平成24年6月6日(水曜日)14時~16時
文部科学省東館3階 3F1特別会議室
1.地域イノベーション戦略推進地域(平成24年度公募分)選定結果及び平成24年度地域イノベーション戦略支援プログラム採択結果について、事務局から資料1,2に基づき説明
2.地域科学技術施策の課題と展望について
(1)山形大学教授 野長瀬委員から資料3に基づき説明
(2)株式会社アーク・イノベーション代表取締役 井上委員から資料4に基づき説明
(3)今後の地域科学技術の推進について(中間とりまとめ)骨子案について資料5に基づき意見交換
3.地域科学技術施策推進委員会の当面の予定について事務局から資料6に基づき説明
その他、主な意見概要は以下のとおり。
【野長瀬委員】 企業同士のマッチングチャンスがある場に大学の技術シーズを投入することで、産学連携のマッチング率を高めることができる。
【野長瀬委員】 産学連携、企業間連携においては、地域内だけではなく、地方と大都市間の、地域間パイプラインが重要。
【受田委員】 エリアを超えたコーディネーションが極めて重要であり、地域イノベーション創出の実効性を持ち得る。
【野長瀬委員】 産学官連携のプラットフォームを構築するにあたって、国の機関が関わることは重要であり、JSTのイノベーションプラザ等はそうした機能を果たしていた。
【野長瀬委員】 地域のイニシアティブと、国の地域科学技術政策の両輪が基本的に必要。
【野長瀬委員】 日常的なコーディネート活動の継続とマッチングの場の提供が重要。
【野長瀬委員】 イノベーター・ネットワーク、行政、非営利組織からなる広域的な公民パートナーシップの仕組みが非常に重要。日本は、従来からパブリックとプライベートの関係が政府部門と民間部門にしか分かれておらず、非営利組織の機能がまだ弱い。非営利組織が行政や民間が相互に補っていく仕組みの構築により、持続可能な体制になる。
【野長瀬委員】 イノベーターの密接度、集積が進み、ある臨界点を超えないとマッチングは起きない。
【野長瀬委員】 地域イノベーションを創出するためには、迅速な意思決定が可能な実力派中小・中堅企業および、地域のために頑張る誘致企業・大企業が初期から関与することが重要。国は的確な基本戦略を構築し、地域経営資源、地域インフラの整備を支援することが必要。また、産学官連携のプラットフォームの上に、イノベーター・ネットワークを連携させることが重要であり、このイノベーター間のネットワークを束ねる強いリーダーシップを持った地域ディレクターが配置されることが重要。
【井上委員】 最近の産業界の状況としては、非常に産業融合が進み、巨大産業化し始めている。この中でどのポジションをとるかが重要な段階になってきている。
【有信主査】 現在進めている地域科学技術振興施策をさらに発展させるためには、従来型産業の延長上という形にこだわると限界があり、学の力を活用して、新しい産業融合が必須である。
【有信主査】 地方行政の役割については、今までは人を出す程度の役割しか果たしていないことが多いが、行政の関わる業務、規制、サービスなどが新しいステップに進む時に何らかの役割を果たす可能性があるのではないか。
【井上委員】 各クラスター施策については、10年間実施してきて、それなりに成果が出ている地域もある。
【井上委員】 ライフサイクル成熟期の短縮化が起こっている中で、意思決定やマーケットイン、コストダウンなどを猛烈な速さで行い、どのように競争力を持っていくかを考える必要がある。
【井上委員】 製品の開発コスト、1プロジェクト当たりの金額が膨大になり、研究開発費を確保しないと、確率のマネジメントができない。外部連携でいかに早くいいシーズを取り込んでいくか、オープンイノベーションを機動的に使っていくかが更に重要になってきている。
【井上委員】 特区を機動的に活用することが重要。
【井上委員】 グローバリゼーションという観点では、アジアや新興国の情報収集を更に行うなど、マーケティング機能を地域の中に自立的に持っていく必要がある。
【井上委員】 グローバル市場・事業・規制動向や事業機会の調査分析、競合技術の分析や調査等々を行い、タイムリーな変化にどう対応していくか考える必要がある。また、情報をフィードバックする際のインフラデザインについても非常に重要。
【井上委員】 技術の高度化に関しては、オールジャパンでテーマごとに考えて臨んでいく必要がある。
【井上委員】 マーケティング機能をはじめ、企業の中にある機能を地域が自立的に緩やかな連携の中で確保、獲得していることがクラスターの条件である。そうした機能を有し、成果を出し始めている地域が有する知識・ノウハウを、他のエリアに波及していく必要がある。
【井上委員】 持続性のある政策を続けることが最も重要。
【井上委員】 産学官の違う組織が同じ時間軸上でやる工夫として、産官学の間で上手く人材のローテーションを行い、各主体がスピード感を持って事業に取り組む環境を作り出すなど、仕組みとしてサポートができるとよい。
【井上委員】 ベンチャーが大きく成長する為には、初期段階から次の段階へ変遷した際に、ビジネスモデルを変えることが必要なことが多く、それに伴い、役割や体制も変更しなければいけない場合がある。当初の組織に固執するのではなく、役割分担も明確化し、適切な人材配置等が称賛されるコンセンサスができ、そのように柔軟な対応をサポートする仕組みがあればよいのではないか。
【井上委員】 テーマの異なるクラスター間の連携により、新しい産業が出始める可能性があり、これまで以上に重要。また、その融合の先に、どういう新しい産業があるかビジョンを共有することが重要。
【受田委員】 「地域イノベーション」という言葉の定義をすべきである。
【受田委員】 各地域の多様性に対応して、「持続可能的な発展」につながるように政策等に反映していただきたい。
【大津留委員】 地域で取り組む立場からすると、オールジャパンの業界団体のプレーヤーとの交流ができないか。
【大津留委員】 学際的、業際的な部分にイノベーションの種があり、企業規模を考慮し、各支援分野をマッピングすることなどにより、全国の企業や関係機関などとつながるきっかけにするのがよいのではないか。
【清水委員】 従来の知的クラスター、都市エリア事業の一部や、JSTイノベーションプラザなどが行っていたボトムアップ的な取組よりは、強力なリーダーシップを発揮すべき分野を意識し、大きく海外に製品やサービスを輸出する、あるいは、課題を解決していくという発想は非常によい。
【清水委員】 分野の特定は非常に重要。国として、地域の企業や先生方に、グローバルな企業にどこまで競争力を持ちうるのか、わかりやすく伝えることが必要。そういった視点を踏まえて、研究開発のあり方が重要であり、従来欠けていたのではないか。
【清水委員】 ソフト・ヒューマンのところにお金をつぎ込んでいるだけではなくて、しっかりとした形で、プロジェクトに対して資金提供していくことが重要。
【清水委員】 従来の知的クラスター、都市エリア事業の反省点があるとしたら、企業に対して資金提供をしてこなかったことである。
【清水委員】 地域イノベーション創出のために、必要な人材を企業が出す、自治体の科学技術の担当者に対して影響を与えていくような何らかの工夫が必要。
【木場委員】 各省庁の施策を総動員して、世界をリードし得る拠点を構築していく際に、ソフト・ヒューマンを支援する現行制度だけでそれが成し得るのかを再考する必要がある。その際に、国が分野特化型の拠点を徹底して作り上げていくことや、大きな可能性を有しているところは、地域間の連携という仕組みを作った中で引き上げていくことが必要。
【川島委員】 基本的には具体的な事業を想定し事業のリスクをどのように分担するかということが、参画主体の役割を議論する上で重要。FSの実施、評価への組込み、採択条件に入れていくなどの取組を行ってもよいのではないか。
【有信主査】 将来大きくなる可能性のある事業はリスクが大きく、リスクを踏まえて全体をうまく育てていくことが必要。
【有信主査】 現状のままでいけば地域が埋没してしまい、地方が埋没すれば日本全体が埋没してしまう。サステイナブル・グロースをきちんと維持するためには、制度・仕組みを変えながら、日本全体、地方がサステイナブルにイノベーションを創出していくことが不可欠である。
【井上委員】最近は、ソーシャルネットワークの中からプロジェクトが立ち上がり、R&Dのアイデアや成果が生まれる可能性が高くなっている。業際の部分などについても、そういった手段を活用し、クラスターの中で何かプロジェクトをうまく立ち上げてやっていくと、何か新しい産業が出てくる可能性がある。
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