今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会 (第5回)議事録

1.日時

令和6年3月21日(木曜日)15時 00 分~17時 00 分

2.場所

WEB開催(傍聴はYouTube Live上のみ)

3.議題

  1. 必要な条件整備について
  2. その他

4.議事録

【無藤座長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから、今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討委員会(第5回)を開催いたします。
 本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございました。
 本日の会議の資料等につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  本会議はZoomを用いたウェブ会議方式にて開催をさせていただきます。
 ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言事以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願いします。
 また、本日は、傍聴の御希望いただいた報道関係者と一般の方向けに本検討会の模様をYouTube Liveにて配信しております。加えて、報道関係者の方々から撮影及び録音の申出を頂戴しており、これを許可しておりますので、あらかじめ御承知おきください。
 本日の会議資料につきましては、議事次第にございますとおり、資料1から資料4まで、加えて参考資料1から4となっております。
【無藤座長】  ありがとうございます。
 それでは、早速議題1でございます。主な論点、参考資料1にありますが、その2、必要な条件整備について意見交換を行っていきたいと存じます。
 本日は意見交換を行うに当たり、3名の方からの御発表をいただくわけですが、地方自治体における幼児教育振興のための体制整備という観点から、札幌市、伊丹市、津市の3自治体からの御発表をお願いしてございます。まず、伊丹市からは木下教育長と矢田課長、札幌市からは本間指導主事、津市からは森教育長と村木様が御出席と伺ってございます。
 まず、事務局より説明を行った後に、3自治体より御発表いただき、その後に皆様との意見交換を行いたいと思います。
 それでは、まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  それでは、まず、参考資料1を御覧ください。ただいま無藤座長からも御説明があったとおり、本日の議題は、この主な論点のうち、2番の必要な条件整備、(1)3要領・指針を着実に定着実施するための具体的な方策や、(2)地域の幼児教育振興の体制の在り方が議題となっております。
 次に、参考資料2を御覧いただければと思います。こちらは前回の有識者検討会において3名の先生方から御発表いただき、その後に委員の皆様からいただいた御意見などを取りまとめたものです。幼保小の接続につきまして、資質・能力で捉えていくことや、環境を通して行う教育という教育方法により接続していくこと、また、それらを進めるに当たっては、幼児理解に基づく評価も併せて検討していくことが必要など、様々な御意見をいただきました。
 そして、次に、参考資料3、112ページから御覧いただければと思います。本日の議題に関連する調査結果を参考資料に追加させていただいております。円グラフがあるものにつきましては、円グラフを中心に見ていただければと思います。
 まず、幼稚園・幼保連携型認定こども園・保育所の教育・保育内容の主担当部署について。主担当部署を首長部局または教育委員会のいずれかに一元化している都道府県は34%、そのうち教育委員会に一元化をしているところは81%となっております。次に、市町村においては、一元化をしている市町村は72.9%、そのうち71.7%が首長部局に一元化をしています。このように一元化の部署につきましては、都道府県と市町村では対照的な結果となっております。
 次に、公立幼稚園及び幼保連携型認定こども園の施設数の推移ですが、公立幼稚園につきましては減少傾向にあり、幼保連携型認定こども園への移行、赤色の部分になりますけれども、それらを除くと、より著しい減少傾向にあることが分かります。
 こちら左側の図から御覧いただければと思います。回答が得られた自治体からのデータになりますが、平成27年度以降、認定こども園化、統廃合、廃園などにより1,001園が395園に減少しています。また、右の図も御覧いただければと思いますが、こちらは今後5年以内の予定を聞いたものですが、現在、認定こども園化、統廃合、廃園の対象となっているのは現時点で346園あり、結果として153園になる予定であります。
 これら統廃合などの理由につきましては、上から順に、「域内の児童数減少に伴い施設の設置などを合理化するため」、「保護者の就労形態の変化に対応するため」、「市区町村の財政負担を適正化するため」、「民間事業者の経営を圧迫しないようにするため」となっております。
 また、下のグラフも御覧いただければと思いますが、公立幼稚園などの統廃合などの実施に当たっての懸念としては、上から順に、「特になし」、「質の高い幼児教育の提供及び発信」、「就園機会の確保」、「市区町村における保育人材の養成」、「幼児教育に係る実践研究の実施」などとなっております。
 そして、こちらは公立幼稚園の保育年数でして、左の図を御覧いただければと思いますが、保育年数が3年未満のところが全体の3分の1を占めている状況であります。
 次に、幼児教育センターの設置状況についても御紹介をさせていただければと思います。幼児教育センターを設置している都道府県は76.6%、市町村は5.6%になっています。市町村については、政令市だけで見れば、現在、8つの政令市が幼児教育センターを設置しておりまして、40%の設置率となっております。都道府県や市町村いずれも、設置状況の推移を見てみますと、着実に設置が進んできているという状況であることが分かります。
 次に、アドバイザーの配置状況についてです。幼児教育アドバイザーを配置している都道府県は91.5%となっておりまして、そのうち5人以上配置しているところが一番多くて、68.1%となっております。
 市町村につきましては、配置をしている市町村は47.5%で、そのうち1人配置が一番多く、20.5%というふうになっております。こちらも政令市だけで見れば、幼児教育アドバイザーを配置している政令市は17となっており、85%の政令市でアドバイザーが配置をされている状況になっております。
 幼児教育アドバイザーの勤務経験です。都道府県は、青色になりますが、一番多いのが幼稚園での勤務経験ということになっております。市町村では、オレンジのほうになりますが、保育所での勤務経験が一番多い状況になっております。
 こちら1つ飛ばさせていただきます。
 架け橋期のコーディネーターの配置状況です。都道府県では83%、そのうち5人以上配置しているところが一番多くて、27.7%となっております。市町村におきましては、配置が33.4%で、そのうち1人配置が一番多くて、21%となっている状況です。
 架け橋期コーディネーターの勤務経験ですが、都道府県、市町村いずれにおきましても、片仮名の「オ」のところになりますが、小学校が一番多く、続いて、「ア」の幼稚園、そして「ウ」の保育所となっている状況であります。
 これらの調査結果につきましては、本日の参考資料4でお配りをしております令和5年度幼児教育実態調査の抜粋となっております。この幼児教育実態調査は、本日より文部科学省ホームページにおいても公表しております。ぜひ他の調査結果につきましても併せて御参照いただければと思います。
 事務局から説明は以上となります。
【無藤座長】  ありがとうございました。
 次ですけれども、3つの自治体からの御発表をお願いするんですが、順番は伊丹市、札幌市、津市というふうにさせていただきます。それぞれ10分から15分程度ということでお願いいたします。
 まず、伊丹市から御発表お願いいたします。
【伊丹市】  皆さん、こんにちは。伊丹市教育長の木下でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 伊丹市は、人口20万人、2時間以内に日本のどこへでも行けるといったことが売りの大阪国際空港のある町です。私は平成24年(2012年)に教育長を拝命し、4期11年半になるんですが、その間、中学校給食の導入や土曜学習、コミュニティ・スクールの導入、学校の働き方改革、幼児教育改革など様々な改革を行ってまいりましたが、その中でも最も苦労し、最も時間を要したのが幼児教育改革です。これら全ての改革の根っこには、子供を幸せにしたいといった思いがありました。
  本市では、教育委員会が幼稚園・保育所・認定こども園など全ての就学前施設を一括所管するなど、様々な教育改革を実現してきましたが、一朝一夕になし得たものではありません。議会の理解が得られなかったり、保護者や関係者の理解に時間を要したりするなど、紆余曲折を経て、平成30年(2018年)にやっとなし得ることができました。
 幼児教育改革に取り組もうと思ったきっかけは、1つは、市長と私は従来から様々な教育課題についてよく話合いをしていたのですが、市長にまちづくりは人づくりからといった教育重視の姿勢があったことです。私も、子供は5歳までにその生涯に学ぶべきことを学び終わると言われていますように、5歳までの乳幼児期の教育は、その人の将来を左右するなど極めて大事な時期であり、基礎であるこの時期の教育を充実させたいという思いがありました。
 2つには、当時教育委員会には、公立幼稚園の先ほどありましたように希望者の減少に伴う統廃合という課題がありました。片や、市長部局には保育ニーズの増大に伴う待機児童の解消といった課題がありました。
 そして、教育委員会が所管しています公立幼稚園における園児の占める割合が、市全体のゼロ歳から5歳児の6.5%まで落ち込み、市全体の教育・保育を充実を図るためには、その他93.5%の児童を視野に入れる必要がありました。
 3つには、平成29年3月に幼稚園教育要領、保育所保育指針などが改訂され、育成すべき資質・能力が3歳以上の保育において、全ての就学前施設で同じ内容となり、さらに、幼稚園から高等学校まで貫かれたことがあります。
 このようなことから、平成28年(2016年)に市長を本部長に、教育長を副本部長とする幼児教育推進本部を設置し、オール伊丹体制で2年間をかけて様々な改革を総合的・計画的に推進する幼児教育推進計画を策定いたしました。
 その主なものは、1つには、5番目にありますように、国に先駆けた4・5歳児の保育料の無償化です。
 2つには、2番目にありますように、保育者の学びの拠点となる幼児教育センターの設置です。
 3つには、公立幼稚園の統廃合です。16園あった園を6園に統廃合したのですが、この件につきましては、議会や保護者の理解を得るのに多くの時間を要しました。
 4つには、保護者ニーズの高い認定こども園を新たに3園整備いたしました。
 5つには、公立幼稚園における3歳児保育や預かり保育の実施です。このことにつきましては、私立園の経営者に、経営に関わることでもあり、3歳児の定数などについて私立の経営者と何度も協議をいたしました。
 6つ目は、同じ教育機関で保育を進めるための幼児教育ビジョン及び幼児教育カリキュラムの策定などです。
 この幼児教育推進計画は、5年をかけて令和4年(2022年)に全て実現することができました。何度も何度も関係者と膝を交え話合いをし、教育委員会の思いを伝えていったことが実現につながったと思います。
 幼稚園・保育所・認定こども園の一元化については、令和元年(2019年)に実現することができたのですが、そのきっかけは、今申し上げました幼児教育推進計画を実効性のあるものにするためです。公私立や施設の別を問わず、市全体の幼児教育の質の向上を図るためです。
 そして、幼稚園・保育所・こども園を教育委員会が一括所管したことにつきましては、小学校以降の教育を所管しているのは教育委員会であり、子供の発達と学びの連続性を大切にしたいといった思いがあったことが1つです。もう1つは、幼児期から高等学校まで同じ教育観に基づく教育、具体的に申し上げれば、主体性や自己肯定感の育成を一貫して行いたいといった思いがあったことです。
 そのために、市長部局にあったこども未来部を教育委員会に移管し、全ての就学前施設を所管するとともに、放課後児童クラブやこども発達支援センターなど、子供に関する施策を教育委員会が一括所管することにしました。一元化したことで気付きましたこと等については、この会の中でもし話す機会があれば申し上げます。
 引き続き、担当者から御説明申し上げます。
【伊丹市】  失礼します。引き続き、伊丹市教育委員会事務局こども未来部幼児教育推進課長の矢田でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 本市の幼児教育における体制につきましては、教育委員会における所管一元化、幼児教育センターの設置、それから拠点園の配置となっております。
 再度、画面の共有をいたします。資料のほうは14ページありますが、ポイントのみを御説明させていただきます。
 私は、市内の公私立幼稚園に約20年ほど勤めまして、その後、平成26年から指導主事として教育委員会事務局で幼児教育に携わっております。これまでの約10年間、教育長とともに幼児教育改革に携わらせていただきましたが、常に感じておりますことは、幼児教育への理解を得ることの難しさでございます。
 幼児教育関係者のみならず、保護者や市民の方、議会への説明を何度もしてまいりましたが、数値化できない、成果が見えづらい、この幼児教育の重要性を何とか皆さんに知っていただき、幼児教育は大事だと思ってもらいながら、ともに子供を育ててもらうことが必要だと常々考えております。
 そのようなことからも、伊丹市幼児教育推進計画に基づき、平成30年に伊丹市幼児教育ビジョンやカリキュラム、そして、令和4年には『環境構成のてびき』を作成し、幼児教育の可視化をして共有してまいりました。これら3点セットは保育現場の先生方に御活用いただくとともに、市内小中学校にも配付をしております。また、概要版を作成して、保護者や地域にも配布をしておるところでございます。
 続きまして、教育委員会における所管の一元化についてですが、私からは具体的なメリットについて御説明いたします。
 まず、1点目は、幼児教育アドバイザーを中心に、公立、私立、施設の種別を問わず、市内の約90施設を毎年訪問させていただいておりますが、それによって市全体の幼児教育の実態を把握することができます。これは本当に大きなメリットだと感じております。
 具体的には、保育の実際を参観することで、課題や今後の方向性を見据え、研修企画や研究課題を考えたり、各園長先生方のお話から、子供の家庭背景、各施設の困り事や運営の課題などを知ることができ、施策に反映することができます。
 また、幼児教育部門を教育委員会に位置付けたことで、学校担当課との連携は当然のことながらスムーズですが、これまで所管をしてきた公立幼稚園だけでなく、保育所やこども園も含めて、また、幼児教育施設は子供の受皿としてだけではなく、教育として学校現場の先生方にも改めて認識してもらい、子供の発達と学びを共に確保していこうというような意識を共有することができます。
 現在、学校教育と幼児教育は一体となって教育委員会の中で様々施策を展開しておるところですが、例えば、コロナ禍のときには、教育委員会で対策本部を設置しまして、その後、小学校以上の学校と連動しながら幼児教育の対応も公私立の就学前施設を対象に様々対策してまいりました。
 また、本市では現在、教育DX推進指針というものを作成しておりますが、それにつきましても、学校教育だけでなく幼児教育も交えて、今、推進をしようとしているところでございます。
 続きまして、幼児教育センターについてです。本市の幼児教育センターは、幼児教育推進計画に基づき令和2年に開設をしましたが、研修や研究、アドバイザー訪問など様々しておりますが、保護者の相談や先生方の相談も随時お受けしているところでございます。
 また、本市幼児教育センターで大切にしておりますことは、各自治体とのつながりです。特に近隣の幼児教育センターをお持ちの西脇市、宝塚市、箕面市さんとは、オンライン会議を実施しておりまして、常に情報共有を図っておるところでございます。
 幼児教育センターでは、毎年、市内の施設を対象にアンケートを取って御意見を伺っておるところですが、つい最近集約した私立園の園長先生方の御意見をまとめておりますので、後ほど御覧ください。
 最後に、拠点園の配置についてです。拠点園につきましても幼児教育推進計画に基づくものですが、市内5ブロックに拠点園を1園配置しまして、拠点園を中心に地域ごとで幼児教育の質向上を図るものです。役割は①から③で、特に特別支援教育につきましては、にじいろ広場というものを設けており、月1回から2回程度、各拠点園で実施しているものです。
 各拠点園には、大型のトランポリンや揺れ遊具、巧技台など様々な運動遊具を取りそろえておりまして、個別の支援を必要とする子供と保護者、またその園の先生方にも参加いただき、思い切り体を動かして遊ぶ場となっております。
 子供の発達支援をしながら、保育者においては、支援が必要な子供における保育のノウハウを共有し、保護者におきましては、園の先生方とともに子供の実際活動する姿を見ながら支援の方向性を共有する場になっております。最近では、私立園の参加も見られるところでございます。
 拠点園ですが、この拠点園は保育の実際を学ぶ場です。そして、幼児教育センターは研修等を通じて専門性の向上を図る場でありまして、幼児教育センターと拠点園は、車の両輪となって市の幼児教育を推進しておるところでございます。
 本市の説明は以上でございます。委員の皆様から様々御教示いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤座長】  ありがとうございます。
 それでは、次に、札幌市よりお願いいたします。
【札幌市】  札幌市幼児教育センターの本間と申します。本日、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、画面共有いたします。
 改めまして、札幌市教育委員会幼児教育センター担当課、本間です。本日は、札幌市の幼児教育の振興を図る仕組みについてお話をいたします。
 まず、札幌市幼児教育センターの位置付けについてお話しいたします。幼児教育センターは、札幌市教育委員会の児童生徒担当部の担当課の1つとなっております。担当課長1名、指導主事6名、教育相談の補助等を行う会計年度任用職員5名で構成されております。
 このたび、教育委員会内の機構改革がありまして、令和6年度からは、幼児教育担当課と教育相談担当課幼児教育相談担当係の2課で幼児教育センターとして業務を推進してまいります。幼児教育を担当する指導主事は6名いるという現在の体制から変更はありません。
 私たちは所管しているのが市立幼稚園なんですけれども、市立幼稚園に係る業務のほか、私立の幼児教育施設や幼児を育てている子育て家庭・保護者等を対象に、札幌市の幼児教育の質的向上を図る様々な業務を行っています。
 これまでの幼児教育の振興を図る仕組みの経緯についてお話しいたします。札幌市教育委員会は、札幌の未来を担う子供に適切な幼児教育を提供するという観点から、平成17年に札幌市の幼児教育の進むべき方向を示す「札幌市幼児教育振興計画」を策定しました。
 その後、平成20年度に幼児教育センターを設置し、市立幼稚園の在り方検討等を経まして、平成23年度、市立幼稚園と市立認定こども園を、従来の幼稚園機能に加えて、幼児教育センターを補完する研究実践園として位置付けました。私立の幼児教育施設を幼児教育センターと研究実践園が支えるという仕組みをつくったというところです。
 札幌市には行政区が10個あります。そこの各区に1園研究実践があって、内訳としては、幼稚園が9園、認定こども園が1園となっております。
 研究実践園は、札幌市全体の幼児教育の質の向上を図る重要な役割を担い、これまで様々な事業を進めて、成果も上がり、私立の園との連携というのはとても深まりました。一方で、幼児教育を取り巻く状況というのは大きく変化しております。
 それらに対応するために、令和2年5月に「市立幼稚園の今後の在り方に関する方針」を策定しまして、次の10年間の新たなスタートを切り、現在に至っているところです。
 幼児教育センターと研究実践園の役割についてお話しいたします。幼児教育センターと研究実践園には、この図にありますように、5つの機能というのを置いております。仕組みですとか方針、全体的な、全市的な取組を推進するときには、幼児教育センターがこの5つの機能を中心に行っていきます。また、幼稚園教育要領を具現化し実践する研究実践園、ここと幼児教育センターが一体となって振興を図るというふうにしております。
 市立幼稚園長は、区幼児教育コーディネーターという役割を持たせまして、区内の連携や幼児教育の質向上に向けた取組を進めています。また、区幼児教育コーディネーターを補佐する役割として、園内人事により教諭1名を幼児教育支援員に任命しております。
 札幌市の幼児教育施設は、ここにもありますように、大半を私立が占めています。幼児教育の振興を図るためには、これらの私立の幼児教育施設と緊密に連携を図る必要があります。これまでも連携を取ってきたということになります。ちなみに、小学校の数は書いていませんけれども、小学校も197校ということで、ここと連携をしているという状況です。
 市立幼稚園は、自園の教育の充実のほか、先ほども申し上げました、幼稚園教育要領を具現化するモデルとしてこの5つの機能を推進し、公立園としての役割を担っております。
 では、5つの機能について簡単に説明いたします。上のほうにあります研究事業からです。札幌市の各幼児教育施設において適切な教育課程が実施されるよう、市立幼稚園または認定こども園が幼児教育に関わる普遍的な課題、それから今日的課題等についてテーマを設定して実践研究を行い、公開保育をしたり、研究の経緯だとか成果などをお便りにして区内に発信しております。
 研修事業については、幼児教育に関わる人材の育成、資質向上ということを目的としまして、幼児教育センターでは、公立・私立の園または小学校が共に研修できる機会というのを創出しております。研究実践園においては、市立幼稚園の先生が幼児教育施設や小学校に訪問して、テーマに沿った園内研修をコーディネートするという訪問研修という取組を行っております。
 ちなみに、幼稚園の初任段階における研修については、先ほども言ったように、私立の園がほとんどなので、初任者もほとんどが私立です。なので、私立の幼稚園の団体の研究員の皆さんと幼児教育センターが連携して研修の企画・運営に当たっているという実態もございます。
 次に、教育相談支援事業についてですが、子育てや就学に関わる幼児の教育相談を行っております。教育センターでは主に、年長児の相談、それから就学後の学びの場について手続を行う就学相談を行っております。研究実践園では、幼児や保護者が身近な場所で気軽に相談できる体制ということで、幼稚園を会場として教育相談を行っています。また、今、拡充ということで、幼稚園の場所以外にも相談場所というのをつくっているような状況です。
 また、私立幼稚園等からの依頼を受けて園を訪問し、配慮を必要とする幼児への関わりなどを助言する訪問支援というのも行っております。昨年度の各区の教育相談、年間3,000件、訪問支援は約1,100件、お子さんの人数でいくと4,192人が対象になって訪問支援を行ったという状況です。
 続いて、保護者等啓発支援事業です。幼児教育センターでは、保護者や乳幼児を持つ子育て家庭等を対象とした幼児教育講演会を実施したり、研究実践園では、未就学児の子育て広場、子育て講座を実施するなどしています。子育ての喜びを感じたり、乳幼児期に大切にしたい経験や情報等の発信を行い、家庭や地域の教育力の向上ということを目指しています。
 最後に、幼保小連携の推進になります。幼児教育センターでは、教育委員会内の関係課と連携し、幼小中高合同の教育課程研究協議会や研修運営に携わっているほか、幼保小連携接続に関わる発信をしております。また、区幼児教育コーディネーターである市立幼稚園長と幼児教育支援員が中心となって運営する区幼保小連携推進協議会の企画や運営の統括も行っております。
 この協議会については、その区の中にある幼児教育施設と小学校の担当者が一堂に会して、地区ごとの顔合わせですとか研修、引継ぎなどを行っております。そこの運営に当たっては、私立幼稚園や保育園の団体、それから小学校校長会、市の保育所から1名ずつ代表者を出していただいて、当日までの準備だとか当日の運営など、共同して推進する体制を取っているところです。
 最後に、ただいまお話ししてきたことについてどのような発信をしているかといったものをお見せしていきたいと思います。こちらは研究・研修事業に関わるものです。研究便りいうことで、テーマを基に、先生方が援助や環境の構成、子供の育ちなんかをこんなふうに考えているんだよということですとか、こんな効果的な関わりがあるんじゃないか、いつも考えているようなことなどをほかの施設のほうに発信しています。
 また、訪問研修というお話を先ほどしましたが、テーマを幾つか決めまして、子供理解、環境の構成、遊び、また、特別支援に関することということで、そこから選んでいただいて申し込まれた園に教諭が出向いて、研修コーディネートということをやっております。
 こちらは教育相談支援と保護者等啓発事業になります。幼児の教育相談というものを、今、このリーフレットでいくと市内10か所拠点となっておりますが、このように行っております。
 また、下のほうに『さっぽろっ子「学び」のススメ』というのがあるんですけれども、こちらは、小中もちょっと文言が違うんですが同じものを使っておりまして、この「まほうのかいわ」というキーワードで子供を見ていこう、子供を認めていこうと発信し、園と家族が思いを共通にして子供の育ちを支えるものとして活用しています。
 最後、こちらは幼保小連携推進協議会のちょっとした図なんですけれども、これに併せまして、令和3年度から令和5年度までは、市立幼稚園と市立小学校の1園ずつモデル園・モデル校に指定しまして、幼保小連携モデル園・校事業を推進してきました。札幌市にはたくさんの幼児教育施設・小学校があり、地域によってさまざまな実情がありますので、まずここから始めたらいいんじゃないかなみたいな提案や、園や学校の実情に合った事例を載せたハンドブックを作成したところでございます。
 簡単ではございますが、こちらが札幌市の幼児教育振興を図る仕組みについての説明でございます。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、最後ですけれども、津市より御発表をお願いいたします。
【津市】  皆さん、こんにちは。津市の教育委員会の教育長の森でございます。本日はこのような機会をいただきましたこと、大変うれしく思います。
 まず、私から、なぜ津市が架け橋プログラムという取組に力を注ぎたいと思ったのかということを中心にお話をさせていただきます。
 今、本当に先行きが不透明な時代だと思います。人口減少・少子高齢化、環境問題をはじめとする地球規模の課題、社会のつながりの希薄化など、様々な課題が頭に浮かびます。
 私は4年前の4月に津市の教育長になりました。まさにコロナ対応とともに私の教育長としての日々はスタートをいたしました。コロナ禍で様々な経験をし、前例がない中で様々な判断もしなければなりませんでした。そのとき特に感じたのは、人々の価値観、考え方の多様化、何が正解か分からないということでした。今、目の前の子供たちはこのような中を生き抜いていかなければいけない。この子たちにどんな力をどのようにつけていけばいいのか、そんなことを考えていました。
 そんなとき、令和4年5月12、13日に、全国都市教育長協議会総会・研究大会が3年ぶりに山口市で開催され、私、参加をしてまいりました。午後の分科会、教育行財政分科会で、初等中等教育局の幼児教育課幼児教育企画官から架け橋プログラムの話を聞きました。概要は次のようなものです。
 これまでの幼小のつながりは、段差をなくし小学校で円滑にうまくなじめることを目的としていた。しかし、今回は違う。幼児教育で育んだ力を小学校で伸ばすこと。そのために必要なのは、幼児教育と小学校教育の接続、教育課程を理解し合うことである。そして、認知能力と非認知能力、これをバランスよく育てることが大切である。特に非認知能力の大切さを話されました。
 そして、非認知能力の育成は幼児期からが大切で、将来の学力、人間関係育成のベースとなる。そして、実施する上で教育と福祉の連携がとても大切。おおよそこのようなことを話されたと記憶しております。
 自分はこれだとこのとき思いました。一緒に私と話を聞いていたお隣の四日市市の教育長が、「この取組やりたいな。でも、うちは幼児教育の全てが福祉部局の所管。残念や」と言っていました。自分はできる。公立幼稚園を所管しているから。保育所・こども園を所管している福祉部局、私立の幼稚園とも連携をして、津市の子供たちの非認知能力の育成に力を注ぎたいと思いました。
 私は帰って早速、津市PTA連絡協議会の総会、校長会、園長会などいろいろな場面で発信し、自分の思い、決意を話しました。教育委員会事務局内で幼稚園を所管する学校教育課、教育内容を所管する教育研究支援課、人権教育課の3課と福祉部局で自分の思いを共有しました。津市の教育委員でもある三重大学の富田教授にも協力をいただくことができました。
 取組内容は、この後、幼児教育担当の村木からお話をしますが、津市の取組の売りは、公立・私立を問わず、就学前の教育・保育の関係者と小学校教員が子供の姿を起点に楽しく語り合い、学びを深めていることです。楽しく語り合いが進んでいることで、小学校教員の幼児教育への理解が進んでいると感じています。また、幼児教育の取組、その足元を見る機会にもなっていると思っています。
 課題、難しいことも多いですが、何よりも、推進をしている私たち事務局が楽しくやりがいを持って取り組めていること、これもいいかなと思っております。
 それでは、詳細を村木からお話をいたします。
【津市】  こんにちは。津市教育委員会学校教育課幼児教育課程担当の副参事の村木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、画面共有させていただきます。
 私からは、津市架け橋プログラムの具体的な取組を通して、津市の幼児教育について御説明させていただきます。
 先ほどの教育長からの説明にもありましたように、津市では、これからの社会を生き抜いていくために必要な力を育成し、生涯にわたる人格形成や非認知能力の基礎を培う幼児期の共有が極めて重要であることに着目しました。また、進んで環境に働きかけ、環境との相互作用を通して子供たちが学び育つ幼児教育と小学校教育の接続に取り組むことで、小学校の授業改善、つまり、主体的で対話的で深い学びの実現につなげられると考えました。
 そこで、令和4年度から6年度、津市架け橋プログラム集中取組期間として、大きく3つの柱を掲げ、取組を進めてまいりました。
 1つ目の柱は、津市が目指す方向性を示し、施設類型、設置者、学校種を越えて気軽に話せる関係を構築するということです。まず、令和4年度には、津市架け橋プログラムの基盤づくりとして、幼稚園25園及び小学校50校を所管する教育委員会事務局と、保育所40園、認定こども園23園を所管する健康福祉部において、事業を進めるための体制づくりを行いました。
 また、教育委員会事務局内におきまして、幼稚園所管課だけでなく、小中学校所管課や人権教育所管課も含め、全員の指導主事が架け橋プログラムについて共通理解を図る状況をつくり出すため、定期的に合同研修会を行ってきました。
 さらに、教育委員会事務局と健康福祉部にそれぞれの幼児教育アドバイザーを置き、就学前教育の横のつながり、幼小の縦のつながりをしっかり結び付ける役割を担い、学識経験者や公私立の園及び学校の代表等で構成された津市架け橋期カリキュラム在り方検討委員会や津市架け橋期カリキュラム検討ワーキング会議を開催したり、公私立の園長会や校長会及びPTA連合会への取組の周知を行ったりしました。
 また、令和5年度からスタートした「津市教育振興ビジョン後期基本計画」の重点施策の1つとしてや総合教育会議において津市架け橋プログラムを議題とするなど、津市全体で取り組んでいくという気運の醸成を図りました。
 2つ目の柱は、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を手がかりに、子供の姿を起点に楽しく語り合い、学びを深めるということです。令和5年度は、小学校と施設類型が違う連携する校・園が、4つのタイプに分かれたモデル小学校区でカリキュラムの作成を行うとともに、令和6年度には全ての小学校区で実施することを踏まえ、モデル小学校区の取組を全体に発信・還元する取組を進めました。
 モデル小学校区には、令和5年度から増員した架け橋サポーターをはじめ、幼児教育アドバイザーや小中学校担当を含む指導主事、そして、令和4年度のワーキングメンバー等が支援を行い、目指す姿、育てたい資質・能力等を検討し、3つの柱として、1、各小学校区の子供の実態共有、2、エピソードを基に動画や写真等を使って楽しく語り合い、3、資質・能力をつなぐカリキュラムの作成に取り組みました。
 この楽しく語り合うということについては、三重大学の富田教授から、架け橋プログラムは楽しさ、手軽さ、ラフさをキーワードにと御助言いただき、持続可能な取組となるよう、津市では合い言葉のように大切にしてまいりました。また、令和5年度には、学識経験者の方を講師に研修会を4回実施し、うち1回は奈須先生にも御講演いただきました。ありがとうございます。
 モデル小学校区の合同ワーキングでは、市内全ての小学校及び園からの参加を促し、令和6年度からの実施に向けてイメージが持てるように働きかけました。さらに、モデル小学校区で公開ワーキングをするとともに、架け橋サポーターが「かけはし通信」を随時発行し、全ての小学校区において架け橋プログラムが身近な話題となるよう努めました。
 今年度、モデル小学校区の教員からは楽しく取り組めばいいと言われ、そんな悠長なことを言っていていいのかと思いましたが、実際に取り組んでみて、子供の姿を中心に据えて語り合いを積み重ねることが、実は遠回りに見えてそれが近道だったという気付きから、架け橋からスタートする授業改善を行い、子供が主体的に学びに向かう姿に変わっていくことを実感し、授業が楽しくなったという報告がありました。
 3つ目の柱は、幼保小の教育のつながりを意識した活動が主体的・対話的で深い学びの実現につながることを意識するということです。さきにも御説明しましたように、本市では現在、前回の有識者検討会の際に奈須先生が御説明された情報技術パラダイムの授業が、全ての学校で全ての教員により実施されることを目指しています。
 架け橋プログラムを学校全体の取組とし、幼児教育の中で行われている環境を大切にした学びが小学校の授業においても展開されるよう進めているところです。これは楽しさ、手軽さ、ラフさを意識して、作成したあるモデル小学校区の架け橋期カリキュラムです。すいません。画面のほうが変わらなくて申し訳ないです。
 津市では、カリキュラムを作成することが目標ではなく、とにかく写真や動画等を使って語り合うことを大切にしています。各モデル小学校区でカリキュラムを幼小が協働して作成する段階になると、途端に楽しさを感じにくくなるようでした。
 津市全体に架け橋を広げて持続可能な取組にするために、まずは、カリキュラムを楽しくつくるところからのスタートです。カリキュラムに表し切れないエピソードを楽しく語り合ってきた過程や、架け橋を取り組んだことによる教職員の意識の変容、子供を見取る目を養うことを大事にし、毎年更新していく持続可能なカリキュラムとしています。
 こういった目には見えない変容を明確にするため、公私立の幼稚園・保育所・こども園の園長、小学校の校長にアンケートを取った結果を検証しているところです。
 モデル小学校区の教員からは、津市架け橋プログラムは、やらなくてはいけないからやるものではないということが分かった。その理由は子供理解の大切さです。様々な場面で子供がいろいろな思いを持っていることを授業に生かすこと、自分たちの授業を問い直すことの大切さを改めて感じましたという声が届いております。
 架け橋プログラムを進める中で、幼児教育が注目を浴びました。これまで、非認知能力は伝えにくく、小学校の準備教育と思われることもありましたが、津市の教育行政の中にしっかり幼児教育が位置付けられ、小学校や中学校の先生からも、「幼児教育は大事や・こんな学びがあったんや。すごい」と言っていただくことも増えました。
 そして、教育長が、幼稚園や保育所、こども園、小学校、PTA連合会等の様々な研修会の場で幼児教育の重要性を熱く発信していただくことが、津市の幼児教育に携わる私たちにとって、架け橋をやろう、そのために遊びを通した主体的な学びを大切にした幼児教育を充実させよう、そして、子供の資質・能力をしっかり語れるようにと、私たちがやっていかなければというモチベーションへとつながっています。
 本市の架け橋プログラムは、今年度、モデル小学校区での実施を始めたばかりのまだまだスタート段階ですが、来年度は、市内全ての小学校と幼稚園、保育所及び認定こども園に広げ、じわじわと楽しく取組を進めてまいります。
 課題の1つとしては、私立の園との連携が挙げられますが、公立幼稚園がつなぎ役となり、全ての子供たちの学びが小学校につながるよう、そして、小学校以降の取組にもつながっていくよう、楽しく一丸となって進めているところです。
 ささやかな取組ではございますが、御清聴ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、今、3自治体から御発表いただきましたので、その内容を踏まえて、60分、もう少しぐらいですかね、ございますので、その時間での意見交換と質疑応答をしたいと思います。
 そして、伊丹市、札幌市、津市の皆様方もこの有識者検討会の最後まで御参加いただけると伺っております。皆さんへの御質問、さらにお伺いしてみたいことなど、また、御発表を踏まえての御意見などをいただければと思います。御質問については、3つの自治体の担当者の方にまとめて最後にお回ししますので、適宜、その時間にお願いいたします。
 そして、毎回でございますけれども、多くの委員の皆様方の御意見をいただくために、お一人3分程度ということでよろしくお願いいたします。何とか全員の発言につなげたいと思っております。いつものとおり、手を挙げるボタン押して、順番に御指名させていただきます。私から全体が見えないときがあるので、その場合には事務局からプッシュしていただければと思います。
 そして、尾上委員が先に退出されると伺っておりますので、最初に、尾上委員、よろしいでしょうか。
【尾上委員】  すいません。私、この後、当法人の理事会が控えておりますので、御無礼をお許しください。
 まずもって、3つの自治体の方の御説明、本当にありがとうございます。また、伊丹市、津市さんにおきましては、教育長自ら御覧いただいたことに本当に心より敬意を表する次第でございます。
 伊丹市さんについては、まず、ゼロ歳から就学前までの幼児教育を視野に入れた全ての施設の資源化という、まさに自ら幼児教育改革と銘を打たれて、市長と教育長とトップ同士が一丸となって、いわゆる部局もワンチームとなってこのことに当たってそういうことを実践されておることに、本当にすばらしいことだなと。なかなか、口で言うのは簡単ですけれども、実際に行うということは相当の御努力、御苦労があったのではないかと本当に改めて敬意を表します。
 何よりも、私どもといたしましては、ゼロ歳から就学、教育までの一貫した教育ということが実践されることに本当に喜びを感じるところでございます。
 また、8ページにおきまして、お取組のアドバイザー訪問についてとか、センターの研修について、現場の私立園の声ということで、幾つか載せておられて、大変現場にとってもこのアドバイザー訪問とは非常に有用であるという現場の生の声も聞かせていただいて、まさにそのとおりだなと思っております。
 その中で、特に発達支援につきまして、環境の調整とか個別最適化とか、そういう具体的な取組について本当にすばらしいなと思いました。幼小接続という点においても、インクルーシブ教育ということについては、共に学び合う共生社会の担い手を育成する教育の在り方というのは、この会議でもしっかりと保育や授業というものがイメージできるように議論の必要があると思っておりますので、そういった点でもいろいろな御教示いただいたのかなと思っております。
 また、札幌市さんにおきましては、本当にすばらしいことばかりで、時間がないので一部だけ触れますが、7ページに御紹介がありました、訪問研修の具体的な案内が示されておりました。これは本当に現場の人とか保護者にとっても分かりやすいなと率直に思いました。
 幼児教育センターがどのような支援をするのかが分かりやすく、特にアドバイザーが各園の保育を訪問されて、否定して主張されるというのではないかというと、過去の経験値から、現場はそういうところも心配があるんですが、その誤解を解く一つ大きな資料になっておるんじゃないかなと思って、参考にさせていただきます。
 最後、津市さんにおいても、並々ならぬ熱意の下に、教育振興計画に架け橋プログラムを重要政策と位置付けるということで、非常に高い取組が期待されておられますし、実際そうなっていくものだろうと私も思いますし、さらに、その実効性の高さが表れておるというふうに感じました。
 教育要領で示したものが実際の行政の中に本当に位置づき、主体的・対話的で深い学びの実現へ向けたお取組としてすばらしいことだと思っております。
 最後に、まとめではございませんが、やはり要領指針をはじめとした3法令にきちんと示すことが、今、3つの自治体のような取組につながるということが私としては理解できました。このような事例、私自身の自治体も含めて、全国的に展開されるように私自身も努力し、また、関係者のお力もいただきたいと、かように思った次第でございます。
 本当に、改めまして、3つの市の皆様、ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。3自治体の取組をいかに今後全国的に展開するか、要領指針へのさらなる書き込みを含めてということでまとめていただいたわけでございます。
 それでは、次は御自由に順番に手を挙げていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。鍋田委員、挙手いただきました。お願いします。鍋田委員、どうぞ。
【鍋田委員】  3市の皆様、今日はありがとうございました。資料も大変参考になりますし、生の声で熱く思いを語っていただいたというところで、子供たちのために皆様が一丸となって取り組んでいる様子がよく分かりました。ありがとうございました。
 横浜市は、大変規模が大きい自治体でございまして、一元化というところでいいますと本当に夢のようだなと思って見させていただきました様々な地域によっていろいろな事情がある中で、こういった一つ一つの取組、どんなことができるのかというところでは大変学びになっております。
 お伺いしたいのですが、伊丹市さんでは拠点園があるということですが、その中で地域と連携するときにつなぐ役割という方はどのような方がされているのかとか、あとは、津市様の方でも架け橋サポーターという名前がありましたけれども、どのような人材なのかというところ、また、それぞれのそういった方をどのように育成されているのかというところはお聞きしたいと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。御質問がございましたけれど、後ほど最後の方でお願いします。例えば拠点園で実際につなぐ役の方はどういう方であるかとか、津市においてはサポーターですね。それから、その育成に関わってどういうことなさっているのかというところで、多分札幌市も関わると思うので、お答えの中に適宜入れてください。
 それでは、いろいろ手を挙げていただいて。順番に行きます。若山委員、田中委員、岸野委員、高橋委員ですね。若山委員からどうぞ。
【若山委員】  若山です。よろしくお願いいたします。私からは、3市の取組、ありがとうございました。伺って考えたことを三つお話しさせていただきたいと思います。
 まず一つ目は、今回の3市の御報告から、子供が実際生活する場としての地域に根差した乳幼児教育の有効性というものを思いました。幼稚園や保育所、認定こども園などは、固有の地域的基盤に立脚して実践を行っているものであったと思います。その地域ごとに地理的・社会的な固有な状況があるものですから、そこで育つ子供のための乳幼児教育の実践もまた固有の特色を持つものとなっていくと思います。
 今回御報告いただいた3市では、伊丹市さんの方では「愛情、自然、ことば」、札幌市さんの方では「まほうのかいわ」、津市さんの方では「愛情のシャワー」など、地域ごとのキーワードが掲げられていました。これらのキーワードはそれぞれの市で実際育っていく子供の姿を地域が捉えて、その実態に応じて生み出されたワードだと思います。それらの地域から生み出されたワードに基づく乳幼児教育に関するカリキュラムとか、それらに基づく地域での多様な実践が子供たちを育てていくものであることはこれまでのカリキュラム研究の歴史からも明らかだと思います。そうした地域の乳幼児教育の有効性について改めて学ばせていただきました。
 そして、二つ目は、地域の様々な専門家や関係者が集まって、地域の子供の発達保障と援助をめぐる問題状況を認識したり、課題を共有したりすることの大切さも学ばせていただきました。津市の御発表にもあったように、先生方が、子供の育ちの理解や教育計画の作成を1人で行う難解な作業として認識するのではなく、みんなで共有して取り組む、何だ、楽しいことなんだと感じることはすごく大切なことだと思いました。まずは子供が育っている姿を実際に持ち寄って、そのエピソードをみんなで楽しく語り合う。それによって、地域の子供たちや家庭の実態を把握して理解していく。子供が育つ姿を話の中心に据えて、みんなで一緒にこれからの地域の教育の在り方を考えていくことはやはり楽しいことなんだと思います。そうした楽しさからその地域独自の子供に寄り添った乳幼児教育や小学校教育の実現がなされていくのだと感じました。
 最後ですが、地域の取組の評価を行うことの重要性です。札幌市の御発表の中に幼児教育センターと研究実践園の五つの機能についての話がありましたが、そこに幼児期にふさわしい生活や今日的課題等に関する実践研究と成果の発信というものがありました。また、伊丹市さんの御発表では、幼保小接続期モデルカリキュラムの積極的な活用が見られなかったという課題が述べられていました。地域の乳幼児教育や接続期のカリキュラムがしっかりと保育者や教師、子供の活動を通して達成されたかどうかを評価することで、カリキュラムの改善につながり、より一層の教育成果の向上が期待できると考えます。地域ごとに作成されたカリキュラムをどう評価するかも視点として重要だと気付かされました。
 以上です。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。重要なポイントを三つ出していただきました。それぞれの自治体の地域ごとの特徴をどう生かし、そこから発信していくかということと、そこでの関係者、専門家が集まって子供たちの育つ姿を語り合いながら意味あることにしていくということと、最後の、取組の評価をどうするか。いろいろな具体的な課題が見えてきたわけですけれども、それをどういうふうに取り上げていくかという、これは本検討会としても非常に重要な課題になっていくと思います。ありがとうございます。
 それでは、岸野委員、お願いします。
【岸野委員】  失礼します。岸野です。よろしくお願いします。本当に三つの自治体の皆様、報告をありがとうございました。いずれも教育長様の熱い思いも交えながら、先進的に取り組んできたことをお聞きできて大変参考になりました。幾つか改めて感じたことや考えたことを質問も含めて四つ申し上げたいと思います。
 一つ目に、教育行政の組織改編についてのことです。伊丹市では首長部局のこども未来部を教育委員会に移管したということでしたが、これによって、幼児教育と小学校教育の接続という点では、施設者や施設類型がどのような場合であっても、小学校以降の教育とのつながりの中で教育施策を展開することが実現できたのではないかと思います。多くの自治体で様々な形で一元化が進められつつあると思いますが、少なくとも接続や幼児期の教育の内容については教育委員会に一元化されていくということが望ましいのではないかと改めて感じました。
 二つ目に、公立幼稚園の改革についてです。私の関わっている自治体も含めて、今日実態調査の報告にもありましたが、地域によってはやはり公立幼稚園が減少してきている現状があるかと思います。一方で、多くの公立幼稚園ではこれまで園内研究の推進や自治体の研究指定等を通して様々な実践研究や公開保育研修などを担ってきた歴史や文化があるかと思います。それを考えると、小学校との接続や、地域全体で幼児教育の質の向上を図る上では、伊丹市のように、社会のニーズを踏まえて、3年保育や預かり保育等も実施しながら、発展的統合という形で状況によっては保育所と統合して認定こども園という形で存続させ、拠点園として役割を担っていくということが重要だと考えました。公立幼稚園がこれまで培ってきた取組を生かしつつ、保育所や私立園にもまたそれぞれの歴史や文化もあると思いますので、そういったものにも配慮しながら、地域の園や小学校との結節点として機能し、地域の幼児教育の質の向上や幼小接続を図っていくよう改革を進めていくということが重要だと改めて思いました。
 三つ目に、公立園のアドバイサー機能についてです。これはコメントというより質問になるのですが、札幌市の方では公立幼稚園、こども園の園長が幼児教育コーディネーターを担うということで、これについては、私の関わる自治体でも、こちらは公立私立施設類型問わずですが、やはり園長などの管理職が市町の幼児教育アドバイザーとして訪問するという形を取っていますので、共通するなと思いました。実践研究を重ねて、こうした力量豊かな先生たちが、支援だけでなく、こうして地域にも働きかけていくことが重要だと思います。一方で公立幼稚園やこども園の教諭が幼児教育支援員として訪問支援を行うということが書かれていたと思いますが、こういうことができたらいいなと思いつつ、なかなか現実的には自園のことで精いっぱいで人員的な難しさもあるのではないかなと思うのですが、例えば加配のような形で各園に配置されているのかとか、訪問の件数もかなり私立園が多いようでしたので、もう少し実際の運用についても後ほどお聞きできたらありがたいです。
 最後、四つ目に架け橋プログラムについてです。どうしても担当部局だけで進めて、担当ごとに閉じてしまうということが起きがちだと思うのですが、津市の取組では担当部局だけでなく、教育委員会全体、また、市全体で取り組んでいくために様々な研修等も行われているということですばらしいと思いました。また、先ほどもありましたが、カリキュラムを作るということが、作るのが目的ではなくそのプロセスに重点を置いていて、子供の姿を基に楽しく語り合うということを大事にしているのも、やらされ感で行うのではなく、先生方が主体的に取り組んでいくことを支えている上で重要だなと思いました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。行政的な対応としての三つぐらいですね。市としての行政的な幼保、こども園などへの対応、どういうふうにまとめていくかというようなこと、そこでの内容的な統一を図ることですね。2番目は、特に公立幼稚園の実践的な研究機能を生かすということの場合に、どうそれらを発展、統合しながら生かしていくか、残していくかという問題。3番目は、最後の架け橋のことで、津の試みのように市全体にどう広げていくか、また、そこでカリキュラムを作っていくプロセスを大事にして、より保育者、教員が自ら進んで行うところを進めていくということですね。
 そして質問は、特に札幌市のアドバイザーに関わって園長がなさると。それに対して支援員を教諭がするということについては、特に、園長はともかく、教諭の場合になかなか自分のところを離れるということが難しい場合が多いので、そこは何か配慮があるかという御質問で、これも最後にお答えいただきたいと思います。
 それでは、たくさん挙がっていますが、田中委員からお願いします。
【田中委員】  よろしくお願いします。田中です。伊丹市さん、札幌市さん、津市さん、それぞれ、幼児教育センターと拠点園が車の両輪となってという説明もされていましたが、機能している、そういったすばらしい取組から学ぶべきことがたくさんあったなと思います。
 今出てきたお話の中で、幼児教育センターによって全ての幼児教育施設の状況が把握できているというようなお話があったと思いますが、非常に意義深いなと思います。保育園とかこども園でされている監査というのがあると聞いているんですけれども、それだけではなかなか教育が教育としてよりよくならないのではないかという意見もこれまでも出ていたかと思います。身近なところでも、その対応では教育としての充実にはなかなか向かいにくいのでということで、実際に保育を見るとか、保育を公開するとかということを併せて取り組まれているような状況があります。
 つまり、書類が整っているかどうかも大事だとは思うんですが、それだけでは質の高い幼児教育がなされているかどうかという判断はできないと思います。保育の質向上には、やっぱり実際の保育を見合うことだとか、保育を通して学び合う、そういう機会が保障されているということが大事だと考えます。全ての幼児教育施設が保育を公開することが望ましいと私は思うんですけれども、なかなか急にはできないということがあっても、今日御報告いただいたように、まず拠点園が保育を公開して地域の質の向上に寄与する。そういう役割を実際に公立幼稚園が担うということが様々なところで取り組まれているということが御紹介いただけたと思います。
 そういうことを思うと、冒頭の参考資料3で説明されていた、手元で見ましたら116ページに示されていたと思うんですが、公立幼稚園の統廃合等の実施に当たっての懸念点で最も多いのが「特になし」という、市町村の認識が紹介されていたかと思います。「特になし」というこの認識と、それから、本日御発表いただいた伊丹市、札幌市、津市さんとの認識の違いに何か大きな危機感を感じるなということを思います。地域全体の幼児教育の質の向上には拠点園の存在が不可欠だろうと思いますし、その役割を現在実際になっている公立園という地域における幼児教育の財産といいますか、そういう価値をしっかり見直すべきではないかと考えます。
 一方で、私立園もすばらしい保育をされているところはありますし、公立園のない地域があって、そこではそういう園がそういう活躍を期待されると思いますので、公立園のない地域において、こういう架け橋プログラムとかそういうことをどのように進めるのかということも考えていかなければならない問題ではないかと思います。
 最後に、今後の幼児教育と小学校教育、つまり、初等教育の充実を考えたときに、この幼保小の架け橋プログラムの取組は非常に重要だと思っている幼児教育関係者は非常に多いんですけれども、それに対して小学校教育関係者で同じように思っていらっしゃる方の割合は格段に少ないんじゃないかなと感じています。津市さんが紹介くださったように、小学校の先生方がそのよさを実感できるようにするような取組が期待されると思うんですが、そこには、幼児教育センターと行政の皆さんに大きく期待させていただいているなと自分は思います。特に小学校の先生の巻き込み方で苦労されているお話をよく聞きますので、この点について、各市で特徴的な仕掛けといいますか、仕組みといいますか、そういうものがございましたら、御紹介いただきたいと考えます。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。全ての施設状況を、特に幼児教育センターがある場合にはそれをとして把握していくということで、単に監査というだけではない、プロセスの質に行くということと、また、その中で拠点園が重要な働きをするし、公開等で役立つということであるけれども、私立園の場合には拠点園方式なのかどうするかということでの工夫はどうかと。3番目のところは、今後、架け橋と幼児教育と小学校教育を合わせたときに、小学校側の認識、理解、熱意をどういうふうにしていくかでそれぞれの市でどうなさっているかという御質問だと思います。
 それでは、次に行きたいと思います。高橋委員、お願いします。
【高橋委員】  高橋です。3自治体の御発表ありがとうございました。とてもすばらしい取組であると認識させていただきました。ありがとうございます。地域で一体となって幼児教育の質の向上をしていくこと、小学校教育から中学校教育までを見据えて地域全体で教育力を高めていこうという取組を拝見させていただきました。ありがとうございます。
 その中で、公立幼稚園が地域の教育力になっていること、私立幼稚園、保育園の枠を超えて研修や公開保育を実施して、地域内の幼児教育の質を一緒に向上していくための役割、リーダー的な役割を果たしてきたと思っています。また、公立幼稚園の研究や研修に裏付けられた実践と知見や経験の積み重ねがほかの教育施設の教育の質の向上に役立てることができるような体制やシステムの構築が、私たち公立幼稚園にとっても地域のつながりを深めるとともに学びになりますし、公立幼稚園が果たすべき重要な役割であると認識もさせていただいております。公立幼稚園とこども園の存在意義があるということもありがたく思います。
 さらに、小学校も巻き込んだ地域でのつながりのハブとか、それから、拠点としての役割も重要であると思っております。発達と学びの連続性を架け橋プログラムを活用して地域の教育力を培っていくということができると思いました。発表では、県や市での大きな地域での実践発表を拝聴させていただきましたけれども、小さな地域でも取組がたくさんのところで見られています。例えば地域の就学前教育施設に声を掛けて一緒に研修に取り組むとか、先ほどおっしゃってくださった、公開保育をして保育を学ぶ機会を設けるとか、あと、サロンを開いて保育の悩みや保護者の対応などの話をざっくばらんに楽しく話をする場の提供をするなどの取組も方々で見られるようになりました。また、公立幼稚園、こども園の幼児教育から小学校の授業改善へ生かしていこうという取組も、津市様と同じような取組をする地域も見られています。
 また、ゼロ歳から未就園児の親子での活動を長年積み重ねてきている園もありますし、伊丹市様の0歳からの発達と学びというところが大事な視点かなとも思いました。また、地域で特別支援を持つ保護者の相談や就園の受入れも積極的に行っている実践も園で見られています。札幌市様の先生方も、共同で特別支援の本なども出版されていて、参考にさせていただいております。御発表にもありましたけれども、発達と学びの連続性において教育的視点での0歳からの乳幼児教育が重要であること、それから、保護者のニーズに応じた満3歳児保育の重要性も一段と高まっているのではないかと思いました。
 先ほど事務局の方から公立園の減少ということがありましたが、ニーズに合っていないからという要因もあるのかと考えますけれども、伊丹市さんの推進している3年保育とか預かり保育、バス、給食などを行っていくことで、今までの地域の幼児教育の振興のためにあった公立園を存続させていく、役割を果たしていくというふうなことで考えられるのではないかと思っています。
 また、公立幼稚園とこども園の人材が地域の乳幼児教育や子育て支援など様々な取組の一翼を担ってきていると思いますし、そのような取組を支える人材育成をしていくことがこれからも重要であると考えています。例えば幼児教育アドバイザーの輩出、それから、指導主事の輩出もさせていただいていることから、専門性豊かな保育者の人材育成を地域全体でしていくことも大事であると思います。
 あともう一つ、やはり御発表からもありましたが、行政の在り方、教育委員会の乳幼児教育の重要性と価値をさらに認識を深めていただいて、このような市での取組が円滑にできるといいなと思いました。
 以上でございます。
【無藤座長】  ありがとうございます。特に公立幼稚園が重要な役割を果たし得るという辺り、また、その条件として、3市で工夫されている点をいろいろと御指摘いただきました。それから、公立幼稚園などが拠点として機能して、特にそれ以外の保育所も民間園もたくさんありますけれども、それらまで巻き込んでいく、さらに小学校につなぐというハブの役割を果たすということですね。その際には、従来の幼稚園としての3歳から就学前に加えてのそれ以前についてどうしていくか、0から就学前までの発達の連続性をどう踏まえるかという点、また、それに対して行政としてどう対応していくかということも御指摘いただきました。ありがとうございます。
 それでは、鈴木委員、よろしいでしょうか。
【鈴木委員】  鈴木です。よろしくお願いいたします。3自治体の皆様、本当にありがとうございました。熱い思いと、それから、非常に充実した内容を教えていただいたことの感謝は、ほかの委員の先生方と同じです。どうもありがとうございました。
 どうしてもこれまで架け橋というと、幼児教育施設と小学校の教育をつなぐというそういう視点で、その中での子供理解であったり、教育の変容であったりということが多く語られてきていますけれども、今回保護者への発信というところで私はとても感動しました。発達に関する悩みを持たない家庭であっても、保護者への発信というところが非常に幼児教育観の理解や変容、それから、地域で子供が育つということの意味みたいなことにつながっていくのかなと思っています。
 それで、幼児教育観の理解が例えば進んだとか変容したとか、そういうようなことがもしあれば、保護者への発信の条件整備、今回は例えば「愛情、自然、ことば」であったり、「まほうのことば」であったり、「愛情のシャワー」であったり、キャッチがありましたけれども、何か発信するヒントというか、そういうようなものがあったら教えていただけたらなと思います。よろしくお願いいたします。
【無藤座長】  ありがとうございます。架け橋について、幼児教育と小学校教育をもちろんつなぐためですけれども、それをどう広げていくかということ、またさらに、保護者への発信をどう進めるかということでこの3市が工夫されている点ですね。そこで、幼児教育をより深く理解してもらう、また、地域での育ちとつなぐというためのやり方なりヒントなりを更に加えてほしいということでありました。
 それでは、坂﨑委員、お願いします。
【坂﨑委員】  坂﨑でございます。3市の皆様、本当にありがとうございました。今後の都道府県の幼児教育センターや、また、架け橋プログラムをどうやって進めていくかということにおいて大変役立つ発表と資料だったと考えます。感想をそれぞれに少しだけ述べたいと思います。
 伊丹市における教育長様の御労苦は大変感銘を受けました。自治体の中でこういうことを進めていくということは、私も青森県で幼児教育センターを作るのに5年掛かりましたので、そういう意味では非常に同じ思いで聞かせていただきました。
 札幌市につきましては、札幌市の発表を聞いて、北海道は、北海道も幼児教育センターが非常にすばらしい取組をしています。そうすると、いわゆる道と中核市であります札幌がこのような質の高い向上の幼児教育の考え方を進めていくというのは、各都道府県において大変参考になるものではないかと思いました。
 津市様でございますが、実は私、昨年11月に津市で保育団体の講演をさせていただいたときに、津市の架け橋は相当進んでいるんだという発表をいただきまして、今日そのお話を、中身を聞かせていただきまして、不勉強にも程があるなというほど津市様が一生懸命頑張っていることに感銘を受けました。
 それぞれ各市だと思いますけれども、都道府県との調整とかそういうことも含めて、自治体がこの架け橋プログラムにおいてはそれを進めていく大きな役割を担うということになりますが、皆様方を参考にして進めることが望ましいのではないかなと思います。
 簡単な質問ですが、伊丹市や札幌市さんの架け橋プログラムの近況について少しだけ、また、津市さんは、幼児教育センターとして進めているのか、中にあるのかどうかについても、私の聞き逃しかもしれませんから、それをお知らせくださればと思います。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。幼児教育センター作る努力、苦心ということと、都道府県と市との関係どうしているのかという、プラスにどうしていくかということですね。それから、津市においては幼児教育センターはどういうふうになっているのか、また、伊丹市と札幌市では架け橋についてどう進められているかということで御質問としてありました。
 それでは、河合委員、お願いします。
【河合委員】  河合でございます。3自治体の皆様、本当に今日は大切な発表をお聞きしまして、とても学びになりました。ありがとうございました。重なりますが、教育長はじめ先生方の熱い思いと充実した取組が、各自治体の先生方それぞれが参画しながら、楽しさなどを感じる原動力だなと改めて思いました。
 感想になりますが、今回御発表を伺って三つのことがやはり大事だと改めて思いました。一つが、体制とか仕組みづくりの重要性ということです。二つ目が、子供を真ん中にして、地域の教育の在り方をみんなが自分が参加して語っていくことの重要性です。三つ目が、架け橋カリキュラムは、作ることが目的ではなく、そのプロセスが大切だということです。とてもありきたりな三つを申し上げたんですが、でも、このプロセスを大事にすることが、子供たちを真ん中にしてみんなが語ったり考えたりするということを進めやすくする一つのツールとしても機能するんだなということを改めて具体の取組をお伺いして思いました。
 今申し上げた三つのそれぞれの具体的な取組を、それぞれの地域の発表からたくさんの方法を学びました。体制・仕組みづくりというところでは、やはり教育委員会の一元化、若しくは教育委員会のしっかりとした関与が大変重要だということを改めて思っています。これは今後進めていく上でも重要なポイントになろうかと思います。
 公立幼稚園の位置付け、それから、位置付けることできちんと仕組みが回っていくということも非常に重要だと思いました。特に公立幼稚園は自治体が設置しているので、自治体の教育の方向をそのまま受け取って具現化していくという役割も当然担っていますので、その大切さがあるかと思います。一方で、先ほどお話にあったように、公立園がないところでは、その自治体、その地域で大事にする教育を具現化していこうとする先生方がおられると思いますので、そういう方が実践を開きながら、同様に拠点園として行っていけるようなことが進んでいくと、地域の幼児教育の充実と、それが小学校につながるということがより具体的にどこでも進んでいくようになるのではないかと思いました。
 お聞きしたいことを最後に1点です。先ほど御発表の中にも、小学校の先生方の実践が変わっていく手応えのようなことも語られました。また、架け橋プログラムを作成されて始めたかと思いますが、こうした自治体の取組の中で実際に先生方が自分の実践が変わっていく手応えとか、そうしたものがもし語られていましたら、そのこともお話しいただけたら大変ありがたいと思います。
 本日は本当にありがとうございます。以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。行政的体制の作り方、そこで架け橋にしてもプロセスを語り、子供真ん中という、その姿としていくという御指摘です。そして、より具体的には、少なくとも教育委員会がかなり関与する必要があるだろうということや、公立幼稚園がある場合にはその位置付けをしっかりする。そうでない場合にも他の拠点園をどう作っていくかという御指摘ですね。最後に、こういったことを通して実践が具体的にどう変わってきたかの現場の声、手応えはどういうものがあるかという御質問でした。
 それでは、古賀委員、お願いします。
【古賀委員】  本日の発表、たくさんの御示唆をいただきまして、ありがとうございました。また、これまでの御発表も含めてですけれども、国公立幼稚園の存在意義を改めて感じました。子供の数の減少によって統廃合は避けられない部分があるかと思いますけれども、市民のニーズに応じつつ機能強化し、市全体に対して価値ある存続となるシステムを構築するということは非常に重要だと改めて思いました。国公立園が存続しない市町村がどんどん増えていくという状況は、幼児教育の質の確保と向上において非常に重要な深刻な影響があると考えます。国公私立園それぞれが役割を担って持続可能で質向上へ向けた協働体制の構築というものがこれから一層求められると思います。
 特に今日話題に上っております国公立園においては、既に多くの先生方がおっしゃっておられますように、時代の変化に応じた質の高い幼児教育の実践と研究推進における役割が大きくあり、現在の架け橋の取組も公立園が核となって多くの幼児教育施設のつながりが出来ているところもあります。
 さらには、私は教員養成に携わっておりますけれども、インターンシップとか教職大学院の実習の受入れにおいても、公立幼稚園の先生方の指導力、学部レベルではなく大学院レベルの実習指導力は大きな価値がありまして、質の高い幼児教育の実践システムを構造的に確立していく上で非常に重要な存在と日頃から感じているところです。その価値を生かしながら幼児教育全体の推進をしていくという上で、公立園を拠点園や研究実践園としていく枠組みとその機能の明確化がなされているという御発表は非常に参考になりました。ありがとうございました。
 質問としましては3点です。1点目は、周辺の小規模自治体のフォロー体制です。御発表の中でも近隣市との協働的な取組のお話もありましたけれども、幼児教育センターの機能として考えたときに、これからの人口減少を見据えて、小規模な自治体のフォロー体制をどう組んでいくか。京都の中でも年間に子供が生まれないという自治体もありまして、そういったところでは幼児教育アドバイザーを配置するのは非常に難しいわけですけれども、そういったところも含めてある程度の規模のある自治体の幼児教育センターが、フォロー体制を組んでいくというようなこともこれから重要になるのではないかと思っておりますが、その辺りのところで現在取り組まれていることがあれば教えていただけたらと思いました。
 もう1点、似たようなことになるんですけれども、自治体間の連携というところで、広域自治体である都道府県の幼児教育センターやアドバイザーとの連携や役割の明確化、研修実施等の分担や連携など、今後の持続可能な在り方も踏まえて御意見があればよろしくお願いしたいと思います。
 もう1点は、拠点園、研究実践園において実践推進リーダーの養成のようなこととか、幼小間の人事交流による架け橋プログラムの一層の推進みたいなことで重点的なリーダー養成のようなことはなされていらっしゃるか、また、それはアドバイザーの養成と関連を持って展開されているのかといったところで何かありましたら、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【無藤座長】  最初の御指摘は、公立幼稚園などが時代の変化に応じた様々な課題を引受けながら、研究実践園というか拠点園になっていく可能性があると。あるいは、それがない場合の可能性ということです。御質問として、それぞれに、小規模自治体が周辺にあるとするなら、それらと連携するといったことはどうするのかということ。また、自治体としての中の分担をどうしていくかという体制の問題や、また、アドバイザー養成とかコーディネーター養成とか、あるいはリーダーというのはもう少し現場に近い方でしょうか、リーダー養成はどういう形を組むのかという辺りの具体的な御質問がございました。
 それでは、田村委員、お願いします。
【田村委員】  國學院大學の田村です。御発表ありがとうございました。考えたことを意見として二つ申し上げたいと思います。
 一つが、組織の改編についてです。市長部局、首長部局から教育委員会に移管すること、そのメリットがよく分かりましたが、より機能させるためには恐らく鍵があると。それはキーパーソンの振る舞いや行為によるのではないかと考えました。つまり、教育委員会では、小学校以降の担当者に積極的に幼児期の教育の価値を語っていくようなコミュニケーションを取ること、あるいはこれまでの市長部局の関係者とのつながり、関わりを維持していこうとするような姿勢が重要になるんだと思いますが、ポイントは、そうした機能が個人に依存するのではなくて、組織として発揮されるようにすることが重要だということになってくるかと思います。例えば、どのような機会を用意するのか、あるいはどのような時間と場所を設定するのかというふうなことがよりクリアに見えてくることによって、そういった編制、移管といったものの価値がより広く広がっていく可能性があるのではないかと考えましたので、明確にできればと思いました。
 二つ目が自治体の果たす役割のことです。例えば架け橋期のカリキュラムを作る、一定程度のモデルを自治体が示すとなったときに、恐らく自治体のサイズやポジションで役割は違うんだと思います。示すものや示し方あるいは作成するものは変わってくるということを自覚する必要があるんじゃないかということです。県や政令市が行うこと、市町の教育委員会が明示すること、あるいは中学校区、最終的には個別の学校や園に行くに従ってより微細で具体的なものになるというのがイメージできるところになるわけです。
 となると、それぞれの立場では一体何を示し、あるいはどのように示し、あるいはどのくらい示すのかといったことをやはり自覚する必要があるだろう。つまり、最終的には各学校や各園がオリジナリティーあふれる活性化した取組が行われることが望ましいとするならば、そのために自らの自治体は一体どのような役割を果たすのかといったことを、全く同じではないということを意識してやっていくことが一つのポイントになってくるのではないかなと考えました。
 以上です。
【無藤座長】  非常に大事な指摘を二ついただきました。組織の改編、組替えというのが、ただ部局を作り変えれば済むのではなくて、そこでの具体的なつながりを誰がどういう場で作っていくかということをかなり意識して構成していかなければいけないということと、自治体が同じように、市町とはいえ、札幌市のような大きな政令市とより小さな市では働きが相当違うので、それを十分自覚して一種の作戦を組むということなんでしょうか、という御指摘だったと思います。
 それでは、秋田委員、お願いします。
【秋田座長代理】  ありがとうございます。学習院大学の秋田です。本当に今日の3市の御発表は、いずれも熱い思いやビジョン、教育長や御担当の方の熱い思いが伝わってくるものでありました。
 まだほかの委員が言われていないところでいえば、市全体としての地域リソースを非常にうまく活用されて、例えば公立園が研修や研究の拠点にはなっていくけれども、私立幼稚園にどのように一緒に参加してもらうのかというところについての目配りもまた大変よく利いているのではないかと思いました。例えば最後に御発表いただいた津市さんのモデルの中には、私立園と公立幼稚園と小学校のパターンとか、幾つかのパターンの中にそういうモデル園も入っているというような形の中で、いろいろな形でリソースをまずは公私、それから、保育所、幼稚園の連携がうまくいくようなデザインを組んでおられる。
 それからもう一つは、やはりこれから地元の保育者養成校の先生が、先ほど三重大の富田先生の「楽しさ、手軽さ、ラフさ」という話がありましたけれども、それぞれの地域の中の自分たちが目指したいものをより言語化してくれるような、そういう地域の人たちにも参加してもらいながら一緒に考えていくような体制が3市ともうまく取れているのではないかと思って聞かせていただいておりました。
 そういう意味で3市がすばらしいなと思う一方で考えたいと思ったのは、やはり幼児教育センターや幼児教育アドバイザーの在り方であります。今日の3市が大変いい関係を作っておられればおられるほど、まだ、今日の今後の幼児教育の参考資料の中で、幼児教育センターが、都道府県は設置されても市区町村では多くは作られていないというのは、どういう人口規模のところで一番少ないのか、それは何が困難なのかというようなことを今後やっぱり国が考えて、何らかのインセンティブとか、さっき古賀委員が広域ということを言われましたけれども、何らかの形で今後どこの地域にいたとしても、子供たちがより子供真ん中の自治体、各地域のネットワークが作れるようにしていくためにどういう手だてが必要なのかというところを考えながら、要領などではそういう幼児教育センターの役割を書いていく必要があるだろうと思いました。都道府県だけでは大き過ぎるので、やはりそこにおいての市町の幼児教育センターをどういうふうに核にしてその地域の周りの例えば小さいところとどう連携をするのかなどについて、今後もうちょっと具体的に分析をしていって見ていくことも必要なのではないかということが、改めてこの3市の姿がよかったので感じた次第です。
 今日の幼児教育アドバイザーや、それからそれぞれの方が要請訪問をされたり、いろいろな重要な役割を担っているということが分かります。一方で、お配りいただいた参考資料を見て私がまず一つうれしくも驚いたのは、幼児教育アドバイザーは公立の幼稚園の先生が多いというイメージがあったんですけれども、そのうちの市町の場合、7割ぐらいが小学校も経験している。だから、幼児教育アドバイザーが、幼稚園のことが分かるだけではなくて、小学校の方との架け橋というところも担えているんだということが見えてきます。そういう意味では今後、そういう人材をどうやってやっぱり輩出していくのかという、それが今後、幼児教育アドバイザーが、幼児教育が分かっていればいいというだけではなく、架け橋までをきちんとつないでいくような機能を持った人が市町に名前は何であれいるということが非常に役に立っていくと思います。
 しかしながら、今回の図を見てみますと、1人配置あるいは2人配置というところが精いっぱいのようであります。この辺りを今後、こうした幼児教育アドバイザーという名称だけでいいのか、どういう人たちが更にお互いに質を高めていくための幼児教育アドバイザーの養成と同時に、そういうリーダーをどう育成していくのかというようなことをやっぱり考えていくことが、各地域の持続可能な役割を考えていく上では重要になっていくのではないだろうか。しかも、よく見ると常勤の人が全員ではなくて、やっぱり非常勤の方も多いと。そういう体制だけではない形に、今後何らかの形で、各自治体でできることと、各自治体だけでは難しいので国がリーダーシップを取って、少しインセンティブとか何らかの支援などの働き掛けをしてこの推進体制をより充実したものにしていくという発想も、架け橋プログラムや幼児教育推進体制の一層の充実のために必要なんじゃないかと思います。今日の3市のような姿をどこの自治体でもできていくための体制づくりはどうあったらいいのかということを考えてみるということが必要かなと感じた次第です。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。幼児教育センターの働きもそうなんですけれども、地域リソースをどう使うか。私立幼稚園はもちろんですし、養成校の参加。さらに、アドバイザーなどが広がることが望ましいけれども、小さい市町村の場合の難しさとか、それに対する国の援助の可能性とかということを御指摘いただきました。ありがとうございます。
 だんだん時間が迫ってきたので、すみません、簡潔にお願いします。では、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  3市の発表の方、ありがとうございました。聞かせていただいて感じたことを3点お話しします。
 1点目は、地方自治体における熱量が様々な充実につながっているんだなということを強く感じました。やはりこれは幼稚園、保育所、こども園といった横糸と、あと、小学校又はその先の縦糸がどうつながっているのか。横糸と縦糸がしっかりつながることによって、物すごく弾力のある温かい教育が展開されるんだなということを3市の発表から感じた次第です。そういった意味では、幼児教育センターであったり、幼児教育アドバイザーの役割は今後一層高まっていくだろうと考えています。
 2点目は、子供を真ん中にして考えようといったときに、やっぱり保育なんだなと思いました。私は小学校の立場ですので、小学校でずっと考えていると、授業改善を進めていくと幼児教育のよさを最近すごく感じるようになってきています。10年ぐらい前からずっと感じていることであるんですが、子供にある資質・能力を引き出すといった視点や、環境による教育、そして子供が自律的に学びを進める、そういったものができているだろうかということを考えたときに、やはり幼児教育は輝きのあるものだなということを感じています。そういった意味では、今は現行の学習指導要領は資質・能力ベースで高いところまで貫かれていますので、それができているのかどうなのかということを私自身、また、近隣の学校と共にもう一度実践を見直したいな、問い直したいなと思っています。
 3つ目は、これはもう小と幼だけの問題じゃなくて、中とか高とか、大人になるところの世界のところまで突き抜けて考えていく問題なのだなと思っています。大学の入試制度等もこれからどんどん見ている資質・能力が変わっていく中で、そういったところも含めたPRを進めていくことが保護者理解啓発にもつながっていくんじゃないかなということを考えました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。明快に整理していただいたので、時間の関係で急ぎます。
 渡邉委員、お願いします。
【渡邉委員】  短く話したいと思うんですけれども、三つの市の提案ありがとうございました。私自身はちょっとアウェー感を持ってずっとみなさんのお話を聞いていました。横浜は公立が1園もなくて、担当もこども部局でというところの中で、公立と私立とか、それから、市か県かというのも多分あったりするのかなと思ったり、教育委員会との距離が近そうで近くないということが横浜市であったりするということがあります。伊丹市で教育長さんが言われたみたいに、幼児教育を本当に改革していくのはすごい大変だったということを物すごく感じてはいて、いや、そんな簡単にはできないことです。教育委員会に0歳から2歳のことが入ってきたりとか、それから、雇用の方たちが入ってきて保育時間が延びていったりとか、保育の質を保とうとしながらも、幼児教育の基本としている4時間だけという話ではないところを、どういうふうに市として考えていくかというのは多分本当に大変な話なんだろうと思っております。
 皆さんの話を聞いていると、そもそもやっぱり幼児教育って公教育なんだとも思っています。そうであるなら、横浜市は私立幼稚園ばかりで、では、誰が指導主事的な役割をしてくれるのか、幼児教育アドバイザーとかの人材はどうするのか、そもそも私立幼稚園は研修会の体制を園長先生たちが作っていて、余分な人材がいない中で動かしていたりするというところで、保育の質をどうやって保っていくかというような難しさもあります。制度のことを考えていくと、文科省とこども家庭庁の話ではないんですけれども、やっぱりその辺のところの難しさがすごくあるということをまた改めて感じました。横浜に公立幼稚園があったりとか、そういうことがあったら、また違う形で進んでいったのかなと思ったというところもあって、三つの市の提案を聞かせていただきました。札幌市も、私立幼稚園と多分うまくいい関係を持っておられるのではないかと、札幌市の私立幼稚園の方から聞いていたりすると、提案されたような制度があるということはいいなと思いました。
 制度の違いを言ってはいますが、やっぱり津市の教育長さんのお話が僕にとってすごいすてきだったなと思っています。いろいろ制度の差はあるんだけれども、子供の理解を大事にしようとか、子供のことを話すのは、別に1年生じゃなく学校全体でやろうとか、それをあちこちで教育長自ら話してくださって、保護者にも話をしていただいたりとか、誰かが架け橋のことは大事なんだというのを言って、それに職員の方たちも勇気付けられて、やっぱり子供のためにこういうことは大事なんだということを、市全体でやっていこうということで改革が進んでいきます。架け橋を中心に教育の改革が子供に向けて行われる。それも全ての教育施設、小学校もそうですし、幼児教育もそうですし、保育園とか認定こども園もそうかもしれませんけれども、何かそういう流れを作っていくということが津市において実現できているという、そのモデルケースはとてもすてきなことだなと思いました。もちろん、教育長さんだけがやればいいという話じゃないんですけれども、だけど、やはりそういう人たちが声を出していきながら、流れを作っていくということの意味というのは大きいかなというのを改めて感じさせていただきました。
 ありがとうございました。以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。必ずしも公立幼稚園がない場合でも、教育委員会、教育長がやはり、先頭とは言いませんけれども、表に出てほしいという願いがあります。
 それでは、汐見委員、お願いします。
【汐見委員】  もう時間がありませんので。
【無藤座長】  でも、ともかく。
【汐見委員】  僕が聞きたかったことは、先ほど秋田さんがおっしゃってくださったこととほぼ重なるんです。昔、伊丹に研修のためにお伺いしたときに、伊丹市というのはちょっとほかのところと違う熱さを感じたので、すぐに昆虫館という子供たちの社会教育施設にお伺いしたりなんかして、こんなものを造っているところほかにあるかなと思ったぐらい熱いところだなというのがあって、それがあってああいうことができているというようなことで、やっぱり上の方が教育というものを自治体行政の中でどれだけ高く位置付けているかということがいろいろな形で違いとして出てくるんだなというのが最初の印象です。
 ただ、今日のようなすばらしい実践が生まれていながら、同時に、各自治体で、例えば幼児教育センターは具体的にどういう働きをしているだろうか、特にアドバイザーの方々は、実際に直接出てくるあれじゃなくて、その周りにいるたくさんの幼稚園、保育園、こども園の実践がどのように質を向上させていくきっかけを得ているのか、その辺りのことと今日の話とをもう少しつなげていただくというようなお話をお伺いできないかということをちょっと感じました。
 時間がありますので、それだけお願いします。
【無藤座長】  ありがとうございます。
 奈須委員はいかがですか。もう時間がなくて申し上げるのはあれですが。
【奈須座長代理】  すみません、もう結構です。
【無藤座長】  いいですか。すみません。
 それで、時計だとあと4分なんですけれども、ちょっとだけ延ばさせていただいて、それぞれ2分ぐらいしかないんですけれども、ということで、質問に全部答えるのは無理だと思うので、本当にポイント中のポイントをお願いしたいと思います。
 それでは、恐縮ですけれども、伊丹市、札幌市、津市ということで2分以内でお願いします。伊丹市、どうぞ。
【伊丹市】  伊丹市です。一つ、私はやっぱり幼児教育の有効性とかいうようなことについてなんですけれども、私自身は教育推進の柱に、学校訪問、現場を自分の目で見るということを大事にしているんです。やはり私が教育長になって保育所とか認定こども園などを訪問する中で一番強く感じたのは、教育というのは学校教育から始まるんじゃないと。乳幼児期から始まっているんだと。この時期の温かい受容的・応答的な対応が極めて大事で、そういうのが人生に大きな影響を与えるんだと。
 もう一つは遊び。遊びというのは、私は教育長になりたての頃は、遊びの意義がよく分かりませんでした。私は元は中学校の教員ですので。何回かというか何年かにわたって遊びを見ているうちに、遊びというのは、友達を大事にするとか、もう少し難しい遊びにチャレンジしようかなとかいう将来のエンジンを育てているということが徐々に分かってきました。この力が、私は、将来大きな役割をやっぱり果たしていく。ということで私が申し上げたいのは、トップがやっぱり自分の目で幼児教育の大切さを見て発信することが大事だと考えております。
 以上です。
【無藤座長】  いいですか。すみません、時間の関係で。それでは、札幌市からお願いしていいですか。
【札幌市】  札幌市からは、幼児教育支援員のお話があったので、そちらのことをお話しします。支援員の育成についてなんですけれども、教諭を充てているというところで、現役の幼稚園教諭ですので、それまで担任を持ったりとか、支援のお子さんを担当するといった保育実践をまず積み重ねてきております。教育相談支援とか子育ての支援というところの業務に関しては、幼児教育センターの方で情報交流や育成の研修を定期的に持っています。幼児教育センターの指導主事が教育相談を取っている関係もあるので、保護者の気持ちだとか就学の手続きの関する仕組みとか様々なテーマによる月に1回定例の会議を持っておりまして、課題に対してどう対応していくかというようなことを話しています。
 また、今支援員じゃない教諭として担任を持っている先生方がたくさんいますけれども、その方たちもいつか支援員になるかもしれないということを念頭に置き、幼児教育センターでの実務研修ということで教育相談に対応するなど、幼児教育センターに適宜来ていただいたりすることがあります。
 配置についてですけれども、確かに幼稚園の機能として保育業務をしている中で、この支援員の業務を行うのは全く難しい状況ですので、教員定数に加えて各園1名ずつ教諭を配置し、幼児教育支援員は研究実践業務を中心に行うよということで動いているという状況です。正規の幼児教育支援員は各区1名、計10名いますけれども、それでもやはり多くの私立園に対応するのは十分ではない面がありましたので、令和3年に会計年度任用職員5名増員し、今15名体制で行っているという状況です。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。では最後に、津市からお願いします、短く。すみません。
【津市】  架け橋サポーターなんですけれども、令和5年度は幼児期の遊びを通した学びを話せるように元公立幼稚園の園長で、令和6年度はモデル校区で架け橋プログラムを経験した小学校の校長が増員で全小学校区実施に向かっております。
 小学校の巻き込み方なんですけれども、教育委員会事務局の幼児教育と小学校教育担当が共通意識を図って、各モデル校区を中心とした小学校に本当に何度も何度も足を運んでアプローチしていって、やっぱり子供の姿を語る中で、先生たちが子供の学びの成長をしたところに心を動かされることでだんだん取組が広がっていったということがありました。
 保護者への発信なんですけれど、お手元の資料の「かけはし通信」や、あと、PTA連合会の研修に架け橋の取組のことで参加させていただいたりとか、あと、SNSでの発信、あと、令和6年度は、非認知能力の重要性を記したパンフレットを全保護者に配布して、社会全体でこの架け橋プログラムを進めていこうと計画しております。
 手応えはあったかというので、うちの資料の表紙の右上の男の子が洗濯ばさみで作っている姿があるんですけれども、これは図工の時間です。モデル校区の先生が架け橋プログラムで子供の幼児期の学びを話したことで、今までは1人に同じ数だけの洗濯ばさみを渡してしていた図工を、一遍に2,000個出して、みんなで自分で考えてやってみようと言ったら、本当に様々なすばらしいいろいろな、子供たちの今まで考えられなかったものが出来て、先生たちが心を動かされて、よし、これが本当の授業改善だ、やってみようということで、その実践をまた皆さんに広げていってもらっているという状況があります。
 ばたばたしておりまして、すみません。
【無藤座長】  いえ、短くありがとうございました。
 それでは、時間が参ったというより2分過ぎておりますけれども、ありがとうございました。御協力いただきました。いろいろ時間の関係ではしょってお願いしましたので、足りない部分などについては、メールなどで事務局までお寄せいただければ幸いでございます。
 最後に、事務局より連絡事項をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  次回の検討会は、資料4のとおり、4月18日木曜日の15時半から17時半を予定しております。次回については、無藤座長と御相談の上、委員の先生などから御発表をお願いしたいと考えております。委員の皆様におかれましては、引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。
 以上になります。
【無藤座長】  ありがとうございます。
 本日、3分超過ということで申し訳ございませんでした。予定した議事は終了いたしましたので、これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――