今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会 (第3回)議事録

1.日時

令和6年2月26日(月曜日)15時 00 分~17時 00 分

2.場所

WEB開催(傍聴はYouTube Live上のみ)

3.議題

  1. 幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領に基づく教育活動の実施状況、成果及び課題の検証について
  2. その他

4.議事録

【無藤座長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討委員会、第3回を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 本日の会議の資料等につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  本会議は、Zoomを用いたウェブ会議方式にて開催させていただきます。ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
 また、本日は、傍聴の御希望をいただいた報道関係者と一般の方向けに、本検討会の模様をYouTube Liveにて配信しております。加えて、報道関係者の方々からの撮影及び録音の申出を頂戴しておりまして、これを許可しておりますので、あらかじめ御承知おきください。
 本日の会議資料については、議事次第にございますとおり、資料1から資料4まで、加えて、参考資料1から3となっております。よろしくお願いいたします。
【無藤座長】  それでは、早速、議題1に入ります。主な論点(参考資料1)ですが、その1、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領に基づく教育活動の実施状況、成果及び課題の検証につきまして、さらに意見交換を行っていきたいと思います。
 また、意見交換を行うに当たり、自治体の研修等に携わられておられる幼児教育の研究者のお立場からお二人の委員、また、幼児教育施設の現場のお立場から1名の委員にお願いしてございます。それぞれ3要領・指針に基づく教育活動の実施状況や成果及び課題についての御発表をお願いいたします。
 まず、事務局より説明を行っていただき、その後に3名の委員より御発表していただく。そして、皆様との意見交換を行いたいと存じます。
 それでは、まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  まず、本日、資料1から資料3は、御発表いただきます岸野委員、坂﨑委員、若山委員から御提出いただきました御発表資料になります。
 そして、参考資料1を御覧いただければと思います。座長からお話があったとおり、本日も前回に引き続き、議題は、この主な論点1、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領に基づく教育活動の実施状況、成果及び課題の検証となっております。
 次に、参考資料2を御覧いただければと思います。こちらは前回の有識者検討会において、4名の先生方から実践者としてのお立場から御発表いただき、その後に委員の皆様からいただいた御意見などを取りまとめたものです。大きく分けて、幼児教育と小学校教育の接続に関することや、幼児の主体性と保育者の意図に関すること、また、幼児が生活する場としての園の在り方や、保護者の幼児教育観に関すること、条件整備のところでは、幼児教育の支援体制に関することなどについて御意見をいただきました。
 そして、参考資料3を御覧いただければと思います。62ページまで飛んでいただければと思います。前回、前々回とこれまでの2回の検討会におきまして、複数の先生方から幼保小の架け橋プログラムについて言及いただきましたので、今回、参考資料の3に関連資料を追加させていただいております。まずこの資料62ページはプログラム全体の概要となっております。架け橋プログラムは、5歳児から小学校1年生までの2年間を架け橋期と称して焦点を当てまして、架け橋期の教育の重要性について、幼稚園、保育所認定こども園、小学校の先生はもとより、家庭や地域をはじめ、子供に関わる全ての関係者に幅広く訴えて、地域一体となって取り組むことを目指しています。令和4年度より、画面右側に掲載しております「手引き」や参考資料などを提示しながら進めているところです。
 以下、関連資料は、この手引より引用している資料となります。
 次に65ページになります。こちらは自治体において示しております体制のイメージを拡大したものとなります。自治体においては、地域の幼保小の関係者や行政担当者、保護者、地域などの関係者から成る開発会議を設置していただき、子供の成長を中心に据えて、様々な立場から、意見や事例を出し合って話し合い、子供の学びを保障していくこととしています。
 次のページをお願いします。具体的には、例えばこちらは架け橋期のカリキュラムの様式例になりますが、ここでお示ししているような期待する子供像や園で展開される活動や、小学校の各教科などの単元構成、また、先生の関わりや環境構成の配慮、子供の交流や家庭や地域との連携の取組などについて対話を進め、地域の架け橋期のカリキュラムを策定し、関係者で共通認識を図りながら、子供の学びを保障していくこととしています。
 次に68ページになります。そして、この地域において作成された架け橋期のカリキュラムで示された方針を基に、さらに幼保小の先生方が協働して具体化し、それぞれの指導計画、教育課程に反映し、共通の視点を持ちながら、子供の学びの連続性が確保された園の教育活動、小学校の授業を展開していくことが期待されます。
 最後に71ページになります。自治体による支援についてですが、自治体においては、幼保小の合同研修や研修の教材開発、関係機関の連携のコーディネートや、コーディネートする人材の育成などの支援を行っていくことが期待されています。文科省ホームページにおいて、手引きや詳しい解説動画なども掲載しておりますので、よろしければ御覧いただければと思います。
 事務局からの説明は以上となります。少し画面共有などで乱れまして、申し訳ありませんでした。よろしくお願いいたします。
【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、議題の続きですけれど、委員からの御発表をお願いしたいと思います。お三名の委員にお願いしてあります。それぞれに5分程度ということでございます。
 まず、岸野委員から御発表をお願いいたします。
【岸野委員】  よろしくお願いします。画面共有させていただきます。それでは、始めさせていただきます。福井大学の岸野と申します。私からは、これまで関わってきた取組の事例を基に話題提供させていただきたいと思います。主に3つの軸で取り組んできて、見えてきた成果と課題をお話しいたします。
 1つは、設置から10年にわたって研修の企画運営に協働で関わってきた福井県幼児教育支援センターでの取組です。2つ目は、特にこの2年間、架け橋アドバイザーとして伴走してきた滋賀県での架け橋プログラム事業での取組です。3つ目は、附属園での取組です。この3年ほど幼小接続研修で関わってきた新潟大学附属と、また、16年間、園内研究等に関わってきた福井大学教育学部附属幼稚園について取り上げたいと思います。
 まず、福井県の取組事例についてです。福井県では、園種を超えて学び合い、保育を見合い、実践記録を持ち寄り、語り合う研修を重ねてきています。これらの研修を県と大学で協働して推進してきております。
 その中核となる研修の1つが園内リーダー養成研修というものです。詳細はこちらに記載しましたので説明は省きたいと思いますが、園種や市町の異なるメンバーで小グループを編成し、自園の園内研修について語り合いながら振り返り、また、実践記録を持ち寄って読み合いながら振り返り、次を展望していくという実践と省察を核に協働で探究していく研修です。これにより園種を超えてつながり、共に子供の学びと育ちを見取り、語る力を培ってきたことが成果として挙げられます。
 もう1つが、市町幼児教育アドバイザーの養成研修です。アドバイザーと言いながら、ファシリテーター、コーディネーターとしての力量形成を行ってきています。受講者は、各市町から推薦された園長等の管理職や指導主事等の行政担当者です。研修の内容についての詳細はこちらに記載したとおりです。
 この研修では、ほかの市町とつながりながら自分の市町の保育の質の向上に向けて、園を訪問して、子供の学びを語り合ったり、また、市町の実態に合わせた研修を企画運営したりすることを課しています。管理職の世代がこのようにして園種や市町を超えてつながりながら、保育の質の向上に向けた協働を組織する力を培ってきたということが成果として挙げられます。
 このように幼児教育が園種を超えて、一枚岩となって、子供の学びや育ちを見取り、語り、協働する力を培ってきましたが、一方で、それが幼小接続に生かし切れていないという現状も課題としてありました。そこで、こうしたコンテンツの配列を超えて、資質・能力を軸に、子供の姿で学びと育ちをつなぎ、子供観も教育観を問い直してカリキュラム改革に取り組もうと試みています。
 夏に、小学校教員が園に参観に行き、資質・能力の3つの柱で学びを見取るシートに記入して、県教委に提出するということを課しています。そして、冬に、各市町で校区ごとに集まり、語り合う研修会を行っています。夏の姿を踏まえて、冬の姿を今度は園の先生方に語っていただき、園では子供をどう見て、学びをどう捉え、どう関わっているのかというのを共有していきます。それを踏まえて、1年生の実践を一緒に考えていくというものです。
 このスライドは後から付け加えたため、配付資料にはなくて恐縮なのですが、具体的には、こうした子供観や学習観が共有されていきます。研修では、ここでの学びを次年度にも引き継いでいくようにと伝えていますが、どうしても年度が変わるとまた一からとなる現状も課題として挙げられます。また、ほかの幼小接続に関する講座は単発の研修にとどまっていて、「接続コーディネーターの養成研修」のような形として、園内リーダーや市町幼児教育アドバイサーのような、実践と省察を協働で継続して検討していく研修にまでは編み直せていないというところも課題として感じております。
 次に、滋賀県での架け橋プログラム事業での取組事例です。研究指定を受けた幾つかの校区で架け橋期カリキュラムの開発が行われています。滋賀県では、福井県に比べると、園種を超えたつながりというのがこれまで薄かったと思われますが、架け橋期のカリキュラム開発が園と園をつなぎ、また、園と小学校をつなぎ、学び合う関係性を構築することにつながってきました。その過程では、様々な衝突や葛藤、食い違いも生じ、協働する中でこうしたことを乗り越えて、見えない未来を協働で探り、創っていく文化を共有し、また、達成の有無を見るという見方から、子供の育ちのプロセスを捉える子供観へ転換し、活動の進め方や教材の使い方などの背後にある教育観を共有していくことにつながっていきました。
 こうした取組により、2年目は小学校で大きな変革が起きました。1年生では、子供が安心して過ごし、自分で考えて動く力を発揮できるような環境や授業が模索されました。また、学校としても、校内研究や校内研修に位置づける組織体制が構築されました。カリキュラム開発会議のメンバーは回を重ねる中で、子供の活動のプロセスを丁寧に見取り、子供の心の動きや思い、考えを捉えようとするようになりました。会議そのものが子供観や教育観を転換していく研修の意味合いを持ったとも思います。見方を共有するところからさらに一歩進み、活動をデザインしていく思考のプロセスを園小で共有し、環境構成を一緒に考えるという機会も出てきました。今後はこうしたメンバーで共有してきたことをメンバーが変わる中で持続発展させていくことや、公開研修会への一般参加者、また、研究指定校区以外に広げていくことが課題となっています。
 その背後には、1時間の目標達成にとどまらず、長い探究のプロセスを捉える子供観への転換や、ハウツーや気づきを教えてもらうのではなく、子供の姿から協働して、みんなで気づきを深めていく研修観への転換が求められているのではないかと思います。
 最後に、附属の取組事例です。まず、新潟大学附属幼稚園・長岡小学校では、このような「子どもの育ち共有シート」を開発し、幼小接続部会で1年生の実践につなぐ試みがなされています。こうした取組を附属で複数回の研修を行ったり、また、市町の研修に出向いて話題提供を行ったりして、地域の実践者が実践を語り合い、悩みや挑戦を語り合いながら変革に向かっていくコミュニティーの拠点になっていると思います。
 もう1つは、福井大学教育学部附属幼稚園です。園内研究に地域の実践者を巻き込むことに加えて、最初に申し上げた福井県幼児教育支援センターとも連携し、市町幼児教育アドバイザーがファシリテーターとしての実践を重ねる研修の場として機能するとともに、また、園内リーダー養成研修といったものを受けていないメンバーにとっても、園と園でつながり、子供の学びや育ちを学び合う場として機能しています。
 また、県教委と人事交流を行うほか、地域の市町等の人事交流により、見合うだけではなく、協働を通して学び合っていくことが実現し、福井大学教職大学院での学びも組み込み、他校種や他地域の教員と学び合ってつながっていくことが実現しています。
 このように園や学校、市町、県、附属、教職大学院で展開するコミュニティーが連動して発展してきており、ともするとバラバラになるコミュニティーがつながり、支え合い、世代のサイクルも展開していくネットワーク、運動体が形成されていると言えます。多系・多層の階層をつなぎ、実践を支える省察的機構を担っている、私たちの側も単発の研修講師としての関わりや、教え・教えられるという関係性ではなく、立場を超えて協働で探究していくコミュニティーを成しています。保育者の学び、教師の学びというのを主語に、研修のマネジメントについて省察を重ねながら調整を繰り返していくということが重要だと感じております。
 すみません。少し時間を超過し、また、早口になり恐縮ですが、以上で発表を終わりたいと思います。ありがとうございます。
【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、2番目ですが、坂﨑委員、お願いいたします。
【坂﨑委員】  坂﨑でございます。よろしくお願いいたします。私は、現役の認定こども園の園長であります。そしてまた、児童発達支援事業所の管理者もやっています。それで、この10年間、認定こども園3か所、児童発達支援事業3か所、地域包括支援センター1か所を応援する中で、現行3要領・指針が保育の支えとなって進められたことには大変感謝しております。
 まず、成果を2つ述べたいと思います。1つは、成果1としては、やはり乳児の3つの視点、満1歳から2歳の5領域の創設というのは、保育所、認定こども園にとっては、教育の視点が示され、大変意義深いものであったと思います。それ以前は、やはり0・1・2歳児が保育現場に全て任せられていたということがありますので、今回、3つの視点から3歳未満の保育の重要性が示されたことは大きな進歩であると思っております。
 また、このことと小学校の接続につながる、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿まで、確立されたことは、保育現場として計画を立てるときに大変役立つものとなりました。表は後ほど御覧ください。
 結果的には、幼保を前提として、3つの視点から、5領域、そして、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿がつながったことは非常に大きな成果であり、これらが小学校提出への要録にも良い形でつながっていったんだなと考えています。
 成果2でございます。乳幼児期に、3つの資質・能力及び主体的・対話的で深い学びが示されたことにつきましても、教育の観点から、小学校をゼロベースにしないということが明確にされたと考えます。また、これらによって、保育現場の活動や教材が工夫されたことなどは間違いなく、直接的ではないかと思いますけど、公開保育等で社会に開かれたものが行われて、保育の質向上にも寄与していると思われます。
 表2で参照をつくりました。現実としては、令和2年4月にコロナで学校が休業になりましたので、そういうスタートカリキュラムが全国的に行われなかった。そういう意味では、今、進められております架け橋プログラムは今後大きな意味を持つと考えております。
 それでは、課題につきまして3点述べたいと思います。
 まず、課題1は、現行の問題であります。用語の意味が、3要領・指針で違う点がある。保育所保育指針の3歳と2要領の満3歳との問題があり、特に認定こども園によっては2歳児の誕生月によって、1・2歳児の5領域と満3歳児の5領域が月齢で混在するのは、計画上難しいところがあると思います。
 また、少子化の中で過疎地の小規模園を考えると、やはり異年齢児保育の内容が薄いのではないか。また、小学校に提出する要録が施設種によって違うのはやはり大きな問題だと思います。認定こども園が0歳からある、幼稚園が満3歳からある、保育所は5歳からある。ある意味では、転用すると、対応し切れない園があるというのはやはり要録上の大きな問題なのではないかと思います。
 課題2・3は、どちらかというと要望に近いものであります。1つは、3要領・指針をできるだけ一本化し、施設種によって差異のないようにしていただきたいと思います。これから架け橋プログラムが進められていくとなると、小学校の皆様方が私たちの教育を考えるという場面が、先ほど保育士の先生のお話があったときにも出てまいります。そうすると、やはり3要領・指針があるというのは非常に理解しにくい問題だと私は思っております。現行の保育内容の一本化をさらに進めることが必要だ。個人的に言いますと、解説書等も含めて一本化していくことが必要なのではないかなと思います。単純に、就職してきた人たちが園によって、入る園の施設種によって、やはり要領・指針が違うということは非常に学校上でも問題があるのではないかなと思っております。
 これから、課題3でございます。今後、全国展開されます「こども誰でも通園制度」は、こういうところに対して、未就園児のより多くが施設に関わりを持つと考えられます。園に1割程度在籍すると言われる障がい児の対応や、保育所、保育指針が基になっていると言われる児童発達支援事業のガイドラインなど、それら多岐にわたる関係性に対してどう構築していくのか、新しい指針、要領の課題であろうと思っております。
 「おわりに」、長い間、保育内容を施設種によって示してきた3要領・指針を、園に在籍する子供のために要領等の一本化をしていただきたい。施設を超えて、学校種を超えて、日本の大事な子供の育ちと保育を小学校まで接続していけるよう強く願うものであります。
 坂﨑でした。ありがとうございます。
【無藤座長】  ありがとうございます。
 それでは、3番目、若山委員、お願いいたします。
【若山委員】  よろしくお願いします。画面共有していきます。
 では、始めたいと思います。富山大学の若山です。私からは、「現行3要領・指針の成果と今後」ということで、特にカリキュラムや指導計画の側面に着目してお話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 まず成果に関してです。今回の改訂を受けて、幼稚園、保育園、こども園においては、カリキュラムや指導計画の見直しを行う動きが活発化したことが挙げられると思います。すみません。資料にはありませんが、私はこれまで保育の指導計画の書き方を学生に教える研究を10年ほど行ってきました。また、今回の改訂を受けて、カリキュラムマネジメントが規定されたことから、乳幼児教育のカリキュラム改善に関する研究であるとか取組を行うようになりました。
 では、表示中の資料を御覧ください。この資料に書いたように、これまで乳幼児保育・教育の団体から依頼のあったカリキュラムや指導計画に関する研修は、実際の例を挙げると、大体3つほどが多いかなと思います。1つ目は、園目標や園の環境等の実態に応じて、園のカリキュラムを5領域の総合性を保障するように見直すものや、資質・能力を基盤としたカリキュラムになるよう、様式を見直すもの。また、カリキュラムと指導計画の関連性を見直すものがありました。また、資料にはありませんが、今回、プレゼンの機会をいただいて、私のほうで独自にカリキュラムや指導計画に関する実態を把握する調査を行ったのですが、やはり多くの園で、3要領の改訂をカリキュラムや指導計画を見直す動きがあったことが分かりました。これらの見直しの過程で、保育者の先生方は、カリキュラムや指導計画の改善のために様々な点に気づいたり、創意工夫を行ったりしてきたことが私のほうでも分かっています。
 次に、では、先生方がどんなことに気づいていたのかということで2つ目としました。保育者が、カリキュラムや指導計画を改善しようとそれらに向き合うと、自園のカリキュラムや指導計画の改善すべき箇所に気づくことになります。まず保育者は、改訂を受けて、資質・能力、つまり、これは5領域のねらいであり、ねらいは、資質・能力を幼児の生活する姿から捉えたものであるということを学びます。そして、それらは、資質・能力や5領域は一体的に育むものだということを改めて見直すようになります。その知識を持つと、3要領・指針の改訂前の自園のカリキュラムの改善すべき点に気がついていきます。このように3要領・指針を学び、そこに書かれた視点を持つと自園のカリキュラムの改善点に気づくことというのはリンクしています。そのため、この矢印を入れさせていただきました。そして、このようにねらいが資質・能力であるということを学んで理解すると、ねらいと内容はそれぞれ異なるものであり、区別して捉えるという視点が保育者の頭の中に出てきます。例えばねらいだけがあって内容がない計画等というものがこれまで存在していたこともありまして、でも、そのようなことがなくなっていくきっかけに今回の改訂がなっているかと思います。
 では、こうしたら気づきを得て、先生方がどのような創意工夫をしているかということについて、2つ、お話ししたいと思います。どちらも実際に私が関わって創意工夫を行ってきた取組からのお話です。
 1つ目の創意工夫は、年長児のカリキュラムや指導計画の内容を10の姿の視点から見直すというものです。3要領・指針において10の姿は、保育者が指導を行う際に考慮するものと規定されました。そのため、保育者の先生方は、指導計画に基づく保育の展開において見られる実際の子供の姿を10の姿から捉え、特に年長児の内容の部分を10の姿の視点から見直すようにしているようでした。
 また、同様に、短期の指導計画の中に盛り込む項目となっている援助や環境構成といったところについて、10の姿を考慮したものになるように園内で検討しているというところもあるようです。これは先ほど申し上げたアンケート調査からも裏づけられた声でした。
 次の創意工夫についてです。まず1つ目は、園目標と3資質・能力――すみません。次の創意工夫は、3要領・指針に基づく教育活動を積み重ねて理論化するというところです。このことについては、まず1つ目、園目標と3資質・能力を関連づけて、園目標を改めて捉え直すということを園の先生方はしておられるようでした。
 自分たちの園目標は、資質・能力から捉えると、どのような点を特に育てようとしているものなのかを考えていきます。つまり、自園で大切にしてきたことは、資質・能力のどのような側面なのかということを理解するということです。
 2つ目は、3要領・指針を中心として、園目標、自園の子供たちの遊びの特徴や育ちの方向性、園の環境。これは人的なものや物的なもの。そして、地域との関わりといった、そういった全てをより合わせるということです。こうすることで、自園の特色や子供の育ちのありようが見えてくるということがあります。
 ある先生は、こうした取組を一緒にやっていくことを経て、自分の園のことが大好きになったと話されました。このことを私は、園による自園の保育の理論化と呼びたいと考えています。
 では、最後に、今後の重点的に取り組むことについては、3点挙げさせていただきました。これまでのカリキュラム等の見直しの取組を経て、それをした後、それとつながるように、長期のカリキュラムとつながるように、長期/短期の指導計画をどう見直していくのかということ。また、カリキュラムや指導計画の見直しを、園全体でどう取り組んでいくことができるのか。特に若い先生などが難しいという声を結構聞かれるので、園全体でどう取り組むことができるかということ。最後、これらが保育者にとって過度な負担にならないようにすることが重要かと思います。指導計画やカリキュラムは難しいというイメージがあるので、ちょっと敬遠されることも多いかなと思いますので、このことが課題になるかと思います。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。
 お三人に、それぞれのお立場から御発表いただきました。5時までですので、1時間半ですが、ざっと80分ぐらいと思いますけれども、最初の岸野委員からは、保育者、特にリーダー層なり、アドバイザーなり育成を幼児教育センターで行うということと、そこに幾つかの園または附属幼稚園が関わりながら。さらに福井の場合には、福井の教職大学院がサポートするという連関の中で、一種の運動体として研修を保育の質の向上に結びつけたと思いました。
 2番目の坂﨑委員のお話は、資質・能力を生かしながら、より充実した方向が生まれたけれども、3要領・指針の内容的な共通性を高めてよかったけれども、なお違いもあるのは難しいところがあるということや、3歳未満児の保育についても考えたいというお話です。そこら辺りは、この検討会の託された使命として、教育課程、指導、評価等の在り方ですので、そこで許される範囲で考えられることを進めたいと思っております。制度的な大きなことは、いずれどこかでなされるかもしれないというのが個人的には期待しております。
 3番目は今の若山委員のお話で、非常に具体的なところで実践されてきたカリキュラムの見直しカリキュラムと、長期、短期の指導計画の連動という幾つかの方向、また、課題、特にそれを若い保育者を含めて園として実施する場合のつながりのつけ方とか、過度な負担にならない工夫はどうすればいいかという、非常に具体的で考えるべきことを御指摘いただいたと思います。
 さて、できる限り多くの皆様に御発言いただこうというか、全員に御発言いただけるようにしたいと思いますので、毎回でありますけれど、お一人、1回当たりが3分程度と非常に短くなりますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、挙手をお願いして、私が気づかないところは事務局から御指摘いただきたいと思います。挙手ボタンを押していただいて、その順番で御指名させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 どなたからでも結構ですが、挙手、どなたかありますか。すみません。お願いします。どうぞ。お三人の話題に触れるというのでも、個別の御意見へのさらなるコメントでも、あるいは疑問でも何でもいいのですけれど。そういった論題をめぐっての御意見を出していただいても構いません。
 では、まず尾上委員、お願いします。
【尾上委員】  すみません。どなたもお手が挙がらないので。まず、岸野委員、本当にありがとうございます。今後の地域の幼児教育の振興の体制の整備において地域コミュニティーの様々なバリエーションをお示しいただき、やり方は多様で、1つではないのだなと確認いたしました。自分の地域はどのようなリソースが優れているかという、地域や自己分析、認識や、どの方法を採用していくのかなどについて、県レベルの幼児教育センターの果たす役割はやはり重要だなと考えます。
 そこで質問というか、お聞きしたいことがありまして、とかく行政と保育所様、あるいは行政と国公立の親和性というのは、言うまでもなく高いわけでありますが、私ども私立ですね。私立幼稚園、認可園が、幼児教育ネットワークに組織図には位置づいていても、実際問題のお話をしますと、お知らせが配布されるだけとか、年に一度の会議だけに参加するというような実態も、実は正直言ってございます。本来の意味でも、私ども私学の役割を果たしているという、地域全体で担わなくてはいけないという私どもの努力不足が当然あると思うんですが、もし委員の知り得る範囲で、こういう私立が関与したいい事例があったら、もしあればお聞かせ願えたらありがたいなと思っております。
 次に、坂﨑委員は、本当にいつもいろいろな御示唆をいただいて敬服するところでございます。障がい児の保育について、この国は共生社会を目指して、いわゆるインクルーシブ教育システムを推進しているところではございますが、現行要領の前文において、Society5.0時代の教育にもつながる、自分の良さや可能性、あらゆる他者を価値のある存在として、多様な他者との協議云々等、非常に重要な文章があって、これは地域ネットワークというよりも、幼児教育の在り方として、各園の中でさらにどうつくり上げていくのかが問われていることだと考えております。次期要領の改訂に当たっては、この共生社会の構築に関わることは、やはり重要な視点であるということをぜひこの場において提起したい。先生の意見を伺いながら、かように思った次第でございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
【無藤座長】  御意見と御質問、お二人にありましたが、まず岸野委員からお願いします。
【岸野委員】  ありがとうございます。私立園がどのように関わってきているかという辺りですが、福井県のほうで言うと、本当にセンターの設置段階から、私立園のほうの、例えば協会の長の方が一緒にセンターの在り方を考えるメンバーに入ってきていたり、また、その後の展開の中でも、例えば先ほど御紹介した市町幼児教育アドバイザーとして必ず、大きな市町だと、市町の私立園の協会から、やはり入っていただいて、研修を受けていただくといったようなことで、必ず全ての園種の人が関わるということが実現している例になっております。
 また、滋賀県のほうも、本当に架け橋がきっかけになって、実は今まではそういった幼小の研究指定を受けても、おっしゃったように、公立園だけが参加するという形だったのが、私立園も一緒にメンバーに入ったことでお互いに保育を見合ったりということがかなりなされるようになって、それを通して垣根が越えられた、一緒に同じ方向を向いて、保育と教育の接続を考えていくことが実現できたなと思っております。
 答えになっているか分からないんですが、以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。
 それでは、坂﨑委員のほうで、共生社会なり、障がい児の在り方、よろしくお願いします。
【坂﨑委員】  まず一番大きな話で言うと、今行われています架け橋の中で、障がいの子供たちの架け橋をどういうふうに考えていくのかというのは1つの大きな論点だと思っております。いわゆる人権のこととかそういうこともあるんだと思いますけれど、たくさんの様々な子供たちがいるということを、やはり架け橋の1つの部門にしていただければと思います。
 指針、要領に関して言うと、今の現行の課題がすごく大きいのだと思いますけれど、例えば児童発達支援事業であれば、保育所、保育指針を理解した上で、それぞれのガイドラインを知ることが必要である。例えば、形上、そういうふうになっているんですが、では、そういうような研修が行われているのかというと、決して、お互いにそういう研修をしていることはないのであります。そういうことを考えていくと、保育所、保育士や認定こども園もそうですし、これからの要領・指針に示されている子供の発達や教育の在り方、そういうものがたとえ障がいの施設であったり、障がいの子供であっても、そこを中心として進めていくことをまずもってうたっていくというのが共生社会の一番の大きな視点なのではないかなと思います。これからあらゆる他者というのは非常に難しいわけですけれど、架け橋の部門と指針、要領について2つだけ述べました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。大きな方向と、例えば児童発達支援事業が今非常に広がりつつあるんですが、そこら辺での幼保こども園との相互理解のことを御指摘いただきました。ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】  失礼します。ありがとうございました。岸野委員からは、これまでも出ていました参加型であるとか、あるいは有機的に研修などが結びつくような具体例をお示しいただいて、いろいろな形があるということをまさに見せていただいたなと思います。こういった形に進んでいきたいな、例を示していただけたらありがたいなと思いました。
 坂﨑委員のほうも、御提案いただいたことは本当に共感を感じながら聞かせていただいたんですけれども、お話の中で触れられなかった資料について少し補足をいただけたらありがたいと思っています。事前に頂いた資料の9ページに、様々な観点、例えば、生命の保持、情緒の安定、それから、乳児の3つの視点、それから、5領域、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿、それから、資質・能力、これらを表の形式にしてお示しくださっている資料があります。自分たちもいろいろな、例えば資質・能力とか5領域、それから、10の姿といった関係性を分かりやすく示していくということはすごく大事なことだとは思うんですが、その示し方によっては、もともと思ってもいなかった誤解を与えかねないということで、すごく注意が必要だなということも思っています。恐らく坂﨑委員がこの図でお示しされようとしたことは何かしら意図がおありなのだと思うんですが、これだと、単純に、例えば5領域と資質・能力が横並びで区切られたような形で見えなくもないと思います。こういったことがあらぬ誤解につながっては何かもったいないなという気もしますので、ここら辺の表わされようとした意図をお聞かせいただけたらありがたいなと思います。
 それから、若山委員からお示しいただいたことに関してですけれども、成果の2つ目に挙がっている保育者による気づき、ここら辺もすごく大事なことだなと思っています。資質・能力、5領域のねらいを一体的に育む視点を持つということで、具体的に何が変わったのかということをつかんでいらっしゃったら教えていただきたいと思います。
 私自身もいろいろな研修に関わらせていただくことがあるんですけれども、現場の先生方で難しいなと思われている中に、例えばねらいがすごくざっくりと書かれていて、なかなか具体的なねらいになっていかないというところに課題を持っていらっしゃる先生方もあって、そのねらいと内容の関係性をしっかりと理解されている先生だと、その構造もはっきりと持たれて、ねらいも具体になるし、内容も具体になって、その関係性もしっかりと持たれているという状況があったりします。
 一方で、ねらいはいつのねらいだろうというぐらい、すごく幅のざっくりとしたものになって、このねらいが、内容が具体的になることで、どう言うんですかね。内容に縛られてしまうというか、指導内容の捉えに誤解もあると思うんですが、もともと大事にしたいのはねらいだと思うんですけども、自身で書かれた活動内容をこなすことに精いっぱいになってしまう状況も見られたりして、園によっては様々だと思うんですけれども、ここら辺、そんな現象も自分は感じています、。この気づきからこういう良さのほうに動いているなと、先生が発表してくださった中で具体でつかんでいらっしゃることがあったら、示唆に富んだお話が聞けるのではないかなと思って聞かせていただきたいと思いました。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。最初、坂﨑委員、御発表ですみません、時間を短くしてもらったので省かれたわけですけれど、付録の表が、乳児から就学前までのつながりを示していただいて便利なのですが、分かりやすい反面、誤解を招くことがあるのではないかという指摘だと思います。その辺、ちょっと言葉を足していただければと思います。
 これですかね。
【田中委員】  何か色がついた。
【無藤座長】  2つありましたよね。でも、中身は同じかな。
【田中委員】  同じなんですか。
【無藤座長】  こちらへ来ているのはたしか色が。
【田中委員】  今、横田企画官がお示しくださっている、それです。
【無藤座長】  これです。すみません。
【坂﨑委員】  よろしくお願いします。田中先生、ありがとうございました。この表ともう1つの表ありますよね。もう1つの表はどこで使っているかというと、最近は、これはどちらかというと架け橋の説明をするときにお互いに使っています。ざっくりした話をする時、小学校の先生方がなかなか、幼保から3つの視点、そして、つながっている状況がよく分からないと。上の色がついているほうは、どちらかというと、小学校の先生たちに少し説明をする表です。もう1つの下の表は、逆に私たち、園の先生たちに、3つの資質・能力が小学校の3つの資質・能力の評価にどういうふうにつながっているのかというのを一覧につくったものです。勘違いされることもたくさんあるかもしれないので、研修会で説明するときだけ使っていますけど、お互いが実際のところは、私も岸野先生のような、小学校の先生と園の先生たちを集めた勉強会をやるんですけれど、お互いのことを口で言うとなかなか理解がしにくくて、その説明の補助のために使っています。
 なかなか分かりにくいかもしれませんが、ある意味では、小学校の学びを少し知る、小学校の人たちに、私たちの3つの視点からなっていく。その資質・能力は、小学校に対していくと、この表でいうと、このようにつながっているのだということが一応分かりやすく説明をしているということでございます。いろいろと不備はあるかもしれません。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。いずれにしてもこの表が独り歩きしない形の使い方ということでしょうか。ありがとうございます。
 若山委員のほうで先ほどのねらい、資質・能力等々の関連という辺りですけれども。
【若山委員】  ありがとうございます。1つ目は、まず資質・能力や5領域のねらいを一体的に育む視点を持つようになったことで、どんな良い変化があったかという御質問だと思うんですが、それは特に領域の偏りがなくなるということがすごく多かったかなと思います。カリキュラムを見直してみると、どこの、私が関わってきた園で多いのは、領域、環境の思考力に関するところというのが特に3歳以上児さんになって、ブツッとないと言うんですかね。年少さんのところですごく弱くなっていたり、途切れがちというのが多いかなと思います。人間関係とか言葉のところはすごく充実して、連続性も発達の見通しもすごくよく練り込まれているんだけれども、領域によっては弱いところがある。そういう傾向があるので、総合的に一体的に育んでいくという視点を今回で持っていくと、あれっ、こういう領域のところ、弱かったね、3資質・能力のこの部分は、もしかしたら弱い視点だったかもしれないなということの気づきを得るというのがあったかと思っています。
 もう1つの、ねらいが漠然としているというところですが、そのことは今回の成果の中で、研修の実際の例にカリキュラムと指導計画の関連性を見直す研修をやったときに、結構それが気づきとして出てきたところもあって、確かにこれは長期計画、年間指導計画のねらいなのか、月案レベルのねらいなのか、そういうねらいの範囲と言うんですかね。それがしっかり区別というか、計画の種別ごとにそれぞれ明確にされていない。このねらいはどこの範囲レベルのねらいになるのかというのがごっちゃになっているところがあって、それはカリキュラムと指導計画を合わせて見直していくことで、ああ、ここはカリキュラムレベルのねらいだけど、ここは月案レベルのねらいだなと意識して変えていけるということがあったかなと思うので、指導計画との関連で、漠然としたねらいというのは直っていくという印象があります。
 以上です。
【無藤座長】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、次に挙手をお願いします。いかがでしょうか。どなたからでもいいですけれど。大豆生田委員、お願いします。
【大豆生田委員】  よろしくお願いします。3人の先生方、御発表ありがとうございました。とてもすばらしい重要な内容で、学ばせていただきました。私から3点、そのことを受けて、私が大切だなと思うところについてお話しさせてください。
 まず1点目ですけれども、岸野委員の、地域を通して質を高めるような、ああいうふうなネットワークみたいなことをとてもこれから重要だと思いました。その中でもコーディネーター的な役割、あるいはファシリテーターとしての役割ということの要請がとても重要だと考えます。そのときに外部の講師あるいは園内のコーディネーターの立ち位置というのも多様だと思うんですけれども、その姿勢として実践を肯定したり、その良さを共に味わったり、それを広げていくための関わり方、そういうことがこれからとても大事だということも含めて、とても重要だと思いました。
 それはある意味では同伴者的であり、ファシリテートする在り方だと思いますけれども、今後、そういうことが広がっていくことが幼児教育アドバイザー的な役割で重要だと思うんですが、同時に、今の発表の中でも、いわゆる園内のコーディネーターみたいな視点もあったと思います。これから園内でそういう人が養成されると同時に、地域でも養成されていくということが連動していくとよいなと考えています。その中で、今、私も関わるところも含めて、やはり幾つかの自治体で、いわゆる園長レベルのような年代層のアドバイザーだけではなくて、もっと手前の人たち、中堅層の方の養成ということが、これは全日私幼さんであればECEQの取組だとか、それから、兵庫県のマイスター制度もそうだし、今、横浜市でも、ワイサポーター制度というのも始めて、今後そういう多様な、園内でもファシリテートができる人たちがどんどん他園の公開保育だとかそういうところのファシリテーションになっていく視点がこれからますます重要だなということを、岸野先生のお話を通して、1点目、御発言させていただきました。
 2点目ですけれども、2点目も特に岸野先生、架け橋のこともお話しくださいましたけれども、架け橋の実践と研修が広がっているんだけれども、まだ課題も多いなとか、まだなかなか成果も見えてこない実態もあるなと思っています。そのときに趣旨を学ぶことも大事な一方で、多分、岸野先生のお話にあったように、具体的な研修としてどう実現していくかということがこれから重要だと思っています。いかに幼保側と小学校側の保育事業を共に見直したり、質を上げていく仕組みづくりということが重要かなと思いながら伺いました。
 その方策として、これは岸野先生のお話とも重なるんですけれども、互いの実践事例だとか、例えば写真など持ち寄ったり、話し合ったり、見せ合ったり、そして、実際、現場に戻しながら成果を上げていくという、我々の言い方で言うと、往還型的な方法ということですけども、今後はやはりそういうふうな架け橋の研修としても、継続性や連続性、具体性、実効性が生まれるようなことを協働的あるいは往還的に行うという視点が、今、私も幾つか関わり始めてきて、こんなに共通の土俵で事例を持ち寄って語れるんだと。岸野先生は私よりも先に実感されていると思うんですけども、そんなことをすごく思いました。これが2点目です。
 3点目は、坂﨑先生がお話しされた中に、これからまさに、「誰でも通園制度」時代の中、あるいは多様なお子さんをどこの園でも受け入れていく時代の中、乳幼児の要領・指針に基づいた共通の保育の質の向上が大事だという話を受けて、お話しさせていただきますけれども、そのためには質の向上をどう担保するかという仕組みがますます重要だと思いながら伺いました。
 そのときに、いわゆる保育のプロセスの質と、その評価の話ということの仕組みをやはりもう一歩進めて検討していくことが重要かなと思っています。特に評価には、自己評価とか第三者評価とかいろいろありますけれども、いわゆる国立教育研究所さんでも出されている評価スケール等も含めてですけれども、そういうふうなことを自己評価として、単なる評定というよりは、園内あるいは地域の研修等に使うことで、客観性を担保しながら、実践の見直しにつなげていくということがとても重要になってくるかなと思います。
 そこの自己評価的というのが、いわゆる、単にチェックリストをチェックするということよりは、やはり実践を語ったり、振り返ったりするような園内の風土づくりみたいなことも含めて、そういうことを一般化していくこと、そのことは、若山委員がお話しされたカリキュラムのこととも関係してくるかなと思いながら伺わせていただきました。
 私からは、感想と意見も含めてですけれども、以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。御意見として3点出していただきました。園内リーダーも中堅層に広げ、園内の中での動きと地域の動きが連動するということ。2番目は、架け橋に伴って幼保と小それぞれから実践を持ち寄る共通の土俵と、そこから実践に戻す往還的な在り方に進めるということ。3番目は、質の向上をめぐって、特にプロセスについての自己評価などで、客観性と同時に実践性を兼ね備える方向をどうやって園の中でつくり、また、どういう尺度を使うかという検討。非常に今後の会議の議論として、1つ、かなめになるところと理解しました。ありがとうございます。
 それでは、次の方の挙手はいかがでしょうか。渡邉委員ですね。
【渡邉委員】  よろしくお願いします。まず前回の発表でも言っていたんですけど、坂﨑委員の言っている現行3要領・指針を1つにしようというのは、気持ち的には、現場としてはやはりあるんですけど、その一方で、教育と福祉が一つになるというのはすごく大変なことだということもどこかで思っています。たとえば、共生社会といって障がい児の育ちのことも考えていくときに、私の孫がダウン症ということで、児童発達支援事業所をやろうと思ってはいるんですけれども、一人一人の子供に丁寧に関わることが共生社会であるといったときに、子供に園や学校が合わせていくというような、そんな幼児教育や保育をどう実現していくかっていうことは、相当に難しいことなんだろうなと思っています。
 そのときに、これは岸野委員の5枚目になると思うんですけれども、滋賀県の架け橋プログラムの事業で1年目というところに、僕はすごく共感できました。下のほうに、その過程の中で様々な衝突・葛藤・食い違いは大事で、例として、「ゴールありきで『どこが何をどのようにどこまで行うか』分業に向かう文化から、見えない未来を協働で探り創っていく文化へ」という形で書いてあります。文科省か厚労省か、県か市か教育委員会か福祉部局かというようなどこが何を担当するかという議論ではなく、そうではなくて本当に子供のことを考えようよというような、そういうような形で子供のことを考えるようになってほしいと思っています
 そのときに大事なのは、いろいろ違っていいんだ。でも、違っていいんだけれども、違ったところばかりを議論するわけではないし、分業で押しつけ合うわけでもなくて、対話が起こってきて、対話が本当に子供のことの学びになる。滋賀県のものは、本当に結構違っているんですけれども、違っていることをちゃんと認めながら、それが1つのほうになっていく。このようなプロセスを出し合わないと、多分1つになれない。子供のための1つの保育とか教育を考えるときに、すごく岸野委員の特にこの辺の滋賀県の変化とかには共感がありました。
 そういう意味では、指導計画とかカリキュラムというのも、そもそもこうあるべきだではなくて、子供の声を聞きながら、子供たちがこうしたいああしたいとか、そのような子供の声も聞きながら一緒につくっていくような指導計画とかカリキュラムのありようはどういうものなんだということを示せればと思っています。これを本当に幼児教育はしっかりやらないと、小学校教育のカリキュラムはもっと崩せないと思っています。
 学習指導要領ががちがちだったりとかという話になってくると、いやいや、幼児教育がここまで柔軟にやっている、小学校の先生もこんなに柔軟にすてきな実践があるというようなことを、それをつないでいくような形であれば、多分、これからの幼児教育とかそれから学校教育は未来が開けてくるし、令和の日本型教育に進んでいくと思います。これを分業的に、幼稚園はこんな形、保育園はこういう形でとか、認定こども園は幼保を一緒にした形にしてなどと、それぞれのセクションだったりいろいろなところで分かれて考えていく方向に行ってしまうと、やっぱり子供の育ちは1つにならない。そういう意味では、ここに今、課長さんとかこども家庭庁さんとかいろいろな立場の方が出ていられるので、日本の子供の育ちを1つにして考えませんかと。それ本気でやりませんかと訴えたいです。
 いい事例も大事だけれども、うまくいかなかった事例の中でよくなっていたとか、こういう岸野先生が提案されたような事例を大事にしていきながら、こうやってやっていくとここではうまくいったとか、私立幼稚園もこうやって外部の人が入ると変わっていったとか、それから、今、大豆生田先生も言われたけれども、いろいろな人たち、そのような人が公的か民間かも分からないけれども、アドバイザー的な人とかいろいろな人たちが現場に入りながら、こうやったら保育がうまくいったというようなその体制を行政側がバックアップしていく。そういう会議の成果の出していただけたら僕にとってはすごくうれしいです。それを本気になってやろうとする人たちが1人でも多く出てくれることを切に願っています。、そのことを感じた3人の提案でした。
 本当、3人の先生方、どうもありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございます。まさに、多分、委員の方々がうなずかれていて、我々が共有するところだと思うんですけれども。
 違いは違いとしてあるにしても、それをどう子供のために共通の方向を向いて調整し乗り越えていくかということと、最初からうまくいっているわけではないので、いろいろな困難があって、それは多分、別に、あるところが悪くて、別のところはよくてというより、それぞれのよさを追求しているんだけれども、それがあまりうまく通じ合わないところをどう対話するかだと思うので、本当に共感する御意見いただきまして、ありがとうございます。
 それでは、秋田委員、お願いします。
【秋田座長代理】  ありがとうございます。お三方それぞれの報告、今、渡邉先生が言われたような気持ちというのは、多くの方々が切実に思うところかなと私自身も思いながら伺っておりました。
 例えば、保育所保育指針では、職員の資質向上の話が指針の中に入っているわけですけれども、これからいろいろな人が関わっていく組織に園がなっていったときに、チームの中でどうやってやっていくのかということは、幼稚園、認定こども園、保育園といずれにおいても多分重要なことになってくるでしょうし、さらに、岸野先生が言われたような、いろいろなネットワーク型の研修というものが、園間をつなぐというところと、それから、幼小とか地域でネットワークを幼保小でつくっていくという上で極めて重要だろうなと思っています。
 私はミドルとかファシリテーターができる人だけの人材育成講座をやるよりも、この間お話しした例えば新潟県事例で、何年目になったのか、ずっと継続して参加していると、最初は面白い事例を持ってこられなかったりファシリもなかなか形式的でうまくいかないんだけれども、いろいろな場面で中堅の人をブレークアウトルームで全部ファシリテーターに充ててやっていくみたいなことが行われることによって、実はファシリテーターが若い人との付き合い方とかを学んでいきながら、実際にはそれが地域をつなぐ研修にもなっていったりしています。その研修に出た人がまた園に戻って、大豆生田先生が言われるような往還型の研修になるんだと思うんです。、自園の中でも提示された事例を通して研修をやっていく、それから、その実践動画がまた多様な形で、園が違うからこそその動画を見て学び合えるというようなネットワークがこれから施設の枠を超えて行われていくということが大変重要なのではないかと思っています。
 そのときに、幾つかのやり方があるなと思っています。例えば、福井県の場合は、実践記録を持ち寄るというような形であったり、それから、横浜市は、私は幼小の研修しか知らないんですけれども、事例の報告というんでしょうか、事例を持ち寄られて研修がなされている。私やCedepがやっているのは、数分の短い生ビデオを撮ってきて、それをみんなが自園でも見るしお互いに見るみたいな形にしたり、多分、今後、幼保小の中でも、対話をするための素材というんですかね、そこには幾つかのものがあっていいんだろうなと思っています。ただ、具体的に子供の姿が見えていくようなものがメディアが仲立ちとして間に入りながら、園と園を子供の話でつないでいくというようなことが極めて重要になっていくんだろうなと思います。
 そのときに大事なのは、やっぱり子供ってすごいねとか子供って面白いねという話題だと、園間を超えてとか幼保小を超えて、みんなが私はこの場面のここがやっぱり大事だとかいろいろなことを話されるので、そこが鍵になっていくんだろうと思っています。その子供の見方などをどうやって共有していくのかということが、別に見方が同じになるということではないんです。
 だけど、やっぱりこういう姿いいねとか面白いねということが、園間を超えて価値観として、子供主体の教育実践のイメージも様々だと思うんですけれども、地域の中でこういう姿をお互い目指したいというような価値やイメージが生み出されていくようなネットワークというものをどうやってつくっていくのかということが極めて重要です。ここにカリキュラムというものや、今、私は幾つかのところで一緒に接続期のカリキュラム、架け橋のカリキュラムというものに、一緒に議論しながらやってきているんですけれども、カリキュラムは経験カリキュラムとして後からついてくるというか、そこにこういう物語があって、年間とか2年間の育ちがこうだよねと、さっきの坂﨑先生が出してくださったようなものの紙の命題じゃなくて、そこの裏にいろいろな子供さんがおられて、個々の育ちの物語みたいなものがつながって架け橋のカリキュラムになっていくのかなと思っています。逆に私は若山先生に伺ってみたいのは、例えば、若山先生が園内で御指導されているカリキュラムと指導計画というものがあると、それと、小学校のところでの接続とか架け橋の話ってどういうふうに考えたらいいんだろうなということを伺ってみたいと思いました。
 また、坂﨑先生には、先ほどの表を使ったりしながら、じゃあ具体的にどういうふうにしてああいう紙のものと、それから、面白いのはリアルな特定の子供と文脈がついたところをお互いに共有しながら、そこで私はこう見えるとか、こうなんじゃない? とか、同じものを見ても見えないものが、お互いに多面的に見るから見えてくるわけで、そういうところをどうされているのかなということを伺ってみたいと思いました。
 また、岸野先生は実践記録というものをお互いに持ち寄るというような形のことを中心にされますが、でも、御自身は動画を撮られたり、いろいろなメディアを使って研修をされていると思うので、ネットワークをつくるということと、そこで仲立ちになる教材じゃないんだけれども、お互いに学び合う対象を、どういう形式のものだとどんなことが生まれると考えていらっしゃるのかをもし伺えると私も勉強になるなと思うので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。子供の面白さ、すごさを共有し、そこからカリキュラムをむしろ後追いでつくっていくということや、その際の協働の在り方ですが。御質問いただいた順番で、若山委員から、カリキュラムというのは幼さらに小でどうつながっていくか、どうやっていくかということですかね。
【若山委員】  ありがとうございます。まず、幼稚園、保育園、こども園でのカリキュラムの見直しといったときに、幼小接続のこともちょっと考えながらというのでしていることは、今日の発表にも入れさせていただいたんですが、年長児さんのカリキュラムとか指導計画の内容の部分、ねらいと内容から構成されますけれども、その内容の部分に「10の姿」からの見直しをする、加えていくということを意識的にしているところです。
 援助とか環境、構成も月案レベルでは具体的に書いていくことになると思うんですけれども、そこにも「10の姿」を考慮したものを入れていく。ねらいというものがあると思うので、そのねらいに合うように内容を設定していって、内容に「10の姿」のエッセンスを入れていくというか、そういう形で年長さんの特に後期のほうなんかは見直していくことが多いかなというふうに思います。
 そのことが、小学校の先生と一緒の合同研修みたいなものも参加させていただくことがあるんですけれども、そのときに、幼児教育のときには、年長さんで「10の姿」をこういうふうに指導というか保育をするときに意識して使っているということを伝えつつ、1年生の授業の特に最初のほうの春の授業のときに、「10の姿」を使ってどういうふうに一緒に導入なり言葉がけなり子供の捉えなりをしていけるかということを、「10の姿」を共通言語としてというんですかね、一緒に話していくということをしているところです。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。では、坂﨑委員に紙の表を頂いたわけだけれども、それをどうリアルな子供の様子とのつながりなど。
【坂﨑委員】  今、青森県の幼児教育アドバイザーをやっていて、架け橋のことをやらせていただいているんですけれども、基本的には、まず、今年2つやったことがあって、1つは、幼稚園、保育所、認定こども園の人たちに来ていただいて、自分たちの子供たちの学びをみんなで出し合っていくことが小学校にどうつながっていくのかについての研修会を1回やらせていただきました。もう1つは、多分皆さんどこでもやっているんだと思いますけれども、小学校の先生たちも集めながら、写真を見ながらお互いがお互いの学びを出していくことによってお互いの学びを知るということもやります。
 架け橋的には、私の場合は村で1校1園なので、、小学校に穴を空けてきちんと廊下をつなげて、小学校、中学校、こども園もみんな一緒の建物にしてしまいましたので、ある意味では非常に変わっている仕組みなんですが。基本的に、日常からたくさんの人たちに子供たちを見ていただくこと、公開保育とかそういうことに関わりなく平素を見ていただくことと、私たちが逆に言うと、様々な子供たちを連れていって、小学校や中学校の例えばお便りを持っていくとかそういうことなんかも含めて、平素の活動にしているというのは特殊な例なので、本来であると、そういう計画をして行うということなんだと思うんですけれども、私の場合は、それらを十数年間、特殊ではなくて普通のこととしてやっているので、それらは子供たちにとっては当然なことということに基本的になっています。
 幼児教育アドバイザーとしてやっていることと園としてやっていることはちょっと違うんですけれども、そういうような活動をしています。
 以上です。
【無藤座長】  具体的にありがとうございました。
 それでは、3番目、岸野委員から、実践記録持ち寄り、その他の在り方ですけれども。
【岸野委員】  ありがとうございます。おっしゃるように、様々なメディアが考えられると思います。実際、滋賀県も実は今年度は動画を作成しまして、そういった写真とか動画になると、その目のつけどころといいますか、撮った人のまなざしといったものが非常に学びになると思います。
 例えば、大縄の場面の映像があるんですけれども、多分、あまり丁寧に見ない人が見ると、ただ大縄を頑張って飛んでいるというふうにしかざっくりしか見取れないんだけれども、撮り手が丁寧に解説を加えていきます。一旦やろうとしたけれどもちょっと戸惑うとか、1人で1回やってみたんだけれども、やっぱりその後友達とも一緒にやり始めてというようなその微細なプロセス、それをどういうふうに追いかけているのか、その追いかけている人のまなざしから学ぶということが動画などできるなというふうに感じますし、写真などもそこが語られていくので、場面からそういった、どう子供を捉えているのか、どんなふうに考えているのかというところが見えやすくなるなというふうに思います。
 一方で、福井で実践記録を大事にしているというところは、その場面のことだけでない長いプロセス、どう始まって、あるいは、その場面の前にどんなことがあって、あるいは、この後どうなっていきそうなのかといったようなかなり長い展開を追いかけられるということが1つと、それから、先生が実践記録を書くことに、トレーニングという意味合いもあって、その文脈とかそこでの保育者の判断というのをより自覚化していく。そのときどういう場面で、どういう文脈があって、どういう場面というふうに自分がつかんできたのか、そこでどういう判断や思考を保育者としてしたからそういうことをしたのかといったことを、書き言葉にすることでより自覚化できる。そういった言語化したものを伝えていけるというところが大きな意味があるかなと思って取り組んでおります。
 そういう意味では、いろいろな状況とか場面に応じて使い分けていく、いろいろな方法を組み合わせるのが一番ベストだとは思うなというふうに感じているところです。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。動画の活用とか長期的な記録の生かし方ですね。
 それでは、次に、挙手をお願いいたしますが、どなたか。汐見委員、お願いします。
【汐見委員】  お三方、御報告ありがとうございました。それにちょっと関連してというか、その報告と併せて考えたことをちょっとお話しさせていただきます。
 一番なるほどなと思いながら、そう簡単にいかないなと思ったのは坂﨑さんのあれですね。3つの新要領が、教育・保育要領と3つの文書もできるだけ一本化していくというようなことができれば、それに越したことはないと思うんですが、その前に、ここを少なくとも克服していかないとそう簡単に一様にできないよ、一緒にできないよというのが、この間、指針要領ができてもう七、八年たってくると思うんですが、その間いろいろな検証をして、これが保育指針に入ってないから困ったなというのがたくさんあったんですよね。
 例えば、「カリキュラムマネジメント」という言葉は保育指針に入ってないんです。先ほどから、今の日本の保育・幼児教育は、結果を出すことを第一優先にするんじゃなくて、プロセスがどれだけ充実しているかという中に子供の育ちの大事なものが芽生えてくるというプロセス重視ですよね。だけど、プロセスを重視していくとなると、実際には、子供たちの思いつきだとか発想だとかいろいろなことを大事にしながら、当初書いた指導計画その他を柔軟に改編していくということが、どう柔軟に改編していけるかという辺りが実は保育者の力量になっていくんですが、そのことを表す言葉が実は保育指針にはないんです。
 それが例えば「カリキュラムマネジメント」というような形で言われたときにはピッと来るんですけれども、なかなか保育指針で「カリキュラム」という言葉を使うことがハードルが高いんですよね。
 それで、僕は、それに対応するような言葉がしっかりあって、そのことを考え合うことが保育者集団の大きな課題なんだということをやっていって、何のために子供のことをしっかり観察や把握して、そして、子供の願いみたいなものを把握しながら次の環境設定に生かしていくのかという、そのところを表すキーワードが僕は保育指針に必要だという感じが強くあるんですよね。
 それから、もう1つ、指針に入ってなくて別に説明しなきゃいけないという言葉が、「社会に開かれた教育課程」という言葉なんです。これも学習指導要領、それから幼稚園の教育要領ではキーワードの1つになっているんですけれども。例えば資質・能力。あれも苦労してつくった言葉だなと思っているんですが、3番目の資質・能力、今は学びに向かう人間性となってしまっているけれども、もともとの議論ではそうじゃなくて、「キーコンピテンシー」という言葉の中身に対応したものだったわけですよね。
 それは何かといったら、子供たちが社会の問題に深く関心を持ちながら、社会の中でどういう役割を果たしていくかということのために資質・能力というのを使うんだということで、「社会」という言葉がきちっと入っていたんですよね。だから、今の学びに向かう人間性については、「社会」という言葉が消えてしまっていて、社会の中で役に立つというようなことが実はあまり入ってないんですよ。
 幼稚園や保育園の中でどういうふうな人間像を描いていくのかといったときに、今、OECDとかユネスコなんかは、子供たちに社会の問題をしっかりと認識して、僕らだったらこう解決していくなというようなことをやっていかないともう保たないと考えていまして、例えば、OECDの場合は「エージェンシー」という言葉に変えてきていますよね。「エージェンシー」というのは、社会の中で役割を果たそうというような単純な意味なんですよね。
 それを先立って言っていたのは実は日本だと僕なんかは思っていて、それが「社会に開かれた教育課程」。「社会に開かれた教育課程」は3つの柱があって、その1つは、社会の中で社会の課題を解決するために幼稚園が何を果たせるかということを考えようというのが1番目の柱だったわけですよね。
 僕はそうしたら、「社会」と言うといきなり難しいことというふうに思いがちだけれども、そうじゃなくて、何のために学ぶかといったら、僕らはもっといい社会をつくるために学ぶんだというようなことがもう一歩はっきり入ったら、学ぶということの意図がはっきりすると思うんですよね。僕は文科省がそれを出したというときに、これは少しやりやすくなったと思っていたんだけれども、保育所保育指針は「社会に開かれた教育課程」という言葉はないんです。
 だから、どういう人間像を描いているんですかといったときに、皆さんの頭の中で勝手なことを人間像で描いても駄目なんだよと。この子たちがどういう時代に生きているのかということと、どういう時代を生きるのかということを考えて、だからこそこういうことを大事にしていこう、でも、それを親にも説明し、先生方も議論して、何度もそれを練り直していくということやらないと、先生方の勝手な意図というのが本当に勝手な意図になってしまったら意味ないんだから、そこのところを丁寧に説明していかなきゃいけないことで。
 だけれども、前回も僕は言ったんだけれども、保育する側がどういう願いを持って子供たちを育てていくのかということをそれなりしっかりと議論していかないと、放任になってしまうと思っているんですよ。だから、そういう意味で、「社会に開かれた教育課程」という言葉は、僕は保育指針がぜひ採用してほしい言葉だし、そういう言葉が、「教育課程」というのはなかなか使えないなら、それに対応するような言葉はやっぱりあったほうがいいと思っていて、幼稚園と保育園が少しでも近づいていくためには、それがキーかなと思います。
 もう1つ、逆に今度は、幼稚園がなくしてしまった言葉で保育園が大事にしている言葉が、それは「養護と教育を一体的に展開する」という言葉なんです。これは僕は幼稚園が取り組んでほしいというふうに思っているわけです。a
 もともと、「養護と教育を一体的に展開する」というのは、戦後、学校教育法の中に幼稚園を入れるかどうかということが議論になったときに、倉橋さんたちが頑張って入れさせたじゃないですか。それで最初に出てきた法案が、「幼稚園は幼児を教育し」という言葉だったわけです。それに対して倉橋さんたちは、これはまずいと。これは小学校のやり方を薄めてやっていくだけになってくる可能性があるので、幼児はそういうふうな言葉でない言葉で、それは何かといったら、保護しながら教育しなきゃ駄目なんだ。「保護教育」という言葉にしなきゃいけない。その「保護教育」を縮めて保育と言ったわけですね。
 保護しなけりゃ、つまり、失敗しても何しても大丈夫なんだよという、結果だけが大事なんじゃないというのは、そういうことを丁寧にやらないと幼児教育というのは成立しないということを言って、それでそのとおりやって、学校教育法も面白いので、「幼稚園は幼児を保育する」という条項があれば、次の条項には「教育する」になってしまっているわけですよ。
 その後、保育所がわーっとのしてきたときに、幼稚園は保育所と違うんだということで強調するので、1956年に「幼稚教育要領」という言葉にしてしまった。それから「保育」という言葉が幼稚園から消えていくじゃないですか。僕は幼稚園をもう一回「保育」に戻すべきだとずっと思っているわけです。それは、保護しながら教育するんです。そのことをかなり深めたのが実は保育指針で、1965年に作ったときに、それを「養護と教育を一体的に展開する」と言ったわけですよ。この「養護」というのは、子供たちを深く守りながら、私がどんなことをやったとしても、それを頭ごなしでいいとか悪いじゃなくて、その気持ちをまずしっかりと酌んだ上で、それをできるだけ肯定していこうとか、子供の主体性をできるだけ大事にしていこうとかというのが全部そこに書いてあるんです。
 僕は小学校もそういう意味では「保育」にすべきだと思っているわけです。保護教育すべきだ。だけど、幼稚園のほうは逆にそれを使わなくなったために、幼児教育なんだ幼児教育なんだということになって、保育ということの意味が伝わらなくなってと思っているんです。だから、それが、保育園は、「養護と教育を一体的に展開する」というのは保育の一番の肝なんですよと言っているんだけれども、それは保育園も幼稚園も変わらないんじゃないかと思っているわけです。ただ、その保護の仕方というものは年齢に応じて随分様々あるんだけれども。
 そういう意味で、僕は今3つだけ言いましたが、幼稚園教育要領、保育所保育指針、認定こども園教育・保育要領の中身をできるだけ一体化していくというふうになるのが理想だと思うんだけれども、法的な背景もあって簡単にできないと思うので、まず、今言った3つの言葉をできるだけ、今度、こども家庭庁時代になったら、それはできるだけお互いに取り入れていくというような形の整備をできないのかどうかという、それをちょっとお願いしたいというのがあります。
 さっき坂﨑さんが表を出してくださって、あれは気持ちはよく分かるんだけれども、あれは歴史的に違う背景で出てきたものを一緒に説明しようとしているためにかなり無理があるんですよね。1番目は、「養護と教育の一体的」の「養護」というのが出てきているわけです。「生命の保持と情緒の安定」と出てきているんですけれども、「生命の保持と情緒の安定」というのは、あらゆる保育活動、教育活動を通じて貫かなきゃいけない原理であって、それが生命の保持がこっちになっていくというようなことになっているのとちょっと違うんですよね。
 ですから、今申し上げたことをどこかで議論していただければというのが今日の僕のお願いです。
【無藤座長】  ありがとうございました。
 直接的に要領指針の共通化というか一体化というより、まずは、それぞれに十分でない概念を検討して、どうやってそれを補っていくかを考えるべきだという御指摘だと思うんです。
 例えば、「社会に開かれた教育課程」というのは、念のために申し上げれば、幼稚園教育要領は、今回の改訂では前文というのをつけてありますので、そこにかなり丁寧に説明して、「エージェンシー」という片仮名は入れていませんけれども、そこに該当するような見方にしてありますので、それとつなぐと、本文に入っての主体的な在り方というのが見えやすくなるんじゃないかなと私は理解しています。
 養護と教育をどういうふうに保育所また幼稚園でそれぞれにというときに、幼稚園の実際の実践では大事にしていると私は理解しますけれども、一応念のためにこれも申し上げれば、幼稚園教育要領では、第1章の第1で情緒の安定性というのが示されていて、これはかなり昔からそうなっているのは、つまり、幼稚園教育の言うなれば第一原則みたいなものもあって大事にしているんですけれども、「養護」という言い方をしていないということとか、安全については学校保健安全法で担保するという仕組みにしているとかということで分かりにくいので、そこら辺をどうするかというのは、この会議で議論できる部分とちょっと難しい部分と両方あると思いますけれども、さらに議論したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、高橋委員、お願いします。
【高橋委員】  3人の先生方の御発表、ありがとうございました。
 岸野先生のネットワークのお話、ありがとうございました。勉強になりました。校種の違いにより考え方の土俵が違うので、すり合わせや考え方が違っていいところ、こういうところが一緒だよねと共通理解をしていくことが大事であることは身にしみておりそこからが第一歩です。
 ネットワークを築くときに一番大事なのは、いろいろな人たちが必要感を持ってネットワークをつくること。目黒区の子供たちのために、地域の子供たちのために幼児教育の質を上げようと思うこと。必要感からネットワークを立ち上げたつながりは強い気持ちをもって推進することができると考えています。
 講師の先生から「遊びについて勉強をしよう」、「じゃあ今度は保育を見せ合おう」、「どういう指導計画ですか」、「どういう意図で環境の構成をしていますか」など、自分たちでネットワークを構成してどんどん築いていき、内容を検討していく。その時に必要感はとても大事だと感じています。
 学び合いだったり話合いだったり、そのプロセスは多様であっていいと思います。どの校種の先生たちも、保育園、こども園、幼稚園も子供たちの育ちが保障されることが大事だよねという共通の必要感が大事です。どの人も保育を充実させたいと思っていると思うので、その必要感がネットワーク構築の一番の基盤だと思います。
 指導計画については保育の質の評価にもつながりますし、学校評価にも自己評価にもつながっていきます。指導計画は幼稚園教育要領が改訂をされたときにどの国公立幼稚園・こども園でも見直しがされ、作成されました。「10の姿」をどのように具体化して、どのように保育に実際に反映させていくかというところがとても難しい。皆さん、先生たちがお話しされていたように、子供の姿からねらい、経験する内容などを組み立てて指導計画をつくるということが保育を考える上でも一番楽しいです。
 先ほどの汐見先生のお話にもございましたけれども、無藤先生のお話にもございましたように、養護と教育と保育というところは、用語は変えども、言葉は変えども、子供たちの安全、命、それから情緒の安定、安定感、「10の姿」へ向かっていく保育の充実というのは、幼稚園でも大事にしているところだと思っています。
 以上です。ありがとうございました。
【無藤座長】  ありがとうございました。研修のネットワークというのが、まずは、地域の子供たちに対する必要感といいますか、子供たちのためにということと、具体的な保育の姿を通しながら指導計画をみんなで考えるということで、指導計画は単に言葉だけのことではないものになっていくという、生み出す過程を大事にしたいという理解をしました。ありがとうございます。
 それでは、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  よろしくお願いいたします。3人の先生方、それぞれの地域に根づいた工夫された研修や活動、学びになりました。ありがとうございました。
 私は秋田先生がおっしゃったように子供観というのはすごく大きいなと思っていて、この子供観が、保育者がこういう研修や、福井県に関しては私も実は何度かお邪魔をさせていただいたことがあって、夜遅く保育所の先生方と一緒に集まって研修をしたりしていたそのときに、子供観を語り合う、こんなことがあったのよ、こんな子面白いでしょうというようなところは、保育者が話す、発信するということが、1つは、保育者が保育職を続けていく心の支えになるなというのをすごく感じていました。
 そういうことは逆に言うと、もう1つ、架け橋の中で言えば、子供観が変容することの大切さというのもあって、研修すること、語り合うことによって子供観が変容すると保育が変わる。おとなしいと思っていたんだけれども、あら、結構リーダーシップ取るねという、面白いねと、前に出てきたというようなそういうようなところから、じゃあ日々の保育の中でどうしていくというような保育が変わる。
 それを逆に言うと、小学校の先生が変わっていく。子供観が変わることによって、小学校教育が変わるというようなことになると、つながるといいなというふうに伺っていて思ったので、万が一というか、もし身近にそういう小学校の先生がこんなふうに変わりましたみたいな事例があったら、勇気づけられるので教えていただけたらと思っております。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございました。最後の小学校の話、時間があったら回すので、ちょっとお待ちください。
 例えば、小学校の方で、岸野委員、いかがですか。
【岸野委員】  ありがとうございます。私はちょうどスライドの5枚目のところにも様々細かく書いているんですけれども、例えば、例で書いてありますが、園での運動会の練習の姿を見たときに、小学校の先生がまさに、小学校では、夏休み明け、いかに仕上がるように練習させていくかという出来栄えとか見栄えのところばかり言ってしまったけれども、子供たちがこんなに自分たちで――次のページですかね。この一番下のほうですけれども、子供たちが自分たちで集団演技の動きとかテーマとかを決めて、自分たちで相談し合いながら考えてやっていく、そんな力が子供たちに備わっているのに、いかに出来栄えを重視して指導ばっかりに走っていたかということを非常に反省する先生方が小学校の先生方に多くいらっしゃって。
 子供たちはいろいろな力が園から育ってきているんだ、それを生かしていかなきゃいけないんだということをかなり具体のレベルで、お題目としてというよりは具体のレベルで、じゃあ何ができるだろうねというところを、見方を変えてくださったというようなところは、この事業をやりながら多く感じるところでした。
 そんなぐらいでも大丈夫でしょうか。すぐに出てくるのはそれくらいでしたが。
【無藤座長】  ありがとうございます。今40分ですから、10分ぐらいは御発言できるんですが、追加でいかがですか。例えば、秋田委員はいかがですか。小学校との関連で。
【秋田座長代理】  小学校との関連もなんですが、今言った別のことで。
【無藤座長】  それ以外でも。どうぞ。
【秋田座長代理】  先ほど坂﨑委員が言われたところで、要録という話があります。あれがみんな違うわけです。たしか佐世保市は、要録を幼保小の先生が、委員がどうやったらいいのかというのを語り合いながら一緒につくられたという事例を伺ったことがあるんです。一緒に参画するから、小学校の先生も読もうかと。単に送られてくるだけじゃなくて、こうあったらいいとかと思います。
 お互い理由があって今まで書式が違ったんですけれども、そういう形というのは、自治体、国が1つにできるのかどうかは、私はその辺の壁というのがどこまでどうなっているか分からないんですけれども、でも、送られてくるのがばらばらではない、そういう形の要録と、それから、要録だけでは見えないことが子供の育ちを語るというところなんだと思うので、そういうところをどういうふうに、バトンを渡していけるように、要録だけでは渡せない部分のバトンというものを、多分、架け橋のところでは、評定や短い文だけではない部分をどういうふうにしていくのか。それは紙の記録だけではないから、それをいつ頃の時期、1年間の中でもリズムがあると思うので、どの時期にどういう形で語るということが本当に子供たちにとって意味があるのかと思います。
 今、大体、研修は夏休みに1回、合同で全体でやられているみたいなところが多いんですけれども、もう少しその辺りを考えていくというようなことが、先ほどの坂﨑先生のお話とか、それから大豆生田先生が、定性的なというんですかね、ドキュメンテーションを含め評価の問題とお話しされたところとも、子供の評価と同時に、カリキュラムもまたそれによってお互いに振り返ったり見ていくというところにつながっていくのかなというふうに思います。
 小学校の話というのは、小学校の先生に私は、例えば、幼児教育の探究的なプロジェクトの話などを小学校の先生の研究会でしたり、その理念をお話ししたり、今はスロー・ペダゴジーという理念なんかを幼児教育はもっと深くたっぷり時間を使ってやっているんですよという話を小学校の先生にさせていただいたりすると、すごく分かるとかすごくいいとか皆さん言って、それから、幼小連携で小学校の1年生の実践が変わったりするという場所は見たりしています。
 そういう実践を、この頃、講演でお話を、今度は小学校の先生がこんなふうに実践が変わったんですよという話を幼小の先生や校長先生がいるところで、園長がいるところで話すとウケるというか、みんななるほどと思ってくださって、小学校の先生もこんなふうに幼小のおかげで変わったんですよみたいなところがいろいろな事例で大事かなというふうに、子供にとっては常に参加意識が必要だから、当事者意識というものを持っていろいろなことを着ていくことの事例などをお話ししています。例えば、この例をお話ししていいのか分かりませんけれども、私は、「何でもプランター」というものが千葉大の附属幼稚園から編み出され、いろいろなところで御紹介をしているのですが、園にあるプランターは、子供主体と言いながら、保育者が決めたものを埋めているだけじゃないのか、子供がみんなで自分で探究したり、まきたいものを持ってきたりしてまくと、こんなに観察をして、こういうふうに追及するんですよという話をすると、今度はアサガオを1年生で育てる先生が、「何でもプランター」じゃないんだけれども、どういう形でアサガオのこれまでの生活科を工夫をしたらいいのかに挑戦される。
 支柱を出さなかったら、ある1年生のクラスでは割り箸が出てきたんです。子供の発想で。割り箸ではつるが伸びたら駄目なんだけれども、先生がじっと見守ることで、こんな面白いことがあってすごいねみたいな、そういう授業が、今までのアサガオではやったことのないことを、幼児期の事例なんかを聞くことで先生が変わっていくみたいな話というのはいろいろあります。
 そういうお互いに幼児期も深い学びや遊び、それから小学校も、子供なりに形だけの授業じゃなくて深い探究なんかがあると面白くなるのかなと思います。それは多分、大豆生田先生もそういう事例をいろいろお持ちなんじゃないかと思ったりしますが、そういうことを自治体でもやれたり、附属とかを中核にやれたらいいのかなと思います。
 以上です。
【無藤座長】  ありがとうございます。すごく具体的な幼小のつながりを、やり方というんでしょうか、ありがとうございます。
 一応、念のために解説すると、要録というのは、幼稚園は学校教育ですので、教育課程の履修証明を卒園した子供にはというか、保護者には出す必要があるので、そのための情報を書くことが、これは法律的に規定されます。保育所の場合には、あくまで小学校への参考資料としてこれだけは書くということは極めて少ないですが、入れるべき情報はそうですけれども、具体的な書式は文科省、厚労省でそれぞれ出していますが、あれはあくまで参考とすべきものにすぎないので、各自治体なり、最終的には各園なんですけれども、で検討できますから、佐世保市の例でしょうか、いろいろ一緒に考えていただくということは全く好ましいことですね。
 その上で、別に要録という紙だけが情報交換ではないので、それを巡ってなり、さらに子供の様子や保育・授業の様子を伝え合うことはぜひ進めるということで、今は多くの人がなさっていると理解しています。ありがとうございました。
 おおむね時間に近づきまして、鍋田先生は御欠席というか、中途御欠席だそうですので、ここまででもよろしいですか。
 じゃあ、10分ほど時間があるんですけれども、今日はここまでにさせていただければと思います。
 では、最後に、一通りの御発言いただいたということで、なお、いろいろ意見があるとか、それから、今日はかなり具体的な研修等の資料的なことを加えていただきましたけれども、そういう指導的な資料とかその種のものもあれば、ぜひ事務局にメールその他でお寄せください。
 それでは、連絡事項を事務局よりお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】  委員の河合先生から、本日の先生方の資料を確認されて御意見をいただいておりますので。
【無藤座長】  そうでしたね。ごめんなさい。
【横田幼児教育企画官】  河合先生の御意見を御紹介させていただければと思います。
【無藤座長】  すいません。よろしくお願いします。
【横田幼児教育企画官】  今後、子供の学びや教育・保育は、学校種や設置主体などに関わらず、地域で語り、考え、自立的に進めていくことが重要であり、目指していく方向だと考えます。幼児教育の充実、地域の幼児教育施設の横のつながりや学校段階等間の接続、幼小にとどまらず、中、高、さらに地域を含めた縦のつながりを地域で進めていくための実践をお示しいただき、感謝いたします。
 幼児教育センターなどハブになる組織などの重要性、様々に行われている各研修が有機的につながり、最終的には、各幼児教育施設や小学校などにおいて教育・保育を自律的に改善していくことができ、それがまた地域に持ち寄られ、実践の質が高まっていくといった往還・循環の仕組みについて先進的な取組を広く共有することは、各地域における具現化に資することができると考えます。
 その際、共通の視点で語ることで生じる葛藤や対立なども含めて共有していくプロセスが相互理解にとって重要であること、その地域にある園や学校の持つ特性や資源を把握しつなげ、活用していくこと、持続可能な取組にしていくための工夫や成果などについて具体的に共有していくことも大切であると感じました。
 以上でございます。
【無藤座長】  ありがとうございます。ちょうど今日のまとめに期せずしてなったものだと理解しました。
 それでは、改めて、事務局より連絡事項をお願いします。
【横田幼児教育企画官】  次回の検討会は、資料4のとおり、3月11日月曜日、10時から12時を予定しております。次回についても、無藤座長から御指名のあった委員の先生方からの御発表をお願いしたいと考えております。発表をお願いする委員の皆様には改めて事務局より御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、3月に開催する第4回、第5回会議の御集結について、この後、事務局より御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤座長】  また2月に2回、3月に2回と忙しい会議で恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。また指名させていただきますので、今日のような形で、3名程度になるかもしれません、御発表いただいて、議論とさせていただきたいと思います。
 それでは、本日予定した議事はここで全て終了いたしました。これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――