「2030デジタル・ライブラリー」推進に関する検討会(第5回)議事録

1.日時

令和6年3月4日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館17階 17F1会議室 ※オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 新しい「デジタル・ライブラリー」の在り方について
  2. 学術情報流通に関する調査について(非公開)
  3. その他

4.出席者

委員

竹内主査、林主査代理、石田委員、大山委員、小山委員、杉田委員、西岡委員、松原委員

文部科学省

藤澤学術基盤整備室長、吉田参事官補佐、松林学術調査官

5.議事録

【竹内主査】  それでは、時間となりましたので、ただいまより第5回「2030デジタル・ライブラリー」推進に関する検討会を開催いたします。
 本日はハイブリッドでの開催となっております。報道関係者も含め、傍聴者の方にはオンラインで御参加いただいております。また、通信状況等に不具合が生じるなど続行できなかった場合、委員会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了解ください。
 まず、事務局より、本日の委員の出席状況、配付資料の確認とオンライン会議の注意事項の説明をお願いいたします。
【吉田参事官補佐】  本日の出欠でございますけれども、本日は、9名中8名の先生方が御出席でございます。日向委員が御欠席でございます。オンラインのほうで石田委員、小山委員、杉田委員に御出席いただいております。また、学術調査官の松林麻実子委員にも御出席いただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 資料に関しましては、議事次第以下、資料1から資料2、参考資料を御準備しております。また、非公開資料といたしまして資料3を御準備しておりますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして、オンライン会議の注意事項でございますけれども、通信の安定の確保のために、オンラインの先生方におかれましては、御発言時を除きましてマイクはミュート、ビデオはオンのままでお願いいたします。御発言の際は、手のアイコンまたは挙手ボタンをクリックして御連絡いただきまして、御指名された先生は御自身でミュートの解除の操作をお願いいたします。御発言の際には、まずお名前をおっしゃっていただきまして、ゆっくり、はっきり御発言いただけますようお願いいたします。
 現地で参加の先生方におかれましても、御発言時には挙手にてお知らせいただきまして、中央のマイクに向かいまして、まずはお名前をおっしゃっていただきまして、ゆっくり、はっきり御発言いただけますようお願いいたします。
 また、トラブル発生時には事務局までお申しつけください。
 事務局からは以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 それでは、事務局より、本日の傍聴登録について御報告をお願いいたします。
【吉田参事官補佐】  本日の傍聴登録は157名でございまして、報道関係者の皆さんの御登録もございます。
 なお、本日は録音・録画が入りますので、御承知おきいただきますようよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 それでは、審議に入りたいと思います。今回は、まず事務局より、これまでの議論を踏まえて新たに作成いたしました、新しい「デジタル・ライブラリー」の実現に向けたステートメントと、「『デジタル・ライブラリー』実現に向けたロードマップ(案)」の修正案についての御説明をいただきまして、それぞれ議論を進めたいと思います。
 なお、これらの審議の後に非公開での審議事項がございますことを御承知おきください。
 それでは、「オープンサイエンスの時代に相応しい『デジタル・ライブラリー』の実現に向けて」のステートメントについて、資料1に基づき、事務局より説明をお願いいたします。
【藤澤学術基盤整備室長】  事務局でございます。私のほうから、資料1について御説明させていただきます。
 では、こちらの資料、多分初めて御覧になられると思いますので、そのまま読み上げさせていただければと思います。
 「オープンサイエンスの時代に相応しい『デジタル・ライブラリー』の実現に向けて~2030年に向けた大学図書館のロードマップ~。
 2023年1月に公表された『オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方について』(審議のまとめ、科学技術・学術審議会情報委員会オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会)において示されたように、『大学図書館は、情報やデータ、知識が記録されることを前提として、大学における教育・研究の文脈においてそれらの発見可能性を高め、アクセスを保証し、また利活用できるようにすることで継続的に知が再生産されるようなシステムを維持するために存在』している。この本質的な認識の下、大学図書館はこれまでも技術・社会の変化に対応し、この本質を実現するための変革を行ってきたが、これからも知の再生産という使命を果たしていくため、今日では、オープンサイエンスとデータ駆動型研究の推進、教育のデジタル・トランスフォーメーションに即した機能的変化が求められている。
 この変化に対応して実現すべき大学図書館が『デジタル・ライブラリー』である。『デジタル・ライブラリー』の実現は、オープンサイエンスを実質化し、データ駆動型研究の基盤を提供するもので」、これ以降、文章を若干変えています。「我が国における研究成果の社会実装と研究力強化に寄与するものである。また、社会的要請であるリスキリングに対応して高等教育とその学修者が多様化する中で、いつでも、どこでも学ぶことを可能にし、学修者本位の質の高い教育・学修の実現に資するものでもある。
 本資料は、このような『デジタル・ライブラリー』の実現に向けた当面の目標である『2030年の大学図書館の望ましい姿』を具体的に描き、『実現に向けた課題』を整理した上で、大学図書館のみならず、国、大学、大学図書館関係団体等が目標の達成に向けて、何に取り組み、段階的に何を実現していくべきかをロードマップの形で示すものである。
 このロードマップにおいては、コンテンツの効果的な利活用に向けたデジタル化、大学図書館の論理構造としての『ライブラリー・スキーマ』の明確化とそれに基づく大学図書館機能の実装、オープンサイエンスに係る支援等、今後求められる新しい機能に対応しうる人材の育成と、育成された人材の適切な配置を実現する制度を優先的に取り組むべき領域とし、大学図書館等の連携を、これらを実現する上での有力な手段として位置付けている。なお、このロードマップは、今後の大学図書館を取り巻く状況の変化を踏まえて、適宜改訂を加えていくべきものである。
 ここに挙げられている課題は、大学図書館だけで取り組むものではない。大学全体の課題としてマネージメント層に認識されなければならず、大学図書館以外の部署との協働・連携が不可欠である。このロードマップを手掛かりとして、各大学において、それぞれのミッションに相応しい大学図書館の実現に向けた取り組みがなされることを期待する。
 2024年3月、「『2030デジタル・ライブラリー』推進に関する検討会」でございます。
 申し訳ございません。今、私も改めて読んでみて、少し言葉がおかしいと思うところが幾つかあったので、そこはまた事務的には直させていただきたいと思いますが、以上でございます。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局から御説明いただきました「オープンサイエンスの時代に相応しい『デジタル・ライブラリー』の実現に向けて」というステートメント案に対して、御質問、御意見等いただきたいと思います。御意見等ございますれば、挙手等でお知らせください。いかがでございましょうか。オンラインで御参加の方も積極的に御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 いきなり見ていただいているのでなかなか難しいかもしれませんが、趣旨としては、既に公表されている審議のまとめのエッセンスを持ってきたという形になっております。ただ、先ほど事務局からも御発言がありましたように、やや切り貼りをしているところがございまして、それにより、表現の硬さとか、あるいはつなぎの不適切な部分というのがまだ残っているという状況かと思います。その辺につきましてはいろいろ整理させていただくとしても、要素としての盛り込み方として、これでいいかどうかというようなことを中心に御意見いただければと思います。
 特にこのステートメントにつきましては、前回以前の会議におきまして、林委員から、これをいろんな方が見るということを想定して、いろんな方に訴えられるようにという御発言もございましたので、そういったことを若干意識しながら作っているものではありますけれども、まだ少し不十分というところもあるかと思いますので、ぜひ御意見をいただければと思います。いかがでございましょうか。では、小山委員、どうぞ。
【小山委員】  ありがとうございます。
 まず、ステートメントを作成いただきまして、ありがとうございました。また、御説明いただきまして、ありがとうございました。私からは、2つお願いします。
 1つは、1ページ目の冒頭部分で、審議のまとめの大学図書館の本質というか、大学図書館はこういうものであるという表現が、3行目右側から始まる部分、「大学図書館は、情報やデータ、知識が記録されることを前提として、大学における教育・研究の文脈においてそれらの発見可能性を高め、アクセスを保証し、また利活用できるようにすることで継続的に知が再生産されるようなシステムを維持するために存在している」とあります。デジタル・トランスフォーメーションという言葉の使い方は、同じく1ページの1段落目の下から2行目に「今日では、オープンサイエンスとデータ駆動型研究の推進、教育のデジタル・トランスフォーメーションに即した機能的変化が求められている」と書いてあります。審議のまとめでは、教育のデジタル・トランスフォーメーションだけではなくて、大学図書館そのもののデジタル・トランスフォーメーションというような文脈で描かれていたような気がします。デジタル・トランスフォーメーションというのが教育という部分でのみ注目されている点が気になりました。
 もう一つは、次の「この変化に対応して」で始まる段落の4行目、先ほど藤澤室長が修正されていますけれども、「及び」の後に「社会的要請であるリスキリングに対応して高等教育とその学修者が多様化する中で」というのがあります。リスキリングにかかわらず、例えば、コロナ禍を経て私たちは、教育・学修においてデジタル環境における様々なアドバンテージというか、いろいろなことを試しては、教育や学修にデジタル化というものを持ち込んだり、上手に活用したりということを経験してきましたし、これからもさらに必要になるのかなということを考えたときに、単純にリスキリングだけではないような気がしたので、そこも気になりました。
 以上2点です。ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。その辺は少し書きぶりを調整しないといけないかなと確かに思いました。ありがとうございます。
 そのほか、いかがでございましょうか。どなたからでも結構でございます。石田委員、どうぞ。
【石田委員】  石田です。作成いただきまして、ありがとうございました。
 私も今読んだ状態でございますので、あまり理解がいってない部分もあるかと思いますが、1段落目の最後で「オープンサイエンスとデータ駆動型研究の推進、教育のデジタル・トランスフォーメーションに即した機能的変化が求められている」と書いてあって、次からのところで「オープンサイエンスを実質化し、データ駆動型研究の基盤を提供するもの」を大学図書館が実現していくというところは分かりますが、やはり急にその後、「我が国に」から始まるところで、先ほど小山委員からもありましたリスキリングの話も、何となく唐突に出てきたような印象を受けました。すみません。的確に指摘ができない気もしているのですけれども、例えば「研究成果の社会実装と研究力強化」というのが、上で言っている「オープンサイエンスとデータ駆動型研究の推進」と同じ意味のことを言っているのか、それともまた違う方向性のことを言っているのかという辺りがよく分からないという印象でございます。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。この辺は、政策文書のキーワードを拾ってきているので若干つなぎが悪いという話だろうと思うのですけれども、その辺の書きぶりは少し修正をしないといけないと思います。たしか、「研究成果の社会実装と研究力強化」云々というのは、科学技術・イノベーション基本計画か何かの文言だったと思います。
 ほか、いかがでございましょうか。松原委員、どうぞ。
【松原委員】  松原です。
 大変細かいことですけれども、「このロードマップにおいては」というところで最後に3つの柱がありまして、その最後だけが、「実現する制度」というふうに終わっています。それ以外は、何かを実現するとか、何かをデジタル化するとか、いわゆるサ変名詞で終わっているので、表現のレベル感を合わせたほうがいいかと思います。言葉だけの問題ですけれども、例えば「配置の実現」であるとか、制度というところまでいくのでしたら「制度の創設」のような形で終わるとまとまりがいいかと思いました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりかと思います。特に3つ目については、「制度」で切れてしまうと、この制度をどうするのかということが見えないということかと思います。その辺は御提案も踏まえて修正をしたいと思います。
 ほか、いかがでございましょうか。では、大山委員、どうぞ。
【大山委員】  東京大学図書館の大山でございます。
 ステートメントの作成、ありがとうございます。この中でしっかりと、この問題は図書館だけではなくて大学全体、経営層に関係があると記していただいていまして、現場で働く者としては、非常にこの課題に取り組みやすいということで、感謝しております。
 その上で、このステートメントの位置づけですけれども、サブタイトルで「ロードマップ」と書いてあるので、これの位置づけとしては、この後、前回から議論しているロードマップと対になっていくもので、その前から議論していたマトリックス表との関係というのはどういう形になるものですか。全部セットでこの検討会で検討したものであると、まとめて公表していくということでしょうか。
【藤澤学術基盤整備室長】  マトリックスは、まず課題をまとめたものであるということでございます。この次に示すロードマップというのは、また後で説明しますけれども、それを2030年の望ましい姿から振り返って見てみるもので、さらにそれをまとめて整理したものがこちらの一枚物でございますので、どちらから議論を始めようか少し迷ったのですけれども、まずは全体のところで、こういう考え方を基に次のロードマップを見ていこうという動きかと思っています。マトリックスはもう我々の頭の整理という意識かと思っています。
【大山委員】  そういう意味では、成果物としては、ロードマップとこのステートメントが対になってということですね。
【藤澤学術基盤整備室長】  そうですね。
【竹内主査】  恐らく、資料としては3つ並ぶと思いますね。なので、このステートメントでいうと、「『2030年の大学図書館の望ましい姿』を具体的に描き、『実現に向けた課題』を整理した上で」というのがいわゆるマトリックスと呼んでいるものの部分であり、それに加えて、「大学図書館のみならず、国、大学、大学図書館関係団体等が目標の達成に向けて、何に取り組み、段階的に何を実現していくべきかをロードマップの形で示す」ということを言っていますので、課題をまとめたマトリックスとロードマップとこのステートメントはワンセットであるという位置づけになります。
【大山委員】  分かりました。
【竹内主査】  ほか、いかがでございましょうか。西岡委員、どうぞ。
【西岡委員】  国立情報学研究所の西岡です。このたびは、ステートメントという形でおまとめいただき、誠にありがとうございます。
 1点、細かい点ですが、2ページ目で、上のほうに「優先的に取り組むべき領域とし、大学図書館等の連携を」と書かれていますけれども、この「大学図書館等」の中には、マトリックスに具体的な組織名としてNDLやNIIという固有名詞が出てきていますけど、そういった機関も入ってくるという理解でよろしいでしょうか。
【藤澤学術基盤整備室長】  はい。ロードマップのほうでは、そことの整理・検討というのを書いていますので、そこも含めてという感じになろうかと思います。
【西岡委員】  分かりました。読み方によっては、大学図書館と学内部署とか、大学外の組織というように読み取ることが難しく感じました。
【藤澤学術基盤整備室長】  そういう意味では、確かに両方読める気はしますね。ありがとうございます。
【竹内主査】  立てつけといたしましては、マトリックスの中で4つの領域があったわけですよね。ロードマップにおいて優先すべき3つというのは、前回、議論していただきましたように、それぞれの領域の中で何を優先すべきかという議論を踏まえて選ばれているというか、記述されている3つであって、最後の(4)の大学図書館間の効果的な連携についてという部分については、これらの3つを実現する上での効果的な、有力な手段として位置づけるという整理をしたということでございます。なので、「大学図書館等の連携を」という部分がもしも誤解を生む可能性があるとしたら、ひょっとしたらマトリックスにある(4)の表現をそのまま使うとか、いろいろな工夫はできるかもしれないとは思います。
【西岡委員】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ほか、いかがでございましょうか。石田委員、どうぞ。
【石田委員】  度々すみません。九州大学の石田です。
 大学図書館等の連携のお話と、最後の段落は、大学の中でのマネージメント層とか他部署との連携というお話が書いてあります。私はそちらも非常に重要かと思っているのですが、今の書き方ですと、どちらかというと大学図書館等の連携の話が先に来ている感じに読めるかと思うのですが、それでいいのですよねという確認をさせていただきたいです。両方同等に入れるのは難しいとは思うのですけれども、我々の立場として、大学図書館等の連携のほうを重視していると読めてしまう形でも大丈夫ですよねということです。
【竹内主査】  それについては、この基本的な書きぶりが、実は審議のまとめの構造に従った書き方をしておりまして、主たる領域として4つが挙げられていて、それについて検討を加えたわけで、4つ目の領域についての位置づけを、上の3つの領域を実現するための方法というふうに位置づけている。そこがまず整理としてあるということです。その上で、その後に、今回のステートメントの最後の段落になりますけれども、これが審議のまとめにまとめられたもの、そして今回のこのロードマップ等々を全体として考える上で留意すべきこととして挙げられていたものをまとめているという位置づけになっておりますので、前に書いてあることと後ろに書いてあることの重要度の違いということとは少し違う論点になるかと思います。恐らく、どういう手段でやっていけば我々が取り組むべき「デジタル・ライブラリー」が実現できるかという話の中で、誰とどう組んでいくかということが2回書かれている形になっているので、そこが少し分かりづらいということかとは思いましたので、その辺りの書きぶりについては検討させていただきたいと思います。
【石田委員】  分かりました。私もどちらも重要だと思うので、ぜひそれが分かるような形になるといいかと思います。ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでございましょうか。ぜひ御発言いただいてない方には御発言をお願いしたいと思います。杉田委員、いかがでしょうか。
【杉田委員】  言葉尻ですが、1段落目に審議のまとめの中の言葉が引用されています。末尾のところに「継続的に知が再生産されるようなシステムを維持するために存在」、その2行下に「これからも知の再生産という使命を果たしていく」とあります。少し違和感を感じますのは「再生産」という言葉で、知の再生産というよりも、新しい知を生み出すというほうがふさわしいのではないかと思っております。審議のまとめでは「再生産されるようなシステムを維持するのが図書館の仕事である」と書いてあるので分かるのですけれども、知の再生産が図書館の使命というのが少し違和感があるのと、再生産じゃなくて、新たな知の生産こそどんと言うべきという感じがしました。
 すみません。抽象的な話です。
【竹内主査】  いえ、大変重要なポイントだと思います。ありがとうございます。
 ほか、いかがでございましょうか。
【林主査代理】  NISTEPの林です。
 皆さんが言ったことを整理するようなことしか言えないのですが、下から2段目、「本資料は」の段落のところで、「『実現に向けた課題』を整理した上で」を「した」で止めて、後ろのマトリックスを引用できるようにするということと、その下の「このロードマップにおいては」のポツとロードマップの対応が、これはわざとかもしれないですけど、少しずれているというのがやはり気になりました。というのは、図書館以外の方々にも読んでいただいたときに、なるべくこのペーパーとロードマップの整合性を保っておいたほうがより理解されやすいというサービスデザイン的な考えでコメントしました。
 まずは以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。その辺は、見せ方としては全くそのとおりかと思います。
 あと、このステートメントの中では、例えば審議のまとめの中で言っていた1大学1図書館にこだわらないとか、そういった幾つかの重要なキーワードが実はまだ入ってないという状況ですけれども、その辺りについてはいかがでしょうか。やはり、審議のまとめの中で言及されたそれらの要素というのはきちんと盛り込むべきでしょうか。それとも、なるべくシンプルな形にして、あまり長くしないほうがいいという、考え方が両方あるかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。小山委員、どうぞ。
【小山委員】  小山です。ありがとうございます。
 今、竹内主査からお話があった点については、先ほども石田委員からも議論がありましたけれども、実現する手段として連携というものをロードマップでは位置づけたというお話でしたので、特段、ここにはっきりと、1大学だけじゃなくて複数の大学で実現すると書かなくてもいいのかなと私は思います。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 その他、いかがでございましょうか。いやいや、これは書いたほうがいいという御意見があれば、ぜひお願いしたいのですが。あまり個人的な意見を言ってはいけないのですけれども、1大学1図書館じゃなくてもいいというのはかなり大きなコンセプトなので、私は入れるべきかと実は思っているのですけれども、その辺いかがでしょうか。これについては、どうも単なる手段ではない気がするのですけど。ぜひ御意見をいただければと思います。いかがでしょう。石田委員、どうぞ。
【石田委員】  度々すみません。九州大学の石田です。
 今の主査からのコメントは、かなり大きな変化の話になってしまうので、入れるとしたら、さらりと入れるという感じにはならないのかなという気はいたしました。あと、書き方によっては、こちらが自己解体を勧めているようにも取られかねないので、そういう意味で、1大学だけではないというよりも、連携をもう少し強化するというような書き方で表現したほうが少し安全かという気はいたしました。もう少し思い切って書くということであれば、そういう形でもいいのかなとは思いますが、コンセプトとして入れるのは賛成ですけれども、少し書き方を工夫する必要があるかと思いました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。審議のまとめであれば、前後の文脈がありますから、それが何を意味しているのかがよく伝わるし、また、マトリックスのほうでも、かなり丁寧に書いていただいているので、そこを読んでいただければどういう理念かは分かるのですが、そこだけ切り取って、もう図書館は要らないというふうに受け取られてしまうリスクは確かにあるということだろうと思います。
 いろいろ御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、また何かございましたら後ほど御意見いただくことにして、ロードマップのほうに移りたいと思います。
 続きまして、「『デジタル・ライブラリー』推進に向けたロードマップ(案)」について、これもまず事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【藤澤学術基盤整備室長】  前回のマトリックスをベースに、ロードマップということで作らせていただいております。
 まず、右側のほう、2030年の望ましい大学図書館像というところは、それぞれ中核となるところを選び出して、こちらにはめています。そこから、では具体にどうしていくかというのを見ていっているものでございます。大きくは、連携を除いた「サービス」、「場」、「人材」というところからです。
 まず2024年度につきましては、基本、調査を行うという形で書いています。一方で、「場」や「人材」につきましては、実際の課題の整理や検討が行われているところもあるかと思いますので、そういったところとの連携を深めていって調査、整理していけばいいかと書いているところでございます。
 2025年度からは、その調査を踏まえた検討を行うという形で書いています。ただ、支援機能・サービスのOAのところについては、即時OA義務化準備ということで一つの大きな固まりで入れているところでございます。
 さらに、ちょうど2025年と2026年のところでオレンジ色の線を引いていますけれども、2026年度から第7期科学技術・イノベーション基本計画が新たに始まるという形でございます。そこから、「場」や「人材」につきましては、実証、試行していくという形を取って、最終的な目標、2030年の望ましい図書館はこうあるべきだというところで試行を重ねていきたいと思っております。
 あとは、特に「支援機能・サービス」のところであれば、国立国会図書館とかとの連携の方策も考えていかなければいけないと書いているところでございます。
 つくりとしては、このような感じです。
 あと、「サービス」のところは、大きくコンテンツのデジタル化とオープンアクセス、場のところは基本、「ライブラリー・スキーマ」を中心に考えていく。「人材」のところも、育成と人事制度。それを踏まえて、一つになって2026年度以降、試行していくという絵を描いているところでございます。
 簡単ではございますが、以上です。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 先ほど、この領域についてどのように考えるかということがございましたけれども、ステートメントとの書きぶりということですが、前回の議論でございましたように、1つ目の支援機能・サービスについては、やはりコンテンツのデジタル化というのが優先すべき重要な課題だということになっております。ここでコンテンツのデジタル化とオープンアクセスという2つの領域がつくられておりますけれども、これをもう少し丁寧に説明すると、過去の出版物等々の過去のコンテンツをデジタイズするというのが一つ大きな流れで、それがコンテンツのデジタル化というところにあって、オープンアクセスというのはこれから生産されていくコンテンツの話というふうに一応、整理をしていただいているものです。
 2番目の「ライブラリー・スキーマ」というところは、これはもう「スキーマの明確化とそれに基づく大学図書館機能の実装」ということになっている部分で、ラベルとして「ライブラリー・スキーマ」が当てはめられているということがあります。
 最後の人材のところは、人材については育成と制度の実現、創設、その領域が2つあるという理解で、このロードマップは整理をしていただいたということになっています。
 要素としてはマトリックスとしてまとめられているものをベースとして入れていただいていますけれども、これまでの議論にございましたように、審議のまとめ以降に明らかになった課題の部分も組み込まれておりますし、また、オープンアクセスという言葉が代表しているように、いわゆる学術研究の成果としての論文等々については、審議のまとめの中には記述してこなかったわけですけれども、大きなアクティビティーというか検討すべき領域としてあるわけですので、その部分についての内容は、審議のまとめ外で行われてきた議論あるいは今、政策として実行されようとしていることが反映されているというふうに御理解をいただければと思います。
 というところで、何かお気づきのこと等を御指摘いただければと思います。御意見、御質問でも結構でございます。では、西岡委員、どうぞ。
【西岡委員】  国立情報学研究所の西岡です。
 また少し細かい点になりますが、3の人材のところで、それぞれ人材育成と人事制度というものがありまして、2024年と2025年に「調査・整理・検討【国公私立大学図書館関連団体】」とあるのですけれども、特に検討の部分とかについては、先ほどのステートメントにも「大学全体の課題としてマネージメント層に認識されなければならない」といった文言を入れていただいたように、図書館関連団体だけではなくて、大学関係の団体、例えば国立大学協会とかになるのか、すみません、少し勉強不足なもので分からないところがありますが、そういった機関とも一緒に取り組んでいくべきではないかと感じました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。では事務局からお願いします。
【藤澤学術基盤整備室長】  事務局です。
 人材育成につきましては、筑波大学を中心に長期研修をしたりとか、今、実際にされているところがございますので、そういった研修制度とうまく連携を図ったり、制度はどういった形がいいのか検討していきたいという意味で書いているものでございます。
【西岡委員】  ありがとうございます。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 大きな枠組みも含めて、これはおかしいのではないかとか、こういったことを盛り込むべきではないかといったようなことについて御意見いただければと思います。では最初に、松原委員、お願いいたします。その次に、小山委員、お願いします。
【松原委員】  松原です。
 先ほど全体のステートメントでも最後に議論があった、大学図書館間の連携は、今回、キーとなる概念だと思うのですが、このロードマップにおいては比較的その色が薄いという印象がありまして、それをどう盛り込んでいくかという課題があるかと思います。一見したところでは、人材のところの実証実験という形で1大学1図書館があると思うのですけれども、1大学1図書館というキーワードは大きなインパクトがある一方で、1大学1図書館ということに限らず、図書館の中にある様々な機能を複数の大学で共用しますとか、そういう広い意味だと思うのです。そうすると、1大学1図書館ということだけが取り上げられると、例えば2つの大学で1図書館にまとめて1個にしますとか、そういう話だけが先行することになります。そこのところが、ステートメントもそうですけど、上記のようなニュアンスで語られるとロードマップとしては機能するのかなと思っています。
 ですから、人材のところだけじゃなくて、「ライブラリー・スキーマ」でも、例えばこういった複合的な空間を描くことによって、複数の図書館が連合した形の、物理的な制約が外されることによって、そういった連携は容易になりますし、いろんなコンテンツも、例えばリポジトリという話でもそれを共用するとか、そういうところが連携のあるべき姿だと思うので、そういったところが1、2、3で出てくると、推し進められやすいと思いました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。大変重要な御指摘だったと思います。当初、ステートメントで言っている「大学図書館等の連携を、これらを実現する上での有力な手段として位置付けている」というのはまさに今、松原委員から御説明があったようなことでして、このロードマップの中のそれぞれの要素、3つの要素の中に、もっと大学図書館間あるいはほかの機関も含めた連携によってこれができるということを具体的に盛り込んでいくことが重要であるということは、もうまさにそのとおりでございます。それはまだ書きぶりが十分じゃなかったということだろうと思います。
 では、お待たせいたしました。小山委員、お願いいたします。
【小山委員】  ありがとうございます。小山です。
 私からは3つです。今、松原委員からのお話もあった点につきましては、私も最初にこのロードマップを見たときに、1、2、3、支援機能・サービス、場、人材の3つしかなくて、連携はどこに行ったのかと考えていたのですけれども、最初のステートメントを読み、また、竹内主査からお話をいただき、それがこの中に溶け込んでいるというふうに、ある意味すんなりと受け入れたというか、理解をすることができました。例えば、1の支援機能・サービスの2027年、2028年にある実証研究・試行というところはまさに、みんなで協力して取り組むべき課題だと考えておりましたので、これまでも行ってきましたし、これからも当然行うべきものだと考えたので納得をしたというところでございます。
 その上で、藤澤室長に1つ確認したいのですけれども、先ほど表の一番右側、2030年の望ましい大学図書館に記されている項目というのはあくまで主たるものを記したのであって、これが全てではないとおっしゃっていましたけれども、その理解でよろしいでしょうか。これは前回、私が申し上げましたが、紙の資料はどう扱うのかということについて、マトリックスでは少しだけ書いてあって、右側のあるべき姿のところには書いてないけれども、入れたほうがいいのではないかと発言し、それはもう当然やるべきことですよねと竹内主査からお話があったので、ここに特に書かなくてもやるべきことはやるという理解でよろしいのかということを確認したく、まずこれが1点目です。
 このまま続けてもよろしいでしょうか。
【竹内主査】  どうぞ。
【小山委員】  2つ目が、同じく支援機能・サービスの2025年、2026年の一番下にある整理・検討の中に、2つ目の中点で「国際的なシステムとの連携や多様な識別子とのひもづけ等高度な研究データ検索システムの開発・実働」とございます。もちろん研究データ検索システムの開発・実働というのはとても大切ですけれども、多様な識別子云々とか国際的なシステムとの連携ということを考えたときに、研究データだけではなくて、もっと幅広い、いわゆる学術情報というものが想定されるのかと、私は最初、読んでいって思ったのですけれども、もちろん以前から皆さんと一緒に取り組んでおりますマトリックス、あるいは審議のまとめではこのような書き方になっているので、それをそのまま持っていらっしゃったのかなと思うのですが、もう少し幅広く考えてもいいのかなと感じました。
 3つ目ですけれども、1つ目の支援機能・サービスと2番目の場の「ライブラリー・スキーマ」とも関わるのですが、例えば研究に関してはすごく多様な、あるいは詳細な指摘があるのですけれども、教育・学修の面において、「デジタル・ライブラリー」によって実現できるであろう新たな大学図書館というものがどういう形になるのかと考えたときに、今あるいはこれからどんなふうに教育が行われるであろうといったところの調査がどういうふうに、そういったニーズがこのロードマップの中に含まれているのかというのが、多分この辺りなんだろうなというのは何となく見えるのですけれども、教育方法とか教育の今後みたいなことも何かあってもいいのかなというのを少し感じました。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 では、まず事務局側から御回答いただきたいと思います。
【藤澤学術基盤整備室長】  先ほど委員からお話がございました2030年の望ましい大学図書館像というのは、繰り返しになりますけれども、中核となるところを選んでいるだけであって、もちろんやるべきことはやるのかなと思っています。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 今の小山委員の御発言で私が確認したかったのは最後のところですけれども、教育に関することについて何らかの書き込みをするということ自体は何の異論もないのですけれども、教育の方法とか何とかということについて調査するというのは、いわゆる図書館の利用云々とか、あるいは利用者のニーズということではなくて、教育そのものがどう変わっていくかの調査をするということでしょうか。
【小山委員】  小山です。
 この利用者の中にどの範囲まで含まれているのかにもよるかと思うのですけれども、教員が一体どういうふうなリソースを使って、どんな方法を使って教育をしていて、どんなところに課題を抱えていて、だからこそ、この部分については図書館が支援できるのではないかといったようなことが何か見えてくるかと考えたときに、例えば2番の「ライブラリー・スキーマ」の調査と書いてあるところの国内利用者実態調査(利用行動、ニーズ)というのは、どちらかというと利用者、つまり学生とか研究者が図書館を利用するみたいなイメージを持ってしまったので、教育をするときに図書館を使うとか、教育をするときに図書館員と協力をするといったようなパターンが様々考えられるかなと思ったので、そのような発言をしました。
 以上です。
【竹内主査】  ポイントとしては分かりました。
 では、石田委員、お願いいたします。
【石田委員】  九州大学の石田です。
 非常に細かい点になるのですけれども、1つは、オープンアクセスの調査のところで海外のOA推進の施策というのがあるのですが、もちろんこれは含まれているのかもしれませんけれども、施策面だけではなくて、例えば各大学もしくは大学図書館等で行われているオープンアクセスを推進するためのサービスも先行事例として調査する意味があると思っていますので、そこもぜひ入れていただきたいと思います。また、各国の間でもそういった連携というのもあったりすると思いますので、それもぜひ含めていただきたいというのがあります。
 2つ目ですが、言葉尻の問題で申し訳ないのですけれども、同じオープンサイエンスの2027年、2028年のところで「自動収載・自動検索システムを搭載した」と書いてあるのですけれども、自動検索システムって何かおかしい感じがするので、「自動」はせめて抜いていただけるといい気がいたしました。
 それと、括弧書きですが、「(AI等)を活用した」と書いてあるのですが、もちろん新しいシステムの開発と試験運用をするのはいいのですが、ここでAIを入れますかというのは若干気になりました。別にAIにこだわらないということではいいですけれども、特に強いコメントではないですけど、少し書き過ぎな印象を持ちました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。では、松原委員、お願いいたします。
【松原委員】  松原です。
 今、石田委員のほうからAI等とありまして、私は、この2027年、2028年というところに、むしろ「(AI等)」というのを入れていただくのが一つの方向性としてあるのかなと思っています。一つの見解ではありますが、図書館の一つの役割として、質的な情報の収載というものが強く機能してきたと思っていまして、それは役割として非常に重要だと思うのですけれども、今後は、やはり量的な側面もフォーカスし、質と量双方の機能を持つというのが重要かなと思います。一方で、量といったときに、ごみのような情報が集まるのはよくないのですが、そういった選別をAI技術に求めることによって、その両方を兼ね備えたところを目指すというのは一つの在り方かと思っていまして、あえて意見させていただいたということでございます。
 あともう1点、これは言葉だけの話になってしまうのですけれども、オープンアクセスのところで「即時OA義務化準備」とか「管理体制の準備」というのがあって、この「準備」という言葉と2025年の「OA義務化」というところに矛盾を感じます。現実的に簡単に準備できるものではないというのは分かるのですけれども、ここに「準備」と入れてしまうと、まだやらなくていいことのような印象を与えかねないと思いまして、例えば「整備」のような言葉のほうがよいかと思いました。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。大変的確な御指摘ありがとうございます。
 「AI」という言葉を書くべきなのかどうかというところで、今、お二方の委員から賛否があったわけでございますけれども、この辺はどうですかね。これが今、作られて、図書館関係以外の方も御覧になるということを考えたときに、やはり「AI」という言葉は、私は含まれているほうがいいかなという印象は持っております。もちろん、記述の正確さということで言えば、必ずしもそうではないという御意見はあると思うのですけれども、訴えかけの度合いということを考えたときには、「AI」という言葉は、私はあるほうがいいかなという印象を持ちました。
 ほか、いかがでございましょうか。では、先ほどからお待ちの杉田委員、先にお願いします。
【杉田委員】  2点。1つは質問というより、きちんと定義しておく必要があるのではないかと思った点です。場というところで「利用者」という言葉が出てきます。この「利用者」という言葉を、私たちは来館利用者、資料の利用者という意味で使うのか、それとも大学の構成員全体、奉仕対象全体を指して言うのか、どういう理解をすればいいのかなと思いました。
 もう一つは、「ライブラリー・スキーマ」というのが2の場というところにくっついていますけれども、この場というのが箱物としての図書館ということだとすると、そこに「ライブラリー・スキーマ」という言葉を用いるのは、少し「ライブラリー・スキーマ」を矮小化してしまうのではないかと思いました。「ライブラリー・スキーマ」という言葉においては、上の赤いところや下の青いところも含めて受皿となるような議論をしなければいけない気がします。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございました。
 では、石田委員からまず御発言いただいてから、今の杉田委員の御発言についても議論したいと思います。石田委員、どうぞ。
【石田委員】  九州大学の石田です。
 先ほどの2027年、2028年のところの「(AI等)」を入れるか、入れないかということですが、私は意見を申し上げた立場なので反応としてコメントさせていただくと、入れていただく方向で異論はございません。この2年で開発できるのかしらという心配があったものですから申し上げましたけれども、そういった意気込み、心持ちで開発するという意思表明だと思えば何ら異存はありませんので、このままにしてくださって構いません。
 以上です。
【竹内主査】  ありがとうございます。こういうロードマップは書き方がすごく難しくて、しかも長い年数があって、なおかつ将来どうなっているか分からないことを書いていますから、その書きぶりというのはやはりある程度イメージとして捉えられるということであって、実際にこの年どおりにきっちりここから始めますということでは多分ないと思うのですね。なので、本来であれば、そもそもこのロードマップを作るときの意図としてあったバックキャスト的な書き方ということを考えると、何をやるかよりも、これが達成できているということをある程度書いていくほうが、本当はバックキャスト的だろうと思います。とはいえ、そもそも2030年の望ましい大学図書館として描かれているものがかなり抽象的なものですので、それをバックキャスト的に書いたときに何%がどれくらいできているかということを書くのはかなり難しいというのも正直なところでして、そういったことを意識していきながら、2030年の望ましい大学図書館の具体的イメージに到達するには、恐らくこれくらいの時期にはこういったことをきちんと考えていないといけないということを、一応、年の形でちりばめたというようなものであると御理解いただきたいと思います。
 というところで、このロードマップの見方という基本的なところに戻ってしまったのですけれども、杉田委員から御発言のあったところですが、この「利用者」というのは、恐らく大学構成員全体という理解でよろしいのではないかと思います。
 それから、場と「ライブラリー・スキーマ」というラベリングの問題は、スペースとかいろいろあるのと、もう一つは、そもそもの審議のまとめの立てつけに若干制約されているところがありまして、こういうふうに見えているわけですけれども、「ライブラリー・スキーマ」に関しましては、先ほどのステートメントにあったように、「大学図書館の論理構造としての『ライブラリー・スキーマ』の明確化とそれに基づく大学図書館機能の実装」というのが、2で実現したいと考えていることです。これは、先ほど申し上げたとおり、1と2と3と挙がっているのはもともとの審議のまとめの大きな課題設定の枠組みで、その中で何を重点として取り上げるかということで「ライブラリー・スキーマ」を取り上げたということであって、この場というのが物理的な場に限定されたものではないというのは、これまでの議論からそうなっていると御理解いただきたいと思います。
 杉田委員、それでよろしいでしょうか。
【杉田委員】  場というラベルと不釣合いな感じがやはり少ししますけれども、経緯としては承知いたしました。
【竹内主査】  このラベルとステートメントの書きぶりの不整合というのは先ほど林委員からも御指摘のあったところですので、書きぶりについては少し事務局と相談をしたいと思います。ありがとうございます。
 では、林委員、どうぞ。
【林主査代理】  杉田委員の利用者の話と連携の話と関連して、2の「ライブラリー・スキーマ」の一番右側の望ましい大学図書館の像の2ポツ目、「大学図書館が物理的な場の域を超え、学内のいたるところへコンテンツを提供できる環境が大学全体でデザイン・整備」できる、これは何もいとわないというか当然なのですが、これをやった上で、必要に応じて学外とコンテンツやサービスを共有できるというのが図書館連携とか、デジタル、バーチャルの空間を含めた必要なビジョンだと思うので、それを入れたいと個人的には思うのですが、それを入れるとここの並びの整合性が少し崩れるのかどうなのか、杉田委員の言う利用者は誰かという話とも微妙に関連するので、まとめて投げかけてみます。
【竹内主査】  ありがとうございます。オープンサイエンスの中にシチズンサイエンスという要素が関わってくると、恐らく今の林委員の、利用者とは一体誰かという御疑問と密接に関わってくるというふうに思います。
【林主査代理】  念のため、その手前の大学間連携でサービスを共有するみたいなことも今後バーチャルであり得るとしたら、そのほうがより現実的かなと思っております。シチズンサイエンスに行く前に。シチズンサイエンスはもちろんなのですけれども。
【竹内主査】  もちろんオープンアクセスの理念を追求していけば、そのコンテンツのユーザー、利用者は大学の構成員だけとは限らないというのは全く当たり前の話として出てくるわけですけれども、ただ、その文脈で捉えられる利用者と、それから今この「ライブラリー・スキーマ」についての議論で捉えられる利用者というのは少し違うのではないかという気がいたします。
【林主査代理】  議論の投げかけみたいな意味です。
【竹内主査】  キャンパスを前提とした利用者を考えれば大学の構成員、一つの大学から見れば大学の構成員ということになると思うのですが、情報そのものの利用者という観点で見た場合にはそれにはこだわらない、限定できないという話で、非常にコンテクストによって多義的に取られてしまうものをどのように整理していくかということかと思いました。その辺りは誤解のないようにしたいと思います。ありがとうございます。
 大山委員、どうぞ。
【大山委員】  東京大学図書館の大山でございます。内容というよりは、形の問題ですけれども、それぞれ実行していく主体が何かというところで、例えば一番上のコンテンツのデジタル化で言えば、2025年、2026年の黒字である整理・検討の辺りとか、この黒字のところが各大学、大学図書館なのかと取りました。
 下の緑は、そういった団体とか特定の機関がやるということと、2024年でいえば、この青字、調査のところはそういった個別の大学を超えたところでの取組と取ったのですけれども、なかなかその辺の主体が、誰が何をやるべきか、大学図書館で言えば、自分たちはどこをやっていくというのが分かる形になっていると、非常にこれを活用しやすい。
 ぱっと見だけじゃなくて、よくよく読んでいけば、自分たちが何をすべきかというのは分かるかとは思うのですけれども、特に図書館以外の人たちにも見せるものというところであれば、その辺の主体が分かる表現が何か工夫できるといいかと思いました。
【竹内主査】  ありがとうございます。その辺はかなり難しいかと思ってはいます。
【藤澤学術基盤整備室長】  まさに今、大山委員がおっしゃったように色分けしている形であります。見せ方は確かに難しいなと思います。ありがとうございます。
【竹内主査】  黒い部分というのは各大学がということは想定されているところだと思いますけれども、それでもなかなか難しいところもあるし、また、関係団体からも、「そんなこと言われたって」という話は多分あると思います。その辺は正直申し上げて、現時点でこれに関わる人たちとの間の十分なコミュニケーションが成立しているわけではございませんので、あくまでもこの検討会としてこう考えているというものであって、様々な状況によって、当然改訂をしていくということになります。2024年の調査の結果とか様々なものを踏まえて、誰がやるのが一番ふさわしいのかということも含めて、改定が進んでいくものだと御理解いただけるかと思います。ありがとうございました。
 ほか、いかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、本日皆様方からいただいた御意見につきましては、まず事務局において整理をさせていただきまして、その後につきましては、大変勝手ながら主査に御一任いただくという形にさせていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
 ありがとうございました。それでは、そのような形とさせていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、オープンアクセス・デジタル・ライブラリーの関係調査について、引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
 冒頭にもお伝えしておりますけれども、ここからの審議は非公開ということにさせていただきたいと思いますので、御了解ください。

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