学校安全の推進に関する有識者会議(令和6年度)第1回 議事録

1.日時

令和6年5月2日(木曜日)10時00分~11時55分

2.場所

Zoom利用によるWeb会議

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 今年度の検討事項について
  3. その他

4.議事録

【岩倉室長】 それでは、時間になりましたので、ただいまから、令和6年度第1回学校安全の推進に関する有識者会議を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
私は、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安全教育推進室の岩倉と申します。座長を決定するまでの間、進行役を務めさせていただきます。
本会議は、オンライン会議方式で開催させていただきます。
それでは、まず初めに、開会に当たりまして、文部科学省総合教育政策局長の望月より、一言御挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。
【望月局長】 皆様、こんにちは。
本日は第1回目の会議でございますので、私から一言、お礼と、これからの審議に当たって留意していただきたいことをお話させていただきたいと思っております。
まず、皆様方におかれましては、学校安全につきまして、日頃から大変、我々にお力添えをいただきまして、ありがとうございます。
安全面に関しては、子供たちも、保護者の方も、地域の方々も、皆さん、安全あっての学業でもあり、学校生活でもあるということを本当に身にしみているところでございます。先日もまた釘のニュースが、今朝も品川区だったかな、大きく見つかりまして、この会議の昨年度のまとめとして、学校安全、学校事故に対応する指針の改定版と、学校における安全点検要領と、2つのものを取りまとめいただきました。どうもありがとうございました。
それに基づいて、各学校あるいは教育委員会、それから国立、私立の設置者も、それぞれ安全面について、日頃の点検と、それから日常ではできない、業者へのお願いも含めた点検という観点から、いろいろ御示唆いただいてまとめたものを周知しているんですが、やはり、改めて、各学校の点検が日頃から大事だということを思い知らされた次第でございます。
今回、改めて御参加いただきます先生方、よろしくお願いいたします。令和4年度からこの会議を設置してございますけれども、4年度、5年度、そして今回6年度と、また、お世話になる先生方、そして新しくお世話になる先生方、ぜひ、また知見をお貸しいただければと思っております。
今年度は、新しいテーマとして、各学校における体制を改めて、学校安全に対する体制をもう一度見詰め直そうということがございます。SPS、セーフティプロモーションスクールの動きで、学校が組織的に学校安全に取り組んでいる事例も増えてまいりました。そうした学校の取組なども大いに参考にさせていただきながら、結局、一人一人が気をつけるとともに、やはり学校というチームとして、学校安全の体制をしっかり整えていくことが大事かなと思ってございます。
そういう観点から、これまでもしっかりできている学校、それから、そうでない学校という昨年度の要領も踏まえて、体制の面でも御知見をお借しいただきたいと思っております。そのために、有識者会議の下にワーキンググループを設置して、学校安全を推進する校内組織あるいは地域や家庭、関係機関とのさらなる連携という観点でも少し踏み込んで、その体制の在り方について、検討を進めていきたいと考えてございます。
それぞれのお立場から、この会、いつも忌憚のない意見をいただいているんですけれども、引き続き、結局は子供たちの安全面を守っていくのは大人の仕事でございますので、その観点から、今よりもさらに一歩でも向上するような形で、お力をお借りできればと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【岩倉室長】 望月局長、どうもありがとうございました。
それでは続きまして、事務局から、本日の配付資料の確認と出席委員の紹介をお願いいたします。
【合田補佐】 安全教育推進室室長補佐の合田でございます。よろしくお願いいたします。
まず、配付資料の確認でございます。議事次第に配付資料が書いてございますけれども、資料1-1が有識者会議の設置紙でございます。資料1-2、有識者会議の運営についての案でございます。資料2がワーキンググループの設置の案でございます。資料3-1が有識者会議とワーキンググループの検討の方向性についてという横長の資料でございます。資料3-2は、本日は桜井委員から御発表いただく、コミュティ・スクールにおける学校安全の推進の発表資料でございます。資料4は教員養成における学校安全の学修の充実についての資料でございます。参考資料といたしまして、参考資料1が第3次の学校安全の推進に関する計画の概要と本文、参考資料2-1と2-2ですけれども、つい先日、4月30日に熱中症の防止の関係で改めて通知を出しておりますので、その関係の資料を参考資料としてつけております。
配付資料は以上でございます。
続いて出席委員の御紹介でございますけれども、資料1-1の別紙におきまして、有識者会議の委員を名簿で記載してございます。
今年度ですけれども、桜井愛子委員と𠮷門直子委員に新しく参画いただいているところでございます。
なお、出欠ですけれども、本日、木間委員が所用により欠席、神内委員が所用により遅れての参加と聞いております。
以上でございます。
【岩倉室長】 配付資料等に不備はございませんでしょうか。何かございましたら、Zoomの挙手機能で事務局にお知らせください。
今年度、委員に加わっていただきました桜井委員、𠮷門委員の順番に、一言御挨拶をお願いいたします。
【桜井委員】 今、御紹介いただきました桜井と申します。
本年4月1日より、神戸大学大学院国際協力研究科、そして、クロスアポイントとして東北大学災害科学国際研究所の教授をさせていただいております。
東日本大震災以降、石巻を中心に、学校防災の拡充に関する実践研究、御支援をさせていただいております。今年度から、メンバーということで加わらせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
【𠮷門委員】 土佐市立土佐市教育研究所の所長をしております𠮷門直子と申します。
昨年度までは3年間、土佐市立蓮池小学校で文部科学省の総合支援事業なども混ぜていただきながら、安全教育のカリキュラム化に取り組んでまいりました。
その以前は、文部科学省の安全調査課に4年間勤めさせていただいておりまして、これまでずっと学校安全ということを念頭に置いて、いろいろなところで仕事をしてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
【岩倉室長】 どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。
本日の1つ目の議事、(1)座長の選任等についてでございます。今後の議事の進行のため、座長を決めたいと考えております。事務局といたしましては、これまでも中央教育審議会の学校安全部会をはじめ、様々な会議において座長の御経験のある渡邉正樹委員に、昨年度に引き続きまして本会議の座長をお願いしたいと存じますが、皆様、いかがでしょうか。
ありがとうございました。それでは、今後の議事につきましては、渡邉座長にお願いできればと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉座長】 このたび、座長を拝命いたしました渡邉でございます。それでは、座長就任に当たり、私から一言、御挨拶申し上げます。
学校保健安全法の中で、国に対して策定が義務づけられた学校安全の推進に関する計画ですが、令和4年3月に第3次計画が閣議決定され、それから2年が経過いたしました。第3次計画に基づき、安全で安心な学校環境の整備、組織的な取組等を一層充実していくため、この有識者会議が立ち上がり、今年で3年目となります。
昨年度は、学校における安全点検要領、そして、学校事故対応に関する指針改定版の2つについて検討を進め、年度末には、その成果を公表いたしました。
今年度は、本日の議事でお諮りいたしますけれど、新しい課題について検討を進めていくことになります。昨年度に引き続き御参加いただく皆様に加え、本年度から新たに加わっていただく委員の方々もいらっしゃいます。皆さん、学校安全の分野において優れた識見をお持ちの方々であり、大変心強く思っております。皆さんの英知を結集し、今後の学校安全の充実のために、闊達な御議論、意見交換が行われることを期待して、私の挨拶に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事の(1)を続けたいと思います。本会議の運営に当たって、公開等のルールを会議として定めておく必要がございます。これについて、資料1-1、1-2を用意いたしました。内容について、事務局から御説明をお願いいたします。
【岩倉室長】 事務局でございます。資料1-1、1-2の御説明をいたします。
まず最初に、資料1-1の学校安全の推進に関する有識者会議についてを御覧ください。この資料につきましては、当該有識者会議の設置要綱でございまして、本年4月23日に文部科学省総合教育政策局長決定がなされております。
まず、1の設置の趣旨についてでございますが、資料に記載がありますとおり、令和4年3月25日に、今後の5か年、具体的には令和4年度から令和8年度になりますが、この期間における学校安全に係る基本的な方向性と具体的な方策を示す「第3次学校安全の推進に関する計画」が閣議決定されまして、学校における安全に係る取組を本計画に基づきまして、総合的かつ効果的に推進することとされております。
このため、本計画に基づきまして、安全で安心な学校環境の整備ですとか、組織的な取組等を一層充実するために、当該有識者会議を設置いたしまして、学校安全の推進の在り方について検討を行っていただくこととしております。
次に、2の検討事項につきましては3つございまして、第3次学校安全の推進に関する計画の進捗に関することですとか、学校安全に関する政策の推進に関すること、その他、学校安全に関する取組状況の調査・分析に関することなどについて御検討いただくこととしております。
3の実施方法でございますが、有識者会議の委員の協力を得まして、上記の検討事項について検討いただくとともに、本有識者会議におきましては、この下にワーキンググループを置くことができること。必要に応じて、関係者の方々の協力を求めることができることが規定されております。
4の実施期間につきましては、本年4月23日から令和7年3月31日までとしております。
5のその他につきましては、有識者会議の庶務ということで、総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課の安全教育推進室で担当することや、当該要綱に定めるもののほか、有識者会議の運営に必要な事項につきましては別に定めることとしております。
本日は、この有識者会議の運営に必要な事項は別に定めることに基づきまして、資料1-2をお諮りし、決定したいと考えております。
それでは、資料1-2、学校安全の推進に関する有識者会議の運営についてを御覧ください。この資料につきましては、当該有識者会議を適切かつ円滑に進めるために、以下の事項を当該有識者会議におきまして、お諮りして定めるものとなります。
まず、第1条の議事に関することについてでございますが、座長は、有識者会議の議長となりまして、議事を運営することを規定しております。
また、座長に事故がある場合には、有識者会議の委員の中から、座長があらかじめ指名する者が、その職務を代理することを規定しております。
次に、第2条のワーキンググループに関することについてでございますが、ワーキンググループの委員及び主査につきましては、座長が指名すること。
主査は、ワーキンググループの会議の議長となり、議事を運営すること。
主査に事故がある場合には、当該ワーキンググループの委員の中から、主査があらかじめ指名する者が、その職務を代理すること。
座長は、ワーキンググループの会議に参加することができることなどが規定されております。
次に、第3条の会議の公開に関することについてでございますが、有識者会議は、原則として公開することとしておりまして、ただし、児童生徒の事故事案等につきまして、被害者等の個人情報の保護の必要がある場合には、座長が判断いたしまして、非公開とすることができる規定としております。
また、ワーキンググループの会議は、構成員の自由な意見交換の確保ですとか、児童生徒の事故事案等に係る非公開の情報を含めた検討を行う必要がありますので、非公開といたしまして、検討状況を有識者会議に報告することを規定してございます。
次に、第4条の会議の傍聴に関することでございます。有識者会議の傍聴につきましては、あらかじめ、安全教育推進室の登録を受けること。それから、登録を受けた者が撮影や録画を行う場合には、座長の許可を受けることや、座長及び事務局の指示に従うことなどについて規定してございます。
次に、裏面を御覧ください。第5条の会議資料の公開についてでございますが、会議資料につきましては、原則として公開とし、ただし、座長が非公開と判断した場合には、全部または一部を非公開とすることができることを規定してございます。
次に、議事概要の公開についての第6条でございますが、これは5条と同じ、会議資料と同じ内容として取扱いを定めてございます。
最後に第7条の雑則でございますけれども、上記に定めるもののほか、有識者会議の議事の手続その他有識者会議の運営に関する必要な事項につきましては、座長が有識者会議に諮って定めることが規定されております。
資料の説明は以上となります。御審議よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
資料1-2の本会議の運営につきまして決定したいと存じますが、皆様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【渡邉座長】 ありがとうございました。
それでは、原案のとおり決定いたします。今後は、このルールにのっとり、会議を運営することといたします。
なお、資料1-2の第1条の2において、あらかじめ、代理を定めるとしておりますが、座長の代理につきましては、小川委員にお願いしたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
【小川委員】 はい、どうぞよろしくお願いします。
【渡邉座長】 それでは、議事(2)に進みたいと思います。今年度の検討事項についてと題しまして3点、ワーキンググループの設置、有識者会議――ここの親会ですね――及びワーキンググループの検討の方向性、教員養成における学校安全の学修の充実について、各委員から御意見をいただきたく存じます。
それでは、議事(2)の丸1について、事務局から御説明をお願いいたします。
【合田補佐】 事務局でございます。
資料2を御覧ください。ワーキンググループの設置について御説明いたします。
今年度につきましては、有識者会議の下に、学校安全を推進する組織体制の在り方検討ワーキンググループを設置したいと考えております。
まず、設置の趣旨でございますけれども、各学校における学校安全計画や危機管理マニュアルの内容や、それに基づく取組の実効性を高めるため、学校安全の中核を担う教職員を中心とした学校安全を推進する校内組織及び家庭、地域、関係機関との連携・協働による組織的な体制により、学校安全を推進していく方策等の専門的な検討を行うとしております。
また、検討事項として、3つ規定しております。
(1)コミュニティ・スクール等を生かした組織的な学校安全の推進。
(2)学校における学校安全計画等に基づく取組の実効性を高める校内体制の推進、括弧書きですけれども、特に、学校安全の中核を担う教員の役割と、校内において組織的に進める体制等でございます。
(3)組織的に学校安全を推進していくための学校安全の研修の在り方等としております。
この検討事項の設定理由につきましては、また後ほど、資料3-1の説明の際に詳細の説明をさせていただければと考えております。
構成員につきましては、別紙を御覧ください。こちらに記載されております9名を予定しております。ほか、昨年度のワーキンググループと同様、渡邉座長にもオブザーバーとして参加していただくことを予定してございます。
ワーキンググループの設置に関する説明は以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
ご説明にもありましたように、当ワーキンググループの主査につきましては、立ち上げるまでに私から指名させていただきます。
ワーキンググループの設置について、もし、御意見がありましたらお願いします。いかがでしょうか。何か御意見はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、今後、ワーキンググループに参加していただく皆さん、どうぞ、この議題について、御検討をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次の議事に入りたいと思います。
議事(2)の有識者会議、この親会ですけれど、親会及びワーキンググループの検討の方向性について事務局から説明いただき、その後、桜井委員から事例発表をしていただこうと思います。その後、皆さんで意見交換ができればと思います。
では、まず、事務局から御説明をお願いいたします。
【合田補佐】 資料3-1を御用意ください。今年度の有識者会議とワーキンググループの検討の方向性について、御説明させていただきます。
では、1枚めくっていただいて、まず、今年度の検討体制についてでございますけれども、先ほどよりお話ししておりますとおり、今年度は、有識者会議の下に、組織体制の在り方検討ワーキンググループを一つ設置して、親会と連携を図りながら、検討を進めてまいりたいと思っております。
次に、検討の進め方ですけれども、第3次学校安全の推進に関する計画の期間である令和4年度から8年度の間に、ここに記載しております6点を特に検討を進めていく必要がございます。このうち、学校事故対応指針の見直しと安全点検の在り方については、昨年度、検討して、済みとなっているところでございます。今年度は、赤字の学校安全を推進するための組織体制の在り方について、ワーキンググループで深掘りした検討を行いつつ、同時に学校事故予防に向けたデータの活用と施策の検証と学校における安全教育の取組のさらなる充実については、親会において継続的に議論を行いたいと考えております。なお、危機管理マニュアル等の見直し・実効性を高める方策について、こちらにつきましては、来年度の検討事項としたいと考えております。
また、ワーキンググループで組織体制の在り方の検討を進める際には、学校安全について、組織的、計画的に地域等と連携し、実践・改善を継続するものとして認証された学校である「セーフティプロモーションスクール」の考え方も取り入れながら、検討を進めていきたいと考えているところでございます。
次に、1枚飛ばしていただいて、3枚目を見ていただければと思います。ワーキンググループの主な検討事項についてでございます。
まず、第3次計画におきましては、学校安全の中核を担う教職員の位置づけを明確化し、学校安全計画の内容や、それに基づく取組の実効性を全国的に高めていくこと。
また、コミュニティ・スクールなどの仕組みを活用することなどにより、学校安全の観点を組み入れた学校運営や地域ぐるみでの防犯・交通安全・防災等の取組を行うことが必要と示されているところでございます。
さらに、これまでの有識者会議におきましても、学校経営に学校安全を位置づけ、校長の指導の下、学校安全を担う中核教員を中心に進めていく体制が必要といったこと。
安全担当1人ではなく、チームで対応する組織体制が必要といったこと。
コミュニティ・スクールの委員に、安全の取組等について参画・評価をもらい、外部の視点を取り入れてブラッシュアップしていく必要があること。
また、学校の組織の中の学校安全を担う方がその役割を果たすことができるよう、課題の把握とその解決のための議論が必要といったこと。
全国の教職員の応急手当などの研修の実態把握が必要であることなどが指摘されてきたところでございます。
このようなこれまでの課題意識の下で、主な検討事項として、ワーキンググループの設置要綱にも記載しておりましたけれども、こちらに表記の3点を設定したいと考えております。
改めてですけれども、(1)コミュニティ・スクール等を生かした組織的な学校安全の推進。(2)学校における学校安全計画等に基づく取組の実効性を高める校内体制の推進、特に学校安全の中核を担う教員の役割と、校内において組織的に進める体制等。(3)組織的に学校安全を推進していくための学校安全の研修の在り方等でございます。
また、この検討をするに当たりましては、今年度実施する予定であります取組状況調査による中核教員や組織体制等の把握といったこと。
また、先進的に取り組んでいる学校等のヒアリングなどを通じまして、学校現場の実態を踏まえたものとなるようにしていきたいと考えているところでございます。
1枚戻っていただきまして、最後、具体的なスケジュール、親会とワーキンググループの開催予定でございます。今年度も盛りだくさんでございますけれども、資料のとおり、親会を5回、ワーキンググループ6回の開催を予定しております。特に5月、6月にかけての前半の議論におきましては、まずは主な検討事項の1でありますコミュニティ・スクールの活用の点に関しまして、集中的に検討を進めていきたいと考えているところでございます。そして後半にかけましては、2の中核教員の役割などの組織体制の件ですとか、3の研修の在り方などについて議論を深めていきたいと考えております。
また、ワーキンググループの検討状況につきましては、随時、親会に報告する形としております。
なお、開催予定につきましては、検討の状況によりまして変更になることもあり得ますことは御承知おきいただければと思います。
今年度親会とワーキンググループの検討の方向性の説明は以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
コミュニティ・スクール等を生かした組織的な学校安全の推進について、これから検討していくというお話でした。
これに関連しまして、次に、桜井委員からの事例発表をお願いいたします。
【桜井委員】 それでは早速、始めさせていただきます。
今日は、私自身の学校現場での学校防災を支援する経験から、コミュニティ・スクールの可能性について感じた点の問題意識の共有を踏まえて、横浜市立北綱島小学校の事例を紹介させていただきます。その上で、先行研究の議論も含めて、幾つかの論点を提示して、議論、そして、まとめという形で、10分ほど、お時間を頂戴いたします。
まず、問題意識についてでございます。問題意識の前に、大前提として、法律についてはこちら、学校保健安全法第30条で、学校と地域の連携というものが記載されています。
そして、既に出てまいりましたけれども、第3次学校安全の推進に関する計画でも、2の家庭、地域、関係機関等との連携・協働による学校安全の推進の指標として、コミュニティ・スクール等の仕組みを活用して、地域と協働した学校安全に取り組んだ学校数とか、あるいは地域住民の避難受入れ時の対応について地域の関係機関と協議している学校の割合といった形で、幾つかの指標にも学校と地域の連携というものが含まれているのが、この第3次計画であります。
これに基づいて、これからコミュニティ・スクール、学校運営協議会制度の仕組みを活用した学校安全の推進ということを考えていくわけですけれども、既に皆さん御承知のとおり、下のボックスにありますけれども、学校運営協議会というのは地域の住民の代表等が入る協議会で、校長が作成する学校運営基本方針を承認する、あるいは学校運営について、教育委員会または校長に意見を述べることができる。そして3番目に、教職員の任用に関して意見を述べることができるといった形で、地域が学校の運営に参加していく仕組みになっています。
私自身は、この仕組みについて可能性を見いだしているんですけれども、それはどういうところで感じたかといいますと、そもそも学校というのは子供たちの学びの場ですけれども、私、今、放課後児童クラブの防災もお手伝いをさせていただいているんですが、例えば同じ併設型の場合、同じ学校という施設を使っていても、児童クラブと学校だと管轄が違うので、なかなか連携が進まない。こういったところで、どうやって同じ子供を抱える親や地域が情報を共有して拡充していけるのかといった問題意識や、あるいは、学校の教員に対する研修で、防災力の向上や地域の災害リスクに応じた避難経路の設定等を御支援しているんですけれども、多くの場合、地域住民にとっての災害時の緊急避難場所や避難所というのは学校になっている。こういったときに、学校と地域があらかじめ、どうやったら地域の避難場所、緊急避難場所等について合意形成が図れるのだろうかといったところで、問題意識、特に学校と地域がどうやったらよりよく連携を図れるのかということについて考えるようになってまいりました。
1つの例がこちらで、これは石巻市での合同防災訓練の写真ですけれども、手前側が自主防災組織のメンバーの方の列で、ちょうど緑色のコーンが見えるんですけど、そちらから奥側にかけてが子供と保護者の列になっているんです。ここで感じたことは、合同訓練をやっても、地域の自主防災組織の人たちと保護者と子供の間には大きな溝がある。一緒にやっているはずなのに大きな溝を感じたのが現実でございまして、どうやったらこの溝が埋められるんだろうかというような問題意識も長く持ってきました。
そんな中で、石巻市では復興防災マップづくりを通じて、毎年、学校現場を訪問させていただいているんですが、ある年を境に、学校と私たち大学教員の打合せに地域の住民の方が出てくるようになったんですね。伺ったところ、CSを導入して、私たちCSのメンバーですということで、CSを導入することによる学校と地域の連携の可能性を見いだしたというところが、まず、私の問題意識と、それからCSに対する期待を感じた点になります。
では早速、事例として、横浜市立北綱島小学校を紹介させていただきます。横浜市立北綱島小学校は、2019年に文部科学大臣賞を受賞していて、学校運営協議会で連携する「防災まちづくり」ということで、長年の取組を推進しています。私どもの研究で、一度、北綱島小学校を取り上げさせていただいたことがありますことと、昨年度の横浜国立大学での防災国体で、また改めて最新の情報を入手したことから、今日の事例の紹介とさせていただきたいと思います。要点はここに書いてあるところですが、実際に北綱島小学校さんからの資料を基に説明させていただきます。
まず、北綱島小学校さんの取組、もちろん学校運営協議会を通じた防災の取組ですけれども、要点は、この一枚に尽くされているかなと考えております。まず、ここに書いてあるとおり、地域との関わりを通して、一訓練、一授業が点で終わることにしないということです。それをどうやってつなげるかというと、訓練と学習をつなげる、教科と教科をつなげる、学校と家庭をつなげる、学校と地域をつなげるといった形で、点と点をつないだ線にしていきたいという中で、学校と地域、家庭、教科、学習、訓練というものを一体的に取り組もうというのがゴールになっているのが北綱島小学校の特徴です。
実際にどのように学校と地域の連携を防災面で図っているかというと、学校運営協議会と、それから横浜市に特有の避難所であります地域防災拠点の運営委員会、ここのメンバーがほぼイコール、同じになっていて、地域で防災を担うメンバーと学校運営協議会のメンバーが重なっている中で、学校防災と地域防災を併せて考えていこうというやり方を取っていることになります。学校を中心として地域がまとまろうとか、学校も地域の中心になろうという意識が共有されているということでございます。
実際に、北綱島小学校での地域防災拠点の訓練会というのは2013年から長く続いているもので、毎年1,200人以上が参加されているものですけれども、ここで非常に重要な点になるのは、参加者が地域住民と拠点員と小学生ということで、保護者を含む地域住民となっているわけです。自主防災組織と保護者という分け方ではなくて、地域住民の中に保護者が含まれているということになっています。
そして訓練内容、最初は、地域の住民の皆さん、拠点員のメンバーが主体的に行う訓練になっていて、特に初動に特化した訓練で、非常に実践的な訓練をされています。後半は、今度は、地域住民、防災保護者、それから拠点員、そして児童、保護者が合わさって防災座学ということで、これまた、地域の方が行う防災座学をみんなで勉強するということで行われています。
これがそのときの様子ですけれども、実際には地域住民の方がこの訓練を主導しているという点がポイントになります。
そして、その後、ここに小学生の訓練内容というものが出ているんですけれども、先ほどの拠点と一緒に行った訓練というのは2~3時限目で、4時限目は、小学生はそれぞれの教室で防災授業を行っていて、各学年ごとに訓練の合わせた内容が異なっているという形で、様々な学習と訓練をこの日に行っているということです。前半は地域の拠点の訓練、そして後半に座学、そしてその後、それぞれ防災学習をするという内容になっています。
このような北綱島小学校の取組、ここで論点として挙げさせていただきたいのは2点で、2013年からの取組が、今なお持続発展されているのはなぜなのか。特にパワーアップしているんですけれども、これはなぜなのだろうかということ。
それから、北綱島小学校の取組を他校や他地域へ普及・展開させることはできるのだろうかということです。そのためにはどのような仕組みやリソース等が必要なのかという、この2点について少し考えていきたいと思います。
まず、先行研究での議論の1つ目としては、コミュニティ・スクールと防災を掛け合わせた研究というのはまだまだ限られているのですが、この2021年の研究では、特に北綱島小学校の取組について、こちらの点の2点目にございます学校の経営方針や重点取組目標に学校・家庭・地域が連携した防災活動が掲げられていること。そして、CSの枠組みを活用した実践が蓄積されることが持続可能な防災まちづくりと防災人材育成の副産物をもたらしているとしています。
実際に、こちらが北綱島小学校の令和2年度版の中期学校経営方針です。ちょっと細かくて見えないので、中期学校運営経営方針の上から3段目にある中期取組目標ついては、こちらに書き出してありますけれども、「チーム北綱島小」として全教職員が学校運営に参画していること。
それから、地域や家庭と連携し、災害を中心とした様々な危険から身を守り、自助・共助の態度を養う安全防災教育の充実を図るということが目標に明記されていること。
そして、学校運営協議会を通じて、学校・家庭・地域が共通理解を図り開かれた学校づくりを目指すということが目標の中に既に書き込まれているということになります。
そして、重点取組分野ということで、ちょうど左の表の下のほうにありますけれども、地域連携、安全防災教育、そして学校運営協議会がそれぞれ重点取組分野になっていて、それぞれ教職員の担当が併せて示されているということになります。このように、単に重点取組分野に安全防災教育が取り上げられているわけではなくて、中期目標に家庭・地域と連携した安全防災教育の充実というものが位置づけられていて、これの下に、随所に防災掛ける地域連携というものがたすきがけされているというところが、この中期学校経営方針の特色になっていると思います。
続きまして、さらに、この論文の中では、北綱島小は港北区にありますので、ほかの学校の中での位置づけというものを見ています。その中では、CS導入校だからといって、必ずしも「防災」を重点取組分野に位置づけていない。あるいは「地域連携」や「学校運営協議会」を重点取組分野とした上で、具体的取組で「防災」を明記する場合もあるが、その割合はまだ少ないという指摘がありました。
これを受けて、つい先日、やはり港北区の全小学校の中期計画を見させていただいて確認したところ、この経営方針の中で、「安全」というものが触れられている学校は26校中19校あったんですけれども、「防災」が触れられているのは26校中8校だったということが分かりました。
また、「安全」というのが、ほとんどが健康安全や保健安全、環境整備の観点から触れられていて、「防災」掛ける「地域連携」という形で、「防災」と「地域連携」が掛け合わさった記述になっていたのは3校に限られていたということです。
このように、「防災」あるいは「安全」が重点分野に示されていても、地域との関係が触れられていないケースが多いということになりまして、「地域連携と安全」というものを掛け合わせて推進していくことが課題と読み取れるかなと思います。
さらにもう一つの先行研究の議論では、石巻市の学校を対象としたアンケート調査結果でしたけれども、この調査結果から、地域連携が活発な学校において、コミュニティ・スクールやSPSのような持続性のある枠組みを導入すると、地域の教育力のポテンシャルを最大限に発揮させることが有効だと結論づけられています。もともと地域連携が活発な学校においては有効だということが分かったということです。
ただし、これは小学校の場合であって、中学校ではなかなか、たとえ同じ学校区の小学校、中学校だったとしても、小学校でできても、中学校では、なかなかこういった取組が進んでいないということが分かりました。
また、これに合わせて、学校の関係者に、地域に根差した防災教育の実践のために、どんな学外の人材が必要ですかと聞いたところ、防災に関することに詳しい人というよりは、地域連携のためのコーディネーター、地域の事情に詳しい人が人材として必要だという御指摘がありましたということで、地域に根差した防災教育の実測発展という観点から、地域づくりの活動に平常時から関わっている多様な専門性を持つステークホルダーが関わっていて、学校防災の推進にも関与していくことが大切だということが確認できるかと思います。
実際に、今度は鷲山龍太郎校長先生、最初に北綱島小学校でこの取組を始められた校長先生にヒアリングをさせていただいて、先生が校長先生として赴任された学校でもCS掛ける防災の取組が継続している学校としていない学校があるけれども、違いは何ですかという質問を率直に伺わせていただきました。
大きく言って、ここに書かれていることがお答えだったんですが、やはり最初の指摘にあったように、まず第1には、「地域連携と防災」を位置づけた学校経営方針というものがあって、それが受け継がれているということ。
それから、経営方針に基づいて、校長のリーダーシップの下、職員会議等の組織を通じて職員が学校経営にチームとして参加していること。
その上で、職員、保護者、地域がそれぞれ主体的に参画しているということで、これらによって初めてコミュニティ・スクールが実質化すると述べておられました。
また、学校運営協議会と地域防災拠点の運営委員会のメンバーが一致していることで、学校と地域で防災行動計画や地区タイムラインを共有したり、授業参観と地域防災訓練をセットですることが可能であったということが4点目です。
そして最後に、こういった経験が長年蓄積されることによって、もともと一保護者だった方がPTAのメンバーになり、そしてPTAのメンバーから学校運営協議会のメンバーとなり、そして、その後は地域の防災拠点の運営委員会に入られて、地域の人材として共に成長していったということで、学校と地域が共に成長できる環境が整えられていったという点を、この取組の持続発展可能性のポイントとして教えていただきました。
まとめということで、これまでのまとめになりますけれども、CSというのは、学校と地域の連携による学校安全を推進するための仕組みとしては有効であるが、その導入だけでは不十分だということが明らかになったかと思います。
もちろん、CSという仕組みの導入は必要ですが、地域連携で防災を扱うための仕掛けが必要だということ、これが先ほどから言っている学校経営方針や教育課程、協働活動を「チーム学校」として学校職員が一緒に参加する。そして、地域人材を発掘して育成していくということで、高齢者中心の自治会の関係者、現役世代の地域住民である保護者、次世代を担う地域住民である児童生徒と学校職員が連携して、様々な世代の住民と子供と保護者が一緒になって活動していく、これがCSの仕組みの中で継続されて、経験が蓄積されていることが必要になってくるということで、時間のかかるプロセスだということも示されています。
ただ、今回の発表で考慮すべきポイントとしては、横浜市の場合は、避難所に代わる地域防災拠点というものがありまして、それの運営委員会ということで既に設置されているものがあるので、学校で運営協議会のカウンターパートになり得るんですけれども、こういった事例は仙台市などで既に導入されていますが、地域防災のカウンターパートがいない場合、学校が地域防災までを担わなければいけないような、おんぶにだっこの防災になる懸念が既に石巻市なんかでは見られていたりします。
また、児童の安全確保(災害・交通・生活)のための学校と地域の連携という意味では、一緒にやることは合同避難訓練だけではなくて、防犯・見守り・教育活動なども含めて、子供の安全に関する埋もれた地域の教育力の活かし方というものを各校で、まず、学校がチーム学校として検討して、それを地域と共に取り組んでいくというやり方が必要であろうということになります。
最後に、コミュニティ・スクールの最初に示した図に先ほどのポイントを反映させると、最初のコミュニティ・スクールの中にある校長先生の裏側には教職員組織というものが存在するということ。それから、学校運営協議会で校長が学校運営の基本方針を承認するとありますけれども、これも職員と共に校長がこれを統括して提案したものであるということ。そして、この中に地域連携と児童の安全確保というものがきちんと明記されることが重要な点として、まとめとして示されるのではないかと考えます。
以上が私からの情報提供になります。どうもありがとうございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
最初の事務局からの御説明、そして今、桜井委員からの事例の御発表、これらは有識者会議及びワーキンググループの協議の方向性について、特にコミュニティ・スクールを活かした組織的な学校安全の推進についてという内容でした。
このことにつきまして、皆様から、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いいたします。なお、御意見のある方は、挙手ボタンを使っていただきますとこちらで分かりますので、どうぞよろしくお願いします。いかがでしょう、何か御意見ございますか。
それでは、首藤委員、お願いします。
【首藤委員】 ありがとうございます。社会安全研究所の首藤です。
事務局の御説明、そして、先生の御発表、大変興味深く拝聴いたしました。
コミュニティ・スクールというのは、私、そのものについては非常に詳しいわけではないんですけれども、学校が地域住民だけではなくて、関係機関ですとか保護者の方、その他、学校以外の方々とつながるための非常に重要なツールなのだろうなと考えています。
学校安全を学校で全てを担うというのはあまりにも重すぎるものでして、学校外の方々の知恵やスキル、それからマンパワーをお借りしながら進めていくのが絶対に必要だと思いますので、その方法論の一つとして、コミュニティ・スクールという仕組みを上手に使っていくことは、とても重要だなと感じています。
一方で、先生の御報告でお話があったように、あまり学校が頑張り過ぎると、学校に負荷がかかり過ぎるとか、そういったことが非常に課題になるということも、そうだろうなと思っておりまして、いかに地域の活動を活性化しつつ、学校安全にも活力をいただくような、しっかり両輪となっていくというんですかね、そういった関係性を構築するのがとても大事なのかなと思いました。
その意味で、多分、この場は、学校側の視点から、学校でコミュニティ・スクールの仕組みをどうするかという考え方で考えることもあると思うんですが、一方で私が伺うところですと、町内会とか自主防災組織もなかなか担い手がいなくて困っていて、例えばPTA組織ですとかそういったところで、比較的若い地域住民の方とつながりを持ちたいなというニーズもあるようなので、学校以外のいろいろな活動主体がどのようなニーズがあって、そのニーズとうまくマッチングできるにはどうしたらいいかという観点も少し考えてもいいのかなと思いました。
以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
それでは、𠮷門委員、お願いします。
【𠮷門委員】 ありがとうございます。𠮷門でございます。
前任校の蓮池小学校もコミュニティ・スクールということになって、これからという段階で私は出てきたのですけれども、やはり地域との連携のツールとして、推進計画の中にコミュニティ・スクールの仕組みを使うということがずっと書かれてきている背景としては、学校が地域とつながって、特に子供の安全に関することは、先ほど首藤委員がおっしゃったように、学校だけでは担い切れない。学校がいろいろなリソースを使って子供の安全を図っていくということの延長線上で出てきたものと理解しています。
そして、例えば学校安全の観点からは、地域学校安全推進委員会とか、かつてそういう言葉でも語られていますけれども、地域の人材というのは、なかなかそんなに、どの学校も、大小あるとは思いますけれども、地域人材が豊富なところばかりではないと思いますし、様々な地域との連携の会議がある中で、私の前任校なども、このメンバーはほぼ同じという状況もございました。ですので、そういういろいろな既存の組織を使って、その中で学校安全の議論をしていくことで、地域と連携した取組を活性化させようというのが一番の目的だったと理解しています。
その中で、改めて、全ての学校がこれから、全国の学校で進められていくであろうコミュニティ・スクールの仕組みの中に学校安全を入れていくのは非常に効果的なことでありますし、ただ、地域が既に独立して、地域の自主防災組織とか、地域のいろいろな安全の活動がすごく活発化されているところは、そこに触発されて、学校の取組がうまくいく場合もあるでしょうし、それから、今、首藤先生に御指摘いただきましたように、地域がまだそれほどでもないときに、地域の防災や安全まで学校が中心となって担ってしまうという本末転倒にならないようにするためにも、改めて、コミュニティ・スクールの仕組みを生かして、学校運営協議会の中で、学校の経営計画の中で、安全についてはこう考えていますということが具体的に語られるような、そういうところまで、何か仕組みとしてつくれることが一番よいのではないかなと思っています。
前任校の話ばかりして大変恐縮なのですけれども、前任校は研究の中心が安全教育でありましたので、必然的に、中心的な話は学校安全に関わる話になっていくわけであります。もちろん、学校経営の中には、子供たちの学力をどう向上させるかとか、あるいは不登校対策をどうするかということも当然出てまいりますけれども、経営計画の中にきちんと、まずは安全に関する取組を、校長が理念としてどういう考え方を持っているかという経営計画の中にまず入れることと、そのことをもって、必ず運営協議会の中にその経営計画を出すわけですから、その経営計画を土台として、地域の方々と学校の課題を話し合っていって、子供たちにどういう力をつけていくのかという議論の中に安全を乗せていくことが非常に効果的、これだと抜け落ちなく、どの学校もやれるということがあると思います。
もう一つは、経営計画のところも必然、その中に北綱のように経営計画の中にきちんとそのことが位置づけられているということがなければ、運営協議会に出すものがないということになりますから、学校の経営計画の中にきちんと安全が書かれるように、それを仕組みとしてどう成し遂げていくかということも、もう一つの観点として重要なことではないかなと思います。
ちなみに、高知県では、県が全部の学校に指導している学校経営計画のフォーマットがあるんですけれども、その中には、知徳体と横断整理ということで学校が組織的に行う基盤となる体制という項目の中に必ず防災や安全について入れることと必須項目となっていますので、どこの学校の経営計画の中にも、書きぶりはそれぞれ違うと思いますけれども、そういうことが書かれていく仕組みとなっていまして、これから、これを本当に実効性のあるものにしていく必要があるなと思っているところでしたので、今の議論には、すごく必要なことで、心から賛同いたします。
以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
それでは次に、藤田委員、お願いします。
【藤田委員】 大阪教育大学の藤田です。
コミュニティ・スクールの活動で、今御紹介いただきましたように、実は私も今、大阪の高槻市で、コミュニティ・スクールとSPSの活動の合同性というのを一つプログラムとして展開させていただいておりますが、その際に、この4月から、高槻市では第三中学校と区にある3つの小学校、合計4校が合同の学校運営協議会を設置して、合同で4校全てがSPSですので、安全の取組を合同の学校運営協議会の活動の中に、いわゆる地域学校安全委員会を設置していただいて、1つの地域として、小中合同型で展開していこうという活動を始めているところです。
この活動につきまして、きっかけとしては、御存じのように、大阪北部地震のブロック塀倒壊事故があった学校が中心となりますが、ただ、当該地域はもともと、地震というよりも洪水の内水氾濫をよく経験した地域でもありまして、そういった中で、地域の合同で活動を進めていく中で、先ほど𠮷門先生からもありました人材というものが、各学校ごとに学校運営協議会を設置して運営していくというのも、やはり限られた部分が出てしまう。さらに、子供たちは小学校から中学校へ進学していく。だから、地域として、やはり小学校、中学校を見据えた、眺めた9年間の取組が必要ではないかという中で展開している。ただ、4校でそれぞれってなかなか難しいということで、高槻市教育委員会に間に入っていただいて、調整役として、4校合同の学校安全計画を設立して、それを各学校区の中で実際的な活動を展開する形を取っていますので、今後、コミュニティ・スクール等の活動の中で、先ほどもありましたように、担当いただける人材が限られている中で、合同型のコミュニティ・スクールが展開されていく。そういった中で、単に学校に任せるのではなくて、第三者機関としてそれをサポートするような体制も、今後、組織的な取組を進めていく中で重要ではないかなと感じましたので、発言させていただきました。
以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
皆さん、ほかには御意見ございませんか。
平塚委員、お願いします。
【平塚委員】 ありがとうございます。昨年度に引き続きまして委員となりました平塚です。どうぞよろしくお願いいたします。
まさに、先ほど御説明いただいた桜井先生にお世話になっています石巻市立の中学校に勤務しております。青葉中学校といいます。実は以前に教頭でおりまして、そこから5年ぶりに校長として赴任しまして、まさに震災後の8年間をずっと見てきた経緯がありますので、そういったことを踏まえてお話をさせてもらいます。
本校の特殊性というか、宮城の中の最大被災地、石巻、その中でも特に被害の大きかったところですね。大川小の犠牲を除けば、子供がたくさん亡くなっている地域であります。小中合わせて37名の子供たちが亡くなりました。
今、小学校は釜小学校と中学校は青葉中学校、1小1中なんですけれども、本校は震災当時、避難所になったときに、大体4,500人が避難してきたと言われていまして、地域としては、震災の影響もあって、防災に対しては非常に意識が高い地域かなと思っています。
その中で前身となる組織、コミュニティ・スクールの前に、地域防災連絡協議会というのがいち早く立ち上がりまして、まずは地域と共に防災について考えようという視点はありました。その後、平成31年に、まさに藤田先生が提唱されているSPS、セーフティプロモーションスクールに認証されまして、今年で6年目を迎えます。
そのすぐ直後にコミュニティ・スクールとなりまして、まさに今、コミュニティ・スクール、そしてSPSという仕組みがある学校でもあります。やっぱり学校の宿命として、どうしても教員は異動します。人は変わるのだけれども、持続可能な防災と考えたときに、仕組みはとても大事になるのかなと思っています。今いろいろお話を聞いている中で、やっぱり、セーフティプロモーションスクールの取組ですね。学校の安全の3領域、生活安全、交通安全、災害安全、本校は土地柄もあって、防災安全を中心に取組を始めたのですが、私が教頭時代にちょうど認証されて、校長で帰ってきたときに、まさにその仕組みがきちんと残っていて、それが機能していることが、今のコミュニティ・スクールでの防災との関係というか、その連携もうまく取れている一つになっているのかなと思っています。
具体的に言いますと、コミュニティ・スクールの中で、まず、本校においては3つの部会があります。防災安全部会、地域協働部会、家庭教育部会、そこに委員が割り振られ、さらに、本校の中学校、それから小学校の教職員も割り振られて、その中で、防災に関する取組に関して企画運営に携わっている。具体的には、年に1回、石巻市は総合防災訓練を行っているのですが、多分、ほかの自治体ではやっていないと思うのですが、休日を全部の市立の小中学校の登校日にしまして、それぞれ取組を行っています。本校は、午前中、それぞれ4地区で、地域住民として子供たちが地域の防災に参加し、午後は登校して、学校でさらに防災を深めているような形を取っています。それがずっと定着しておりますので、比較的、地域住民と子供たちの連携、それから、本市との連携というのは取れているのかなと思っています。先ほど桜井先生から話があったように、確かに石巻市でも、小中の取組がばらばらになっているところも正直ありますが、本校は、そういう意味では連携が取れているのかなと思っています。
それから、まち歩きの防災マップづくりであるとか、避難訓練であるとか、引渡し訓練、そういったところで、コミュニティ・スクールの委員の方々に来ていただいて、実際に参画してもらう、それから評価をしてもらうなどなど、外部の視点を学校の中に取り入れてやっています。
ただ、前提になっているのは、東日本大震災は、たまたま学校が行われている時間に起きたので、本当にあのとき教職員が避難所で頑張ったんですけれども、実際のところ、教職員が不在のときに、学校が防災において果たす役割は非常に大きのんだけれども、要は、教職員がいなくとも、学校を使って避難所運営等を地域住民が行っていくという必然性がうちの学校にはあったので、比較的、高い意識でいろいろなことがなされているというところは、本校の特徴なのかなと思っています。
先ほど桜井先生から話があったように、今後、持続発展していくにはどうしていくのか、本校としては、その仕組みを今後維持していくということですし、それから、この事例を普及、展開と考えたときに、やっぱりSPSの視点といいますか、安全の3領域で、それぞれの学校の特徴を生かした防災、安全に関する取組を考えていくという視点はすごい大事なのかなと思っています。
それから、今、働き方改革と盛んに言われているんですけれども、先ほど首藤委員からもあったように、やっぱり学校だけの防災を考えていくと、学校への負担、教職員は責任を重く感じてしまうというようなことも考えられます。地域との連携の中でその負担は軽減されるし、それから、地域住民にとってももちろん必要だけれども、生徒にとっても、安全の当事者としての取組、安全をつくる側という視点で、いろいろ防災に取り組めているという点においては、今のところ、こういう仕組みが役立っているのかなと思っています。
長くなりましたが、以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
北村委員、お願いします。
【北村委員】 ありがとうございました。
先ほど桜井先生から、非常に大事な観点という形で御紹介いただいた他校とか他地域にどう展開していくかというのは非常に大事で、それができないと、今、コミュニティ・スクールですごくうまくいっているとか、地域にキーパーソンがいてうまく動いているというところでしか動かない仕組みづくりになってしまうと意味がないので、いろいろなところで展開できるような仕組みづくりというのは大事かなと思っていまして、そのときに、多分、このやり方をしたらどこでもいけるよというのはないと思うので、このパターンの場合にはこのやり方をするといいよとか、こっちだったらこういうやり方があるよとかというような、ある程度、モデルケースみたいなので整理していって、どこかの地域とかがやろうと思ったときに、このステップとか、この枠組みに乗ると、次、自分が何をやったらいいのかが分かるような、そういう整理も必要かなと思いました。
コミュニティ・スクールも、先ほど見たところ、今、全国の3分の1ぐらいの学校が導入されているということだったんですけど、その中で、恐らく、かなり質の差がいろいろあって、すごく活用してうまくいっているところから、取りあえずやることになってしまったから、何となく集まって何かをやっているんだけど、結局、何をやっているのか分かりませんみたいになっているところも恐らくあると思うので、そういう中で、やっぱり、やろうと思ったときに、次に何をやっていいか分からないというと進まなくなってしまうので、誰をコミュニティーの中にうまく取り入れて、どういう手順でやっていくのかとか、どういうやり方があるのかとかいう整理も必要なのかなと思うので、そういう意味で、ワーキングでそこまでの整理ができるのか、ひょっとすると、もう一段上で、いろいろな地域での取組が分かってきたところで、それをさらに整理して、文部科学省のどこかのサイト上で分かりやすく見えるようにするとか、そういうところも必要だなと思いました。
そういうのをやっていく上で、モデルケースとかフレームみたいなのも大事ですし、やっぱり、現場でやっていくときに、支援するツールだったりデータというのもないと、1からやると相当大変で、それぞればらばらに同じようなツールをどこかでつくってとかいってやるのは、非常に労力もかかるし、もったいないと思うので、そういうのも一緒に整理していくようなことも一緒に考えないといけないのかなと思うので、先ほどワーキングのお話があったときに、今年度検討していく内容というところの、昨年度やったものと、今年度、有識者会議の全体会でやっていくものと、ワーキングでやっていくものというお話が整理であったかなと思うんですけど、そこら辺のデータ活用みたいなのは、ひょっとすると、この有識者会議の何回かだけでは議論が足りないぐらいあるのではないかなと思ったので、ツール整理とか、データをどう活用していくかというところは、もうちょっと重点的に議論するような場があってもいいかなと思いました。
すみません、長くなりました。以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
新たな御提案もしていただきました。
ほかはいかがでしょうか。
小川委員、お願いします。
【小川委員】 すみません、ありがとうございます。
コミュニティ・スクールについてはあまり詳しくないものですから、何を申し上げていいのかなとずっと考えていたんですけれども、先生方のお話をお伺いしながら、やはり持続可能な学校安全を推進していくために、とても必要な導入としてCS、コミュニティ・スクールがあるということは理解しました。とても大事な視点だなと、これからの方向性を示すものだなと強く思いました。
あわせて、学校経営の中に学校安全をきちっと盛り込んでいくということもよく分かりました。
今後、ワーキンググループでいろいろ検討していくことになるかと思いますが、やっぱり課題はたくさんあるのかなと思いました。コミュニティ・スクールの導入が進んでいないことに対してどうアプローチしていくのか、特に高等学校はコミュニティ・スクールを導入しているところはかなり少ないと思いますし、これは各都道府県によって方針が違うと思うので、高等学校の学校安全はどうなるのかなと思いました。それから、時間軸を考慮していかないと、今後、少子高齢化で学校の統廃合がどんどん進んでいきますので、コミュニティ・スクールを導入して、うまくいっているなと思っても、その学校がなくなっていく、あるいは統合されていきます。10年後、15年後、20年後を見据えて、そういう意味での持続可能な学校安全とコミュニティ・スクールとの関連性を検討していかないといけないなと思います。
宮城県でも、地域連携というのは強く言い続けてきて、震災以降ずっと言ってきたんですけど、地域そのものが高齢化しているので、非常に難しいよねという話はやはり出てきてます。ふだんから仕事に追われて、時間のない現役世代の中にも、専門の方というか、興味、関心がある方もおられるので、そういう地域の人材とどう連携を取りながらCSを推進していくのかということもすごく大事かなと思いました。いろいろな方策はあるかと思いますけれども、CSが1つの検討の切り口として興味深く思いました。
それで、事務局に質問があるんですけど、資料3-1の下のオレンジ色の主な検討事項の中の1番、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度等を生かした組織的な学校安全の推進)とあるんですけれども、「コミュニティ・スクール等」の、「等」というのは何か。どういう組織だとか、運営団体とか、関係者というのを考えておられるのか、もしお考えでしたら教えていただけたらなと思いました。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
今、小川委員から御質問が出ましたけれど、事務局にお願いしてよろしいですか。
【合田補佐】 はい。簡単に御紹介いたしますけれど、今、文部科学省で、いわゆるコミュニティ・スクール、学校運営協議会制度と併せて地域学校協働活動という活動自体の一体的推進ということも進める中での地域と学校の連携協働体制の構築といったことを推進していることもございますので、そういったことも含めて、ここのところ少し幅広に「等」という形で書かせていただいているところでございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
小川委員、よろしいでしょうか。
【小川委員】 すみません、ちょっと理解できなかったんですけど、コミュニティ・スクール以外の何か具体的な組織とか関係者というのを想定されておられるんでしょうか。
【合田補佐】 関係者というか、先ほど申し上げました地域学校協働活動というのが幅広い地域住民や団体の参画で地域と学校が連携、協働して行ういろいろ活動自体に補助金などを出しながら推進しているという、いわゆる運営協議会のところだけではなくて、実際に活動する面でも文部科学省で事業等を通じてやっているところがございますので、そういった活動をひっくるめて、生かしてやっていくということで、運営協議会で考えるだけではなくて、実際に活動していく面でも制度を使っていきたいということをしているところでございます。
【小川委員】 例えば、今、話題になっている部活動を地域に移譲ということをやっていますよね。ああいった活動なんかも含まれるということですか。ちょっと話がそれるかもしれませんが。
【合田補佐】 地域学校協働活動と部活動の地域は少し違う話ではあります。どちらかというと、学校の活動に地域の方に参画していただいて、学校の授業とか、特別活動も含めて、外の人に入ってもらってやっているいろいろな活動というイメージです。
【小川委員】 よく、出前授業だとか、いろいろな教育をサポートしている方々なんかにも関わっていただく可能性も残してということでの「等」ということですね。
【合田補佐】 そうですね、活動全般の協力ということもイメージとしては置いているところでございます。
【小川委員】 はい、分かりました。
【渡邉座長】 皆さん、いろいろ御意見いただき、ありがとうございました。
少し時間が過ぎておりますので、丸2の議論については、これで終了させていただきたいと思います。
本日の御意見を踏まえて、ワーキンググループで御検討いただき、次回の親会議で、検討について御報告いただければと思います。
それでは、先に進めさせていただきます。
次の議事は、丸3の教員養成における学校安全の学修の充実についてということですが、事務局から御説明をお願いします。
【合田補佐】 それでは、議事(2)の丸3について説明いたします。お手元に資料4を御用意いただけますでしょうか。投影をお願いいたします。教員養成における学校安全の学修の充実についてということでございます。
1枚めくっていただければと思います。まず、第3次計画の抜粋でございますけれども、教員要請における学校安全の学修につきましては、教職課程において、学校安全については、必ず取り扱うこととされておりますけれども、学校安全の3領域全てを深く理解するための十分な学習が必ずしも確保されていないのではないかといった点を懸念として計画の中でも挙げられていたというところがございます。
また、正常性バイアスなどの心理的な側面についての学修ですとか、AEDを用いた実習を含む一次救命処置などの外部講師を招いた実習など、大学等へ具体的に情報提供し、教育課程の内外を通じた学校安全の学修の充実を推進するといったことが示されていたところでございます。
次のページをお願いします。そこで、昨年度12月から1月にかけまして、当課の委託調査によりまして、まずは現状の実態把握を行うべく、大学等養成機関への調査を実施しましたので、今回、その結果の報告をさせていただければと思っております。
委託調査は、教職課程を有する大学を対象とした任意のアンケート調査でございまして、428団体から回答の協力をいただいたものでございます。
なお、下記にございますとおり、第3次計画では、教員養成機関における学校安全の取組状況として、学校安全の3領域や正常性バイアスなどの心理的な側面のリスク要因の取扱いなどと、AEDを用いた実習を含む一次救命処置の実施状況について、主要指標に掲げているところでございます。
次のページをお願いします。こちらは教育職員免許法施行規則の一部を抜粋しているものでございますけれども、1例で小学校の教諭の普通免許状でございます。第3欄、教育の基礎的理解に関する科目として6事項が挙げられておりまして、これ全体で、1免許状であれば10単位が設定されているというところです。この事項のうち、赤枠の部分、教育に関する社会的、制度的または経営的事項におきまして、括弧書きで、学校と地域との連携及び学校安全への対応を含むとされているところでございます。
次のページをお願いします。教育に関する社会的、制度的または経営的事項についての学習状況でございますけれども、単位数としては、2単位としている団体が74.2%と最も多く、コマ数では15コマが55.1%と過半を占めていることになっております。また、このコマ数のうち、さらに学校安全を含むコマ数について見ていきますと、1コマ以上2コマ未満が48.9%で約半数、2コマ以上3コマ未満を含めますと、約7割となっているところでございます。最後、右下のところは、これを踏まえたカリキュラムにおける学校安全に対応するコマ数の割合としては、20%未満が約7割となっている状況でございます。
次のページをお願いいたします。教育に関する社会的、制度的または経営的事項に関するカリキュラムにおける第3次計画で示している主要事項、先ほど紹介しましたものですけれども、これに該当する授業の実施状況を聞き取り、整理したものでございます。御覧いただければと思いますけれども、いずれも該当しないというところが一番多いということでございまして、68.6%となってございます。また、主要事項に該当する授業の中では、正常性バイアスなどの心理的な側面のリスク要因を取り扱ったものが27.9%と比較的高い一方で、AEDを用いた実習を含む一次救命処置の内容を使うケースは非常に少ない状況になっているのが、こちらの調査では見て取れるところとなっております。
そして、この授業を実施する上での課題あるいは導入できない理由を下のほうに載せております。こちらも聞き取ったものでございますけれども、例えば実習等につきましては、実習場所や器具等の確保が困難といったこと。外部専門家とのネットワークを持っていないといったこと。限られた授業回数の中で実習等の実施が難しいといったものがありました。一方で、専門分野科目や、学校安全のイベントなどの実施によりまして、代替可能な授業の機会があるといったものも一定あったところでございます。
資料の右側は具体的な授業の内容の例でございますけれども、外部講師につきましては、警察等関係者、救命救急関係者、学校事故対応の経験者、被害者遺族の講演などをしてもらうといったものがございました。
心理的な側面の関係につきましては、東日本大震災や大阪教育大学附属小学校の事件など、具体的な事象に基づいた内容を扱うといったもの。
AEDを用いた実習については、地元消防署等と連携した取組。
一次救命処置に関する内容につきましては、テキスト等による座学の実施のほか、演習や映像視聴、グループワークでの実践などが挙げられているところでございます。
次のページをお願いします。(2)教育に関する社会的、制度的または経営的事項に該当する授業以外で「必修」としている授業がある状況といたしまして、学校安全に関する授業があるといったものが24.3%となってございます。
また、(3)ですけれども、例えば保健体育などがあるかと思いますが、一部の教員免許を取得する場合のみ、必修または自由選択科目としている学校の安全に関する授業があるもので36.2%となってございます。
この2つにつきまして、それぞれ右側で、第3次計画の主要指標の対応状況を整理しておりまして、(2)につきましては、例えば一次救命処置に関する内容を含んでいる授業との割合が31、1%と比較的高くなっていることですとか、(3)に参りますと、AEDを用いた実習についても45.8%と、比較的高い実施割合が出ているといった特徴が見られるところでございます。
次、お願いします。そういった中で、文部科学省では、教職員を目指す学生が学校安全に関する基礎的知識を身につけられるe-ラーニングを従来御用意しているところでございますけれども、その認知状況も調べてみました。認知度が48.5%ということで、半分弱という結果になっております。
また、e-ラーニングの授業での利用状況も聞きましたけれども、74.2%が授業では利用していないといった結果が出ているところでございます。
最後のページをお願いします。今回、こういった状況を調査したところで踏まえますと、特に、第3次計画で示しておりました主要事項に係る取組の実施状況、正直、まだまだであるという状況が見てとれるかと思っております。今後、さらなる取組の充実を促すための仕掛けを考えていく必要があると認識しているところです。
まず、今考えられるものを幾つか書いておりまして、対応を検討したいと思っております。1つには、第3次計画に示す主要指標を踏まえた取組の事例につきましては、今回の調査を通じて得られた情報も含めまして、文部科学省の学校安全ポータルサイト等での発信などを通じまして、横展開、まずは実際の事例を図っていくことは必要だろうと思っております。
また2つ目、AEDを用いた実習を含む一次救命処置の実施機会の確保につきましては、消防庁などの関係機関との連携強化を図ることで、実施に向けて、具体的に示された課題の解消を目指す必要があるだろうと考えております。
また、3つ目といたしまして、時間がない中でも、いつでもどこでも学習に活用できるe-ラーニングを用意しているところでございますけれども、こちらについて、一層の周知ですとか活用の促進を図っていく必要があるだろうと考えているところでございます。
以上、駆け足でございましたけれども、教員養成における学校安全の学修状況に関する調査の結果の報告となります。よろしくお願いいたします。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、皆様から、御意見があればお願いします。いかがでしょう。
今御説明がありましたように、実施状況があまり十分とは言えないような状況だと思うんですけれど。
𠮷門委員、お願いします。
【𠮷門委員】 度々、失礼します。ありがとうございます。
教員養成課程での学校安全に関する教育の充実がずっと言われてきて久しいと思います。コアカリキュラムの中にというところが平成29年度に入って、それからもう数年たっていますので、それが実際に大学でどう実働されているかという調査もお示しいただきましたけれども、実は私も昨年まで学校にいましたので、毎年、新卒の初任者などが学校に赴任してまいりますので、「学校安全についてどんなことを学びましたか」と聞きますと、ある教員は、「いや、ちょっと、ちょっと」と言いますので、「ふーん、そうだったの、どこの大学」なんて聞きながら、「いや、授業は受けたかもしれませんけど、僕が記憶していないだけかもしれません」みたいなこともありました。でも、その教員が別の同級生に、どんなだったかねと横のつながりで情報を求めたところ、そこの大学は、某大学と申しておきますけれども、地元の教育委員会の学校安全担当がつくったと思うような資料を学生が手にしておりまして、その資料を見ると、学校安全に関する基礎的な内容がほぼほぼ網羅されていて、安全担当の指導主事がやったものですから、それは当然そうだと思いますけれども、そういう資料を手にして卒業する学生が一部の地方の学校にはいたということを事例として一つ申し上げておきたいと思いますが、何を申し上げたいかと言いますと、大学が独自に単位の設定をしているところは、まだまだそこには至っていないなという実感と、それから多分、1コマぐらいは、そういう素養のある人、外部講師を呼んできてやっているというのは、ほぼほぼ一般的なのではないかなと思っています。
もともと、教師になる前から一定の素養を身につけてというところが悲願でありまして、それはなぜかというと、学校で安全教育を行うにも、ほかの教科の指導の方法については学んで卒業するけれども、学校安全については全く知らないところからスタートする、それを何とかしたいというところから出発したと認識しています。
どの分野についても、OJTといいますか、教員になってから研修するところもあるんですけれども、教員になってからの研修というところでも、なかなか安全に関する教育というのは、全国津々浦々までは行き届かないところもあるので、今後、大学でのところがもう少し進むように、制度として、仕組みとして、もっと進まないかなというのが率直なところです。一番申し上げたいのはそういうところです。
今日の資料の中でも、今後の方策として、好事例をポータルサイトで発信するとか、e-ラーニングにして一層の周知をと、これまでも周知を図ってきて半分弱ですから、もう一段高い何かがないと進まないのかなと。5年ぐらいたってこの数字だと、もう少し強めのアプローチができないのかなと、文部科学省の中でのいろいろな仕組みがあることも承知はしていますけれども、ここに書かれている情報発信とか、周知とか、では、BLSをやってもらうために、具体的に地元の消防署が必ず大学の要請に応じてくれるという、そこまで言質が取れるのかとか、もう一段高い方策が必要かなと感じているところです。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
それでは、桐淵委員、お願いします。
【桐淵委員】 引き続きお世話になります桐淵と申します。よろしくお願いします。
ただいまの𠮷門委員の御意見に非常に共感しております。
最初の議題とも関連するのですが、ワーキンググループで検討する事項の中に、先ほど話題になったコミュニティ・スクール等を生かした組織的な学校安全の推進がありますが、2として、資料3-1の最後のページですけれども、「学校における安全計画等に基づく取組の実効性を高める校内体制の推進」、その後ろに括弧で、「学校安全の中核を担う教員の役割」云々とあります。ページの一番下の枠の2番目です。この中の「中核を担う教員」をどう確保するか、あるいはそういう教員をどう養成していくかが現場では非常に大きな問題といえます。
つまり、これまでの教員養成課程においては、学校安全とか危機管理についてきちんと学んできていない教員が圧倒的多数であるという現状に対して、文部科学省が働きかけても、𠮷門委員がおっしゃったとおり、5年たっても取り上げていない大学は非常に多い。私自身、埼玉大学で要請を受ける形で講義は続けておりますが、非常に脆弱です。学校安全、事故防止等について、教員免許を取る段階できちんと学ばせるということがすごく弱い。大学教員を退職して随分時間のたつ私がいまだに行かないと、そういう講義ができていないという現状がありますので、𠮷門委員がおっしゃるとおり、もう一歩、レベルの高い取組が必要だと思います。
それで、ワーキンググループの検討事項にありますので、これもワーキングで検討していくということでよろしいでしょうか。コミュニティ・スクールと地域連携は非常に重要ですけれども、自然災害に対する防災とか防犯とか交通安全などは地域連携に非常にダイレクトに結びつきますけれども、学校管理下、学校内での事故防止等になると、教職員の主体性が非常に重要になってきますので、コミュニティ・スクールの議論だけでは救い切れない面があります。教員養成課程での制度的な充実、改善も含め、中核的な教員をどう確保するかということもワーキングで検討していくと、そういう理解でよろしいでしょうか。最後は質問みたいになってしまいますが。
【渡邉座長】 今、桐淵委員から御質問ですけれど、ここはワーキングとはちょっと分けて、この親会のところで検討するという形になると思います。
【桐淵委員】 でも、この3ページはワーキンググループにおける検討事項ではないのですか、この1、2、3。
【渡邉座長】 1、2、3で、先ほどの2がワーキングの検討事項になっております。
【桐淵委員】 そう、2ですよね。
【渡邉座長】 はい。これは丸3なので、それとは分けて、今、議論していただく形になります。
【桐淵委員】 分かりました。中核を担う教員の役割、中核を担う教員をどう育てるかというのは、もうちょっと上のレベルでの議論ということですね。……。
【渡邉座長】 もちろん、学校側の取組、学校というか、教員も含めたことでありますので。
【桐淵委員】 分かりました。では、全体で検討していただけるということで。
【渡邉座長】 はい、そういうことで捉えて、この場でいろいろと御意見をいただければと思います。
【桐淵委員】 はい、ありがとうございます。
【渡邉座長】 それでは、よろしいですか。
首藤委員、お願いします。
【首藤委員】 ありがとうございます。社会安全研究所の首藤です。
まずは一つ質問ですけれども、今御紹介いただいた資料で、回答数が428団体となっているんですけれども、配付に対する回収率としてどのぐらいだったのかなというのが気になります。というのは、こういうアンケートは往々にして、熱心なところはきちんと回答してくださるけれども、熱心でないところはそもそも回答しないということになるので、例えば1,000件配って428の回答を得られたという状況でこの結果を見るのか、それとも430件ぐらい配布して99%に近い率で回答があった上での回答と見るのかによって随分意味合いが違うので、そこは事務局に教えていただきたいところでございます。
その結果も踏まえてというのはあるとは思うんですけれども、今回得られた結果を拝見しまして、私自身は非常に、個人的にはびっくりというか、まだまだこのレベルなのかということで、教員養成大学には、もっと頑張っていただかないといけないのではないでしょうかと、強い衝撃をもって実感したというのが正直な感想です。
しかも、例えば主要指標に該当する授業の状況ですかね、資料の6ページ目のグラフを拝見すると、正常性バイアスなどの心理的側面のリスク要因を取り扱っている割合が27%なのに対して、AEDを実際に実習しているのが1.2%というような状況でして、これはあくまで私個人の見解ではありますが、もともと心理学を大学で学んでいた者の立場からすると、正常性バイアスなどという曖昧な概念について学ぶよりも、AEDの使い方を学んだほうが絶対にいいはずなのに、この割合の数字は一体どうしたものなのかと非常に思うところでございます。
また、導入できない理由として、AEDなどは現職の研修で実習すべきと書かれていますけれども、新任の先生がいきなりAEDが必要な現場に遭遇することだってあることを考えると、やはり、教員養成の段階である程度学んでいただく必要があるなと思っておりまして、もう少し、これは基本、必修にしてほしいというようなことを明確に打ち出すことはできないものだろうかということを強く感じております。もちろん、AEDの練習も消防さんに御協力いただければ比較的容易にできるので、そういったやり方がありますよと事例などをお示しすることもあろうかとは思いますけれども、努力義務以上のものにすることはできないのかなと、正直、私は個人的に感じた次第です。
以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
ただいま首藤委員から、調査の回収率についての御質問があったんですけど、これについては事務局からお答えいただけますか。
【合田補佐】 調査の回収率ですけれども、およそ3分の1超ぐらいから回答いただいている状況でございます。
【渡邉座長】 ということのようです。あんまり高くはないということですね。
【首藤委員】 ありがとうございます。そうすると、全体はもっとレベル感としてはできていないと考えざるを得ないのかなと思いました。
【渡邉座長】 今、最後に首藤委員がおっしゃったAEDを含めた心肺蘇生の演習について必修化できないかというお話があったんですけれど、先ほど資料で出していただきました免許法の施行規則の内容は、教職課程コアカリキュラムが基になってできていると思うんですけれど、私、作成のときに関わっていまして、そのとき、ちょうど𠮷門委員が調査官の時で、2人でちょっと相談しまして、原案にAEDを含む心肺蘇生法を入れたんですよね。駄目でした。今、中学校、高校の保健体育ではAEDを含めて心肺蘇生法の実習をすることになっているので、それに対して国も予算をつけているんですよね。でも、大学に関しては、ダミー人形や練習用AEDを用意するところまでできないところがあると思います。大学のカリキュラムというのは、ある程度、大学独自に考えるというところもあるんでしょうけれど、確かに必修みたいな形にしていければいいと思うんですけど、私もそう思いました。
それでは、大木委員、お願いします。
【大木委員】 慶應の大木です、よろしくお願いします。
教員研修、いつもさせていただいている側なので、どのくらいこれが実効的なものとなって各学校に浸透していくのかなというのをずっと追跡調査してきました。教員が安全教育をできるようなところに持っていくということは、私たちが思っている以上に難しいことだということをかなり自覚しなければいけないのではないかなと感じているので、それについてお話しさせていただきます。
比較対象として、例えばハイリスク産業、化学工場とか、安全が問われるようなところでも「安全教育」という言葉があるんですが、ハイリスク産業でいう安全教育というのは、労働者への教育のことなんです。共に働く人たち、大人に向けてやる安全教育のことを「安全教育」と呼んでいて、その安全教育を行う社内の人員、トレーナーと言われる人たちを養成するための仕組みも、きちんとあるわけですね。
学校安全で「安全教育」と言ったら何を意味するかというと、先生が子供にする教育のことを意味しています。産業界で言うところの「労働者」に相当するのは教員で、学校以外の世界で「安全教育」といったときは大人・労働者にする教育のことを指すのに、学校安全で「安全教育」といったら、大人が子供にするところにいっています。では、この「学校にいる大人」には誰が安全教育をしてあげているのか、という部分がごっそり抜けているような状況です。
『生きる力を育む~』の本でも、教員研修については2ページぐらいしか割かれていません。だから本日、議題に上がっていると思うんですけど、それをやっていくに当たって、幾つか課題があると思っています。もし大学でやるのならという視点と、文部科学省の研修とか、そういった形でやるんだという視点とで、今から短く申し上げます。
文部科学省の研修で、という視点のほうから先に申し上げます。これは文部科学省の研修なり、市教委さん、県教委さんの研修で、県内の全部の安全担当を集め、そのお一人が学校に持ち帰って研修内容を伝えるのはかなり難しい状況です。これについては追跡で調査させていただいているんですが、継続的にいくようなレベルにはいっていない。全国の800校ぐらい、いろいろ調査しましたけれども、そういうような状況にあります。これは学校だけではなくて、いろいろな組織に対しても同様のことが見えてきています。1人が持ち帰った場合に、その組織を変えるということは非常に難しい状況で、学校だけの問題ではなく、構造的にこれはすごく無理がある。やらないよりは絶対やったほうがいいんですけれども、工夫をしなければいけない。その工夫の一つとして、安全担当だけではなくて管理職も同席するというのもずっとやってきたんですけど、それでも難しくて、割とうまくいっているのは、そこに養護教諭を入れる。つまり、養護教諭としては、災害時とか何かのときにけがが出ると、最後のとりでになってしまう。だから、養護教諭は安全担当にはなり得ないけれども、安全担当をサポートするのなら私がやりますという、割とそういったチームを組みやすいように思います。あとは、発災時にハイリスクな子がどう振る舞うか、ふだんから逃亡してしまうみたいな子が災害が起きたときにどうなるかという視点で考えると、これは生徒指導主事の領域に入ってくるんですよね。ですので、生徒指導と管理職、それから養護教諭、安全担当という形でうまくやれば、もう少し、1回の研修が生きてくるのかなと感じています。
次に、大学での教職課程で、という視点について参考情報です。看護・医療の学部が数年前から「災害看護」という授業を必須にするよう変わったと思います。私も慶應に看護医療学部があるので、その授業を持っているんですけど、これは1コマでないんですよ、1コースなんですね。だから秋学期、全部、災害看護を毎週やっている状況です。看護医療学部に進学する子は、災害をやりたくて行くわけではあありません。通常医療の看護師や助産師になりたくて看護学部に行っている子もいるし、養護教諭になりたくて看護のコースに行っている子もいる。でも看護の学校に行った人全員が「災害看護」の授業を履修することを必須にするというように、東日本大震災以降変わりました。それがどういうふうにできたのかということを、私は存じ上げないんですが、調べていただくともしかしたら参考になるのかなと思いました。
長々とすみません、以上になります。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
桐淵委員は、また挙手されていますが、何かございますか。
【桐淵委員】 はい、桐淵です。
今の議論の続きのようになりますけれども、いわゆるBLSだけでも全学生に、少なくとも教員免許を取ろうとする学生には必修で教えてほしいと思います。それを後押しするためには、かつて文部科学省と消防庁が連名で、これは平成26年(8月13日付)です。連名で「心肺蘇生等の応急手当に係る実習の実施に関する取組の推進について」という文書を出しています。そのように、消防庁、文部科学省が連携する形で各大学に働きかけて、その地域の消防も協力できるような体制づくりを進めるとよいと思います。
ですが、私の本当の意見は、今まで委員の皆様がおっしゃったとおり、教員免許を取る上で、一次救命処置、BLSだけではなく、過去にどんな学校事故が起きていて、その原因はどこにあって、何をすれば防げるのかという未然防止も含めて学ぶことの重要性です。
防止策を講じていても、例えば突然の心停止などは予測できないものもあります。ボールが胸に当たって突然心臓が止まるということもあります。ですので、まず未然防止のために我々はどんな経験を持っているのか、社会としてどのような経験を持っているのかということを学び、なおかつ、万一起こってしまったときに、救急隊が到着するまでに我々がやることは何なのかということをきちんと学ぶ。それを1時間、2時間ではなくて、1つの枠で、学校安全という項目でもいいですし、しっかりと学ぶことができる。そういう制度的な担保をする必要がある。そのためには、教職免許法、少なくとも免許法の施行規則、あの中に必要な免許の単位数とかありますので、その中に、学校安全あるいは学校事故防止という科目を立ち上げてほしい、明記してほしいというのが私の意見です。
そのときの指導者については、先ほど言ったように、消防当局と連携したり、各都道府県、市町村の教育委員会には必ず学校安全の担当指導主事がいますので、教育行政と連携したりして、大学生に教えるということも当面は可能ですね。さらに、今、学校保健には養護教諭という職がありますし、それから、栄養教諭という職もあります。そのように職の中に位置づけていく。つまり、学校事故防止、学校安全の専門家を、時間はかかるでしょうけれども、大学できちんと育てていって、大学で教える指導者、大学の教員も生んでいくような、そういう長いスパンでの取組も必要ではないかと思います。これはワーキングで発言できない、多分、親会議での議論だと思いましたので、今あえて申し上げました。今までの委員の皆さまのご意見に非常に強く共感し、私もそのように意見を申し述べます。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。時間が大分過ぎていますので、あと、平塚委員、そして藤田委員で、この議論を終了させていただきます。
では、平塚委員、お願いします。
【平塚委員】 ありがとうございます。
私も首藤委員が御指摘したところがすごい引っかかりました。思い出したのは、数年前、大学生を相手にやっている防災仲間がこんなことを言っていたんですね。ある学生が、「そもそも命って大切なんですか?」という感想を書いてきたというんです。今、安全の教育とか、防災とか、いろいろな仕組みのことをやっているのだけれども、そもそもの大前提になるのは、やっぱり命は大切であるということは絶対だと思うんですよね。それを大学でやるのは難しいと思うので、だとするならば、やはり、先ほどから出ていますBLSを必修にすることは非常に有効なのではないかなと思っています。
最近、小学校で、実際、AEDを扱ってやった授業が、その副産物として、実は、いじめ防止につながる。つまり、死を身近に感じられる、いい実習だと言うんですね。それこそ救命率とか、死亡率とか、そういうことも当然関わってくるので、そういったことを同時に体験しながら学んでいくという意味合いで、仕組みとしては非常に大切なものになるのではないかなと可能性として思いました。
以上です。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
それでは、藤田委員、お願いします。
【藤田委員】 すみません。大阪教育大、藤田です。
大阪教育大学は、事件を受けて学校安全を必修化しておりますし、あと、本学で教員免許を取る学生は全員、普通救命講習を履修していないと免許を発行しないという形で取り組んでおりますが、ただ、その中で、大学で普通救命講習を受けるだけではなくて、例えば大学生の場合、自動車の普通免許を取りに行った際に、普通救命講習を受けてくる。また、クラブ活動等をやっている学生がマネージャー等で普通救命講習を受けるということもやっていますので、今回、大学として講義でやる以外に、例えば、教員免許を発行していて、取得している学生のうち、どれぐらいの割合で、実際に普通救命講習とかエピペンの講習等を受けているのかという調査等が今後必要なのかなと今感じました。なかなか法改正するのは難しいかと思うんですが、ただ、そういった中で、可能性として、どの領域からという連携も含めて検討する必要があるのではないかなと感じましたので発言させていただきました。
以上でございます。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
今回の教員養成に関しましては、引き続きこの会議で進めていきたいと思いますので、皆さんから様々な御意見やアイデアを出していただいて、それを実現させていく方向で進めていければと思っております。
それでは、丸3の議事に関してはこれで終了させていただきまして、議事(3)ですね。その他ですけれど、皆様から何かございますか。よろしいでしょうか。
それでは、議事はここまでとさせていただきます。
今回の議事について、この後、追加で御意見や御質問がございましたら、メールで事務局へ御連絡ください。
重ねまして、本日は積極的な御議論に感謝いたします。
それでは、事務局から、今日のほかの資料と今後のことについて、御説明をお願いします。
【遠藤専門官】 事務局でございます。
本日は御議論ありがとうございました。
今後の予定でございますけれども、追って、事務局から御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私から2点、御報告させていただきます。
参考資料2-1、熱中症事故防止の通知に関してでございます。この夏、全国的に気温が暑いと予想されておりますけれども、4月30日付で熱中症事故の防止について、各学校、また、学校の設置者等において、適切に御対応いただくよう通知を発出しております。子供たちの健康被害を防ぐため、また、教職員や部活動の指導者等で共通認識を図りながら、それほど気温が高くない時期から適切な措置を講ずることであるとか、活動場所や種類に関わらず、暑さ指数に基づいて活動の実施を判断する。そして、熱中症事故の防止に子供たちへの適切な指導を行うこと等、留意していただくように通知してございます。
また、本通知には、後ほど参考資料の2-2で説明いたします学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引の追加版を添付しておりますが、学校における熱中症事故対策のポイントを整理、確認することに役立てていただけるように、チェックリストを収録してございます。こちらも各学校で効果的に活用いただきながら、事故防止に努めていただきたいと思いまして収録しているものでございます。
通知と併せまして、参考資料2-2でございますが、こちらは環境省、それから文部科学省で、令和3年5月に、教育委員会等の学校の設置者が作成する熱中症対策に係る学校向けの熱中症対策ガイドライン等の作成、改定に資することを目的として作成したものでございますが、今般、気候変動適応法等も一部を改正する法律が施行されることなど、熱中症対策をめぐる状況について動きがあったことを踏まえまして、これまでの熱中症事故等の事例等も踏まえながら、その対応を一部追補する追補版として、併せて通知させていただきましたので、御報告させていただきたいと思います。
なお、熱中症事故防止につきましては、この通知だけでなくて、各種会議でありますとか、また、併せてこのポータルサイトでも周知を図っていきたいと考えております。
それからもう1点でございますが、昨年度、委員の皆様にお力添えをいただきまして、御議論いただきました学校における安全点検要領についてです。こちら、ポータルサイトで各学校に参考にしていただくように設定してございますが、事故を防止する安全点検の考え方をしっかり浸透させていくために、都道府県、それから指定都市教育委員会の担当者等を対象にして、実際に校舎などを回りながら、フィールドワークをしながら、研修会というものをこの夏頃に実施したいと考えております。講師には本有識者会議委員の北村先生、それから首藤先生に御協力をいただきたいと思ってございますので、併せて御報告させていただきたいと思います。
事務局からは以上になります。
【渡邉座長】 ありがとうございました。
それでは、第1回学校安全の推進に関する有識者会議は以上とさせていただきます。委員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところ御出席いただき、ありがとうございました。お疲れさまでした。

―― 了 ――

 

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課)