質の高い教師の確保特別部会(第13回) 議事録

1.日時

令和6年5月13日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省会議室(対面・WEB 会議併用)(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 審議のまとめ(案)について
  2. その他

4.議事録

【貞広部会長】  皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第13回中央教育審議会 初等中等教育分科会 質の高い教師の確保特別部会を開催いたします。
 皆様、本日もお忙しい中、また、大変足元の悪い中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の会議もウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただきます。会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、毎度のことでございますけれども、委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外を含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。また、本日は、報道関係者と一般の方向けに、本特別部会をユーチューブにて配信しており、ユーチューブでの傍聴者から、録音及び録画の希望がございましたので御承知おきください。
 それでは、事務局より配付資料の御確認をお願いいたします。
【堀家財務課長補佐】  事務局でございます。本日の配付資料は、お手元の議事次第の4、配付資料にありますとおり、資料1から資料3まで、及び参考資料1から参考資料5までとなっております。御確認いただきまして、過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 それでは、早速でございますが、議題1といたしまして、「審議のまとめ(案)について」に入ります。前回の特別部会におきましては、審議のまとめ(素案)を御議論いただき、多くの委員の皆様から御意見をいただいたところでございます。荒瀬部会長代理とも御相談の上、御意見を踏まえて修文いたしましたので、本日は、審議のまとめ(案)として委員の皆様に御議論いただきたいと考えております。
 それでは、主に資料2に基づきまして、素案からの修正点等を中心に、事務局よりまず御説明をお願いいたします。また、審議のまとめ(案)を基にして概要もおつくりいただいておりますので、併せて御説明をお願いいたします。
【安井財務課長】  失礼します。財務課長でございます。それでは、事務局から、前回会議で御議論いただきました、審議のまとめ(素案)の御審議以降、いただいた御指摘、御意見を踏まえた修正を中心に、資料2に基づきまして御説明させていただきます。審議の時間の関係で、全体を簡潔に御説明させていただきたいと存じます。
 まず、12ページを御覧いただければと存じます。こちらは、「教師を取り巻く環境整備の目的」ということでございましたが、教師を取り巻く環境整備の最終的な目的として、「子供たちへのより良い教育の実現」ということでございましたけれども、御意見を踏まえて、こちらに「全ての子供たち」と追記してございます。また、続く記述につきましては、内容の変更はございませんけれども、長い文章を区切って読みやすくしたという趣旨でございます。
 続きまして、14ページを御覧ください。こちらにつきましては、御指摘を踏まえて、働き方改革におけます学校の取組の主体としての重要性を明確にさせていただいたというものでございます。
 続きまして、資料の18ページを御覧いただければと思います。こちらは、学校・教師が担う業務の適正化の推進ということで、服務監督教育委員会につきまして記述しているところでございますけれども、働き方改革を進めるに当たりまして、教育委員会が学校現場の取組を支援する伴走者としての役割が期待されるという御指摘もいただいてございましたので、そのような教育委員会の役割の重要性について記載したものでございます。
 続いて、資料の20ページを御覧いただければと思います。こちらにつきましては、校務DXについての記載がされていたところでございますけれども、その記述、取組の内容について、より具体的に記載しているものでございます。
 続きまして、資料21ページでございます。学校における働き方改革の実効性の向上ということでございますが、まず、見出しもつくりまして、教育委員会における取組状況ということでございますけれども、この中で、働き方改革の実効性の向上に向けまして、服務監督教育委員会の勤務時間管理、また、安全配慮義務についての法的な責任につきまして、より記載を充実して明確にしていったというものでございます。また、第3段落にもございますけれども、在校等時間の管理、これが働き方改革を進める上でも出発点であると、全ての出発点であるということで明記してございます。
 また、資料の23ページでございます。将来的な時間外在校等時間の目標に関する記述でございますが、こちらは20時間程度に縮減することを目指し、それ以降も不断の見直しを継続すべきといたしまして、縮減を続けていくということを記載してございます。
 続いて、資料24ページをお開きください。教師を取り巻く環境の整備に当たりまして、服務監督教育委員会の責務に続きまして、学校の管理職の責務について、これまでも多く御指摘を頂戴したところでございました。こういった趣旨をより明確にしていくという趣旨で、今回、見出しも、校長等の管理職によるマネジメントの重要性ということで設けた上で、管理職の勤務時間管理、また、業務見直しなどのマネジメントの重要性をより明確にしながら、同時に、全ての教職員とともに、学校において取組を進めていくことの重要性についても記載いたしまして、校長をはじめとした管理職のマネジメントということで記載させていただいてございます。
 続きまして、資料の29ページ、30ページを御覧いただければと思います。勤務間インターバルについての記載がございますけれども、こちらにつきまして、より必要性について御指摘を頂戴したところでございます。30ページの記載でございますけれども、勤務間インターバルの取組を学校においても進めることが必要であるということで記載してございます。また、こういった取組の目的といたしまして、「教師が十分な生活時間や睡眠時間を確保し、心身ともにゆとりを持ち教育活動を行うことができるよう」ということで追記してございます。また、併せて、勤務間インターバルを推進するに当たっても業務の持ち帰りを行わないことが原則であり、上限時間を厳守することを目的として自宅等に持ち帰って業務を行うということは避けなければいけないという、上限指針の記載も改めて確認しているところでございます。
 続きまして、資料35ページをお開きいただきたいと思います。学校の指導運営体制の充実に関する部分でございます。こちら、教科担任制の推進に関する記述でございますけれども、コマ数の多い教師について、教員定数も活用しながら持ちコマ数の縮減を図っていくということをさらに明確化しているところでございます。
 続きまして、資料37ページを御覧いただければと思います。こちらは生徒指導担当教師の配置の充実に関しまして、不登校だけでなく、幅広い生徒指導上の課題に対応するものであるという趣旨をより明確にしたものでございます。
 また、資料38ページにおきましては、御指摘いただきました通級指導の充実についても追記してございます。
 さらに資料41ページでございますが、事務職員につきまして、学校マネジメントの強化に向けた役割について記載を追記しているところでございます。
 また、資料44ページでございます。こちらは多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成に関しまして、特別免許状の授与指針の改定が先般行われたところでございますので、そちらの内容を反映させたものでございます。
 続きまして、資料51ページを御覧ください。教師の処遇改善についての第5章になります。こちらは、処遇改善と併せまして、働き方改革、指導・運営体制の充実を進めていくことが重要であるということでございますけれども、その際の、学校の管理職のマネジメントの重要性についても改めて記載しているものでございます。
 続いて、資料52ページの第1段落でございます。こちらは、素案と内容の趣旨は変更ございませんけれども、記述の分かりやすさの観点から、少なくとも10%以上といたしました教職調整額の率の改善につきまして、現行の水準、4%を明記したところでございます。
 また、脚注でございますけれども、人材確保法に基づく処遇改善が行われました結果、教員採用試験の倍率が上昇したデータを脚注に記載させていただいてございます。
 続いて、資料53ページでございます。学級担任の処遇改善の部分でございますが、担任1人だけでなく、複数の教師の連携・協働の重要性ということも追記いたしましたとともに、担任業務を複数の教師で分担する場合には、都道府県教育委員会等の判断によりまして、分担に応じて手当の対象とすることも考えられるという趣旨を記載してございます。
 さらに、資料56ページ、57ページでございますが、前回の会議におきまして、「おわりに」を記載すべきという御指摘を複数いただいていたところでございます。
 そういうことで、「おわりに」の記載をしてございますけれども、まず、強い使命感の下で御尽力いただいている教師の方々へ敬意を表するとともに、長時間勤務を改善しなければならないという問題意識をまず記載してございます。また、子供たちの人生に影響を与えるすばらしい職業であるという教職の趣旨、また、同時に大きな責任を有するという教師の職業の在り方についても記載してございます。
 一方で、教師を取り巻く環境の厳しい現状、これを抜本的に改革するため、働き方改革のさらなる加速化、教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実を一体的に推進する必要性を改めて強調してございます。
 また、教育に関わる全ての関係者が自分事として学校や教師を支えること、そして、その結果として、学びを通して人が成長する教育という営みに対する社会的な敬意が生まれることを期待して、審議のまとめを分かりやすく社会に発信する必要性があるということでございます。また、提言内容の実現に向けまして、予算上、法制上の措置を行うことを国に求めるというところでございます。
 また、最後、結びに、「全ての子供たちへのより良い教育の実現」に向けて、国民各層の御理解、御支援をお願いしているというものでございます。
 以上、簡潔に、前回の素案からの修正点を中心に御説明させていただきました。
 また、併せて資料3でございますが、全体の審議のまとめ(案)の概要も作成させていただいたところでございます。こちらの内容については割愛させていただきますけれども、1枚目で、第1章、第2章の基本的な全体の考え方、2枚目で、学校における働き方改革の更なる加速化についての御説明、3枚目で、学校の指導・運営体制の充実、そして、4枚目で、教師の処遇改善についてということで、概要資料を御用意させていただいたところでございます。
 御説明は以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 それでは、審議のまとめ(案)につきまして、委員の皆様から御意見を頂戴したいと存じます。御意見のある方は、「手を挙げる」のボタンを押していただきますようお願いいたします。こちらから指名させていただきます。また、毎回、大変恐縮でございますが、全ての委員の皆様から満遍なく御発言をいただけるよう、御発言はお一人当たり3分以内としていただきますよう切にお願い申し上げます。また、御発言の際は大きな声で明瞭にお話しいただけますようお願い申し上げます。
 では、秋田委員、吉田委員の順番でお願いいたします。秋田委員、どうぞ。
【秋田委員】  学習院大学の秋田でございます。このたびはこのような形で、委員みんなの総意が一つにまとまるように、事務局が案を取りまとめていただきましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。特にまとめを最後につけていただいて、この報告が何のためなのかよりよい教育の一層の改善、改革の向上のために、これが行われるということ、そして、学び続ける高度専門職とは何か、その三位一体でこれを行っていくのだということが明確にここに記されたことがとても大きな意義があることだと私は考えております。
 報道の中で、既に10%の処遇改善が決まったような報道がなされていますが、これもこれから財務省と文部科学省をはじめ、皆様の御努力、そして、国民の声によって進めていくべきことだと私は考えております。このような形で実現していく教育の政策というものは、やはり総合的であるということが極めて重要でございます。
 その一つとして、極めて意味を持つものでございますので、今回のところではこのままで結構ですが、今後、サブタイトルのようなものをおつけいただきまして、これまでも令和の日本型学校教育の報告書ですねというような形で、様々なものに明瞭なサブタイトルがついておりますので、そうしたものをつけていただくということが、これだけ画期的なことが書かれているものですので、御検討いただければと考えているところでございます。
 以上です。どうもありがとうございます。
【貞広部会長】  ありがとうございます。
 それでは、同じくオンラインから、吉田信解委員、どうぞ。
【吉田委員】  ありがとうございます。まとめのところで、「おわりに」という文章をつけていただきましたけども、この中に、一番後ろのほうですけども、「この『審議のまとめ』の実現のためには、文部科学省をはじめとして、国や都道府県、市町村といった行政が、教師をしっかりと支えることはもちろんであるが、教育に関わる全ての関係者が自分事として、社会全体で学校や教師を支えていくことが必要である」と、こういう文章が出ています。「その結果として、学びを通して人が成長する、教育という営みそのものに対する敬意が自ずと生まれる社会であることを期待したい」と、この文章が入ったことを私は非常に評価させていただきたいと思います。
 教師、教育に対する、それを支援する、支える。教育というのはやはり敬意を持って、国民の皆さんから、そう思われるものでなければならないということだというふうに思いますので、これをしっかりうたって、今後の、教師の働き方もそうですし、質の高い教師を確保する。そして、日本の教育を、これまでのよき点をしっかりと後世に伝えつつ、また、新しい、そこに営みを重ねていくということが、今回の特別部会の皆様方とのお仕事が、その一つの大きなまた出発点になればよろしいのではないかなというふうに感じているところでございます。参加させていただいたことに感謝申し上げます。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 では、続きまして、会場から、金子委員、お願いいたします。
【金子委員】  連合の金子でございます。まず、私からも、本当に短期間で審議のまとめ(案)を取りまとめられた事務局に、本当に敬意を申し上げたいと思います。ありがとうございます。我々連合としても、この間、学校教育の質の向上を通した、全ての子供たちへのより良い教育の実現と、そして、そのために必要な教師の働き方の見直しに向けた方策について、現場実態を踏まえた意見を申し上げてきました。今回のまとめについては、残念ながら盛り込まれてはいませんが、今後もぜひ引き続き検討いただきたいという観点から、給特法の抜本的見直し、とりわけ時間外に関わる勤務時間の解釈に絞って意見を申し上げたいと思います。
 審議のまとめ(案)で言いますと、50ページに勤務時間の内外を包括的に評価する給特法の枠組みは現在でも合理性を有していると記載があるわけですが、例えば時間外の校務、とりわけ授業の準備やテストの採点、保護者の対応などはもちろんですが、自己研さんであっても、これ全てを自発的行為と整理するというのは、やはり今の時代にはそぐわないのではないかと思っています。
 前回も申し上げましたが、教師の健康と福祉を確保するために、給特法に在校等時間の概念を規定して、在校等時間を労働安全衛生法の労働時間相当とみなした上で、安全配慮義務を課していくべきと考えています。給特法より後に裁量労働、民間の働き方に即した法律ができたと理解しております。そうした法律との整合性も含めて、引き続き教員の勤務時間の在り方など、給特法の抜本的見直しについては、検討課題として、しっかり認識いただきたいと思っております。
 併せて、今回の審議の出発点は、これは長時間勤務で心身ともに疲弊している教員の負荷の軽減であって、まとめ(案)の実効性を高めるためにも、必要な人員配置と業務削減について国として責任を持って推進していただきたいと思っています。その上で、教師の魅力を向上させる施策も進めていただければと考えております。
 最後ですが、今回の答申案の策定に合わせて、今後、広く意見募集を実施していただきたいと思います。ぜひとも寄せられた意見をしっかり精査した上で、現場が望む改善策を答申案にしっかりと盛り込んでいただくことを強くお願いして、発言とさせていただきます。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。この審議まとめ(案)は審議まとめ(案)として、中期的な検討課題について確認いただく御意見をいただきました。どうもありがとうございます。
 では、会場から、橋本委員、お願いいたします。
【橋本委員】  ありがとうございます。様々な意見をしっかりとまとめていただいて、部会長並びに事務局の皆様に感謝申し上げたいと思います。まとめという形でいろいろな方向性とかゴールは示されたわけですけども、我々のビジネスの世界でも、企画がいかに立派でも、実行段階では様々な隘路や障壁にぶつかってしまい、うまく進まないということはよくあります。ぜひ実効性をもって進捗させるために、そして、教育委員会や現場の方々が迷いなく進めていけるように、工程あるいは仕組みへの落とし込みを、時間軸を含めまして、具体的なマイルストーンとともに考えていく必要があると思いますので、よろしく御検討いただければと思います。
 特に現場の管理職の方々がやる気になるような、あるいは、このままではいけないなと思っていただくような仕組みづくりが重要だと思います。何回も申し上げていますけども、働き方改革というのは、基本的にはトップダウンの上からの改革であると思います。ある業務を廃止したり、あるいは変えたりすることができるのは、権限と責任を持った管理職がその権限と責任に基づいて、明確な意思表示をして、実際にアクションを起こすということでしか実現できないと思います。そのリーダーシップをしっかり管理職の方々が発揮できる具体的な仕組みづくりを引き続き考えていただきたいと思います。
 今回の議論を通しまして、学校現場を取り巻くいろいろな状況を理解することができまして、私自身も大変勉強になりました。私が委員長を務めております経団連の委員会もそうなのですが、経済界でも教育に関する議論というのは非常に活発に行われておりますが、企業が必要とする人材という観点からの議論ですので、どちらかというと大学あるいは大学院に関する議論が中心となっています。しかし、その根底にあります初等中等教育の重要性や現在の状況を今回よく理解することができまして、今後、経済界としても初等中等教育に関する意見発信を強めていきたいと思いますし、社会の理解を促進していきたいとも考えております。
 また、かねてより申し上げていますけども、企業人材の教育現場での活躍についても促進していきたいと思います。これは単に教師の方々の負担軽減という観点だけではなく、企業にとりましても、教育現場での経験あるいは人に教える経験というのは、必ず社員の一人一人のキャリアにおいてもプラスになると思います。また、学校現場にとりましても、外部人材を入れることで、例えば働き方改革に向かう新しい発想も期待できるかもしれません。双方にいい影響を与えながら、社会全体として教育の質の向上に取り組んでいくことが非常に重要かなと思います。大変勉強になりました。長い御審議ありがとうございました。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございました。何よりもこの審議まとめの実効性をいかに担保するかということ、または、管理職の役目の重要性、それぞれ社会全体で取り組んでいくことについて、産業界から力強い御意見をいただきました。どうもありがとうございます。
 それでは、ほかの委員の方々、御発言いかがでしょうか。
 では、まず会場から、藤原委員、お願いいたします。
【藤原委員】  国立教育政策研究所の藤原でございます。審議のまとめ(案)は、これまでの取組の実効性というものをさらに高める仕組みが織り込まれるとともに、勤務間インターバルですとか、あるいは平均の時間外在校等時間を将来的に月20時間程度とするターゲットを設定するほか、教科担任制の推進、処遇改善など、一歩踏み込んだ内容が織り込まれたものと評価しております。これまでの本会議での指摘事項を十分に反映されていますので、これまでの議論を一旦、審議のまとめとすることに私は賛同したいと思います。
 その上で、答申の取りまとめに向けては、教員の負担軽減に向けて取り得る手段がまだまだ残されていないのか、さらに検討を進めていただければと思います。例えばでございますけれども、首長部局や関係者とのさらなる連携等によって、教師を取り巻く環境整備が進む可能性があるテーマがあるのではないかと考えております。
 一例を挙げますと、教師にとって非常に負担の重い学校の施設管理などの面は、他の公的な施設と連携して管理したり、あるいは民間委託などによって教師の負担を軽減できる余地というものが十分に残されているんだろうというふうに私は考えております。さらに、カスタマーハラスメントについても今後さらに御検討いただければと思います。カスタマーハラスメントにつきましては社会問題となっておりまして、産業界でも従業員を守る対策についての検討が急速に進められているところでございます。この点については、審議のまとめでも言及されているところでありますけれども、さらに教育界においてもカスタマーハラスメントについては十分な、急速な検討を進めることが必要だというふうに考えております。
 加えて、今後とも教師を取り巻く環境整備については、不断に改善に取り組むことが重要であると考えておりますけれども、そのためには教職員のウェルビーイングや、配置効果、さらに諸外国の教職員の勤務体制について、継続的に国際的なネットワークもつくりながら調査研究を行う研究体制の充実も今後検討していく必要があるというふうに私は思っております。
 答申の取りまとめに向けてはこうした議論も行っていただいて、取り得る手段について、さらに検討を進めていただければと考えております。丁寧に取りまとめていただきましたことに、最後に感謝申し上げたいと思います。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。この審議まとめ(案)を審議まとめとすることに異論はないという御意見をいただいた上で、答申の取りまとめに向けてはまだまだ検討できることが、余地があるのではないかという御意見をいただきました。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、オンラインから、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  まずは、皆さんから出ていますけれども、広範な意見をまとめていただき、座長と事務局の皆さんに敬意と感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 私からは大きく2点申し上げたいと思います。
 まず1点目です。まとめの実動ということになりますと、何よりもまずはオーナーシップとスピード感が大事だろうと考えています。まず各主体が当事者意識をしっかりと持って何をすべきなのかということを正しく理解して行動する必要があるだろうと思います。今後は教育関係者のみならず、広くこういったことを社会的な理解が得られるように、動画や委員のメッセージ等、あらゆる手段によってこのまとめ(案)の訴求に努めるべきと思います。
 ちなみに、昨年の7月に発出した地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議の報告書はSNSやリーフレット、動画の作成にとどまらず、指導主事向けのミートアップ研修を行ったり、さらには、つい先週9日には、課長自ら各全国の教育長を前に啓発していただいたり、まさに周知、理解が広がっています。
 昨年8月末の肝煎りで出された緊急提言は既に忘却のかなたになってはいないかと危惧しております。こうしたまとめや通知は、国から自治体等を経由して現場に着く頃には本質的な意味とか魂が抜けてしまって、用語だけが負担感や抵抗感を持って独り歩きしてしまうということがあります。好事例等の政策波及は言われていますが、容易なことではありません。課題を抱えていても何ら困っていない教育委員会や学校も少なくありません。この特別部会・委員会と学校現場とのギャップを常に意識していく必要があると思います。
 教育は常に「見届け」が極めて重要です。本当に届いてほしい課題のあるところに届くよう、人の心を動かすインサイトを刺激して、国のこうした議論が教育委員会や学校現場に腹落ちして実践に結びつくよう、言うならば「令和型の戦略的な広報」にしっかりと取り組んでいく必要があると思います。
 今後は、文科省から教育の最前線への直接のチャネルを開拓して、施策を届けるとともに、ニーズを吸い上げて、国や教育委員会、学校等の各アクターが同心円状にどんどんつながりながら最適解を求める姿を追求していく必要があると考えます。また、RPAなどのテクノロジーも駆使して、情報を確実に受け取っているのかなどをできるだけ可視化し、定量的に見届けていく必要があるだろうと思います。
 また、僣越ではありますが、最近の審議のまとめや答申等は、よく言われる「霞ヶ関文学」的には非の打ちどころのない内容であったとしても、実践者等の心に刺さるかというと、話は別です。私が今回提出してある資料のような、かつての方針等にはあった、個人の金言や名句など、あえてエピソードベースの内容も含めることも戦略的な広報の一つになれるのではないかと考えます。
 2点目です。教師の職務等の特殊性に鑑みて給特法の仕組みを維持するとしても、管理職等による所属する教員の在校等時間の把握やタイムマネジメントの取組が重要であることは、当然、論を俟ちません。各学校で働き方改革を推進するにあたって管理職のマネジメント能力がこれまで以上に求められると示された点は極めて重要であります。真の教育改革は、国や教育委員会からではなく、学校現場から起こるべきであり、学校は内側からしか改革することはできません。25ページに、教育委員会が伴走者として管理職の支援を積極的に行っていくことも必要という記載がありますが、教育委員会のマネジメントは、「一律の管理」から「個別の支援」にシフトしていくべきであり、一言で言うと「啐啄同時」の教育委員会であることが重要だろうと思います。そのために、教育委員会事務局自らも働き方改革を率先垂範していく重要性についても付言しておきたいと思います。
 「おわりに」にもあるように、今後、国にはぜひ審議のまとめを踏まえて、予算上、法制上の措置を行っていただき、まさに不退転の決意で改革の断行に取り組んでいただくよう、強くお願いを申し上げたいと思います。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。「おわりに」に、「全ての関係者が自分事として」とありますけれども、これを駆動させることがいかに難しいかということと、ここが駆動しないと実効性がないということですね。そこの部分を複数の観点から強調し、共有させていただきました。どうもありがとうございます。
 では、この後、熊平委員が途中で退席されると伺っていますので、熊平委員、いかがでしょうか。
【熊平委員】  恐れ入ります。ありがとうございます。私も本当に丁寧で、包括的な取りまとめをしていただいたことに心から感謝いたしております。その上でコメントさせていただきたいと思います。
 この議論において、教師への期待を過去の延長線で考えてはいけないということと、それから、そもそも教育予算が低いという我が国の現実を前提に考える必要があることの2点をお伝えさせていただきたいと思っております。
 1点目の過去の延長線ではない期待につきましては、答えのある時代の学校から、正解のない時代の学校へと大きく教育がシフトしている現在、学校は大きなチャレンジを抱えているという現実が前提であるということです。そのために、先生方も自ら学ぶことが必要になります。しかし、現在の働き方ではなかなか学ぶ時間も十分にない中で、先生方は、新しい教育実践を求められています。本来であれば、学びのための余白が必要であることも、時間の概念の中に含めていただきたいということです。
 また、もう一つは、子供たちの抱える課題がより複雑化して、不登校やいじめや虐待や子供の貧困、ヤングケアラーなど、様々な課題と先生方は向き合わなければならなくなり、そのために必要な専門性も必要になりました。もちろん全てを自分でやるわけではありませんから、いろいろな専門家の方たちと一緒に協働してやっていくということになると、これもまた大変時間を要する仕事になります。こういう状況の中で、先生方が余白を持たないと、特に精神的な余白がないと、子供たちの難しい問題に対処することは非常に難しいです。特別なケアの必要な子供たちへの対応を充実させるための時間 についても時間の概念に入れていただきたいと思いました。
 最後に、公財政教育支出についてです。恐れ入ります。次のページになります。こちらは、もう今さら私が言う必要もないと思いますが、現時点でも、日本の教育予算は、OECDの平均以下の低い予算ですので、先生方が安心して教育を行える、教育に専念できる環境を整備するための予算を確保することをお認めいただきたいです。そのためには、先ほど申し上げた2点についても実現できる予算という考え方でぜひお願いしたいと思います。
 この議論に参加させていただきまして、改めて私も、本当に今、学校が岐路に立っていることを理解いたしました。先生方の仕事は、時間の面でも、量の面でも、そして、難易度の面でも高まり続けている現実があり、そういう中での議論であったと感じております。ですので、この状態をぜひ改善していただきたいです。また、先ほどから、今後の話も出ておりましたが、やはり先生方の働き方改革や処遇改善は先生方が実感しないと駄目だと思います。先生方が、ああ、国も、あるいは社会も自分たちのことを理解して、支援して、仕事がしやすいように、子供たちに良い教育を届けられるように、環境を整備してくれていると感じることは非常に重要で、先生方とのコミュニケーションが不可欠であろう と思います。
 また、今、大学で、あるいは高校で学んでいる、将来、先生になりたいと少しでも思ってくださる方たちが、「教職は大変だよね」という話で、教員になる夢から遠ざかってしまうことが少し起きていると思いますが、そういうことがなくなるように、例えば教育に携わっている大学の先生方が、「今、学校は変わっているんだよ、君たちが知っている、メディアで聞いているような状況じゃないよ」と自信を持って学生たちにも伝えてくださるような、そういう状況になるとよいのではないかと思い ます。いろいろな場面で、教育に関わっていらっしゃる方たちのマインドが早く切り変わり、この取りまとめに納得していただける状況になり、教員という職業が、本来、そのものが持っているすばらしさの部分に、みんなが目を向けるようになり、教員になりたいと自信を持って言える方たちがどんどん増えていく、そういう状況になるとよいと思います。そのためにも、ぜひ、多くの方に本取りまとめを知って頂きたいと思います。
 私からは以上になります。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。熊平委員、この審議まとめ(案)そのものというよりも、今後、追加の検討課題ということで御意見いただいたという理解でよろしいでしょうか。
【熊平委員】  はい。結構でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
【熊平委員】  ありがとうございます。
【貞広部会長】  それでは、続きまして、オンラインから、妹尾委員、お願いいたします。
【妹尾委員】  ありがとうございます。聞こえていますでしょうか。大丈夫ですかね。ありがとうございます。先ほど藤原先生からも、まだまだ手段が残されていないかというお話がありましたけれども、同じところを感じます。私のほうでも、参考資料4ということで意見出しをしておりますので、もちろん全部読み上げることはしませんが、要所だけですけれども、少しお話しさせていただこうと思います。
 1ページ目、「全体を通じて」と書きましたけれども、1、今回の施策等が何のためのものなのか、あるいは、2、本当に効くのか。3、マイナス影響のほうが大きくないか、あるいはマイナス影響を想定した対策が十分講じられているのかどうか。少なくとも、こういった3点をしっかり考えていく必要があるだろうと思います。
 さらに言うと、1の本当に手前のゼロみたいな感じですけれども、前提となっている事実認識が妥当なのかということも本当はもっとチェックしないといけないかなとは思っております。この審議のまとめ(案)が駄目だ、駄目だと言うつもりはなくて、いいところもいっぱいあるとは思いますけれども、ただ、まだまだ根拠が足りないところだとか、本当にロジックがちょっと怪しいなというところもあると思うので、ぜひ部会長等も御尽力いただいているところでありますけれども、改めて御検討いただければと思っております。
 例えば一例を挙げますと、何のためか、本当に効くのかという意味では、例えば主任教諭等の新たな職をつくるということは、処遇改善だということは、皆さん思われていると思うんですけれども、では、処遇改善が目的ではなくて、その先には教員志望者を増やすだとか、幾つかあると思うんですけれども、本当にそれにつながるのかどうかということはまだまだ分からないところもあるかと思います。この辺りもしっかり注視していく必要がある。
 あるいは本当に効くのかという点につきましては、今回、講師不足への対策が非常に弱いと思います。次のページ、2ページ目でありますけれども、「講師のなり手」を増やすための施策が本当にこれで十分なのかどうかということは改めて考えていただきたい。例えば試験でもう少し優遇するだとか書きましたけれども、ここに書いていないことを申し上げると、例えば講師のうちですとか、あるいは、正規採用であっても、1年目とか、2年目とか、若手の教員のうちは部活動顧問はしなくていいよとか、そういった育成のほうにもっとシフトするとか、そういうことも含めてしっかり考えていく必要があるんじゃないかということも考えていますので、質の高い教師の確保という割には、講師の質だとか、若い人の育成についてまだまだ弱いところがあるかなと思います。
 次には、「休憩の確保は進むのか?」というふうに書きましたけれども、これは読んでいただいたとおりですけれども、給食の輪番程度では休憩の確保にはならないですし、今これだけ欠員が広がっている状況でありますと、その輪番すらできないという状況の学校もあると思います。今回、最大の検討課題の一つかなと思うんですけれども、生徒指導とか生活指導についてほとんど議論が深められておりません。いつまでこれをワンオペでやるのかということはしっかり考えないといけないということだと思いますので、しっかりここも含めて、検討課題じゃないかなというふうに思います。
 それから、健康確保が進むのかということにつきましては、もう繰り返しませんが、前回も申し上げましたが、超過勤務への歯止めがかなり少ない、あるいは「ない」ことづくしということかと思います。これについて、ほとんど問題への言及もなければ、対策についてもほとんどないということで、給特法を仮に維持するとしても、こういった歯止めがないままでは、しっかり健康確保できないということになりかねないので、しっかりこの辺りも考える必要があるというふうに思います。
 それから、次の抜本策の一つである基礎定数の改善について、持ち時間数を削減するということについては、ここで書かれてある、文部科学省さんが書いていることが本当なのかというところを含めて、これは精査をぜひしていただきたいということですし、長くは申し上げませんけれども、もちろん加配も頑張っていただきたいですが、基礎定数の改善が重要な理由というものは幾つかありますので、この辺りを改めてしっかり踏み込んで書いていただきたい。中長期的には、教職員定数の改善計画を作るぞということも含めて書いていただきたい。あるいは、教員以外の、次のページですけれども、スクールソーシャルワーカー等の常勤化だとか、せめて中学校区に置くだとか、そんなことも含めて、もちろん予算のかかる話なので、一足飛びではありませんが、ぜひこの辺りも踏み込んでいただきたいなと思います。
 次に、マイナス影響につきましては、担任手当の増も、これもプラスマイナス両方あります。特にマイナスも大きいかと思いますので、ここもよくよく考えないといけないのではないかということ、それから、今回も強調されましたように、校長の役割は非常に大事ですというのは、これは皆さん、分かっている話ですけれども、じゃあ、それでうまくできない校長のことはどうするのかといったことがほとんど考慮されていないですし、育成指標で少々変えたところで、あるいは研修を少々したところで、なかなかすぐには変わるものではありません。もちろん、だからちょっと諦めろという話じゃないんですけれども、例えば教職員からもっと校長のこういうところをもっと頑張ってほしいだとか、こういうところが大変過ぎて困っているだとか、そういう声が教育委員会ももっと収集しやすいような仕組み、あるいは校長の育成に使っていくということも含めて、しっかり検討していただきたいと思います。
 次のページ、4ページ目ですけれども、飛ばしますが、真ん中の辺り、今回、教師のウェルビーイングや魅力について、マイナスの問題点をどうゼロに近づけようかという発想はすごく強いんですけれども、もっとプラスにしていくぞというところがすごく少なくて、感情的な表現をすると、わくわく感のあるまとめになっているかと言われると、まだまだ踏み込み不足というところだと思うんですよね。例えば研究休暇なども含めて、しっかり先生方が自己研さんだとか副業ももっとしやすいようになるような、もちろん体制整備の話もそうですけれども、幾つか考えていく必要があると思います。
 最後に、4ページ目の最後に書きましたが、文部科学省さんは、教育委員会とか学校にPDCAをしっかりやれよと書くんですけれども、果たして、我々の中教審だとか文部科学省の施策がPDCAをしっかりできているかというと、まだまだのところがあるんじゃないか。しかも、今回申し上げましたように、まだまだ今後検証していって、本当にこの施策が効いたのかどうかということを確かめないといけないし、むしろマイナスのほうがでかかったということになれば、軌道修正しないといけないわけですから、しっかり今回でおしまいではなくて、しかるべき、きちっと検証の仕組みもビルトインしておかないといけないかなと思います。
 ほかのところはもう読んでいただければと思いますが、一言だけ付言すると、インターバルについては、強調されたのはいいと思いますけれども、11時間では、最大100時間程度の残業も認めてしまうというか、それも許容してしまいかねないものになりますので、将来的には13時間も含めて考えていくべきということも申し上げたいと思います。
 あとは読んでいただければと思います。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。妹尾委員、今後の検討課題、まだできることがあるんじゃないかという理解でよろしいでしょうか。はい。それぞれ貴重な御提案をいただきました。どうもありがとうございます。
 では、続きまして、オンラインから、西村委員、お願いいたします。
【西村委員】  成蹊大学の西村です。このたびは、特別部会における議論を丁寧かつ的確におまとめいただき、ありがとうございます。今回お示しいただいた案で異論ございませんが、今後、この内容を実現していくための広報について、先ほど戸ヶ﨑委員からも御意見がありましたが、私からも若干意見を申し述べさせていただきます。
 まとめ(案)の内容や概要版は、日頃、教育と直接接点のない人たちにとって、そう簡単に理解できるものではありません。しかし、今回のまとめ(案)の内容を着実に実現していくためには、教育問題に関心のない人たちにもアピールしていくことが重要です。とりわけ1,700以上ある自治体の首長さんや議員さんたちにも御理解いただくことは重要だと思います。そのためには、教育現場が危機的な状況にあることや、教育への投資が将来の日本社会を左右する重要なものであることを強調するとともに、現状を改善するには、働き方改革、処遇改善、学校の指導運営体制の充実の全てを一体として取り組まなければならないことについて、資料3、概要版1ページの右下の図を使って、しっかり伝えたほうがよいと思います。ネット等に一部情報が流れるたびに、「この程度の改善策じゃ変わらない」という辛辣なコメントなどが出ておりましたので、審議のまとめ(案)に盛り込まれた改善策がパッケージとして一体的に取り組まれるべきものであることを、誤解のないよう伝えていただきたいと思います。一般向けには、今回お示しいただいた概要版よりもシンプルに分かりやすく、それでいて、ほかの行政分野と比べても緊急性が高く、社会的影響も大きい課題であることを広く訴えていっていただければと存じます。
 以上です。
【貞広部会長】  いかに、興味がない方にも刺さるような広報をするかということですね。その中でも、この3つの柱がパッケージであるということがしっかり伝わっていくことは本当に重要だと思っております。貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、会場から、川田委員、お願いいたします。
【川田委員】  ありがとうございます。私もほかの委員が述べられているとおり、今回のまとめ(案)に関しては、これまでの審議の過程を義務教育部会長、副部会長において丁寧にまとめられたものだと考えております。前回も基本的にそういう前提で若干の意見を述べまして、それに付け加えるような形で2点述べたいと思います。
 1点目は、このまとめ(案)の中で、特に、重点的に取り組まれるべきではないかと考える点というような位置づけになるかと思いますが、私の専門である労働法の観点から、これまで述べてきたことに加えて若干掘り下げますと、このまとめ(案)では、21ページ辺りに出てきます長時間労働等の過重労働に関する安全配慮義務の問題に関して、平成23年に出された最高裁の判決で、それ以前から民間企業の労働関係に関しては、既に確立した考え方であった長時間労働等による過重労働を伴う健康被害を防止するために使用者が負う注意義務についての考え方が、公立学校の教員の勤務関係においても当てはまるという、非常に一般論のレベルで重要な判断が最高裁の判決として示され、その後、それを具体的に当てはめていく中で、その後の動きである上限指針等における在校等時間を適切に管理、あるいは時間数を抑えていく必要性があるといったような考え方を反映するような形で、先ほど述べた最高裁判決で示された注意義務の具体的な内容についての判断が、下級審のレベルで出されてきて、恐らく今後、このような動きは定着していくものと思います。どうしても裁判所の判断ということになると、上限指針等が定められた後に、それが具体的な事件の判断に反映するまでに一定のタイムラグはあると思いますが、そのような安全配慮義務に関する司法判断という観点からは、上限指針等が定められたことの影響が確実にある、影響をもたらしているというふうに思います。
 まとめ(案)との関係では、そういった事項について状況が共有された上で、今後の課題としては恐らくいろいろな段階的なものがあると思いますが、当面、喫緊の課題としては、事後的に健康被害の問題が起きてしまった段階での救済の法理である安全配慮義務における考え方を健康の被害、あるいはそれをもたらす過重な勤務を抑制するという、予防に関する対応にフィードバックしていくということが大事であろうと思います。これに関しては、まとめ(案)の中でも関連することが多岐にわたるので、一々ここで繰り返すことは避けますが、まずはこのまとめ(案)に上がっているようなことを着実に遂行していくということに重点が置かれるべきであろうと思います。
 それから、もう1点述べたかったのは、同じく労働立法、労働行政という観点から見たときに、この後、ここで述べられたような施策を進めていく上で重要である労働立法、労働政策の分野でも検討が並行して進んでいるために、その労働立法の状況がここに十分には盛り込まれていないけれども、今後重要だろうという点で、既に藤原委員も述べられましたが、カスタマーハラスメントに関する問題が、いろいろある中で重要なのではないかと考えています。
 労働立法、労働政策の中でも比較的、近い将来の重要な検討課題になっているところであり、学校現場にどうフィードバックしていくのかというところの難しさはあると思いますが、労働立法における状況も見ながら今後検討を進めていくことが重要であると考えています。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。1点目に関しては、先ほど妹尾委員からの御意見でお出しいただいた超過勤務への歯止めがないことの御指摘にも関連する御意見ということですよね。
【川田委員】  そうですね、関連はしますが、多分段階的に取り組んでいく課題だと思います。
【貞広部会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、オンラインで露口委員、お願いいたします。
【露口委員】  失礼いたします。審議の取りまとめ、膨大な情報の取りまとめ、誠にありがとうございます。審議のまとめ(案)については異論ございませんので、最後に一言、これまで申し上げてきたことの整理と、最後の55ページ、今後の課題について一点言及させていただけたらと思います。
 感想というところは、今回のまとめで、高度専門職としての教師の働き方改革、処遇改善、運営体制の提示、この辺りが明確に示すことができたと思われます。従来は、困難に直面する教師を支える働き方改革や処遇改善という方向だったのですが、この困難に直面する教師をどう支えるかという点で議論をすると、どうしても時短や業務改善等の働きやすさの面の議論になりますし、この働き方改革や処遇改善をアピールしようとしますと、先生方がいかに大変な状況にあるかということを、どうしても主張しなければならなくなります。それがひいては教員候補者や社会全体に、教師は大変だというイメージを与えてきたという点があったと思います。今回はそれに対して、教師は高度専門職であり、研修をベースに日々の職能成長を図り、子供との関わりの中で教育をよりよくしていく、日本を支える存在なのだと、そういう強い意見がところどころに示されております。マイナスからゼロではなく、ゼロからプラスのところも示せたかなと思っております。
 その観点で今後の課題ということを一言申し述べさせていただきますと、やはり高度専門職として、まだちょっと足りない点もあるのかなと思ったりします。他業種とか国際動向的に見ていきますと、やはり高度専門職は修士号をベースにしているところがございます。これは教師だけではなく、先ほど出ました管理職もそうだと思います。この辺りのやはり制度保障、教師イコール高度専門職を保障していくようなシステムづくりが今後の課題になってくると思います。そして、教職大学院の奨学金の返還免除の話も出ておりますが、この辺はさらに強化してほしいところでありますし、やはり学部への発展拡充、これも必須かなと思います。質の高い教師確保のためには、やはり教員養成の現場、そして大学等への支援というのが一切なかったのですが、教員養成の現場へのフォローというのも必要かと思われます。
 以上でございます。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございます。今後の拡張という意味での御発言をいただきました。どうもありがとうございます。
 では続きまして、こちらもオンラインで善積委員、お願いいたします。
【善積委員】  ありがとうございます。まず、資料をまとめていただきました貞広先生はじめ、皆様には感謝申し上げます。このような重要な審議の場に参加させていただいたことを大変感謝しておりますとともに、私が十分、現場の皆さんが勇気とか希望を持てるような、そういう内容につながる発言ができたかどうか、自分の発言を最近振り返っているような状況にあります。
 常々思うのが、現場の教職員の方にとって、事務処理や保護者対応、生徒指導、教材研究、授業準備、本当にあまりにも多様な要素に配慮しながら時間を考えて仕事をこなすというのは、私も現場の研究員という仕事をしっている立場ですのでよく分かるんですが、本当に大変なことであるかと思います。そうした仕事をおおむね時間内に対応できる教職員もいるという表現が提言の中にも書かれてはいるんですが、なべて全ての教職員がこなし切れるわけではなく、どうしても午後遅く、または早朝、休祝日、持ち帰りで対応せざるを得ない実態、これはなくすことが本当になかなか難しいところはあるのかなというふうに思っています。
 ただ一方、日本の先生というのは、教科指導だけではなくて、児童生徒本人の状況をよく観察して、影響を与えているような保護者や周りの友達の関係も含めてじっくり見ていただくことで、教育として非常に高い効果を出してきたということも押さえておくことは大事だなと思っていて、それを前提としながら、やはりこれまで、熊平委員もおっしゃっていましたし、いろんな先生方もおっしゃっていたんですけど、1人でできることには限界があるということを、十分に先生一人一人が分かっていただいた仕事のつくり方ということに、もう少し意識を向けていただく必要はあるかなと思っています。
 人によって得意不得意もあります。そういうことを前提にしていくと、絶対的にやらなければいけないこと以外は、ぜひ前例にとらわれず見直すということに積極的に向かっていただきたい。特に今の若い世代の方たちというのは、そういうことにとても関心のあるような世代なので、そういう人たちが興味を持つ職場づくりというところを踏まえても、これは前からやっているからということではなく、学校の今の子供たちに合った環境をどうやってつくるかを一緒に考えて、要らないものはやめよう、重要なものはこれを強調していこうということをしっかりと組み立てるという風土が学校現場に欲しいなと思います。
 人の手を借りれるように環境を整えること、そして人の助けを得るための依頼の仕方ですね。仕事の進め方を考えるということとか、あと、自分ができることと、自分がその出来ること出来ないことのバランスの中でやるべきことを見つけるということ、こういうことを考えていく姿勢は社会人であれば当然と言われれば当然なんですけども、なかなか学校という職場では、この辺りの育成というのか、育みが難しい部分もあるのかなというふうにも思いますので、ちょっとその辺りは、大学の話が先ほど出ていましたけど、大学現場で、教育というところだけじゃなく、卒業して教職に就いたらすぐ先生になるような人たちに対する指導というところで、そういう辺りも何か教えていただくことがあればいいかなというふうに思っておりました。
 何よりも学校を構成する一人一人が、全員でこの学校に対応するんだという意識を持つ、チームであるということが本当にあってこそ、今この提言に書かれた施策が生きるということにつながると思っていましたので、57ページに書いていただいている下から2段目のコメントというのは、すごく大事なことだと思います。もうぜひ強調して、もっと強調してもいいかなと思うぐらいのコメントになっているんじゃないかなというふうに思っています。
 もう一つ、マネジメントの方が、そうした関係性を自校でつくられるように配慮するということ、これはいろんな意味で非常に大事なんですけれども、せっかく57ページ開いていただいたんですけど、25ページに、管理職に対して「サポートする体制の整備も」と書いていただいているんですが、内容を見ると、基本的にはメンタルヘルスに対する支援のようなことが多く書かれていて、それ以外に学校予算とか、それから学校業務支援員など必要な人材を必ず確保できるような支援策というのはすごく大事だと思うんです。その辺りも教育委員会として、バックアッパーとしてしっかりと環境を整えていただくということが、管理職の方にとっても応援の要素となるのではないかなと思いますので、この辺り、もし可能であれば少し、管理職を応援するという意味合いで書いていただいたらどうかと思っております。
 あともう一つ、国のほうで財務省との戦いに勝って、財源を確保していくということができたとしても、それが都道府県とかが予算を一部確保していく必要があるような割当ての場合には、現場の市町村の教育委員会のほうには十分な人数が確保できないというような状況もあったりすると聞いておりました。ですので、予算の問題があるので、全部が全部この提言に書かれていることを達成するのは大変難しいと思うんですけれども、ぜひここは最低限やってくださいとか、この予算枠はとても重要ですよということを、先ほどどなたかおっしゃっていましたけど、意味も含めて、きちんと都道府県や市町村教育委員会にお伝えいただくことが文科省さんとしてしていただければ、もう少し効果が出てくる、効果を現場が実感していただけるような状況をつくりやすくなるかなと思います。
 とにかく先ほど申し上げたこと以外は、この提言の内容に対して何か感じるところはなく、今後の運用だと思っておりますし、よい形でまとめていただいたと思っております。ぜひ実効性を確保していくということについて、しっかりとPDCAを回していただければと思っております。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。変わってきたという実感を持つために、ちゅうちょなく変わるにはどうしたらいいのかという、その実効性の部分について丁寧にコメントいただきました。どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤委員】  全日中の齊藤でございます。まず、今回を含めて本部会は13回になりますが、毎回よりよい学校現場の実現、あるいは質の高い教師の確保のために御議論いただいていることについて、また審議のまとめ(案)を作成していただいた事務局の皆様に対しても、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 私からは、まず働き方改革の実効性を高めるために、24ページに、校長等の管理職によるマネジメントの重要性について述べられている部分について、校長にまだやれることがあるぞという意味での、励ましということでしっかりと受け止めて、現場までこの励ましが届くよう引き続き努めてまいります。
 その上で、私からは、今回の取りまとめ(案)の内容について、4点申し上げたいと思います。
 初めに、不登校生徒の出現率、あるいはいじめ等の生徒指導に係る問題発生に配慮した教員の配置について盛り込んでいただいたことは、大変心強く、感謝を申し上げます。次に、勤務実態調査の結果から、負担が大きいとされている担任業務にかかる処遇改善と併せて柔軟な運用を認めていただいたことにも感謝を申し上げるとともに、3点めとして、分掌や学年の主任の業務にかかる負担を軽減する、あるいは若手の教師、さらには教師間の相互の知識や経験の共有のために新たな職を設置するということについて明記をいただいたことについても感謝を申し上げます。
 最後の4点めを申し上げる前に、資料2の8ページ、上から4つ目の丸で述べられた教師不足の状況を解決させるためには、全ての教師は、教師として任用されてからも、個人で、あるいは所属をする組織で様々な教育的課題と向き合ってその施策を具現できるよう思いを巡らし、あるいは自身や組織の資質を高めたいと考えているということです。そのために、教師同士が相互に安心して学び続ける環境が整うことによって、一人一人が教職のやりがいであったり、自信や誇りというものを持ち続けたりできると考えます。その実現への意図が、9ページの最後の丸から述べられた、学校教育と教師を取り巻く環境の現状を踏まえ、それを抜本的に改革する必要があると、この「抜本的に改革する」という、この部会の決意と言える記述に込められていると私は理解をしています。
 この部会の協議内容に係る様々な情報の中には、教師の現状を顧みて、教師は大変なことばかりだとか、だから教師の成り手がいなくなったと言われることが大変多いと受け止めています。もちろん教師の業務は楽ではありませんから、負担の軽減も、処遇の改善も必要です。しかし、このことがゴールではなく、質の高い教師をいかに確保するかということを、現場の実態を鑑みて一貫して、この部会で発言をしてまいりました。この案の随所にその内容が盛り込んでいただけていると今実感しております。
 今、この瞬間も全ての教師は、子供たちと共に成長できる教職に憧れたがゆえに、教壇に立てています。それぞれの教師が改めて自分の職のやりがいを確信して、教師としての自信と誇りを持って教壇に立ち続けられる環境が整うことで、子供たちと共に成長したいと思い続けることができる、そのための環境が整うことを全ての教師が望んでいます。私たちもその実現を目指して議論してまいりましたが、このことがかなえば、教職は楽ではないけれども、楽しい、充実をしているということが浸透して、教師になりたいと考える方や、教職を目指す方が今以上に増えると私は信じています。
 その上で、最後の4点めとして、33ページからの第4章、1ポツについて、中学校の立場から申し上げたいと思います。
 先ほども申し上げましたが、中学校については、不登校生徒の出現率や、いじめ防止等の指導にたけた教師を配置することによる負担軽減が示されています。この実現については強く求めます。一方で、個々の中学生が抱える繊細な課題を解決に導き、第4期教育振興基本計画の5つの基本方針の一つである、誰一人取り残されることがない教育を具現するためには、中学校における35人学級等への改善について、取りまとめの38ページ、最後の丸から述べられている小学校における多面的な効果検証を待つのではなく、むしろ、よりスピード感を持って、中学校における35人学級等への改善をはじめとする教師の働き方改革を後押ししていただく施策を制度化していただきたいと強く、強く求めます。
 最後の4点めは要望になりましたが、ぜひこの点について御検討いただき、早期に具現していただくように、中学校の立場を代表して、最後に申し上げたいと思います。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 では、続きまして、オンラインから澤田委員、お願いいたします。
【澤田委員】  ありがとうございます。先生の幸せ研究所の澤田です。まとめの修正、ありがとうございました。私からも、大きくどこか変更ということはなくて、このままでと思うんですが、幾つかお伝えさせていただきます。
 まず、14ページに加わりました、学校現場で実行できることについては、自ら変えることができたという実感を持つことができるようにということについてです。これが単なる学校の頑張り任せではなくて、本当に変えられた、そして変えてよかったという実感を学校が持てるようにできたらと思いますし、そのことが先生たちの幸福度も高めて、具体的なゆとりを大きく生み出すものだという実感が現場を支援するコンサルタントとしてありますので、ぜひ今後も国と教育委員会の牽引と支えをお願いしたいと思います。
 現場では、自分たちの裁量範囲のことであっても、どうしても目に見える大胆な変化をつくりにくいという校長先生たちの切実な困り感があります。その理由は様々ですが、根っこをたどっていくと、各学校の中や、あるいは取り巻く環境における文化や人間関係の詰まりといった、通常のアンケートの調査などでは見えてこないソフトの部分が改革のストッパーになっているということが実はほとんどです。文化は戦略に勝るという言葉がまさに言い得ているなと思います。
 それらを乗り越えて、学校が、自ら変えられた、そして変えてよかったという実感を本当に持てるためには、まとめにも入れていただいていますが、教育委員会による学校への伴走というのが要の一つになるであろうと思います。伴走にも解釈が様々ですが、教育委員会には、ぜひ学校の実態に応じた、学校とのうまい関わりを目指していただきたいと思います。先ほど戸ヶ﨑委員から伴走について、一律の管理から個別の支援へ、そして啐啄同時の支援だという御意見がありましたが、私も全く同意見です。うまくて効果的な教育委員会の伴走というのは、管理し過ぎでもなく、放任し過ぎでもなく、ベストタイミングかつベストサイズの関わりで、まさに啐啄同時の関わりです。かつそれにプラスして、学校間の協働的な関係性づくりもセットで行われていることも非常に効果的です。こうした在り方は、まさに教師が各子供に発揮するべき専門性と相似形だと思いますが、てこずっている教育委員会というのは、それとは逆の関わりをやっていることが非常に多いです。ただ、それは教育委員会事務局も多忙だったり、様々な要因があって難しいということもありますので、服務監督教育委員会がしっかり学校に伴走、つまりうまい関わりができるように、都道府県教育委員会と国の後押しを今後も期待しています。
 次に、保護者の温かい協力の必要性についてです。26ページに連携、協力として書いていただいていますので、今後はしっかり名実ともに浸透するよう、さらに後押しをお願いします。働き方改革は教育の質を下げるのではという心配も、いまだ保護者の間にはあります。でもそれは逆で、ゆとりのある先生は、子供をじっくり待てたり、健康な笑顔で教室に向かえるようになりますので、先生のゆとりは子供の輝きに直結することだと、保護者の方たちには理解と応援をお願いしたいですし、また、国や教育委員会は、学校運営協議会で議題にしたかどうかだけをもって実行済みとするようなことのないように、具体的な実効性を高めていただきたいと思います。
 最後に、今後についてです。ロードマップをという話も前回あったかと思います。中長期で長時間勤務の改善、そして教師不足の改善、給特法の在り方について、振り返りの機会を含めて用意していっていただくようお願いしたいと思います。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 それでは、同じくオンラインから鍵本委員、お願いいたします。
【委員】  鍵本でございます。事務局の皆様には、前回の会議での委員の方々からの御意見を受けて、素案を的確に修正してくださいまして、本当にありがとうございました。特に「おわりに」の部分を加えたことによりまして、教職の重要性と魅力を再確認いたしますとともに、この部会での議論や、それを集約したこの「審議のまとめ」が、全ての子供たちへのよりよい教育の実現を目指すものであるという目的が一層明確になったことは、とてもよかったというふうに思っております。内容には異論はございませんけれども、私からは特に2点、申し上げさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、働き方改革を進める各主体間の連携の強化についてであります。これまでも繰り返し述べられてまいりましたように、働き方改革は、国や都道府県教委、市町村教委、学校といったそれぞれの主体が、その権限と責任に応じて役割を果たす必要があるわけでありますけれども、「審議のまとめ」の17ページにも書かれてありますように、教育委員会や学校によって、残念ながら、その取組状況に差が見られるという現状がございます。こうした現状を改善し、実効性をさらに高めていくためには、各主体それぞれの努力に加えて、各主体間の連携の強化と継続した関わりをさらに進めていく必要があることを強く申し上げておきたいと思います。
 25ページの1つ目の丸に書いてありますように、まず国には、教育公務員特例法に基づいて定めます「校長等の資質向上に関する指標の策定に関する指針」に、働き方改革に向けたマネジメントの重要性をきちんと位置づけること、そしてそれを受けて、任命権者であります都道府県教委が策定する指標に、これまで以上に働き方改革に向けたマネジメントの重要性を盛り込みますとともに、管理職に対して行う研修等にもしっかりと反映していくことが、このことの重要性を、校長をはじめ教職員が理解し、働き方改革に対する本気度を高めていくためにも、ぜひとも必要だというふうに考えています。
 こうした指標を踏まえて、都道府県教委は、国が実施予定の取組状況調査により、より見える化された結果を受けまして、各市町村教委に対して、その実情や課題に応じたきめ細かい指導・助言や具体的な援助を行い、学校の服務監督を行う市町村教委は、その内容を踏まえて、所管する各学校に、先ほどからお話にございましたように、伴走者として継続的に管理職への支援を行っていく必要がございます。そして、こうした支援を受けながら、教師の職務の特殊性を踏まえて給特法の仕組みを維持するとしましても、全ての学校が、所属する教員の時間外在校等時間の把握と、働き方改革に向けたマネジメントを確実に行うことで、教育委員会や学校における取組状況の差を縮めまして、どの学校も取り残されることなく働き方改革を推進していくことができるというふうに考えております。
 次に2点目でございますが、学級担任の処遇について1つ述べさせていただきます。前回の議論を受けまして、53ページの(3)学級担任の処遇改善の丸の2つ目に、「複数担任制等を取っている学校について、給与負担を行う都道府県等の判断により、その分担に応じて支給することなども考えられる」という内容を加えていただいたことは大変ありがたいと思っております。各学校では、複数担任制をはじめ、いろいろな工夫をしながら学級担任の業務負担の軽減を図っておりまして、今回の処遇改善も、そういった取組を妨げることなく、柔軟に活用できる考え方を示していただいたことで、実態に応じた対応が可能になると思っております。
 現在、若い先生からベテランの先生まで学級担任として児童生徒に関わっており、学級担任となれば、業務の負荷はその経験年数に関わりなくかかってくることから、学級担任としての職務の重要性や負荷を考慮した処遇の在り方としては、全ての教員に一律支給される義務教育等教員特別手当について、学級担任を持つ教員の手当額を加算する方法が実態に即していて、多くの教員からも理解が得られる方法であると考えており、ぜひ実現してほしいと考えております。この点も重ねてお願いをさせていただきます。
 私からは以上でございます。
【貞広部会長】  ありがとうございました。
 では会場から、次に植村委員、お願いいたします。
【植村委員】  ありがとうございます。全連小の植村でございます。まずは、これまでの議論を踏まえて、様々な論点、様々な意見を上手に整理して案としてまとめていただき、心から感謝申し上げます。基本的に特に異論はございません。その上で、特に強調したい点について、3点ほど申し上げます。
 1点目は、小学校中学年の教科担任制についてです。ページでいうと35ページ辺りかと思います。これについては、学びの質の向上の観点と、教師の持ち授業時数の軽減の観点から、速やかな実現をお願いしたいというふうに考えております。
 2点目です。新たな職の創設についてということで、40ページ、41ページ辺りかと思います。このことは中堅層の教師にとって、モチベーションの向上や、力量アップにつながるというふうに考えております。ぜひ速やかな実現をお願いしたいと考えております。
 3点目です。56ページ、57ページの「おわりに」に関わってということでございます。まずは、この2ページ、新たに加えていただいたことは、とてもよかったというふうに考えております。そこで、私の立場で改めて、教職は魅力ある仕事であるということをお伝えしたいと考えます。少々お時間ください。
 まず、教育は、子供たちの未来を育むもの、つまり、未来の投資であると考えます。子供たちの可能性は無限大であり、一人一人多様な可能性を持っています。その可能性の開花を支援するのが教師の仕事であると思います。そのプロセスは山あり谷あり、子供たちとの葛藤の日々であり、毎日、汗と涙でございます。それでも子供たちの成長を目の当たりにでき、その成長を実感できる、すばらしい職であると考えております。先ほど齊藤委員もおっしゃっていましたが、苦労も多いけれども、その分、いや、それ以上のやりがいに満ちた仕事であると思います。まさに汗と涙の結晶であるというふうに日々考えております。
 教育の目的は人格の完成です。ただ、現代社会は競争原理が働き、ややもすると自然淘汰されかねない、難しい時代であると考えています。だからこそ我々教師は、淘汰ではなく、人格の陶冶を大事にしたいと考えています。未来を担う大事な子供たちのために、時間をかけ、じっくりと、しかし着実に育て上げたい、そういうふうに考えております。ぜひそうした全国の教職員を世の中全体みんなで応援していただきたいと、切に願っています。
 あるアンケートによれば、恩師への憧れが教員志望のきっかけになっている割合が多いという話を聞いたことがあります。校長として魅力ある教師を育てることが、次世代の質の高い教師の確保につながると信じ、尽力していきたいと意を強くしているところでございます。今回の部会を通して様々考えることができて、本当によかったと思っております。ありがとうございました。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。改めて、そもそも教師の職業、教師という職業について、現場に立っていらっしゃる先生からの御意見をいただきました。また、強調点ということで御意見を頂戴いたしましたけれども、こういう文書になりますと、議論の中での濃淡とか優先順位とか強調点とかがなかなか見えにくくなってくるところがあるので、大変ありがたい御指摘をいただいたと思っております。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、会場から青木委員、お願いいたします。
【青木委員】  東北大学の青木でございます。まず、今回の案に対する意見の前に、先ほど熊平委員が資料3を御提示されたところについて、ちょっと補足させていただければなと思いました。失礼しました、参考資料3です。
 参考資料3で、資料3も併せて見ますけど、「教師の業務量は増加し続けており」と熊平委員お書きになっている部分があるんですが、今回の資料3にも提示されていますし、参考資料の1でも提示していますとおり、時間外在校等時間は減少しているというのが今回の教員勤務実態調査の結果ですので、恐らく熊平委員がおっしゃりたいことは、依然として時間外在校等時間の長い教師が存在しているとか、非常に困難度の高い課題が増えているというようなことも含めての記述だと思うんですけども、量的な評価をするとこのようなことが資料としてありますということを補足させていただければと思います。
 では、案に対する意見ということですけれども、私は同意したいと思います。同意の立場から、少し補足的な意見を申し上げたいと思います。
 まず、先ほども話題になりましたけど、今回の審議のまとめでは、学校教育の質の向上に向けて、教師を取り巻く環境整備として、学校における働き方改革のさらなる加速化、教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実を一体的・総合的に改革する方策を提言しているという点は改めて重視したいなと思います。資料3の右下にも三位一体的な形で図が出ていますけれども、これが非常に重要なことだと思います。
 教育についてあまり詳しくない方、あるいは関心のない方に対してもそうですし、私のみるところ、教育に関心のある方、教育について詳しい方も、かえってどこか1つのトピックに注目することもあると思いますので、改めて社会の全方向に向かって、一体的にこの3つの方策を進めていくんだというようなことを強調していただければなと思います。今回の諮問への回答というのは、この3つがばらばらにというよりは、3つが一体的に行われることによって初めて実現するんだということ、これこそが諮問への回答だと理解しています。
 その上で、やっぱりこういった改革の提言を社会実装するということが次の段階ですけれども、何よりも教育予算の拡充が必要になっていくわけです。その点で、もう各委員からも出ていますけれども、ここから先は文部科学省の皆さんにぜひ頑張っていただければなと思いますし、国民、国全体の理解をいただければと思っております。
 特に具体的に言いますと、教職調整額が時間外在校等時間への対応という側面がもちろんないわけではないんですけれども、昭和の時代の制度導入当時から、超過勤務の実働時間と直接には対応しないと整理がされていますので、あくまで勤務時間の内外を包括的に評価したものだという整理がなされています。ですので、政策的な処遇改善の要素というのがあったということです。
 今回52ページに出ています「少なくとも10%以上」という水準に関して言いますと、人材確保法による処遇改善が完成したその時点で、一旦完成したときの優遇分を改めて確保するという観点から見ても適切な水準であろうと考えています。もちろん勤務時間の内外といった場合には、やっぱり他律的な時間が多いというのはよろしくないわけですので、今後も他律的な時間を減らすというようなことも大事だと思いますが、とにかく予算面について今のようなコメントを差し上げました。
 あともう一つ、二つだけ言いたいと思うんですけれども、勤務時間管理について、ちょっと言いたいと思います。やはり審議のまとめを出して終わりではなくて、ここから先、書かれていることが実現するには予算が大事だと言いましたが、もう一つ、地方教育行政の世界に入っていくわけです。そうすると、地方教育行政のガバナンス研究者の目からすると、国の出先機関ではない教育委員会に、とにかく理解していただいて、動いてもらうという教育ガバナンス上の難問が待ち構えているわけです。
 これに関しては、やはり文部科学省の皆さんにぜひ、予算確保はもちろんですけど、こんな感じで動いていただければなと思うんですね。もちろん私、地方分権は大事だと思うんですが、殊このトピックに関しては、こんな感じで動いていただきたいと思います。昭和の給特法ができたときは、文部科学省、文部省のスタンスは火災報知器型だったと思うんです。何か非常によろしくない勤務時間管理があった学校があれば、それはそこの校長に指導しますよということだったわけですけれども、そういう火災報知器型というのではなくて、今後はぜひパトロールする気概を持って指導助言に当たっていただきたいと思います。とにかくこのテーマだけは、そのぐらいの気概を持っていただきたいなと思います。もちろん西村委員おっしゃったように、首長さんがやはり予算措置には重要な鍵を握っていらっしゃいますので、そういった方々と密にコミュニケーションを取っていただくということももちろん必要になってくると思いますし、頑張っていただきたいなと思います。
 最後ですけれども、これもいろんな委員がおっしゃっていましたけども、継続的な検証の仕組みとか議論の場というのがやはり大事で、先ほど量的な変化で言えば減少しているというような評価を御紹介しましたけど、やはりアフターコロナの時代になって、また揺り戻しがないとも限りませんし、そういったような点での検証、議論というのは必要になってくるかなと思います。
 以上です。
【貞広部会長】  ありがとうございます。そうなんですよね、実動部隊ではないというところは、本当に実効性を確保するのに難題でございます。具体的な案が必要だろうということでございます。
 続きまして、遅れていらした荒瀬部会長代理が会議に入られているようですけれども、荒瀬委員、御意見ありましたらいかがでしょうか。
【荒瀬部会長代理】  ありがとうございます。すみません、遅れまして、失礼いたしました。
 前段をお聞きしていないので、ちょっととんちんかんなことを申し上げるかもしれませんが、先ほどどなたかもおっしゃっていましたけど、「おわりに」が付け加わって、本当に全体がよくまとまったというふうに私も感じております。とりわけ現場の先生に、気持ちの上だけになってしまっては駄目なんですけれども、寄り添う姿勢が明確に出て、こういったことが少なくとも我々として最低限しなければならないことであると、それが具体的な施策に展開していくことを目指さなければならないというふうに思っています。
 そういうことを考えると、「おわりに」の部分の57ページの真ん中辺りのところにある「学びを通して人が成長する、教育という営みそのものに対する敬意が自ずと生まれる社会であることを期待したい。」という、これは本当に大事なことが付け加わったというふうに私は思っておりますということをまず申し上げて、資料を事前に頂いて、拝見する中で、妹尾委員から出ている参考資料の4というのがありますけども、私、これを拝見しまして、どなたかもうおっしゃったかもしれないですけれども、妹尾委員が3つの問いを立てていらっしゃいます。何のためか、本当に効くのか、マイナス影響のほうが大きくないかという、これらを総合すると、どうしたら目的が達成するのかということにつながっていくのではないかというふうに拝見いたしました。これは非常に重要な問いであると思いました。
 ただ、あえて申し上げれば、こういった問いを立てなくても、具体的に実現を目標とする状況が自ずと展開するような制度というのがあれば一番いいと思うんです。誰かが一々問いを立てなくてもいい、みんなが幸せに楽しく教職にいそしめるといいますか、学校に対する信頼感も当然のことながら生まれる、そういう状況ができればいいと思うんですけれども、実際にはそこのところは非常に難しいので、したがいまして、妹尾委員が書いていらっしゃるような、こういう問いを立てなければならないと思います。
 これは、どういう方策を選択したとしても、常にこういう問いは立て続けて、考えなければならないんだと思います。こういう中で具体的にどうなのかということを都度振り返りながら、改善を図っていくとか、あるいは話し合って、もう一度、このやり方ではない別のやり方というのを考えないといけないということであれば、戻ってでもまたやり直すといったようなことも必要ではないかと思います。それが、さっき申しました「おわりに」に書いてある教育という営みを持続する上で非常に重要なことだというふうに思っています。
 その意味で、さっき私が参加させていただいてからは、澤田委員がおっしゃったことでもありますけれども、今後文部科学省でこれを進めていかれるに当たって、今、青木委員のおっしゃったこととも関わると思うんですが、予算を含めて、どのようにして実現していくのかということが非常に大事になってくると。これを具体的に進めていく上では、ロードマップがやはり欠かせないのではないかというふうに思っています。そういった具体の展開をぜひ文部科学省のほうで進めていただくということを心からお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【貞広部会長】  ありがとうございました。すみません、荒瀬委員、突然御指名してしまいまして申し訳ありませんでした。ありがとうございます。
 こちらで一通り、委員の皆様から御意見をいただいたところでございます。どうしてももう一回付言をしたいという委員の方いらっしゃいますでしょうか。
 妹尾委員、どうぞ。
【妹尾委員】  すみません、毎回恐縮です。先ほど荒瀬さんからもありがとうございました。それにも関係しますけれども、今さらちゃぶ台をひっくり返すわけではありませんが、資料2について、やはりもうちょっと丁寧に書いたほうがいいなとか、ちょっとここの記述が怪しいなというところもあるので、意見出しだけしておこうと思います。あとはまた部会長、副部会長で御検討いただければと思いますけれども、資料2の33ページの上のほうですけれども、これまでの経緯で、乗ずる数の経緯で、半分ぐらいが大体指導時間ということで、大体今も同水準だというふうに言っているんですけれども、勤務実態調査からすると、小学校は少なくとも6割、7割ぐらいが指導時間になってしまっていますので、そこも含めて本当にそうなのかというところは、もう一回ここは精査していただきたいと思っています。
 あるいは34ページで、教科担任制が導入されることで持ち時間数が減るよというふうに書いてあって、これは導入した学校でどうなのかとか含めて、もう少しここも丁寧に書いていく。根拠も必要かなと思いますし、非常に文科省さんの努力には尊敬しつつも、注釈のところですけども、週の24.6単位時間が24.1時間に減ったという、これはこれで成果だけれども、これだけだとなかなか改善とは言えないと思いますので、週4日5時間出ずっぱりみたいな感じでありますので、ここはもっともっと頑張っていただきたいなというふうに、基礎定数の話も含めて、改めて申し上げたいところです。
 次の35ページの真ん中辺りに、教師が受け持つ児童生徒数が多い場合は在校等時間が長い傾向もあるので、持ちコマだけの話じゃないねというのが書いてあるんですけれども、だったら少人数学級は有効だよねという話になると思うんですけど、持ち時間数に制限を設けることを否定する論拠にはなっていないと思うので、ここもちょっと怪しいなと思っているので、より考えていただければなと思います。
 言い出したら切りがないですけど、あとちょっとだけ、1分、2分で済ませますけれども、次、給特法の話で49ページです。49ページの辺りももう少し、より丁寧に書く必要があるかなと思います。例えば、真ん中の辺りですかね、逐一管理職の指揮命令によるのではなくて、臨機応変さとか自発性が必要だというのは、それはそのとおりなんですけれども、例えばお医者さん、医師とか保育士さんだとかも似たような話でありますので、これも時間外勤務命令が出せないということの、本当に排除する理由になっているのかなというのはよく考えないといけないですし、この辺りも含めて本当にそうなのかなというところを、よりよくまた考えていただければと思っております。
 例えば51ページの公立と私立、国立との違いにつきましても、これはそうだなと思うところもある一方で、だからといって本当に公立でできないのかといったことも含めて、突っ込みどころは結構満載だと思いますので。ここで書いてあることは、公立学校は私立とか国立以上に非常に難しい多様な児童生徒がいるねということなので、そういった難しさや臨機応変さが必要であればあるほど、もっと健康確保策だとか管理職のマネジメントというのが必要とされますので、だからといって給特法を見直さなくていいという理由に本当になっているのかということですね。ここはよりよく、言い出したらちょっと切りがないところもありますけれども、また考えていただければと思います。
 すみません、最後の最後に申し訳ないですけれども、よりよいものにしていただければと思っております。
 以上です。
【貞広部会長】  妹尾委員、審議まとめ案は認められないという御意見ですか。それとも、これはこれとして、答申に向けて練り上げが必要という御意見でしょうか。
【妹尾委員】  そうですね、答申に向けてということで結構だと思います。このまとめで、これでフィックスしたので後は見直さないよという姿勢ではなくて、出てきた意見とか、また部会長等も尽力いただいていますが、より精査していただければと思っております。
 以上です。
【貞広部会長】  分かりました。ありがとうございます。
 それでは、皆様から広範な御意見をいただいたところでございます。まとめというよりも、今後に向けての御意見を多々るるいただいたと思います。この審議まとめ(案)に関しまして、ところどころでこちらからも御確認をさせていただいていましたけれども、委員の皆様からいただいた御意見も踏まえて、一旦こちらで審議のまとめとして取りまとめとさせていただきたいと思いますけれども、その点について御異論ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。答申に向けて精査していく部分もあるということを積み残しつつ、審議まとめとして取扱いさせていただきます。ありがとうございます。
 それでは、本日夕方に、私から文部科学大臣にお渡ししたいと思います。また、今後、中央教育審議会の初等中等教育分科会や総会にも御報告申し上げます。
 本特別部会での審議は、文部科学大臣から諮問を受けて行っており、諮問に対する最終的な答申としてまとめていくに当たっては、国民の皆様からの意見募集を行った上で、それらも踏まえまして、さらに議論をしていきたいと思っております。今日いただいた御意見も含めてということでございます。
 また、今日も複数の委員から工程表についてコメントいただきましたけれども、こちらにつきましても、答申の取りまとめに向けた議論と併せて検討していきたいと思っております。
 最後に少し、部会長から一言、お時間をいただきまして、御挨拶申し上げたいと思います。
 まずは、委員の皆様におかれましては、1年弱の間に13回という非常にタイトな審議を積み重ねて御議論いただきましたことに深く感謝申し上げます。また、毎回、本日もそうですけれども、短い時間での御発言を強要いたしまして御不便をおかけしましたこと、改めておわび申し上げます。御協力をもちまして、今般審議のまとめを取りまとめるに至りました。
 我が国の教師を取り巻く環境は危機的状況であり、現在と将来の子供たちが十分に質の高い教育を受けられるよう、抜本的な改革が必要とされています。これは共有しているところと思います。この点について、今般の審議のまとめでは、特に、学校における働き方改革のさらなる加速化、学校の指導・運営体制の充実、そして教師の処遇改善の3本の柱のそれぞれについて、具体的な改革案を提言いたしました。また、何よりも、委員の皆様からも出ていましたとおり、その一体的・総合的な改革が必要である点も強調しています。
 今回御議論いただきました事柄に関しましては、部会内外に様々な御意見があり、全ての方々の100%の納得性を調達することは難しかったと理解しております。また、残念ながら、明日から全ての物事を劇的に変えるような万能薬があるわけではありません。
 審議のまとめには、現時点で実現可能性と実効性が見込まれる多様な手だてが盛り込まれました。これらの手だてを全ての関係者が当事者となり、着実に実装、実現することが肝要であると考えます。とりわけ提言の中には法律改正や予算措置を伴う施策が含まれております。これらの施策が実現してこそ、全国の先生方が子供たちに対し、よりよい教育を行うことができるようになると考えます。したがって、文部科学省におかれましては、これからということになりますけれども、審議のまとめに盛り込まれた各施策の確実な実現に向け、速やかに具体的な検討を進めていただきますようお願い申し上げます。
 また、この広報活動についても今日、意見が多々出ました。ぜひ広報の方法についても工夫、知恵を出していただいて、刺さるべき人に刺さる、訴求するような広報活動をお願いしたいと思いますし、委員の皆様におかれましても、それぞれの立場において情報発信をしていただければと思います。
 最後に、委員の皆様に、そして本特別部会に先立つ調査研究会と本部会の事務局の皆様に、改めて運営への御尽力、御協力を賜りましたこと、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
 以上、もろもろ調いませんが、一言、私の御挨拶とさせていただきました。
 次に、文部科学省を代表いたしまして、藤江文部科学審議官からも一言御挨拶を頂戴したいと存じます。藤江審議官、よろしくお願いいたします。
【藤江文部科学審議官】  ありがとうございます。文部科学審議官の藤江でございます。本日も先生方には大変熱心に御審議いただきまして、ありがとうございます。今ほど審議のまとめをまとめていただいたわけですけれども、まずは本特別部会の運営と審議のまとめの取りまとめに多大な御尽力を賜りました貞広分会長をはじめ、そして1年弱の間、精力的に御議論に参画いただいている委員の皆様方に厚く御礼を申し上げます。
 そして、ただいま貞広部会長から、大変重いお言葉であり、また、かつ私どもにとっては大変大きな力となるお言葉をいただいたところですし、また、今日の会議の中でも委員の皆様方から叱咤激励をいただいたというふうに認識しております。文科省といたしましては、平成31年に中央教育審議会から答申をいただいて、文科省としても先頭に立って、全国の教育委員会や学校と手を取り合いながら、学校における働き方改革の取組を進めてきたところでございまして、その結果、先ほど青木委員からも御紹介いただきましたけれども、令和4年の教員勤務実態調査においては着実な成果が上がっていることが確認できましたが、他方、やはり教師の皆様が生き生きと日々の教育活動に当たっていただけるようにするためには、さらなる抜本改革が必要であるということも同時に明らかとなり、昨年来、御議論いただいてきたというところでございます。
 そのためには、何人もの委員から、そして部会長からも御指摘いただきましたように、学校における働き方改革のさらなる加速化、学校の指導・運営体制の充実、そして教師の処遇改善というものを一体的・総合的にパッケージ、あるいは三位一体というような表現してもいただきましたけれども、これを一体的・総合的に推進するということが重要であるということを本当に我々としても強く認識しているところでございます。
 各委員からは実効性を持ってということを御指摘いただきましたけれども、もちろん今回御提言いただいた施策を実現するためのハードルは決して低くはないというふうに認識しておりますが、文科省としても決意を持って、これらの施策の実現に向けて、文部科学行政の最重要課題の一つとしてしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
 全国の教師の皆様と子供たちの笑顔、そしてウエルビーイングの向上のため、そして国の未来のために、これも皆様方から、あるいは部会長から御指摘いただきましたけれども、効果的な広報活動等も通じまして、教育関係者はもとより、社会全体の理解、そして参画も得ながら文科省として全力で取り組んでまいりますので、委員の先生方におかれましても、今後とも変わらぬ御指導、御鞭撻をお願い申し上げて、私の御挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。また引き続きよろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  ありがとうございました。藤江審議官より力強い御挨拶をいただきました。ありがとうございます。
 最後に、次回の予定について、事務局からお願いいたします。
【堀家財務課長補佐】  本特別部会の次回の日程につきましては、現在調整中であり、追って事務局から御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
【貞広部会長】  それでは、本日予定した議事は全て終了いたしました。
 これで閉会いたします。委員の皆様、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――