材育成の基盤として、この新試験研究炉を整備する期待は非常に大きいだろうと。その上で、さらに新設炉が最近ほとんどないという中で、技術的な継承という意味でも、この新試験研究炉は非常に意義があると思っています。
 御説明にあったように、10MW級の中性子ビーム炉を想定し、原子炉機構が主体となって、詳細設計段階に移行しています。京都大学、福井大学をはじめとする関係機関で、コンソーシアムを形成しまして、いま様々な検討を進めています。
 中核機関として、三菱重工業を選定いたしまして、今まさに詳細設計を一緒に進めているところです。今年中、令和6年中に、いつ設置許可申請を行うかという見込みの時期を提示するというのを一つの目標に据えて行っています。
 3頁目、当面の課題として、いくつかまだあると思っています。1つ目、詳細設計は着実に進めるということで、原子炉の設置に向けて、全体設計、それとあと規制への対応に向けた各種仕様を決定していくということ。
 2つ目、もんじゅサイトとは言っているのですが、ここまで設置場所が厳密には決まっていません。今もんじゅの隣にある駐車場を取り潰して建設する案と、あと山側に建設する案の2つ候補地があり、合計3つ今候補地がありますが、どこが最適か様々な条件を踏まえて決定をしていくことが次の段階になります。
 3点目が実験装置で、先ほど杉山先生の方から御説明をいただきました。優先5装置について、これからタスクフォースにおいて、具体的な装置の検討と、あと整備計画についても御検討いただくことにしています。その上で、やはり幅広いユーザーのニーズに合致したものになるように検討を進めていただきたいと思っています。他にも、医療用RIの製造に関することであるとか、この実験装置群について、やはりJRR-3を用いてテストをしていくということが非常に次の段階として必要になってくると思いますので、この進め方等も含めて検討が必要かなというふうに思っています。
 4つ目で、建設フェーズを見据えた総工費・予算推計をこれから行っていく必要があると思っています。元々、このもんじゅサイトの試験研究炉を作るといったときに、概算として五百数十億みたいな話を出させていただきましたが、その後の資材の高騰とか、様々な状況を踏まえて、改めてこの設置費用の見積もりというものをし直す必要があるかなというふうに思っています。それに加えて、いつどういう段取りで具体的に整備を進めていくのか、ということで、ある程度建設のスケジュール感というものも、ここの中で示していく必要があると思っています。
 5つ目が人材育成拠点であるとか、地域の波及効果の話です。今地域の施策検討ワーキンググループというものを設けまして、利用の促進体制、それとあと複合拠点、人材育成と3つテーマを設けて検討を進めているところです。これの具体化をさらに進めるとともに、地元の方から、特に敦賀エリアにおける研究人材育成拠点の形成に向けたロードマップを示してほしいということを言われています。これについて、後ほどまた御説明をさせていただきたいと思います。あわせて、地域への経済波及効果という観点も必要かなと思います。
 5頁目が、もう一つ、JRR-3の安定的な運用が課題だと思っています。経緯については、皆さん御存知だと思いますので省かせていただきますが、特に下から2つ目のところですね。医療用RIの製造というものが、このJRR-3に今後期待される役割というものは非常に大きいと思っています。モリブデン99の製造に向けて、いまは製薬企業やRI協会とも一緒に、具体的な進め方というものを検討させていただいているところです。最後のところにありますように、試験研究炉として、このJRR-3をもんじゅサイトといかにして連携させていくのか、ということも非常に重要だろうと思っています。
 6頁目のところで、当面の課題として4つ挙げています。一つはJRR-3を安定的に運用するということですけれども、2つ目として、先ほど申し上げた、医療用RIの製造に向けた技術開発を進めていくということ。それと、今日何度もお話がありましたけれども、やはり他の中性子利用施設、他施設との連携協力を進めていくということが非常に大事かなというふうに思っています。
 JRR-3を学術のみならず、産業界等の利用に寄与していくということ。それと、アカデミア、産業界等にとって利用しやすい体制を作っていくということ。複数回の公募みたいな話もありましたけれども、そういうものも検討していく必要あるかなと。それとやはり、相互利用という観点が必要だと思っていまして、加速器であるとか、放射光施設との連携協力というものを、より一層進めていく必要があるかなと思っています。
 最後、4つ目ですけれども、新試験研究炉に新しい実験装置群を作るにあたって、人材育成という観点で、あるいはその装置の製造という観点でも、JRR-3をうまく活用していくということが不可分だと思っていますので、ここは着実に進めてまいりたいと思っています。
 7頁目が、新しくお配りしているもので、地元自治体からも求められているロードマップの草案というものを、これは本当に粗々ですけれども、示させていただいています。
 地域施策検討ワーキンググループの方で、3つ、利用促進体制、複合拠点、人材育成という、この3つの観点で検討を進めることになっていまして、これについては詳細設計のⅠ、Ⅱ段階ですね。それと、建設工事段階、それと運転開始段階で、それぞれどういうものが必要となるのか、ということを粗々示したものになります。
 例えば、利用促進体制というものは、実際に試験研究炉運転を始めたときに、産業界であるとか、アカデミアの利用に供するために、支援の体制をいかにして構築していくか、ということになります。
 事前に詳細設計のⅠの段階では、それぞれの段階において、どういうふうな利用促進の機能が必要なのか、ということを整理するであるとか、JAEA、それとあと大学、それと新しく利用促進のための法人ですね。J-PARCであるとCROSS、Spring-8だったらJASRIのような、そういう利用促進法人を仮に設けた場合に、どういうふうな役割分担が必要になるのか、という辺りを検討すると。
 詳細設計の段階のⅡぐらいの段階では、利用促進のための協議会を新しく作っていく。これはアカデミアと産業界、それと機構とかが入ったような形での協議会を新しく設置するとか。
 建設工事段階、運転の段階になったら、実験装置群の運転・保守であるとか、利用課題の審査、それとトライアルユース、それとあと優先5装置を先に進めるということになっていますが、それ以外の装置群をどうしていくのかという辺りも、今後の検討課題かなと思っているところです。
 これは横断的にトライアルユース、JRR-3とかも活用しながら、トライアルユースを行うであるとか、あと地元企業さんへの利用相談等々というものも、先ほどキャラバンみたいな話もありましたけれども、並行して行っていく必要があるというふうに思っています。
 2つ目は複合拠点の整備で、実際にもんじゅサイトは白木地区、かなり敦賀の方から離れたところにありますので、駅前のところに複合的な研究拠点を作ってはどうかという構想を今検討しています。拠点に必要となるような機能、産業界の窓口となるような機能であるとか、一部研究機能を遠隔で行うようなものというものも必要になってくるかもしれません。そうした拠点の機能、規模というものをどういうふうに考えるかということ。
 それと、詳細設計のⅡ段階では、今駅前に福井大学の敦賀キャンパスというものがありますし、KURの停止後、京大側がどうするかというところもありますので、そことの関係も整理しながら、この拠点の形成を具体的に検討を進めていくということ。
 運転開始の暁には、こうした複合拠点をきちんと設けていって、新試験研究炉、あるいは、ほかの中性子源との接続の強化というものを進めていく必要があるかなというふうに思っています。同じように、大学のサテライトみたいなものをぜひ誘致をしたいというふうに思います。
 3つ目は、人材育成機能の強化で、現在、福井大学を中心に教員の中性子利用の取組というものを鋭意進めていただいています。これを福井大学以外の大学のところにも広げていくということが、今後の大きい課題かなと思っていまして、拠点、福井大学も含めて、周辺の大学、あるいはその地域を含めた、拠点全体の人材育成機能をいかにして強化していくのか、ということ。それと将来的には中性子利用のための専門的な人材というものを多数育成していくということも必要になってくると思いますので、こうしたことを鋭意考えていきたいと思っています。
 8頁目は、現在の新試験研究炉を中核としたような拠点の構想というものをざっとまとめているところです。当然ながら、原子力機構を中核に、京大、それと福井大学、それとあとは仮に利用促進法人を設けた場合に、こうしたところとの連携協力体制というものを作っていく必要があるかなと思っているところです。
 というものが全体像でして、ぜひ先生方から御意見等いただければありがたいです。
【寺井主査】 どうもありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、委員の皆様方から御意見、御質問等、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 お考えの間に一つ御質問したいと思いますが、医療用RIですよね。これは最近、内閣府の方でも、かなり大きな議論になっていて、それで、それをベースにして、いろいろな炉であったり、あるいろいろな方法でもって、医療用RIを作りましょうということは、一つのトレンドのようなものになっていると思うのですね。もちろん、国内で医療用RIを自給できるということは、極めて重要な話ですから、重要なミッションだと思うのですけれども、例えば、高速炉を使うとか、それから、もんじゅサイトもそうですし、それから、軽水炉を使うという話もないわけではないと思うのですよね。それから、加速器を使うと。いろいろな方法が多分あって、それぞれ医療用RIとみんなおっしゃっているのだけれども、それぞれ対象とする核種が若干違ってきたりするのですよね。
 この辺をしっかり整理していただいた方が本当はよいかなと思っていて、それで、それはそれぞれの施設の特徴がやっぱり違うから、中性子のエネルギーが違うとか、あるいはいろいろな方法で、例えば、加速器でNyで作るとか、Npで作るとか、いろいろな方法もあるので、ちょっとこれは一度、ここでやるのがよいのか分からないですけれども、内閣府かもしれないのですけれども、どこかでそういうものを一度整理していただけると非常に分かりやすいかなというふうに思います。
 文科省さん、もし、もんじゅサイトで医療用RIとおっしゃるのであれば、他の方法では、こんな方法で、こんな感じで作ります、みたいなことを整理していただけると分かりやすいかなというふうに、常日頃思っているところですけれども。
【奥課長】 ありがとうございます。
 内閣府の方で、医療用RIのアクションプランというのをまとめていまして、そこの中では、今ほとんど海外輸入に頼っているところがあるので、国産3割ということを目標に据えて、製造を強化していきましょうという方向性を打ち出されています。それで、診断用ではモリブデンとテクネチウムが一つ。もう一つ、治療用でアクチニウム225ですね、この2つの核種を主に想定していて、モリブデン99/テクネチウムの方は、JRR-3、それとあと新試験研究炉。新試験研究炉はアクションプランに書いていないのですけれども、一応それを念頭には置いていて、プラス加速器での製造というものを想定していると。
 JRR-3が、今は原子炉として作れる唯一のものなので、そこでの製造実証に向けた、技術開発というものを今鋭意進めているところで、RI協会であるとか、あと放射線医療などの協会のニーズも踏まえながら、どういう形で供出できるかどうか、製造ができるかどうかということをJAEAと一緒に考えているということが一つです。
 アクチニウムの方は、いわゆる高速炉の常陽を使って製造するということを一つ目標に据えていまして、今、常陽が、今のところ令和8年の半ばの運転再開というものを目指しているので、そこに向けた研究開発を、今がん研と一緒に進めているということと、実際に運転が再開した暁には、原子炉を使って、ラジウムからアクチニウムを製造し、それを提供する体制というものをできるだけ早期に作っていくということを目標に、今検討を進めているところです。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 多分、常陽の話は、また次回以降に出てくると思うので、その中でひょっとしたら触れられるかもしれませんけれども、引き続きよろしくお願いいたします。
 黒崎委員、どうぞ。
【黒崎委員】 ありがとうございます。
 感想というか、このプロジェクトを進める上で、こういった点が重要ではないかと思ったことを、少し皆さんと共有できればということで発言させていただきます。3つございます。
 1つが、やっぱりこの新試験研究炉、人が集まる吸引力になってほしいというふうに思っています。この敦賀の地に、本当世界中の頭脳が集まってくる、なんだったら、もう産業応用も、ということで、そちらも見据えたような形で人が集まってくるという、こういうものをせっかくだったら作りたいというふうな話になるのですけれども、そのためには、やっぱり拠り所になるのが、ここでしかできないことだと思うのですよね。ほかでできるのであったら、ほかに行きますので。なので、ここでしかできないようなことができる、そういう場所というものにならなくてはいけなくて、そのためには、そのときの最先端の学術のところがしっかりしているということが重要なのではないかなと思っています。その意味では、もちろん炉心周りもそうですけれども、周辺の装置類についても、きちんとしたものを選定、作っていくというような話になるのかなと思いました。これが1つ目です。
 2つ目が、ずっと話に出てきていますけれども、これはすごく息の長いプロジェクトですよね。今から話をし始めても、運転開始ができるのは、言っても、今の話だと15年とか、そんな数字が出てきているぐらい、すごく長いスパンで考えなければいけないような、そういうプロジェクトです。
 ですので、何が重要かというと、2つあると思っていて、1つは、完成するまでの間に、我々は何をやるのだということをしっかり考えておかなければいけないということが1つと、もう1つは、完成したときに、世の中がどうなっていて、そのときにきちんとフィットしたものを作っていけるのかどうかという、将来の予測感というものもすごく大事ではないかなというふうに思います。これが2つ目の話です。
 3つ目は、オールジャパンというものが、すごく大きなキーワードになるのではないかなと思っていまして、協力連携体制というものが、ここのプロジェクトを通じて、いろいろなところで必要になってくると思っています。我々、自分のことを言って恐縮ですが、KUR運転停止、2026年5月になっています。なので、それが停止してから先の話というものが、非常に我々は重要視していまして、その意味でも他施設との協力体制というものも非常に重要だと思っています。これは、この新試験研究炉が完成するまでの間というところでも重要ですけれども、完成してからも、やっぱり連携というものも重要なので、関係施設との連携協力体制の強化というところも重要ではないかなと思っています。
 以上3点、発言させていただきました。よろしくお願いします。
【寺井主査】 どうも、コメントありがとうございました。これはお答えいただいた方がいいのかな。文科省さんお答えになりますか。
【奥課長】 ありがとうございます。
 3点ともおっしゃるとおりだと思います。1つ目は、ここでしかできないことというものは非常に大事なところで、アカデミアにしても、産業界にしても、ここでの利活用というものを最大限意味のあるものにしていくという、そのためにも、京都大学は実験装置群を主体的に御検討いただいて、JAEAも入りながら検討していただいているということは非常によいことで、アカデミアとしても、トップレベルの実験装置群をやはり整備するということは、非常に大事かなというふうに思っていますし、こうした体制は引き続き強化していきたいというふうに思っています。
 2つ目の中長期、長期のプロジェクトとおっしゃるとおりで、今年中に設置許可申請の時期を見通すと言っていますが、実際に建設をスタートして、完了するまでは、相当程度の時間が必要になってくると思います。これの間、どういうふうにつないでいくかというか、JRR-3であるとか、他の中性子源等も使いながら、同プロジェクトをうまくつなげていくか、ということは、非常に大事な課題だと思っていますので、我々としても体制をきちんと検討していきたいというふうに思っています。ありがとうございます。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 私は前に大学にいたものですから、京都大学のコミットメントは極めて大事だと思います。もちろん、福井大学はもちろんですけれども、やはり京都大学原子炉研でKURが終わったあとに、どういうふうにやるのか、ということは結構重要で、やはりここにかなり新照射炉にコミットしていただくということは極めて大事かなと。他の大学の人事ですから、私は口を出すことは当然できないのですけれども、考え方として、ぜひそこは京都大学さんにもよろしくお願いしたい。黒崎委員、よろしくお願いいたします。
【黒崎委員】 承知しました。頑張ります。
【寺井主査】 ありがとうございます。中熊委員、そのあと和田委員でお願いします。
【中熊委員】 電事連中熊でございます。御説明ありがとうございました。
 資料の3スライド目4スライド目に書いてある、当面の課題はいずれも重要だなと思いながら拝聴してございました。
 中でも、特に5ポツの1にある利用促進体制というものは非常に重要だと思っておりまして、ちょっと毛色が違いますけれども、我々電力業界で申し上げますと、過去ハルデン炉みたいなものを使うときには、先方からかなり目的に照らして、いろいろな技術提案をいただいて、それで合理的な使い方ができたという、そういう成功体験があります。
 したがって、この炉をアカデミア、ないしは産業界が使うにしても、そういうようなサポート体制みたいなものは極めて重要だと思います。
 加えて申し上げると、利用促進という名のもとで申し上げれば、技術的な、営業的な、そういう役割を担うような方がいて、できるだけ利用の裾野を広げるような取組も、こういう体制の中で機能としては持つべきではないかなというふうに思いました。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
【寺井主査】 ありがとうございました。よろしいですかね。コメントはございますか。
【奥課長】 利用促進体制が非常に大事なので、利用促進法人たるものを作るかどうかも含めて、そこは検討させていただきたいと思いますが、実際に利用支援をやるにあたって、実験装置群を実際に設計製造した人がその支援をするということが非常に大事だと思っています。なので、杉山先生、申し訳ないですけれども、京都大学でこれを整備して、主体的に進めていただくということはもちろん大事ですが、その整備が終わったあとも、引き続き支援で関わっていただきたいということは、こちらの方としても、ぜひお願いをしたいなというふうに思います。
【杉山先生】  まさしく、我々自身が、黒崎所長の方からありましたとおり、ここのところが、我々の将来の一つのコアだと思っておりますので、ぜひそういう形になるように、御支援のほどよろしくお願いしたいというふうに思っております。ありがとうございます。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 KUR運転停止後の京大の拠点との関係について、引き続き検討と書いてありますので、本当にこれは極めて重要な、ロードマップの7頁ですけれども、重要なアイテムだなと思います。よろしくお願いします。
 和田委員、どうぞ。
【和田委員】 ありがとうございます。原産協会の和田です。3点ほどコメントさせてください。
 1点目は、人材育成についてです。新試験研究炉の利用分野は先ほどお話にありましたとおり、物理系ですとか、材料系、生物系、医療系など多様な分野が想定されますので、原子力放射線の専門分野に限らず、関係する分野の人材の裾野が広がることを期待しております。新試験研究炉の新規建設というものは、現状では大変貴重なプロジェクトだと思いますので、広がりのあるプロジェクトを目指して、幅広い人材の確保育成につなげていただきたいと思っております。
 2点目は、医療用RIの製造についてです。こちらは寺井先生からもお話がありましたとおり、国内での製造が大いに期待されている事業であると思います。また、医療分野での利用というものは国民にとって最も分かりやすいメリットの一つでもありますので、原子力や放射線の理解にも役立つものと考えられます。実際、新試験研究炉で医療用RIを製造することは先の話になるかと思いますけれども、ぜひ引き続き検討をお願いしたいと思います。
 3点目は、地域経済への貢献についてです。新試験研究炉を企業が幅広く利用すること、すなわち、本日の御報告にありましたような、産業利用のニーズに結びつけるということは、事業の価値をさらに高めるものであると思います。この新試験研究炉がRI製造や中性子の産業利用の拠点となれば、新たな企業が地元に進出する可能性も高いと思われます。このような地域経済の持続的発展への貢献といった要素も、今後の検討の中で考慮していただければと思います。以上でございます。
【寺井主査】 どうも、3点のコメントありがとうございました。何かお答えはありますか。
【奥課長】 人材育成は大事だと思っています。
 これは、新試験研究炉に限る話ではないですけれども、やはり原子力の人材が相当程度細ってきてしまっているということは、国全体の傾向としてあるので、原子力をコアとする専門人材の育成だけではなくて、その周辺の領域の方々も含めて、裾野を拡大していくということは、非常に大事だと思っていますので、これは文科省として、教育を司る文科省として、様々な枠組みを支援をしていきたいというふうに思っています。
 医療RIについては、寺井先生に申し上げたとおりですが、モリブデン99の製造に、この試験研究炉も貢献するということを一つのミッションに据えていますので、これはこれで引き続き検討していきたいと思っています。
 地域経済の貢献ですけれども、これも先ほどから何度もお話があったように、試験研究炉のアカデミアの理由はもちろんですが、やはり経済、産業界の利用というものも、引き続き強化していければなというふうに思っていまして、JRR-3はテストベッドに、中性子の利用というものを広く産業界にも普及できるように、我々としても支援していきたいと思います。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 おそらく、医療RIのことばかりに私はこだわってあれですけれども、今日議論はもちろんなかったのですけれども、もし今後、モリブデン99をやろうとすると、ターゲットの製造ですよね、それから照射、それから、それを取り出して、解体して、抽出して、薬剤にしていくという、非常にいろいろなプロセスが必要になってきますよね。そのためのある程度、専門的な設備が当然必要なってくるので、その辺りについても、今後もしこれをやるとすれば、しっかりと周辺設備の整備というものが当然必要になってきますから、そこについての御検討もぜひお願いしたいのですが、これは分析ではないので、今回のタスクフォース、京大のタスクフォースではないのかもしれませんけれども、然るべき舞台を作って、そこで御議論いただく必要はあるかなというふうに思います。先の話なので、今すぐでなくてよいとは思うのですけれども、よろしくお願いいたします。
 その他、いかがでしょうか。小澤委員、どうぞ。
【小澤委員】 ありがとうございます。
 書いてある課題はどれも重要だと思いますし、指摘されている話もごもっともだと思いますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 設備構築にしても、利用のあり方にしても、体制構築にしても、どれもどちらかというとわくわくする話で、研究者の皆さんはやる気が出る話のような気がするのですけれども、先ほどちょっと話題に出した規制の話だとか、これはボーリングをやって場所を決めるという話も、当然設置者の責任でやっていく話だとは思うのですけれども、規制のあり方みたいなサポートというものは、これは文科省のお座敷というか、何か知恵がある人たちがサポートするみたいな、そんなことはあり得るのでしょうか。
【村尾室長】 JAEAの推進室長の村尾です。
 今、小澤委員からありました、規制の方ですけれども、こちらについてはJAEAの方で中心になって進めるというところと考えています。JAEAはたくさんの試験研究炉を抱えておりまして、新規制基準への適合というところも進めているところでございます。
 今回計画している新試験研究炉についても、規制基準への適合というところも見越して、現在、詳細設計Ⅰ
【小澤委員】 ありがとうございます。何かもやっとしていたものが晴れたような気持ちですね。ぜひとも。
【峯尾様】 関係のある話ですから、うまくやりながらいきたいと思います。
【寺井主査】 今の件に関係するのですけれども、今候補地が3つございますよね。それで、申請の時期を見通すということは、候補地がある程度決まらないと、詳細設計に入れないのかなと思うのですけれども、その辺りはどういう関係になるのですか、時系列的には。
【峯尾様】 峯尾と申しますけれども、候補地を決めないと、例えば、基準地震動とかを決めていかないといけないのですが、候補地が決まらないと、その場の基準地震動は決まりませんから。ですから、今後見込み時期を示すにあたっては、大体ここら辺かな、というところはアタリをつけていく必要がございます。
【寺井主査】 そうすると、今年度中ぐらいには、その辺のめどをつけるという、そんなタイムスケジュールになるのでしょうか。
【奥課長】 設置許可申請の時期を見通す際には、場所の候補地というものも、もう一緒に決定をするということを、一応念頭には、検討していきたいと思います。
【寺井主査】 分かりました。引き続きよろしくお願いいたします。
 その他、いかがでしょうか。松浦委員、どうぞ。
【松浦委員】 今の寺井先生の御質問と関係するのですが、令和6年中に、設置許可申請の見込み時期の提示に向け、原子炉設置に向けた全体計画の策定というものが3頁目に書いてあります。非常に長い計画であるということは理解しているのですが、今日の会議の中で、それが10年なのか、15年なのかが、まだ見えてきていないなという印象です。 この全体計画の中で、それがある程度明確にされるのでしょうか。気になるのは、今JRR-3で、多様な人材育成を継続されていることもあるのですが、15年後にJRR-3がどうなっているかとか、また、J-PARCが、設備更新で使えない時期があるのではなど、先ほど奥課長がおっしゃっていたように、他の施設との連携も非常にこの計画には関わってくるのかなと思っておりますので、そういった計画が、ここで明確になるのかなと、そこはなかなか言いづらいところかもしれないのですがお教えいただければと思います。
【奥課長】 目標としては、設置許可申請の時期を今年中に見通すということだけを目標に据えているのですけれども、ここで議論していることは、ある程度将来計画として、何年後までに実際に建設を開始して、いつ頃から運転を開始するのかということを、明確に何年と言うことは難しいかもしれないですけれども、幅を持たせた上で、ある程度の時期を示すと。それがないと、結局、いつお金がどれだけかかっていくのかという、資金需要も分からなくなってしまうので、そこを合わせて示せるものは示していきたいというふうに思っています。それが今年の夏に示せるのか、冬の方になるのかということは、まだ時期が決まっていないのですけれども、今年中に設置許可申請の時期を見通す際には、ある程度のスケジュール感というものを、大まかなものを引きたいなというふうに思っています。それがないと予見可能性がないというところもあるので。
【松浦委員】 例えば、地元の企業さんとかに説明するときに、「できるのはいつ?」と言われたときに、20年先とか言われると、ちょっとしんどいなというような感覚もありますので。
【寺井主査】 引き続き、その辺りの検討も含めてよろしくお願いいたします。
 その他はよろしいでしょうか。石川委員、どうぞ。
【石川委員】 先ほどから、何回か出ていたサポート機能ですけれども、私も経験上海外の施設に行くと、やはりサポート体制が非常に充実していて、先ほども、京都大学さんとか、あるいは多分JAEAさんにその役割を期待したいというところもあると思うのですけれども、当然、そこには人件費が発生して、やっぱりJAEAさんのポストを一つそれに充てるとか、あるいは教授の研究、教育の時間を削って、それに充てろということになったら、本来、大学とか研究所が持っている教育とか研究についての、結局機能が失われる、損なわれるということになるので、やはりそういうサポートをするには人が必要で、人材も必要で、育てるだけではなくて、それに対して、人件費を払う必要があるということを、やはり政府も国民も認識しないといけない、する時期になっていると思います。
 例えば、利用促進法人を一つ作るということも一つだと思います、そうしたら、そこに十分なサポートができるだけの予算とポストをつける。そこで、例えば、京都大学で装置開発に携わった大学院生とか、あるいは若手の研究者が、そちらで雇用を保障されて、サポートにあたれる。本当にそのエキスパートになれるというような体制を整えていく。そういう意味で、京大さんとかJAEAさんを支援していくという、そういう意識が必要なのかなというふうに考えております。以上、コメントです。
【奥課長】 ありがとうございます。
 利用促進の体制は、まだ何も固まったことはないので、これから検討になると思いますけれども、一例として、例えば、J-PARCですと、CROSSという利用促進体制があって、別にあって、それに対して、利用促進交付金というものを文科省の方からお金を出して、そこに対する人件費であるとか、実際にその課題を審査するお金であるとか、支援のためのお金ですね。というものを国として財政支援をしている枠組みがあります。それはSpring-8も同じで、JASRIに対して、同じように交付金を出しています。
 これは、いわゆる利用促進のための共用法という法律があって、それに基づく交付金、施設選定と施設指定と、あと交付金の交付ということをやっているので、このJRR-3はそれに位置付けられていないものですから、新試験研究炉をどういうふうに位置付けるのかということも含めて、今後検討する必要があるのかなというふうに思っています。
 いずれにしても、利用促進体制を作るにあたっては、そうした支援の仕組みというものは、いずれにしろ必要だろうというふうに思っています。
【石川委員】 ぜひよろしくお願いいたします。
【寺井主査】 よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。そのほか、御意見はございますか。よろしいですか。
 特に御意見がないようでございますので、それでは、これで3つ目の議題を終了させていただきます。ありがとうございました。
 本日予定をしておりました議事は以上でございますけれども、そのほかに御意見等はございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、最後に事務局から連絡事項等をお願いいたします。
【竹之内補佐】 寺井先生、ありがとうございます。
 最後に事務局から今後の予定について御連絡をいたします。参考資料の5を御覧ください。次回の作業部会は、5月の10日金曜日13時30分からの開催予定でございます。テーマは、「常陽への期待」と「高速炉の燃料技術開発について」でございます。
 また、本日の議事録につきましては、出来次第メールにて御確認をいただいた後に、文部科学省のホームページに掲載をさせていただきます。以上でございます。
【寺井主査】 どうもありがとうございました。
 今日は非常に有意義な議論ができたかなというふうに思ってございます。御説明いただきました方々、それから御参加いただきました先生方、どうもありがとうございました。
 それでは、これで第20回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。
 
―了―

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