看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第2回)議事録

1.日時

令和6年2月1日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省(東京都千代田区霞が関3-2-2) ※対面・WEB会議の併用

3.議題

  1. 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に向けた調査研究の経過報告
  2. その他

4.出席者

委員

鎌倉委員長、秋山委員、阿真委員、叶谷委員、釜萢委員、諏訪委員、臺委員、高田委員、田母神委員、錦織委員、馬場委員、堀内委員

文部科学省

俵医学教育課長、堀岡企画官、渡邉看護教育専門官、菊池課長補佐 他

オブザーバー

厚生労働省医政局 習田看護課長

5.議事録

【鎌倉委員長】  定刻となりましたので,ただいまから看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会(第2回)を開催いたします。
 本日の有識者会議は,傍聴者にYouTubeにてライブ配信をしております。
 まずは,事務局から本日の出席状況,配付資料等の確認をお願いいたします。
【渡邉専門官】  事務局でございます。本日,出席状況でございますけれども,武村委員より本日欠席の御連絡を受けており,委員12名の御出席となっております。
 また,オブザーバーとして,厚生労働省医政局看護課,習田課長に御出席いただいております。また,説明者として,看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向けた調査研究の事業責任者である東邦大学,荒木先生に出席いただいております。
 続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては,会議次第に記載のとおりでございます。配付資料,資料1から4までございます。また,参考資料として1から3までございます。オンラインで御参加の委員の皆様には,事前にメールにてお送りしております。何か不足等ございます場合には事務局にお知らせください。なお,資料におきましては,文部科学省のホームページでも公表いたしております。
 また,本日の議題でございます。会議次第にありますとおり,1,看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に向けた調査研究の経過報告,2,その他となっております。
 以上でございます。
【鎌倉委員長】  これより,議題に沿って,看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に向けた調査研究の経過報告について御説明いただきたいと思います。
 まずは,看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂の経過報告について,事務局から説明をお願いいたします。
【渡邉専門官】  事務局から御説明させていただきます。画面を共有いたします。資料1を御覧いただきながらお聞きください。資料1でございますけれども,全体の構成といたしましては,第1回委員会の内容と同じところが多くございますので,時間の関係で,参照いただきながらお話を進めてまいりたいと思います。
 まず初めには,医学,歯学,薬学,看護学のコアカリ策定・改訂の変遷について。そして,平成29年に策定されました看護学モデルコアカリに関しまして,概要が記載されております。
 そして,5ページ目でございます。こちらが今回のモデルコアカリ改訂の経緯といたしまして,2040年を見据えた日本の看護学教育を取り巻く背景として,こちらも第1回委員会でお出しした資料でございますが,赤字の部分は,第1回委員会で委員の先生からいただいた御意見を基に,追加・修正させていただいているところでございます。
 1つ目でございますが,赤字のところでございます。共生社会の実現を推進するための認知症基本法成立に伴って,全世代への急性期から慢性期を含めた一体的な地域医療提供体制の構築,地域共生社会の実現が必要といったところを追加いたしております。
 また,右下の特定行為研修の修了者でございますけれども,最新のデータを載せております。令和5年9月時点では8,800名程度となっております。
 次に7ページ目を御覧ください。こちらは基本方針の案でございます。こちらも赤字の部分が,前回第1回の委員会でいただいた御意見を踏まえて追加した部分でございます。
 1つ目でございますが,2040年の社会を見据え,全世代を対象とした地域包括ケアシステム,地域医療構想,地域共生社会において,看護系人材として求められる資質・能力の改訂。
 2つ目といたしまして,地域医療構想が推進される中,多様な場面,括弧の中にこの場面もということで,医療施設,在宅,介護保険施設,事業所等を追加させていただきました。
 また,3つ目でございます。こちらは,看護援助技術の確実な習得のための,演習・実習の効果的な方法というところで,括弧内にございますように,臨地で学修すべき部分とシミュレーション教育でも学修可能な部分等,こういったところも明示していく必要があるだろうという御意見をいただいております。また,実習施設との連携の方略等も提示していく必要があるといった御意見をいただいております。
 そして,この後も前回の資料と同様でございますので,その先の13ページを御覧ください。こちらは,この後の調査研究チームからの成果報告の説明でありますけれども,現時点で調査研究チームのほうで出していただいている看護師に必要な基本的な資質・能力の案で,今回,基本方針との対応としまして,どういった新たな項目が出てきているかといったことを示した表でございます。
 こちらを御覧いただくに当たり,資料4も一緒に御参照いただきながら説明をしてまいりたいと思います。
 まず1つ目の赤字の部分でございます。こちら,先ほど御説明した基本方針の全世代を対象とした地域包括ケアシステム,地域共生社会において求められる資質・能力ということで,真ん中のところ,第1階層とありますけれども,資料4を映します。今回調査研究チームのほうで出していただいたこの第1階層の部分になりますが,こちらが現行のコアカリの中で9項目ある資質・能力に当たる部分でございまして,今回は11の項目が出てまいりました。
 そして,6ページ目に,略語のSOとなっておりますが,地域社会における健康支援ということで,こちらの資質・能力の中の第3階層としまして,次の7ページでございますけれども,地域包括ケアの概念と地域共生社会といった項目が新たに出てきております。この赤字のほかの部分が,新たに出てきた基本方針の1つ目に当たる項目ということでございます。
 次のページの8ページ目に参ります。こちらは,資料1の13ページ,青字の部分の2つ目でございます多様な場面における看護実践ができる人材養成ということで,例えば在宅であったり,それから災害,感染症,そういったところの能力が新たに追加された項目でございます。資料4の8ページでいうと,この青字の部分になります。
 次に,緑の部分でございます。こちら,在宅医療や急性期医療を支え,多職種連携の中で看護の専門性を発揮するための高度な看護実践の基盤となる知識の獲得というところで,知識に関する資質・能力のところがPSということになっておりますが,資料4の23ページを御覧ください。PS,これは医療専門職としての問題解決のための専門知識といったところでございますが,この分類の中の緑で色づけしてある項目が今回新たに加わった項目ということでございまして,知識の充実といったところが追加されております。
 また,基本方針には在宅医療や多職種連携といったキーワードもございますけれども,このようなキーワードに関する能力の部分は,先ほども少し出てまいりましたが,SOのところなどで在宅に関するところ,それから多職種連携に関しましては,項目として別途ございます。資料4の11ページでございます。こちら,IPの略称で示されている多職種連携能力,このようなところで反映されております。
 また,資料1に戻りますけれども,黒字の部分でございます。こちらは実習・演習,それから学修方略といったところでございますので,今回の資質・能力案のところでは表しておりませんけれども,今後コアカリを形づくる中で,「第3章 学修評価・方略」のところで記載予定でございます。
 また,一番下の紫の部分でございます。こちらは情報・科学技術を看護に活用する能力の獲得というところで,資料4ですと21ページになります。略称IT,情報・科学技術を生かす能力というところで,こちらの資質・能力は,現行のコアカリにはもともとない項目で,新たに加わったところでございますけれども,内容といたしましても,紫で色づけされている多くの部分が,今回,新たな資質・能力として加えられたところでございます。
 最後のページでございますけれども,今後のスケジュールといたしましては,今回,第2回として連絡調整委員会を開催させていただいておりますが,次が第3回となります。令和6年5月。ここでは調査研究チームからコアカリ改訂原案の提案をしていただきまして,委員からの意見を反映し,その後,パブリックコメント,そして12月にはコアカリ決定といったスケジュールを予定しております。
 事務局からは以上でございます。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 ただいまの報告に関しまして,御質問をお受けしたいと思いますが,先ほどの資質・能力の辺りのところは,調査研究の2の報告を受けた後でないとなかなか理解が難しいかなと思いますので,それ以外のところでの御質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 今回はモデル・コア・カリキュラムの素案までには至らず,その前段階の事業1,事業2の段階での報告でございます。事業2のところでのゴールとしては,評価指標を明らかにしていく,枠組みを明らかにしていくというようなところでございますので,事業2についてはまた後で説明させていただきます。
 いかがでしょうか。ここまではよろしいでしょうか。
 では,特に御質問がないようですので,次に進ませていただきます。
 事業1の成果につきまして,叶谷委員から説明をお願いいたします。
【叶谷委員】  よろしくお願いいたします。こちらで画面共有して説明したほうがよろしいですか。
【鎌倉委員長】  お願いいたします。
【叶谷委員】  分かりました。では私から,事業1の報告についてさせていただきます。
 この事業1の目的ですが,看護学教育モデル・コア・カリキュラム改訂案作成の基盤として,関連する法令・ガイドライン・答申等を概観し,看護学を取り巻く環境の変化,看護学教育の課題,臨地実習の課題等を明らかにし,看護学教育の質保証や評価の仕組みの必要性等を整理し,課題解決の方策を展望するということを目的にいたしました。
 事業1の報告書のこれが目次となっており,ここにありますとおり,9つの内容で構成されています。事業1の報告書の概要について説明いたします。
 現在の原型となる保健師助産師看護師学校養成所指定規則,つまり指定規則が1951年に制定されてから,現在までに5回のカリキュラムが改正されています。この指定規則が看護師学校養成所等の教育内容の質を保証するのに貢献してきました。
 一方,日本で始まった大学における看護学教育では,アメリカの教育に影響を受け,看護学生の思考過程について充実した教育理念が掲げられるようになりました。しかし,看護系大学では指定規則にのっとった科目と単位数を踏まえた教育内容,つまりコンテンツを示している大学が多く見られる傾向があるという指摘もございます。
 高等教育に今後求められる人材育成像については,2008年,中教審から出された報告書では,国際的通用性を備えた人材を育成する必要があること,2018年の中教審から出された報告書では,学修者本位の教育へ転換していくことを目指すべきと指摘されています。また,2021年閣議決定された第6期科学技術・イノベーション基本計画で指摘された育成能力として,STEMから,Artsを加えたSTEAM教育への変更が推奨されています。
 このように世界的にコンピテンシーを必要とする時代へ変化し,看護学教育もコンピテンシー基盤型とする必要があります。OECDではキー・コンピテンシーが示されたり,Education2030プロジェクトとして,VUCAの時代に直面する課題を解決する資質・能力を培うカリキュラムが必要であることが示されています。
 看護専門職としてのコンピテンシーは,JANPUにおいて,国内で先駆けて看護の実践能力を高めるためのコアコンピテンシーが提案されています。
 高等教育をめぐる環境変化から見た看護学教育モデル・コア・カリキュラム提案の意義としては,やはり学修者の立場から何を学ぶかについて,広く社会の共通認識を得るための基準として示すことが肝要です。
 そのために,看護学教育もコンピテンシー基盤型とする必要があり,コンピテンシーに基づく学修方略が必要です。
 さらに,コンピテンシーに基づくアウトカムが必要であり,アウトカムの設定は,看護実践能力の評価とその結果としての看護実践場面での成果を明示する必要があります。
 具体的には,アウトカムとしての学習成果の到達度,評価基準・評価基準項目の設定,測定ツールの検討,評価ツールの信頼性と妥当性の検証,臨地実習におけるアウトカムの設定とその評価及び測定方法の明確化が必要とされます。
 ここで,看護学生が看護行為を実施することの法律上の解釈ですが,学生は無資格者なので,学生が看護行為を実施することは保助看法違反となります。しかし,指定規則では,臨地実習を履修することが学生には義務づけられているため,両者は矛盾します。
 ただし,平成15年に厚労省から出された「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会報告書」において,看護学生が行う看護行為は,条件とともに違法性の阻却が示されました。
 一方,大学教員が行う看護行為については,看護教員は看護師免許を有するため,保助看法違反とはなりません。しかし,臨地実習病院に所属していないため,臨地実習における看護行為の実施は,患者からの同意書によって行うという位置づけとなります。
 「看護系大学学士課程の臨地実習とその基準作成に関する調査研究」で,大学と実習施設における連携・協働体制の構築についての参照基準が示され,各大学と実習施設の連携と協働が基盤となって実習が行われている現状にあります。
 ここで,臨地実習における看護行為の現状ですが,2022年度に日本看護系大学協議会が会員校を対象に行った臨地実習に関するアンケート調査結果で,75%以上の学生が経験していると回答した技術項目のうち,診療の補助に相当する技術では,最も高い割合でも30%台であり,また,上位4項目は全て「見学」のみであり,ほとんど実施できていないことが示されました。
 このことにより,看護学生による看護行為は違法性の阻却がされていますが,時代の変化の中で患者権利の高まり等により医療安全が優先された可能性があること,臨地実習における看護行為の実施は,患者からの同意書に基づき実施しますが,患者に対する大学教員の立場や責任が不明確であるということが背景に考えられます。
 看護学教育の質保証における課題では,見学中心の臨地実習であること,臨床実践能力の低下,基礎教育と継続教育の分断が挙げられます。これは,看護学生と新人看護師の臨床実践能力は一貫性のある明確な評価基準がなく,共通認識化されてこなかったことが背景にあると考えられます。
 そこで,実習前・中・後,そして卒業時点を踏まえた継続評価できる評価方法・基準をつくることが急務です。
 具体的には,看護学生に許容される看護行為の範囲の例示,学生・教員・実習指導者の共通認識,責任の所在の明確化,評価基準で正しく測定するための評価者能力,指導体制の確保が必要と考えます。
 以上をまとめます。
 1点目ですが,指定規則は,看護学教育の質保証に貢献してきました。それらの影響もあり,多くの看護系大学のカリキュラムはコンテンツ基盤型カリキュラムであるという指摘がなされています。
 2点目ですが,看護学教育は,コンテンツ基盤型教育からコンピテンシー基盤型教育,つまりCBEへ切り替えるには困難を伴うことが予測されます。
 3点目ですが,CBEを実現するためには,看護職としての実践能力を明らかにして,臨地実習前・後,卒業時点でのアウトカムを設定し,評価基準等を確認する必要があります。アウトカム設定は,看護学基礎教育から看護師資格取得後の卒後教育へとシームレスに継続されるものであり,パフォーマンスレベルでの達成水準の明示と共通理解,測定ツールの検討が必要です。
 4点目です。看護学の固有の特性を効果的に学ぶ場である臨地実習においては,参加型臨地実習の実現が望まれます。そのためには,実習前のアウトカムとしての学修成果の到達度を明示する必要があり,評価基準,評価基準項目,達成水準,測定ツールを明確にする必要があります。さらに,違法性阻却についても法律上で保障されることが望ましいと考えます。
 以上です。
【鎌倉委員長】  叶谷先生,ありがとうございました。
 ここで,本来,事業2まで説明させていただいて質疑と思っていましたが,事業2の内容が少しまた細かくなってまいりますので,少しだけ事業1の段階で質問をお受けしたいと思います。事業1につきましては,改訂に向けての流れというか,社会の環境の変化が,コンテンツ基盤型教育からコンピテンシー基盤型教育が求められるという変化が起こってきた。切り替えるためには、評価基準などが必要だということで,今回の事業2につながってまいりますので,この段階で御質問を少しお受けしたいと思います。短時間ですが,御協力をお願いいたします。いかがでしょうか。
 このような背景を整理してきたという内容でございますので,これはこのような形ということでお受け止めいただいて,事業2の説明に入らせていただいてよろしいでしょうか。
【高田委員】  すみません。1点だけ。ありがとうございました。大変膨大なお仕事をされたということは理解できました。
 お聞きしたいのは,事業1のまとめというか,事業1で方向性を確認したということかなというふうに理解したんですが,位置づけをお聞きしたいんですけれども,これが事業2で調査を後半になされて,それが今から御報告いただくことになると思うんですが,そことの関連と言ったらいいのか,例えば事業2の調査の質問項目の基になったとか,何かそういう関係がどうなのかというところの御説明をお願いしたいです。
【鎌倉委員長】  御質問内容は,事業1と事業2の関係性ということと,事業1で使われた資料が事業2に反映されているかどうかというところが中心かと思います。
 位置づけとしては,先ほど申し上げたような基盤型教育,これは指定規則のほうで質の保証に本当に貢献してきたということが言われておりますけれども,そこからいろいろな社会の背景というのが,能力を測定していくという方向に変わってきている。そして,大学に対してもコンピテンシー基盤型教育への転換が求められたということで,この方向に来ておりますが,関係性について,叶谷先生,お願いできますでしょうか。
【叶谷委員】  目的でも御説明したとおり,事業1では今までの看護学教育の背景について主に調べたということがあります。ですから,そこの根拠となるような報告書とかガイドラインなどがかなり資料として使われたということがありますので,その資料については,荒木先生が行う事業2でも活用していただけるように提供したり,また,参考資料ということで文科省には提出させていただいておりますが,看護学教育に必要とされるような法律とか規則とかガイドラインを一覧で全部つくりましたので,それも早い段階で事業2の担当の方にお渡しし,多分それも参考にしていただきながら,事業2は進んでいると思っております。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
【叶谷委員】  荒木先生,間違いないですか。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 それでは,その資料について,どのような形で活用されたかということについて,荒木委員から御説明をお願いいたします。
【荒木氏】  ありがとうございます。こちらの委託事業,7月から開始しまして,その前から事業1のほうで様々な資料,法律であったりを集めていただいておりましたので,そちらを基に,質問項目等についても参考としてつくっていったところです。また,コンピテンシー基盤型教育の方向性というところが事業1のほうから確認できましたので,今回の事業2においては,やはり2040年,将来に向けて看護師が身につけるべき能力・資質というところが,我々が示すべき基準になってくるというところで,事業2を進めていったというところがあります。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 高田委員,いかがでしょうか。
【高田委員】  事業1のほうは時間的にも先行していたという理解でよろしいですか。
【鎌倉委員長】  はい,もちろん先行しております。
【高田委員】  ありがとうございます。コンピテンシーベースドの根拠をこれで確認したという,大きくはそこですかね。という理解でいいですか。
【鎌倉委員長】  方向性として,そうですね。評価基準を作成していくということになっていますので,今回また事業2で,そちらのことに関しましては報告があると思います。
【高田委員】  ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 お願いいたします。
【臺委員】  臺と申します。これから事業2の御説明をいただく前に,13ページでお示しいただいた丸3について,私の理解が十分ではないので御教示いただきたいのですが,この看護実践能力というのは,恐らく基礎教育から継続教育まで一貫して表されるもの,そして今回のモデル・コア・カリキュラムを考えていくときには基礎教育ということなので,どこかで基礎教育と将来を見越した継続教育というところでの,時点を区切って理解していくというような読み取り方でよろしいでしょうか。視点の確認です。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。コンピテンシーを明らかにするためには,一連の,看護師になった,ベテランになるまでの流れがあるけれども,今回のモデルコアカリについては,そこの一貫したコンピテンシーの流れの中の基礎教育でどこまでかということを目指しているかという御質問ですので,これについては,荒木先生,お願いいたします。
【荒木氏】  御質問ありがとうございます。まさに今,そのところを事業の3と4で取り組んでいるところです。今回,資質・能力として抽出されたものが,一体卒業時にどのような段階で到達する必要があるのかといったところから,それを評価する方法であったり,教育方法,また,それを達成するための教育内容についてというところを,今,作成しているところです。
 また,事業3,4,ここから3月までの報告書までのところの御説明でも申し上げますけれども,その中で第3階層,第4階層の学修目標であったり,到達度,それから別表という形で教育内容をお示ししていく予定でございます。ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 臺委員,いかがでしょうか。
【臺委員】  ありがとうございます。今後の議論の中で多分混然としてしまいそうなところですので,確認させていただきました。御説明いただいた視点を持って意見を出していきたいと思います。ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 それでは,事業2の説明を,荒木先生,お願いいたします。
【荒木氏】  よろしくお願いいたします。
 では,資料5ページをお願いします。1枚目からよろしいでしょうか。ありがとうございます。次のスライドをお願いします。こちらが目次になっております。事業2は調査研究ですので,調査研究の流れに沿って御説明を申し上げたいと思います。
 次のスライドをお願いします。こちらは前回の第1回連絡調整委員会でも御説明させていただきました,本研究の位置づけ,そして研究の目的になります。位置づけとしては,重なりますが,多数の意見を広く短期間に収集し,データ収集にChat型AIを用いて調査を行って,次世代看護職の基本的な資質・能力(コンピテンシー)を提案するものとなっております。目的は下に書いてございます。
 次のスライドをお願いします。研究方法です。Chat型AIを用いた質的記述的研究(デルファイ法モデルによる大規模調査)となっています。調査は1回から4回まで行いましたが,調査対象は,掲示してありますとおり,1回目は非常に広く,臨床のナース,看護系の教員,それから高度実践の看護師たちなどに行っております。第3回では,看護管理者,高度実践の看護師,それから看護系教員等で,臨床経験5年以上のナースたちにも聞いています。第4回は,各専門分野の団体からの推薦で選出された各専門分野の有識者となっております。
 依頼方法や倫理的配慮については御覧ください。
 次のスライドをお願いいたします。こちらは事業2の全体像です。先ほど申したように,7月に委託を受けましてから,様々な国内外の文献レビューやガイドライン,法令などを事業1と連携しながら確認してまいりました。同時に調査設計等を行い,8月に第1回の調査,9月に第2回,10月に第3回,そして11月に入って第4回調査ということで,都度データ分析を行い,その後に,11月中旬ぐらいから資質・能力案の分析を行っております。この間に,AIによる分析,アルゴリズムを活用して分析を行いながら,整合性の確認であったり,修正,そしてまた分析ということを繰り返しまして,構成概念妥当性なども検証してございます。その結果,できました資質・能力案を作成し,報告書とともに12月末に提出するという流れになってございます。
 次,お願いします。各回の調査の実施状況と回答状況でございます。それぞれ人数は,右列にございますように,2,000人からの御参加をいただきまして,最終的には合計3,310名の方から御協力をいただきました。
 次,お願いします。各回の有効回答です。下が第1回,右上が第2回,右下が第3回となっておりますが,それぞれ50%程度が有効回答となっております。全体のメッセージは約2万メッセージ数を抽出されており,資質・能力に関するものが5,000,業務に関するメッセージが1万5,000ということで分類されています。
 次のスライドをお願いします。こちらは御協力いただきました対象の属性です。左側のほうに勤務機関が書いてございますが,看護系大学の方も多く御協力いただいていると同時に,病院の臨床の方にも御協力を多くいただいております。特に200床以上の病院の方々には4割から5割ということで,かなり御協力をいただいたところです。そのほか,訪問看護ステーションの方々にも御協力をいただいております。そして第4回は,有識者ということで,最終的には御依頼いたしました中から95名の方に御回答いただいております。
 次のスライドをお願いします。続いて,抽出されました11分類の資質・能力です。先ほど渡邉専門官からも御説明がありましたように,11それぞれのカテゴリーがこのようになっております。
 GEがGeneralism。対象を総合的・全人的に捉える基本的能力。定義は仮に置いておりますが,右側を御覧ください。PRがProfessionalism。LLが生涯学習能力,Lifelong Learning。SOが地域社会における健康支援。QSがケアの質と安全の管理。IPが多職種連携能力。REが科学的探究能力。CSが患者ケアのための臨床スキル。CM,コミュニケーション能力。IT,情報・科学技術を生かす能力。PS,専門知識に基づいた問題解決能力となってございます。
 次のスライドをお願いします。今回は,方法の御説明のところでも申し上げましたように,最新のコンピテンシーの概念モデルとしての松下の三重モデルを活用して,質問設計や調査設計などを行っております。従来の知識,スキル,態度というところから,松下の三重モデルは,これらを結集して,求められていることにどうやって看護を提供していくかというところに応えるというところがコンピテンシーというふうに定義づけておりますが,一応この知識,スキル,態度・価値観というところで分かれたところでは,知識にPSが属してございました。スキルにCSとCM,ITが属してございました。態度・価値観におきましては,職業集団の構成員としての専門職性というところにSO,QS,IP,RE。主体としての専門性というところにGE,PR,LLが配置されました。これはあくまで得られた言語データがAI上の空間の中で位置づいたものから分析されて出てきた結果でございます。
 次のスライドをお願いいたします。こちらの11分類の資質・能力の第2・第3階層などの数をお示ししてございます。第2階層は,例えばGEですと,第2階層数が7つ,第3階層数が18,第4階層数が98ということで,それぞれのカテゴリーにおける数値が示されております。最終的には合計で,第2階層数が74,第3階層は224,第4階層が1,130となってございます。
 この1,130につきましては,当初,例えば医学モデルコアカリ,教育モデルコアカリですと650という数値でしたので,看護は恐らく守備範囲が広くなるので,800ぐらいになるといいなと思って分析はしてございましたが,やはり網羅的に考えたときに,これ以上,数を現段階では減らせなかったというところがあり,1,130というところになります。
 御覧いただいた委員の皆様や,見ていただいた方々もお気づきかと思いますが,まだかなり粒度であったり抽象度にばらつきがあるところもございますので,これは今後,事業3,4で教育目標などをつくっていくときに,再考していき,より粒度などをそろえた形でお示ししていければと考えております。
 次のスライドをお願いいたします。こちらは各種文書との整合性です。第4階層の記述,つまり資質・能力としてお示ししたところと,5つの看護で重要とされている文書との言語表現の一致などを見て検証したものです。対応検証には2つの種類の検証を用いまして,1つが文字列表現における類似度です。もう1つがベクトル表現における類似度です。
 文字列表現というのは,下の米印,アスタリスクのところにもありますが,最長文字列の一致度でありまして,これが多いほど,同じ単語や表現が含まれていると解釈されます。そして,コサイン類似度,ベクトル表現における類似度ですけれども,2つのテキストベクトルがベクトル空間上,つまり先ほど申し上げましたAIの空間上で非常に近い位置にあるということで,コサイン角で表されています。マイナス1から1の範囲で値を取りまして,マイナス1に近いほどテキスト間の類似性が低いということです。1に近いほどテキスト間の類似性が高いと解釈できます。というところから,5つの文書,各種文書の内容は資質・能力案にほぼ含まれているということで解釈できると分析しました。
 次のスライドをお願いいたします。こちらは資質・能力の構成概念の妥当性の検証でございます。コサイン類似度に基づきまして構成概念妥当性の評価手法を,カテゴリー間の平均コサイン類似度として定義・提案し,カテゴリーの内的妥当性,つまりカテゴリーの内部でまとまりがあるかどうかというところと,外的妥当性,つまりそのカテゴリーのまとまりがほかのカテゴリーと識別可能かという2点で,指標として分析をしております。
 こちらのスライドの表に示しているのは,内的妥当性のところでございます。例えば1番のGE,対象を総合的・全人的に捉える能力のところで御覧いただきますと,第1階層では0.8549ということで,第2階層は0.8697から0.9199,第3階層はこのような値となっておりまして,それぞれ非常に高いコサイン類似度を示してございます。
 また,各コサイン類似度につきまして,外的な妥当性も見ておりましたが,幾つかの領域におきましては,まだ外的妥当性がほかのカテゴリーよりも若干低いところもあるかと思いますが,そのことにつきましては,第3階層等で非常に固有の資質・能力について申し上げているものであったり,固有のコンセプトについて言っているものであったりするところもありますので,これについては学習内容に落とし込んでいくところでは,特に問題はないかと我々は捉えています。また調整が必要な場合には,モデルコアカリの素案の段階で調整を申し上げていきます。
 次のスライドをお願いいたします。今後の事業3,4の概要とスケジュールとなってございます。1月,既に終わっておりますけれども,データ分析を行って,文献等の既存資料の整合性などを確認して,再度構成概念妥当性などを検討しながら,今,特に委員会内では,第2章,3章,別表の内容については次のスライドで御説明しますが,モデルコアカリの素案の内容について案を作成して,また,得られたデータと今後整合性等を確認しながら,フィードバック検証のデータとして作成していく予定でございます。
 フィードバック検証に関しては2月の中旬から2週間程度を予定しております。インターネット調査を行い,特に対象者としては,第1,2,3回と続けて御回答いただいて,メールアドレス登録をしていただいている300名程度の方,それから場合によってはJANPUの会員校である教育の専門家などを対象として,調査を行っていく予定でございます。まだこちらの調査設計についても検討中ですので,詳細が分かりましたら御案内を申し上げていく予定でおります。
 カリキュラム全体の構造と活用につきましては,JANPU内の体制でおります高等教育行政対策委員会や質向上委員会,有識者意見等を聴取しながら,これらを検討して,最終的にはデータ分析し,フィードバック検証で得られた分析なども参考にしながら,文献,そして既存資料との整合性を確認して,構成概念妥当性を確認した後に,モデルコアカリ素案ということで,JANPU内で承認を得た後に,提出をしていきたいと考えております。
 学修目標や学修評価,一番下の行になりますが,到達度の説明,ブループリントの説明,また,教授・学修法方略(教育方法)の説明につきましては委員会内で現在既に作成を開始しておりまして,これも検討し,モデルコアカリ素案の中に入れ込んだ後に,JANPU内で承認を得て,素案として提出していくというふうに,今,予定しております。
 過程におきましては,文科省の医学教育課とも調整をしながら,最終的な成果物については確認をしていきたいと考えております。
 最後のスライドをお願いいたします。こちらがモデルコアカリの構成案となっています。「はじめに」は,内容としましては,2040年を見越して求められる看護師像,また,コンピテンシー基盤型教育への転換,そして,看護学基礎教育の質担保に向けた方策,臨地実習の在り方等への示唆を,事業1の結果を踏まえまして記載していく予定でございます。
 第1章は,「看護師として求められる基本的な資質・能力」ということで,今回の調査研究で得られました資質・能力の11分類とその説明になってまいるかと思います。
 第2章は,「学修目標」。この資質・能力の11分類に対する第2階層,第3,4階層と到達度,そして別表として教育内容となってまいります。
 第3章は,「学修評価・方略」ということで,学修目標に対する学修評価の方法やブループリント,重みづけ,そして学修方略(教育方法)などです。また,学修評価・方略の事例等を御提示できればと考えております。例えば今回,事業1のほうで挙がりました,より臨床現場で巻き込まれながら実習をしていくには,また,その実習の質を担保するにはどういった実習が必要なのかというところと,その準備状況とか,学生の準備状況をどう整えていくかというようなところ,また,今回,学生の到達度を確認していく必要などが事業1でも述べられていましたが,その方略してのCBTであったり,OSCEであったりとかいった客観的な評価方法の例示などもできればと考えているところです。
 モデルコアカリの構成案は以上となります。
 事業2については以上となります。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 それでは,質問をお受けしたいと思います。今後のことはまだ後にして,これまでの事業の報告のところまで御質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。なかなか大量なデータをかなり精力的にまとめていただいた結果でございます。
【堀内委員】  すみません。堀内です。
【鎌倉委員長】  お願いいたします,堀内先生。
【堀内委員】  荒木先生,大変膨大な調査を大変丁寧におまとめいただきまして,ありがとうございます。能力を出していくということで,コンピテンシーベースドにということで,11のものが選ばれたということを理解いたしました。
 御説明の最後にも少し出てきたんですけれども,11分類の重みづけみたいなものはどこかで表してくださるということだったと思うんですが,先ほどの第4階層までのボリュームだけを見てもなかなかすごいなと思い,かつ,やはり1つの知識としての最初の,PSですかね,そこの部分のウエートが大きいのかなと。あるいは,それ以外の態度・価値観のようなところの,この11分類,11が出てしまうと,どうしても11の1つずつが同じようなウエートに見えてきてしまうんですけど,どこかで重みづけみたいなものをこれから示していかれるとするとどんな形になるか,もしお分かりでしたら教えていただければと思います。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 では,荒木先生,お願いいたします。
【荒木氏】  ありがとうございます。まさに今,そこのところを昨日の委員会でも議論していたところですけれども,最後のスライドをお示しいただいてもよろしいでしょうか。事業3,4のところで,ブループリントということでお示ししていく予定のところが重みづけになってくるかと思います。次のスライドをお願いします。ありがとうございます。第3章のところで,学修評価・方略などのところで,ブループリントとしてお示ししていく予定でございます。
 医学モデルコアカリなどでは,国家試験に対しての重みづけというところで,パーセンテージで示されていらっしゃるようですが,今回出てきた資質・能力については,これだけ細かく第4層に出てきておりますので,昨日も分析を,今開始した結果などを共有しておりましたところ,場合によっては,クリニカルスキル,臨床スキルのところなどがやはり一番重くなってくるんじゃないかというようなところも想定して,今考えております。
 ただ,何を母数にして重みづけを示していくのかというところは,これからやはり一番カリキュラム作成に役立つようなものを母数にして示していく必要があるかなと思いますので,国家試験であるのか,指定規則であるのか,あるいは今回の資質・能力,モデルコアカリの全体の中でお示ししていくのかという辺りは,また文科省と調整をしながら考えてまいりたいと思っているところです。
 やはり,モデルコアカリはあくまでもコアカリですので,全てではないので,堀内先生,かなりボリューミーじゃないかという御意見もいただきましたが,いかにその辺りを推奨レベルで抑えていくのかといったところも含めて,我々もこれからもう少し検討してまいりたいと思います。もしいいアイデアがありましたら,ぜひお伺いしたいと思います。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 堀内委員,いかがでしょうか。
【堀内委員】  ありがとうございます。今後の作業のことが分かりましたので,ありがとうございました。
【鎌倉委員長】  錦織委員,挙手いただいています。御発言をお願いいたします。
【錦織委員】  名古屋大の錦織と申します。1回目は欠席させていただきまして失礼いたしました。
 まず,荒木先生,大変な作業について御説明いただきましてありがとうございました。私はこの委員会の委員には,恐らく医学教育のモデルコアカリの調査研究チームを担当した側から関わらせていただいていると思っておりますので,その観点から幾つか質問させてください。
 まず1つ目は,11の資質・能力の決定プロセスについて,AIチャットを用いられてという御説明を伺いましたけども,これ,ぱっと見たところ,医学,歯学,薬学で共通で設定しました資質・能力に,医療安全に関する内容が加わっているというイメージの受け止め方をしたんですが,まずその議論についてお伺いできればと思います。
【鎌倉委員長】  それでは,荒木先生,お願いいたします。
【荒木氏】  御質問ありがとうございます。この決定プロセスについて,あまり御説明しなかったので,御質問いただきありがとうございました。
 テキストを作成していくというところでは,まずやはり言語データがありました。その言語データを深層学習に基づいて,その前にもちろん看護の資質・能力に関する様々な文献であったり,そういったところも参考にして質問設計などを行ってまいりましたので,当然そういったところに関係するデータというのも入ってございます。
 OpenAIによって事前学習されたベクトル表現を作成する,そういったAIを用いて各テキストのベクトル表現を作成していきました。メッセージの資質・能力や業務というところで分類をしていきました。既存のフレームワークとしては,コンピテンシーの三重モデルと,AACN,それからMEDISなどを用いて,調査データから資質・能力案を作成していったというところがございます。
 ただ,その資質・能力案で固まりとして出てきたものを委員会の中で見ていったときに,当然やはり医療専門職として共有すべき資質・能力に関しては,これまでの医歯薬のモデルコアカリ等を参考にさせていただいて,それらの定義などを参考にこちらの定義をつくっていったという経緯がございますので,ネーミングとしては非常に似ているところがあるという御印象を持たれたのは,そのとおりだなと思います。
 こういったことで御回答になっていますでしょうか。
【鎌倉委員長】  錦織委員,いかがでしょうか。
【錦織委員】  ありがとうございます。大変参考になりました。
 あと,すみません。もう1点,2点質問させていただきたいんですけど,よろしいですか。
【鎌倉委員長】  はい,お願いいたします。
【錦織委員】  1つは,先ほども御説明がありましたけれども,第4層の数が多いことについてです。これは医学のほうのチームでも,スリム化パトロールチームという名前のチームを組み,いかに減らすかということについては結構頑張ったんですけど,なかなかうまくいかなくて苦労いたしました。現行の令和4年度版のコアカリでもまだ多いというような御批判を受けていまして,その苦労の共有するとともに,先生方がどんなふうに今後スリム化をしていかれるのかということについても御見解を伺えればなと思いました。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。スリム化パトロールチームというのはなかなかユニークな命名かなと思って拝聴いたしました。
 荒木先生,お願いいたします。
【荒木氏】  ありがとうございます。我々も年末,睡眠時間を減らしながらかなりパトロールしたんですが,なかなか減らせなかったので,先生方がどういう基準で減らしてきたのかというのはぜひ伺わせていただきたいところではありますが,今,我々が特に留意して資質・能力を出してきたところでは,2040年に向けて,やはり落ちがないようにという,網羅性というのをとても大事にしてきたので,結果,増えてしまったというところもあるかなと思います。なので,もし今後これをスリム化していくのであれば,より重要となってくるところというのを確認しながらということになるのかなと思います。
 もう1つは,先ほどの御説明の中でも申し上げたように,まだやはり粒度がそろっていないところもありますので,学修目標というところに落とし込んでいくときに,かなり絞っていくことが必要かと思います。
 それにはやはりフィードバック検証の段階で,先生方,今回対象となる方々や,あるいは教育の専門家,特に看護系のカリキュラムをつくってこられた看護系大学の先生方に,かなり御意見をいただきたいなと思っているところです。
 錦織先生,もし何かアドバイスがあったら,よろしくお願いします。
【錦織委員】  御回答ありがとうございました。なかなかこれは痛みを伴うプロセスでして,専門家だけで内容を決めていますと,どうしても(音声途切れ)ので,専門家が必要なのかということを検証していくというような作業を,私たちのほうではある程度まではやったんですけれども,それでもなかなか力及ばずというような感じだったなと記憶しています。
【堀岡企画官】  先生,すみません。一番重要なところの音声が途切れていまして,もう一度。申し訳ございません。
【錦織委員】  専門家だけで項目を決めていきますと,どうしても多くなりがちになりますので,専門家と非専門家が共同して作業することで,本当に必要なのかということについて検討して,何とか減らしていくということを途中まではやったんですけれども,時間切れになったりとか,いろいろあって,なかなかスリム化は難しかったなというのが私たちの振り返りです。
 すみません。あともう1点だけ,最後の第3章のことです。今後のことになるので,すみません,これまでのことでなくて恐縮なんですが,もし医学のほうでいろいろと参考になることがあれば,もちろん使っていただければなと思いますので,その点だけコメントさせていただきました。
 私からは以上になります。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。先ほど非専門家を入れてということでしたが,そのとき,どういう方が中に入られたのでしょうか。非専門家として。
【錦織委員】  例えば私たちの分野ですと,生化学の内容を決めるのであれば,委員の中には生化学の専門の人なんていうのは一部しかいませんので,そこに臨床系の循環器の専門家が入ると,いや,そこまではさすがに要らないんじゃないかとかいうような議論が可能になるという感じですね。
 私たちの場合,医学部を卒業すると各専門診療科に進んでいくわけなんですけれども,コアカリの性格上,学修内容は将来その分野を専門としない人を対象に考える必要があります。例えば眼科の領域であれば,将来,眼科に進まない,残り九十何%の人たちにとって本当に必要な眼科の能力は何かというような問いを立てて,そして御議論していただく。こういうような感じでございました。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。そうすると,医師の中で専門領域が違うという意味の非専門家ということですね。
【錦織委員】  はい,おっしゃるとおりです。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。とても参考になるかと思います。
 それでは,ほかの御質問,いかがでしょうか。
【高田委員】  高田ですけど,よろしいでしょうか。
【鎌倉委員長】  高田委員,お願いいたします。
【高田委員】  これまでのところも,質問したいと思っていたことが分かりましたので,よかったです。
 加えまして,資料の10ページで,松下の三重モデルによるカテゴリーということで,ただ,この三重モデルというのがなかなかに複雑なモデルかなと。その一部をという理解でよいのかということが1点と,それぞれの,例えば患者ケアのための臨床スキル,スキルとついているのでスキルだろうというのは分からなくはないんですけれども,実際にはこれらの中身というのは,純然たるスキルというよりは,やっぱり知識と,それから態度・価値観というものが合わされて初めて臨床スキルとして意味を持ってくるという,そういう性質のものだろうと思うんですね。
 ほかのことについても同じで,1番目の知識のところに問題解決能力って,これだけが位置しているというのも私としては違和感が若干なくはない。それから,特に看護の場合は問題解決能力というのが,この場合の問題解決というのはどの範囲のことを指すのかというのがとても気になるところで,問題解決というのは,それ自体スキルとしても言われるぐらいで,かなりいろいろな場面で問題解決的な能力というのが必要とされる。
 ただ,これを患者ケア,患者ってあまり,この場合は対象ですかね,対象という言葉が用いられているので,対象の方々への援助だとか,そういうことの範囲でこの問題解決能力というのが主に言及されているのであれば,問題解決という言い方はすごく狭過ぎる。というのは,看護は,問題解決は一部であって,例えばよくケアリングも合わされて言われると思うんですけれども,共にそばにいることしかできないというようなシチュエーションもすごく多いわけですよね。そうすると,問題解決というのを頭に置いてしまうと,看護ケアの本質みたいなことはこれで十分言えるのかというと,ちょっとそこがぎくしゃくしちゃうなというような気もします。
 ごめんなさい。言いたいことは2点あって,このネーミングがこれでよいのかという議論はぜひとも必要ということと,それから,それぞれがかなり統合的な内容,もともとそういう性質を持っている,それをさらに知識,スキル,態度・価値観に分けてしまうと,統合的な性質を持っているものがちょっとゆがんでしまうのかなという,若干その危惧がないわけではない。
 現に,なぜそういうことをさらに言うかというと,例えば対象を総合的・全人的に捉える能力というのは,主体としての専門性ということで,態度・価値観のところの代表といったらいいか,一番最初に出てくるわけなんですけれども,語尾を見ると,ほとんど知識レベルで並んでいて,態度・価値観を表すような動詞形には少なくともあまりなっていない。そういうものがすごく多いんですね。
 なので,ここの分類の仕方というのがこれでよいのかというのは,全体を見ると違和感があるなというのが正直,疑問なところなので,ここについての検討が,今後,先に進めていく前に,ちょっとこの検討が必要ではないかと感じました。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。高田委員からの御質問は幾つか分かれるかと思うんですけれども,1番目の御質問としては,松下の三重モデルは,複雑だけれども,一部だけを適用したのかどうなのかという適用の仕方の御質問。2番目としては,知識,スキル,態度・価値観で分けているけれども,どれも相互に関連している内容であるから,この分け方はどのような形で分けられたのか。そして,ネーミングについてはこれでいいのかという御質問かと思います。よろしいでしょうか。
【高田委員】  はい。
【鎌倉委員長】  順番にそれでお答え。
【高田委員】  いろいろ言って。
【鎌倉委員長】  まず1番目の御質問として,松下の三重モデルについて,どのような形でここに適用しているのかということについて,お願いいたします。
【荒木氏】  ありがとうございます。松下の三重モデルは,調査設計のところから,いわゆる今一番求められているコンピテンシーの教育を考えるときに必要なモデルとして取り込ませていただきました。
 松下が言っているコンピテンシーというのは,ある要求とか課題に対して,内的リソースである知識,スキル,態度・価値観等を結集させて,対象世界や他者と関わりながら,行為して,そしてまた省察するという能力と言われているので,高田先生おっしゃるように,非常に統合的な概念であります。
 今回,知識,スキル,態度・価値観というのは,コンピテンシーモデルをここに重ねて置き換えていったというか,それで解釈できるように見せていったということになりますので,必ずしもこれにばつっと分かれているものではないです。一つ一つの第2層であったり第3層であったりとかを,今,4次元か3次元かの空間にあるものを2次元に落とした結果等を見てみると,かなり入り組んでいたりするので,あくまでこの辺りにメインで位置しているというところで,今回,PSが知識というところになっていました。しかし,CSの一部であったり,態度や価値観の一部が知識のほうにPSに入っていたりというところももちろんあります。
 そして,ネーミングに関しましては,ここまでの既存の資料であったり,あるいは出てきた資質・能力を一言で言うとどういうふうに言えるのかというところで定義をつけていったものですので,いろいろなものが入り組んでいるというのは確かになるかと思います。
 なので,高田先生の1つ目の御質問の,松下のモデルの一部を取り込んだのかという意味では,そうではない,全体をこの概念を活用して質問設計をしていったというところになります。ネーミングにつきましては,代表的な表現ということになりますので,中身がいろいろなものが入ってくるというところは否めないというところになります。2つ目まではそれでよろしいでしょうか。
 3つ目の,もともと統合的な性質を持っているので,語尾であったりが知識に偏っているのではないかというところでは,我々もこれの語尾をどうそろえていくかというようなところはかなり悩みながら最終案とさせていただいたんですけれども,説明ができるというところ,つまり,資質・能力としてはやっぱり評価可能なレベルにしなければいけないので,その表現形として,行為レベルに持っていくというが大事だということで,説明ができるというところが多く目につくということで,知識レベルに偏っているのではないかというような印象を持たれたかなと思います。しかし,例えばCS,クリニカルスキルの中の説明できるというところでは,患者や他職種に対して自分がやる看護援助・行為に関して説明ができる,説明をして納得を得てから行うというようなプロセスが当然必要になってきますので,そういった場面でも説明ができるというような言葉を使っておりますので,ここは少し混在していることが考えられます。
 という御説明で分かりますでしょうか。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 では,まず1番目の,一部の適用ではなく,理論そのもの,全体を活用しているという御回答ですが,こちらについては,高田委員,よろしいでしょうか。
【高田委員】  調査に活用したということは理解いたしました。ただ,ここの事業2の10ページのところ,8の松下の三重モデルによるカテゴリーという表記だと,松下の中の一部というようにしか読めないので,その辺の示し方は誤解がないようにする必要があるのかなと思います。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。10ページの松下の三重モデルによるカテゴリーという表現だと誤解を与えるので,少し調整してはどうかという。
【高田委員】  三重モデルにはなっていないんですよね,これ自体。ここに表されているのが。松下の三重モデルは,これは言ってみたら一重モデルで,さらに3つのあれが組み合わされて三重モデルになっているので,これ自体はそこまでは入っていないので,その意味で質問したわけです。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。では,そこの表現を御検討いただくということで,貴重な御示唆をありがとうございます。
 2番目になりますと,知識,スキル,態度・価値観については,やはり統合的に提供するものであるので,関連はしているけれども,だけれども,そこの中で代表となるものはこのような形で分類されたという,そのような御回答であったかと思いますが,いかがでしょうか。
【高田委員】  この分類されたというのは,そこ,私はちょっと,AIの分析によってこうなったという意味なんでしょうか。
【荒木氏】  はい,そうです。
【高田委員】  それでよいというふうに受け止めるかどうかというのは議論の余地があるかなということで,質問というか意見を述べさせていただいたわけです。
【鎌倉委員長】  ちょっと整理を。
【高田委員】  これが最終ということで先に進めるのか,それとも,こういう分類そのものについても,今後さらに,例えば有識者の意見等々で修正があるという考えなのかというところについて,教えていただきたいなと思います。
【鎌倉委員長】  では,御質問の内容としては,この3つの知識,スキル,態度・価値観で11分類が出てきているけれども,それが最終的な結論として,次にこれをベースにして進んでいくのか,今後の有識者の意見によって変わる可能性があるのかという御質問かと思います。いかがでしょうか。荒木委員,お願いいたします。
【荒木氏】  ありがとうございます。あくまで今回この10ページ目にお示ししたのは,このようにAIの中で位置づけられましたよということですので,今回出てきた結果というのは11領域になるかと思います。なので,この11領域を基に,今後,モデルコアカリの学修目標の設定であったり,評価基準等について進めてまいりたいと考えております。
 語尾等の修正については,フィードバック検証等で御意見があったらいただきたいと思います。ただ,フィードバック検証の段階では,こういった到達度が学士レベルでは妥当ではないかというような,一定のこちらから案をお示ししていきますので,その段階で恐らく語尾というのは,例えばミラーの分類で言うところのDoesなのか,Shows Howなのかとかというところで,語尾が変化していくというところはあるかなと思いますので,ここについても事業3,4等でまた固まってくると考えています。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。恐らく高田委員からの質問というのは,知識,スキル,態度・価値観のこの分類がどのように後に影響してくるかということの御質問かと思いますので,その辺りはいかがでしょうか。
【荒木氏】  ここは,結果的にこのように分かれたというところですので,これ自体はモデルコアカリにこのまま入れていくということはあまり想定していませんでしたので,出ていくところは11領域になっていくかなと考えています。
 先ほど来,先生もおっしゃっているように,これらを統合して,結集させて,看護援助をしていくというところになるので,かなり統合的にできているという,中身はできているということになりますので,語弊を招くようであれば,こちらの図についてはモデルコアカリでは提示せずに進めていくという御示唆というふうに受け取りました。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 高田委員,いかがでしょうか。
【高田委員】  ありがとうございます。理解しました。
【鎌倉委員長】  11が優先されるという形で,11を中心にということになりますので,では,そのような形でよろしくお願いいたします。
 ほかの御質問,いかがでしょうか。
 お願いいたします。
【田母神委員】  14ページの関係はこの後にしたほうがよろしいでしょうか。今後のスケジュールについて。
【鎌倉委員長】  今後のスケジュールの前に,結果のほうだけ,まだまとめていきたいと思いますが。
【田母神委員】  では,後にいたします。
【鎌倉委員長】  よろしいですか。この後にまたスケジュールに関しては。
 結果のところでは,御理解いただいて,このような形をベースにして進めていくということでよろしいでしょうか。
 特に御異論ないようです。
 荒木先生からの追加の御発言があれば。大丈夫でしょうか。
【荒木氏】  大丈夫です。ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 それでは,今後のスケジュールについて,次に進めていきたいと思います。
 では,御発言をお願いいたします。
【田母神委員】  恐れ入ります。14ページのところで,先ほど御説明をいただきました際に,2月に予定されております2章,3章,別表に対してのフィードバック調査ということで,インターネット調査でこれまでの3回まで調査に回答された方を対象に調査をされるということの御説明だったということでよろしいでしょうか。
 といいますのが,8ページのところで,第3回まで回答された方を見ますと,病院や教育機関の先生となりますが,訪問看護ステーションであったり,ステーション以外にも様々な介護施設であったり,サ高住であったり,いろいろなところで看護が求められている状況がありますので,そうした意味で,第3回までの回答者に限定せず,幅広く対象にしていただければと思います。具体的なところですが,その点,お教えいただければと思っております。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。田母神委員からの御質問は,2月のフィードバック検証の対象についての御発言かと思いますので,よろしくお願いいたします。
【荒木氏】  御質問ありがとうございます。ここについて,まだ調査設計を今計画しているところですので,いただいた御意見としては,在宅領域や長期ケア領域の方々も入れてはどうかという御意見かというふうに伺いました。
 こちらで現在,第1,2,3回調査回答者と書いてございますのは,当初から,1回から3回まで通してブラッシュアップをしていくときに,継続して回答してほしいとお願いをしたCNSの方であったり,アドレスを登録していただいている方が300名以上いますので,その方々を想定して,このように今,暫定的に書かせていただいております。
 ただ,在宅領域の方々にも可能であれば御意見いただきたいなと思いますので,またその辺りは,対象選定というか,対象設定のところで御意見を承らせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  田母神委員,よろしいでしょうか。
【田母神委員】  ありがとうございます。発言させていただいた趣旨は,別表のところを拝見しますと,在宅,居宅というところは記載があるかと思いますが,もう少し暮らしの場といいますか,療養の場について,様々な類型ができていたりいたしますので,そうした表現との兼ね合いで,多領域の方から御意見をいただければと思った次第です。ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 ほかの御質問,いかがでしょうか。今後のスケジュールということについて,ここからは御質問をお受けしたいと思います。
【高田委員】  すみません。高田ですが,よろしいでしょうか。
【鎌倉委員長】  お願いいたします。高田委員。
【高田委員】  先ほどの御説明の中では,書かれてはいないんですが,口頭でおっしゃられたかと思うんですが,看護系大学の実際に教育に携わっている方々にも協力をというようなお話だったかと思うんですが,ぜひともそれはお願い,加えていただいたほうがいいかなと思いました。
 といいますのは,先ほど質問はしなかったんですけれども,この調査の最初の,第1次でしたっけ,Chat型AIを用いた調査を何回かされて,当初の計画よりは,回答者というか参加者といいましょうか,その数がやっぱり少なかったというところ,そこのなぜ少なかったのかとかという分析はなされていると思うんですけれども,そういうところからしても,簡単に言うと,このモデルコアカリを各大学が実際に自分の大学で組み入れてやっていくということになると,コミットメントがないと,何かややこしい話が来たみたいな受け止め方にどうしてもなる。コミットメントはやっぱり関わっていると生まれるので,何らかの形でできるだけ多くの先生方というか,多くの大学の先生方に関わってもらうような機会を計画的につくるぐらいの考え方のほうが,後を考えると,いいと思います。
 全く,私,正直,調査も回答したんですけれども,あの回答からこういうものが出てくるという想像はなかなかしにくいんですね。どういうふうになるんだろう,どういうものが出てくるんだろうというのが多分,多くの回答した人たちの感想だったんじゃないかなと思うんですね。
 そうすると,最後にこれが出てきましたというのでは,あまりにもその落差が大き過ぎて,ちょっとよく分からないなというふうになると敬遠しがちになるので,できるだけプロセスで関わる,意見をもらうという場をつくるというのがすごく重要ではないかなと思いますので,ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。御要望ということで,フィードバック検証には,JANPUの会員校の看護系大学のほうにかなりコミットしていただくような計画をしてほしいという御意見でした。
 いかがでしょうか。
【荒木氏】  ありがとうございます。まさに委員会で今議論しているところで,フィードバック検証の設計をしていくときに,先ほど錦織先生からもありましたように,やはり専門家の方々というのは,御自身の御専門の領域に関してはかなり,ちょっとハイスペックな御提案になりがちなところもありますので,より全体像を見られる方々に御意見をいただく必要があるだろうと。
 そうなると,各大学で,教務委員であったり,カリキュラム検討委員であったり,カリキュラム改善委員などをやっている人たちに,ボリュームも含めて,どういうモデルコアカリとして示し方をするとより活用しやすいのかというところも含めて意見をいただく必要があるだろうというところで,対象についてはそういった方々を含める必要があるんじゃないかと議論したところでございます。
 今回,高田先生にもそういう御意見をいただきましたので,ぜひそういうところを積極的に検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 高田委員,よろしいでしょうか。
【高田委員】  はい,ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  では,そのほかの御質問,いかがでしょうか。今後のことに関しまして,これまで出てきていることに関しては,やはり今……。
 錦織委員,お願いいたします。
【錦織委員】  今後のことと関連するかどうか分からないんですけれども,先ほどちょっと語尾の話が出たので,医学チームでの議論を共有しておこうかなと思いました。
 医学教育モデル・コア・カリキュラムも,平成28年度版まで「説明できる」や「概説できる」がほぼ七,八割というような学修目標の率でございましたが,今回,その多くを「理解している」という動詞に変更しています。
 その背景になったのは,先ほど荒木先生がおっしゃられました,ミラーのピラミッドでどうやって評価するのかという議論であったりとか,そもそもCBTやOSCEで説明させていないと。説明させていないのに「説明できる」というのはおかしくないかみたいな議論をしまして,これもいろいろな議論があった上で「理解している」という言葉に落としたということがございましたので,情報共有をさせていただこうと思って発言いたしました。
 以上です。
【鎌倉委員長】  貴重な御意見,ありがとうございます。
 荒木先生,いかがでしょうか。
【荒木氏】  ありがとうございます。まさに年末,我々もそこのところをかなり議論していて,「理解している」という,持っている状態,haveの状態というのを表現したほうがいいのかというふうに考えたんですが,一つ一つ見ていくと,かなりそこのラインをどこに引いていくかによって語尾が変わってきてしまうので,あまり今回は変えないでお示ししたところです。
 おっしゃるように,やはり評価基準というところ,到達度,評価のところに沿って,語尾については再考していきたいと思います。その際,また御相談させていただくかもしれません。ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  釜萢先生,お願いいたします。
【釜萢委員】  ありがとうございます。質問ではなくて,全体を通しての意見を述べさせていただきます。
 今日お示しいただきました御検討は,非常に詳細にわたり,また,精力的に,時間の限られる中で,すばらしい御検討をいただいてきているということがよく分かりまして,大変感銘を受けました。
 一方で,高田先生から御指摘がありましたが,実際にこのモデル・コア・カリキュラムが決定されて,それに基づいてそれぞれの大学で実際にこれを運用していくということになると,やはりそこまでの間にかなり準備をしなければならないわけでありまして,そのために,議論にしっかり参画し,そしてそれぞれの大学が御自身の課題としてこれをしっかり参画しながらつくり上げていったという過程がぜひ必要だろうと私は思います。
 錦織先生からいろいろ貴重な御示唆をいただきましたけれども,医学部というか,医科のほうのコアカリキュラムも,これまでいろいろな苦労をしながら今日に至ってきています。したがって,また看護学のほうもさらによいものにしていただきたいなという思いの中で,一つ,また医科との違いは,看護学のコアカリキュラムと大きく関わってくる問題として,今日は習田課長さんも出ておられますが,厚生労働省の指定規則というのがあって,それとの関連というのも出てきます。それから,国家試験の出題内容との関連ということも出てきますので,その辺りのすり合わせは既にお考えいただいているところですけれども,全体をバランスよく見ていただくということが必要だろうと思います。
 以下の点は錦織先生がおっしゃったとおりなのですけど,やっぱりどうしてもボリュームが増えてくるんですよね。それで,実際に運用する,あるいはこれを教えるという立場になると,あまり量が多いと,コアカリキュラムというのは大学の全ての時間の一定の中でやらなきゃならないわけで,すごくボリューミーだなというふうにどうしてもなってくるので,その点については,御苦労いただいて,スリム化の取組もしていただいているんですけど,これが実際に運用する上では非常に重要な点だと思いますので,私からもお願いを申し上げておきます。
 感想と意見でございますが,感謝を込めて申し上げました。ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  釜萢先生,ありがとうございました。
 荒木先生,何かコメントがございましたら。
【荒木氏】  ありがとうございます。釜萢先生からも今,プロセスに巻き込むことがとても大事だという貴重な御意見をいただきましたので,今後のフィードバック検証,また,その後の恐らくJANPUの説明会であったり,パブリックコメント,いろいろな段階で多くの人たちに主体的に関わっていただくというところの工夫が必要かなと思いました。
 また渡邉専門官とも話し合いながら,その辺りは進めてまいりたいと思います。貴重な御意見,ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  本日,オブザーバーで御参加いただいています厚労省の看護課長の習田様,何か御意見,御質問などございましたら,お願いいたします。
【習田オブザーバー】  ありがとうございます。今日は貴重な御発表を聞かせていただきました。ありがとうございます。
 先ほど何名かの先生も御指摘されていたかと思うんですけれども,特に釜萢先生ですか,指定規則と国家試験との関連ということでは,やはり看護の場合は養成所と大学というのがございますので,整理ということは必要かなと考えておりますけれども,事業1の概要,資料2の13ページの中にも,指定規則との調整が望まれる等のコメントといいますか,記載がありますので,これからこういった観点からも整理されるのかなと期待しております。
 また,ボリュームのことですけれども,基礎教育ということ,免許取得前ということを考えますと,やはりかなりのスリム化が必要なのかなというふうには伺っておりました。この点につきましても,錦織先生あるいは荒木先生のほうからも今後かなりのスリム化の作業があるとお伺いしておりますので,こういった点も,次回までどのような整理がなされるのかというのは注視したいと思っております。
 感想めいたことになってしまいましたが,以上でございます。ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 ほかの御質問,御意見,いかがでしょうか。
 お願いいたします。田母神委員。
【田母神委員】  資料4に関しても今でよろしかったでしょうか。
【鎌倉委員長】  はい,お願いいたします。
【田母神委員】  資料4に関しましては,これから様々なブラッシュアップといいますか,そうしたものが図られるということで理解しておりますけれども,委員としての具体的な意見があれば,別途,提出してよろしいでしょうか。
【鎌倉委員長】  資料4に関しての資質・能力のところですね。
【田母神委員】  はい,そうでございます。
【鎌倉委員長】  それに関する御意見を委員として提出して良いかという御質問かと思います。
【荒木氏】  ありがとうございます。またフィードバック検証の機会などに一緒にお伺いしていくか,あるいは,その前に,もし大きなところでこれだけは直したほうがいいんじゃないかというような御意見がありましたら事前に承らせていただければと思いますが,よろしいでしょうか。
【田母神委員】  よろしくお願いいたします。
【鎌倉委員長】  ほかの御質問,御意見,いかがでしょうか。
 お願いいたします,錦織委員。
【錦織委員】  すみません。細かい点なんですけど,今,最後に出ました資質・能力という言葉の使い方なんですが,資料4によりますと,第4層目に対して資質・能力という言葉を使われていて,かつ,第1層に対しても使われているような印象があるんですけども,これは両方とも同じ言葉を指しておられるのか,どのように使い分けておられるのか,教えていただけますか。
【荒木氏】  ありがとうございます。こちらは全体で資質・能力と言っていました。私のほうで限定的に使っていたところもあるかなと思いますが,あくまで出てきた資質・能力の固まりごとに示したのが,1層,2層,3層というところになります。
 そういう御説明でよろしいでしょうか。
【鎌倉委員長】  錦織委員,いかがでしょうか。
【錦織委員】  そうすると,全部が資質の,第1層も第2層も第3層も,第4層という言い方でいいのか,全て資質・能力であるという理解になりますか。
【荒木氏】  それで,その中で固まりごとにまとめていって,要素で表したということになります。
【錦織委員】  分かりました。ありがとうございます。
【荒木氏】  ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  ほかの御質問,御意見,いかがでしょう。
 臺委員,お願いいたします。
【臺委員】  コメントになります。1点は,先ほど質問させていただいたように,基礎教育の部分ではどこまでで,スリム化と併せてになりますが,その辺りが様々フィードバック検証等を受けて具体的になってくるといいなと思いました。
 あともう1点は,医学とか医歯薬のものを見ていますと,ここで言えば第1層に当たるところを見て,看護師とは何かとか看護職とは何かということが,国民にとっても読み取れるような表現表記というのが非常に大事なのではないかなと思いながら見ていました。
 そうすると,今後,様々意見が出てくる可能性があるとは思いますが,看護とは何だろうということが,第1層でケアということに包含されているようで,見えにくくなってしまっているところがもったいないという印象です。ぜひ今後の意見の中で,看護らしさというところが表されてくるといいなと思いました。
 コメントです。以上です。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 そのコメントに対して,荒木先生,何かありましたら。
【荒木氏】  ありがとうございます。そうですね。看護の複雑なこの過程というのをどうやって切り取りながら説明するか,私たちもすごく苦労したんですけれども,いろいろなベクトルから試みてはいたんですが,どの辺りにどういうふうに出てくるとより看護を表現しやすいのかというところは,またぜひ御意見をいただければと思っています。
 特に我々が苦労したのは,GEなどは割と看護では説明しやすいところだったりするんですけれども,先ほど来,御意見いただいているPSであったり,あるいはSOの辺りとかにどのように看護の独自性というか専門性というのを入れていくかというのはかなり苦労しております。
 ただ,この定義で今回分析しておりましたので,またフィードバック検証であったり,委員からの御意見というところでいただければと思います。ありがとうございます。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 ほかの御意見はよろしいでしょうか。大体出切ったという形でよろしいでしょうか。
 今までのことをまとめますと,一番大きく出てきたのが,1,130という数をいかにスリム化するかということと,そのスリム化するに当たっては,やはり指定規則,国試との関係,それを重要視する必要があるということ,そして,スリム化する過程も含めて,今後については各看護系大学を巻き込みながら意見を反映させていくフィードバック検証が非常に重要であろうという,そのプロセスを重要視してほしいということ,また,表現について,ケアという言葉で,一言で収めてしまうと看護らしさがなかなか分からない部分も出てくるので,もう少し表現については看護らしさが出るような工夫をしてほしいという,そのぐらいのところにまとめられるかなと思います。
 まだ少し時間がありますけれども,ここで出切ったというような状況でございますので,事務局,いかがでしょうか。会議を終了させるということでもよろしいでしょうか。
【俵課長】  すみません。医学教育課の俵です。今日はありがとうございました。先生方も,御参加含めて,ありがとうございました。
 今回,調査いただいて,その結果を報告いただきましたけども,事業1でコンピテンシー,これまでの経緯も含めて確認をいただいて,それを踏まえて,具体的なものに向けた,第1,第2,第3,第4層という形での取組を整理いただきました。非常に分かりやすく,また,膨大な作業を短時間で,これは先生方からもありましたけど,僕らも本当に感謝しています。ありがとうございました。
 今日の意見も踏まえて,僕もボリューミーなところは気にはなっていたので,先生方と同じように,今後具体化していく段階で,またその点も含めて議論いただけると非常にありがたいかなと思いました。ほかの先生方もまた御意見いただきながら,充実したものにしていただけるとありがたいなと思いました。ありがとうございました。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 それでは,その他について,事務局からの御説明をお願いいたします。
【渡邉専門官】  事務局でございます。それでは,先ほどいただいた御意見の中で,今回お出ししている資料4に対する意見を,委員のほうからも,今日,細かなところを御意見いただくといったところではございませんでしたので,フィードバック検証の機会なのか,大きなところはその前に一旦御意見をいただいて,それを反映させた上でフィードバック検証に進んだほうがいいかなというところもございましたので,御意見等ある方はぜひとも事務局にお寄せいただいて,調査研究チームとの共有を図りまして,フィードバック検証前に反映させたほうがいい大きな内容等については反映させていただければと考えております。
 荒木先生,そういったことでよろしいでしょうか。
【荒木氏】  はい,お願いします。
【渡邉専門官】  ありがとうございます。
 また,スケジュールは先ほどお示ししたとおりでございまして,今後,5月頃に原案が上がってきたところで次の委員会を予定しておりますので,近くなりましたら,また事務局のほうから日程調整をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 ただいまの事務局からの説明について,何か御質問などございましたら,お願いいたします。よろしいでしょうか。
【堀内委員】  すみません。堀内ですけど。
【鎌倉委員長】  お願いします。
【堀内委員】  次の会議が5月ということで,ちょっと教えていただきたいんですけど,事業1と事業2との関連で,コアカリができたところで,やはり看護のほうもCBT,OSCE,本格的に動き出さなくてはいけないなと思っているわけなんですけれども,しかし,現状の看護のところでは,それぞれの大学に任されていて,ばらばらにやったりやらなかったりという実情だと思うんですね。
 それで,先行していらっしゃる医学のほうでの何か御経験があれば教えていただきたいんですけど,このコアカリキュラムの動きと並行して,CBTあるいはOSCEの体制を整えるために今やっておけることみたいなことがございましたら教えていただければなと思います。看護のほうはまだ全体としても組織的にCBT,OSCEを立てるというようなシステムにはなっておりませんので,個々はどこまでどのようなことを今の段階で準備できるのかとか,何かお知恵がありましたら,お聞かせいただければと思います。
【鎌倉委員長】  堀内委員,ありがとうございます。錦織委員にお尋ねしたいと思いますが,今,現状としては,CBTのところの試行をこれで何度か重ねておりまして,まだまだ全会員校が参加するまでには至っていないんですが,いろいろなシステムの問題だとか,あと試験問題の作成だとか,その辺りで苦労しているところでございます。ただ,着実に試行は進んでおりますので,あともう一つは,看護の大学だけではなくて,専門学校もありますので,全体に普及するというところには,まだまだ道のりは遠いと考えております。
 そのような情報提供をさせていただいて,今やっておくべきこと,何か御示唆がございましたら,お願いいたします。
【錦織委員】  御意見ありがとうございます。あと,御質問もありがとうございます。
 一つは,先ほどの語尾のところに関連するところなんですけれども,ミラーのピラミッドのどのレベルで評価をしようとしているのかということについての整理は,今の段階からできるかなと思いました。別の言い方をしますと,CBTで評価できるものとOSCEで評価するものとを,ある程度意識しながら学修目標の語尾を考えていくということは,今からでもできるかなと思いました。
 その際に,これはちょっと堀岡企画官には笑われるかもしれませんけれども,医学での経験をしゃべりますと,今,OSCEを公的化したことによって,各大学の教員の負担がものすごく大変になっていまして,あまりOSCEに過大に期待しないほうがいいんじゃないかなというのが,これは個人的な意見なんですけれども,あります。医学のほうがどのような形に落ち着くのかどうか分かりませんけれども,理想とするOSCEをやろうとすると,現場の負担が大ごとになるなということがこの一,二年で分かってきたことです。動画を使ったCBTみたいなものも最近開発が進んでいたりとかしますので,そういったところで評価できるようにイメージして学修目標を書いていくということはできるかなと思います。
 一方で,やっぱり実技試験ですね。OSCEでないと評価できないということもあると思いますので,今からできることとしては,OSCEでないと評価できない部分はどこなんだろうということについての検討を始めていただくのも一手かなと思いました。
 以上になります。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。
 何か。
【堀内委員】  ありがとうございました。
【釜萢委員】  釜萢ですが,よろしいでしょうか。
【鎌倉委員長】  お願いいたします。
【釜萢委員】  私は全く素人ではありますが,共用試験のCATOの役員にもなっているので,その現状を申しますと,大学の方々には御負担がもう多過ぎると思いますね。ですから,理想は理想としてしっかり踏まえつつも,現実的にできることは何なんだろうということを考えないと,とてもやってられないなと思いますので,乱暴な言い方ですけども,あえて発言をさせていただきました。
【鎌倉委員長】  ありがとうございます。OSCEの負担感というのが今ひしひしと伝わってまいりました。そのことも踏まえながら評価基準のほうの語尾を考えていくという,今はその整合もできるという御指摘かと思います。ありがとうございます。
 ほかの御発言ございましたら,お願いいたします。
 特になければ,これで本日の会議は終了させていただきたいと思います。皆様,御協力を本当にありがとうございました。

 
―― 了 ――

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