高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第11回)議事録

1.日時

令和6年4月9日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室(WEB会議も併用)

3.議題

  1. 高等学校教育をめぐる最近の動向について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会 個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会 高等学校教育の在り方ワーキンググループ第11回を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
 この会議も、ウェブ会議システムを併用しつつ、文部科学省内の会議室にて開催いたしております。また、傍聴者の方につきましては、ユーチューブにより御視聴いただいております。
 なお、本日、報道関係者から録音及び写真撮影希望の申出がありました。許可しておりますので、委員の皆様におかれましては、御了承をいただきますようお願いいたします。
 では、本日の会議の配付資料につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【度會参事官補佐】  よろしくお願いします。本日の配布資料は議事次第のとおりとなっておりますので、不足等ございましたら、事務局にお申出いただければと思います。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。本日は高等学校教育をめぐる最近の動向について、議論いただきたいと思っております。
 資料につきまして、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【度會参事官補佐】  よろしくお願いいたします。
 4月に着任いたしました、度會でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局より高等学校教育をめぐる最近の動向について、昨年8月の中間まとめ以降の動き、今年度の取組、そして本日は高校の修学支援をめぐる動きにつきまして、御説明申し上げます。前半は私から、後半は本日、修学支援プロジェクトチームにも御参加いただいておりますので、山口の方から御説明いたします。
 早速始めさせていただきます。資料をお願いいたします。
 まず、資料、スライド1についてですけれども、まず、中間まとめを踏まえた制度改正の概要でございます。こちら、近年の不登校生徒の増加傾向に鑑みまして、学習意欲はありながら登校できない生徒が学びを継続していくことができるよう、このワーキングでの議論や中間まとめを踏まえまして、今年の4月、今月から全日制、定時制高校において、校長の判断により、不登校などの生徒を対象といたしまして、自宅などにいながらの遠隔授業や通信教育を活用することを可能とする制度改正を行いました。
 具体的に、この資料上で申し上げますと、左上の(1)が不登校生徒向けの通信教育の実施とありますが、全日制、定時制課程において、下線の部分でございますが、不登校生徒や病気療養中の生徒、あとは、その他特別の事情を有する生徒、例えば部活動などの大会で学校を離れるだとか、そういった生徒を対象といたしまして、教育長が有益と認めるときは、高等学校は授業に代えて通信教育を行うことができるといった改正をしております。
 では、どれだけ、これをやった場合の単位を卒業単位に算定できるのか申し上げますと、これまでも遠隔授業、平成27年に制度が創設されまして、それは74単位中36単位まで可能ではありました。その36単位とは別に、下の破線囲みの中の下の部分、ローマ数字1、第96条第3項で定める単位数とあるのですが、今、御説明申し上げました、3つあるのですが、1つ目が不登校の生徒さんたちが自宅やその他の場所で遠隔授業を受けた場合と、今、申し上げた、2番目の通信教育による修得する単位、3つ目が、全日制の課程の生徒が通信制の課程との学校間連携、課程間併修により修得する単位を3つの条件、合わせて36単位まで認めることができるといった制度改正をいたしました。
 次のスライドをお願いします。そのほかにも関連する改正事項といたしましては、大きく2点ございまして、1つ目が受信側の教室への教員配置、これまで遠隔授業の受信側に配置する者というのは教員とさせていただいていたのですけれども、一定の条件、具体的には、下線部でございますが、受信側の教室などに学校の教員配置を求めることが多様な科目開設などにおいて支障となるといった場合だとか、教育上支障がないと学校長が認める場合などの条件の下、受信側の教室に、教員に代えて学習指導員や実習助手、事務職員などの学校の職員を配置することができるという形にしております。
 右側、2点目ですけれども、対面により行う授業の時間数ですが、これまで各教科、科目や単位数に関わらず、基本的には、年間2単位時間以上は対面で行わなければならないとしていたところでございますけれども、一定の条件、具体的には、配信を受ける学校が離島や中山間地域など遠方にございます場合、移動に配信側の先生は時間かかりますので授業の実施に支障をきたすといった場合だとか、あとは生徒数が少人数であるため、個々の生徒の学習状況が遠隔でも把握しやすいとか、配信側の先生と受信側の生徒の間に人間関係が構築されているなどといった条件の場合には、年間今まで2単位時間以上としていたものを年間1単位時間と緩和することも認められるといった制度改正を行わせていただきました。
 次のスライドをお願いします。ここからは予算事業のお話ですけれども、高校ワーキングでの議論や中間まとめを踏まえまして、新たに今年度から各学校、課程、学科の垣根を超える高等学校改革推進事業なるものを始めさせていただきました。ポイントといたしましては、背景、課題のところにございます、太字ですけども、地理的状況や各学校、課程、学科の枠に関わらず、いずれの高等学校においても、生徒の多様な学習ニーズに応える柔軟で質の高い学びを実現し、全ての生徒の可能性を最大限引き出すことができるようにしていくことが必要とされています。これを遠隔授業や通信による教育方法の活用、学校間連携の推進を通じて模索していく実証事業を実施させていただきたいと考えております。
 大きく2点、事業内容がございまして、(1)とありますが、遠隔・通信等も活用した学びの機会の充実ネットワークの構築。具体的には、原籍校において安定して登校することが難しい登校傾向にある生徒の学びの保障だとか、右の図が分かりやすいんですけれども、右の図のさらに右のほうの専門高校Bから大学進学を希望する生徒だとか、僻地の高校Cから大学進学を希望する生徒などにおいて、自分の学校では開講されていない科目はあるけれども学びたいといった科目があると、そういった科目について、配信拠点から配信してもらう、そういった学習ニーズに応えるためのネットワークを構築していくという事業でございます。
 2点目が、都道府県の枠組みを超えた高等学校連携ネットワークの構築とあるんですけれども、これまでも例えば総合的な探究の時間であれば、複数の高校同士で一緒に合同で探究活動を行うということはよくありますが、ここでは都道府県を越えた学校同士が探究的な学びを一緒にやる、そういったネットワークを構築していく仕組みをつくっていくといった事業を考えております。
 次のスライドお願いします。こちらのスライドですけれども、継続事業も含まれておりますが、①を御覧いただければと思います。不登校生徒の学びの充実支援策の一つとして挙げさせていただいておりますけれども、こちら、先ほどの御説明申し上げました制度改正を踏まえたものでございまして、全日制、定時制高校において、不登校傾向にある生徒が学びを継続できるように、オンラインも活用した柔軟で質の高い学びを提供する事例の創出、ノウハウも含めてですけれども、これを集めていきたいと考えております。制度改正したばかりですので、実際にやる難しさというのはあると思いますので、そのノウハウを蓄積していきたいと考えております。
 次のスライドをお願いします。次が新時代に対応した普通科改革のお話ですけれども、令和4年度から設置が可能となった、①のところですが、新しい普通科を設置する予定の高等学校に対し、関係機関との連携協力体制の整備やコーディネーターの配置などの支援を行ってまいりますが、先生方に釈迦に説法で恐縮ですけども、新学科における学びや教科横断的な学びを実現していくためには、外部の力、地域、大学などをはじめ、コーディネーターの力がとても必要になってきます。
 そこで、③の事業で、こういった調整を担うコーディネーターについて、その育成や活用、あとは、コーディネーター同士での情報共有や交流を図っていくことがとても大事になりますので、そういった事業を引き続き進めていければと考えております。
 次のスライドをお願いします。こちらも継続、一部新規ございますけれども、ワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアム構築支援事業でございまして、端的に申し上げれば、グローバル人材育成に資するものと考えております。事業概要といたしましては、左の黒い四角のダイヤの1つ目、例えばですけども、海外をフィールドに、グローバルな社会課題の解決に向けた探究的な学びを行っていくだとか、4つ目なんですけれども、コロナ禍の影響で海外に実際に赴くというのはなかなか難しい状況がございましたが、海外の連携校との短期、長期留学、海外研修を行うとともに、逆に外国人留学生、インバウンド的に留学生の受入れをして、日本人、高校生と一緒に、探究的な学びなどを重点的に実施していくという事業を進めていければなと考えております。
 次、お願いします。こちらのDXハイスクールでございます。もともとこれが始まった背景については、現状、課題に書いてあるとおりでもあるんですけども、大学段階でデジタル、理数分野への学部転換の取組というのが進む中といいますか、取り組んできた中、その効果を最大限発揮するためには、大学からだけではなく、高校段階においても、そういった人材を育てていくための強化策が必要であるといった問題意識の下、事業内容でございますけれども、情報、数学などの教育を重視するカリキュラムを実施するとともに、ICTを活用した文理横断的、探究的な学びを強化する学校などに対して、ハイスペックPCや3Dプリンター、また、専門高校であれば、高度な実習設備などを整備する経費を支援するものとする事業でございまして、補助上限額としては、1校当たり1,000万円を上限として、全国で1,000校程度の学校を対象に支援していきたいと考えております。今、最終調整中でございまして、4月中旬には交付決定させていただければと考えているところでございます。
 2枚進んでいただきまして、SSHは、こちらは従前より取り組ませていただいている事業でございますけれども、先進的な理数系教育や、文理融合領域に関する研究を進めていくためにも、引き続き、この事業を進めていければと思いますし、次のスライドをお願いします。マイスター・ハイスクールでございますけれども、専門高校では産業構造の絶え間ない変化に即応した職業人材を育成していくということが急務でございますし、また、それぞれの学校が所在する地域の産業界と連携、協力していくということが、専門高校においてはとても必要になってきます。
 そのため、例えば事業内容のところですけれども、産業界と一体となった教育課程開発だとか、産業界のニーズと学校がうまく応えられるか、そういった連携に課題のある地域が、どう連携体制のプロセスを強化していくのか、していくことができるかといった実践研究をこの事業でやっていければと思っております。
 次、お願いいたします。私からは最後になりますけれども、教師を取り巻く環境整備についての緊急提言、こちら、昨年の8月に、中教審の質の高い教師の確保特別部会で出された提言でございますけれども、必ずしも高校段階に限った話ではありませんけれども、当然ながら関係しているものでございまして、例えば、取組の具体策の中にも、1の(1)のところにあるとおり、学校教師が担う業務に係る3分類を徹底していくための取組だとか、一番下ですけど、ICTの活用による校務の効率化の推進、一番右に行きますけれども、給特法の関係もございますが、処遇改善の話も議論が進んできておりますし、一番最後でございますが、教師の成り手の確保というのも教育委員会、我々としても連携しながら取り組んでいかなければならないといった提言を出させていただいております。議論も、このときより進んでおりますので、別の特別部会でも議論が深まってきているところでございます。
 私からは以上でございまして、次の教育費負担軽減に係る取組について、山口から御説明申し上げます。
【山口室長補佐】  高校修学支援室の山口と申します。よろしくお願いいたします。
 引き続きまして、高校段階の教育費負担軽減に係る取組について、説明をさせていただきます。本ワーキンググループで、これまであまり情報提供、議論していなかったところなんですけれども、こちらも高校教育に関係するものとして、現状を簡単に御説明させていただければと思います。
 次のページ、14ページに行っていただきまして、文部科学省、政府では、幼児期から高等教育段階まで切れ目ない教育費負担の軽減を目指すということで、幼児期ですと幼児教育、保育の無償化、義務教育段階ですと就学援助の充実でしたりとか、高校の段階と高等教育段階でも修学支援を行っております。高校については、次のページで詳しく御説明させていただければと思います。
 次のページに行っていただきますと、高校生等への修学支援として、家庭の教育費の負担軽減を図って、教育の機会均等に寄与するということで、高校生等の授業料と授業料以外の教育費の負担金ということで、左側と右側の2つの事業を行っております。特に授業料の支援で申しますと、左側の図のところになりますけれども、年収が約590万円世帯の私立学校の皆様には、年間約40万円の支援を行っていまして、年収約910万円の世帯の公立と私立の高校生の皆様へは、約12万円の支援を国から行っているといった状況でございます。
 続きまして、次のページで、関連して高等教育、大学の教育に関する情報を少しお伝えさせていただければと思います。大学教育、高等教育においては、高等教育の修学支援新制度ということで、返還不要の給付型奨学金でしたりとか、授業料の免除の支援を行っています。こちらが主に低所得者層から中間所得層への支援となっておりますけれども、それ以外の方々にも貸与型の無利子奨学金でしたりとか、有利子奨学金の支援を行っているところです。
 また、貸与型の奨学金については、下の図のところになりますけれども、返還支援制度をそれぞれ設けているというような形になっております。高等教育の修学支援新制度は、令和6年度と、また現在検討中ですが令和7年度に支援を拡充するという見込みとなっております。
 17ページは、令和6年度に開始する高等教育の負担軽減策ですけれども、1つ目としては、返還不要の授業料減免と給付型の奨学金について、子育て支援の観点から多子世帯の中間所得者層に対して、年収約600万円程度までですけれども、支援対象を拡大して支援をするということにしています。また、併せて理工農系の中間所得者層にも支援を行うということにしております。
 2ポツのほうに参りますと、大学院の修士段階の授業料について、卒業後の所得に応じた後払いとするような仕組みを新たに創設しております。こちら、子育て期の納付が過大とならないように配慮をして返還をしていただくというような形になっています。
 また、簡単になりますが、3つ目なんですけれども、返還型の奨学金について、定額返還における月々の返還額を減らすような制度について、要件等を柔軟化して、より返還しやすくなるような仕組みを設けることとしております。
 次のページにいっていただきますと、検討中の仕組みになりますけれども、報道等でも出ておりましたが、来年度から、多子世帯の学生等について授業料を無償とする措置を講ずるとする方向性になっております。真ん中の加速化プランでの対応というところの一番下ですけれども、多子世帯というのは、扶養される子供が3人以上の世帯ということにしております。
 次のページに行っていただきまして、この考え方についてなんですけれども、子供が何人いても、高等教育段階の全ての世帯の大学等の授業料の負担を、最大2人分までにするというような考え方で、この基準を設けようとしております。こちらによって、子供が多い家庭への支援といった趣旨で支援を差し上げるというような形になります。また、同時に、多くの子供を扶養して家計負担が重くなっている時期について、家庭の教育費の負担を軽減するという考え方に基づいております。
 駆け足になりますけれども、次のページに行っていただいて、こちら参考になるんですが、高校生の年代に影響のある取組として、令和6年の10月から児童手当が拡充されることになっております。これまで所得制限が960万円未満ということであったんですけれども、これを所得制限なしといたしまして、高校生年代では、月額で、第一子、第二子は1万円、第三子以降は3万円の支援をされるということになりまして、高校生年代の給付が増えるかたちで現在国会に法案が提出されているところでございます。
 次のページに行っていただきまして、先ほど少し触れさせていただきました、授業料の支援です。高等学校等修学支援金の経緯と、最近、ニュースにもなっております都道府県の授業料の独自支援の変化の在り方について、簡単に御説明させていただければと思います。
 次のページの授業料の支援なんですけれども、制度が創設されたのが平成22年度になっております。このときには所得制限を設けず、全生徒を対象として、年間約12万円の支援を行い、私立に通う低所得者世帯に対しては支給額を加算して支援をしていたという形になっております。
 平成26年度に制度を見直しまして、所得制限を導入し、高所得者層の方々には支援しなくなった財源を活用して、私立の生徒への就学支援金の加算を拡充し、低所得者世帯に対しては、授業料以外の教育費の負担軽減策である高校生等奨学給付金制度を新たに創設して、より低所得者世帯に手厚い支援をするというような形に変化しました。
 その後、令和2年度になりまして、授業料の支援について、年収約590万円の世帯まで40万円支援するということで、私立高校生への支援を拡充したというような経緯になっております。
 続きまして、次のページで、都道府県の独自支援の変化について御説明させていただきます。令和6年度より、東京都と大阪府が高校の授業料無償化ということで、新たに取組を始めるということになっております。まず、東京都の御説明になりますが、令和5年度との比較で申し上げますと、令和5年度は、東京都の平均授業料に当たる47万5,000円まで、年収約910万円の世帯まで支援をしていて、それに加えて、多子世帯のみは910万円以上の世帯にも支援をされていました。
 次のページに行っていただいて、令和6年度なんですけれども、東京都では約6割の方が私立に通っているという状況にあるのも相まって、上限約48万4,000円まで支給を加算するということで、また、所得制限を撤廃して、年収約910万円以上の世帯の方々にも支援するというような変更を加えるということになっております。
 続きまして、大阪府の制度になりますけれども、大阪府も全国平均と比較して、私立学校への進学率が高いという状況ですけれども、令和5年度は、60万円までの支援について、年収約590万円世帯まで、また、40万円を年収約800万円世帯まで支援していたという形になるんですが、次のページに行っていただきまして、令和6年度から、3年間かけて、上限を63万円の基準額まで延ばして、所得制限なく支援をされるというような変更が加わります。
 また、大阪府さんの特徴としては、63万円を超える部分の授業料について、その設定をする場合には学校負担とされるというような、いわゆるキャップ制というような仕組みも同時に導入されると伺っています。
 次のページに行っていただきまして、最後になりますが、今、東京都と大阪府の顕著な独自支援の取組を説明させていただきましたが、ほかの都道府県についても、国の支援に上乗せした独自支援をされているところでございます。今回まとめているのが、令和6年度予算で、より支援を充実させるといった取組をされる都道府県でございまして、所得制限の撤廃のほかにも対象を拡大するというような都道府県が4つ、支援額を引き上げするところが3つ、また、多子世帯、2人以上でしたりとか、3人以上のところにより手厚く支援をされるところが5つ、新たにあるというような状況でございまして、都道府県の独自支援も充実されているというような状況でございます。
 これで説明は終わりになりますけれども、これまでのワーキンググループにおける高等学校教育の在り方についての検討も踏まえつつ、今、御説明したような高等学校教育の質の向上でしたり、また、高校生への修学支援に係る各種の取組について、高等学校教育への効果や影響や、今後の方向性や留意点について、この後、御議論いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。度會参事官補佐と山口室長補佐から御説明をいただきました。
 最後に、山口室長補佐のほうからこれまでのワーキングにおける高等学校教育の在り方についての検討も踏まえつつ、高等学校教育の質の向上や高校生等への修学支援に関わる各種の施策について、高等学校教育への効果や影響、今後の方向性や留意点について御議論いただきたいということでございました。
 委員の皆様に、この後、御議論いただくわけでありますけれども、本日の意見交換で一つの結論を出すというものではございませんので、委員の皆さんの御経験や専門に基づいて、幅広く御意見をいただきたいと思っております。また、これまで本ワーキンググループで議論していない内容も御説明いただいているわけでありますが、そのような取組は今後、実現に時間がかかると思われるわけでありますけれども、質の向上との関係や義務教育、高等教育との相違点、地方自治体における取組なども踏まえて、御議論をお願いしたいと思います。
 この後、基本的に、この御議論に時間を使いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。いつものように手を挙げるボタンを押していただく、あるいは、これは、ここにいらっしゃる方もそうしていただくんですか。それとも札を立てていただいたらいいんですかね。会場にいらっしゃる方は札を立てていただいて、お願いしたいと思います。
 いかがでしょうか。長塚委員、お願いいたします。
【長塚委員】  よろしくお願いします。今、説明いただいた資料のほかに、別のファイルを見ますと、生徒を主語にした高等学校教育の実現に向けた取組という大変分かりやすい資料がありますが、これは一般の生徒とかに向けたパンフレットということなんでしょうか。
【田中参事官】  はい、さようでございます。
【長塚委員】  これからこれは配られる予定で。
【荒瀬主査】  ちょっと、じゃあ説明をしていただきましょうか。
【長塚委員】  ぜひ。
【荒瀬主査】  そもそもピンクのファイルは何なのかということで。
【長塚委員】  そうですね。意見よりもまず、質問で。
【荒瀬主査】  田中さん、お願いします。
【田中参事官】  参事官の田中でございます。説明が不足しておりまして、申し訳ありませんでした。今日、会場に参加の委員の方には、こういうピンク色ファイルの基礎資料集という形で配らせていただいておりますけれども、昨年夏におまとめいただいた中間まとめ、参考資料、あるいは、修学支援関係の資料に合わせて、今、長塚委員から御指摘ありました、中間まとめの概要というものをつくっております。
 中間まとめの概要でございますけれども、ワーキングの場におきまして、せっかくまとめた中間まとめ、なかなか内容が難解なところもあって、多くの方に、高校生も含めて、御理解いただけるような、そういう資料が必要じゃないかと、そういう御指摘をいただいたことを踏まえまして、事務局のほうで、一部委員の方にも御協力いただいて作成したものです。これは今後、ホームページ等でアップして、中間まとめのエッセンスを分かりやすくまとめたものとして広報等に活用したいと思っております。
 今、委員の御協力も得てと申し上げましたけれども、ここは、高校生の委員の校長先生方がいらっしゃいますので、高校生にも見てもらって、高校生から見て違和感がないか、分かりやすいかというところも含めて、作成作業をさせていただきました。元が少し難しい話ですので、これで完璧なものかどうか分かりませんけれども、また、こういった形で、私どもとしても広報に努めていきたいと思いますので、委員の皆様におかれましても、いろいろアドバイスいただいてありがとうございます。ぜひ、御活用をしていただけますとありがたいと思っております。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。というふうな趣旨のものであるということです。それでは、どうぞ、長塚委員お願いします。
【長塚委員】  ありがとうございます。大変高校生にも分かりやすいような内容になっていると思っておりますが、実は中間まとめの、制度改正の資料が学校現場に届くようになって、現場の声を聴くと、いわゆる36単位までの配慮をするケース、いろいろあるんだけれども、現場はまだまだこれから考えるとか、あるいは、文科のほうでも、これからモデル事業で積み重ねて、いい事例を出していくということなんですが、子供たち向けのリーフレットを見ると、制度を改正しましたと書いてあるので、私はもう不登校になっても、オンラインで全日でも大丈夫なんだねというふうに、即そう思ってしまって、すぐ対応を求められるようなこともあるかもしれません。制度改正をしたことはいいんですけども、現実化していくためには相当、各学校や現場で時間を要するんだろうと思うんです。
 ですから、リーフレットの御案内のところにも、各学校で対応の仕方とか状況はそれぞれとなりますから学校の先生に聞いてくださいぐらいのことを言わないと、もうすべての学校で始まったと思い込んでしまうのではないでしょうか。制度改正というのは、例えば学習指導要領の改訂のように、すべての学校で一律に変わってしまうんだというような意味合いで取られかねないと、私は心配をしています。
 この方向で各学校がどんな工夫をするか、これはいろいろこれから時間も要すると思っておりますので、そういう案内の仕方に一工夫あったらいいなという思いがいたしました。それが一つです。
【荒瀬主査】  一旦、ここで切らせていただいていいですか。田中さん、今のことに関して。
【田中参事官】  御指摘ありがとうございます。こちらは、簡易なものでつくらせていただきましたが、もともとは案内のためにかなり難解な行政文書を出させておりまして、その中では、まさに御指摘のとおりでして、制度改正しても、これをすぐ動かせるところが多数ではない、また、これは制度としては校長の判断で実施をするというものです。
 そういったことは、通知の文書の中には書かせていただいているんですけれども、今、御指摘のことを、この中でも可能となったと書いてあるんですが、可能となると、どこの学校でもこの瞬間から可能なのかというと、そこは現実には、まだモデルもない、現場でこれから検討していく、いろいろな状況の中でできるかどうかやっていくということは、そこは御指摘のとおりでございますので、今、ペーパーの中に入ってないのですが、御案内するときには、今の趣旨が明らかになるように、御指摘を踏まえて対応させていただきたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
【荒瀬主査】  では、そこのところよろしくお願いいたします。
 では、長塚委員、どうぞ。
【長塚委員】  続いて、今回は私立学校に特に関わりのあるような修学支援金の事柄が、本当によくお調べいただいた内容が御報告されているので、このことは触れたいと思います。広く言えば、少子化対策の教育費負担の軽減を、どの学校段階でも行う必要性があるということで、特に高等学校のところが今回、クローズアップされているんだろうと思いますが、所得制限がなくなるという東京と大阪の事例が一番先進的な事例として、先ほどの資料を含めて御紹介がありました。
 これはとても大変ありがたいことだと思っております。所得制限というのは、どの段階で区切りましても、その前と後、ちょっとでも、所得が多いと支援金が出ないとか、少なければ出るとかいう本当に悩ましい問題であったということも事実です。所得制限がなくなったことによって、幅広く負担が軽減されることは大変ありがたいなと思います。
 しかし、実は、東京モデルと大阪モデルというのが代表的なモデルになっているようでして、同じ所得制限がないとしても。大阪のほうのモデルは、実は、私立の中でも大きな議論を呼んでいるところです。私立学校はそもそも建学の精神の下で、特色のある多様な教育をするという独自な教育を展開しています。ところが、いわゆるキャップ制という教育費の上限が決められてしまうということによって、多様な教育ができないというようなことが既に起こっていました。
 それはたとえば、IB教育をする大阪府にある私立学校は支援の対象外になっています。授業料上限のキャップ制があることによって、私立の教育の質が制限されてしまいます。実は、大阪府が定めた上限額以上のところは学校の負担と書いてあるんですが、学校の負担って一体、学校の誰がどう負担するのか、ここは意味が不明でして、学校は収益事業をするところでもありませんので、ここは非常に理解しにくいところでございました。
 一方で、東京都の場合には、そういうキャップ制が引かれていませんので、特色ある教育の質の確保が担保されているなと思っております。このような典型的な2つの事例がありますけども、いわゆる特色ある教育が展開できる中で負担が軽減されるということにつながるような制度を、ぜひ全国的に広げてほしいと思います。というのは、とくに私立学校の場合、広域募集ですから、公立高校のように各自治体の生徒ではありませんので、基本は広域から通っています。しかし、今回の東京のケースでも、他県から来ている生徒は対象にならないわけです。国からの制度の部分だけが対象になって、東京都が負担する部分は東京都に在住している生徒だけなんです。ですから、同じ学校にいる生徒の中でも、都民と都民外では受けられる支援は相当違ってしまう。
 そういう不公平感が出ているということについては、やはり、全国に同じような仕組みができないと、国を挙げてつくっていただかないと解決しません。この辺の問題があるということだけはお伝えしなきゃいけないなと思っておりました。
 以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。この件は、恐らくいろいろと御意見がおありのことかと思いますので、岡本委員、今、手を挙げてくださっているんですが、岡本委員はこの件ですか。
【岡本委員】  大学の支援とか、あの辺はとても重要だなと思っています。一方でああいう支援事業に関して、現場に届いていないというのは結構あるんです。ちゃんと情報を自分で能動的に取っていかない限りはアクセスできないって結構あるんです。できれば、こういう一括で奨学金を探せるようなパンフレット、もしくは、ホームページをつくってもらいたいなと思っていて、例えば鹿児島市でも、中高生向け版、もしくは大学もそうなんですけども、奨学金のサイトがまとまっているかというと、実はまとまっていなくて、かつ自治体がやっているものしか載っていなかったりするんですよね。
 ですので、幅広くそういう奨学金のポータルみたいなものがあったりすると、それを中学生、高校生、大学と幅広いところでそういうものがあったらいいなと。つまり、積極的にできる人は探すんですけども、もう探さずして諦めている方が結構な割合でいると思いますので、そうならないようにアクセスのしやすさということがまず、1点と。
 あと、次は、これは僕がまだ理解、知らないだけなのかもしれませんけど、こういう大学の進学支援をするときに、例えば住んでいる地域によって、また全然状況が違ったりするわけです。例えば、大学がたくさんあるような東京とか、もしくは京都とか大阪とか、そういうところに比べて、鹿児島みたいな大学が少ないところの場合は、相対的に越境して大学に通う子が多くなっていると。そうすると、またプラスアルファでお金がかかってしまうので、そういう地域ごとの差を考慮していただけるようなものもあるとうれしいなと思っています。
 あと、今回、すごく多岐にわたっているので、また全く違う切り口の話をしますけれども、外部人材との、例えば探究活動を外部と共にやっていきましょうというのは、いろいろな企業も参画してきて、鹿児島とかでもすごくよく見えてはいるんですけれども、かなり気をつけなきゃいけないなと思っているのが、学習指導要領の趣旨と全く違うようなものを企業のほうが提示していて、学校、もしくは自治体、教育委員会がその辺をきちっと理解していればいいんですけども、そうでない場合は、例えば総合的な探究の時間、探究だと書いてはいるんだけど、中身は総合的な学習の時間みたいな感じで、もうテーマを大人が与えてしまうという、学校全体テーマはこれだというようにして、与えているようなものを探究と称してやっている場合が結構あって、普通の教科に関しては、教科書検定とかあるので、フィルタリングだとか一応学習指導要領みたいなものはしっかりとフォローできていると思うんですけども、探究に関しては、現場の理解、もしくは教育委員会などの理解にそれが委ねられてしまっていて、中間まとめにあったように、総合的な探究の時間の概念とか狙いが正確に理解できていない現場において、外部の参画がそれをある種、促進してしまっている例が、かなりの量見られるので、その辺はどうやって手だてができるかなと考えております。
 これは鹿児島の教育委員会、市の教育委員会でも、そういう話が結構上がってきているので、誰かが何かしらの手を打たないと、場合によっては、企業側は別に悪気があってやっているわけじゃないと思うんですけれども、正しく理解されない方向に進んでしまう懸念があるのかなと思っております。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。今、後のほうの話ですけど、それ教育委員会とかが把握しているというわけじゃないんですか。
【岡本委員】  いや、そういうわけじゃないんですよね。これの件は、教育委員会に僕は言っているんですけど、地域のためと名前がつけば、教育委員会は是としちゃうので、本当は地域の子供たちのための教育をしてほしいんですけども、地域課題の解決を基本としているものを探究としているのがすごく多いです。教育委員会に関しても、残念ながら、テーマのところで自分の生き方、在り方と書いてあるけど、そこをあまり加味しないで、探究と企業が名前をつけていれば、これでいいだろうというようなことは、僕が見ている限りかなりの数あります。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。そういう現実の中でどう考えていくかということで、それはここでの議論もありますし、むしろ、総合的な探究の時間ということになるならば、教育課程に関する議論の中でもしっかりとしていって、具体的に教育委員会に理解していただくということができないと、違ったことを一生懸命やっているというので、どういう効果が出てくるのか分からないんですけども、考えていかなければいけない非常に大きな問題だと思いました。
 あと、ホームページ等で一括して、ポータルサイトみたいのがあったらいいんじゃないかということですが、これ、国としては、どんなふうに考えていらっしゃるんですか。
【山口室長補佐】  高校と大学合わせて、それぞれの段階だけではなくて、例えば、小学校のときから、教職員の方々とも連携しながら、なるべく情報提供するように努めているところではあるんですけれども、改めまして、全体が見渡せるような周知の仕方というのは、今後検討していきたいと考えております。
【荒瀬主査】  そうですね。これ、せっかくそういう制度があるのに知らないままで、時間がたっていくと対象からは外れてしまいますから、その辺りのきちんとした広報については早急に検討していただいて、実際に実施していただくということでよろしくお願いいたします。
 岡本さん、そんな感じでいいでしょうか。
【岡本委員】  そうですね。あとは、できれば民間のものもいい奨学金があるので、どこまでを入れるかは、多分そこは議論が必要でしょうけど、ただ、公益財団法人を入れるだとか、かなり地方のほうでも良いものが民間のほうであるので、ぜひその辺もどうやって入れるのか、民間も合わせて全体でやっていただければと思います。ありがとうございます。
【荒瀬主査】  なるほど。その辺り、ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。
【山口室長補佐】  はい、御指摘ありがとうございます。
【荒瀬主査】  では、今、手を挙げてくださっていらっしゃる方、さっき内容についてお尋ねしましたけども、順に御指名いたしますので御発言いただきたいと思います。
 では、冨塚委員、お願いいたします。
【冨塚委員】  ありがとうございます。修学支援のことについて発言をさせていただきます。
 東京都に隣接する県として、非常にプレッシャーが大きいところです。高校授業料無償化への2月定例県議会におきましても、もう複数の会派から質問が出ておりました。
 本県でも国の制度に上乗せする形の支援は行っておりますが、所得制限は設けています。本県で、東京都と同様に所得制限を廃止とした場合には、毎年度、私立分で100億、公立分で25億の予算が必要になると試算をしています。県のスタンスとしては、居住地や自治体の財政力により保護者負担に大きな差が生じることは望ましくないので、所得制限廃止というような大きな影響の出る施策については、国において、全国一律の支援制度を議論していただくのがよいのではないかなと思っております。
 東京都は6割私立ということですが、千葉県の場合は、公私の生徒数の割合でいうと、公立65に対して私立が35ですので、そのような状況も東京都とは異なります。ですので、県によって、いろいろな状況の差はありますけれども、広く国民にとって高校の授業料が無償かどうかというのは、千葉県から東京の私立に通っている親御さんにとっては不公平感が生じてしまうものでありまして、江戸川1本隔てて大きな違いがあると。それが地方の財力、財政力に起因してしまうというような、そのような大きな影響が出るものについては、やはり国のほうで議論をいただくのが必要かなとは感じます。
 また、話がそれるのですが、高等学校、今99%進学しておりまして、義務教育と事実上変わらないような形でありますけれども、高校の施設整備への国の支援策については、義務とは比べ物にならないような支援が非常に少ない状況でございます。高校生、いろいろ聞いていると、校舎がきれいであるとか、トイレがきれいであるとかというようなところも高校選択の一つの大きな要因になっているようでございますので、できれば、事実上義務教育と同様に、ほとんどの生徒が通う高校、公立の高校についての施設整備への補助であるとか、あと、今回文科省のほうで努力をしてくださった教頭、副校長支援員の配置、この事業についても高校は対象外となっておりますが、時間外在校等時間調査などしますと、高校も教頭先生の在校時間は非常に長く、それは義務教育の学校と比べて大きな差があるということではないので、そういった学校の実態を踏まえて、授業料の無償化という施策もあるとは思うのですが、教育の質の向上を図るとか講師の、お互いに切磋琢磨して公正な公競争で、お互いに教育の質を上げていくというところに着目した場合には、施設整備であるとか、今回のような教頭、副校長支援員のようなサポートスタッフの配置であるようなところを、高校についても義務並みに考えていただけると非常にありがたいなというのを思います。
 それから、公立の高校の大きな役割の一つとして、農業高校とか工業高校とか地域産業を支える専門学科の高校があるわけなのですが、今、千葉県では、こういった専門学科の志願倍率が非常に低迷している状況にあります。こういった産業に魅力がないとか、専門学科に魅力がないんだから自然に淘汰されて少なくて、それはそれでしようがないでしょうということではないと思っております。産業自体の高度化であるとか、魅力化というのを図ると同時に、産業を担う、支え手となる人材の輩出を産業界と連携しながらやっていくということは、公立の高校に課された大きな使命であると私は考えておりまして、そういったところに対する投資というのは、県も国も今以上に力を入れていかなければならないのかなと思います。
 そういうふうに考えますと、限られた財源をどこにどのように投資していくかということについては、十分に議論をしていただければなとは考えます。以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。お金が無限にあるのであれば何でもできるんですけど、必ずしもそうではない中で、どうしていくのかというのは、これは日本のみならず、よその国もそうなんでしょうけども、我が国は特に、ここのところをしっかりと考えないと、結果的に、将来にどんどん借金を後送りしていくということになると、本当に大変なことになりますから、その辺りどうするかという点で非常に重要な御指摘であったと思います。ありがとうございました。
 これ、文科省、どうですかと聞いても、すぐに答えていただける話ではないんでしょうね。今回、御説明いただいた中で、とりわけ私立に通っていらっしゃる御家庭、あるいは高校生の皆さんの負担を少しでも軽くするというのは非常に重要なことではありながら、しかし、それを全部でしっかりやっていくとなってきたときには、何といってもお金が必要になってきて、さっき、千葉県だけで私立の全部をやったとしたら、所得制限を外したら100億かかるとおっしゃいましたよね。これ、半端な金額じゃないので、その辺りを考えると、本当に難しい問題があると思いますので、ここだけでもちろん解決はできないんですが、さっきも申しましたように、すぐにどうこうできるものではないかもしれませんが、ともかく高等学校教育に関わる問題といいますか、課題といいますか、しっかりと意識していかなければならないこととして、御意見を引き続き、お出しいただければと思います。
 石崎先生、お願いします。
【石崎委員】  私、この間、高大接続改革の頃からずっと、誰でも勉強すれば平等にチャンスがあるんだというのが、ある意味、日本の社会の活力の一つになってきたんじゃないかなと。そういう意味では、地域格差、経済格差、体験格差と言われるものを解消していってほしいということをずっと言ってきたつもりなんですけれども、修学支援についても、都道府県ごとの独自性というのはもちろん大切だとは思うんですけれども、私立の学校数も違うでしょうし、いろいろ違う部分があるとは思うんですけれども、でもやはり都道府県によっても違うし、地域によっても違うし、修学支援の仕方というのがもう少し全体に網がかかるというか、及ぶような、そういう方策というのができるといいのかなというのが感じるところです。
 高等学校はいろいろ設置者主義とか言われて、設置者によって異なる部分というのは多分にあったりするんだとは思うんですけども、誰でも平等にというようなところを、教育に関しては、可能な限り、担保できるようなことがあるといいのかなと思います。
 あと、私立に行くに当たって、余計なことを言うようなんですけど、授業料を援助してもらうというのは、多分非常にありがたいことだと思うんですけど、私立に実際入ってみるとどうかなと思うと、さっきお話ありましたけど、建学の精神で、様々なプログラムがいっぱいあって、例えば、修学旅行もコースに分かれていたりする学校もあるでしょうし、いろいろなオプションの体験なんかもあるんでしょうけども、授業料だけ援助してもらっても、そういう部分の体験というのはなかなか家庭によっても違う部分というのも、実際はあるんだろうなという部分もケアできるような、そういう仕組みも、授業料だけじゃなくて、それ以外の部分も支援できるような仕組みというのもあってもいいのかなとは思います。
 ただ、さっきの荒木先生のお話の切り口と同じなんですけども、結局、最後、じゃあ教育のどこにお金をかけるのかと言ったときに、おっしゃるように、お金が無尽蔵にあるわけじゃないですから、そのときに、私もずっと教育にお金をかけてほしい、教育を大切にしてほしい、リスペクトしてほしいとずっと言ってきているんですけれども、確かに無尽蔵にお金があるわけじゃないんです。
 だから、そのときに修学支援にお金をかけるのも大事なんだけれども、教員を増やすという、この間、この会議でも御意見出てきましたけど、教員を増やすとか、地域のなくなりそうな学校を維持するとか、そういうところにも目を向けていくことも大切なんじゃないかなと思うので、具体的にどうしろということを言えないのは申し訳ないんですけども、そういった視点での議論というのが必要なんじゃないかなと感じるところです。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。答えがすぱっと簡単に出れば、よし、それで行こうとなるんでしょうけど、そうではないので、今、石崎先生のおっしゃったことは、さっき冨塚教育長がおっしゃった、産業の担い手を育成するというのも公立高校の重要な役割ではないかといったことで、これ、生徒が来ないからなくしてしまえばいいと、そういう話だけで本当にいいのかと、こういった様々な考えとか思いとか気づきとかを出し合って議論していく中で、少しでも、より良い答えを見つけていくということが必要で、つらいですけど、本当に我々がお金を自由にいっぱい持っているわけではないというところからしっかり出発しなければならない。かといって、お金のあるところが、お金があるので何かを使っていくということに対して、それ待ってくださいというのも、また変な話だしという、その辺りのジレンマを感じながら考えていくしかないのかなと思います。
 岩本委員、どうぞお願いします。
【岩本委員】  よろしくお願いします。まず、最初、修学支援のところに関しての質問というか、お願いに近いんですけども、私、今回、資料を見させていただいて、制度の概要は分かったんですけども、この制度による影響を示すというか、それを検討するデータというかがないと、これがどういう政策意図に対してどういう効果が本当にあったのかということが、なかなか議論になりにくいのではないかなと思いまして、例えば世帯ごとのお子さんたちの進路だとか、何にこれは影響したのか、これ恐らく制度も変わってきているので、その変化に応じて何が変わったのか。
 これは私立や公立、それぞれにどういう影響を及ぼしているのか。また、都道府県ごとに少しずつ制度が違うという部分があるということですので、都道府県ごとにどう影響が違っているのかという、そのデータに基づいて修学支援の制度はどうなのか、よりよく使うためにどうしたらいいのかという、その議論するための何か今後、そういったデータを基に議論できると、それこそ、本当に金のかけ方が全体最適なのか、日本の高校教育の質の向上だとか、本来の政策意図にどれだけかなっているのかということが議論しにくいかなというので、今後どこかの時点で、また何かそういったものがあれば、そういう形で議論させていただけるといいのかなと。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。それ、恐らくきちんと研究が進まないと難しいんだと思うんですけど、ただ一方で、なかなか難しいお話ですよね。これは東京都と大阪府が、しかもやり方が違っているということも含めて、自治体というのか、首長というのか、そういった方々のお考えみたいなものも当然色濃く反映しているものだと思いますので、どういった形でやっていくのかですが、後から青木先生も手を挙げてくださっているので、ひょっとしたら、その辺の御示唆をいただけるかもしれないと思っております。ありがとうございます。
 どうぞ、続きを。
【岩本委員】  いいですか。修学支援以外のところで3点ほど、意見というところです。
 1つ目が、通信制高校の質の確保、向上のところです。今、通信制高校に通う生徒、急増しているという現状、今回、中間まとめでも、通信制に関していろいろ出ていましたけども、通信制高校の質をどう確保をしていくのかということは非常に重要なポイントだと、今の状況においてあると思います。
 昨年度でしたか、2年前でしたか、通信制高校の質の確保に向けての議論の中で、法令上義務づけられた情報公開の制度というか、されたと思います。ここを、特にサテライト施設ごとに教育活動等をちゃんと公開していくというような義務があると思うんですけども、実際、これがどの程度行われているのかということの把握だとか公表だとか、あと、どこかの資料であったのかうろ覚えですけども、全日と通信の生徒で、どの程度、生徒が実際通信制を介して学習しているのかという学習時間の話だとか、こういったところも、そういった情報を基に、通信制の質の確保、そして向上というところにつなげていけるのかというのを見ていけるといいのかなと。
 特に、次の指導要領の改訂なんかも今後、来る中で、通信制課程における教育課程の特例、指導要領における、ここの特例の在り方って本当にこのまま、次の指導要領はこれでいいんだっけということも含めて、その議論をしていくためにも、ある程度、今の通信制高校の実態というのをデータで明らかにしながら、今後の特例を含めた在り方の検討というのが大事かなというところが1点目です。
 2点目は、先ほどもいろいろありましたが、人的配置の充実というところの議論でして、今回、資料に入っていました、教師を取り巻く環境整備についての緊急的に取り組むべき施策というところも、どちらかというと義務教育のほうの定数改善だとか、スタッフ配置の充実が、どちらかというと中心になっているように見えなくもないと。
 現場のほうから、高校ワーキングもそうですし、今の文科省の施策は、理想的には、理想もいいんだけども、やることは増やしてくれるんだけど、肝腎なところで人の配置は増やさないということで、それは教職員もそうですし、コーディネーターとかの専門人材とかもそうですし、現場のほうでは、特に、片手間でというより、短期的に関わる人が増えるのもありがたいんだけど、それは、ある程度、コミュニケーションコストだとかもかかってくる中で、ちゃんといる人。その人、今年はいるかもしれないけど、来年度いるかどうか分からないではなくて、教育って継続的な営みでありますので、ちゃんとした人の人的配置というところをせずして、やることだけ増やすような施策とか議論とか政策の進め方はやめてほしいというのが、現場からすごく言われてきている中で、ここまでも義務教育は定数改善とかスタッフ配置を含めて、この20年ぐらい、どういうトレンドで義務教育がやってきて、高校教育の段階はそれに比べて、どういうふうに改善されてきているのかというところ、両方を見ながら、いや、高校はまだましでしょうとかよく言われますけど、本当にそうなのかとか、本当に高校の教職員定数だとかを含めて改善しなくていいのかということも、義務とともにやっていく必要があるのではないかということで、今後の高校標準法の改正なんかも含めて議論できるために、そういったところの情報だとかを出しながら議論を喚起していく、問題提起していくということをここでもしていかないと、いつまでたっても人の配置はない中で、やることだけ現場に落としていくということになってしまうと思いますので、人的配置に関しての議論というところが2点目、必要ではないかというところです。
 最後、3点目が、少子化の加速が、非常に地域における危機感、特に小規模高校だとかの危機感、今、非常に増してきているというところで、今回、遠隔だとかを含めて使っていこうというところが出てきていますけど、その先に、一体本当にどうなっていくのか、どうあるべきなのかというようなところを、不安を抱えている学校や地域という声、今、生徒の減少とか少子化の実態の中で、非常に強く声が来ていますので、ここは改めて、またどこかの中で、しっかりそこの、特に少子化が進む地域の小規模高校の今後のビジョンと施策というようなところを、しっかりと議論する会なんかも、また今後、どこかで、改めてあるとありがたいなというところです。
 すいません、ちょっと長くなりました。3点です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。繰り返しませんけれども、データに関することは、後から、また分かる範囲でお答えいただければと思います。
 では、この後、青木委員、鍛治田委員、田村委員、塩瀬委員の順番で御発言をいただきたいと思います。では、青木委員お願いいたします。
【青木委員】  東北大学の青木でございます。今日は本務の関係で、少し入室が遅くなりました。おわび申し上げます。
 先ほど荒瀬先生がおっしゃった点なんですけれども、まさに私、その点についてお話をしたいなと思っておりました。ありがとうございます。
 まず、理論的に言いますと、地方政府が再分配政策をする場合には、不都合が生じやすいということは予測されていることですので、それを踏まえて、制度設計、あるいは制度のメンテナンスを検証しなければいけないという、まずは大きなところを申し上げておきたいと思います。
 もちろん国として引き受けるというオプションも冨塚委員がおっしゃったようにあると思うんですが、その際も、地方分権という原理原則がある中で、かつ、地方政府は上乗せができる立てつけになっているはずですから、どのぐらい地方政府の行動の自由を縛れるのかということが論点になろうかと思います。例えば公定価格みたいなものを入れれば済む話なのかどうかとか、そういう点が大きな論点になろうかと思います。
 もう少し具体的にお話をさせていただきますと、まず、高校の無償化に関しては、どこのタイミングの立法だったか忘れてしまったんですが、今、失念してしまったんですが、附帯決議で、検証すべきということは入っていたかと思います。制度が度々変わっていますので、その都度、検証すべきだと思いますし、特に今回、御紹介いただきました私立高校の無償化、これは大きな変化ですので、やはり検証すべきだと考えております。具体は後ほど申し上げます。
 そういう意見の背景にありますのは、私の見るところ、公立と私立のマーケットがもう融合し始めているということです。つまり、今回の私立の無償化によって、これは事実上のバウチャー、個人家計補助と同様の効果を発揮し始めていますので、かつ、多くの県では全県1学区という潮流がありますので、これは明らかに都市部に置かれている私立高校への流入が加速する政策であるということは、理論的にも予測できるかと思います。
 例えば、県境を越えた通学に関しても、冨塚委員おっしゃったとおりで、これまさに地方自治体の区域を越えて住民、ここでは生徒ですが、移動するということは、地方政府が区域を区切って政策を、再分配政策をするときに起こりやすい不都合の一つですので、ここは非常に大きな論点になろうかなと思います。
 例えば、大阪府というのは、後背地が府外にあるわけですので、受益と負担の関係が一義に定まらないというか、一対一関係にならないと。東京の場合にも、首都圏という形で東京の経済圏、生活圏が大きいわけですので、やはり大阪と同じような問題を抱えやすいということだと思います。
 もちろん個人補助の充実というのは、私も荒瀬会長のおっしゃったとおり、いい面が非常にあるわけですが、これまでの政策の流れを見ますと、機関補助で賄ってきているわけですので、特に公立高校は、もう機関補助1本だったわけですので、正直、打ち手というか、対処が非常に困難になった状況だと思います。私、今回、具体的に申し上げたいのは、都道府県立の高校の振興策というのは、早急に必要だということです。
 あと、検証が大事という点については、私立高校無償化という検証を、どういうところから始めるかということなんですが、もちろん岩本委員がおっしゃったように政策の効果、アウトカムレベルまでやれるのはいいと思いますが、今の時点では、例えば、私立高校通学者の実質的な支出額、これ、授業料だけではない、いろいろな負担があるわけですし、私立に入れて、無償化だし、よかったよかったではなくて、実際どのぐらいの負担があるのかという、これまさに表示された価格と実際の負担額が異なっていた場合には、ある意味、消費者庁マターになるわけですので、情報の非対称性がどのぐらいあるかということにもつながってきます。そういうことを明らかにするところから始めたほうがいいと思います。
 あとは、無償化政策の目的というのは何だったかというのは振り返るべきだと思いますし、今回の私立高校無償化というのは、当初に遡って適切な手段足り得ているかというのは、この辺りで検証したほうがいいと思います。もちろん今の時点で、先ほども御意見あったように、事実上の義務教育化を加速、一歩進めたという点においては、私は非常にいいことだったと思います。高校無償化政策ということに関しては、これは非常に大きな肯定的な評価ができる点ですが、であればこそ、アメリカでは以前、この部会でも申し上げましたが、カレッジアンドキャリアレディーというのが大事だと。
 アメリカでは高校が義務教育ですので、事実上の義務教育化が進む日本でも質保障というのはきっちり検証すべきだし、重要視すべきだと思います。例えば、先ほど専門学科の話題が出ていましたが、まさにそういう点です。就職させればいいというわけではなくて、例えば専門学科の質を向上して、大学への進学という道があるというようなことも考えなければいけないと思います。
 繰り返しになると思いますが、やはり今、都道府県立、公立と、それから私立でいうと、どうも私立のほうにニーズが発生しやすい、あるいは生徒が行きやすい状態というのが生まれつつあると思います。もちろん私立の振興というのは、非常に大事なんですけれども、イコールフッティング、足り得ていないと思うんです。公私の切磋琢磨というよりは、むしろ公立は、支援の対象から少しこぼれ落ち始めているんじゃないかなと思います。
 例えば、具体的なことを申し上げますと、私立はかなり広範囲で通学バスを回しているように私は認識しているわけですが、こういった点も、公立でイコールフッティングするのであれば、公立の通学バスの費用を支援するとかというようにして、文字どおり切磋琢磨ができるような、同じ土俵に私立と公立を乗せられるようなことというのは、考えると幾らでも具体的なものが出てくると思いますので、そういう都道府県立への支援というのを、この時点で重視していただきたいなと思います。あとは検証も大事だということを申し上げました。
 少し長くなりましたが、以上です。ありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。この話、今日だけで終わりませんので、青木先生、またいろいろと、具体的な研究の状況とかも教えていただけるとありがたいなと思うんですけれども、今おっしゃった、少なくとも公立に対する支援というものも、もっと真剣に、しっかり考えないといけないんじゃないかというのは、具体的に本当に大事なことだろうと思いながら聞きました。ありがとうございました。
 それでは、鍛治田委員、田村委員、塩瀬委員、濱田委員の順番でお願いいたします。鍛治田委員、お願いいたします。
【鍛治田委員】  青木先生の論理的な深い知見の後で、非常に現場的な話になりますけれども、まず、就学支援金に関しまして、影響が出ましたのは、大阪府では、公立が半数の70校が定員割れになりました。私立は20年ぶりに31%の人が専願になったというような状況が出ています。
 私立は万々歳かといいますと、先ほど長塚委員からも出ていましたけれども、キャップ制があります。全日制98校ありますが、推進校になっていない1校を別としましても、授業料が63万円以上のところ、70万円代のところも、十数校あったと思うんですが、そこは70万円の学費の教育活動を計画している中で63万円しか入りませんので、その分、7万円分が学校負担。それは奨学費支出として出ますね。支出として上がってくるんですけれども、それが大人数の学校は学校負担が1億超えるので非常に大変だということも聞いています。
 通信で言いますと、授業料だけじゃなくて一律に払う費用も無償化対象になるので、それが府の限度額を超える場合は学校負担になるといった、そのような状況が出てきているので、完成年度に向けて対策をしなければいけないことはたくさん出ています。
 全く違う話ですけれども、2つ、意見を述べたいと思います。ちゃんとした人の人的配置のことも出ていたと思うんですけれども、SSWについて、今後資格などをつくっていくのか、もしくは、社会福祉士や精神保健福祉士の資格だけではなく、実習制度をつくるのかとか、その辺りの見通しも、もしかしたら基準をつくっておいたほうがいいんじゃないかなと思いました。
 本校では常勤のSSWがいるので、今年度、SSWの実習先として受入れをするのですが、実習先がなくて非常に困っていると。教育委員会にも当たったけれども無理だったということで、その人は他府県からマンスリーマンションを借りて本校で実習されるのですが、配置の充実とともに、質の高い人の充実、質の高い人を輩出するための仕組みも要るんじゃないかなと思いました。
 もう一つが、学びの多様化学校についても増やしていきたいというところで、生徒の選択肢が増えるのは非常にいいと思っていますし、オルタナティブな学び方ができることは喜ばしいんですけれども、ただ、今後の見通しで、全体の比率とか予算的なこと、また、教員不足も懸念がありますので、この辺りの計画についてお尋ねしたいと思いました。
 本校、高等専修学校のほうですけれども、デンマークのエフタスコーレと連携して、同一年度に生徒が行き、向こうの生徒が来るといった交換プログラムをしています。高校に上がる前の1年間、全寮制で将来何をしたいかとか、何が好きなのかと問うような、模索するようなことが学びのコンセプトのエフタスコーレですが、こういった時間の使い方ができるような教育システムも、どこか頭の中に入れながら、このワーキングでいろいろなことが柔軟に決まっていっていると思うんですけれども、もっと先には学校が楽しいとか、学びたいとか思っているような仕組みが要るんじゃないかなと思いました。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。皆さんから御発言をいただくたびに、いろいろな課題が出てきて、なかなかこれは、文科省も大わらわといいますか、忙しくなるわけですけど、今日みたいな、こういった形で御意見をいただくことはしていなかったので、今日のご意見を整理した上で、また改めて、幾つかずつでも絞って議論をする必要があるなと思います。事務局のほうでまとめていただきますようによろしくお願いいたします。よろしいですか、そういう感じで。
【田中参事官】  今日いただいた意見、今、幅広い観点で意見をいただいておりますので、それは毎回、先生方の意見の概要というのをつくらせていただいておりますし、その中で、特に主査のほうに御相談させていただいて、論点を議論する会というのを、例えばこの先、設けていくかどうかとか、その辺りは荒瀬主査のほうに、事務局として御相談申し上げたいと思っております。
【荒瀬主査】  よろしくお願いします。全てを同じだけの時間かけて、同じ深さで議論するということは、なかなか難しくなるかと思いますので、優先順位をつけるといったことも含めて考える必要があるし、ここで議論することと、ここだけでは議論できないことがあるということもありますので、その辺の整理を考えていきたいと思います。
 あと、田村先生に御発言いただきますけど、田村先生とも御相談しながら、またやっていきたいと思います。では、田村委員お願いいたします。
【田村主査代理】  失礼いたします。本日は、修学支援以外についても、不登校生徒等に向けた遠隔の授業の在り方についての制度改革が始まったとか、これから行われる、例えば専門学科、通信制と全日制での通信教育の在り方であるとか、それから、新たにDXハイスクールとか、そういったことが、たくさん話題に上がっていたかと思います。
 それらにつきましても、修学支援だけではなく、いかにして検証していくのかということを、今の段階である程度、目星をつけておく必要があるのではないかなと思います。誰を対象に調査をするのか、そして、何をアウトカムとして据えて、どういう基準でこれを評価していくのかということです。例えば、進路実現がよりかなうようになったであるとか、高校を選択する際に地元の高校を選びやすくなったであるとか、あるいは、生徒さんにとってのベネフィットだけではなく、それを実行する際に、教員がどれぐらい時間を使ったのか、あるいは教員以外の支援の人たちが、どれぐらいの人数が必要で、どれぐらいの費用がそこにかかったのかといったコスト面、そういったことを検証していくということが必要だと思います。
 今、働き方改革の影響で、調査をするのもとても難しいとは思うんですけれども、始まったばかりの制度でありまして、そして、これを有効に活用していくというのが、これからの持続可能な高等学校の教育の中で重要なファクターになってくるかと思いますので、効果的な在り方ということを含めて、きちんと形にしていくということが必要なのではないかなと思います。
 それから、それにも関わりますけれども、これからいろいろな検証事業が行われるわけなんですが、今回、特にDXスクールは1,000校規模だとお聞きしまして、全国4,700校ぐらいの高校ですか、これに対しますと大変大きな数だと思います。SSHやマイスター・ハイスクールとかも入れますと、大体、大きく見積もって日本の高校の4分の1ぐらいが何らかの研究事業に関わっていくような状態になっているということになるんですが、そうなってくると、気になるのが、ここにリーチアウトしない、あるいはできない学校も恐らくあるのではないかと思います。私はリーチアウトできない学校のほうが気になります。以前、ワーキングの議論の中でも、これといった地域の特色もない、どうしたらいいんだといったような声が、高校のほうから上がっているという声も聞いております。
 研究事業を受けるときには、例えば情報を収集するアンテナの高さであったり、申請書をしっかり書く、そういう経験であったり、それを書く人員であったり、あるいは、校内で研究を受けるというコンセンサスを取ることであったり、様々なハードルがあって、そのハードルを越えていかないとそこにたどり着かないと思うんですけれども、そういったいろいろなこともあって、ここにリーチアウトしない、あるいはできない学校が、ここで検証されてきたことを、その後、生かしていくときには、どうすれば、やらされ感がなく、御自身の学校のニーズに照らして、ここで出られた知見を生かしていけるのかということもコミュニケーションをしていく必要があるのではないかなと思いました。以上でございます。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。最初におっしゃったこと、先生また具体的に、どういったテーマでこれから時間をかけるのかということについての御相談をしたいと思いますのと、あとの話は、本当にいろいろ考えますね。ただ、どこにも高校生がいるのは、高等学校がある以上、高校生がいるのは間違いないですので、高校生一人一人が本当に学びを深められる。かつ、また誇りを持って、これから人生に向かっていけるようなことをどうしていくのかという本当に重要なところをどう考えるのか、リーチアウトしない、できないという、ここのところとの関わりが、それが強くなってくるとすると、先生がおっしゃったように、4分の1が参加していたら、4分の3は参加していないとしたら、4分の3が本当に困ることになってしまうので、そうならないようにしていくにはどうしたらいいのかということを、また御相談しながら進めていきたいと思います。
 それはそれとしまして、大変きれいな桜が後ろに。
【田村主査代理】  ありがとうございます。
【荒瀬主査】  石崎先生の学校は、桜の中で入学式をお迎えになったそうで。
【石崎委員】  ありがとうございます。
【荒瀬主査】  では、塩瀬委員、濱田委員の順でお願いいたします。塩瀬委員、お願いいたします。
【塩瀬委員】  よろしくお願いします。京都大学の塩瀬です。
 私のほうからは3点、通信とDXと少子化の3点について、紹介、コメントさせていただければと思います。
 まず、通信のほうに関してなんですけど、オンラインとか通信教育の質確保という観点なんですけど、これを、できればオンライン学習環境自体の質保証というように視点を少しずらしたほうが良いのかなと思いまして、それは何かといいますと、単に通信教育の質というのは、学校の監視みたいなイメージがあるんですけど、それだけではなくて、取り組む生徒側の通信的な、通信による学習能力の練習の機会というのが、多分それほど多いわけではないので、そこも大事ですし、地域としても環境がしっかりと整っているかどうかの確認が要るのではないかなと。
 これは、今、不登校対策で学校に通えない子たちの対策に、幾つか結構オンライン教室とかメタバース教室という取組が、ざっと去年ぐらいから増えてはいるんですけれど、1回がっかりするんです。開催しても、その途中で抜けてしまう生徒さんがいるとか、そもそもつなげないとか、だから、先ほど岡本委員がなかなかアクセスできないという状況がありましたけど、ああいう状況で、そのままつながらなくなってしまうとかというのは結構たくさんある機会で、せっかく場を用意したのに生徒が来てもらえないというのが、今、少しずつ上がってきていまして、でも、1回がっかりするから、だからもう駄目だとなってしまうと、また、通信を簡単に諦めてしまうことにもなりますので、それは逆に言うと、それをメンテしてフォローする人がちゃんとついてなかったりとかもしますし、生徒の側も、急に高校に行くときに、中学校まで通えなかったので通信にするという消極的な選択をしてしまうと、オンライン上で学ぶという力がついていないことになるので、できれば義務教育段階までにも、遠隔とちゃんと学ぶという練習自体を整備しないと、なかなか通信を全日制とか定時制とかだと、オルタナティブとしてちゃんと見てもらえなくなるのではないかなと思いますので、高等教育だけではなくて、環境も含めてちゃんと整備する必要があるのかなと思います。
 そのうちの一つに、キッズドアさんが調べていたやつに、困窮家庭の1割が、ネット環境がそもそもないというお話があって、つまりバーチャルを用意すればフォローできたということに、免罪符的に今言われているような気がするので、そうでなくて、本当に届くかどうかまでの検証を含めて、しっかりとできたらというのが、先ほどのオンライン学習環境の質がちゃんと保障できているかどうかを見守っていけたらなと思います。
 2点目のDXに関してなんですけど、DX、先ほども1,000校という単位で出てくるのでしっかりと見ていけたらとあったと思うんですけど、これがどういった学校をセレクションしていくのかというあたりが、また方針とかもお聞かせいただけたらなと思うんですけど、その一つは何かというと、授業のDX化だけではなくて、高等教育改革の中での教務部分とか、バックヤード部分のDXも非常に重要だろうと思うんですけども、割とどういった授業をするかというところに結構、高校のアイデアが偏りそうな気もしていまして、例えば、今年の春に高校の願書提出忘れというのがあったかと思うんですけど、いい加減ネットでやればいいですよね。いつまで先生が出しに行くというシステムを取っているのかと考えると、授業のDXよりもそっちを先にやったほうがいいんじゃないかなと思うので、そういうことも含めて、DXの環境がどこを整備するのかという点でいうと、ああいう不公平な状態に陥らないように、しっかりと整備にDXが使われているかどうかというのも、本当は選ばれる高校の中にあるといいなと思いますので、そういうところを期待しております。
 最後、3つ目の少子化に関しては、岩本委員も御指摘されていたことだと思うんですけれども、小規模校の中でのニーズの減り方って半端なくて、今年の高校3年生の卒業が、去年と今年でいうと109万人ですよね。それって、単純に今から18年前の出生数が109万1,000人だからですよね。去年の出生数が75万人なので、単純に考えて、卒業生はどうやっても3分の2しか全体パイがないんですよね。そう考えると、普通に考えて、高校3分の1なくなる計算になりますし、偏ればもっと加速しますよね。
 その中で、先ほども、青木委員や鍛治田委員が御指摘されていた私立高校の無償化自体は、機会均等という点では重要なんだけれども、確実に公立の高校の統廃合が加速するという状況が起こり得ると思うので、そうなったときに、その地域の子たちの学習環境の公平さというのを考えると、あれ、なくなりましたでは済まないと思いますので、そう考えると、15年分ちゃんとシミュレーションしたほうが良いのではないか。あるいは、15年前に109万人になるシミュレーションをした上で今の対策が打たれているのかと考えたときに、もし打っていないんだとするならば、今から15年はせめて、5年刻みでも何でもいいので、確実に100万人を切って、確実に90万人を切って、75万人を切るという、5年ペースで10万ずつ減るのも確実に分かっているわけです。
 そのための政策を15年分打っておかないと、同じように慌てるんじゃないかなと思いますし、文言が、驚くや80万人を切ってみたいな話になりそうな気がするので、もう既に15年前に分かっていることなのだから、せめて15年かけて対策を練れたらなと思いますので、そこが多分地域のためと、日本全体としての共通の部分をちゃんと整理できたらなと思います。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。最後のお話は、さっきの岩本さんの話とも重なって、大変怖い話ですよね。だから準備をしておかなければならないのに、準備しないでどんどん減っていますね、減っていますねというだけではどうにもならないので、しっかり考えないといけないというのと、DXの話は少し違うかもしれませんけれども、実際に授業での効果ということを考えても、校務でICT環境を整備して使っていくかどうかということが、授業での効果というところにも影響があるというのは、これ、愛知県の春日井市の高森台中学校なんかの取組で、もう明らかになっていますよね。
 これはあれ、あれはこれというように分けて使うんじゃなくて、同じように使っていくということが効果的であるんじゃないかということが言われていますので、その辺りを含めて、学校が、そういった意欲的ないろいろな取組をしてくださることを御期待するものであります。ありがとうございました。
 では、濱田委員お願いいたします。
【濱田委員】  失礼いたします。少し感想みたいなことになって申し訳ないんですけれども、遠隔授業関係について、高校ワーキング中間まとめを踏まえた制度改正、非常にありがたいと思っています。受信側の授業への教員配置ですとか、それから対面授業の実施時間数を、条件付ですけれども1時間にしていただけるなど、非常に遠隔が進む方向で制度改正をしていただいたことを心から感謝申し上げます。
 ただ、対面の時間については、そこに要件が3つあって、それを全て満たすことというようなことがあるわけですけれども、高知県のように、毎年毎年、中山間地域や小規模高校の遠隔授業について、受信している側の高校に寄り添う形で支援しているような体制を取っている県においては、3つの要件を全て満たすというのは非常に難しいところがございますので、また、この制度改正を基に、より柔軟に、各県の実情や取組を踏まえながら柔軟な方向で進めていただくようにお願いをしたいと思います。
 2点目は、教師を取り巻く環境整備についての資料等がございました。働き方改革もなかなか進まなく、非常に教師たちは厳しい状況にはございます。ただ、私が自分の教員時代を振り返りますと、確かに今とは少し状況は違いましたが、荒瀬先生もそうだと思いますけど、猛烈に働いておりました。ただ、今とその頃、私どもと違うところは、研修が非常に充実していた。それも、自主的な研修が学校の中でも認められていました。教育センターからの研修をはじめ、指名されて受けに行くのではなくて、長期も含め、夏季休業中、例えば40日間、ぐっすりと自分のための、次の2学期以降の準備のために、それらが全て使えたんです。そういったことでリフレッシュしながら、また、2学期、3学期と頑張れた、子供たちのために頑張れた。
 でも、今は結構、生徒のための夏季休業中であって、そこに様々、仕事が入っております。そういったところを少し、研究と修養が教員には求められておりますし、それが責務になっておりますので、そういった意味の研修の在り方というところを、少し働き方改革の観点からもう一度、お考えいただけたらなと思っております。
 3つ目は、私立、公立の問題です。高知県のように、学校数の割合に基づくと、私立高校が高知県の場合は多いんです。私も私立出身ですので、あまり言えないんですけど、私立が多くて、それも進学校が多くて、そして、授業料が無償化されているので、どんどん私立高校に進学しやすくなっています。一方、公立は中山間が多くて、小規模校になっています。私立は確かに私立で、公立とは別なんでしょうが、学級数とか生徒数なども、公立は公立の中で、妥当なといいますか、削減したりというようなこと長年やってきているわけですけれども、本県の私立はそのままの生徒数で来ています。
 そういったことも踏まえて、公立、私立の在り方というのも、今後、検討をしていくというか、互いに良さも発揮しながら存在することが生徒のためだと考えますので、少し、そういった定数面での検討公立、私立の在り方はどうあるべきかということを御検討いただけたらなとは思っております。よろしくお願いいたします。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。また本当に、御一緒に検討していきたいと思います。
 高知県、特に遠隔について、非常に先進的のお取り組みになっていらっしゃいますので、要件についても、高知県での考えというのが相当反映されていると思うんですけど、まだまだ、決めてつくっていくことというのは完成するわけではないので、ちょっとでもいいものに向けて、さらに意見を出していただいて、より良いものにしていければと思います。
 それと、教師の環境ですけれども、具体的にまだ出てはいませんけれども、質の高い教師確保特別部会のほうで、いろいろ議論してきたことをまとめることが近々行われていくと思います。そういう中で、自分の時間を使って自分で学ぶようなことができるように、まさに今、おっしゃったみたいな、夏休みとかどうするのかといったことについても相当議論も、中でも出ておりましたので、なかなかサバティカルというところまではいかないかもしれませんけども、少なくとも長期休業期間中というのは、具体的に、先生が自分の研修をするための、学びを深めるための、豊かな学びをするための時間になるということが盛り込まれることも考えられると思います。
 これ、校長もしっかりと考えていただく必要があると思うんですけど、教育委員会もしっかり考えていただく必要があって、ある県の教育委員会が、夏休みの小学校ですけど、プール開放をやめたら、その時間、先生たちは学校に集まって研修をしていらっしゃるんです。子供がいないから、子供の心配をすることなく、本当にしっかりみっちり研修ができる。学べてうれしいというような、そういう声が現に出ていますので、そういうことを、模索しながらやっていく、振り返って、きちんとまたよりよいものにしていくということが大事かなと思って、聞いておりました。ありがとうございました。
 では、沖山委員、お願いいたします。
【沖山委員】  もう時間も終盤になったところで、発言の機会いただきありがとうございます。高校の校長を務めているという立場で一言だけ、一つだけ、お話をしたいと思うんですけど、私、実は同じ学校で3年、校長をしていて、いずれオンラインで学んだりすることが当たり前になっていて、いつでもどこでも、どの家でも学べる学校がやってきますよみたいな話を、出会う中学生や親御さんたち、地域の人たちと話をしているので、すっかり3年間たってみたら、ありがたいニックネームをいただくようになって、ほら吹き校長とニックネームを。これは実はとても愛情を込めて、ほら吹き校長と言っていただくことが増えました。どんどんほら吹いてほしいと。校長が言うように、いい方向に学校が変わっていくように、どんどんもっともっとほら吹いてほしいといただいています。
 そこに力を入れて、それだけをエネルギーに今、仕事をしていますけども、ただ、昨年の8月の末、いわゆる36単位という報道があって、これは大きな報道だったので、報道というのか内容だったので、当然、今春、入学してくる、高校を目指してくる子供たち、その親御さんも、恐らく4月に高校に入学したらそういう世界が待っていて、仮に登校できなくなったときに、でも36単位までオンライン、通信教育の仕組みでということが、あれだけうたわれていたから、報道されていたから、きっとそういう制度があるんですよね、そういうお気持ちで入学をしてきています。
 今日、都立高校の多くが今日入学式だったんですけども、入学式の後の保護者に残っていただいたお話をする機会の中で、校長、どうなっていますか、この学校はどうなっていますかと聞かれました。私は正直に答えました。することができるという規定が整いましたと。教育委員会もQAをつくって、学校の先生方が困らないように、こういう方法でやればできますよねということを示したので、整いましたと。ただ、あとは、それができるかどうかは、まだどのぐらい時間がかかるかというところについては、具体的に申し上げられないということを、そんな答え方をしたんです。
 なるほど、ほら吹き校長だなというように、また思われたかもしれないんですけども、今日、何が最後に申し上げたいかというと、これは結局、36単位の問題に限らず、今日、様々な報告をいただきましたけど、これ、いつの話を、いつこうなるという話をしているのかということが、もう少し明確にならなきゃいけなかったのかな、ならないといけないかなと感じています。
 つまり、先ほどの36単位の問題にしても、いつ、学校の現場ではそうなりますよ。いつまでにこれをやりましょう、やりますよということが、もう少し具体的に示せるようにならないと、いつまでもほら吹き校長と言われて喜んでいては駄目な時期に来たなと思っています。
 それで、当然無償化の問題、様々な支援金の問題もそうですし、先ほどどなたかもお話もありましたけども、収入がどこで区切られるとか、いつからそうなるかとか、当然、保護者の方たちも非常に大きな関心ですから、36単位の問題なんかも、いつまでに全ての学校で取り組むようにするという目標が明確に示されないと、調査研究や好事例の収集をこれからしていくということはあるにしても、今、実際に学校で学んで、今、不登校にあるという子供たちの夢も希望もないという感じがしてしまうので、そこを校長が、校長の判断できるものとするということになっているわけですから、校長が判断すればいいのかもしれませんけども、しかし、実際にやっていく上においては、非常に大きな取組を必要としているので、そのためにも、もう区切ってもらって、いつまでに、例えば今後3年で必ずこうするとか、そういうメッセージがもう少し出せるような提案になっていくといいのかなと感じました。長々とすいませんでした。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。誰もやらなければ始まらないでしょうから、校長の権限はいろいろあるわけですので、それを振りかざすというのでなく、淡々とやっていくことが重要かと思います。それを止める教育委員会であれば、ちょっとそれは違うんじゃないですかという話で、もちろんきちんとした話をした上だと思うんですけれども、言わなければ議論にもならないし、議論にならなければ現実の改善には程遠いし、36単位も言うことによって、こうして形ができてきているわけですから、これを次はどうするかというのは、ぜひまた考えながら進めていければと思います。よろしくお願いします。
 では、清水委員お願いいたします。
【清水委員】  よろしくお願いします。参加が遅くなりまして、申し訳ありませんでした。私のほうからは2点ほどお願いをしたいと思います。
 先ほど、専門高校に対するお話もありましたので、この辺について触れさせていただきたいと思います。支援についてなんですが、令和2年度の補正予算で、コロナ禍において、スマート専門高校という予算をつけていただきまして、非常に多くの学校が様々な新しい機器を導入させていただいて、今、活用が進んでいるのかなと思います。
 ただ、この予算が、デジタル化対応産業教育装置の整備に必要な経費ということで、ある意味、条件がいろいろあったのが現状であります。そのため、老朽化してしまっている産業教育の設備の更新、こういったところまで手が回っていないのが現状でありまして、この辺は、各自治体のほうで賄っているのが今も現状なのかなと思います。なかなか産業教育にかかるお金というのが非常に高額になっておりますので、各都道府県でかなり厳しい状況の中でやりくりをされていて、なかなか全体の設備投資がしっかりできていないのが現状なのかなと思います。
 また、専門高校は、受益者負担になってしまっているのが、例えば実習費であるとか、実習着、着るもの、こういったものとか様々な道具、さらには、ここでコンピューターの購入だとか、こういったものも基本的には、高校の場合には、保護者に負担していただいているのが現状ということで、入学時にかかるお金が非常に高額になってしまっている。普通高校に比べて、専門高校はさらにプラスアルファがありますので、やはり入学時にこの辺でちゅうちょされる高校でもあるのかなとも思います。
 こういった支援の何か手だてがあるとありがたいなということで、今日、様々な事業の御紹介がありましたので、今後検討していただけるとありがたいなと思っているところであります。
 2つ目が、DXハイスクールのことが出ておりましたので、この点、伺いたいということもあるんですけども、私の見方が間違っているかもしれませんので、確認の意味も含めてお願いしたいんですが、資料1の7と8にDXハイスクールのことが書かれています。この中で、専門高校において、大学等と連携した高度な専門教育指導の実施であるとか、これが書かれているわけなんですが、この中で、申請要件、これは資料の8ページに当たりますが、申請要件の必須要件として、その上です。指令要件のところで、必須要件の1-1、1-2のいずれか一つ、及び2を満たすことが必要と書かれているんですが、特別支援学校の高等部は2-2のみ満たすことで申請可と書かれているようなんですけども、これというのは、例えば専門高校が応募して、これにDXハイスクールをお願いしたいとしたときには、1-1、1-2のいずれか、それと2を満たすことが条件ということになってくると読めばよろしいんでしょうか。
 1-1、1-2は情報2、これらを開設するというのが一つの条件になっているようでして、専門高校で情報2を開設することってかなりハードルが高いのが現状なんです。この辺は、情報2を学校として開校した上で、初めて2のデジタル環境の整備と教育内容の充実というものを、これは合わせないといけないものなのか、できればこれは切り離していただけることが、専門高校が様々な取組をする中で、DXハイスクールへの申請が多くなるのかなと思うんですが、私の読み方が間違っていたら、また御指摘いただければありがたいなと思います。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。今の後のほうの件、お願いします。
【田中参事官】  清水委員、御質問ありがとうございます。専門高校については、これは「情報2等」でございまして、8ページの1-2のところにありますように、情報2だけではなくて、情報2の内容を含むことにより、指導内容を充実させた職業系の教科、科目というものを入れております。
 つまり、専門高校は、御指摘のとおり、情報2を非常に置きにくいということは理解しておりますので、逆に、例えば工業高校であればプログラミングの科目なども充実してございますし、こういったものを高度に取り組んでいただくことによって条件を満たすものと考えております。
 今、DXハイスクールは審査中でありますけれども、実際に多くの専門高校からも手を挙げていただいておりまして、これまた、この後になりますけれども、普通科だけではなくて専門高校のほうも、かなりの数、採択できるのではないかなというような感触を持っているところでございます。
【清水委員】  どうもありがとうございます。この辺で少しちゅうちょしている学校が見受けられたものでしたので、参考になりました。ありがとうございました。
【荒瀬主査】  ありがとうございます。ちゅうちょもあると思うんですけども、ぜひ、そういうところ、直接お聞きになるといったことも含めて教育委員会に聞いてみるとか、あるいは文科省に直接聞くのがいいのかどうか分かりませんけれども、思い切って出してみるとか、そういうことはこれまでも、私自身の経験でも、文科省は違うことを示していたけど、出してみたら通ったということはありましたので、ぜひ、どんどんいうことにしてはどうかと思います。そういうところで、ためらいは一番もったいない気がいたします。
 では、すいません、お待たせしました。篠原先生、お願いします。
【篠原委員】  ありがとうございます。本当に高校ワーキングという最初のお題からして、とても広範囲な高校全体のことの在り方を考えるというスタートのときのことを、また今日は改めて思い出してしまったような時間だったんですけれども、それをまた、1年かけて議論していく中で、私2点、お伝えをしたいと思いました。
 一つは、柱の立て方といいましょうか、本当に広範囲なことがある中で、一番、このワーキングの中で大事にすべきことというのは、あるいは目指すことは何なのかということを、皆さんで共通認識を持つようなことがあったほうが、議論が収れんされていくのかなと。
 例えばですけれども、今いろいろな御意見があった中で、小中、いろいろな施策は打たれているけれども、高校までには及ばないという、そこの思いというのはどんな学校種であれ、感じていることなんです。ですので、例えばですけれども、実態がそうなっているので、今後、義務並みを目指す施策というのを、まず上位に置くみたいな、例えばですけれども、そういう話ですとか、それを基に短期的にできること、あるいは時間がかかること、今日の議論の中でもたくさんいろいろあったと思いますので、そこをマッピングしていくといったら変ですけれども、きちんと計画を立ててやっていくと。
 そのために、2番目に申し上げたいのが、今日もいろいろ御意見があったように、データですとか数字、科学的根拠、そういうものを、施策を出すときに元にして考えていくということが、よりもう一段階必要かなということを感じました。
 例えばですけども、少子化についても、現状で75万人と言っていますけども、将来人口推計というのを出されていますから、50万人の時代がもう予測されていますよね。ですので、文科行政としては、例えば子供たちの生まれる割合が50万人しかならなかったときに、この国の教育の在り方というのはどうすべきなのかというような、すごく本当に大テーマも見据えながら、科学的な根拠というものを持って、施策の展開といいましょうか、配置を考えていったほうがいいのではないかと。
 そのときには、やはり今、議論がありましたように、いつだとか、どの程度の範囲のことをやるかということを、本当にPDCAを回して、やってみたけど、どうだったのかということを検証しながら進めていくということも、併せて必要なのではないかということを感じました。
 民間で言えば、例えばKPIですとかPDCAとか、当たり前のように言われていることというのを、行政の施策の中でも少しずつ入れ込んでいくといいましょうか、そういうことというのが必要なのかなと思っています。でも一方で、私は、これは荒瀬主査が最初におっしゃったように、夢を語ろうよということ、それも教育の中ではとても大事だと思っておりますので、がんじがらめの客観的なデータだけで物を進めるわけではないんですけれども、それこそ、高校生はどう思っているのか、今の保護者はどう感じているのか、あるいは、今の就職した、コロナ禍を過ごした学生たちはどんなことを感じて今、社会に出ているのか、何かそういうあらゆる層の声というのが吸収された上で、次の施策が展開されるということができると、とてもすてきだなと思っています。
 そのためには、もしかすると、大がかりな何とか調査というのではなくて、場合によってはですけれども、こういうことに対して聞きたいということを手軽にやるような調査方法というのを、もう少しハードル低く、調査の精度としては、あるいは、精度が低いのかもしれませんけれども、参考意見としても、こんな流れになっているということを少しずつ取り入れていくような、そういう進め方というのができると、いろいろな展開が変わっていくのではないかなと思います。
 繰り返しになりますけど、一つの意見としては、やはり定数、例えば1クラス40人ではなくて、もう最低30人、あるいは25人になれば、今の不登校の問題、かなり解消されると言っている義務の先生たちもすごくいますし、そういうことを含めて、どこにそれこそ予算配分をしていくのか、お金をかけていくのかということを大きく捉えることからスタートすることが必要かなと感じました。以上です。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。最後の具体的な話も非常に重要なお話でありますけれども、その前の2つのお話は、今日の議論をまとめていただいて、今後、こういう形で議論していきましょうということを具体的に提案していただいたものと思います。ありがとうございました。
 それでは、今日、いつも時間が十分ちゃんと使えていなくて申し訳ありません。時間が参りましたので、この辺りにしたいと思います。
 少し超えてしまっているんですけど、今、全体を通して事務局、田中さん。
【田中参事官】  ありがとうございました。今、最後、篠原先生から御指摘ありましたけれども、いろいろ意見が出たところで、今後どういった御議論を重ねていくか、荒瀬先生、それから田村先生とも御相談したいと思います。
 今回、いわゆる諮問というものでスタートしていないので、通常、中教審の審議というのは諮問があって、これを議論してくださいということを大臣からお伝えさせていただいて、そのことに対して御答申をいただくというのが通常でございますが、高校ワーキングはそういう形というよりは、特別部会の下で設置していただいたので、そこが明確にあるわけではございません。
 ただ、最初に、中間まとめの御議論を始めていただいたときは4つのテーマを議論するのだと。それは高等学校教育の在り方、多様性と共通性の問題、2点目は、少子化が加速する地域における高校の在り方、3点目として、全日制、定時制、通信制の望ましい在り方、4点目として、社会に開かれた教育課程の実現、探究、文理横断、実践的な学びの推進ということでございました。
 今日、事務局からも紹介させていただいた、修学支援の話というのは実はこの中には入っていないのですが、本日、先生方から御発言いただいたことは、そこの部分を除くと大体、この4点に、大きく言うと集約されるものですので、もともと4点というのが柱だとは考えております。
 その上で、諮問があるわけではございませんので、委員の間で自由闊達な御意見をいただいて議論を進めていくということだと思いますので、この辺の進め方は、また、よく事務局としても御相談をさせていただきたいと思っております。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 まだ御意見のある方は、また事務局のほうにメール等でお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、次回以降の日程につきまして。
【度會参事官補佐】  本日も様々な視点から、多岐にわたる御意見をいただき、ありがとうございました。
 次回の日程につきましては、また、追って調整させていただいた上で、事務局より御連絡させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議事はこれで終了したいと思います。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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