今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会 (第6回)議事録

1.日時

令和6年4月18日(木曜日)15時30分~17時30分

2.場所

WEB開催(傍聴はYouTube Live上のみ)

3.議題

  1. 幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領に基づく教育活動の実施状況、成果及び課題の検証について
  2. その他

4.議事録

【無藤座長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討委員会(第6回)を開催いたします。
 本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の会議の資料などにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  まず、本会議はZoomを用いたウェブ会議方式にて開催をさせていただきます。
 ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言事以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが、御理解のほどよろしくお願いします。
 また、本日は、傍聴の御希望をいただいた報道関係者と一般の方向けに本検討会の模様をYouTube Liveにて配信しております。加えて、報道関係者の方々から撮影及び録音の申出を頂戴しており、これを許可しておりますので、あらかじめ御承知おきください。
 本日の会議資料につきましては、議事次第にございますとおり、資料1から資料4まで、加えて参考資料1から5となっております。
 また、4月1日付で、事務局に異動がありましたので、事務局より御挨拶をさせていただければと思います。
【森審議官】  1日付で初中局審議官を拝命いたしました、森と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【前田幼児教育課長】  4月1日付で新たに幼児教育課長に着任いたしました、前田でございます。
 私自身、今回、初等中等教育局の5つ目の課でございますけども、昨年、初等中等教育にございます、教育制度改革室長であった際に、義務教育の在り方に関するワーキンググループがございまして、そこでも幼保小の接続について御議論いただいたことがございました。その中には、例えば個別最適な学びについては、幼児教育の環境を通して行う教育に原点があるんじゃないかといった御意見もあったところでございます。
 本検討会では、今日の資料の参考資料2でございますけども、様々な論点について、精力的に御議論いただいていると承知しております。私自身、幼児教育の質の向上、振興に向けまして、微力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、本日も含めまして、今後もどうぞ引き続き、よろしくお願いいたします。
【上遠野子育て支援指導官】  4月1日付で子育て支援指導課に着任いたしました、上遠野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤座長】  御挨拶は以上ですか。
 それでは、早速、議題に入りたいと思います。議題1でありますけれども、本日、主な論点、参考資料の2ですが、その1、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領に基づく教育活動の実施状況、成果及び課題の検証について、意見交換を行ってまいりたいと思います。
 また、本日、意見交換を行うに当たりまして、文部科学省の委託調査研究において、幼児教育施設におけるICTの活用等に関する実践研究に取り組んでこられました。学校法人七松学園の亀山理事長に御発表をお願いしてございます。そして、委員の方から、幼児教育の研究者、小学校の現場のお立場ということで、古賀委員と佐藤委員に御発表をお願いしてございます。
 その前に、まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  それでは、まず、参考資料1を御覧ください。
 有識者検討会委員名簿を本年4月1日現在で更新をしております。職名などにつきまして、委員の皆様には御協力をいただきまして、ありがとうございました。
 また、田村委員が4月1日付で文部科学省主任視学官に着任をされましたので、今後は委員としてではなく、事務局側として御参加をいただくことになりましたので、よろしくお願いいたします。
【田村主任視学官】  主任視学官の田村です。どうぞよろしくお願いします。
 3月末までは國學院大學で皆さんと御一緒させていただいたところですが、立場が変わりましたので、新たな視点で、幼児教育の教育課程について真剣に考えてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  そして、参考資料2、参考資料3は、主な論点、前回の主な意見等の整理となっております。
 次に、参考資料4を御覧ください。前回の有識者検討会においても少し御紹介をさせていただいたものですが、文部科学省がベネッセとの協力により、幼児教育の遊びを通した学びの解説動画や、幼児教育の遊びと小学校の教科等教育とのつながりが見える化をした資料を作成いたしましたので、改めてお知らせをさせていただきたいと思います。委員の先生方におかれましては、様々な場で御講演や研修の講師としてお話をされる機会があると思いますが、ぜひ、この動画や指導資料などにつきましても、周知をいただけましたら幸いです。
 そして、次に、参考資料5の130ページから御覧いただければと思います。本日、これから亀山先生にICTに関する御発表いただきますので、その前に、ICTに関連するデータなどについて、御説明をさせていただきます。
 まず、こちらは幼稚園教育要領などにおける関連規定です。10の姿の一つに社会生活との関わりがあり、そこでは、幼稚園内外の様々な環境に関わる中で、遊びや生活に必要な情報を取り入れ、情報に基づき判断したり、情報を伝え合ったり活用したりするなど、情報を役立てながら活動するようになるとともに、社会とのつながりなどを意識するようになると規定がなされています。
 また、ICTの活用につきましては、幼児期は直接的な体験が重要であることを踏まえ、視聴覚教材やコンピューターなど情報機器を活用する際には、幼稚園生活では得難い体験を補完するなど、幼児の体験との関連を考慮することとされていることです。
 次のページからは文部科学省の幼児教育実態調査の結果になります。主に四角の枠のところを御覧いただければと思いますが、実際に、園でのICTの配備状況につきましては、教員用のタブレット、またはPCの配備状況は、幼稚園では、公立は1人1台程度、私立は複数台を共有が一番多く、幼保連携型認定こども園は、公立、私立ともに、複数台を共有が一番多い結果となっています。
 また、幼児用のタブレット、またはPCの配備状況は、ほとんどの園がなされていない状況でございます。
 そして、次にICTの使用状況についてですが、多くの園においては、外部との打合せや研修、保護者との連絡、情報提供、園の運営などに関する内部業務に使用されている状況でございます。
 そして、次のページが、ICTの利用のための課題としては、多くの園においては、タブレット、またはPCのさらなる配備ですとか、ノウハウのある担当職員、または外部人材の確保、個人情報やサイバーセキュリティー、破損、盗難対策などの安全面の対応などが挙げられているところです。
 そして、次のページからはこども家庭庁の青少年のインターネット利用環境実態調査結果からの抜粋となっております。こちらも主に四角の枠の中を御覧いただければと思います。
 まず、低年齢層の子供のインターネットの利用状況ですが、通園中のゼロ歳から6歳では、68%がインターネットを利用している状況です。インターネットを利用する機器は、テレビ、自宅用のパソコンやタブレット、ゲームの順が上位となっております。また、年齢が上がるとともにインターネットの利用率も高くなる傾向にありまして、2歳では約6割、5歳では約8割となっている状況です。
 スマートフォンにつきましては、73.8%が親と共有で利用している状況ですが、こちらにつきましては、10歳で専用と共有の割合が逆転をしておりまして、子供専用の割合が10歳で65%を超えるというような状況になっております。
 そして、インターネットを利用している低年齢層の子供の利用内容の内訳ですが、動画を見るが93.6%、そして、ゲームをするが64.7%となっているところです。動画を見るですが、こちらについては、全年齢を通じて高い状況ということになっております。
 さらに、平均利用時間になりますけれども、低年齢層の子供の1日の平均利用時間は、約2時間5分となっております。こちらが年齢別に見たものになりますけれども、2歳で平均利用時間が106.8分となっておりまして、年齢とともに増加傾向にあるということでございます。
 また、インターネット利用に関する家庭のルールの有無ですが、低年齢層の子供の保護者のうち、ルールを決めていると答えているのは80.8%で、子供の年齢が上がるとともにその割合は増加するという傾向にございます。
 また、インターネットの管理ですけれども、低年齢層の子供の保護者の95.7%が、いずれの方法かで子供のネット利用を管理していると答えておりまして、その手法としては、目の前で使わせているや、利用してもよい場所や時間を決めて使わせているということが多い回答となっております。
 そして、インターネットに関する啓発や学習の経験ですが、低年齢層の子供がインターネットに関する啓発や学習を受けた経験は22.6%になっておりまして、受けた機会の場所としては、学校、幼稚園、保育園が72.0%と高く、次いで、親が60.1%となっております。
 最後に、フィルタリングの認知になりますけれども、低年齢層の子供の保護者のフィルタリングの認知は、知っていたが45.9%で、何となく知っていたまで合わせると88.8%になっております。そして、年々増加している状況となってございます。
 簡単ではございますが、事務局からの説明は以上となります。
【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、発表に移りたいと思いますけれど、今回は御発表いただくテーマが、お3人、それぞれ異なってございますので、発表者ごとに意見交換、質疑応答を行いたいと思います。ただ、3人ということですので、特定のところがすごく長くなると終わらなくなりますので、その辺は、適宜、私のほうでストップをかける場合もお許しください。いつものように、御発言を希望する場合には、御発表後、手を挙げるボタンを押していただくというようなことで進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、1番目でありますけれども、学校法人、七松学園の亀山理事長よりお願いいたします。10分程度ということでございます。お願いします。
【学校法人七松学園】  どうぞよろしくお願いします。亀山でございます。
 ICTを活用した幼児教育について発表させていただきます。学校法人七松学園は、これまで文部科学省の委託調査研究を受けまして、4年ほど連続して受けさせていただきました。詳しい内容は割愛させていただきました。この内容を踏まえて、発表させていただきます。
 まず、抽象的ではございますが、ICTを活用することの可能性ですけれども、ICTを活用することにより、幼児は情報収集、対話、探究心を満たすことで、これからの幼児教育における体験と体験をつなげるのりの役割をICTは担っているのではないかと考えています。
 また、2つ目には、創造性を生み出すハサミとなり得ると考えております。特にICTの特徴は時間的、空間的な制約を下げることができるというような特性があります。そして、5感の視聴覚の部分に強く訴えることができます。ただし、触覚、嗅覚、味覚の部分ではちょっと弱いところはありますけども、こういったところを解消して実践すると非常に可能性があるものと考えております。
 その中で、よりよいICTの活用のためには、リテラシーの向上が必要と考えています。保育者のICTを活用する能力、正しい情報を見極め、理解する能力、正しい情報を、モラルを守って発信する能力といったリテラシーの向上が必要と考えています。これらのリテラシーを保育者が上げていくことにより、幼児、また保護者も一緒に上がっていくものと考えております。既に、先ほどの文部科学省から御紹介あったように、もう既に幼児の中でデジタルメディアというのは周りの環境で非常に多うございまして、1人で操作する実態については、ベネッセが、スマートフォンは3歳で4割、6歳では5割ほど使っているような実態を挙げております。
 このような中で、園が使う実態というのをどのように考えていくかというところでは、子供たちに扱うことを我々自身がどのように考えていくかというが課題になってきます。しかし、視聴覚教材というパソコンを使うことがこれまでありましたが、ICTやデジタル機器を主体的な活動で使うことというのはあまりなかったと考えています。また、養成校でも、園でもICTの実践事例はあまり知らないような実態。また、ICTのタブレット端末を同じように一斉の操作、1人1台与えて一斉の操作をするようなこと、また、直接体験に結びつけるようなことがなかなかない、できないというイメージが先行しております。
 このような中で、子供にデジタルカメラを含めて、いざ、高価な機器を渡しても、やはりデータの管理、アクセス制限をかけられるので預け切れないというような実態がございます。今、業者が様々なアプリなども提供していますが、その中にはプログラミング教育をうたったものなどがあり、対面動機型の一斉の指導の中で使われるような実態もありますので、どのように遊びの中で使うかというのが非常に課題となっております。
 これは、写真でやっているのは切り絵アプリなんですけども、子供自身がアプリの中でどのように切り絵をやっていくか指でなぞってやってみると。それを仮説検証のように実際の折り紙で切って体験してみるみたいなことを、子供たちが実際遊びの中ですることができます。このようなところの実践はなかなか広まっていないのが実態と考えています。
 そこで、委託調査研究の中では、子供自身が遊びを深めるために、教諭の役割というものがどういうものがあるかについて考えてみました。そのためには、まず、教諭が例示する最低限のアプリの使い方、また、盗撮はしてはいけない、撮ってもいいですかと聞くようなこと、また、破損防止のための落下、水没、また、視聴時間、片づけなどについては、やはり子供たちに最初に例示する必要性があると考えています。当然、この中で、子供たちが遊びの中で広げていくと、だんだん子供自身で広げるような枠組みが右のようになってきます。
 その中では、子供自身が、取り合いなど様々なトラブルはありますけれども、使うことを見つけた点、気づいた点をほかの友達に伝えたり、表現する活動などにつながっていきます。また、直接体験につなげるために、様々なICT系を見たり聞いたりしたことについて、実物を見たり触ったりする中で、同じ点、違う点などを話し合うことができます。さらに、それをほかの子供たちに伝えるような政策活動などに生かすことができます。
 しかし、この中ではトラブルもあります。取り合いなどがありますけれども、取り合いをした後からでも、子供たち同士が話合いの中でそれを解決するというのが必要だと考えています。これは、これまでの保育環境にある道具と大して変わらないものと考えています。
 例えば、デジタル顕微鏡とタブレット端末をつないだ実践がございます。本園では園庭の一角にコーナーを設置して、デジタル顕微鏡とタブレット端末を接続したものを置き、ここでは興味関心を持って、葉っぱを様々採集するような活動を行いました。そうすると、ナスの葉の裏側にハダニがいることを気づき、発見します。その発見をほかの友達に伝えたいということで、液晶テレビに投影するなどして、クイズ問題、直接的な体験に結びつけるような活動まで発展させたりしました。そこには対話と探究が見えるような形でした。
 このような子供たちが発見したこと、気づいたことなどについては液晶テレビで投影すること、また、写真などを印刷してドキュメンテーションをつくり、子供同士、または保護者の対話、探究へつなげることもできると考えております。
 続きまして、こちらは幼児の体験を豊かにするICT実践事例集として文部科学省のホームページにも掲載しておりますけども、直接体験をつなげ、幼児の興味関心から探究心や創造性を育む点について、ホップステップジャンプとしてまとめました。この中では、幼児の10の姿につながるようなところについて、子供の育ちについての視点をまとめました。
 園には多くの園にプロジェクターなどがありますが、こういったものを天井に投影する、そして、子供たちがふだん都市部では見られないような七夕などを見るような活動を行う。それを踏まえた上で、実際の笹飾りをつくったり、夏休みのキャンプ活動などで、実際の天の川を見るような活動につなげるというようなことができます。こういった形で、プロジェクターからの間接的ではありますが、ICTを用いた活動から直接体験に結べるようなところは非常にやりやすい活動だと考えています。
 また、オンラインでのお買物という実際も行いました。ICTの特徴は時間的、空間的制約を下げることができますが、先ほど申したとおり、触ること、匂いを嗅ぐこと、味覚という、食育につながるような活動は非常に難しゅうございます。こういったところでは、子供たちはカレーづくりをする上で、一部の有志の子供たちがスーパーに買物に行く、一部の子供たちは保育室に残るというような実践を行いました。この中で、保育者は、ビデオ会議システムを使って中継を行うような実践を行っております。そして、どのようなものを買ったらいいのか、お金はどれぐらい余りそうとかいうような対話の中、買物を進めるようなことを行いました。そのほか、園にある厨房も、衛生状態を担保するためになかなか子供が入り込むことができないので、厨房のスタッフに、同じようにビデオ会議システムで中の開ける様子などを中継してもらう、そういったところで疑問などを厨房の職員に聞いてみるような活動を行いました。それを踏まえて、実際に自分たちでカレーをつくるという活動に結びつけるような、こういった活動です。
 このようなビデオ会議アプリを用いた活動については、子供たち自身、様々なものに取り入れることができます。例えば、博物館、動物園、水族館などの、ふだん大人数では行けないようなところの学芸員の方にいろいろ話を聞いてみる、飼育員の方に話を聞いてみるといったこともできるかもしれません。
 また、本園では、隣にあります小学校とビデオ会議システムでつなげることにより、小学校での疑問など、子供たち自身が聞いたこと、または、その疑問に対して小学1年生が答えてくれるようなことで、幼小連携の活動にもつなげることができました。
 続きまして、QRコード、もし委員の先生方で、スマートフォンをかざしていただきましたら動画を見ることができます。本園の実践では、このような動画をつくるような活動も行っております。こちらの動画では、子供が園でけがをしたらどうしたらいいのというような問いから、子供自身が自らの体験に基づいて、体験したことをほかの友達に伝えたいという意味合いでつくりました。この動画の場合、新入園児に見せるような形で、けがをしたら職員室にこうやって行ったら元気になるよという思いを伝えるような動画になっております。
 このほか、遊具の安全指導のことも、子供自身が、上の年長児が下の子供たちにつくるような動画を遊びの中でつくっております。この動画については、自分たちで流れを構想し、考えたことを体で表現して、写真撮影を行い、また、音響を入れたり、画面の操作の工夫などを行っています。このような動画づくりでは、遊びの中の内容によって、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が様々な形で見られます。こういった創造的な活動でも、STEAM教育で言われるような側面であったり、資質能力などを育む言葉につながると考えております。
 このような様々な活動などがICTでできるんですが、これからの幼児教育の中でICTを活用することで意識したい視点として、ESDにつながるデジタル・シティズンシップというようなものがあります。デジタル・シティズンシップというのは、デジタル技術を使用して、学習、創造、責任を持って市民社会へ参画するような能力と定義づけられております。法政大学の坂本先生は、シティズンシップのラッパの図を示しております。文部科学省では、この図の口元の部分である情報モラル教育というのは、既にもうなされていると思います。これが変化の激しい世界情勢を見据えると、自分自身の責任だけではなくてコミュニティーへの責任、また、世界への責任などにも結びつけてイメージをすることによって、持続可能な社会のつくり手の育成につながると考えております。こういったことを幼児教育の中で進める必要性を私は感じております。
 現在、世界の流れでは、OECDのスターティングストロングセブンの中で、デジタル化への試みについて、様々な国の情報が集められています。この中で、デジタル化への政策対応を進めるためには人材が必要だと言われています。園全職員はデジタル技術を効果的に活用するための方法を理解するための基礎的な研修が必要である。まだ、なかなかこういった研修は日本ではございませんけれども、また、責任のある立場の職員は、より高度な専門的なスキルを身につけることの必要性なども言われているところです。
 また、デジタル技術は、なかなかデジタル活動を通して、家族との交流や園活動への参画を促進するようなこと、また、このような家族との関わりを改善することは、特別な支援を要する子供たちが通っている園にとって重要とされております。ここでの特別な支援というのは、特別支援教育という意味合いではなく、ディスアドバンテージという文言でしたので、世界的な文脈だと、様々な要因や文化的背景を抱える子供自身に支援が必要だと考えています。
 このようなところは冒頭でお伝えしましたICTリテラシーを園を中心として様々なところに波及することが必要だと考えております。このような活動を本園への取組としては行っているところですが、また、皆さんの意見を踏まえて、いろいろこちらも学んでいきたいと思っております。
 以上で発表を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、20分ぐらいをめどに今の御発表に対する質疑、御意見を頂戴したいと思います。どなたからでも結構ですが、お手をお挙げいただきたいと思いますが、挙手ボタンをお願いいたします。いかがでしょうか。田中委員、岸野委員、大豆生田委員。田中委員からお願いします。
【田中委員】  失礼します。亀山先生、御発表ありがとうございました。
 実際の子供の活用の前に、冒頭に今日の参考資料でお示しいただいた、現在のICTの配備状況とか課題についてまとめてくださっている資料がありましたけれども、事務的な仕事として考えても、教員用は、もう1人1台ないと順番待ちになって仕事にならないということがあります。働き方改革とも合わせて、効率よく仕事をするためにも早急に1人1台が当たり前になるような状況というのは必要だなと思います。
 パソコンだけでなくて保育の記録とか、あるいは子供との情報共有に使うためだけでも、タブレットを教師がそれぞれ1台ずつ持っているということの教育効果は非常に高いなと思いますので、こういったことも大事かなと思います。
 本園でも、教師はパソコンとそれからタブレット、それからSIM抜きのスマートフォンなんかを1人1台ずつは確保して、業務の効率化と子供の情報共有とか、遊びの振り返りだとか、あるいは写真、動画等の記録とか、あるいは音楽環境等、様々保育の中でも使っています。公立園では、例えば兵庫県だと新温泉町が、もう数年前に教育長にそういう、教師が1人1台持っていると教育効果が高いですよということに御理解を示してくださったところなんかはすぐに予算化されて、1人1台持たれて、遊びの振り返り等に日常的に使われている状況があります。先ほど御発表の中でもあった、子供もですが、教師も本当に道具の一つとして活用するのはすごく大事なことだなと思います。
 子供も、年長児では1クラスに1台は欲しいなと思います。複数台欲しいような時期もありますので、そういうものがあると、子供自身も自分たちの遊びの記録とか、振り返りの道具の一つとして使っているのが現状として、うちの園でもあります。
 亀山先生もおっしゃっていましたが、やたらと保育にICTの導入を進めてくるような企業さんもあったりするので、ここらあたりは幼児期における教育効果というのは、よく考えて導入すべきだなと思います。そうしないと、導入することが目的みたいになってしまって、そういうことが売りになっていくような、そんなことを勧められるということにのっかっているとまずいなと思います。
 七松幼稚園さんでは、そういったことも克服して、様々な取組をされているなと理解していますので、お伺いしたいなと思ったのは、挑戦的に取り組まれている過程で、きっと克服してこられた失敗例もおありなんじゃないかなと思います。リスクをしっかりと大人が認識しておく上で、こういった失敗例も非常に重要な知見だなと思いますので、これまでに克服されてきた失敗例というか、そんなものも時間が許せば、お聞かせいただきたいなと思いました。以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。お答えは最後にまとめてということで、亀山先生お願いいたします。
 それでは、岸野委員、お願いいたします。
【岸野委員】  失礼します。岸野です。亀山先生、本当にありがとうございました。大変参考になりました。感想だけになりますが、申し上げたいと思います。
 ICTが体験と体験をつなぐ、より創造性を生むハサミになり得るという点に、最も大変共感いたしました。体験と体験をつなぐというときに幾つかの方向性があるのかなとも思いました。
 一つは、タブレット一つで、自分の発見を簡単に他者と共有することができ、自分の体験と友達の体験をつなぐということができるのかなと思います。また、2つ目には、動画作成の実践などもそうだと思いますし、また、私自身も鉄棒の技などを写真に撮って、子供たちが自分たちで選んで動きを捉え直す実践に触れたことがあるのですが、そういったように、ICTが子供たちの省察と展望の道具になり、自分のこれまでの体験とこれからの体験をつなぐということができるのかなと思いました。また、3つ目には、ICTを通じて無限の情報にアクセスすることができますので、自分の体験を世界に広がりの中に位置づけて、体験を広げていけるという可能性もあるなと思いました。
 また、創造性については、レッジョ・エミリアの実践などでも示されているかなと思いますが、デジタル機器や技術が制作遊びに革新を生み、また、新たな試行錯誤や気づきにつながるということが起きてくるかなと思います。そういった意味で、ICTによってどんな可能性が広がっていくのか、先進的な実践に学びながら発想を広げ、大人の側がそれらを使いこなせるように学び合っていくということが求められているなと改めて感じました。
 本当にありがとうございました。以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。それでは、大豆生田委員、お願いいたします。
【大豆生田委員】  大豆生田です。亀山先生、ありがとうございました。とても感銘を受けながら聞かせていただきました。
 一番大事なところは、いわゆる道具としての活用なんだというところが置かれていて、それが遊びや実際の体験だとか、対話、探究につながるというところがとても大事なところだと思います。
 そのときに幾つかの例をお話しされましたけれども、例えばデジタル顕微鏡というのは、視覚の拡張というか、延長線上の体験につながっていることだとか、プロジェクターやオンラインの活用も、そこは体験との行き来ということが必ずあるんだというところがとても重要だと考えていくと、恐らくそれは、物によって必ずしもそれが有効でないものもあるのかどうかというか、そこの検討というのも必要なのかなと思うんですけど、いかがでしょうかという点があります。
 それから、3点目ですけれども、乳幼児期は身体性、体を通していろいろ学ぶということがすごく――五感ですよね、大事な時期だということをかなり強調しながらこれを進めていく必要があるかなと思っています。というのは、私もこういう実際、幾つか関わる中で、どうしても検索文化が大人でも当たり前になっていて、虫に触れたらすぐに検索になるというか、皆さん今の知識みたいなことが分かっていても、すぐに検索につながるということを、どういうふうに、このことということを今後広めていくときにポイントとすることはどこかということが大きな大事な点になるかなと思いました。ありがとうございます。
【無藤座長】  ありがとうございます。では、若山委員、お願いします。
【若山委員】  よろしくお願いします。富山大学の若山です。亀山先生、御発表ありがとうございました。
 先生の御発表を伺って、最初、事務局からの説明にもあったんですが、ICTの活用というのは、幼稚園生活の中では得難い体験を補完するために活用されるもの、それと幼児の体験との関連、実際の体験との関連の中で必要に応じてICTを活用することということが記載あるかと思います。まさにこのことが、具体的に実践として説明された御発表だったなと思いました。
 例えば、ナスの葉の裏にハダニがいるということを初めて私も知りましたし、階段を、動画の中で転がり落ちていく動画をつくっていたと思うんですけれども、そういったことはなかなか実際に体験できることではないので、子供にとって得難い体験を補完する役割をまさにICTが担っている事例だったと思いますし、また、子供たちが育てている野菜であるとか、見た絵本から湧いた野菜への興味など、子供との体験の関連を考慮した取組というのを御紹介いただいたかなと思います。
 御質問なんですけれども、得難い体験を補完するとか、幼児の実体験との関連を考慮するというのは、教育要領上は、指導計画の作成上の留意点のところに記載されているものです。その指導計画ということを考えると、何をねらいにしながらICTを使っていくかという発想になる、考え方になるのかなと思うんですが、御発表の中に、デジタル・シティズンシップの御発表、お話があったかと思うんですが、デジタル・シティズンシップと3要領の中身というんですか、規定や内容とシティズンシップということをどう関連づけていくのかというのについて、お考えがあれば教えていただきたいなと思いました。以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。では、秋田委員、お願いします。
【秋田座長代理】  学習院大学の秋田です。長年、ICT活用に取り組んでいらした集約の御報告ということで、とても分かりやすく御報告いただいたと思います。
 その中で1点、亀山先生が、教員の研修というところで、OECDの例を取って、基礎研修と高度な研修が必要ではないかというお話をされたんですけれども、亀山先生の園では、恐らくICTの基礎研修と高度研修という形でみんなが使えるようになっていったのではなく、多分保育者も面白く使ってみたら、こんなことだったら子供も遊びの中で行けるわとか、いろいろなレパートリーを増やしていくことによって、これもメディアの一つ、私はICTだけを特化して使うということに賛成していなくて、合目的的に導入するんじゃなくて、メディアの一つに絵本や図鑑や虫眼鏡や、いろいろなものがツールとしてある中の一つにICTがあって、それについての専門的な知識を得ることは大事だと思っている立場なんです。けれども、亀山先生は、そこについて、保育者がどういうふうにして知識を得ていくということがこれから大事だとお考えになっているのかを自園で、これだけすばらしい実践ができるようになっていったときに、どういう工夫をされてきたのかというのを1点教えていただきたいと思います。
 また、2点目としては、これは、小学校以上と乳幼児のところの違いでありますが、保護者の関与が、家庭でも、それから園でも保護者とのつながりは極めて重要になってきます。OECDのほうでは、乳幼児のデジタルリスクという問題もこれから検討すべき課題として、5つの課題を挙げている中の一つなんですけれども、こうしたことについて、保護者とどういうふうに共有しているのか、先ほどフィルタリングの調査報告が出ていましたけれども、亀山先生としては、怖いよということだけを伝えると、保護者も危ないという禁止だけになってしまいますし、ICTを使うことが目的ではなく、遊びを豊かにしていくときに、たまたまこういう道具もあるから使うかということなんだと思うんですけれども、その辺り、保護者と園の連携の中でのデジタルリスクの管理ということをどう考えられるのかを伺いたいと思います。以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。それでは、奈須委員、お願いします。
【奈須座長代理】  亀山先生ありがとうございます。その前に、お知らせいただいた文科省のデータなんかは多分、一般の方が聞くとかなりぎょっとされるというか、そんな数字なのかということで、かなり警戒的に驚かれるのではないかと思うんですけども、この辺り、今日の亀山先生の御発表だけじゃなくて、ICTとかデジタル学習基盤という言い方で小学校以降は議論していますけど、その辺りの本当に遊びや学び、暮らしの基盤をどう考えるか、それが少し動いているんだということをどう認識するかというのが大事かなと思います。
 一つ、これは亀山先生というか、幼児教育や発達御専門の先生方の御意見があれば伺いたいと思うんですけども、今の大人の世代のような、ICTやデジタルがないところに徐々に入ってきた人たちにとってのデジタル情報の意味合いと違って、生まれたときから既にあって、2歳、3歳から当たり前のように使っている子たちにとっては、さっき秋田先生が言われた虫眼鏡や絵本と、多分境目のないものとしてコンピューターがあるんじゃないかと思うんです。
 すると、それは彼らの世界観にとって、僕らがイメージするものとは違うようなものなんじゃないかと。その辺りをどう考えていくかというのは、小学校以上でも、アナログ学習基盤に対してデジタルが入ってきた学習基盤、デジタルとアナログをどういうふうに融合的に使っていくかという議論をしていますけど、これがさらに先鋭的な問題になってくるのかなと思っています。
 もう一つは、この先の議論だと思うんですが、それは今度、3要領指針で扱うカリキュラムですよね。教育内容とか教育活動の原理にまで影響を及ぼすようなものなのか、いや、そうではなくて、単なる手段や方法のレベルにとどまるのかということ、これは、今日ここで何とかなる話じゃないでしょうけど、そのレベルで考えざるを得ないことなんだろうと。これは小学校以降のデジタル学習基盤というのもそうで、従来やってきたことをアナログだけじゃなくてデジタルでやるという話はもちろんありますけども、デジタルが入ってきたことによって、学習内容や学習内容の組織の原理も変わるのかということは、議論すべきことになってきていますよね。
 これがまた、幼児ではどうなるんだろうと。すみません、問題意識ばかりですけども、いろいろな問いがここにあるんだなということを、ただ、怖がるのではなくてという話はまさにそうで、デジタル・シティズンシップという動きが提起しているように、既にそういうふうに僕らの生活の基盤が変わってきたので、それをどうやって積極的に前向きに受け入れて、クリエーティブに使うか、これはそれこそグーテンベルクの印刷機が入ったときに、活字という道具を持ってしまったわけだから、そのときにネガティブな議論もありましたけれども、もうそれを基盤にしているわけですよね。だから今、基盤がやや地殻変動を起こしているんだということ、これをどう捉えるかということ、慎重な議論が必要と思いますけど、何かそんなことを考えさせていただきました。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。それでは、渡邉委員で取りあえず、御発言を区切らせていただきます。渡邉委員、どうぞ。
【渡邉委員】  すみません。では、よろしくお願いします。亀山先生、どうもありがとうございました。いろいろ考えさせられた発表というか提案でありました。
 僕はやはり、ICT化を考えるときに、「タブレット等を使って答えを教える」というような道具ではなく、どちらかといったら「子供たちが答えを求めていく」とか、「自分たちで自分たちのやりたいことを深めていくために多様なものから選んでいく」というような使い方が大事だと思っています。たとえば、子供たちの踊りとかもそうなんですけど、いろいろな音楽や踊りがあって、自分に合ったものを見つけていくとなると、子供の意思ってすごく大事になってくると思っています。うちの園でも、こういう踊りがいいとか、ああいうのを踊りたいとか、様々なものを見ながら、最終的に自分たちで挑戦していって、遊びの中に取り入れていくというように、ICTを道具化していくみたいな使い方が幼児期にできたらいいかなと思っております。
 前に、これは大豆生田先生と一緒に関わった取り組みだったのですが、NHKの子ども向け動画について意見を求められました。そこで思ったことは、「映像で丁寧に全部教えてしまうと、実際のものは見なくてもいいとか、実際にやってみなくてもいい」となってしまうのではなくて、もっと実物が見たくなるとか、本当にそれはどうなんだろうと、どうしてもそれを試したくなるような、実際の生活に戻ってくるような動画の使い方ということを考えていました。また、これは架け橋検討会の最初の頃だと思ったんですけど、うちの園の実践で、コロナ禍で子ども達は家庭でゲームとかを結構やっていたのですが、 園での遊びでもマリオカートごっこをやりだして、保育者が迷いながら子どもの声を聴いてマリオカートのゲームの動画を映すんですけど、アクセルとかブレーキとかハンドルとかを遊びの中で実際につくっていったら、どんどんどんどんいろいろな子たちが入ってきて、イメージも広がり、最終的には園の中をいろいろなコースに見立ててカメラで撮ってマリオカートのゲームから遊びが広がって、自分たちで本当に面白い遊びを考え出したという実践を紹介しました。このような子供の姿を見て、子供ってすごいなというのを、僕らはICT化を活かす中で改めて感じました。一人一人の子供の持っている考えや思いを知るということ、そういう意味では、多分、タブレットが教育に入ってきて、これは小学校以上もそうかもしれないんですけど、奈須先生のお話もそうかもしれませんけど、その中で一人一人の子供たちの考えとか意思だったりとか、そういう学び方とかというのを高めていき、さらにそれぞれがお互いに学び合える、そして保育者側もそれらが理解できるような使い方というのは、どのようにしていけばいいのかというのは、これからもっと検討されていいのかなと思っていますし、そのことの面白い実践例みたいのがたくさん聞けるといいかなというのを改めて感じさせていただきました。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。それでは、いろいろな御意見と質問でしたけれど、その中から適宜選んで結構ですので、亀山先生からお願いいたします。
【学校法人七松学園】  皆様、御質問ありがとうございました。多くの失敗を踏まえてこの実践が成り立っています。例えばタブレットを見せるだけで、このとおり絵を描いてごらんというような保育者も当初はおりました。そのことって本当にどうなのというのは、当初、直接体験と結びつけるためにはどうすればいいかというのを常に話し続けました。それが、その話合いこそが、秋田先生がいう研修みたいなところで、間接体験だけで終わらすのではなく、どういうふうにつなげたらいいのというようなことを常に保育者同士の話合いの中で進める中にしました。
 一方で、簡単に見せていいものなのかどうかというところについても議論を行いました。例えば保育環境スケールとエカーズというものでは文化的、暴力的なものをぱっと見せてしまうことは駄目だというようなところがICT活用のところの評価であります。やはり文化的な側面、多様な国籍がいるようなケース、または自然界における肉食動物が草食動物を捕食するリアルなものを見せて本当にいいのかというところも議論をするようなところだと思います。こういったところの小さな失敗と、本当に周りがやっていっていいのかというところを常に往復する関係で、保育者の知識を段階的に増やしていくようなところになっておるところでございます。
 そういったところが、だんだん実践例とか学びの蓄積ができることによって、やっていいこと、また、ICTで活用することによっていい実践が生まれることについては分かってくると思います。
 大豆生田先生がおっしゃった、様々な情報などが出てくるようなところで簡単に検索する文化が本園でも出てきました。ただし、その中で本園でも博物館の情報をきっちり使おうかとか、NHKフォースクールのようなものの情報を使おうかというところの精査はある程度、公的なところのものを使うようにしました。その中で、ユーチューブなどを見ますと、それと違った事実が出てくるというのも分かってくる。それもある意味、先生も子供学びになっていると考えています。そういったところ、これからは教育委員会や、そういった公的なところのやつのアクセスについて、我々自身がリテラシーの中で情報を収集する必要性があると考えています。
 若山先生がおっしゃった指導計画への位置づけについては、これはなかなか難しいと思います。私も分かりません。でも、道徳性の育成であったり、人間関係のところ、また、環境のところ、社会生活とどのように結びつけるかというところは、デジタル・シティズンシップは自分からコミュニティー、そして世界へとつながるところにもなっているところになっています。人間関係のところは、例えば国籍の違うお友達となぜ言語が違うのかというところを、タブレットとか音声の自動翻訳とかで変えてみるとつながるというので、人間関係や言葉の領域のところで使ってみようというところが、もしかしたら出るかもしれません。
 また、5歳の後期後半になってくれば、小学校のところで、GIGAスクールでタブレットをもらうよというようなことになれば、もしかしたら、タブレットとかパソコンというのはどういうふうに使ったらいいのというようなところが、もしかしたら5歳児以降のところにつながるようなカリキュラムとして位置づけられてくるかもしれません。
 それは今後、実践をしていく中で各園同士が実践の中で、子供たちの対話の中で生まれるものも今後は調べていく必要性があると考えています。こちらのICTの実践をいろいろ深めていくと、今度、OECDのレポートで、アンプラグドアプローチというものがあるそうです。これはあえてデジタルを使わない方法についてやるというようなところの研究開発も、国では行われているそうです。
 例えば、本園ではタブレットを安易に見せることで、じゃあそれは絵本ではどうやるのというような話であったり、そういったところを見直すきっかけにはなりました。それは、一律で視覚、聴覚に訴えるようなものをぼんと出すんじゃなくて、食べるように絵本を読む、食べるように図鑑を読み解く、または実際にオンラインでつなぐよりは会ってみようというようなところで、初めて分かってくるようなところ、そして、オンラインでつないでいたら非常に、ユーチューブの動画をこうやって見るような子もいるんです、ビデオ会議システムだと。それはやはり失礼だよというようなところ。じゃあ、対面と一緒だよねというので、対面だったらみんな、どんなふうに相手の話を聞く姿勢がいいというようなところも話し合うことになる。その姿勢で、ビデオ会議システムでお互い話し合おうかというところも学び合うようなことになりました。
 それはデジタルと直接体験の中の往復の関係で、様々なアプローチが生まれてくると思うので、こういったところをやっていければなと考えております。こういったところについては、我々が基盤整備というのがなかなかできないので、各園のベストプラクティスを集めることによって、それを共有して、それをまた教育委員会や幼児教育センターで共有して、また小学校に上げていって、そういうところの往復関係などで整備されていくものだと考えています。
 以上です。これぐらいでいいでしょうか。
【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、移りたいと思います。2番目は、古賀委員よりお願いしたいと思いますけれども、5分という短い時間でありますが、よろしくお願いいたします。
【古賀委員】  ありがとうございます。10分と聞いておりました。
【無藤座長】  10分ですか。前もって? 失礼しました。
【古賀委員】  はい。すみません。大丈夫でしょうか。
【無藤座長】  いいです。10分以内ということで、すみません、皆さん。私の手元には5分と書いてあっただけです。
【古賀委員】  そうなんですね。
【無藤座長】  10分で。多分用意された資料がそうでしょうから、10分以内ということでお願いいたします。
【古賀委員】  ありがとうございます。画面共有うまくできているでしょうか。京都教育大学の古賀と申します。よろしくお願いいたします。ふだんは保育所の専門性についての研究を行っております。
 今日はこの3点についてお話しさせていただきたいと思います。いろいろにわたりますけれども、まず、最初に保育園の質と評価ということです。本日、保育と幼児教育を同じ意味で使わせていただきますけれども、質の評価につきましては、近年注目の集まっているところかと思います。一定以上の質の確保がまずは求められますが、これは許認可の制度や監査等で実現されているという前提です。そこから先の日常的な保育児実践の継続的な質向上を見いだそうとするときにも評価は重要になります。
 幼児教育における評価の基本的な考え方としては、環境を通した保育を行いますので、環境に教育的な意図を織り込むに当たり、まずは幼児理解をしなくてはならないとなります。その幼児理解に基づいて保育を組み立てていくわけですけれども、その援助や環境構成は幼児の実態や可能性に照らしてふさわしかったか、振り返り評価をするという考え方です。
 園の実践について園内で評価するのはもちろん、地域の教育委員会や幼児教育センターの教育に関する専門性を持った人が実践を観察し、記録を取り、それを基にコメントやアドバイスをするという保育実践者と保育熟練者の間の評価があります。また、保育の専門家でも経験者でもないけれど、いろいろな立場で園に関わっている地域の方も含めて、学校関係者として、園の保育の評価に関わり、改善のための協働的な活動を行うといったこともなされているかと思います。それが地域の関係性の中にあり、もう少し客観的なところで、第三者評価機関の評価者がいたり、私のような大学の研究者がいたり、例えば、特別支援の専門家が保育を見てアドバイスするというようなこともなされてきています。
 これに対して、公開保育研修の中核的な要素は、指導者や評価者よりも、むしろ同じ保育をする仲間として保育を見合い、語り合うというところです。自らも保育者として難しさが分かるからこそ、実質的で支援的な評価ができるよさがありますが、ただ語り合って「参考になった」でとどまることも多く、ある視点や指標をもって、しっかりと具体的に見ること、議論の目標に向かってファシリテーションがあること、つまりは相互評価の質を上げる手だてが必要です。仲間同士だからこその遠慮があり、踏み込めず、よかったねで終わりがちなところをどう越えるか。明日の子供と保育をよりよくする地域の実践共同体を推進していくということを目指す、それを考えてみたいと思います。
 保育実践の内容に触れるコメントをするということは非常に繊細で難しい側面があります。これまで諸外国において、多様な評価スケールが用いられてきていますが、あまりにも現場への管理的側面が強くなると、保育者は管理される側になり、息苦しくなり、保育が楽しめなくなります。AかBかで一喜一憂するのではなくて、保育者が子供と保育の面白さ、奥深さに気づき、より探究的に保育を楽しむようになるということを目指したいと考えます。
 日本においては、これまでも保育カンファレンスやエピソード研修等を大事にしてきた保育実践研究の文化と歴史があります。そこからどう発展していくかです。現状の課題としては、日本には要領、指針に基づいた質の高い保育実践に関する明確な基準や尺度の活用には至っていないということがあります。また、専門性の発達に関するモニタリングと持続的なサポートの在り方に公立、私立や所属団体等による差、そもそも園による差、また、幼児教育センターが活発にサポートしている地域から幼児教育センターがない地域まであるという地域差も課題です。
 こういった課題を乗り越えるために、実践者自身が自立的に目標志向の持続的な評価改善プロセスを歩むための支援システムを全ての幼児教育施設を対象に構築することを考えるべきではないかと思います。このたびのこども大綱にも全ての子供が格差なく、質の高い学びへ接続できるよう、子供の発達にとって重要な遊びを通した質の高い幼児教育、保育を保障するということか明記されています。全ての子供に質の高い保育を受ける権利があるとするならば、あらゆる地域の全ての子供に質の高い保育を保障するという必要があり、そこには、今、私が考えているのは、全園を対象とした園訪問による評価支援が可能になるような制度設計があるとよいのではないかなと考えています。現在、幼児教育センターはありますけれども、訪問要請がないと訪問しにくいであるとか、私立への訪問率が低いというようなことが全国的な課題となっています。それは制度設計が生じさせている困難さであり、改善すべきではないでしょうか。
 しかしながら、ここでもう一つ、重要だと私が考えているのは全園訪問の評価支援をどのような理念で行うかです。ここで幾つかの提案をしたいと思います。まず、点数化やその公表によって、施設同士の比較やランキングにつながるようなことを否定し、保育者の自立と尊厳を守るということを基本とします。主体的な目標志向というのが重要で、この目標に対する省察プロセスを深めていくということに価値を置き、また、それを継続するための支援を行うということを旨とします。
 そして、非常に重要なのは具体性です。保育と子供の具体に始まり、具体に返る、次の保育の手だてが見える評価、要は、保育者が自らの課題を開き、共に目標に向かって捉え直し、試行錯誤して、明日の保育をやってみて手応えを得るという保育実践の専門性を高めることを目指すということです。
 園や保育者が地域の相互関係の中で保育実践の内容に触れる研修を行い、それを促進する仕組みを全国格差なくつくること、そして、要領指針に基づいた目標、保育目標を明確にし、保育者が主体的に保育の評価を行うこと、また、保育実践の質向上の具体的なステップが分かる、次が見える指標、日本の保育文化に基づいた指標の活用や研修を通して、評価者の専門性を上げること。これについては、国立教育政策研究所プロジェクト研究報告書にその案があり、現場の先生方には具体的な今日の実践を基に、明日の手だてが分かるという高評価を得ているところかと思います。
 研究上、点数化するということはありますが、実践者側に点数を公表しないということになっています。点数ではなく、今日の実践を分析的に見るという視点を用いて対話をしていきます。それらをさらに園内の保育者間のみではなく、評価研修を受けた地域の保育仲間と対話する機会も取り入れて、園の長期的な保育の改善にも生かしていく、そういった持続的な園内研修と専門性の発達に関するサポートを実施するということが、これから地域の実践共同体を生成する発想として重要ではないかと考えています。
 次に、幼稚園における3歳未満児の保育、幼児教育、子育ての支援とその接続についてです。近年、2歳児の受入れ等が進み、3歳未満児であっても、保護者と離れて子供を預かる幼稚園の取組が増えてきています。また、こども誰でも通園制度の試行的事業も始まり、一層、3歳未満児の子育ての支援と保育の質の確保、向上が求められているところです。中でも幼稚園での取組は、その特徴として、家庭からの移行を丁寧にする重層的な仕組みづくりがあります。マタニティー期から園に遊びに来るドロップインに始まり、子育て仲間をつくる広場活動、定期的に週数回、親子で園に登園してくるクラスから、スムーズに親から離れて預かるクラスということを様々組み合わせながら、ニーズに応じて柔軟に対応しています。
 そういった多様な親子の状況に丁寧に応じる仕組みとなっている一方で、保育者と子供の数の比率が実態として保育所よりもかなり高いところもあったり、非正規雇用者の多さにもかかわらず、研修体系、体制整備がなされていないということもあり、ゼロ、1、2歳の保育や保護者の悩みへの対応に日々困りを抱えている保育者も多くなっています。つまりは、ゼロ、1、2歳の時点で保育の質の確保が難しい状況も生まれているということです。
 そこについて、まず基準となるものも、平成19年の留意事項に遡って参考にするのではなく、これからの幼稚園教育要領においてしっかり示していく、家庭生活から子育ての支援、そして、3歳未満児の園生活と、3歳以上児の保育内容の接続と連携といったところについて記載していく必要があるのではないかと考えています。
 3点目です。今後の人口減少と保育の在り方ということについてなんですけれども、京都の中でも人口減少地域は小学校区内に幼児教育施設が例えば10施設あっても、各施設に年長児が10人以内というような状況。つまり、施設数は多いのに子供数が少ない、つまり、保育の中で遊びの多様な選択や発展が生まれにくいという状況があります。そこでは各学年、単級構成になりますので、保育者同士、保育を見合って学び合うということができにくい状況にもあります。異年齢保育の実践が拡大してきています。これまでも幼児教育は個別最適であることや協同的であること、両方を大事にやってきたわけですけれども、さらにそれを進めていくということになるので、いろいろな発達の姿がある中で、例えば今までだったら年長の後半の運動会ではみんなが、年長児さんが一つの目標を共有して、それに向かって取り組んでいくというようなことをやってきたわけですけれども、いろいろな発達の姿の子供とそれをやっていくということになるので、そこでそれぞれの力が十分に発揮できるようにする保育をどうつくっていくのかということ、まずは、異年齢保育に取り組んでいる現場の知恵というものをしっかり収集して調査していく必要があるのではないかと考えます。
 その上で、研修資料の充実、そして、資料は活用されることが重要ですので、研修体制につなげていくこと、それは特に、人口減少地域では研修実施をする専門性を持つ人が少ないと、もしくはいないというようなところも多くありますので、その支援体制について、都道府県レベルで研修ブロックを構成し、確実に行き渡るようにするようなことが必要かと思います。そういったことを通して、多様な地域の状況がありながらも、全ての子供が質の高い保育を受けることができる条件整備をしていかなくてはならないのではないかというふうに考えました。
 以上になります。ありがとうございました。
【無藤座長】  今の古賀委員の御発表に対する質問、御意見をお願いいたします。それでは、大豆生田委員、坂﨑委員ですね。大豆生田委員、お願いします。
【大豆生田委員】  大豆生田です。古賀先生、ありがとうございました。
 今回、全ての子供に対して質の高い評価というふうに考えたときに、一定以上の質評価を行う人に対して、いわゆる地域のピア評価者という位置づけを今回お話ししてくださったこと、とても感銘を受けました。
 それに当たって、今、同じような課題を私自身がとても持っていて、恐らく私たちのような大学の教員などが園のいろんな研修に呼ばれたり、公開保育の講師に呼ばれたりするわけですけれども、むしろ中堅層などの人たちが、そういう力をすごく実は持っている。実際にその園の中でそういう養成、ファシリテーター的な役割の人たちがたくさん養成される中で、その資源をもっと地域に広げられないかということをかねがね考えていて、今、私が関わっているところだと、横浜市が今年からワイサポという仕組みを、研修段階を何年かちょっと積み上げて今年からスタートすることになって、その取組を始めたときに、明らかに僕なんかが入るよりも当事者性が高くて、明らかに互恵性が高い。自分も一緒になって、これ、面白いよねというようなスタンスだとか、あるいは伴走的であったりするということの効果はとても大きいかなというふうに、今まだ試行段階が始まったところですけれども、とても実感しています。ただ、今後その数を考えたときにどう養成していくかということが、これからの1つ課題になっていくかなというふうに思っています。
 これを広げていくときに、どういうふうな仕組みづくりをしていくか、多分地域でというところも1つ重要なポイントになるかと思いますけれども、もし、古賀先生、お考えあったら教えていただければと思います。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。それでは、坂﨑委員、お願いします。
【坂﨑委員】  坂﨑です。今、古賀先生のお話をいただいて、第1点と第2点については、そのとおりだと思いました。私、今、自分たちの勉強会を行っているところで、昨年、年間30園の公開保育を行ったんですけれど、そのことは日本保育協会の冊子保育界に出ていますので、もしよければ見ていただきたいんですが、古賀先生がおっしゃったように、視点というものを置いて、どのような視点で子供たちを見ていくのかということを全体のテーマにして行っているということでありまして、今日の古賀先生の話を聞いてとても心強く思いました。
 また、保育の監査に関わることでありますけれども、やっぱり管理者が管理をしなければならないということによって、保育が縮こまってしまうことというのは非常にありまして、一方、よくよく考えてみますれば、先生がおっしゃったような、全てにおける訪問による評価支援みたいなものがあれば、保育というもののことを考えられる仕組みができるのだなと、今日考えさせられる1つでありました。
 3点目につきましては、古賀先生が今日お話をしてくださることにとても興味深く聞いていたわけですが、古賀先生のお話でいうと、京都ですから、年長時に10人もいないところもあるという、例えば発言をするわけですが、青森で言うと、年長時に10人もいないところもあります。多分、古賀先生がお話ししていることは同じだと思うんですけれども、どのような保育を展開していくことが望ましいのかというのは、今後10年すると、多くの地域がそのようになりますので、今後どう考えていくのかというのは、今日の古賀先生の提案は大きいなと思います。
 1つだけ、地方に行くと、なかなか研修を指導する人がいないというお話が少しありました。どちらかというと、研修に出す人がいない、人がいないというのは、人手が足りなくて出せないんです。そういう人がいないのではなくて、実際に保育を66時間回すことに人手が精いっぱいであって、研修を出すことができない。オンラインで確かによくなった場面はたくさんありますけれども、どちらかというとそういうところに問題があるというのが私の実感です。
 少子化のことにつきましては、またよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【無藤座長】  それでは、秋田委員、お願いします。
【秋田座長代理】  ありがとうございます。学習院大学の秋田です。
 本当に共感しながら、やはり保育者が専門家であり、自立的に自分や自分たちで、自分たちの保育をよりよくしていく、その専門性を育んでいくという基本的な考え方に非常に納得がいくと思っています。
 一方で、例えば全園の訪問ということを私は理想と思う一方で、全園を訪問しても、今例えば訪問している訪問者の実情を聞くと、なかなか、本当はもっとこうしてほしいと思っても、遠慮があってきっちり言えないとか、自分たちが評価者として園から位置づけられているがゆえに、逆に壁があるというような関係が現実に生まれているのではないかと思います。そういうときに、先ほど古賀先生も、それから大豆生田先生もピア評価ということを大事にされていると思うんですけれども、評価や指導の専門家というだけではなく、いわゆるミドル層の保育者が、自園だけではなく他園も含めて、お互いに保育を語り合いながら、その気持ちに添って、その園のやりたいことで評価をする。質が高いというのは、客観的に外から見て決して指標や数値でなくても、外から自分の持っている指標で、物差しで質が高いかどうかを指導者が評価するものではなく、その園の人たちが願っている、地域の人も願っているものが何かを酌み取りながら、そこに添う実現はどうやって可能かということを一緒に考えていくことができるということが重要なところではないかというふうに思っています。
 その点で、先ほどの実践者のコミュニティーの図を見ていて、私はこういうふうにいくといいなと思う一方で、これではきっと行き詰まるところが起こる。東京都では、去年からすくわくプロジェクトという乳幼児の探索探究のプロジェクトを大がかりに進め、子供の探究を乳幼児からということで進めています。そこで私が本当に学んだのは、教育や保育の専門家のアドバイスではなくて、例えばアトリエとか自然とか、そういう専門の人たちが保育者に寄り添ってくれることで、この人たちは指導するのではなくて本当に援助してくれるんだという気持ちになって保育者たちが取り組むので、本当に、1年でこんなに保育が変わるのねと、私はこんなことでやれたことないけれどもというような経験を私はしました。そういう意味では、保育の専門性を高めていくだけではなくて、時に異質な、でも優れた人たちを、いろんな視点からの人を招き入れることによってそのダイナミズムを変えることが、保育の質をより高めていく1つになるのではないかと考えます。そうでないと、この県の一番いい保育をしてきた人が保育の評価の指導者になり、そういう人に合う保育をしていくことは、決して各地域や各子供の保育の評価にはつながらないんじゃないかと思うのです。この辺りを今後どういうふうな形で考えていくのかということが重要だと思います。幼小で言えば、小学校の先生を保育のことは分からないかもしれないけど、だけど、だから、これいいよねとか、かえって語ってくれることが、また保育生にとって励みになって、それが改善につながっていく点もあったりするということも経験してきています。この辺り、異質な人をどう巻き込みながら保育の質の評価の構造を考えていくのかというようなことが、私は重要ではないかと思っているので、古賀先生の御意見も伺ってみたいと思いました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。それでは、高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】  目黒区立みどりがおかこども園の高橋です。古賀先生、ありがとうございました。
 私が感じたのは、質をやはりどう捉えるのかということと、質が高いということをどのように捉えていくというのが大事なことと考えます。例えば、子供側からの評価なのか、先生側からなのか、資質・能力が育つプロセスそのものが重要であることと評価の視点の関係性はどうかなど、保育者の専門性を育むという視点にもつながることかと考え、評価でどのように捉えていくのか、というところを感じました。
 私が先生のご発表で感銘したのは、保育者の自立と尊厳を守るというところで、評価が評定のようになってしまうということの懸念があり、保育改善のための視点になるような評価になることを望みます。そして、私、最初に資料を頂いて見たときに、長期的な評価なのかなというふうに思ったのですけれど、評価スケールが短期ではどうか、中期的なものはどうなのか、長期的なものはどうなのか、どのように活用し、システムとしてどのような活用のイメージか、具体的なイメージが古賀先生の中にあればもう少し教えていただきたいと思いました。
 以上でございます。
【無藤座長】  ありがとうございます。では、鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】  國學院大學の鈴木です。今日は御発表ありがとうございました。亀山先生といい、古賀先生といい、ずっと先のことなんだと思っていたことがリアルな今なんだということをすごく感じました。そして、古賀の御発表からは、保育の方向性というところですごく私は感銘を受けました。
 ただ、1つ、園を地域に開いていくというところですごく大事だと思うのは、今、親も保育者も、そして祖父母も働いて忙しいという、こういう状況の中で、先ほど秋田先生おっしゃったように、地域の中には、もっと様々な多様な人たちがいる、その多様な人たちの力をうまく幼児期の教育に目を向けてもらって一緒に育っていく、グローイングトゥギャザーというところがあるといいのかなというふうに思っております。
 開かれた学校じゃないですけども、園も地域に開いていくということと、それからグローイングトゥギャザーでやっていくということで、ぜひ感想ですけれども、これからもまたいろいろと教えていただけたらと思います。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。では、岸野委員、お願いします。
【岸野委員】  失礼します。古賀先生、ありがとうございました。本当に多くのヒントをいただきました。
 私も、感想になりますが、申し上げたいと思います。
 本当に相互に公開保育を行うということが広まってきている中、それをピア評価として位置づけて、実質的で支援的な評価を行い、学び合いながら高め合っていくというようにしていくのは、非常に効果的なというふうに思いました。
 一方で、それを進めていく上では、評価の意味とか評価観についての共有も重要だと思いました。遠慮し合って踏み込まないまま終わってしまうという問題も話題となっていましたが、一方で、評価ということになったことで、園内で保育者同士が評価し合うに当たって、大変大きなフラストレーションが生じたケースに触れたこともあります。評価を受けることにプレッシャーを感じたり、また、実際に低い評価を受けてショックを受けたりといったことがありました。古賀先生のお話にあったように、客観的に点数化して可視化していくという評定の意味ではなく、むしろ秋田先生もおっしゃっていたように、園や保育者に寄り添いながら、自立的、主体的な質の改善につなげていくということが重要だと改めて思いました。
 また、専門性の発達には時間と経験、そして組織的な支えを要すると思いますので、当たり前のことではありますが、評価が個人のものではなく園のものとして、園全体でよりよくなっていくためのものと位置づけられることも重要だと思いました。
 最後にもう1点、人口減少地域での保育体制については、少人数ゆえの遊びの展開の難しさや、人間関係の狭さといったこともあり、こういったことを逆に強みに変えていくということが求められると思います。福井でも、山間部では、1歳から5歳の10名に満たないような子供たちを、園長と担任と臨時任用の先生といった3人で園を回しているといったケースもあり、坂﨑先生もおっしゃっていたように、やはり保育に当たるということが優先でなかなか研修にも出られず、子供、保育者ともなかなか多様な見方がお互いにしづらいといった現実もあります。その意味で、子供の人数が少ないから保育所も少なくていいだろうというのではなく、逆に、そういった意味での人的な体制を整備していくということも、検討が今後必要かなというふうに思います。
 以上です。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。では、鍋田委員、お願いいたします。
【鍋田委員】  古賀先生、ありがとうございます。いつも古賀先生の話、私も大変共鳴することが多くて、本日の発表をとても楽しみにしておりました。ありがとうございました。
 ピア評価のよさというところで、私たちも日々、園内研修ですとか公開保育を推進していこうということでやっておりますけれども、その中で、先ほどお話ありましたけれども、「よかったね」ということや、「皆、頑張っているよね」ということで終わることが多いなというふうに日々感じておりまして、ここを一歩踏み込んで、さらにみんなでよくしていくためにはというところで意見が出し合える雰囲気はどうしたらつくれるんだろうというのを、日々考えるところではあります。
 また、先ほど大豆生田先生お話ししていただきました、横浜市ではYサポという仕組みをつくりまして、中堅ですとかしっかりとした往還型研修を受けた実力をつけた保育士さんがいっぱいおりまして、そういった方に担っていただくということを始めております。また、その保育士さんを目指していくという意味で、横浜市でつくりましたが、保育士のキャリアラダー(市立用)の方向性の1つとして、そういった人材として位置づけるということも考えておりまして、そういったことの役割を持つことの誇りというところも感じてもらいながら、そういった方が実力をつけていくというところを目指しております。横浜市は、研修をしてくださる先生方はいらっしゃいますが全ての施設に行き届かない、皆様にそういった研修に参加していただくことができないというのであれば、地域の中でそういった人材に活躍していただくということがとても重要だと考えておりまして、進めているところでございます。
 その中でも、大豆生田先生をはじめ、たくさんの、保育園に入ってきていただいてアドバイスいただける講師の先生ですとか、そういったYサポを支えてくださる先生方の存在がとても大きくて、そういったことが仕組みとしては必要なことだと改めて思いました。
 感想ですけれども、以上でございます。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。では、田中委員、お願いします。
【田中委員】  失礼します。田中です。
 評価というと難しく考えられる方もあったり、それから、監査に疲れてしまっているようなお話も聞かせていただくようなことが本当によくあるんですけれども、一方で、幼児教育における評価というのは、保育をよりよくするものだというふうに明確に言われていて、自分たちも楽しくすてきなことだというふうに思うんですけども、そういう感覚のギャップがどこにあるのかというのを対比して分かりやすくお示しくださったな、そういうことなのかっと腑に落ちだなというふうに自分は聞かせていただきました。
 保育をよりよくすることを自分事として考えるためには、やっぱり保育者がみんな保育を公開する、そこでみんなで一緒に学び合うということは不可欠だなというふうに思います。ただ、先ほども話題に出ていましたように、評価者の在り方によって評価に対する保育者の捉えが大きく変わってしまうので、評価を楽しんでいる現場では、毎年、そういった取組が積み重ねられて、保育がよりよくなっていく。しかし、それを怖がってしまっているというか、悪いイメージを持ってしまっているところは、もうそれすらやらないということに振ってしまって、すごく差が広がっていっているんじゃないかなということも思っていますので、この評価者の育成とか、まず一歩、怖がっている現場の先生方が、いや、やっぱりやってみることがいいよねと思えるような仕掛けというのはすごく大事だなと思いながら、お話を聞かせていただきました。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。では、若山委員、お願いします。
【若山委員】  富山大の若山です。
 伺いたいことがあるのですが、先生のスライドの8ページ目のところに、地域への着目というふうに、地域という言葉が使われていると思います。それと、現行の教育要領では、評価に関しては妥当性と信頼性を高める評価ということが書かれていると思います。それで、この2つ、ちょっと併せて考えたときに、保育の評価の妥当性や信頼性に影響を及ぼす地域の定義とか範囲というものがあり得るのか、あるのか、そこを決めていけるのかということを教えていただきたいなと思いました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。では、渡邉委員。ここで区切りたいと思います。お願いします。
【渡邉委員】  古賀先生、ありがとうございました。古賀先生の話してられることに関して共感するところはいっぱいあるんですけど、私、どうしても私学の立場というところがあって、保護者のニーズとかというのをいろいろ考えていったときに、私学というのが独自性を出すという話でいくと、均一性というか、いい保育というところが、本当にいい保育をしているところが子供が集まるならいいんですけど、横浜でも、例えば本当にすてきな保育をしている保育園が民間にいってしまったりとか、保護者のニーズに合っているような、この保育は違うだろうというところに子供が集まってくるとなると、そこら辺のところ、小学校でも多分そうだと思います。いい先生というのに価値が、一人一人の子供のことをちゃんと見てくれていて、一人一人の子供の思いとか考えがちゃんと見えてくるような授業をしている先生より、一斉で何かできないかできるかで見てしまうようなところがあったりするという、この混乱みたいなところをもうちょっと整理しないと、結果的に、こちら側でいいことをやろうとしながらも、保護者の側はそうではなかったりとか、あの先生は教科書を使わないから駄目だとかというような評価が入ってくると、そこに対して、現場はどうやって対応していくかというところの問題というのだけはついて回るし、私学である限り、なかなかどこの園もみんな一緒になって方向というのができないというような難しさもあるということだけは、ちょっとすみません、付け加えさせていただけたらと思います。
 ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。それでは、古賀委員のほうから適宜、選んでお願いします。
【古賀委員】  先生方、どうもありがとうございました。いろいろと先生方から一層の刺激を受けましたけれども、地域のいろいろな人を含めていくということについては、今日は学校評価とかの辺りでさらっと流してしまったんですけれども、京都の場合は、スペシャルアドバイザーという形で、様々な専門性を持った人が保育のアドバイザーとして入るということをやってきています。多様な人が園に関わっていく仕組みはもちろん大事だと思っていますし、京都市立幼稚園は全園学校運営協議会を持っていて、もともといろいろな人が保育に関わって評価をするというような仕組みがあるので、そこはちょっと飛ばしてしまっていた部分だなというふうに反省をしたところです。
 今日強調したかったことは、保育を見る目を鍛えるといいますか、具体的な実践というのをしっかりと評価していくという、評価力をつけるみたいな、保育評価の専門性を持つということが、これからもっと重要なものとして認識されていくべきではないかというふうに思ったということが1つと、それをもって、評価者と評価される側というふうに保育界を持っていきたくなくて、それぞれにそれを手に持ちながら保育を見合い、よりよい、それこそ保育をつくっていくことに楽しみを見いだすという文化を生成したいということです。そのことが、やればやるほど面白くなるという実感を持つためには、やっぱり研修を津々浦々していかなくてはならないと思うんですけれども、仕組みとして基本的な単位としては、やっぱり都道府県の幼児教育センターであるとか、市町村の幼児教育センターであるとかというところを起点としながら、要領指針というものが当たり前にあって、それが保育の目標とどう関わっているのかということを見ながら、そして1つのそれを基準とした指標をもって、具体的な保育の評価をしていくということが楽しんでできるような世の中になったらいいなというふうに思ったという話でした。
 それから、そもそも私立の中ではいろいろな園があってというようなことも、最後の渡邉先生の話でもありましたけれども、保育とは何かということとか、何を目指しているのかということを、これからこども家庭庁のいろいろな取組もありますが、社会一般に広げていかないといけないというふうに思っています。私自身も、いろいろなところで講演をしている中で、保護者の中でも、社会情動的なスキルへの着目というか、そういうところに関心を持ってきている人たちも増えてきているかなという実感もありますし、これから保育界の目指しているところというのを、もっと地域一般に広げていく仕組みとしても、保育を共に担う中に地域の人を入れていくみたいなことが有効に活用されるとよいかなというふうに思います。地域の実態はもちろん多様で、京都の1例を、私は身近な例として出すのが京都になってしまうので、そこで話をしましたけれども、本当にこれからどんどん厳しくなっていくと思いますので、それをどう要領改訂の中に入れていくのかということは、クラスとか学年とか、そういう園だけではなくて、園同士をどうつないでいってその実践をどうつなげていくのかというようなところも含めて、実践の変革ということをこれから地域レベルで考えていかないといけないというふうに考えています。
 若山先生から、妥当性や信頼性を高めるときに地域の範囲というのはあるのかということですけれども、地域というとすごく漠っとした表現になってしまいますが、とにかく人口レベルが全然違うので、ですので、私の今日の基本的な考え方としては、まず、都道府県の中でどのような地域のブロックを設定するか。ある程度の規模感というか、相互に支援をし合うことで研修実施ができるとかいうような地域のブロックを決めて、そこで、きちんとした研修実施ができるという体制を組んでいくというふうに、都道府県の中での構造化というのをある程度してもらって、その中で、きちんとした評価の研修の実施体制を組んでいくというふうに考えています。妥当性、信頼性を高める上で1つの手がかりとなるのが、今日お示しした指標が1つあるかなというふうに思った次第です。
 以上になります。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。いろいろ急がしておりますけれども、時間の関係で3番目、佐藤委員から、時間は適宜ということでよろしくお願いいたします。
【佐藤委員】  よろしくお願いいたします。
 私のほうからは、私の経歴と、現在着任している江東区の取組、そして本校の研究の取組から学びの連続性について発表させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、2018年から2020年の3年間、千代田区教育委員会の指導課長を務めていました。千代田区は、小学校8校に漏れなく幼稚園がついている、幼稚園こども園が8園あるという状態のところです。
 その中で、つなぐ、つなげるということを意識して話をしてきました。各園に訪問する機会が毎年1回必ずありましたので、そういったところで、遊びから学びへのつながりを問うという形でスタートカリキュラム等も推進してきたところです。ちょうどその辺りというのは、もう皆さん御承知のように、幼児教育の質の向上についてということが議論をされていたときだったというふうにされていました。その中にも、やはり幼児期から小学校への教育的なつながり、そうした連携というものが課題に挙がっていましたし、進めていかなければならない事項であったというふうに考えています。そして、私が園やこども園、幼稚園を訪問させていただいたときに、皆さんの努力のすばらしさは、小学校で、例えば、こういう話すこと、聞くことという項目で非常につながりが大きいということをお話をさせていただきました。それは学習指導要領の下に話をさせていただいたのですが、身近な経験、行動といった話の内容を捉えて感想を持ち、相手の発言を受けて話をつないでいくというようなことはとても重要ですと。必ずこれは学びの質として小学校設けてつながっていくものになっていますということをお話をさせていただきました。中学年、高学年と、だんだんと高まりはなっていくんですが、その根底には幼児教育があるということをお伝えしてきたところでございます。
 折しも、先日、文科省のほうからリーフレットが出ました。幼児教育と小学校教育がつながる、どういうことというようなリーフレットでした。見させていただいて、やはりつながりを意識することはとても大事だということと、中には、教科ごとに分かれて遊びを通した学びがどうつながっているのかというような話がまとめられていました。具体的な事例ごとにまとめられていました。その中で、やはり国語の話すこと・聞くことということが非常にピックアップされていて重要視されているんだなというところを改めて認識をしたところでございます。
 私の着任している江東区のお話をさせていただきますと、そちらのほうでは、幼小連携教育プログラムということで、区のほうがリーフレットを作成しています。そして、各ブロックごとに分かれて、区内をブロックに分けて幼小中も含めて連携教育の日というものを年に2回設定をして、その中で3つの資質能力を基に連携を進めて実践を発表していくという形になっています。
 進め方については、担当者を決めて、それぞれのグループの発表をしながら、それぞれ取組を進めていくに当たって大事なことを共有していくということを教育委員会のほうの指導で行っているところです。
 そして、私の今、自校の東陽小学校の取組を紹介させていただきますと、このようなタイトルで校内研究のほうを進めています。目的のある学び、そしてカリキュラム・マネジメントということを主にして研究を進めているところです。
 根底となる考えは、やはり子供たちに学びを任せていくという考えです。子供は有能な学び手であって、確かな学びの文脈があれば、子供は意欲を持って学びを進めていくことができるということを前提に研究を進めているところです。
 その中で、2年前の2022年には、もともとあった学芸会を学習発表会に転換しました。与えられた台本をやるということが、これからの学びにつながっているだろうかと。もっと違うアプローチで子供の学び、日常の学びが成果として発表される場にしたほうがいいだろうということで、学習発表会の形式をとったところです。最終的には、子供たちがこんなことを言えるといいなというところを目指して、各学年で取組を進めてきました。6年生はSDGsがテーマになり、その中でやはり導入の入口のところでアプローチの工夫をして、子供たちに課題意識を持たせるという時間を大切に取りました。その結果、子供たちがどのような課題意識を持ったかというと、このような4つの気づきを紹介させていただきますが、子供たちがそれぞれに世界と向き合い、微力だけど無力じゃないという言葉は、きっと、その子の生きてきた中で得た、おもちゃとともに得たものだと思います。こういったように、子供たちの中にはよさは内在しているわけであって、それをどのように引き出して主体的な学びにつなげていこうとする意識とアイデア、そして創造性が私たち教員に求められているなというふうに考えたところです。
 子供たち6年生は、大まかなA4、1枚ぐらいの小さな台本を渡されただけで、20分間、後は全部自分たちでつくり上げて、自分たちのメッセージは通じたかなということを気にするような学びにつながった1つの例でございます。
 折しも、これも先日、動画コンテンツが文科省のほうで遊びを通した学びということで挙げられていました。この動画を見ていて、幾つかのキーフレーズが私の中に入ってきました。これは、幼児教育が大切にしているものであり、ただ、これは小学校も大事にしているフレーズだなと、言葉だなというふうに思っています。これらのキーフレーズは、本校の研究の中でも重要視していて、3つの資質能力を柱とした、学習指導要領をきちんと理解して教育活動を続けていくことで、学びの連続性はよき方向に向かっていくのであるというふうに考えています。現在の学習指導要領は、幼稚園から大学までの学びを貫くようにできていますし、それをしっかりとやっていくということで、幼児教育との接続もかなえられるようにしたいというふうに思っているところです。
 本校は、区の研究奨励を受けて、令和7年度には研究発表に向かって今進んでいるところです。テーマは、子供が輝く授業の創造ということで、そのプロセスにおいては、近隣の幼稚園の園長先生にお願いをして、ぜひ研究事業と研究協議に先生たちを参加させてもらえませんかと。そして、幼児教育の視点から、よさと課題を御指摘いただきながら、私たちは研究を進めていきたいと、こういうスタンスで進めているところでございます。こういったコンテンツなんかも教員のほうに周知して、こういったところがこれから私たちの研究はベースになっていくよというところを意識して、共有をしているところでございます。
 私からの発表は以上になります。どうぞよろしくお願いします。
【無藤座長】  ありがとうございました。それでは、また御質問、御意見がある方は挙手をお願いいたします。それでは、坂﨑委員、岸野委員というところで、坂﨑委員、お願いいたします。
【坂﨑委員】  佐藤先生の資料、今日の午前中に見たのですけれど、今年の私の園の公開保育のテーマが聞くこと・話すことなので、全く同じものを見てとても感銘して聞きました。
 区の課長さんであられました方が小学校の校長先生になられて、それをどういうふうに進めていくのかという実践というのは非常に大きいと思いますし、逆に言うと、今、佐藤先生が行っているようなことを、逆に課長さんというか地域、自治体とか、もしかすると県教育委員会の方々がどういうふうに進めていくのかということは、今回のこの発表、非常に参考になるのではないかなと思いました。
 そういう意味では、人の配置によって、例えばそういう課長さんが校長になったりするわけですけれども、そういう人たちがどのように、ある意味で下のほうに伝えていく必要があるのかなというふうには、大きな意義があることだなと思いました。
 例えば、私のところは保幼小中一貫というのを1つのテーマにしてやっているんですけど、先ほどの6年生の気づきに対して、逆に言うと、乳幼児期、うちでいうとこども園の先生方が行ってその場を見るということによって、小学校がどういう気づきをするのか、学びが、それが幼児期にどういうふうに、本来は幼児期から積み上げていくんだけれども、就学前の学びのヒントがたくさんあるような気がします。そういう小学校の学びを見ることによって、自分たちの学びを違う観点から見詰めるというのは非常に大きなことで、今日の佐藤先生の話にとても感銘を受けました。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。では、岸野委員、お願いします。
【岸野委員】  失礼します。佐藤先生、ありがとうございました。学校として、こども観、学習観を転換して、6年間を通じてこうして取り組まれているということも、また、江東区として自治体として取り組まれてきたということもすばらしく、両面で大変参考になりました。
 私の関わる地域では、各施設で連携接続の担当者を決めて、一堂に会して情報交換や研修を行うということは行われていますが、そこにまだとどまっていたり、また、研究指定を受けている学区では、コーディネーターを担う方が窓口となって連携を進めていますが、ほかの地区では、まだ特段コーディネーターがいないままというふうにとどまっています。その意味で、江東区のように、区としてリーフレットをつくられたり、連携教育の日というのを設けたりして、幼小の連携接続の重要性が自治体として表明されて、そして全ての学区で連携教育担当者といったような、地域の様々な園と学校をつなぐ役割の人が位置づけられ、その人たちがまた担当者会や研修等において継続的に交流し、お互いによりよい連携接続に向けて学び合っていく、そういった体制をつくられているのが大変重要だなというふうに改めて思いました。同じようなことが関わっているところでもできたらいいなというふうに思いました。ありがとうございました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。まだ時間はありますが。高橋委員、河合委員ですね。高橋委員、お願いします。
【高橋委員】  佐藤先生、ありがとうございました。江東区の取組も聞かせていただき参考になりました。
 そして、学習発表会を学芸会から変えたということで、子供たちの気づきが、とてもすばらしいなと思い、子供たちに任せるというところもとても響きました。やはり、子供たちの周りにある環境、その環境を意図的、計画的に構成していくというところでは、幼児教育と本当につながるところです。保育所のねらいと援助がどのように環境を構成し、子供たちの主体性と折り合いをつけて絡み合っていくのかというところも同じなのかなと思って聞いておりました。何を連携していくのかというところも考えさせられましたし、やはり3つの資質能力を育んでいくことが、小学校教育、高等教育へと連続してつながっていくというところも、改めて感じさせていただきました。目黒区でもこういう取組ができるといいなというふうに思っておりますし、少しずつ進んでいるところでもございます。また、教えてください。
 ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。では、河合委員、お願いします。
【河合委員】  河合でございます。佐藤先生、どうもありがとうございました。
 2点教えていただきたいと思います。
 御発表の中で、学習観、指導観、また、児童観というものを実際に転換を図り、学校の中で具現化されていったというお話、大変感銘を受けました。その中で、校長先生のどのような働きかけで、各先生方がそのことを必要だと思い、さらに納得されて子供たちと一緒に教育を進めていく中で、どのように実践が変わられてきたのか、その辺りをぜひ、小学校の実践の中でというところで教えていただきたいです。
 もう1点は、地域として自治体の仕組みを使いながら連携の日をどのように活用されて、多く広くの方たちの子供たちの教育内容の接続の必要感とか、それを実践に生かしていくことでの手応えとか、そうしたことがどのように地域の中でつながっていくのかについて教えていただきたいと思います。
 以上2点、よろしくお願いいたします。
【無藤座長】  ありがとうございます。では、秋田委員、お願いします。
【秋田座長代理】  秋田です。
 2点質問をさせていただきたいと思います。
 本当に校長先生のリーダーシップがすてきだなと、子供たちの気づきの言葉に触れてそう感じました。
 その中で、江東区としては、連携をグループ校というのをもう既にブロックで決めて、そこで関わるというようなことをされているというところがとても大事なところかなと。私が入るところはほとんどそれを働きかけてやってもらっているんですけれども、一方で、そうすることで私立とかが本当に入れるようになってきているのか、そのグループとか、それから連携の日というような、先ほど河合先生からも御質問ありましたが、そういう特定のところを設定するとか、区のほうで何か枠組みを与えることでやりやすくなる面と、それから縛られてしまう面もあるのかなと思って、先生のお考えを伺いたいというのが1点です。
 それから2点目としては、やはり先生が学習発表会に変えられるという、その決断をしても、それに先生がついていく、ほかの教員にどういうふうに働きかけ、この6年生のこういう姿をまた園の先生も一緒に見たり授業を見たり、そういう中でつながっていくことで展望を、園の先生も小学校の先生も持てるんだと思うんですけれど、そのための管理職の役割ということをどう意識されているのか、千代田区のほうでもお世話になりましたけど、そういうところをぜひ伺いたいと思います。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。挙手の方、このぐらいですか。それでは、佐藤委員から、まとめてお願いいたします。
【佐藤委員】  たくさんお言葉をいただいてありがとうございます。
 まず、今、私がこのような発表をさせていただくというか、そういうふうになったのは、恐らく千代田区に配属されたというのは非常に大きなことだったというふうに私は思っております。まずは、8校に8園あるというこの中で、私自身が見識を広めさせていただきました。全部、学校訪問、園訪問を行います。その中で、教育委員の先生や指導主事もみんなで行って、その場を見て、そのすばらしさに感銘を受けていました。その中で、もっと園の先生たちにやる気になってもらうためには、未来を感じてもらうことが大事だということを含めながら考えるきっかけがあったということは、まずもって大きかったと思います。
 それで、先ほど人の配置という話もありましたが、なかなか縁がない区もありますし、そういった訪問が充実していくというのもなかなか難しいとは思っているところなのですが、私自身は、今回貴重な経験を基に今ここにありますので、先ほどもお話ししたように、研究発表会の折には、園の先生たちも興味を持ってもらえるようには考えていきたいなと思っています。
 私が様々な上で働きかけてきた部分というのは、ビジョンを大きくしっかりと示したことがまずスタートです。子供たちが、コロナの中では与えられるまでやらないとか、そういうような子供たちが増えてしまったというところから、教えられることを待っているということから脱却しようというところを、メッセージとして学校経営方針の中で強く意識をしました。やはり授業が、園でいえば保育が、やっぱりそこは私たちの一番力を入れるところなのでというところで、小学校の45分間を大切しようということを、真ん中で常に言い続けています。
 年に3回、自己申告に伴って教員は授業をやりますが、全部の学級を45分間丸ごと見て、見た後に、この問いは、あなたが予定したものに合わせさせようとしているというようなところを含めて、問いの指導をかなりやっています。なので、これだと子供の活動は制限されてしまったりとか、発想が制限されてしまうよねというところを、一つ一つ丁寧にかみ砕きながら指導するというタイミング、そのタイミングを大事にしているのが私の働きかけの1つだなというふうに思っています。
 地域につきましては、保護者等も学んでいく必要があるんじゃないかと思っていまして、園との連携をする中で、今度5歳で卒園しますけど、その前に学校のことを話してくださいなんていうふうに呼んで講演させていただけるので、そのときには幼児教育の意義も話しています。
 また、江東区は、資料ではお出ししなかったんですけども、詳細にブロックが分かれていて、保育園も全部その中に含まれています。その中で、恐らく幼小中はほとんどの教員が集まるようになっています。区がそこでリーダーシップを振るっていただいて、この連携を大事にしているんだという強いメッセージを年に2回必ずやっているということは、私としては有効性が高い取組じゃないかなというふうに思っているところです。私としても、そういったところを生かしながら、学校経営を、小学校をよくしていきたいし連携を強めていきたいというふうに思っているところです。
 これでよろしいでしょうか。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。お三人の発表と、その質疑等で、一通り時間がたちました。本当に三、四分はありますけれども、一応ここまででよろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、本日はこの辺りとさせていただきたいと思います。
 ごめんなさい、古賀さんが手を挙げているの。
【古賀委員】  すみません、先ほどちょっと返答し忘れたというか、しそびれてしまったことがありまして、よろしいでしょうか。
【無藤座長】  はい。
【古賀委員】  ありがとうございます。何度もすみません。
 高橋先生のほうから、長期的な評価かなと思っていたんだけれどもというような、システムとしての活用のイメージはどんなものかという御質問があったことに返答しそびれておりましたので、少し補足させていただければと思います。
 評価というのは、そもそも私は長期的というか不断に行っていくものだというふうに思っておりますので、継続的な伴走型が理想というふうに考えています。それをシステムとしてやっていくというときに、ある段階的な展開というのを想定しています。例えば、第1段階として園の保育目標を要領指針を手に持って考え合うと。ピア評価者も入れて考え合うというようなことがあって、その目標を頭に置きつつ、第2段階としては実践を公開して指標を持ち合って一緒に保育を見合うというようなこと、そして、それをよりよくできるとしたらどんなところかというような考え合うことを、そこからちょっと時間を置いて、保育者もピア評価者も考える期間を取ります。第3段階としては、それをお互いにどんな感じで考えたかというのを見せ合いながら協議しつつ、もう1回、保育目標に照らして、実現可能な実践計画というのはこれからあるかなというようなことを考えていくというふうに、それからまたしばらく園の実践を進めていったところで変移を捉え直していくみたいな、ちょっと長期的なプロセスを踏んで評価を進めていくというようなことを頭の中では想定をしています。
 以上です。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。今のような追加的なのは、亀山さんからお願いします。
【学校法人七松学園】  すみません。秋田委員から、保護者に対するデジタルリスクのことについての質問がありました。ありがとうございます。
 園で取り組んでいることをできるだけ保護者にお知らせすることと、あとスクリーンタイムのことについてはよくよくお伝えしています。どのようなところの情報については触れさせないようにしているのか、また、実際に何時間とやられているか不安な方もいらっしゃるので、キッチンタイマーとかiPadの隣に置くようなこととかで時間の管理もしていますよというようなことをお伝えします。できるだけ園で調べているようなことを保護者に伝えることによって、園で調べるような活動をこのようにiPadを使っています、なので御家庭でもやってくださいという形で、デジタルリスク、どういうふうに学びに生かしていくかというところを保護者に伝えているところでございます。
 すみません、以上でございます。
【無藤座長】  ありがとうございます。さらに追加的なということはありますか。取りあえずよろしいでしょうか。
 それでは、本日はこの辺りにさせていただきます。発言時間が短く、この場で御発言いただけなかった御意見いろいろあると思いますので、それはメールなどで事務局までお寄せいただければと思います。
 最後に、事務局より連絡事項があればよろしくお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  次回の検討会は、資料4のとおり、5月28日火曜日の15時半から17時半を予定しております。議題などにつきましては、無藤座長と御相談の上、改めて御連絡をさせていただきたいと思いますので、委員の皆様におかれましては、引き続き御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤座長】  ありがとうございます。以前からお知らせしていたと思いますが、5月、6月ということでこういう議論の一区切りになりますので、6月は恐らく報告に向けてという議論が入ると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 そして、いろいろ論点等で不足しているとか、この点はというのも、多分あると思うので、その辺は、先ほど申し上げたように、直接事務局のほうにいろんな形で御連絡をお願いしたいと思います。
 それでは、本日予定いたしました議事、全て終了いたしましたので、これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――