中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会(第142回)議事録

1.日時

令和6年4月24日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

5F4会議室(WEB会議)

3.議題

  1. 令和5年度教職課程認定大学等実施視察について
  2. 教師不足に対する取組の調査結果について    
  3. 教員養成大学・学部、教職大学院の取組状況について
  4. 免許外教科担任の許可等に関する指針の改訂(案)について
  5. 特別免許状に関する運用の見直し(案)について
  6. その他

4.議事録

【秋田部会長】  皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会第142回教員養成部会を開催いたします。
 それではまず、事務局からの会議の開催方法と資料について、説明をお願いいたします。
【重親教育人材政策課課長補佐】  文部科学省教育人材政策課の重親でございます。本日もどうぞよろしくお願いします。
 会議の進め方について確認させていただきます。オンライン参加の委員の皆様におかれましては、発言時以外はマイクをオフ(ミュート)にしていただくこと、また、御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただくこと、こちらに御協力をお願いいたします。
 本会議の模様は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信をしております。Zoomのチャット機能については傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段としていただくなど、補助的な使用としていただきますようお願いいたします。
 配付資料は、議事次第にございますとおり、8点となっております。なお、本日は途中参加の委員がいらっしゃいますので、報告案件を先に説明させていただく予定でございます。
 事務局からは以上です。
【秋田部会長】  御説明を、どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議事について申し上げます。議事は議事次第のとおり6つございます。
 それでは、議事1に入りたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。
【石川教員免許・研修企画室長】  教員免許・研修企画室長の石川でございます。
 議題1、令和5年度教職課程認定大学実地視察についてでございます。こちらにつきましては、教職課程認定実地視察規程に基づき、毎年行っているものでございます。
 昨年度の実地視察につきまして、視察に行かれました森田委員より御報告させていただければと思います。森田委員、よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】  どうぞお願いします。
【森田委員】  森田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。お手元、資料1に基づきまして、令和5年度の課程認定大学実地視察の結果について御報告をいたします。
 実地視察につきましては、既に認定を受けた教職課程のその水準の維持向上を図ることを目的として毎年度実施しているものでございます。令和5年度におきましては、9つの大学、そして1つの教員養成機関に対して実施いたしました。その概要につきまして、御報告させていただきます。
 視察におきましては教職課程の実施・指導体制、それから教育課程から履修の方法、シラバスの状況等などの観点を中心に、教職課程が法令等の基準に達し、また、適切な水準にあるかどうかの確認を行うということで実施をしております。
 令和5年度におきましては、昨年度の養成部会のところでも御報告させていただきましたとおり、一部オンラインによる実地視察ということで行わせていただきましたけれども、これにつきましては、次年度の実地視察におきましても委員の負担軽減の観点もございますので、引き続きオンラインを有効に活用した実地視察等を行っていく予定でございます。
 令和5年度の実地視察の概要でございますけれども、資料1に個別事項を含めてまとめておりますけれども、全体として見ますと、教職課程の質を向上させるための積極的な取組を行っているということや、それぞれの大学等の実態に応じた活動をしているということが確認できました。ただし、その課程認定基準等の観点から、教育課程及び教育研究実施組織等について、是正すべき点のある大学等も幾つか散見されましたので、この点についての改善を求めました。個別の事項の指摘は資料に示したとおりでございます。そしてまた、個別の大学の実地視察に対する講評につきましても、資料等を御参照いただければと思います。
 資料1のところで言いますと、3ページになりますけれども、視察大学等には、3点ほど、まとめとして記載をさせていただいています。1つ目が、学生が体系的・計画的に履修を進めることができるような取組をさらに求めたいということでございます。それから、2点目としましては、全学的な連携や体制のさらなる充実を進めていく、この辺りの重要性について指摘をさせていただいております。そして、3点目でございますが、本部会での視察における指摘事項等も十分に踏まえた自己点検等を実施して、引き続き、教職課程の水準維持・向上に努めていただきたいと、この3点をまとめとして記載させていただいております。
 特に全学的な組織運営ということにつきましては、どの大学におきましても、教職センター等の組織をほぼ置いている状況になっていると思いますが、今後、その組織が実質的に機能しているかどうかということが課題になってくると思いますので、そういった全学的組織を中心にしながら、しっかりと自己点検評価をしていただき、各大学の教職課程の水準の維持・向上に努めていただきたいということで記載をさせていただいたということでございます。
 そしてこの報告案につきましては、本部会で了承いただいた上でホームページに公表するとともに、教職課程を有する大学及び指定教員養成機関に周知するということになります。全ての課程認定大学等がこの報告の指摘内容を理解し、また、各種答申で提言されている内容を再度確認いただいた上で、教職課程の質的水準の維持と向上を図るための取組を各大学の実態に応じて進めていただくということを強く望んでいきたいというふうに思っております。
 以上が、実地視察の報告になります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【秋田部会長】  森田委員、御報告をどうもありがとうございます。まとめとして、3点のことを挙げていただきまして、また、本年度はオンラインの実地視察も含めた形で進められたというようなことでの御報告がございました。
 これで議事のほう、御承認というか、報告事項でございますので、御了承いただけますでしょうか。
 ありがとうございます。こちらで、この議事は終了といたします。
 それでは、議事2に入りたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。
【後藤教育人材政策課長】  それでは、教育人材政策課長の後藤でございます。私から教師不足に対する取組の調査結果について、御説明をさせていただきます。資料の2番を御覧ください。
 まず、1ページ目でございますけれども、今回のこの取組の事例をまとめた経緯でございますけれども、本年の1月23日に、盛山文部科学大臣から、都道府県・指定都市の教育長の集まる会議を臨時に開催した上で、教師不足の対応の強化について、このページに記載のとおりお話をいただいたところでございます。
 直面している教師不足に対応して、緊急臨時的な教師需要に応えるために、教師の成り手確保の取組を強化することが必要だと。十分な指導体制を整えるのは大人の責任であって、今このときの教育環境をしっかり整える必要があるというふうなことをお話いただいた上で、このページの一番下の部分でございますけれども、文部科学省として、各教育委員会が今後教師不足の解消に向けて具体的にどのような見通しを持って、どのように取り組む計画なのか把握をしたいというふうなことをお話しいただきまして、そのことを踏まえて、各自治体における教師不足への対応状況について、文部科学省として把握を行ったところでございます。
 本日は、後ろのページで、その中で、非常に先導的な取組と思われるような内容について御紹介をさせていただいて、その上で、その取組をほかの自治体にも横展開をさせていきたいと、そういうことで資料の御紹介をさせていただきたいと思っております。
 次のページでございますけれども、こちらは具体的な取組の説明の前に、文部科学省といたしましても、この教師人材の確保の強化につきましては令和5年度の補正予算、それから、令和6年度の予算を通じまして、各自治体の取組を支援しております。
 左側は、地域教員希望枠、「地域枠」を活用して教育委員会と、それから教員養成を担う大学が連携・協働して、一体となって質の高い教師を養成段階から一緒に確保していくという取組に対する支援です。
 右側は、大学や民間企業等と連携して、教師人材の教師の成り手の発掘、発掘から研修、マッチング、入職支援といったところを一連に支援するための補助事業を予算として用意しているというものでありまして、外部人材の入職ルートの創出、それによる多様な教職員集団の実現を目指していこうという事業でございます。
 次のページからが、今回の調査によって出てきた各自治体の取組のうちの先導的なものを整理させていただいたページでございます。
【後藤教育人材政策課長】  それでは、資料2について、説明を続けさせていただきたいと思います。
 まず、各自治体の取組事例のうち、現職以外の教員免許保有者向けの研修についての取組でございます。この取組につきましては、令和5年度に文部科学省から全国の教育委員会に対して、こういった現職以外で免許を保有している方の掘り起こしだけでなく、研修も実施をするということが、教師人材の確保に実際に結びついているという事例がありますことから、この実施を推奨していったわけでございますけれども、昨年5月時点で実施している教育委員会が、全国の都道府県・指定都市等の教育委員会全体68のうちの32であったものが、令和5年度中の実施で50自治体、令和6年度の実施予定ということでいけば、58の自治体に取組が拡大してきているということが今回の調査の中で分かったところでございます。
 具体的な取組として紹介させていただきますと、このページの下側にありますが、埼玉県におかれては、ペーパーティーチャーセミナーということで、令和5年度は7回実施をされたということで、これにより参加者が226名、うち臨時的任用教職員や非常勤希望の登録者数が122名ということで、53名が実際の令和6年度当初の任用につながったといった実績が上がっているということでございます。
 また、今年度においては、文科省の先ほどのページで紹介いたしました大学・民間企業と連携した教師人材の確保強化推進事業も活用して、さらに拡大を図っていきたいということでございます。
 また、次のページでございますけれども、同様に現職以外の教員免許保有者向けの研修ということで、大阪府や神戸市においても、このスタートアッププログラムの積極的な取組が行われていることで、資料で御紹介させていただきます。
 また、福岡県におかれては、Teach For Japanと連携をされて、教員志願者向けのパネルディスカッションを開いて、こういった形で教職、教師の仕事というところへの関心の喚起と、それから人材の掘り起こしに取り組まれているという事例でございます。
 次のページでございますけれども、広報やPRの関係での取組での御紹介ですが、このページは千葉県の取組でありまして、教員採用のプロモーションについて民間企業事業者のアイデアを生かした様々なPRを実施されたというところでございます。PR動画でありますとか様々な種類を作られ、また、パンフレット、リーフレット、ポスターなどで広報を展開しておりまして、千葉県千葉市の教員採用情報サイトへの登録者数も4,000人を超えたというようなことで取り組まれているという事例でございます。
 また、次のページは大阪府の事例でございますけれども、大阪府では、4月1日に放送されました「GTO REVIVAL」のドラマ、テレビのドラマと教育委員会のコラボして、このページに記載しておりますようなドラマと大阪府の公立学校教員募集とのコラボのポスターを作成して、これをデジタルサイネージでも大阪メトロの各駅、249か所に掲載するというようなことで、教職に対しての関心の喚起、人材の掘り起こしに取り組まれているという事例でございますので、御紹介をさせていただきます。
 次のページでございますけれども、鹿児島県の取組でございます。鹿児島県では様々な取組が行われているわけでございますが、まず一つは、鹿児島大学と連携をされて、鹿児島大学に免許保有者の方が学び直せる履修証明プログラム、「学校教育キャッチアップ講座」を実施して、その受講にかかる費用を鹿児島県教育委員会が全額負担するというような形で、教師の成り手の確保ということに取り組まれているということで、非常に今年度の取組が好評であったということで、来年度はさらに人員を拡大して実施をする予定であるということをお伺いしております。
 また、そういった取組への関心を喚起するということでのイベントも、イオンモールなどの商業施設で、そういったイベントを開催することで関心を集めるということで取り組まれているものでございます。
 また、次のページでございますけれども、学生等への支援ということでの取組です。このページでは仙台市、相模原市、札幌市の取組を掲載させていただいておりますけれども、教師を目指す大学生、また一部、札幌市の取組の中では高校生も対象になっておりますけれども、教師という仕事を目指すことへの不安とか悩みとか、そういったものを解消できるようなそういう場ということで、教育委員会の方が語るというスタイルではなくて、実際の現職の若い先生と直接意見交換できるような、そういう場を設定したり、また、実際に相模原市の例ですと学校参観のような形で参画したり、また、子供たちと一緒に体験活動をしたり、こういったプログラムで教職への関心やモチベーションを高める取組ということでやられている例ということで、御紹介をさせていただきます。
 また、次の9ページ目でございますけれども、これはマッチングでございます。実際に登録をいただいた教師の成り手、人材の方々と学校現場とのマッチングということで、北海道では地域が大変広いということもありまして、各教育局あるいはその教職員課の任用担当者に一度登録をいただければ、この応募の情報が共有されるという、こういったシステムを構築されて取り組んでいるというようなことですとか、また、下の長崎県も、いろんなその職種の方々の学校への参画について、市町村やあるいはその学校現場とのマッチングを進めるためのシステムを構築されているという取組を御紹介させていただいております。
 また、長崎県では、こういったマッチングの取組のほかにも、金融機関であるとか報道関係者、また、PTAや市町村の教育長さん、校長会の皆さんなども含めた教職の魅力化作戦会議というような会議を置いて、いろんな情報の発信や県教委への施策への提言ということを取り組まれているということでございます。
 以上が、今回の調査の中で見られました中で、ぜひほかの自治体でも取組をまさにまねられて取り組まれるとよいのではないかというふうに思われるものを紹介させていただいたところでございます。詳細な説明は省かせていただきますけれども、本日配付の資料の中で、参考資料1というのがございました。
 参考資料1のほうでは、今回の各教育委員会からの取組の内容についての御回答そのものを、やや細かい資料になりますけれども、全て掲載をさせていただいているところでございますので、また、御参照いただければというふうに考えております。
 資料2のほうは残りの後ろは関連資料ということで、関連のデータとか資料をつけさせていただいておりますので、また、御参照いただければというふうに考えております。
 繰り返しになりますけれども、教師人材の確保につきまして、各自治体の取組の先導的なものを御紹介いたしましたけれども、中教審の中でも、ほかの特別部会でも教師の処遇であるとか、勤務環境であるとか、そういったことについても御議論が進んでいるという状況でありますので、そういったこととも合わせつつ総合的にいろんなことを取り組んでいく必要があるんだろうというふうに文部科学省としても認識をしておりますので、そういった取組の中の一環として、文部科学省としても各自治体に対して、今日御紹介させていただいたような取組を中心に、さらに、横展開を図っていければというふうに考えているところでございます。
 私からの御説明は一旦以上でございます。
【秋田部会長】  後藤課長、御説明をどうもありがとうございます。各教育委員会のいわゆる好事例を横展開のために御紹介をいただきました。また、参考資料として、厚い詳細な資料も御配付いただきました。皆様、今の御説明を踏まえた上で、御質問や御意見がございましたら挙手をお願いしたいと思います。いかがでございますでしょうか、御質問はいかがでしょうか。吉田委員、お願いします。
【吉田委員】  すみません、吉田でございます。今回のこの取組は、教師不足のための教員採用ということですけれど、実は、私私学も教師不足は大変困っておりまして、特にここ数日、働き方改革に絡んで教職調整手当が10%になるという問題が報道されてきていまして、私立学校はそもそも労働基準局の下にありますので、基本が違うのですけれども、同じ教育で学校ということで、半分以上の学校が大体4%の調整額で支給しているところが多いわけです。
 公立学校ではそれを増やすことで解決するのかもしれませんが、これにより公立学校のほうが私学より給与がいいというようなことになれば、また、集まりにくくなるというそこでの問題が一つあります。
 それから、今回この各教育委員会の取組を見せていただいたのですけれども、教育委員会だからこれだけのことができますが、各私学はそうはできません。例えば、北海道や長崎県のこのマッチングシステムみたいなのがあるのだとすれば、これを私学もそういうのに入れていただけるとか、そういうようなこともしていただいて一応、高校教育で言えば3割は私立学校が賄っていますし、特に地方に行きますと本当に教員の成り手がない。先ほど森田先生の調査の表で見てもびっくりしたのですけれど、もう教職課程を履修している学生の数がそもそも少ないですよね。ですから、これを何とかしてやっぱりせっかく取っている人だったら教員になってもらいたいし、また、そうじゃなくても教職を目指す人を増やす。そうして、やはり私は公立私立両方にいい先生が集まることがやっぱり切磋琢磨して、日本のこの21世紀、22世紀を担う人材づくりになると思いますので、そういう意味で御理解と御協力をお願いしたいと思ってあえて発言させていただきました。ありがとうございました。
【秋田部会長】  ありがとうございます。吉田委員から、私学のお立場からも人材不足について、相互に可能なことをマッチングシステム等で共有したり、いろいろな知恵を出しながら、教師不足に対応していきたいということでの御意見をいただきました。
 それでは、松田委員からお手を挙げていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
【松田委員】  ありがとうございます。本当に現場でいろんな取組が行われていて、すばらしいことだなと思っております。
 せっかくこういった形でいろんな各都府県ですばらしい取組が実施されているわけですから、これを本当に現場にどう効果的に周知をしていくのか、あとは横の情報の連携をどうしていくのかがポイントになると思います。2点お伺いします。1点目は各自治体の     取組のインパクトを可視化しているのか?施策が全体の教員志望の母集団にどういった影響があるのか、成果をどうトラッキングしているのか、ご存じであれば教えてください。
 2点目については、これらの素晴らしい取組を横展開して広げていくことについて文科省の考えを教えてください。単にリーフレットを配るとか、こういった資料で配布をするということではないレベルで、何かお考えのものがあれば、ちょっとお伺いしたいなと思っております。
【秋田部会長】  ありがとうございます。この点、後藤課長、いかがでしょうか。
【後藤教育人材政策課長】  松田先生、どうもありがとうございます。その取組の成果ということでいきますと、成果って、成果そのものをどう捉えるかというところもあるんですけれども、まず、量的な成果と質的な成果と2つあるのかなと思っておりまして、いろんなこの取組の中で、実は今回例えばペーパーティーチャー関係の取組でありますと、ちょっと資料として書き切れていない部分はあったかと思うんですけれども、今日御紹介させていただいたような事例で言えば、比較的現職以外の免許保有者向けの研修をやった結果として非常にたくさんの数の方の参画を得て、また、実際に講師の登録に結びついた数という面でも一定そのボリュームを捉えられた事例ということで紹介をさせていただいておりまして、そういった量的な意味での教師人材の量を確保するという意味での成果という意味では、文科省としても今日書き切れなかった部分も含めて、各教育委員会においても把握はされているところでございます。
 さらにそういった量的な確保だけでなくて、あるいはこういったいろんな多様な人材をこの機会に、学校現場に取り入れていくということにむしろ中長期的につながっていくということが望ましいと我々も考えておりまして、そのことによって、教育がどのようによくなっていくかというところの成果もきちんと捉えていったり、そこを発信していくということは非常に大事じゃないかというふうに考えているんですけれども、正直、現時点ではそこまでの成果の把握というところまで追いついていないというところが、正直言うと実情でございます。
 そこの点は、今後さらに、また今日の後の議題にも関わりますけれども、仕組みの見直しで必要なところをやっていくという点も含めて、多様な専門性のある方に教職員集団に入ってきてもらえるような工夫も重ねながら、成果も併せてとっていきたいなというふうに考えているところでございます。
 また、本日紹介させていただいたような事例の横展開ということでございますけれども、これいろんな機会を捉えてやっていきたいと思っておるんですけども、今週中にも別途、全国の都道府県や指定都市の教育委員会の関係者を集める会議がありまして、本日の教員養成部会での先生方の御議論なども踏まえつつ、各教育委員会に対して改めて取組の横展開と、それから、こういった取組をやっていくために、文部科学省として冒頭少し紹介させていただいたような予算事業の活用も併せて周知をしていきたいなというふうに考えているところでございます。
 以上です。
【秋田部会長】  後藤課長、松田委員の2点の質問について御回答いただきまして、誠にありがとうございます。ほかに、この内容に関連しまして御質問等ございますでしょうか。
 特に今ないようですので、また、後で御質問等あればいただければと思います。皆様ありがとうございます。これで、議事2を終了いたします。
 それでは、議事3に入りたいと思います。事務局より御説明をお願いをいたします。
【小倉教員養成企画室長】  事務局、教員養成企画室の小倉でございます。資料3をお開きください。
 教員養成大学・学部、教職大学院の取組状況についてですが、御覧いただいていますように、グッドプラクティスの共有と発信に向けた事例集を作成の上、3月末に公表しましたので御報告させていただきます。
 本事例集の経緯でございますが、令和4年12月の中央教育審議会の答申を受けまして、そこで、教員養成大学・学部や教職大学院の在り方についても言及いただいております。この答申を踏まえまして、各教員養成大学・学部の取組について、現状や課題を把握、共有するために、昨年6月から8月にかけまして教員養成学部、教職大学院を置く全ての国私立大学54大学との意見交換を実施させていただきました。そこで得られた先進的な取組事例を広く収集し、好事例として全国に周知するため、各大学から、答申の内容に沿った好事例等の提供をお願いしたところでございます。
 提供いただいた取組のうち、先進性や独創性、汎用性などの観点から、文部科学省において事例の選定を行い、今般42の取組事例を好事例集として作成したものでございます。御覧いただいている資料につきましては、3月28日付でホームページに掲載の上、翌29日に各大学へ周知を行っているところでございます。なお、好事例の選定に当たりましては、教員養成部会の一部の委員を含みます有識者にも御協力いただいたところでございます。
 今御覧いただいているように、項目につきましては答申の内容にも即しまして、教職課程の見直し、学部と教職大学院の連携・接続の強化・実質化、教育委員会と大学との連携強化の促進、理論と実践の往還を重視した人材育成の好循環、教員就職率の向上、組織体制の見直しの6つに便宜的に分類しております。
 詳細の御説明は割愛しますが、次のページから各項目と目次で一覧にしております。各大学、参考にしたいところいろいろあるかと思いますので、こちらを基に御覧いただきたいと思っております。
 一つ前の議題でも、委員から御指摘のありました横展開につきましてですが、文部科学省としては、こちらは各種の行政説明や会議などの機会を使っても、必要に応じてうまく取り上げていきまして、この横展開を努めていきたいと考えております。
 事務局からの説明、以上でございます。
【秋田部会長】  御説明をどうもありがとうございます。皆様、今の御説明を踏まえて、御意見、御質問等ございましたらお願いをいたします。いかがでございますでしょうか。いずれも横展開、先ほどのも今度のは教職大学院へ教員養成の横展開ということでございますが、いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。
 森田委員、何かございますか。
【森田委員】  ありがとうございます。全国の様々な取組がこういう形で共有されていくというのは非常に大事なのかなと思っております。
 もう一つ、もし今後のこととして可能であるとすれば、今回は教員養成大学、学部、それから教職大学院というところでの取組でございましたけれども、例えば開放制の教員養成につきまして、実際の教員養成で教師を輩出している数という意味では、そちらのほうが非常に多いというように思います。先ほど御報告させていただきました実地視察等々にも若干関わってくるかもしれませんけども、そういう開放制のところ、特に私立大学を中心とした開放制教員養成のよりよいグッドプラクティスにつきましても、取り組みの規模や内容はこういった教員養成学部等がされていることとは比較は難しいのかもしれませんけれども、様々な大学がされているよい取組というのが共有されていくようなことが可能になれば、もっとより取り組みが広がっていくのではないかと感じたとところでございます。
 以上でございます。
【秋田部会長】  森田委員、ありがとうございます。小倉室長、いかがでございますでしょうか。
【小倉教員養成企画室長】  御指摘、ありがとうございます。かなり御指摘ありましたとおり、多くの教員を輩出している、近年、特にいわゆる開放制の大学からの教師が非常に多く増えているということで、我々もうまくそういったいい取組を広く収集しまして、勉強していきたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
【秋田部会長】  どうもありがとうございます。松木委員がお手を挙げてくださっています。お願いをいたします。その次に、真島委員、お願いします。
 松木委員、お願いいたします。
【松木部会長代理】  すみません、手を挙げてはいないんですが、御指名いただきましたので。
【秋田部会長】  お願いいたします。
【松木部会長代理】  今回の事例集を見させていただいて、いいなと思ったことが一つあります。各大学も本当に様々な取組をしているなと、御努力されていることがよく分かりました。そうした中で、これからの教員養成ということを考えると、先生になる前の学習だけじゃなくて、教師は専門職ですので、生涯にわたっての成長を支える仕組みを大学は作っていかなければならないのではないかなと思います。例えば、教員研修に大学が積極的に関わる仕組みです。ただ、難しいのは現職の先生方をサポートする仕組みとして、大学に金銭的な支援のしようがないと自治体からも声を寄せられます。もちろん現職の先生方が教職大学院等へ進学するということへのサポートもありますが、それ以外でも密接な関係を持つ方法があるはずです。例えば市町村の教育委員会が行うような研修、こうしたものに対しても大学が請け負ってやっていくというような話も実はありました。そうしたことを各大学が積極的に取り組むことで、教師の生涯にわたる職能成長を大学がサポートすることについてもアイデアを出していくべきではないかというふうに改めて感じました。
 以上です。
【秋田部会長】  どうもありがとうございます。現職の先生についても今後のサポートということの必要性について、御意見をいただきました。
 もう1名、こちらから御指名で、真島委員、お願いをいたします。
【真島委員】  ありがとうございます。いろいろな大学の取組はすごく分かりやすい形でまとめていただいたのは、どの大学にとっても非常に参考になるところでいいなと思いました。教職への魅力という点と、それは教員の学部生もそうですし、大学院生もそうですし、それから現職で来ている教職大学院生もそうなんですけれども、今、自分自身の課題に思っている点がこのグッドプラクティスの中にも幾つかあると思うんですけども、海外の大学、協定校とか、海外に目を向けてグローバルな視野を持つとか、あるいは共同研究を教員、海外の大学と連携をしながら教職大学院とかあるいは現場の教員とかが一緒になって共同研究をするというような取組も見られるかと思います。
 学部から大学院または現職になってから、なかなか教員ってやっぱり多忙化が言われていて、非常に日々の生活とか日々の学校での授業とか学級づくりとか、そういったところでいっぱいいっぱいになりがちなんですけども、やはり定期的に例えば5年勤めたら1年間どこか夏休みでもいいですし、あるいは教職大学院に行った1年目でもいいんですけども、そういう海外に出かけて自分の自国とは違う、ほかの国々の教育制度とか、あるいは子供たちの様子とか、学校の在り方とか、授業の仕方とか、あるいは共同で学び合う同じ仲間ですかね、そういうのを広げられる制度がより充実していくと教職自体の魅力もそうですし、力量のアップという点でもそうですし、それから、大学自体もこれからやはり淘汰されていくというか、国立大学もそうですし、国公私立大学との連携とかあるいはいろんな大学同士との統合とか再編とかいろんな形で多分進んでいく中で、ただ、縮小とかそういったマイナス傾向だけではなくて、どうしたらよりお互いの強みを生かして魅力を高めていけるかというときに、海外との大学との連携をしながら、学校の先生になったらただ自分のクラスだけを見るとか、自分の地域だけを見るだけではなくて、海外に目を向けてよりよい社会を、地域もそうですし、グローバルな視点でもつくっていける。それはやっぱり持続可能な社会を共につくるという根本的な精神もそうですし、それから、教育というのはいろんな国の状況によって様々違うと思うんですけども、その中で学び合うものもありますし、お互い悩みを共有できるところもあると思いますし、それから新しいものを発見できる可能性も秘めているので、そういった海外に目を向けながら、大学や地域や教育委員会、それから文部科学省、皆さんで一緒になって支え合うというか、そういう学び合う場を展開できるとすごく魅力が上がって、より研究力も、それから教育力も身につけられる教員が育成されたりあるいは研修制度として成立していくと、より質の高い教員というものが輩出されていくのではないかなというふうに感じました。
 以上です。ありがとうございます。
【秋田部会長】  真島委員、ありがとうございます。学部から大学院、現職等、グローバルな展開に目を向けての在り方ということが、単なる人材確保というだけではなくって、さらに質を高めていくとか教育力、研究力を高めていくのにつながるのではないかというお話をいただきました。ありがとうございます。
 ほかには御意見ございますでしょうか。特に今、お手が挙がっている方はおられないようですので、この議事につきましては、議事3は終了とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、今日はいろいろ議事がございますので、議事4に入りたいと思います。免許に関する内容ですので、議題5とまとめて事務局より御説明をお願いいたします。説明後、まとめて委員の皆様に御質問、御意見をいただくようにしたいと思います。議事4、議事5ということでお願いいたします。
【石川教員免許・研修企画室長】  教員免許・研修企画室長の石川でございます。
 まず、議題4の免許外教科担任の許可等に関する指針の改訂について説明をさせていただきます。改訂の内容に入ります前に、まず、参考資料の2を御覧ください。
 これは、昨年12月28日に初中分科会の個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会、義務教育の在り方ワーキンググループと大変長い名前ですけども、におきまして、中間まとめが取りまとめられておりまして、その中で、遠隔教育特例制度の見直しについて提言がされました。
 この提言内容の説明する前に、また、参考資料3になりますけれども、文科省で提示しております遠隔教育の在り方というものについてまず前提として御説明をさせていただきます。
 文科省では遠隔教育につきまして、大きく分けて3類型で示してございます。まず、左の合同授業型というものでございますけども、これは下の授業を受信する側、それから、上段の授業を送信する側、いずれも相当免許状の有する教師によって、この場合、免許外教科担任も担当されているということで含みますけれども、相当免許状を有する教師が配置された上で、学校の教室同士を遠隔でつなぎまして、合同で授業を実施する形態というものになります。
 真ん中の2番の教師支援型というものでございますけども、こちらは受信側におきまして、相当免許状を有する教師を配置しつつ、配信側において、こちらにはいわゆる免許状を持っている方ではなくて、英語だったらALTとか、あるいは理科とかそういった授業であれば、例えば大学の教員のような専門家が遠隔の場所から講義をいたしまして、受信側の先生と配信側の専門家とが共同して授業に参画する形態でございます。
 それから、3つ目の教科・科目充実型というものでございますけども、こちらは当該学校の教師、この場合、相当免許状は不要なんですけども、ある学校において、先生であれば誰かを受信側に配置しつつ、配信側のほうに相当免許状を有する教師を置きまして、例えば地方の小規模校などで理科の先生がいないといったような場合で、配信側のほうに大規模校などでしっかり先生が配置されているような学校とつなぎまして、受信側のほうで理科の授業を行いまして実施すると、例えばこういったものでございます。
 こういった遠隔教育の類型を前提としまして、参考資料2の27ページを御覧いただければと思います。このワーキンググループの中間まとめにあります遠隔教育特例制度の見直しの中ですけども、この赤枠で囲んだところでございます。
 この遠隔教育について様々提言がされているんですけれども、その中におきまして、今般提案しております「免許外教科担任の許可等に関する指針」におきまして、免許外教科担任をできるだけ解消するということに向けまして、先ほど説明いたしました、「教科・科目充実型」の遠隔授業を積極的に活用することが望ましいことや、やむを得ず免許外教科担任を置く場合にあっても、免許外教科担任を支援するために、当該教科の領域の一部につきまして、同様に「教科・科目充実型」であるとか「教師支援型」の遠隔授業を活用することが適切である旨を免許外教科担任の許可に関する指針におきまして、明確化するということが提言されております。
 こうしたこの初中分科会のワーキンググループの中間まとめを受けまして、今般指針の改訂を提案するものでございます。
 それでは、ようやく資料4の指針の改訂案について説明をさせていただきます。改訂部分になりますけど、まず、2ページを御覧ください。
 ここの2ページの下段のほうになってきますけども、2から3ページにかけてございますけども、免許外教科担任の解消に向けた遠隔授業の活用等といたしまして、教科・科目充実型の遠隔授業を積極的に活用することと、教科・科目充実型の遠隔授業を活用するに当たっての留意点を中学校の場合と高校の場合に分けて追記をいたしております。
 いずれも先ほど遠隔教育の類型で説明いたしましたとおり、教科・科目充実型におきましては、受信側において、当該教科の相当免許状というものが不要という考えを示してございますので、従来、当該教科を担当していた者に対する免許外教科担任の発令というものを解消することが可能となります。
 続きまして、5ページを御覧ください。こちらでは、免許外教科担任の許可を受けた教師が引き続き対面で指導している場合でありましても、当該免許外教科担任への支援策といたしまして、「合同授業型」であるとか「教師支援型」の遠隔授業によりまして、当該教科に関する相当免許状を有する者や当該教科に関する専門家等が遠隔で授業に参画するということによって、免許外教科担任の支援あるいは負担軽減につながるとともに、授業の質を高める上で有益であるということを追記をいたしてございます。
 こちら資料4の免許外教科担任の許可等に関する指針の改訂案についての説明は以上となります。
 続きまして、議題5、特別免許状に関する運用の見直しについても併せて説明をさせていただきます。資料5-1を御覧ください。
 多様な専門性を有する質の高い教育集団を形成するに当たりましては、教師一人一人の専門性を高めることに加えまして、多様な専門性や背景を持つ人材を学校組織の中に積極的に取り組んでいくことが必要と考えてございます。そうした意味で、優れた知識経験等を有する社会人等を学校現場に迎え入れることを趣旨といたします特別免許状による教師としての入職というのは、そのための一つの方策であり、積極的な活用が望まれると考えてございます。
 こうした背景を踏まえまして、文科省におきましても、平成26年に「特別免許状の授与に係る教育職員検定等に関する指針」を策定するとともに、令和3年にさらなる柔軟な授与が可能となるよう指針の改訂を行っているところでございまして、都道府県教育委員会に対しまして、特別免許状の積極的な授与を促進しているところでございます。御覧のとおり授与件数も増加傾向にございまして、令和4年度は500件、通算で2,774件の授与がされているところでございます。
 一方でちょっと実績というところでございますけれども、まず、3ページ目を御覧ください。こちらは学校種や教科別の授与件数でございますけども、令和4年度の特徴といたしましては、この公立の高校で大幅に増えてございまして、特にこの情報が増えてございます。こちらは特に高校情報につきましては、免許外担任というのが当時非常に多かったものですから、文科省におきましても、特別免許状の授与などによって免許外教科担任の解消を進めていたことから、令和4年度は大変増えたという状況でございます。
 また、4ページ目、5ページ目を御覧ください。こちらが都道府県別の特別免許状の授与件数でございますけれども、例えば東京都であるとか、あるいは茨城県であるとか、あるいは広島県といったように、比較的授与件数が多い自治体もございますが、他方で、授与件数が例年0件であるとか、1、2件程度にとどまる都道府県もございます。このように特別免許状の授与は進みつつあるものの、授与の検討に当たりまして、特別免許状の制度の趣旨が十分に理解浸透していないと考えられるケースや、都道府県によっては、消極的な運用となっているのではないかという課題が散見されるところでございます。
 1ページ目にお戻りください。こうした現状も踏まえまして、令和4年の12月答申におきましても、こうした運用上の課題を踏まえて特別免許状に関する運用の見直しが提言されているところでございまして、今回、さらなる特別免許状の活用促進に向けまして、指針の改訂を行うものでございます。
 2ページ目を御覧ください。改訂の方向性について、こちらの概要を用いて説明をさせていただきます。適宜、資料5-2の指針本体も参照いただければと思います。
 まず、指針全体の目的に関しましては、授与のみならず「採用」や「研修」等も含めた総合的な発信として示すことで、さらなる活用を促進していきたいと考えてございます。こちらは、本体では2ページ目になります。
 それから、周知の広報・採用に関してですけれども、特別免許状の授与基準や手続につきまして、一般向けに公表されてないという自治体もございます。こうしたことを踏まえまして、今般、特別免許状の予見可能性を高める観点から、特別免許状に関する個別のホームページ等を作成するとか、一般向けに分かりやすい形で公表することを促することを明記してございます。本体では3ページに回答がございます。
 それから、特別免許を活用した採用選考を全く実施してない自治体とか、実施している自治体におきましても、ごく少数の特定の教科しか実施していない自治体もありますので、各自治体におきまして、特別免許状の授与を前提とした特別選考の積極的な実施の促進について明記をしてございます。こちらも本体におきましては、3ページ目にあります。
 それから、授与に当たっての考え方でございますけれども、授与候補者の専門性が教科の内容の一部のみしか該当しないということを理由に、特別免許状に慎重になっている例がございます。こちらは具体的にどういうことかと申しますと、例えば化学などで博士号を取得しているような方がいたときに、化学に関しては大変高い知識を持っているけれども、高校の理科としては、物理、生物、地学も含めた免許となるということで、そちらのことは同じレベルで知らないんじゃないかということで、授与が慎重になっているという例がございますけれども、こちらにつきまして、そういった例えば化学で博士号を持っているような方というのは、理科に関しまして一定程度の知識、技能というのは取得しているということが考えられるわけでございまして、授与候補者の教科に関する専門的な知識、経験、技能の考え方として、ある種の教科の内容を完全に包含していなくとも、自身の専門分野を中核としまして、当該教科に関する知識がある場合には、授与が可能であることを明記をさせていただてございます。本体では8ページに当たります。
 それから、普通免許状の取得者と同等性が過剰に重視されるあまりに、特別免許状の授与候補者が指導方法・技術等について、知識経験が乏しいことを理由に授与しないという例も見られたところでございます。こちらはそもそも、特別免許状が特定の専門分野につきまして高い知識経験を有することに対して、免許状を特別に授与するという趣旨を踏まえますと、指導方法・技術等に関しまして、特別免許状の授与の前の段階で同等性を過度に重視し過ぎることのないようにするということを今般、明記をさせていただいてございます。本体では5ページに記載を書いてございます。
 それから、臨時免許状との違いや使い分けについて十分理解されてないケースも見られます。こういった特定の専門分野に対して高い識見を有するような人に免許状を出すに当たって、ただ、フルタイムのあるいは正規で雇用するつもりがない場合に、任期つきで雇用したいということをもって、臨時免許状を授与するといった例があるわけなんですけれども、あくまで免許状の有効期限と雇用の形態というのは関係がございませんので、特別免許状の需要者であっても、任期付や非常勤として任用することは可能であるということを明記してございます。本体では4ページに記載をしてございます。
 そして最後に、採用後の研修・キャリアアップでございますけれども、採用後に教師として、様々な専門的な業務を行うに当たりましては、特定の専門分野だけではなくて、当然ながら教師として共通的に求められる資質、能力。例えば生徒指導であるとか、教職に関する基本的な理解といったことは当然必要でございます。
 そういったことでちょっとこちらの概要にはないんですけれども、利用者の実情に応じて適正な研修を行うということや、こちらの概要にもありますとおり、スキルアップのためにも、入職後に例えば教職大学院への派遣をして、さらに専修免許状を取得させるといったことも考えられるということを明記をしてございます。本体では、12ページになります。
 最後に、関連しまして、参考資料の4を御覧ください。参考資料の4ですけれども、この特別免許状の指針の改訂につきましては、4月22日に行われました第5回デジタル行財政改革会議におきまして、盛山大臣から、教師人材への民間人材必要策といたしまして、各都道府県における特別免許状の積極的な活用のため、この特免指針の改訂についてもしていくという方針を示したところでございます。
 説明は以上になります。
【秋田部会長】  御説明をいただきまして、どうもありがとうございます。
 それでは、皆様のほうから、今の議事4、議事5の説明を踏まえまして、御意見、御質問等ございましたら挙手をお願いいたしたいと存じます。いかがでございますでしょうか、ありがとうございます。戸ヶ﨑委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  この特別免許状については、前々から申し上げていることですが、今後の教育は、これまでの教育の延長線上にはないことは明らかで、社会に適応していくための教育から、社会に新たな価値を生み出すための教育に移行する必要があります。
 そんな中、既存の学校教育をそつなく過ごして、社会経験があまりない人にばかり教員免許を授与していては多様性のない同質の組織となってしまいかねません。今後の学校教育には様々なスペシャリストの力も必要です。そういう多様な人材を教師として確保するために、特別免許状のみならず、強みや専門性を身につける活動と両立する「教職課程の特例制度」が令和7年度から開始されますが、本特例の一層の促進や活用に大いに期待をしたいと思っています。
 また、特定の分野に強みや専門性を持つ学科等に係る特例等に係る教職課程認定基準等の改正については、令和4年答申で提言された「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成」という観点からも大いに推進していくべきで、その強みや専門性という観点においては、この特別免許状の活用が重要となると考えます。また強調したいのは、資料や今御説明にもあったように、相変わらず自治体によっては、高校は多くても小中は極端に少ないといった活用の差が大変大きいのが実態であります。
 今後は都道府県・政令市ごとに全体の数だけではなくて、校種別授与の公表も行うべきなのではないかなと思います。
この義務教育段階での授与について、「授与件数が少ないのは、生徒指導等を含めた幅広い力を求める比重が高校と比べて高いためだ」という意見が多くございます。また、定数内という縛りがあるために、専門性よりも「学級経営力や生徒指導力など総合的な教師力」が求められ、授与がなかなか進まないと思っています。
これは任命権者がそのような判断をされるというのは正直いかがなものかなと考えていまして、本市もそうなんですけども、小中学校においては特定の分野の専門的なスキルを有する職員の配置を求めている場合もございます。特に小学校においては、教科担任制の推進や専科教員の配置を求めている実態もありますので、大いに活用が考えられます。文科省がどんなに促進通知を発出しても、任命権者である教育委員会が及び腰になっていては、この授与件数の伸びは期待できないのかなと思います。
 これまでも繰り返し述べてきましたが、とにかく普通免許状との同等性を過度に意識しないことが非常に重要です。特別免許状は普通免許状とは異なる強みや専門性を評価して授与される免許状であることを踏まえ、都道府県教育委員会によって授与状況に極端な差が生じないような対策を期待したいと思います。
 なおこの資料にもありましたが、特別免許状の授与を希望する者の予見可能性を高めるという観点から、都道府県教育委員会は教育職員検定の審査基準を明確化し、学校現場や一般向けに広く周知、公表するなどして手続の透明化を図っていく必要があると考えます。また、臨時的任用ではなくて特別免許などを生かした県費による非常勤講師の加配も必要です。それを休業中の教師の指導支援に充てることも考えられると思います。
 特別免許授与者の任用形態につきましては、必ずしも常勤フルタイムの勤務を前提とした制度ではなくて任期付採用や臨時的任用教員、会計年度任用職員等、当該教員の配置の必要に応じて様々な方法が考えられると思います。ここも資料にあるように、任期等を限定して任用したい場合には臨時免許状を授与するのではなくて、特別免許状を授与した上で任期付や非常勤として任用することが適当であると思います。
 最後に、この特別免許状を授与した教師に活躍していただくためには、その他の一般の教師とをつなぐ役割を果たす教師も非常に重要になると思っていまして、そのための研修等も今後は必要であると思います。
 長くなりました。以上です。
【秋田部会長】  どうもありがとうございます。同質な普通免許状だけではなく、本当に多様な専門性を有した教員の必要性、また、それが地方自治体間で差がないように校種によって、まだまだ十分にないところをより改善をしていくための、任用の在り方等についての御意見もいただきました。また、こうした特別免許状を有する教員と、それから普通免許状の教員をつなぐつなぎ手の必要性というようなことについても、お話を、御意見を賜りました。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、松木委員、お願いいたします。
【松木部会長代理】  やや否定的な言い方になりますが、特別免許状をなかなか増やすというのは難しいんじゃないかなと思っています。それはなぜかというと、やっぱり教育委員会としても安定した免許を持った人を多く採りたいと思うのは当たり前ですし、特殊能力を持っている人に先生になってもらいたいという気持ちもよく分かりますが、それでなくても先生になる人の数が極めて厳しい現状を考えますと、なかなか特別免許状で先生になろうと意志を示せる人は少ないんじゃないかなと思います。
 そこで、そうした人たちを支えている意味では、最初の戸ヶ﨑委員さんとはちょっと違った考え方になりますが、特別免許状で採用された人のアフター、その後のことを考えて、例えば教職大学院等で免許を取得するということに対してのサポートをしていただける、つまり授業料等についてのサポートがあるといったようなことが後ろにくっついていると、教育委員会も特別免許状での採用ということに踏み切る気持ちにもなれるなと思いますし、また、特別免許状でまず先生をやってみようかと思える方も、その後の安定性のことを考え志望するようになると思います。特別免許状で採用された後のことについて、今回の改正の方向の中では、一部示されていますが、具体的に財政的な援助を受けられるような仕組みがくっついているということが重要じゃないかなと思います。
 以上です。
【秋田部会長】  どうも松木委員、ありがとうございます。やはり自治体側から考えると、委員会側から見ると、その難しさがどこにあるのかというようなところで、逆に採用後のアフターの仕組みというものを考えていくことによって、特別免許状後に普通免許状を取る、取れるようなインセンティブを設けていくというような形もあり得るのではないか。そのためには財政的な支援も必要ではないかという御意見を頂戴いたしました。
 ほかにいかがでございますでしょうか。また、御発言をいただけていない委員の皆様方のほうで、もし、御意見をいただけたらというふうにも思いますけれども、山辺委員、お願いいたします。
【山辺委員】  ありがとうございます。二つちょっと思ったことがありまして、一つが量を増やさないと質は担保できないので、こういう形でどんどん広げるのは賛成なんですけど、やっぱりどこかでゲートキーピングの必要はあると思っていて、それが採用時もそうなんですけど、やっぱりその最初の研修というのも非常に大事なのかなというふうに思っています。その研修についてがやっぱり各自治体とかに結構任せられているような書き方になっていて、教員養成課程は同一というか、同じ基準で全国やっているので、やっぱりそこに普遍性というのはあるんだろうと思います。その子供の人権だったり、子供の発達とか心理とかを学ばなければいけないということはあるのに、なぜ、その研修で同一のことは扱わないのかということにちょっと疑問が残りまして、やっぱり共通で研修されるべき内容というのは共通で、もうオンデマンドで見るのでもいいと思うので、何かこう同じものがあったほうがいいのではないかというのが、まず一つ目です。
 もう一つは、ちょっと前の話で真島先生がおっしゃっていたことにも共通するんですけど、やっぱり教職も国際化というのが指定、なされていくというのがこれからの流れなのかなという気がしておりまして、例えば医師免許なんかは、日本の医師がヨーロッパに行ったとき、国同士でいろいろ違うんだと思うんですけれども、例えばドイツなんかだとドイツ語の検定である程度ドイツ語のスキルを身につけると、その免許をドイツでも使えるようになるというような制度があります。教員免許も海外の、もう既に教員免許を持っている先生、例えば英語だったらたくさんいらっしゃると思うんですよね。そういう方にも日本語の検定を受けていただいて、CEFRのC1だったりというレベルにいったら、それが日本の教員免許としても使えるというふうにすれば、より多様な教員が日本にも集まってくる可能性はあるのかなと、実技なんかの科目でもそういうのを使えるのかなというふうに思いまして、日本だけで人を集めるのではなく、そういう国際的なシステムも必要なのかなというふうに思いました。
 以上です。
【秋田部会長】  お願いします。
【石川教員免許・研修企画室長】  先生、ありがとうございます。今御提言ありましたことの2点目に関してですけども、外国でその制度において、それぞれの学校制度あるかと思いますけども、そういう中で教員免許状を授与された、あるいは教員免許状のようなものを授与されているような方につきましては、こちらについては、教育職員免許法の第18条におきまして、同じような日本で教職課程を経なくとも、授与権者の教職検定におきまして、各相当の免許状を授与することができるというふうになってございますので、例えばそういう海外で、その国の数学に当たる免許を持っているとか、理科に当たる免許を持っているというような人は、一定程度は、日本でも特段別にまたもう一度大学とかに入り直さずとも、日本の免許状を授与されるという仕組みはございます。
 以上でございます。
【秋田部会長】  ありがとうございます。そうした資格があるということをより周知していくということも大事なことかなと思います。また、山辺議員が1点目に言っていただきましたような、やっぱりゲートキーピングとしての質の保証というところで、特別免許状の方へのその後の採用後の研修をどういうふうに共有化、共通化を内容について図っていくのかというようなことの検討というところも、大事な視点になってくるかと思います。ありがとうございます。
 それでは、ほかの委員の方いかがでございますでしょうか。それでは、五十音順で木下委員、いかがでございますでしょうか。
【木下委員】  木下です。よろしくお願いいたします。いろいろ拝見させていただいて、本当にありがとうございました。特に教員不足の解消に向けた各教育委員会の取組という部分で、札幌市が行っている教師夢プラン1・2・3、この中で、教員の魅力を発信するセミナーがありました。現場の教員は自分の授業や指導にプライドを持って行っている教員が多いですけれども、その魅力をもっともっと教員側が意識していってほしいと、この資料を見て感じたところです。
 その魅力を意識することによって、例えば学校に入ってくる学生、教育実習生や学校支援ボランティア、それから千葉県がやっている教職たまごプロジェクトなど、これから教員を目指す人たちにも、その魅力を伝えていけるのではないかなと感じました。まずは教員が魅力して感じていることを明確にするこのようなセミナーをやっていただけると、私たち教員側ももっともっと教員として生き生きと仕事を進めていけるのではないかなと思いました。
 感想ですが、以上です。よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】  どうもありがとうございます。それでは、貞広委員、いかがでございますでしょうか。
【貞広委員】  ありがとうございます。千葉大学の貞広です。議題4、5について、5については何人かの委員がもう既に貴重な御意見を寄せてくださっていますので、議題4の免許外教科担任の許可に関する指針について、コメントを申し上げたいと思います。大変歓迎をしたいという意図のコメントでございます。
 日本、地域によっても偏在ございますけれども、免許外教科担任のみならず、その先の教科、科目の充実という点で、なかなか小規模の学校でただもうこれ以上登校できないという中学校や高等学校がもう現時点でもたくさんあり、今後も増えていくことが予想されます。
 ただ、私も含めまして、対面で学ぶ形式の経験値が強く内面化されていますので、遠隔教育を自分だけやって失敗しないためにであるとか、特に高等学校では見取りという点の不安から、なかなか新しい物事への広がりが、我々が期待しているほどには広がっていかないというところがあるかと思います。そういう点で今回こういう形でしっかりと、ちょっと古い言い方をするとお墨つきといいますか、やって大丈夫だよということが明示されるというのは大きな進歩のきっかけになると思います。
 ただもちろん、そうは言いながらお墨つきがあったから自由にやってくださいということではなく、もちろん新しい物事ですので、質保証の観点からの検証をそれぞれの地域でやっていただいて、よりどういう形がいいかということについて知恵の集約をしていただき、それがまた国の指針を変えていくという、地方の優れた取組が国の指針を今後さらに変えたりとか改良したりとかよりよいものにするということがあるかと思いますので、今回のこの指針の見直しによって、躊躇なく、多くの自治体が新しい遠隔教育に取り組んでくださるということを大いに期待したいと思います。
 以上でございます。
【秋田部会長】  ありがとうございます。この新しい遠隔教育の免許外の指針がつくられることによって、特に学校種的なところもありますけれども、広く遠隔教育の新たな形がうまく円滑になされるとよいのではないかということと、それからその国の指針と、それから各地方自治体の取組との間の関係についても御指摘をいただきました。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、浜委員、いかがでございますでしょうか。
【浜委員】  すみません、東京都教育委員会の浜でございます。お世話さまです。
 いろいろ御説明を伺って、ほかの委員の方の御発言なども伺っておりましたが、なかなか特別免許状に関して申し上げますと、難しいのはやはり一旦その特別免許状が出た後、教員として働いていただくときに勤務していただくということについて、先ほど山辺委員からもお話があったように、専門分野についてはお詳しい方ではあるけれども、教員としてのベーシックなところをどういうふうに身につけていただくかというところが、どうしても学校現場としてはそこがどのぐらい信頼できるかというところが一つ、やはり心配だとなかなか手が出ないのかなというところがあるのと、多様な大人が関わる中で子供が育っていくのは大変すばらしいことだとは思うんですけれども、そこら辺の学校現場での安心感というのをどういうふうに担保してあげるかというのが欠かせないのかなというふうに思って、お話を伺っておりましたので、先ほどの何か共通な研修といいますか、標準的なものなどもお示しいただくと、またいいのかなというふうに思いました。
 以上です。
【秋田部会長】  ありがとうございます。どのようにして学校側の安心感というお言葉がございましたけれども、もたらしていくのか。先ほど、一方で戸ヶ﨑委員が言われたように、普通免許状の教員と特別免許状の教員との関係というんですかね、その辺りをどういうふうに学校や教育委員会が理解して、これを運用することができるのか。安心してできるような形をどういう仕組みでつくっていくのかというところについての、東京都の自治体側からの率直な御意見をいただきました。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、森山委員、いかがでございますでしょうか。
【森山委員】  ありがとうございます。今、お話をいただいた内容に関係する部分を1点だけ、教員免許状の授与に関してお伝えしたいと思います。
 まず、この特別免許状に関しては、知識や経験が豊富な人材を社会人の中から登用して今の学校の状況を多様化・活性化するための位置づけという意味があると思います。
 しかしながら、特に教員不足が深刻化している小学校では、高学年を中心に専科教員による教科指導の強化などについての積極的な採用も含まれているのだと思います。これは全体としては同じようなことに位置づくのだと思いますが、この社会人としての知識、経験という特別なニーズの採用と、教員免許状を取得し、採用試験を経て教員となった者とでは、レベルや位置づけも異なる様に感じます。実際にどこに焦点を合わせて、特別免許状の方を採用するのかという、具体的な流れが明確でないようにも感じます。加えて養成段階においても、免許についての理解をしっかりとするということも、今後、必要になるのではないかと思います。社会全体に分かっていただくことも必要ですが、まずは教員免許状の取得希望者には少なくとも免許状の詳しい仕組みについても、理解を進めていくようなことが必要ではないかと思っています。
 以上です。
【秋田部会長】  ありがとうございます。森山委員のほうから特別免許状はなかなか活用していくことが難しいということと、それから2点目として、やっぱり養成段階で免許状というものについて、普通免許だけではなくてこの特別免許状というものについて、理解を深めていくということも重要ではないかという御指摘をいただきました。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、荒瀬委員、いかがでございますでしょうか。
【荒瀬委員】  ありがとうございます。すみません、遅れまして、申し訳ありませんでした。 途中からの参加ですので、とんちんかんなことを申し上げるかもしれませんが、二つ申し上げたいと思います。
 一つはこの間、これは文科省の大変な御努力があって、教師不足対応ということで受験機会を早期化するとか、あるいは4年生になった段階ではなくて、3年生から受験できるようにするといったことが、国として随分と御提示いただいたというか、後押ししていただいたそのおかげがあって、具体的にそういった動きが全体にまだまだ広がってないかもしれませんけども、特に東京都なんかも一生懸命いろいろとやっていらっしゃるし、そういうこれまでにない動きが出てきているということをとてもよいことだと思っております。
 採用試験で、同じ試験をやるといったことについては、これはいろんなお考えもありますし、うちも参考提供をさせていただくということで問題をつくっていくということになっておりますけれども、御参加はそんなにたくさんあるわけじゃないですが、しかし、少なくとも参加してくださるところがあるということは、だんだんとこれまでの教員採用の在り方が変わっていって、教師不足に対する対応が進んでいくという一つの方向かと思っているという、そういう感想でございます。
 もう一件なんですが、さっき山辺委員がおっしゃった、大学で免許を取るまでは一定なんだけども、実際に採用された後の研修というのが各県に任されているということは、どういうことなんだろうか。何かきちんとした一定の身につける力というものを研修の形でも共通しておく必要があるんじゃないかという、それは非常によく分かるお話として承りました。
 そう思いつつ一方で、この機能に関しまして、教員養成部会がスタートした時点から、時折、こんなことを申し上げているわけでありますけれども、一定であるということの中身についての検証が必要ないのかということを思ったりしております。時代が変わってきて、教師の在り方も変わってきているのに、教員免許を得るための要件が変わらないままで果たしていいんだろうかということについては、これは性急に答えを出すのは駄目でしょうし、よくよく考えないといけないんでしょうけれども、これは考える必要があるんじゃないかなということを思います。
 とりわけ、今、貞広先生が特別部会のほうでいろいろと議論を引っ張ってくださっていらっしゃいまして、私も加わらせていただいておりますが、そちらのほうの一つのまとめがそろそろ形をつくっていこうというふうになっているかと思います。これについて、私自身もいろいろな立場の方から、いろいろ御意見を頂戴しておりまして、大変考えるところが多いのですけれども、その中で、教師という職がどういう職であるのかということと、まさに特別部会のほうで議論をしている教師の処遇改善に関するポイントになるような内容、これは業務命令を出して、残業手当を出すような仕事としての位置づけをしっかりするべきものなのかどうかといった、こういったこととが、私は相当深く関わっているんじゃないかなということを思っております。
 教員の仕事というのは、どういう仕事かというのはこれは議論されたところでありまして、3分類をした中で教師の担う仕事以外のことについては、いかに教師以外の手を借りるかということを積極的に進めていくということは徐々に動いているわけですけれども、教師の仕事は今どういう仕事がとても大事で、しかも、今後どういう仕事をしていくことが求められるのか、それに合わせて教員養成というのはどうあるべきなのか、教員研修についてもいろいろと我々も模索をしておりまして、様々な専門の皆さんのお力を得ながら、あるいは全国の教育委員会や教職員の研修センターの皆さんと御一緒にやっておりますけれども、教師の仕事とは一体どういうものが望まれるかということを、ぜひまたこの場で、秋田先生や松木先生に御指導いただきながら考えていかなければならないかなということを思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【秋田部会長】  ありがとうございます。いろいろ重要な提案を御指摘いただきました。変わる時代の中で、教師の仕事というものの意味やその要件、それに応じて養成や採用の在り方、そして研修の在り方をどうしていくのかということをもう一度、性急ではないけれども、じっくり議論をしていくというようなことが必要になってきて、それが実際には処遇であったり別の部会になりますが、そちらとの関係性が生まれていくべきものではないかという御指摘だと思います。ありがとうございます。
 あと、高橋委員から御意見がありましたら伺えたらと思うんですが、いかがでしょうか。
【高橋委員】  ありがとうございます。遅参で申し訳ございませんでした。荒瀬先生もおっしゃいましたが、特別免許状のことについてですけども、具体の運用というのは乏しい経験しかないんですが、私の乏しい経験だともちろん実績もそうですけども、任命権者とか採用者の推薦があって、多分この免許の申請というのができて、そして、そこでまた審議というか審査、面接とかも受けて、ちょっとその後に採用試験があるのか分かりませんけど、それが採用試験なのかもしれませんし、その後、ずっと免許が続く場合や、また違うところに、同じ都道府県内でしょうけども、また採用試験みたいなものを受けるのかもしれないというふうに考えますと、かなり具体に教師になろうと思うと、相変わらずかなりのハードルがありますので、今回ぐらいの改訂では、あんまり変わらないのではないかと。
 むしろでも、こういうことをやることで、多くの人にこの制度を認知していただいて、受けやすく、御検討いただけるという観点から考えると、非常にそういった意味での改訂なのかもしれませんが、非常に望ましいんじゃないのかというふうに思っております。
 これが特別免許状のことなんですが、もう一つ別の観点で非常にちょっと広げるようで申し訳ないんですが、私、やっぱり一人一台端末を活用している授業というのをすごく様子を見ています。これを教育方法なので、教育内容と違うんだというふうにすごく小さめにおっしゃる方もいるんですが、これはしっかり使うと、学習できる内容の量や質がもう飛躍的に変わってきていて、単なる内容や目標を満たすための方法だと考えると、かなりの誤解なんだなというふうに私、感じております。
 このように扱うべき教育内容の深さ、いわゆる深い学びみたいなことが非常に起こりやすくなってくるとやはり今までの先生たちのいわゆるハウツー的に身につけた指導法みたいなものでは全く通用せず、中身に対しても相当詳しいということが求められるということを考えたりしますと、こういういろいろな専門の方が入っていただくということはもちろん望ましいと思います。そもそも免許を持って入職した後も絶えず研修はし続けなきゃいけない、学び続けなきゃいけないということは確定的だというふうに思いますので、そういった意味で、いろいろなチャンネルから入職した方も含め、しっかり新しい研修の、新しいものを学んでいくんだという体制でやっていくということも非常に重要ではないかと思っております。
 最後にもう一つなんですが、教員の間口を増やすということを全体像として、先生になっていただく方を増やすという大きな観点で考えますと、非常にもうそもそもフルスペックで働くとかいうのが非常に難しい方が増えてきている、そう思っている。教師になると朝から晩まで働かなきゃいけないんでしょうとか、かなり責任が重いんでしょうということがやはりすごく起こっているんじゃないのかと私は感じております。
 その一方で、先ほどの一人一台コンピューターで教育データの利活用という観点ですごく深く考えていきますと、ちょっと夢のような話なんですけど、子供一人一人の学習の履歴であるとか時数の履歴、履修管理みたいなものが非常に柔軟に、子供一人一人に割り当てて管理できるようになるんじゃないのかというふうに考えます。例えば標準時数みたいなものを今カウントしたりするのは学級単位とか、その教科の担任の先生単位で管理しているものが、個別の子供単位で管理できるようになるとなると、かなり柔軟に学級の編制ができるようになる可能性も生まれますし、それに対して柔軟に先生をアサインしていくことができると。
 そうなっていくと、先生方の働き方としても私は昼間だけ働きたいとか、そういうふうな方と、時間割とかもすごく柔軟にできる可能性があると。かなり夢物語なんですけれども、やっぱりコンピューターが入ってくるということを一人、全員がコンピューターを持っているということは、これまでの紙の管理の仕方と随分教員の働き方から、子供の学び方から、それの管理の方法まで変わっていく可能性があって、今みたいなかなり厳しい労働ばかりではなくて、皆さんともう少しパイを分け合って、少しずつ働くみたいな可能性も出てくると思いますので、僕はその辺り少しずつ制度を、これでも教員の予算から何からみんな決まっているところが崩れる話なので、そう簡単ではないということはよく理解しておりますが、この一人一台コンピューターということを突破口に考えていくと、今まで我々が非常に狭い範囲で議論していたんじゃないのかと思うことはちょっと度々感じますので、これを機会に少し申し上げさせていただきました。
 以上になります。
【秋田部会長】  ありがとうございます。一人一台の端末が子供たちにも渡ることによって、先ほどお話があったフルスペックの教師という、普通免許状でフルで学級経営から全部をやる担任という発想から、多様な働き方や多様な教師というものの在り方を考える可能性が出てくるのではないかという御指摘をいただきました。
 私たちは次、やっぱり教師とはどういうことかって荒瀬委員も話されたところの、これからの時代の在り方や要件というところとつながってくる御発言かと思います。ありがとうございます。
 松田委員がお手を挙げてくださっていますので、お願いいたします。
【松田委員】  ありがとうございます。特別免許状の付与件数が増えていることはとてもいいことだと思うんですけれども、このままの増え方でやっていってもなかなかインパクトのある取組に育っていかないのではということを危惧をしております。今、小中高で500名ぐらいの付与があるということですけれども、小学校でいえば全体の教職員数の0.01%ですし、中学校で0.03%、そして高校でも0.1%ということだと思うんですよね。なので、ここをどこの状態に持っていくのが適切なのかというところもある程度のコンセンサスなのか、努力目標なのかを定めること、数値目標を可視化するだけで、何か全体の雰囲気も変わってくるんじゃないかなと思っております。なので、ちょっとドラスチックかもしれないですけれども、数値目標を定めるというところはひとつ、周知する際に何か盛り込む事をご検討ください。
 2点目なんですけれども、これもちょっとドラスチックですけれども、どういったインセンティブを教育委員会に提供するのかということも考えてみてもいいのかなと思っておりまして、例えば自治体が特別免許状を付与して教員を採用した場合、全額国庫負担で人件費を賄うのも一案です。これは非常にドラスチックですけれども、一つの実証実験として、全額負担でなくてもいいんですけれども、自治体の経済的負担をちょっと軽減してあげられるようなインセンティブを提供することで、もう少し取り組み方が変わる可能性もあるなと感じました。
 今のは一つの経済的なインセンティブですけれども、ほかのインセンティブがどういったものがあるのかというのを検討をし、そういったものを検証事業から始めていくということをちょっと考えてみてもいいんじゃないかなと思いました。
 3つ目は、今の最初の2つはすぐできるかどうかはちょっと分からないんですけれども、最後に何かすぐできることとして、各自治体の給与モデルの開示です。文科省として各自治体の給与算出モデルを把握していない場合は、把握を進めたほうがいいんじゃないかなと思っております。自治体によってばらばらだと聞きます。給与の等級そのものは各教育委員会は結構画一的なものとしてありますが、社会人経験者がそのモデルにどう適応されるのかの判断は教育委員会によってバラバラだと聞きます。実際多くの自治体が社会人の経験年数をその等級に当てないで、教育事業に何年関わってきたかということで等級を当てるんです。
 なので例えば社会人経験をもって35歳の時に教職に転職した人でも、12、3年あるビジネスに従事した社会人経験は同等に評価されず、年間100万円ぐらい低い金額で採用されていくという話を聞いています。我々、高度専門性を求めている人材を求めているにもかかわらず、そこを給与の面で軽視している実態があると待遇と制度が目指すべき姿に乖離が生まれてしまいます。民間の給与水準から下げて教職を志し、さらに同世代の教員との給与格差があるとなると、なかなか優秀な人材は集まらないと思います。なので、早急に     特別免許状で付与されて入職する際の給与の算出モデルの情報収集と開示、もしくは文科省のほうである程度の給与の算出モデルをつくり、それを周知していくことをご検討ください。    
 以上でございます。
【秋田部会長】  どうもありがとうございます。数値目標、インセンティブ、そしてさらに給与算出のモデルを公表していく等の、具体的にできるところからという御意見を頂戴いたしました。
 あと本日御参加なんですけれども、ネットの調子が悪いということで、白水委員からコメントをいただいているということですので、事務局のほうからお願いをいたします。
【重親教育人材政策課課長補佐】  事務局です。白水委員からのコメントをいただいておりますので、代読いたします。
 教師人材の量的な側面については、活用可能な制度や取組があるにもかかわらず、周知共有が図られていない面が大きいかと思いました。こちらについては質を問わず、まずは、量的な拡大を目指すのがいいと考えました。
 一方で、人材の質的な側面については、各委員の御発言も踏まえると、もう少し長い時間を養成部会の各委員の皆様に割り振っていただいて、特定の制度や取組に関して、具体的なアイデアや事例つきで発表する、このような機会があってもよいと思いました。
 代読は以上です。
【秋田部会長】  白水委員からも御意見をいただきました。ありがとうございます。
 今回、議事の4につきましては、免許外教科担任の許可等に関する指針の改訂の案でございます。それから、5については、特別免許状に関する運用の見直し案として出させていただいておりますけれども、補足的には御意見いただきましたけれども、特に案に修正の意見というのはなかったように思います。これは案のとおりに進めるという形でよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【秋田部会長】  ありがとうございます。画面上から皆様がうなずいてくださっていると御判断させていただきまして、この案のとおりに進めることとしたいと思います。
 これで議事の4、5を終了とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、最後に議事6でございます。議事6に入りたいと思いますので、事務局より御説明をお願いをいたします。
【石川教員免許・研修企画室長】  議事の6でございます。令和5年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定後に計画を変更した教職課程についての報告にございます。
 令和5年度教職課程の認定について令和5年12月に審議に諮らせていただきましたけれども、その後、令和6年度の教職課程が開始するまで、つまり本年3月31日までの間にやむを得ない事由により以下の1から3、1、教職専任教員を変更する場合、2、教職専任教員を変更することに伴いまして、教職専任教員の担当授業科目を変更する場合、あるいは教職専任教員を変更することに伴いまして、教職専任教員の担当授業科目の内容を変更する場合に該当する事項が生じた大学につきまして、課程認定委員会において書類審査を行いまして、最終的に40大学全てに「可」と判定しましたので、御報告いたします。
 説明は以上です。
【秋田部会長】  御説明ありがとうございました。皆様、今の本件議事6についての説明を踏まえて御質問や御意見等ございましたら、挙手のほうをお願いいたします。いかがでございますでしょうか。
 特に御意見が、今、見ましたところではないようでございますので、ありがとうございます。これで議事6を終了とさせていただきたいと思います。
 本日の議事は、以上になります。御協力をいただきまして、ありがとうございます。それでは、最後に事務局より御説明をお願いいたします。
【重親教育人材政策課課長補佐】  事務局でございます。まず、本日、機材のトラブルによりまして、会議の冒頭、具体的には議題1から2の途中にかけて、報道の方や一般の方向けの配信ができていないという状況が生じてしまいました。大変申し訳ございません。後日、議事録については、ホームページに掲載させていただきますので、そちらで御確認いただけたら幸いでございます。
 次回の教員養成部会の日程でございますけれども、こちらについては、追って事務局より御連絡をいたします。
 以上でございます。
【秋田部会長】  皆様、本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。
 それでは、本日は以上とさせていただきます。お疲れさまでした。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――