平成13年7月16日(月曜日) 10時~12時30分
文部科学省 別館 第1会議室
岡田主査、石山委員、片山委員、亀田委員、小林委員、島崎委員、大門委員、田村委員、林委員、古谷委員、村上委員
研究開発局和田開発企画課長 藤原防災科学技術推進室補佐
独立行政法人防災科学技術研究所 岡田企画部長 大谷プロジェクトディレクター
開会、前回欠席委員紹介、開発企画課長挨拶
事務局より資料2‐1に基づき説明。
事務局より資料2‐2に基づき説明した後、質疑応答が行われた。(発言者敬称略、以下同じ)
【委員】
「基盤的研究開発」の定義はどこかで位置付けられているのか。
【事務局】
独立行政法人防災科学技術研究所法などを基にしている。
【委員】
文部科学省における防災分野との表現があるが、範囲を狭めるのか。
【事務局】
本委員会の目的も文部科学省における研究開発の調査審議となっている。政府全体は総合科学技術会議が検討しており、現時点では文部科学省に限定している。
【委員】
議論にあたっては気にしなくても良いが、予算の話になると文部科学省に限定すべきと考えている。
【事務局】
議論の始めとしては我が国全体を見通した議論をいただきたい。
【委員】
本資料は少し漠然としているが、本資料に集約されているのか、基本的考え方を議論して深めていくのか。
【事務局】
あくまでも事務局案。
【委員】
第3段落は主語と述語が対応していないが、どう考えればいいのか。
【事務局】
明確に切り分けても良いが、重複しているところもあるため敢えて明確にしていない。
【委員】
切り分ける必要はないと考える。
【委員】
第2段落に関して、災害対策基本法には「国土を守り」の表現があるが、本資料にも必要ではないか。また、第4段落の「要請を踏まえ」は「要請も踏まえ」にした方が良い。
【事務局】
ご指摘のとおり変更する。
【委員】
第2段落の「災害から人命・財産を守り」の意味について、復旧・復興の問題を言葉として出していただきたい。第3段落の「学術研究」と「基礎研究」定義は何か。整理が必要。
【委員】
第3段落の「基盤的研究開発」の定義も含めて別紙に整理する方が良い。基本的には本資料に基づいて整理し、委員会の共通認識とする。
独立行政法人防災科学技術研究所(以下「防災科研」という。)より資料2‐3に基づき説明した後、質疑応答が行われた。
【委員】
E‐ディフェンスは国際共同利用施設とするようだが、アメリカの対応が気になる。最近のNSFの動きを考えると、日本が作った実験施設をどのように利用するかのInitiativeをアメリカが取る方が効率的であるとの議論を聞くし、予算配分もそのような方向になっていると聞いている。それに対して日本は十分に抵抗すべきであり、日本のInitiativeを守るためのソフト部分(Funding sourceの確保、Project managementの方法、研究成果の国際的展開)の枠組みづくりを早期に検討することが必要。
【防災科研】
NEESについては細部までContactして話しをしている。NEESのプロジェクトの中にE‐ディフェンスほどの大きな規模の震動台が入ってこれないことはアメリカも理解しており、例えばモデル実験をアメリカで実施して、最終的な実大実験を共同で行って、その結果は全員でシェアする方向に持っていきたい。
【委員】
有効に機能するための仕組みづくりをもっと早く進めて行くべき。アメリカは自然に世界戦略で考えていくところであり、放っておくとネットワークが出来た暁には林委員の指摘のとおりになる。そうなる前に日本のInitiativeをどうするかのシステムを早く作った上でアメリカの考えとの摺り合わせをしないと、アメリカの世界戦略の中に組み込まれてしまう。途上国のニーズにあう実験をODAの対象とするようなことまで考える必要がある。
3ページにある委員会における評価自体を国際化すべき。また、同ページのネットワークについては、情報だけでなく組織や人のネットワークもつくっておくべき。
【防災科研】
委員会については海外の人にも入ってもらうつもり。ネットワークは人間のネットワーク化に力を入れたい。
【委員】
実験に際してはFundがない例が多いが、実験に当たってのFundの戦略を考えるべき。ASEANでSEEDNETが立ち上がっているが、そのような制度とリンクすることによる国際貢献も良いことと思う。
【委員】
実験のための費用や建設費用、維持管理費を教えていただきたい。
【防災科研】
建設費は総額約450億円、維持管理費は年間約10億円と見積もっている。実験費用は明確には答えられない。
【委員】
実験の内容等によって違う。
【委員】
E‐ディフェンスは民間にも開放されるのか。
【防災科研】
勿論、共同利用施設には民間利用の意味も含んでいる。
【委員】
既存の中古住宅等を活用した実験を行うことも考えているのか。
【防災科研】
是非そのような実験も行いたいが、現地までの運搬費用を考慮すると新築と費用が同じくらいになるので、この問題の解消も実験テーマの1つになると思う。
【委員】
防災科研のマンパワーを心配している。また、国際的な取り組みは良いが、日本の防災に役立つ施設でなければならない。阪神大震災のような状況を起こさないためにこの研究のデータを日本の法規や規制に役立てていただきたい。そのためには建築研究所や土木研究所等の積み重ねたデータを活用していく必要があると思うがいかがか。
【防災科研】
本プロジェクトのために新たに認めらてた定員は3名ほどであり、マンパワーは大きな問題である。マンパワーをどうするかは理事長や理事が考えているところ。
土木研究所や建築研究所、港湾技術研究所とは国研の時代から情報交換や共同研究を多く実施してきており、長年培ってきた習慣を今後も維持していきたい。
【委員】
マンパワーについては、アウトソーシング等を考慮しつつ、苦しい中で良い方法を見つけていくしかない。
【委員】
モノを作るのに人を付けないのは従来からだが、出来ないのではなく何か考えなければならないことを、この委員会から発信する必要がある。
【事務局】
独立行政法人になって状況は少し変わってきたと思う。特殊法人のフロンティア研究等定員外の任期付研究員採用により研究を進めているところもあり、このようなシステムを活用して進めていくのも良いと思う。
【委員】
こうしたプロジェクトは理学工学の先生が集まっても赤字になるだろう。研究者の誠意だけで上手くいくものでもなく、ビジネスとしての合理性を追求できる人材をプロジェクトの早期から参加させておくことが不可欠と考える。異質なものがはいらなければ成功しないという認識を持っていただきたい。
【委員】
国際共同利用施設であるが、どのような実験を行って成果をどう活かすのかという準備を急いで行っていただきたいという強い要望があることを認識していただきたい。独立行政法人になったのだから、無給研究員などの制度で人を手当てすることも考えて良いと思う。
防災科研より資料2‐4に基づき説明した後、質疑応答が行われた。
【委員】
EDMでの新チーム立ち上げはいつからか。
【委員】
今年度から活動する予定だが、予算上は来年度から位置付けていく。
【委員】
社会科学的分野とはいうものの、理工学者が研究しているのが実態。社会の中のアクションとして防災があるという認識を持つことが社会科学的分野を活かしていく基本と思う。Market inの形での地震防災が求められるようになってきたことの反映が社会科学的分野だと理解しなければならない。
【委員】
EDMで実施している社会科学分野の研究開発は、社会科学しか研究しないのではなく、防災に必要なテクノロジー開発に際して社会から見るとどうかという観点から研究している。社会科学と工学が混ざっていくことが重要。
社会科学の基本的素養を身につけた研究者が非常に少ないことは、解決しなければならない問題。教育面での課題でもあるが、研究環境を整えていくことが必要。
技術開発が中心ではあるが、成果をどう活用していくかは暗中模索の状態である。Implementation technologyは研究テーマとして認知されていないので、EDMの新チームで研究テーマとして実施していく。
【委員】
事業計画が平成17年度までになっているが、これ以降も続くのか。ターゲットは風水害とのことであったが、雪国における積雪時の地震対応も実施していただきたい。
【防災科研】
独立行政法人になって5年間の中期目標・中期計画に従って実施しているので、平成17年度までになっている。風水害だけの研究にするつもりはない。
【委員】
社会科学的分野は人も少ないが、立ち遅れてもいる。長期的で基礎的な事実の積み上げが必要な分野であり、長い時間が必要であるとの認識は持ってもらいたい。
【委員】
研究者の育成はどうなっているのか。
【委員】
社会科学分野の防災研究者が考えているニーズと社会的なアクションとして防災を社会に還元していくときに求められているモノとの違いを明記すべきである。また、研究者育成にはキャリアパスを考える必要がある。
【委員】
EDMは都市部を中心にした防災研究だと思うが、日本の7割は山間地であり、山間地への対応をどう考えるかが課題である。
【委員】
阪神・淡路大震災をきっかけに発足したため、まずは都市部を中心にするということであり、他の問題が重要でないということではない。都市に人間が集まることで災害が複雑化する。また、日本の生活スタイルは田舎も含めて都市化している。
【委員】
過密地域は問題が抽出しやすく、他の地域への適用も容易。
防災科研より資料2‐5、事務局より資料2‐6に基づき説明した後、質疑応答が行われた。
【委員】
京都大学防災研究所自然災害研究協議会(以下「自然災害研究協議会」という。)は、科学研究費特別研究の災害研究枠の研究の調整と戦略決定のために、研究者の自発的なグループとして1960年に発足した自然災害総合研究班を母体としている。京大防災研は平成8年に国立大学共同研究機関になった時から事務局になっている。突発災害への対応を確実にするために改称した。実質的にはCOE経費と共同研究経費から捻出して運用している。
【委員】
斜面災害研究推進会議(以下「推進会議」という。)も引き続きやっているが、資金不足の問題はある。
【委員】
自然災害研究協議会の中に研究会活動助成があり、推進会議も名乗りを上げていただいており、出来る限り支援したい。
【委員】
自然災害研究協議会は大学以外は考えていないのか。
【委員】
自然災害総合研究班の継承であり、基本的には旧文部省ベースでの組織である。
【委員】
事務局案に近い組織だが、もう少し広がりが欲しい。
【委員】
研究分野が近い研究者が多いが、各地区毎に横断的な取り組みができるのが特色。
【委員】
自然災害研究協議会は重要な組織であり、形を変えて活発になれば良い。
【委員】
事務局構想と既存の組織をどのようにリンクさせるべきかの工夫が必要。
【事務局】
既存組織の利活用も含めた検討をしたい。予算措置が必要なことは認識している。
【委員】
自然災害総合研究班の活動が低迷してからは自然災害学会が名簿等を管理している。また、学会と自然災害研究協議会の共同で突発災害報告会を毎年開催しており、国内外の報告がなされるとともに、オープンフォーラムを開催して地域に還元している。
【委員】
予算は継続的なものを考えているのか。
【事務局】
恒常的なものを考えている。
【委員】
研究者のネットワークも必要だが、大学の研究者がE‐ディフェンスに一定期間行けて、その間は大学に迷惑がかからないようなシステムを作ることが必要。システムがないと人は動かない。
【委員】
事務局構想は本委員会のようなプロジェクト的な構想が良いのかもしれない。組織はつなげるがテーマは変わっていくイメージでも良い。
【委員】
災害毎の議論を経た上で全体の防災を議論する場が必要。きめの細かい災害に対する防災の話しをする専門的な会議があると良い。
【事務局】
本委員会ではワーキンググループを設置することが出来るので、本委員会の中では対応可能。
【委員】
自然災害研究協議会は火山もあるのか。
【委員】
火山と地震は東大地震研の予知研究協議会がある。
【委員】
地震予知計画の推進に係る予算要求をどうするかを協議している。今までにも協議会はあったが、四六時中計画のことを考えるために推進センターに設置した。
【委員】
防災と言えば広すぎるので、もう少し区分けする必要はある。
【委員】
自然災害研究協議会の準備委員会では、本委員会と関連した取り組みとして、旧文部省の研究動向把握等の窓口を努めるべきだとの発言はした。本委員会がより戦略的かつ総合的な視点を持った委員会になると思う。
【委員】
自然災害研究協議会等を育てつつ、新しい構想はプロジェクト指向の連携母体を創っていくのが現実的。いずれは1つになるかも知れないが。
【委員】
自然災害研究協議会も頑張ってもらう必要がある。自然災害研究協議会も中期目標を持ち、競争的資金獲得まで視野に入れている。
【委員】
自然災害研究協議会が動き出しているのは大変大きなこと。このような組織があることを前提にE‐ディフェンス等プロジェクト指向の組織構想を事務局で考えていただきたい。
【委員】
このような協議会の一番の弱点は、予算が旅費しかないため年に1度研究集会を開催してお茶を濁す程度の活動にとどまってしまうこと。旅費を自己負担してでも来るくらいの組織にする必要がある。
次回は7月30日(月曜日)13時~ KKR HOTEL TOKYO
以上
研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室