今後の医学教育の在り方に関する検討会(第9回)議事録

1.日時

令和6年4月17日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省(東京都千代田区霞が関3-2-2) ※対面・WEB会議の併用

3.議題

  1. 今後の医学教育の在り方に関する検討会 第二次中間取りまとめ案
  2. 医師偏在対策及び地域医療教育について
  3. その他

4.出席者

委員

  永井座長、今村(知)委員、今村(英)委員、大井川委員(代理:茨城県保健医療部 森川部長)、岡部委員、北澤委員、熊ノ郷委員、炭山委員、田中(純)委員、田中(雄)委員、銘苅委員、諸岡委員、山口委員、横手委員

文部科学省

  池田高等教育局長、奥野審議官、俵医学教育課長、堀岡企画官、永田大学病院支援室長 他

オブザーバー

  厚生労働省医政局 林医事課長、文部科学省研究振興局 ライフサイエンス課 課長補佐 廣瀨 章博

5.議事録

【永井座長】  時間になりましたので,それでは,ただいまから,今後の医学教育の在り方に関する検討会,第9回を始めさせていただきます。皆様にはお忙しいところをお集まりいただきまして,ありがとうございます。
 それでは,事務局より委員と事務局の異動,委員の出欠状況,配付資料の確認,オンライン会議での発言方法等,説明をお願いいたします。
【海老課長補佐】  事務局でございます。
 まず,新たに就任された委員を御紹介させていただきます。一般社団法人私立医科大学協会会長,学校法人東邦大学理事長,炭山嘉伸委員でございます。
【炭山委員】  東邦大学の炭山でございます。小川先生の後を継いで,私立医科大学会長になりました。今日からこの委員会のメンバーになりました。よろしくお願いします。風邪をひいていまして,声が出ません。申し訳ございません。
【海老課長補佐】  また,事務局に人事異動がございましたので,御紹介をいたします。4月1日付で,高等教育局及び科学技術政策連携担当の大臣官房審議官といたしまして,奥野が着任をしております。本日,別用務のため遅参をいたしますけれども,後ほど当人より一言御挨拶をさせていただけましたらと存じます。
 続きまして,本日の委員の出欠状況でございますが,本日は今村委員から御欠席の御連絡をいただいております。また,大井川委員に代わり,茨城県保健医療部,森川部長に代理出席をいただいております。なお,宮地委員は11時30分頃,山口委員は11時45分頃御退席の予定でございます。
 次に,配付資料の確認をさせていただきます。配付資料は会議次第に記載のとおりですが,お手元にございますでしょうか。なお,資料につきましては,文部科学省のホームページでも公表しております。
 続きまして,オンラインによる会議の進行に当たってのお願いでございます。御発言される場合には,Zoomの挙手ボタンを押していただくようお願いをいたします。その後,座長から順に発言者を御指名いただきますので,御発言をいただく際にはマイクがミュートになっていないことを御確認の上,御発言をお願いいたします。
 以上でございます。
【永井座長】  それでは,議事次第に従いまして,まず,今後の医学教育の在り方に関する検討会,第二次中間取りまとめ(案),2番目に,医師偏在対策及び地域医療教育について,その他について御議論をお願いします。
 では,最初の議題,今後の医学教育の在り方に関する検討会,第二次中間取りまとめ(案),事務局から説明をお願いいたします。
【堀岡企画官】  よろしくお願いいたします。医学教育課の堀岡でございます。資料1を御覧いただければと思います。
 なお,今回の検討会で議論をさせていただきます,先ほど座長からも御紹介がありました,地域医療教育と医師偏在対策についても,この中間取りまとめにしっかり記載したいと思っておりますので,そこの部分はまだ空欄となっております。今般,そのところ以外の1月から議論したところについて,たたき台という形でお示しさせていただいておりますけれども,次回に本格的に御議論いただこうと思っておりますので,今般は,地域医療の部分もまだ空欄のままでございますし,たたき台として委員の方々に御意見をいただければと思っております。
 それでは,御説明させいただきます。1ページでございます。「はじめに」のところでございますけれども,1つ目の段落に今私が申し上げたようなことが書いてあります。昨年の5月以降,まずは大学病院の抱える様々な,特に経営的な問題や研究に関して,また国立大学病院にどのような影響が出てきたかというようなことを中心に検討を行ってまいりました。9月に一旦,中間取りまとめをお示ししましたところですが,1月より医学教育・研究の在り方を中心に,有識者ヒアリングや委員会での審議を重ねていただいたところでございます。今般,その成果を取りまとめようと思っております。
 次,2ページ目でございますけれども,まずは診療参加型臨床実習の実質化というところでございます。2ページ目の一番上の段落でございますけれども,「シームレスな医師養成」の実現に当たって,卒前における診療参加型臨床実習の推進が重要だという当たり前のことを書いております。下から2番目の段落でございますけれども,今後,診療参加型臨床実習がさらに充実することとなれば,卒後に控える臨床研修の内容に相当する学習が広く実施されるようなことになれば,臨床研修の内容等についても,それに応じて検討していただくということとなっておりまして,臨床研修制度の見直しの報告書もそのような記載になっております。厚労省とも連携して状況を注視していきたいと考えております。
 2ページ目でございますけれども,臨床実習の教育のときに,錦織先生からプレゼンいただいた内容を記載しております。2ページ目の一番最後ですが,各診療科一定程度連続した配属期間を確保する必要があるとまず書いております。
 3ページ目といたしまして,その理由というか,その背景を書いておりますけれども,永井先生から,リクルート的に使われているところがあると御発言いただきましたけれども,そのことを書いておりまして,実態としては全ての診療科で臨床実習を行う必要はないにもかかわらず,学生の卒後の所属先決定に係る影響を重視するあまり,診療科間の公平性が優先されてしまって,細切れの配属期間となっているということもあると。そのために,効果的な学習をやるために,2つ目の段落で様々な対策を書いております。
 例えば,真ん中の部分でございますけれども,実習を統括する権限を有する担当者や組織を決定し,診療科間における調整や学生の意向の確認を行った上で調整するというような取組についても御紹介いただきましたので,そのような取組は有効と書かせていただいております。
 また,3つ目でございますけれども,診療科ごとの配属期間は,医師国家試験の在り方とも関係があるという御指摘もいただきました。下の3行でございますが,医師国家試験の在り方によって左右されるものではないというのは当然ですけれども,両者の関係をどのように捉えていくべきなのか,不断の検討が必要と書かせていただいております。
 次に,診療参加型臨床実習の指導の在り方でございますけれども,2つ目の段落,我が国の大学医学部・大学病院の教員は,診療や研究といった業務で,諸外国と比べても非常に多忙な状況にあるという状況を書かせていただいております。そのための対応として,一番最後の段落でございますが,例えば,後ほどもお話ししますけれども,「たすきがけ」研修のように,臨床研修の「たすきがけ」を推進するという方向性,後ほど書かせていただいておりますけれども,臨床実習についても,関連病院を含めた地域の医療機関等でそういったことを行うということも重要だということを書かせていただいております。
 4ページでございますけれども,でも結局そういうことをやっても,医学教育を,熱意を持って担当する教員が評価されないと,なかなかそういった取組は全国につながらないという御指摘をいただいておりますので,4ページの一番上のところにそういったことが書いてあります。
 (2)として,医学教育を担当する教員の適切な評価ということで,例えば最初の段落には,研究の場合における論文のような客観的な成果として現れにくいということ。2つ目の段落として,例えば一定の要件を満たす者に対して臨床実習指導員の称号を付与するといった方策について,国がきちんと前進させていくべきであると書かせていただいております。
 そこから下は,大学における業績評価の取組例といたしまして,田中先生や永井先生,また田中純子先生からも御指摘いただいたようなことを書いております。まず最初,東京医科歯科大学においては,臨床実習への教育貢献を既に評価項目に盛り込んでいるということでございます。また,例えば広島大学,2つ目の段落ですけれども,処遇には反映されていないものの,教務委員会の担当状況や,講義の担当状況に応じた加点を,アクティビティのモニタリングシステムに係るものとして扱っているという記載がございます。
 また,5ページ目でございますけれども,一番上の段落は,ヒアリングをいただいた錦織先生から御紹介いただいた話でございますけれども,例えば名古屋大学では,病院助教から病院講師に承認する際に,医学生・研修医への直接の指導,学習者評価といった教育ポートフォリオとか,学術雑誌に医学教育に関する論文を著者として発表することなど,系統的な医学教育学のプログラム修了を行うことを承認する条件にしているというような御紹介をいただいております。
 また,5ページ目の一番下の2段落ですけれども,将来的には,こういったことも含めて,教員の業績評価について,統一化,標準化の方向を見いだしていくことが必要と書かせていただいております。また,永井先生から御指摘いただいた,中長期的な検討に資する観点から,国内外の教員の適切な評価の在り方や,臨床実習とかをどのようにやっているかといった取組例について,幅広く調査を行うということが国として必要と,ここも書かせていただいております。
 次,6ページでございます。医学教育に関するコンテンツの共有化というところでございます。2つ目の段落でございますけれども,モデル・コア・カリキュラムですが,今回初めて,ポータルサイトをつくっておりまして,「コアカリナビ」といった形で,非常に簡単に検索したり,一部について教材を置いたりしているということが始まっております。
 今般,プラットフォームの整備に向けた検討として,3つ目の段落で,これを大きく拡充して,非常に使いやすいものとして,各大学が教育コンテンツを相互に活用し,教育の質の向上に役立てることができる,言わばプラットフォームのような仕組みを現場が利用しやすい形で整備をするということについての検討をするべきだということを書かせていただいております。
 6ページ,まとめとして,一番下です。今後の医学教育の充実に向けた取組として,AR・VR等の活用を含む教員DXの推進による効果的・効率的な教育を行うことが必要とまとめさせていただいております。
 次,7ページ以降,医学研究の話でございます。まずは現状でございますけれども,最初の段落,Top10%論文,臨床は53か国8位,人口当たり26位,基礎医学では人口当たり28位で,先進国の最低基準となってしまっております。研究面での地位の低下は続いていると評価しております。
 例えばですけれども,豊田先生からもいろいろプレゼンいただきましたが,3つ目の段落,例えば大学院の博士課程の入学者数の相関ですとか,医師1人当たりの手術件数,また入院件数といったものとの相関,医師1人当たりの手術件数が大きなものほど論文数が少なくなってしまうというようなこと,つまり診療の負担が大きいことで論文の量及び質が低下するというようなことが示されております。
 そういったことから,7ページ以降,医学教育に係る人材育成の推進というものをいろいろ書かせていただいております。大きなものといたしましては,例えば2つ目の研究医枠の設置といったところでございますけれども,8ページ,研究医枠は,今16大学27名となっております。
 3つ目の段落で,研究医枠の設置大学では,研究医枠による定員増後に大学院生が増加したり,また,終了後,多くの人が基礎系の研究医として従事するといったことが起きていまして,研究医枠の設置による一定の効果があると考えておりますので,新規の増員が近年されておりませんけれども,もちろん医学部定員全体の方向性を踏まえつつではありますけれど,次の段落ですが,研究者養成に特化した設置を促進して,医学部全体の範囲内ではありますが,研究医を増員する方策というものを検討することが必要であると考えております。
 次,9ページでございます。研究に関係することといたしまして,大学病院でも魅力のあるものをつくっていくということを様々な形から議論していただきました。9ページの一番上でございます。臨床研修については,高度で専門的な大学病院,また,講座ごとに縦割りになってしまっているというところもございますけれども,専門的な医療をやっていることは間違いないことでございます。一方で,地域医療という観点では,なかなか不向きなところもあるという方針もありますから,大学病院と協力型臨床研修病院で「たすきがけ」型研修というもの,今でも行われてはおりますけれども,人気もありますし,大学病院の魅力を向上するようなプログラムということでできると思いますので,下から3行目ですが,「たすきがけ」型研修を今後さらに広げていくということを文部科学省としてもやっていきたいと思っております。
 2つ目でございますけれども,もう一つ,大学病院の魅力向上として,専門研修と大学院でうまく両立する形をつくるということもお示ししておりました。専門研修と大学院博士課程との両立を念頭に置いたプログラムをさらに充実するということ,日本専門医機構の御協力もいただいてつくっております。また,専門研修の期間中に並行して大学院に在籍する場合には,一般的な研修プログラム制で非常に多くの病院を回るのではなくて,大学病院を中心に研究にも打ち込めるような体制にするという柔軟な対応を求めることについての検討なども今後,日本専門医機構や各学会などと文科省で進めていこうと考えております。
 下から2番目の丸でございます。熊ノ郷先生からもプレゼンいただいた,大学院における研究活動の学位のことでございますけれども,大学院における研究活動は,学位を取得すること自体が目的なわけではないけれども,診療等とのエフォートのバランスに留意しながら,研究時間を十分に確保するための配慮と工夫が必要ということをまとめさせておりまして,10ページにその方策を書かせていただいております。
 繰返しになりますけれども,10ページの一番上,学位の取得のみが大学院に進学することの目的ではありませんが,一定の到達点としての目標というところは,学生の立場からするとございますので,3つ目の丸でございますが,学位の質担保として,学術雑誌への掲載を条件とすることも有用性は認められるという一方で,修業年限内の修了が優先されるあまり,学位の質が顧みられなくなっては本末転倒ではありますが,論文の雑誌掲載までの期間が長期化していることなども踏まえて,Thesisによる学位審査にも一定の合理性があると考えておりまして,そういった側面でも各大学に広げていきたいと考えております。
 最後の段落でございますけれども,大学院博士課程の魅力向上に向けた指導体制の充実でございます。大学院に進学すれば,学費の負担とか所得が減少する場合がありますので,国も,今般,新たな新規予算で,若手の大学院生に対する人件費補助,TA・RAとしての人件費補助というもの,大学に使えるお金を用意しましたけれども,大学においても独自の奨学金の設定などの経済的支援を行っていただいておりまして,こういった取組を後押ししていきたいと,今のような予算などいろんなものを後押しして,大学院に進学しやすくする体制というものを整えていきたいと思っております。
 3番目として,長くなってすみません。医学研究の推進に係る研究環境の整備でございます。2つ目といたしまして,研究時間の確保として,文科省で調査を行いましたが,約3分の1の大学では,研究時間の確保についての何らかの配慮をやっておりました。具体的にはベッドフリーをつくるという当たり前のところございますけど,そのようなのが多いですが,現状としては,なかなか結果として研究時間の確保というものが十分になされているかとは言い難いので,さらなる取組の充実を求めていきたいと考えております。
 そのためにも,研究に専念するための環境の整備,次の段落ですけれども,例えばバイアウト制度とか,直接経費の研究代表者の人件費支出の制度といったものが,9月までの去年の検討会で議論になりました。今回,調査をいたしましたけれども,活用可能となっている大学は4割を超えているという状況でございましたが,様々なヒアリングからも,ほとんど使われていないというような状況も把握しておりますので,こういったものを広げていきたいと考えております。
 また,一番最後の段落でございますけれども,永井先生などからも繰返し御指摘いただいているところでございます。他分野の研究者が医学研究に積極的に参入できるような仕組みづくりなども望まれていて,こうした取組を通じ,若手の医師であっても率先して医学研究の新たなフロンティアを開拓し,国内外の様々な研究者と分野を超えて交流しながら,自身の研究者としてのキャリアを積み上げていくことが必要だと。
 次のページに,そういったことについて,国としても,具体的な支援策を通じて,各大学における研究力の向上に向けて,環境整備の取組や人材の育成を後押ししていくことが必要であるということで取りあえずまとめさせております。
 この後,議論いただく地域医療教育等についても,加筆させていただいた上で,次回またお示ししようと考えています。説明が長くなって恐縮でございました。ありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは,御質問,御意見お願いいたします。いかがでしょうか。論点はたくさんあると思います。
 私からよろしいでしょうか。7ページ以降,研究の推進ですけれども,確かに研究の枠や箱を一生懸命充実させようとしているのは分かりますけれども,繰返し前からお話ししているように,研究というのはスピリットが必要です。まず自由な発想ができないといけないし,議論を通じて,若い人がセレンディピティというのか,ひらめきや思いつきがあって,そのうえで箱や枠がしっかりしていないといけないわけです。
 自由な発想と自由な議論を保障するためには,大学なり研究機関,大学病院に流動性がないといけないわけです。流動性をしっかり確保した上で,箱や枠がしっかりしていればよいのですけれども,その流動性がないまま箱と枠を充実すると,単なるタコつぼになります。その一番よい例が、海外で研究する留学生が減少していることです。研究者がタコつぼに甘んじようとしているようにみえます。そのスピリットのことをまずしっかり大学にも求めるし,それからそれを促すような研究政策というものを打たないといけないということです。
 それから,臨床から離れて研究に専念する時間をつくるのもよいのですが,現実には診療に追われるんです。高度医療をやっていないと,高度な研究もできません。そういう意味で,これも繰返しになりますが,大学病院が教育研究機関とのみ位置づけられていて,高度医療機関としての位置づけがされていない。だから,研究と診療両方に迫られたときには,教育研究要員を診療に駆り出さざるを得ないという現実があります。
 そういう意味で,大学設置基準に、大学病院は医学生の研究・教育のためにあるとしかきていされていない、ここに高度医療機関であることを明記すべきです。そこがないまま箱や枠を充実しても,なかなか研究が活性化しない,それが現在の日本の大学病院の状況と思います。
 いかがでしょうか。岡部先生,お願いします。
【岡部委員】  今の永井先生の御発言にも少し関連するような気がします。大学院教育に関しての議論というのは,どうしてもその入り口の,入るところの人を増やす,それから最後の出口のところで,どうやってクオリティーを評価するかと,そこがどうしても話としてはやりやすいということで議論する形になるんですけれども,私自身が大学院生を見ていて感じるのは,その真ん中のところです。実際の大学院教育をどのように充実化して魅力のあるものにするか,それによって優秀な医学生を引きつける,あるいは国外からも学生が参入するようにするという,そこが重要ではないかと思っています。
 私の大学の医学部の学生で,研究に興味がある研究志向の学生が卒業するときに話す機会があって,自分たちはどうするのということを聞くんですけれども,最近の傾向として,一番意欲があって優秀だと思う学生が,海外の大学院に行きますと言う場合が結構増えているんですね。その理由を聞くと,一つは当然経済的な理由があって,海外の一流大学の大学院に入学できれば,長期間にわたって,かなり高額な奨学金を得ることができる,それが一つの理由で。
 ただ,もっと大きい理由は,海外の大学院であれば,非常にその教育プログラムが充実していると。医学関係の教育も受けられるし,自分の意欲があれば,様々な総合学習プログラムであるとか,分野融合プログラムを履修することができて,非常に急速に進展しているような,AI技術と医学といったものを学ぼうと思ってもそういう機会がある。国内の大学院に行ってしまうと,そういう幅広の体験をすることはなかなかできないので,そういう意味で私は海外の大学院にチャレンジしたい,そういう非常に真っ当な意見です。
 ただ,それに比較すると,国内の大学院の教育プログラム自体が非常に現在,貧弱な状況にあって,そういった学生の新しいニーズに対して応えられていないんじゃないかという気がします。ですから,そういったところは,入り口・出口だけを見るのではなくて,中身をいかにきちんとするのか,それを学生に対して魅力のあるものにするというという,そこを考える必要があるかと思いますので,意見として申し上げました。
【永井座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 岡部先生,海外の大学院のプログラムには,先ほど私がお話ししたような自由な発想とか流動性とかセレンディピティを得やすいとか,そういうことがあるように思うんですがいかがでしょうか。
【岡部委員】  私もそれは非常に感じます。あと,結構学生は社会貢献ということも言うんですよね。そのためには,実際,実用化できるような技術であるとか,医工連携みたいなものをやりたいとか,そういうことも非常に意欲として持っているので,それも国内だと,自分で大学院生のときに新しいアイデアで何かの技術を実用化して,起業に結びつけるということはなかなか難しいと彼らは言うので,そういったところも考える必要があるかと思います。
【永井座長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。銘苅先生どうぞ。
【銘苅委員】  おはようございます。琉球大学の銘苅です。先ほど,永井先生がおっしゃっていた設置基準ということに関して,文科省の方にお伺いしたいんですけれども,現場では,どんなに,今この大学改革プランというものを一生懸命議論はしているんですけれども,マンパワーが足りないよねということにもう終結するんです。
 財源,人件費,そういったものが不足しているがために,だけれども,その財源を確保するためには診療を,いかないといけないということで,教育・研究をやるにはマンパワーと財源というところが非常に足りないということに結局落ち着くということになってしまうんですが,もし永井先生がおっしゃっていた設置基準というところを,高度な診療を行うというところまで規定することになれば,そういったマンパワーや財源も地方の大学等にもかなり配分されるということは期待できることになるでしょうか。
【永井座長】  事務局,いかがでしょうか。法律で役割を明記したら,それは予算をつけないといけないと思いますが。
【俵課長】  医学教育課の俵です。予算化の仕組みの基本は,仕組みを変えれば予算もセットという考えになるというのはよく分かるんですが,実際には,そこは切り離されていて,仕組みが変わったから必ず予算ということにはなっていないので,その予算は予算で必要性,そして財源がどうしても限られているので,その中の優先度であったり,そういったことと合わせた検討にどうしてもなるということはあると思います。
 なので,設置基準を改正したから,僕らももちろんそれで予算が確保できれば非常にいいんですけど,実際にはセットにはなっていないということかと思います。
【永井座長】  でも,何らかの制約はかかりますね。法律が規定しているのに,高度医療ができていないという現実があれば,それは政府は何とかしないといけないということだと思うんです。
【俵課長】  理由の一つにはなってくるかなとは思います。
【永井座長】  努力目標なのかもしれませんが,法律上の規定は大きいと思います。現実として,高度の医療を教育・研究スタッフの動員で行っているという現実があるわけです。多分,銘苅先生はそういうことをおっしゃりたいのだと思いますが。
【銘苅委員】  はい。まず今,俵課長がおっしゃったように,難しいというのは重々理解はできるんですけれども,もしそれが予算を伴わないとしても,現場からはそういった,大学がそういう機能を担っているということを法律でちゃんと明記されているということ自体も物すごくモチベーションになるんです。私たちは高度医療をやっている,教育も研究もしながら,めちゃめちゃ診療やっているという現場で,でも給料は安いよねと言ったときに,いや,でも使命としてこういうことをやっているよねとなれるか,言われるか,もしくは逆に,いや,でもあなたたちは教育と研究としてしか大学で働かされていないですからと言われるのとでは違うんです。法律として大学病院で働く医師は,高度診療の役割もちゃんと担っているんですよということをちゃんと明記されていることとされていないことでは,全く現場の医師のモチベーションとしても変わるということをぜひお伝えしたいと思います。以上です。
【永井座長】  繰返しになりますけど,国立大学が法人化されたときに,国立大学が教育研究機関であるならば,1兆円近い負債は返す必要はなかったと思います。それを返済せよと政府が言って,大学が返したということは,高度医療機関として頑張ったわけです。でも,それは位置づけられていなくて,教育・研究の延長でやったのかという話になる。そうすると大学病院の教育・研究の赤字を保険診療で返したのかという話になって,いろいろと都合の悪いことが出てきます。
 よろしいでしょうか。それでは田中委員,どうぞ。
【田中(雄)委員】  銘苅委員のお話に追加すれば,もっとアカデミアの給料を上げるべきだと私は根本的には思っています。もう一つ私が申し上げたいことは,先ほど岡部委員が言われたことにも関連するんですけれども,今までは私もそう思っていましたが,卒業して,臨床研修をやって,専門研修に進むという,それがもうごく当たり前のように考えられていたわけですけれども,今の上級学年の学生たちは,そこのところから疑問に思って考えるようになっている傾向があると思うんです。それはまだ少数ですけれども,いろんな可能性を考え始めている。
 例えば,岡部先生の言われた海外の大学院というのも一つのトラックですし,企業に就職するとか,そういう別の道も考えていて,ですので診療参加型臨床実習というのは,その後に続くシームレスな医師養成課程だと必ずしも言えなくなりつつある部分があるということは,もう一つ認識しておく必要があるんじゃないかと思うんです。
 その場合に,一体,診療参加型臨床実習とは何かということになるんですけれども,これは,例えば研究に行っても,それから企業に行ったとしても,あるいは行政に行ったとしても,本格的な臨床現場を学ぶ,そうするとそういう人たちにとっては最後の機会になりますので,そういう意味でも診療参加をきちんとやるべきだと。ですから,結論として診療参加型臨床実習は重要だということは変わらないんですけども。
 2ページにシームレスと書いてあるんですが,医学・医療の多様化に伴って,あるいは価値観の多様化に伴って,必ずしもシームレスでなくても,医学教育の最終的な仕上げという意味でも重要だという位置づけを意識しておくのがいいのではないかと思いました。以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。釜萢委員,どうぞ。
【釜萢委員】  ありがとうございます。今,田中先生がおっしゃったことに私も賛成を申し上げたいと思います。診療参加型の実習,その後,国家試験が終わった後の臨床研修,引き続き専攻医研修に進まれる場合がほとんどですけれども,医学部に入った人はみんなこのルートをたどっていかなければならないのではない。学生さんの中に,それはちょっと違うのではないかと感じておられる方があるという田中先生のお話は,そうであればよいなと思います。
 シームレスの重要性の指摘があり,CBT・OSCEが終わった後に行った臨床実習を,また国家試験後も同様に繰り返すのでなく、それぞれのレベルを考えて,過去にやったことがしっかり生きることが重要だという議論がなされたと記憶しています。一方、皆さんが全部そのルートで専門医にならなければならないというわけでは決してない,専門医に対する考え方もいろいろ多様化してきた中で,今回の検討で,この点を明確にすべきと思います。
 第二次中間取りまとめについて,堀岡さんから詳しい御説明がありましたけれども,これまでの議論を踏まえて,非常に大事な指摘事項がちりばめられていると思います。しかし、指摘事項が多岐にわたるものですから,それぞれ大事だけども,順位づけとか,重みづけをどうしたらよいのかという点も感じましたけれども,大事な点がしっかり書かれているという点では大変優れた内容になったと思います。
 これも田中先生もおっしゃったのですが,大学に勤務する医師の待遇をきちんと高めていくということがぜひ必要で,その報酬を診療報酬の中から,何にしろ捻出しなければいけないというこの現実を変えないと駄目だと思います。本来必要な教育や研究に携わる人に支払うべき報酬をきちっと国が確保するということは,これがぜひ必要で,この点について我が国は,全体の国の支出を見てみると,非常に先細りになってしまったということは明らかですから,ここを何とかしっかり手当てをして,そしてそこを充実させて,そして銘苅先生も言われましたけど,人が集まってくるようにしないと駄目なので,そこのところが非常に大事だなと感じました。
 それから1点,やや細かいところですけれども,3ページの一番上の丸です。診療科間の公平性が優先され,配属が細切れになってしまう。今後の議論も出てくるかもしれませんけれども,自分が進むべき診療領域を早い時期にある程度固めて,それに特化してそこを厚くしていくということはぜひ必要だろうと思います。
 ですから,各診療科に公平にするということについては,今後,改めなければいけないという思いを持っているので,この内容に賛同いたします。以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございました。宮地委員,どうぞ。
【宮地委員】  ありがとうございます。今の釜萢委員の御発言に重ねる形で,本日これから議論される地域医療の枠組みに関してになりますけども,事務局にお願いしたいと思う点が1点ございます。
 本当に地域医療に従事する人を増やすという目的で,単に地域に行く学生や研修医を増やして,そこに言わば押し込めるような構造をつくって,それに頼り切るということだけではなくて,地域ならではの教育のよさ,豊かさを明らかにして,それを維持・向上できるようなことが同時に必要なわけです。これの後者に必要なのは,地域で教育に携わる指導医や多職種への人的及び金銭的な補助です。
 今お話があったように,教育に従事する分,診療のボリュームが減って,その分減収になるという事態が恒久化することは,地域医療教育の質の維持になりませんし,それを魅力として医師が集まるということもあまり期待できませんので,高度医療人材養成拠点形成事業で,この間までこちらの会議でも議論をしてきた,医師養成の促進支援ですけども,これが大学及び大学病院での教育の人材に対して,お金を国からいただけるという仕組みとして構築されたわけですが,地域の教育病院や教育の診療所に,どのような形で支援ができるかに関しても御議論いただけたらと思います。
 長くなりました。以上です。
【永井座長】  ありがとうございました。山口委員,どうぞ。
【山口委員】  ありがとうございます。先ほど釜萢委員のおっしゃった3ページのところに書いてある,細切れで平等にというのではなくて,関心があるところに重点的にということですけれども,確かにもう診療参加型臨床実習が始まるときに,この科に重点的に行きたいという希望を持っている人はそれでいいと思うんですけれども,まだまだ絞り切れていないという学生さんもいらっしゃるかと思います。
 私がいろいろお聞きした範囲では,例えば早い学年からいろんなところを回っていると,今まで関心がなかった診療科に,改めてその現場を見ることによって,この科がこんな魅力があるんだということを感じることもあると聞いていますので, 5年生の段階から診療参加型ということで組んでいくのであれば,早い学年の間にいろんなところを見る経験というようなことも併せてなければ,なかなか絞れないじゃないかと思いました。その辺り,関心がこの科にと決められている人と,なかなか絞り込めていない人,そういったいろんな人たちがいるんだということを前提に組んでいく必要があるのではないかと思いました。以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。横手委員,どうぞ。
【横手委員】  ありがとうございます。取りまとめを非常にしっかりとしていただきまして,個々の項目は全くそのとおりだと思いますし,これのそれぞれを実現していくとすばらしい,そういう内容になっていると思うんですけれども,一方で,課題は全て抽出していただき,しかしこれを全部実現していくとなると,今それこそ大学病院にいる人間の3倍,4倍の人数が必要な,そういう内容だろうと思うんですね。
 ですので,今あることの延長線上でそれをどうすべきかということを,ある意味フォーキャスティングの発想でこれは論じられているので,むしろ,限られた人的あるいは財政的な財源などを考えると,本当に今,日本でできることの中で,どういう未来像があって,それを実現するためには何をしていくべきかという発想も次の段階で必要なのか,バックキャスティングといいますか。
 例えば,我々は教育・研究が,先ほど来話があるように,重要だということで,そこに診療がどんどん重さを増していると,さらに地域医療もあると。この4つをみんな一生懸命やっていって,昔はできたけれども,人も少なくなり,一つ一つのボリュームが激増しているわけです。そうすると,これを今のまますることは恐らく不可能で,だとしたら,人数を増やすか,逆に,高度な診療をしながら,研究は,自分でプランニングはするけれども,実際に手を動かしてもらうテクニシャンにやってもらうような,そういう財政的支援が必要だったり,あるいは,研究をメインにやって,診療を一部分だけやるような人をつくったり,そういう人たちの複合体として大学が運営されていくような未来というのもあるのかと。
 そういう意味では,どういう,これを実現するといっても,全部やっていこうとなると,これはもうそこで,そもそも破綻してしまう気がしますので,それを現実に落とし込むにはどういう形があるのか。それはもしかしたら大学ごとに選べるのかもしれませんけれども,そういう発想も次の段階としては加えていくことが実現可能性につながるかと。
 この数年来,文部科学省,厚生労働省の皆様と,給与を上げたり,あるいは働き方に対する財政支援を得るためにということで,AJMCでも大分いろいろ勉強させていただきましたが,本当にこの財源の確保というのは難しいところがあるんです。そうすると,その得られそうな中で何ができるかということを,もう一度,別の視点で論じることも必要なのかと思いました。まとまりのない発言でございますが,以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。ぜひ,事務局におかれましては,今のいろいろな御意見を参考にして,さらに取りまとめを進めていただければと思います。
 それでは,続いて議題2,医師偏在対策及び地域医療教育について,事務局から説明をお願いいたします。
【堀岡企画官】  様々な御意見ありがとうございました。今の御意見を反映して,またこれからの,今から説明するような資料と御議論の内容も反映して,次回本格的に議論していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 資料2,パワーポイントの資料でございます。「医師偏在対策及び地域医療教育について」という資料でございます。この論点案は,最初と最後の論点案をあえて示しておりますが,なぜこういったことをこの検討会でやるかということでございますけれども,厚生労働省で,「医師養成過程を通じた医師偏在対策等に関する検討会」という検討会が開催されております。令和8年度以降の医学部定員などについて議論が進んでおりまして,減員に向けた検討として,「医師多数県の臨時定員地域枠の意向の一部を医師少数県へ配分・調整する」といったようなことが提案されております。
 この検討内容については,後ほど厚生労働省医事課長から簡単に御説明いただきますけれども,そのような中で,都道府県間診療科偏在が非常に指摘されております。医師養成課程についても,文部科学省で厚生労働省と連携してできる方策,どのようなことができるかということで検討することが必要ではないかと考えて検討しております。
 また,3つ目でございますけれども,これは引き続きになりますけれども,地域医療における重要な役割を担う大学病院において,高度な医療とか医師派遣を継続するために,魅力向上を図るための取組というものは今まで御指摘いただきましたけれども,定員に関係するような形の施策を今回新たに提案させていただこうと思って,論点では示しております。
 2ページ目以降でございます。この辺りも非常にもうプロの先生方が多いと思うので簡単に御説明いたしますけれども,ピンクの棒グラフのとおり,医師数は増しております。真ん中の表にございますけれども,人口が減って医師数が増しておりますので,人口当たりの医師数が猛烈に増えておりまして,今,10万人当たり269.2まで増えております。
次のスライドでございますけれども,一方で,医学部定員が増えている中で,厚生労働省での議論の紹介でございますが,医学部の人口が大幅というか,子供が大幅に減っておりますので,例えば1970年には18歳人口の約400人に1人が医学部に進学だったのが,今は約100人に1人ぐらいになっておりまして,今後約85人に1人が医学部に進学というような時代に,このままだとなりますので,こういった人的資源も踏まえて,今後どうしていくのか考えるべきということを議論いただいております。
 4ページも,後ほど厚労省のほうで御説明いただけると思いますけれども,医師需給についてはこのような試算がなされているところでございます。
 一方で,5ページ目でございますけれども,地域の偏在,診療科偏在はまだまだ大きいものがございまして,例えばこれは医師需要の医師偏在指標というものでございますが,人口より精緻に医療の需要を計算したものであると聞いておりますけれども,例えば東京都353,京都府326といったところと,青森や岩手といったところでは2倍近くの差があるという状況でございます。
 今まで,6ページ,地域偏在・診療科偏在,日本は比較的諸外国に比べて緩やかな政策をやっておりまして,例えば地域枠の設定として奨学金をつくって地域に残っていただくこと,臨床研修においても各都道府県別の定員をつくっていただいていること,また専門研修においても,シーリングをつくっていただくといったところでやっております。
 7ページでございますけれども,医学部定員については,例えば1,778人,平成19年から増をしております。この中身でございますけども,8ページですが,1,778人のうち臨時定員というもので増えているのが約1,000人,978人でございます。その中の約半分の410人が診療科選定の地域枠という形で,一つの診療科ではないですけれども,多くの診療科から選ぶ形での診療科選定まで枠はかかっているものとして設定されております。また,取りまとめでも御説明しましたけれども,人数は少ないですが,27人という形で研究枠もございます。
次のスライドでございますけれども,地域医療教育とその後の教育がいかに偏在対策に効果があるかといった資料でございますが,これは厚生労働省のデータでつくっていただいたものでございますが,出身地が例えばA県,大学がA県,臨床研修がA県でございますと,そのままA県で医療に携わる割合が9割です。当たり前といえば当たり前でございますが。
 出身地が例えばA県で大学がB県に行っても,臨床研修がA県に戻っていれば,その後A県に76.5%が残るという。参考にございますけれども,例えばB県出身でも,A県の大学に行ってA県の臨床研修をすると,それと同じぐらいの割合がA県に残るということで,医師養成過程,また臨床研修などがどこでやるかというのが非常に地域での医師偏在に重要な側面があるというところの例でございます。
 10ページ,そういったことでの大学病院からの医師派遣の数で,本邦初めて,大学ごとの数字を調査いたしましたので出しておりますが,これは例えば3年以上,基本的には専門医を取っている方だったりしております。また,調査上の数字ではありますので,少し大学の実態を表して,ひょっとしたらいないところもあるかもしれませんが,この調査結果となっております。
 旧帝大を中心に,東北大,筑波大,医科歯科などもですけれども,非常に多くの医師派遣をしていただいております。グラフが医師派遣の人数,赤が医師少数区域への人数でございますが,例えば東北大学や筑波大学,また私立では岩手医科大学や東北大学,東邦大学といったところが,赤の医師少数区域への派遣が非常に多い大学として地域医療を支えていただいておりまして,このような側面を今回診療報酬でも支えていただいているというところでございます。
 また,11ページでございますけれども,常勤医師の派遣状況としての診療科をまとめております。地域医療教育についての文科省としての取組を12ページ以降にまとめております。
 13ページ,ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業というものでございますが,5億円で,特にポストコロナでございますので,特に感染症や総合診療といったものを中心に教育プログラムに予算をつけております。
 14ページでございますけれども,大学,11大学,また連携校も含めて,このような大学に取っていただいて,教育プログラムをつくっていただいております。どんなものをつくっていただいているかという例でございますが,例えば15ページ,横手先生と炭山先生にも出席いただいておりますけれども,千葉大,東邦大学の取組といたしまして,例えばこのポストコロナのお金を使って地域医療に研修に行ったりするときに,例えばICTでつなげた形での研修などを行って,地域医療と,またそういった地域医療の能力と地域志向型リーダーとして能力を身に付けるといった事業をやっていただいております。
 また,16ページ,新潟の取組ございますが,県の確保基金の取組とこれを合わせて,大学にも寄附講座をつくって地域医療支援センターと大学で地域医療教育を両方行うといった取組をしておりまして,次のページでございますけれども,新潟県においては,最高人数161人という,新潟大学の卒業生よりはるかに多い数の初期研修を確保していただいておりまして,やはり地域医療の教育と,その地域の医師定着というもの、非常に関連がある例として御紹介させていただいております。
 次に,政府全体で進めております恒久定員の話でございます。19ページでございます。検討会の中で,今後,特に医師多数県の臨時定員についていろいろ議論しておりますけれども,そういったところもありまして,4行目でございますが,安定した運用をするためには恒久定員内で措置することが望ましいという方向性が示されております。その中で,文科省としても地域枠について調査をいたしましたところ,様々なことが分かってまいりました。
 21ページ以降でございますけれども,医学部定員全体はこの人数でございます。赤いグラフ,1,770人が増員数でございまして,938人が臨時定員で増やした地域枠になります。大学別に見ると22ページでございまして,非常にばらつきがございます。例えば,赤が臨時定員,青が恒久定員内でございますけれども,例えば新潟大学などは臨時定員を最高人数までやっており,140人という定員まで達しておりますが,恒久定員内はゼロでございます。一方で,国立大学,例えば弘前大学,公立では札幌医科大学といったところについては,臨時定員はそんなに多くないですが,恒久定員も限界まで埋め込んでいただいておりまして,例えば札幌医大についても一般枠は20人というところまでいっております。といったところで,かなり大学によって,この辺の考え方に差があると認識しております。
 24ページでございます。オレンジが医師少数県,緑が医師多数県です。今申し上げたとおりでございまして,全体としての地域枠の数は医師少数県のほうが熱心でございますけれども,大学の恒久定員内での取組は,正直,本当にばらばらといったところでございます。
 ちょっと違う観点からでございますが,県またぎ地域枠,次のページでございますけれども,どうやっているのか。これは基本的に地域枠というものは地元の大学においておりますけれども,グレーの部分が地元大学,赤が県またぎの地域枠ですが,基本的にはどの県も地元の大学に地域枠を置いているということが分かりました。
 一方で,茨城県,新潟県,静岡県辺りはかなり特殊でして,地元の大学にはマックスに近いところまで置いていますので,それを超えて県またぎの地域枠というものを大幅に増やしているというところがございます。
 よく,非常に御関心があるところで,地域枠の効果でございます。26ページですが,少なくとも令和3年度の医学部卒業生については,1,609人の卒業生がございましたところ,95%が県内に就職しております。残り県内に就職していない者にも調査をさらに加えておりまして,右の円グラフでございますが,その方々も調べると,地域枠といってもこのときは,従事義務が明確にないものも実はございまして,その人たちが県外に就職しておりますが,ピンクの部分,実際に円グラフに出てこないわけですが,別枠の入試で修学資金の貸与がある,本当の意味での地域枠という意味は一人も県外に出た人はいなかったということで,もちろん9年の間にいろいろあるんでしょうが,少なくとも,かなり有効な施策として,今でも地域枠というものは根づいているということは評価できるかと思います。
 次に,28ページ以降でございますが,診療科の問題でございます。後ほどの提案とも関係する部分がありますので,診療科についても御説明いたしますが,28ページ,医師数全体の増はこの赤のグラフでございます。真っ赤なところ。つまり平成20年から令和2年までで1.2倍ぐらいになっているグラフでございます。これよりも上の診療科が医師総数の全体よりも大きく増えた診療科で,特にリハビリ,麻酔,形成,放射線が大幅に増えているというのが分かります。ここから,精神科から産科,産婦人科までは,少しだんごというか,年によってちょっと違うところでございますけども,眼科,耳鼻科はあまり増えておらず,外科はほぼ横ばいにあるというところでございます。
 30ページ,医師養成の中でやるところ,限界はあるんですけれども,診療科地域枠をつくっているところを申し上げましたが,71大学中41大学に御協力いただいております。ですが,複数診療科ですので,複数診療科にどのようなものがあるかというと,もちろん外科も26大学設置しておりますが,どちらかというと,小児科,産科,救急,総合診療,内科,また麻酔などもございまして,ばらけているといったところでございます。
 後ほどの我々の提案とも関係するので,厚労省さんの施策を御紹介しますが,31ページでございます。今まで臨床研修において,産科・小児科プログラムというものはあったんですけれども,その他の診療科特別プログラムというものはございませんでした。それについて,下の真ん中の部分でございますが,必修診療科,つまり内科,外科,産科,小児科,総合診療,救急といったところでございますけれども,当該病院の所属する都道府県において医師が不足している診療科であれば,その特別プログラムをつくることも可能ということで,改革の見直しが行われております。
 また,繰返しになりますが,診療参加型実習が充実された場合,次のページですが,臨床研修についてもそれの内容について応じて検討をしていただくこととなっております。
 34ページ以降は,大学病院の魅力向上という観点で,どのような大学病院が今,若手の医師に選ばれているかということの資料ですが,今までにも御説明した資料ですので,割愛させていただきます。
 38ページ以降に今回の対応方針案で取りまとめております。最初の2ページは,今までのものともかぶっているものがございまして,「たすきがけ」プログラムをより推進していく,次のページですが,大学院の進学と専門医の進学をやりやすくして,より大学に魅力を持ってもらうというところでございます。
 40ページからが今回新しいものございまして,例えば,まず1つ目でございますが,医師不足が深刻な診療科について医師養成過程の早期から,専門的な知識・技能の習得を目指した教育を実施するということを,文科省としても推進してはどうかと思っております。これは例でございますけども,例えば大学において特に必要と考えられる外科選択枠というものを,入学から4年生の間,入学で枠をつくっても構わないとは思いますけれども,そういったところで選んでいただいて,選んだ学生については,5年・6年の診療参加型臨床実習から研修医2年目までを見据えたプログラムを考えていただくと。つまり,例えば外科であれば外科研修プログラムというようなものをつくっていただいて,5年・6年,研修医1年目・2年目という形で,シームレスにつくっていただく。この場合は,分かりやすく言えば,例えば5年・6年で70週,臨床実習をやっていただいておりますけれども,例えばそのうちの半分を例えば外科とか,例えば全身の管理が必要な診療科とかを中心に回っていただいて,エリート教育をすると。
 臨床研修の1年目については,もちろん必修の研修である,他の産科,小児科,精神科,救急といったものを回っていただきますが,研修医2年目からは本格的な外科の医師となった後の研修も始めていただいて,例えば外科学会とは様々な話をさせていただいておりますけれども,研修医の時代の手術処理であっても,専門研修の症例にカウントするというようなこともしていただくような改正をしていただいておりますので,そういったことで,できるだけ効率的な医師の養成を行うということを4年次・5年次からでしょうか,5年次からエリート的に行うようなことを行ってはどうかということを一つ提案させていただいております。
 もう一つでございますけれども,医師偏在や大学病院の機能確保のための試案2でございます。今まで「たすきがけ」の研修を推進するといったこともしておりますけれども,出身大学が実施するプログラムを履修する入学者選抜枠を設置することはどうかと。つまり,分かりやすく言うと,左下に入学者選抜枠のイメージでございますが,今までは都道府県が設置して,修学資金で縛りをかけた形での地域枠という入学定員がございます。それのほかに,大学特別枠というようなものをつくって,卒業後,大学のプログラムを履修する入学者選抜枠を設置してはどうかと考えております。
 これはもちろん基礎医学でもいいですし,臨床医学でもいいんですけれども,いずれにせよ,大学が設置するプログラムにおいて,教育・研究・診療に貢献していただくというようなこと,医師派遣により結果として地域医療を担うこともあるかもしれませんけれども,大学における教育・研修に携わっていただく特別枠をつくってはどうかという御提案をさせていただいております。
 これは全く新しいものということはそうでもなくて,42ページでございますけれども,文科省で調査いたしますと,地方の大学で一部やっているところもございまして,学校選抜が多いんですけれども,そういった形で入試選抜をして,基本的に大学病院に所属していただくという従事要件を誓約していただくという形で入試枠をやっていて,おおむね非常に優秀な人材が集まっていて好評だというお話も聞いていているところでございます。
 43ページの最後に,最初に示した論点案をまた出しておりますけれども,こういったことで御議論いただけないかと考えています。すみません,長くなって恐縮でございます。以上になります。
【俵課長】  医学教育課の俵です。少しだけ補足を。今,堀岡企画官からあったように,この後,林課長からも説明いただきますけれども,医師の需要と供給の将来推計からすると,今後医師の総数,これについては抑えていかなければいけない,そんな状況にあると思います。他方で,これも堀岡企画官からもありましたが,地域によっては医師が足りない地域があり,診療科については,さっきもデータにありましたけれども,若手の医師の成り手,その数に差が出てきている,そんな状況があるかと思います。医師の偏在の問題は大きな社会課題じゃないかと思っています。
 医師の養成段階でできること,これは限られるかもしれませんが,どのような対応ができるかということについて,僕らとしても考えたいと思っていまして,今日は試案という形でありますが示させていただきました。いろんな御意見があると思いますが,僕らも今後,厚生労働省とも連携しながら考えていきたいと思いますので,御議論をいただければと思っています。よろしくお願いします。
【永井座長】  ありがとうございます。本日は有識者として,東北医科薬科大学の小澤先生,九州大学の水内先生に御参加いただいております。各大学・医局の取組を御紹介いただきたいと思います。最初に小澤先生,続いて水内先生の順で説明をお願いします。15分以内にお願いいたします。
【堀岡企画官】  永井先生,申し訳ございません。厚生労働省からも少し御説明させていただいてよろしいですか。申し訳ございません。
【永井座長】  どうも失礼しました。
【堀岡企画官】  申し訳ないです。時間を取ってしまって申し訳ない。
【林課長】  それでは,厚生労働省医事課長の林でございます。手短に御説明させていただきます。資料3を御覧ください。
 3ページ,今「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」を行っております。第1回を1月に行いまして,これまで3回議論をしております。
 4ページ,どういうことをこれから議論していくのかということですけども,大きく分けると,医師増加ペースについての検討を図っていく必要があるということ,人口減少に伴い将来的には市場が減少局面になるという制約の中で,医師増加ペースをどうしていくかということ。そして一方で,様々なところで医師不足感,地域偏在,診療科偏在といったこと,あと提供体制,働き方ミスマッチといったことも含めて,医師不足感への対応等を考えていく,こうしたことが大きなアジェンダでございます。
 5ページ,その議論のスケジュールでございますけれども,毎年の臨時定員の設置方針や,各大学における定数といったものを決めていく,検討していく必要がありますので,これについて毎年,左側の緑の部分ですけども,検討していくということがございます。また,長期的課題として,地域偏在対策や診療科偏在対策について議論をしていくということも大きなミッションでございます。中間取りまとめを,どの時期かというのは非常に大まかに書いておりますけれども,今後こういった議論を重ねながら,成果を挙げていきたいと考えております。
 7ページ,これまでに議論をして一定の結論を得た部分でございますが,令和8年度の医学部定員の方向性でございます。令和8年度の医学部定員については,現時点で急激な変更は行うことなく,令和6年度の医学部定員数を上限とするということとしております。実効性のある医師偏在対策を行うことが前提ではございますが,令和2年度以降,最大の医学部定員の9,403人に合わせて,令和8年度の医学部定員,全体の定員を設定するということついて,検討会でおおむね合意をしておりまして,また文科省とも相談しながら,こうした中で配分を検討していくということになろうかと思います。
 さて,8ページ以降,その検討会で幾つか資料を出させていただきましたので,簡単に御紹介させていただきます。9ページから10ページは,先ほどこちらでも御紹介がありましたので割愛させていただいて,11ページ,医師偏在指標,これは横軸が全年齢の医師が多いか少ないかという指標でございますが,縦軸が35歳未満の医師数の人口に対するものを表しております。上に行くほど若い医師がたくさんいる,下に行くほど若い医師はなかなかおられないということで,おおむね右上から左下に並んでおりますけれども,その中でも上下のばらつきがあるということでございます。
 12ページは,先ほどもありました診療科別の医師数の推移で,もう少しこれを実数で細かく見たものが13ページ,14ページにございます。そして35歳未満に限ると,若い医師がどういう希望を持っていらっしゃるのかということに着目をして,15ページ,16ページにそれぞれ実数と割合をお示ししております。17ページ,18ページは女性医師についてというところで,こちらも様々な形になっております。
 19ページ以降は,実数を科ごとにまとめておりますけれども,特に注目すべきは,19ページの左下,外科の医師数に関して女性医師は徐々に増えておりますけども,男性医師について近年減少の傾向がかなり出ておりまして,次の20ページ,特に外科の中でも分解をしますと,消化器外科における男性医師の減少が見られているということでございます。
 その他,21ページから24ページまで様々な科についてお示しをしております。よく言われる美容外科でございますが,24ページの右側にございます。確かに近年,過去の傾向と変わって増えてきているということはございます。ただ,医師届出票を出していただいている限りにおいては,全体の中における人数のシェアというのはまだそれほど大きくないということかと思います。
 25ページは,医師の労働時間でございます。忙しいかどうかということでありますが,かなり時間外労働は各科とも改善してきているという認識でございますけれども,これについても科の選択にも影響を与えている可能性がございます。
 26ページからは,医育機関か病院か診療所か,どこに勤めていらっしゃる医師が多いかということでございます。26ページの図は,以前に永井先生からもお示しがありましたけれども,これがアップデートされましたので,お示しをさせていただいております。
 27ページ,経年的に見ますと,病院,診療所,そして医育機関附属の病院,それぞれ医師の数は増えてきているということでございます。大学のほうでも医師の数は増えてきているということです。これを年齢別に見ますと,29ページのほうが分かりやすいので,35歳未満に関して見ると,大学病院,診療所,病院のそれぞれのシェアは,基本的にそれほど変わってはおりません。
 31ページ,35歳から44歳ですが,こちらを見ますと,病院はあまり変わっていなくて,診療所を若くして開業・勤務される方は,経年的には減っていく傾向にございます。一方で,大学病院にいらっしゃる方のシェアは徐々に増えているという傾向がございます。
 33ページ,45歳から54歳の方を見ますと,病院が増えていて,診療所は減っていて,大学病院は増えているという形でございます。
 35ページ,55歳以上は,診療所が減っていて,病院が増えていて,大学病院はもともとほとんどいらっしゃらないというようなことでございます。
 最後に,現在の検討,さらにどういった検討をしているかということでございますが,36ページ,次は臨時定員の上限の中でどういった配分をしていくかということの検討をしておりまして,大まかに言うと,医師多数県の臨時定員については,一定の削減をしながら,医師少数県のさらなる希望について配分をしていこうというような議論をしておりますけれども,これはまだ議論の途中でございますので,引き続き議論していきたいと思っております。
 そして37ページ,今後の偏在対策の方向性についても,様々なデータをお見せしながら御意見いただいておりますけれども,引き続き議論をしていきたいと考えております。
 厚労省から以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。では,有識者の小澤先生,水内先生,お願いいたします。最初に小澤先生からお願いします。
【小澤氏】  東北医科薬科大学の小澤です。本日は本学の地域医療教育の取組について紹介する機会を与えていただき,ありがとうございます。
 次のスライドをお願いします。本学は,37年ぶりに東日本大震災からの復興の一環として設置されました。そういう医学部ですから,そのミッションは明確でありまして,東北地方の復旧復興の核となり,地域医療を恒久に支える医師,東北地方で働く地域医療を支える医師を育てるというミッションに特化しております。
 次のスライドをお願いします。本学のディプロマ・ポリシーは,ここの2に書いてありますように,「地域医療,災害医療に貢献する強い意志を持っていること」ということを挙げております。そのために,アドミッション・ポリシー,入試の段階,入試要項には,1番として,「将来,東北地方の地域医療,災害医療に従事して,地域住民の健康を支える使命感に燃えた学生を求めています」と明記しております。そして,入試の面接では,その地域医療にちゃんと貢献する意思があるかどうかを基本的には確認して入学者を決定しております。
 また,その下にあるカリキュラム・ポリシーでは,3番に書いてあります「地域医療に対する理解を深め使命感を醸成するために,同じ地域を繰り返し訪問をする」と,地域滞在型教育を行うということをうたっております。
 次のスライドをお願いします。東北地方の地域定着のために,まず入試の段階でちゃんと意思を確認して,そういう使命感を持つ学生をまず入れると。そして,在学中は,このような地域滞在型の地域医療教育を行っております。そして卒業後も様々なセンターを設けておりまして,教育をしていくということにしております。
 次お願いします。具体的なことを説明させていただきます。まず1番としまして,本学独自の修学資金制度があります。そして,2番として教養課程における(東北)地域教育,これは地域医療教育じゃなくて,まず東北地方自体に興味を持ってもらう教育をしております。そして3番に,今まで説明いたしました同じ地域を繰り返し訪問する体験学習,地域臨床実習ということを行っております。
 次のスライドをお願いします。本学の修学資金制度は少し複雑です。一般枠は45名,修学資金枠の学生は55名です。修学資金枠はAとBに分かれ,Aでは6年間で3,000万貸付けされます。そして,B枠では,本学から1,500万出して,あと各県からの奨学金を合わせてということで行っております。そして, A枠の3,000万は,卒業後雇用した,病院から1年間300万円ずつ返還してもらうということで,循環するようにしております。最近見直しが入りましたが,基本的にはこのようなスタイルの奨学金枠を設けております。
 次お願いします。そして,一番数の多い宮城A方式,宮城県が3,000万を出す宮城A方式の研修では,まず卒業後1年目,2年目は自由なところ,日本全国どこでも初期研修,臨床研修をしてもいいということにしております。そして,専門医を取るための3年間,次の3年間は,宮城県にある大学のプログラム,東北医科薬科大学のプログラムか,東北大学の専攻医プログラム,専門医研修プログラムに入れば,3年間は返還しなくてよく,残りの7年間だけ返還を要すると,そういうシステムにしております。
 次お願いします。次に,教養課程において東北の地域教育をどういうふうに行っているかということで紹介いたします。特徴的なのが,「東北学を学ぶ1,2,3」というものを必修科目として設けております。その狙いとしては,東北各県の現状と課題を理解していただいて,東北の地域の様々な問題を知ってもらって,それを発表します。というのは,学生は7割が東北以外の地域から来ております。中には,初めて東北地方に来たという学生も多くいます。ですから,東北地方ってどんなところだろうと,そういうところからまず知ってもらうということで行っております。
 この「東北を学ぶ1」では,まず各県の東北6県の紹介をします。紹介していただくのは,米印にありますように,各県の健康福祉部長宛てに,県の特色及び各県の医療に関する現状と課題,対策等を中心に講義を依頼しております。これを全部聞いてもらって,各県ごとにこんな特徴があって,こういう医療をやっていると,そういうことを学んでもらっています。
 次お願いします。そして,「東北を学ぶ2」では,このように医療とは関係なく,例えば東北地方研究とか,あとは第6回では,近代以前の東北はどうかとか,第7回では,東北の風土と生活はどういうふうになっているかとか,そして第14回では,東北地方の民俗とマレビト,第15回では,東北地方の年中行事と祭りと,このような東北地方のオリジナリティーというか,どんな地方かということを学んでもらい,東北地方になじみを持ってもらうような教育を行っております。
 次お願いします。また本学では,地域医療ネットワーク病院というのを設けております。これは教育協力病院です。発足当初は,左の地図にある東北6県に合計24の病院にお願いしており,今年から3つ追加して27になりました。これらの病院で学生実習を行っております。宮城県にある大学ではありますが,宮城県を中心に行っているというわけではなくて,東北6県どこでもという,そういう教育を行っております。
 次お願いします。ここで,先ほどから申し上げております「同じ地域を,同じ仲間と,繰り返し訪問」を説明します。まず2年生の前期では地域病院体験学習を行っています。これは1泊2日で,学生が班をつくりまして行きます。班の構成は,その県から奨学金をもらっている学生を中心に,あと一般枠の学生を一緒に入れて行っております。この班がずっと卒業まで6年間固定となります。ですから,同じ仲間と,また同じ地域に繰り返し行くということになります。
 2年生の後期では,今度その地域の同じ病院の,その地域の介護福祉施設の見学を1泊2日で行っております。3年生の前期では,同じ地域の先に言いましたネットワーク病院から紹介していただいた診療所の見学とか在宅医療の実際を見学してもらう体験学習を1泊2日で行っております。
 そして6年生の前期では,地域包括医療実習としまして,病院,診療所での臨床実習を行っています。これは6週間ですから,青森の病院,秋田の病院ですと,もうそちらにずっと泊まり込んで行ってもらっています。これが「同じ地域を,同じ仲間と,繰り返し訪問」と,そういうことの意味であります。これにかかる費用などは全て本学が負担して,学生の負担はないようにして行っております。
 次お願いします。その結果ですけど,左側はアンケートです。体験学習のアンケートですが,まず体験学習を経験した学生への「地域において医師として勤務する意欲また関心は湧きましたか」という設問に対しまして,6割の学生が「そう思う」と答えています。また,ネットワーク病院の先生方に,このプログラムはどうですかと,評価いただけますかとお聞きしますと,87%の先生方が,これは大変いい試みだと評価していただいて,非常に積極的に協力してもらっております。
 次お願いします。また,6年生の6週間にわたる地域包括医療実習後の学生に対するアンケートの結果です。全てが非常に高い評価のよい反応を得ております。特に7番,8番が,本来の狙いである,地域臨床実習病院のその病院の特徴はよく理解できましたかという設問に対して,100%がその地域,その病院のことが理解できたと病院だけではなくて,その地域の医療事情が理解できたと答えてくれています。また最後には,総合的に見て,この実習はどうでしたかと聞きますと,もうほとんど100%近い学生が,大変充実していたもしくはある程度そう思っていると,そういうふうに答えてくれています。
 また「住み込みで実習するとのことで,少し面倒くさいなと感じていたが,実際に行ってみるととても楽しかった」と。「その地域の魅力をたくさん知ることができ,将来この地域で働きたい気持ちが大きくなった」と,こういうコメントがありますので,我々の教育の意図が伝わっているところがあるとは考えております。
 次お願いします。そしてマッチング状況です。卒業生のマッチング,本学は今年で3期生まで卒業ました。1期生は,左上ですけど,64%が東北地方でマッチングしております。,宮城A枠の卒業生は,全国どこでも初期研修をしてもいいということになっておりますので,彼らはその間だけでもどこか,中に沖縄に行ったりしてもいますので,ただいずれは帰ってくるということを考えると,64%よりはもっと多くなると考えています。
 次の学年は67%,そして3期生,今年の学生は73%が東北地方で臨床実習をしております。先ほどのデータにありましたように,臨床実習している県にそのまま居つくことが多いだろうと思われますので,本学の教育がある程度効果があるのではないかと考えております。
どうも御清聴ありがとうございました。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは,続いて九州大学から水内先生,お願いします。
【水内氏】  よろしくお願いします。九州大学の水内と申します。機会をいただきまして,当科における人材維持確保のための取組について御発表させていただきます。よろしくお願いいたします。
 次お願いします。九州大学第一外科,1904年に開講して今年で開講120周年を迎える,大変古い外科学教室で,関連病院がこのような形で福岡市,北九州市,そして福岡県内,九州一円,そして遠くは大阪,沖縄まで関連病院のある外科医局になります。
 次お願いします。九州大学第一外科における論文業績ですけれども,大体100前後の論文業績を持っておりまして,比較的,我々,手前みそですけど頑張っているという医局になります。
 次お願いします。第一外科の関係医師,関係医師と書いたのは医局員と,退局者と書いていますが,退局者には2種類あって,退局して,そこの関連病院で定年まで働き続けていただける先輩方と,退局して完全に科を離れてしまう方がいます。このスライドでの対局者は,働き続けてきてくれる方ということになります。九大病院から福岡市内,北九州市内,福岡県内,それぞれの九州各県を合わせまして,232名の関係医師がおります。
 これに括弧が書いてありますけど,括弧で232(97)と書いておりますが,括弧は50歳以上の人数で,232人のうち40%を超える人が50代以上ということで,非常に高齢化が進んでいるというのは我々の危惧するところです。
 次お願いします。当科における医局員の推移になります。一番上のグラフは医局員の数になりまして,比較的右肩上がりで上がっているという状況になります。新入局員も,一昨年の15名を筆頭に大体10名前後の入局者はいます。それに比べまして退局者も,今回,中村先生が2015年に教授になられてからは,退局者は少ない状態で維持されております。そのため局員の数は増えているという状態があります。
 次お願いします。医局員の数は増加から安定傾向で,入局者は大体10名前後,これは九大の中でも第一外科のみの数字です。入局者に占める女性医師はだんだん増えてきております。一方,外科医の平均年齢は増加してきておりまして,50代以上が40%以上という状況です。先ほど申しましたとおり,退局者の中には関連病院の中に残る先生方もおられます。これはマンパワー維持に非常に重要なところであります。
 完全の退局者としましては,入局後数年で外科が合わないと言って転科する方もおられますけれども,最近の傾向としては,40代から50代のかなり脂の乗り切った中堅外科医の退局が目立つというところが非常に危惧するところです。今後起こる危機としては,50代,60代の外科医の先生方が引退をされる時期というのは,一気に医局員といいますか,そこの関連病院で働く方の数が激減してしまうという状態が起こり得る,5年から10年後が非常に心配です。
 次お願いします。新入局の勧誘についてですけれども,各関連病院に勧誘の担当者という,若手から中堅の医師を置いて,それぞれに声を周囲の先生たちにかけてもらうと。とにかく外科はブラックなイメージがどうしてもありますので,それを変えてもらいたいなと日々思っております。ただ実際,研修医などで外科をローテートして,その上で合わないということであれば,なかなか外科医になるという選択肢は難しいのではないかと思います。その上で,少し外科医に興味がある方には大学病院に見学に来てもらって,実際の雰囲気を見てもらっております。
 現状ですけども,他職種と比べると非常に遅れていると思われると思いますけれども,急速に我々の中では働き方の改革は進んでいると思います。昔は遅くまで病院にいることが美徳と,上司よりも先に帰ったら駄目というようなイメージがありましたが,そういうものは全くなくなって,仕事の終わった者からどんどん帰っていくという意識改革は進んでおります。
 そして,新入局の勧誘について大事なのが,とにかく強引に入局させるようなことは絶対にしないと。その次の年にそれは響いてきて,強引に入局させられた医局だというようなイメージがついてしまうと非常に問題なので,そういうことは絶対にしないということが大事です。必要があれば,北は北海道,南は沖縄まで,どこでも私,医局長が飛んでいくというような形で勧誘をしております。
 次お願いします。内視鏡外科ハンズオンセミナーと題しまして,若手の先生方,ここにいる方たちが研修医の先生たちですけれども,に,こういうような形で手術手技の練習に来ていただいております。
 次お願いします。これは小さいですけども,スライドで医局紹介を前でしているのを,これは,前でしているプレゼンテーターは僕ですけれども,研修医の先生たちにどういう医局なのかというのを紹介する機会を持っております。
 次お願いします。今回,こういう機会をいただきましたので,当科の医局員に,アンケート調査を行いました。卒後3年目,新入局の学年から7年目の5年間の外科医に対して,レジデント世代のニーズ,どういうことが大事なのかということで外科のリクルートに生かすというところで,この年度末から年度始めにかけて,47名いますが,41名と非常に回答率が高かったです。
 次お願いします。「外科医になろうと思ったとき,どういうことが大きな比重を占めていましたか」という質問です。「外科という科自体への興味」「働き方が自分に合っている」「職場の雰囲気」「関連病院の質と量」「収入」「開業できるかどうか」「一人前になる速さ,科内での昇進スピード」という選択肢を用意しましたけれども,次お願いします。結果は,「外科という科への興味」というのが圧倒的でした。ほとんどの方が1番をそれにつけています。
 次お願いします。外科医への興味が圧倒的に1位で,職場の雰囲気というのが2位,働き方や関連病院が3位を争って,そのすぐ下に収入ということで,外科医になった方というのは,バイアスといいますかがかかっておりますが,その収入に関して大きなウエートを占めているわけではないと。外科医を志すきっかけは,外科手術への純粋な興味からということがこの結果で分かりました。
 次お願いします。外科の中で特にどのようなことに興味があるかというところですが,最先端の手術である「ロボット手術」や「臓器移植医療」,この辺りは,我々の課では特色としてやっておりますけれども,そういったもの,そして「マイクロサージェリーや形成手術など」の細かい作業,そして「診断から手術,薬物治療から緩和ケアという,患者さんの最期をみとるまでの一貫した医療」,「基礎研究」というような選択肢を用意しました。
 次お願いします。新しい手術手技であるロボット手術や臓器移植などが多いのは納得できる結果だったんですけれども,診断から手術,そして患者さんのおみとりまでという一貫した医療に興味を持っている方が非常に多いのに,実際のところ驚きました。手術手技の習得をしたいと思って外科に入る方が多い中で,そういうところもあるんだなというのが今回発見でした。
 次お願いします。ロボットは人気ですが,そういった一貫した医療を魅力と捉えている,手術手技に重きを置いていると考えていたんですが,意外な結果という結果です。
 次お願いします。このようなことをすれば外科医は増えるのではないかということで,ここに挙げている選択肢は全て外科医が増える方向に働くものだと思います。その中でどれが一番効果的かというところです。「働き方の改善」「外科医の地位の向上」「外科手術以外のタスクシフト」「外科医へのインセンティブ」,「ロールモデルとなる先輩の存在」「初期研修での一般外科研修義務化」というのがあります。
 次お願いします。これで,圧倒的なのは働き方の改善,そしてインセンティブなどの収入面ということで,外科医になったのは外科に対する純粋な興味ということだったんですけれども,やはり,労働環境だったりそういう収入面だったりというのに,ちょっと不満を持っているというところが,結果として出ているのではないかと思います。
 次お願いします。我々が,これが集まるんじゃないかと思ったのは,実は外科医の地位向上とか,外科の研修医の必須化というのが集まるのではないかなと思っていましたが,そのほかの選択肢に魅力が高かったので,なのか分からないですが,地位向上,外科必修化というのは票が伸びませんでした。
 次お願いします。このようなことをすれば外科医は増えるのではないかというところですが,「研修医の若い頃からの執刀機会の増加」「身近な先生・先輩,こういった外科医が,魅力にあふれている外科医が多い」そして「全国のハイボリューム施設と積極的に交流をする」「外科は修練から上達がほかの科と比較して分かりやすく,モチベーションを持ちやすい」と,「外科を選択してよかった」,こういうふうに言っていただけて非常にうれしいです。「外科医は極論を言えば手術が面白いか,面白くないかだと思います」と,「手術をたくさんする,それ以外の仕事を極力減らすということが大事だと思います」というコメントもありました。
 次お願いします。これは私の中で禁断の質問という形で取っていたんですが,「もう一度診療科を選び直せるとしたら外科を選ぶか」というところで,「外科一択」「他の診療科に行きたい」,これはもうほかの診療科に行くという希望です。Cに関しては,ほかの診療科もちょっと気になるなという,ちょっと間の選択肢を用意しました。
 次お願いします。実際,もうちょっと外科医一択が多いのではないかと思っていたんですけれども,約40%の人が,ほかの診療科目も気になるから行きたいという結果で返ってきて,我々として非常に衝撃的な結果です。
 次お願いします。アンケートで3分の1以上がほかの診療科も気になっていると,医局の庶務を預かる者としては衝撃的な結果でした。近年の傾向として,40歳から50歳ぐらいの中堅外科医が外科医を辞めていると。しかも訪問診療など,外科,手術とは関係ない分野に変わってしまっています。これは恐らく外科医という,御本人にお話を聞いたら,もう外科手術というのがずっと続けられないと。様々な重責に耐えられないと言ってやめていかれる方が多いです。
 重責のある仕事である外科医は,いい医療をしているという確固たる自負がないとなかなか続けられない仕事だと思います。そして診療科単位では,周囲に評価される診療をしているという自分たちの中での確固たる自負というのが重要で,例えば病院の職員やその家族,身近な方々から,手術のときにこの先生に任せたいと,この科の先生たちに任せたいと思ってもらえるかというのは自分たちの自信につながる,自分たちのプライドにつながるというところになってくると思います。
 次お願いします。当科での働き方改革についてです。どこの科もやっているところかもしれませんけれども,主治医制からチーム制へ,1人の主治医が24時間365日診るという体制から,臓器グループのチーム制に変えています。そして夜間や休日の回診や緊急手術もこれを当番制に変えています。ですので,完全オフということもできると。早朝・夜間,昔は朝早くからカンファレンスをしたりしていたんですが,それも業務時間内に変更して,診断書や,ルートというのは注射の点滴のことですけども,点滴の確保や,処方薬,注射を取りに行くという作業も,昔は研修医の仕事だったりしたんですが,そういうものもタスクシフトされています。
 レジデント,若手の3年目から7年目の先生方の仕事,昔はそういう仕事だったんですが,そういうものも手の空いているスタッフがいるのであれば,それを我々がすると。手術後の標本整理という,リンパ節を取ったりするような仕事も昔は若手に任せていたんですけれども,今はその仕事を我々がしている間にレジデントはレジデントの仕事をしてもらって早く家に帰ってもらうというような形をしております。最も大事なのは,残業することを美徳とする意識,そういった意識が昔はあったのは確実だと思いますが,そういうものをなくすということが大事かと思います。
 次お願いします。新人リクルートも重要ですが,外科医が外科医を続けることというのは,外科のマンパワーの維持にはさらに重要だと思います。外科医という仕事が正当に評価されることが重要で,ほかのマイナー外科との待遇も含めた思い切った差別化が外科医増加には必須なのではないかと思います。そういったこともありまして,今後,各年代の外科医にもアンケート調査を予定しております。以上です。
 うちの若手の外科医と,うちの診療科長である中村九州大学病院長にもここに同席していただいておりますので,一言ずつコメントをいただこうと思います。よろしくお願いします。
【王氏】  初めまして,九州大学臨床・腫瘍外科専攻医3年目の王佳雄と申します。短い経歴ですけども,九州大学医学部を卒業後,宮城県の石巻赤十字病院というところで2年間,研修を行い,その後専攻医として山口赤十字病院,九州大学病院を経て,現在大阪回生病院というところで研さんを積ませていただいております。今回どのようにして外科を選んだのかや,今後の外科医の増加に向けて若手外科医としての意見をとのことで機会をいただきましたので,個人の経験と意見でありますけど,手短かにお話しできればと思います。よろしくお願いします。
【永井座長】  手短にお願いします。時間が押していますので。
【王氏】  初めにどうして外科医を選んだかについてですけども,もともと入学時から外科に行きたいと考えており,むしろやりがいがありそうだったということで選びました。研修のときはオンコールとかが多くて大変だったんですけども,外科医としてやっていけるかどうかの不安もありましたが,せっかく医師免許を持ったから手術とある程度全身を見ることができる医師になりたいという思いと,選ばなかったら後悔するかと思って最終的に外科を選んでおります。
 どうしたら外科を選ぶ人が増えるかについてですけども,外科医が増えない理由については,誤解を恐れずに一言で言うのなら,労働環境じゃないかと思います。スーパーローテート制度で様々な科を回ったりすることで,周りの科と比べたりとか,昨今,美容外科などの選択肢もありまして,外科の労働条件の悪さが目立つのも一因の気がしております。私としての意見は以上です。ありがとうございます。
【中村氏】  残り時間が少ないので,ポイントだけ。今日は2つポイントがあったと思います。一つは,大体外科医不足とかというときに,リクルートの問題になるんですけど,実は中途でやめる人が結構いるという,このポイントが忘れられている。それはなぜかというと,最初はみんなやる気で,とにかく自分の興味があって入るわけですが,ずっとやっている間に,いろんな重責とか,外科医の仕事は大変ですから,疲れたところで横を見ると,同じ給料でもっと楽な科がある。それが10年20年積み重ねると,ポキっと心が折れるということで,外科医のインセンティブなり,その環境を整えてやるということがこの診療科を,日本全体の外科診療を守るためには重要であるということがあります。
 もう一つとしては,外科のような診療科と,もう一つ,大学院なり研究を両立というのが難しくなってくる。この一つは,外科医としての寿命が短くなっている。それはどうしてかというと,初期研修が2年入ってしまったから。今は,OSCEで,結局大学の5年・6年というのが,ほぼほぼ,前でいえば研修医みたいなものになっているところで,またローテーションすると。昔はこれがなくて,直に大学院入学で,ある程度時間的に余裕があったので,大学院でフリーに研究とかもしても,そんなに,また第一線の外科医に戻れたわけですが,今は最初の修練,修養時間,修練時間が長過ぎる。そこでさらに大学院ということでみんなが不安になるというところがあると思います。
 以上,2つのポイントを私から言わせていただきたいと思います。
【永井座長】  ありがとうございました。それでは御質問,御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。山口委員,どうぞ。
【山口委員】  ありがとうございます。まず,東北医科薬科大学については,文科省の構想審査会で選定に関わった人間として,卒業後6割から7割が東北にということで,ほっとした気がしました。
 そこで,今,資料2の40ページのところに,外科医選択枠ということが提案のような形で出されているんですけども,今のお話の中にも,外科がブラックとか重責だとか,労働環境の悪さということが言われていて,なぜ外科を目指さないかということを考えたときに,入学時から枠をつくったとしても,入ろうと思うんだろうかと私は疑問を覚えました。
 こういったことをつくられた,これが有効ではないかと思われた根拠を事務局に教えていただきたいことと,先ほどお話ししてくださった九大の水内先生に外科に入られた方が,外科医への興味がとても大きかったということですけれども,この興味を持ったのが,実際に外科を見た後なのかなと思うんですが,大体いつ頃なのかということと,水内先生から見て,外科医枠という紹介をされたことについての御意見をお聞かせいただけたらと思います。以上です。
【堀岡企画官】  事務局が最初にこの御提案させていただいた理由というか,目的というかをお話しいたしますと,これは恐らく非常に多くの,今まで外科に興味のない学生がこれで興味を持つというよりも,先ほどあった若い方のように,もともと外科をやろうという人が,より充実した5年生,6年生や臨床研修の2年目を過ごすことができるようなものと考えています。
 例えばあまり,非常に言葉の選び方が難しいんですが,外科になるということがもともと決まった形で診療参加型臨床実習を回っていれば,例えば外科の先生は,こいつは外科になるならと思ったことを前提で,しかも長期間,私は例で70週の例えば35週といったところでございましたけれども,外科のことを診療参加型臨床実習の枠組みでも回るわけでございます。
 法改正がなされて,医学生であっても,指導の下であれば本当は研修医とか,もっとその先と同じ医行為ができるように法改正していただいていますので,そういった中で,必ずではないですが,外科医になる方について,しかも長期間,診療参加型臨床実習を回るということであれば,非常に充実した臨床参加型実習になるのではないか。先ほど,細切れの臨床実習が非常に効果的でないということはもう皆様方の御意見の一致しているところだと思いますけれども,そういったものになるのではないかと。
 さらに,例えば学年で数人かもしれませんけど,そういう方がいた場合は,大きく医行為の実力とか,やらせてもらえることに差がつくわけです。そうすると,自分たちもそういうのを経験したいなというモデルが同じ同級生にできるわけですので,そういった意味でも,診療参加型臨床実習の5年目,6年目が真の意味で実効的になることの一つの起爆剤になるのかなと。枠自体は人数は少なくても構わないと思いますけれども,と思っております。
 あとは,臨床研修2年目で,実質早く研修が始められると,中村教授からもそのようなお話をいただきましたけれども,というところは明確なメリットかと思っております。
 以上でございます。
【永井座長】  あとはいかがでしょうか。外科の件ですが。
【堀岡企画官】  先生,水内先生にも聞かれていたかと。
【永井座長】  水内先生。
【水内氏】  ありがとうございます。外科選択枠の件ですけれども,確実に外科に入ってくれるというか,外科にそういう方が来てくれるというのは非常にありがたい枠だと思います。我々からすると。一つ懸念があるとすると,例えばそういう人がいると。そういう人が同じ学年にいる中で,いろいろやってきているという人を見て,もちろん僕もそういうのに入りたいなという人もいるかもしれないけど,もうその枠に入っていないからもう僕は外科には入れないんだなというふうになってしまう人もいるのではないかなというのは。
 例えば,これは入局という形を取っていますけれども,今,我々のところでは入局というのが外科医になるというところでありますけど,入局の順番が早い方が入ってしまうと,同じ病院の関連病院の方で,外科を回っていたら,順番が負けたといって入らなかったりするような傾向も少しあったりするので,そういったところで,あまり外科医になるというのを絞り過ぎるのもどうかという気持ちは少しいたします。
【永井座長】  ありがとうございます。横手委員,続いて田中委員,どうぞ。
【横手委員】  ありがとうございます。本当にすばらしいデータと,本当にお忙しい中,様々な取組をされていることに感謝と敬意を表したいと思います。
 私が思いましたのは,働き方改革にしても診療科の偏在にしても,病院や診療科,個人としては,かなり努力していて,その限界に近づいているんじゃないかと。九州大学の第一外科のように,毎日10人入ればすばらしいですけど,これも持続可能にするための労力が物すごい状況じゃないか。とすると,もっと大きな意味での仕組みを変えていかないと,日本の戦後の医療,本当に世界を代表するすばらしい医療システムをオリジナリティー高くつくってきましたけれども,そこに,それがうまく回らなくなってきていると。大学病院の危機も含めて。
 だとすると,例えば外科でこの働き方改革をしたいと言っても,本当に人数の少ない外科ではそれもできないと思うんですよね。タスクシフトも,あるいは分担することもできないし。そうしたら,よりハイボリュームセンターを各県に幾つかつくって,大学病院がその一つになって,症例もお医者さんも集約して,一人一人のお医者さんが無理なく診療できるような形に,もう病院が乱立したり,競い合うんじゃなくて,そういう仕組みをつくっていかなければいけないんじゃないかというのが一つと。
 あとは,海外から学ぶことがないのかどうか。先週ある学会で,スペインには診療科の偏在,地域の偏在がないと明言する方がいらして。ドイツでもフランスでも,あまりお医者さんや研究者からそういうことを聞いたことはないように思うんです。アメリカはあまりに制度が違い過ぎるので比較の対象にならないかもしれませんけども,そういう例えばヨーロッパの国々なんかでどんなふうにこれまで歩んできて,どういうことがよい方向に向かっているのか,そんなことを少し取り入れて,日本の大きな枠組みづくりということを再考する時期に来ているんじゃないかというようなことをマクロで少し考える必要もあるんじゃないかということを思いまして,発言させていただきます。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。
【中村氏】  中村ですけど,横手先生の御発言に関連して一言だけよろしいでしょうか。横手先生のおっしゃるハイボリュームセンターでないとなかなかその伝え方で科ができないというのは本当に的をついていらした意見でして。最近,大学病院に入局する人が少ない原因の一つは,診療科が臓器別に細分化され過ぎて,例えば第一外科は多くの分野を網羅しているわけですが,それが細分化されても,デューティーはおのおの必要ですから,結局1人当たりの労働時間が増えてしまうということがあります。我々はあえてそこで細かい臓器別にはしないという方針を第二外科と協力して今やっているところで。ただ,病院の中の診療科としては,例えば乳腺外科とかというのはあるけど,それは一と二で出すという。あまり細かい診療科を出すと,結局その外科の力が弱くなるというのを我々は感じています。以上です。
【永井座長】  では田中委員,どうぞ。
【田中(雄)委員】  
質問なので,九州大学の3人の外科医の先生のどなたでも結構なんですけど,ハイボリュームということで,ダビンチなどロボット手術の機械があるところに外科医を集約すると。それで,例えばナース・プラクティショナーなんかをつけて,ダビンチを,外科医は控えでもう手術してしまうというふうにしたとします。外科医の関与する人数が相対的には減るので,外科医不足が少し解消するんじゃないかと私は内科医として思うんですけれども,それがそうなのかどうなのかということを一つ教えていただきたいのと。
 もう一つ、その結果として,外科医の待遇はもっと改善したとします。それで,途中で離職する人たちがかなり減るかどうかということについて,その2点について教えていただけますでしょうか。
【永井座長】  九大の先生,手短にお願いします。
【水内氏】  ありがとうございます。私からよろしいでしょうか。確かにナースプラクティショナーを使ったり,という形で,外科医一人一人にかかる負担が減るとは非常に大事だと思います。ただ,それによって,例えば手術修練の場,若手の手術修練の場というのがあまりに外科に,手術に入る人が少ないと,少しずつ段階を追って手術を学んでいくというところが,今後そういうこともいろんな別のモダリティーを使ってできるようになってくるのかもしれませんが,これまでしていた,助手から術者という流れがどうなのかなというのは,あまり関わる人が少ないとどうなのかなというところはあります。
 そして,もう一つは何でしたっけ。そうですね。そういうタスクシフトなどが起こることによって,外科医を離れる人たちが少なくなるのではないかというのは,まさに私も思っているところで,そういったところはどうしてもありますけど,インセンティブというところは,外科医から離れる人たちをつなぎとめておくためには重要なのではないかと思っております。以上です。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは北澤委員,諸岡委員の順でお願いします。
【北澤委員】  北澤です。私も水内先生に一つお尋ねしたいんですけれども,40代から50代の中堅医師の退局が目立つということで,今後その年代の方々へのアンケートも別途なさるということなので,今のところはまだ先生のお考えということかもしれないんですけれども,どうして40代から50代の方が退局して,外科医をやめていくのかについて,もう少し詳しく先生の御体験を教えていただければと思います。お願いします。
【水内氏】  ありがとうございます。今,医局長をしているので,辞めると決めた方たちと面談を何度も繰り返すんですけれども,そのときに言われるのは,一番は疲れたと。疲れて,だんだん病院での役職といいますか,も少しずつ上になって,それこそ下につく人たちができて,それに伴う責任も増えてと。ただ,昔ならそれで,それがいいかどうか分からないですけど,昔なら,そういう,ある程度指導医になってくると,いろんなものを若手に丸投げをして,いろんなことをしてちょっと楽にしながら指導をしていたというところが,今は働き方改革があるので,そういうある程度中堅の人たちも若手と同じような仕事をしつつ,責任もある仕事をしているというところもあって,そういったところに疲れていると。
 それに見合う,外科医への病院内の他科の医師からの,昔あったのではないかと思っている尊敬みたいなものが少し減っていると外科医が感じているというのも一因かと思います。以上です。
【永井座長】  よろしいでしょうか。では諸岡委員,お願いします。
【諸岡委員】  熊本大学の諸岡と申します。まず,今回御講演いただきました水内先生,それから小澤先生,貴重な情報を御提供いただき,ありがとうございます。東北医科薬科大で行われている地域医療教育は,これは都道府県に限らず,東北地方という地方の枠組みでされているということは非常に興味深くて,私は九州にいるんですけども,九州でも宮崎だけが偏在指標が小さいという状況でした。ほかのところは逆に多いということがありますので,そういった東北医科薬科大のほうでされている取組を九州でもやっているかもしれませんけども,もしやれば,そういったところも解消できるのかなと聞いていて思った次第です。
 それから,私,個人的な話になりますけども,九州大学の第一外科,第二外科の先生と共同研究しているという経験がありまして,先生方の研究マインドが物すごく高いというのがいつも共同研究をさせていただく中で感じているところでして,どこをどうやってその研究マインドの高いところを維持されているのかというのに興味がありまして,もしよろしければ,そういったところについてお話ししていただければと思います。以上です。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【中村氏】  これはもう風土としか言いようがないんじゃないかと。今までの先輩方がみんなそういう研究マインドを持った方しか大学院に残っていないというか,ほとんどがそういう方だったので,当然そういうものだという感じでこれまでやってきたのでという。それが何とか今,幸い。スタッフで戻るときも研究できるというのが一つの必須条件になっていますので,そういうものを見て,また若い者がその文化を引き継いでいるんだと思います。
【小澤氏】  東北医科薬科大学の小澤ですけど,一言よろしいでしょうか。東北地方一円でこういうことが可能になった理由ですけど,実は本学が設立されたときに,教育運営協議会という東北6県の行政と医学部と大学病院が集まって,あと医師会が集まった東北6県の協議会ができまして,そこが基盤になっております。今も年に1回,全員が集まって,うちの大学はどういうふうに教育しているかということも報告したり話し合われておりまして,そこの過程からスムーズにこういうネットワーク病院という制度が立ち上がったと理解しております。以上です。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
【諸岡委員】  ありがとうございます。
【永井座長】  では炭山委員,続いて和田委員,お願いします。
【炭山委員】  この九大第一外科の取組の中で,科の中で特にどのようなことに興味があるかというアンケートでは,診断から手術,薬物治療,緩和医療等,全てのことに関われるということだと。一方では,この働き方改革においては,主治医制からチーム制へ,あるいはタスクシフト,こういうものに注力しなければいけないということがあるので,少しその初期に持っていた医局員の入局のきっかけと,実質は働き方改革を進めていく上では,少し矛盾が生じるのではないか。そういう心配がございます。
 その点と,中途退局者が多い,40代,50代が多いというのは,これ実は働き方改革に伴って,私立医科大学でアンケートを取っているんですが,その中での答えの中に,このことのある程度の答えが出ておりまして,今の30代,40代,あるいは50代も含めて,責任ある立場に立たされるというよりも,自分のライフワークバランスを整える。あるいは収入面でしっかりといただけるようなところに行きたいということが結構あるんですね。大学の中で,それぞれの医療機関の中で,外科だけにインセンティブをつけられるかといったら,それは無理です。ある診療科だけつけられると,それはあり得ないということです。バランスから考えれば。
 したがって,これは国から,そういう大学病院に対しての,外科だけじゃなくて,そういう体遇改善を御支援いただきたいということをお願いしたいと思います。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
【炭山委員】  はい。
【永井座長】  それでは和田委員,どうぞ。
【和田委員】  
ありがとうございます。すばらしい発表,またお取りまとめをいただきまして誠にありがとうございます。今までのお話を伺いますと,喫緊の課題,あるいは中長期の課題など,いろいろあるということが分かりました。
 その点を踏まえて,最初の第二次中間取りまとめ(案)に少し戻って考えてみます。そうしますと,先ほどの取りまとめ(案)に時間軸というのは必要ではないかという気がしています。ある時間の中で何が課題なのか,あるべき姿としては何があるべき姿なのか,逆にそこから振り返って検証する,あるいはバックキャスティングという言葉も出ました。検証していくことも求められると思います。こういった視点をこの中間取りまとめにも改めて入れることが必要ではないかと思いました。以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。銘苅委員,どうぞ。
【銘苅委員】  ありがとうございます。銘苅でございます。質問は2つです。地域枠の,今日お話,テーマがございましたけれども,地域枠の医師は義務年限がございますので,どうしても今回のこの委員会の目的であります医学教育ということに関して,具体的に例えば大学院に入るということを目標にしたときに,義務年限を達成するために,もうどこにもその大学院に入るという時間を見つけることが非常に難しいというのを感じております。
 そういったときに,地域枠ももちろん重要ですけれども,結構この医学教育・研究と地域枠の両立というのが非常に難しいと感じています。逆行していると言ってもいいかもしれません。そうしますと,今の地域枠の制度の中に,地域も重要視しながら研究も組み込む,県と協力しながらやっていることが多いと思いますけれども,地域枠,地域の研修の中にも研究要素を取り組むといった,全く別の策を考えるのではなく,今あるこの制度の中にどういった研究要素を組み入れるかということを一つ考えていただくのもいいのかなと考えました。
 今回発表いただいた東北医科薬科大学に関しては,もうほぼ大学自体がその地域枠の医師を育成していると感じておりますが,そうなったときに,その大学の中には高度診療,高度医療であったりとか,研究要素というのはどの程度のエフォートというか,役割を果たしていらっしゃるのかというのが一つの質問です。
 もう一つは,先ほどから外科医へのインセンティブという話が出ておりますが,これは医師偏在の対策,今会議を行っている厚労省のほうにお聞きしたいのですが,医師偏在対策,科の偏在において,私はインセンティブは必要だと感じています。産婦人科も外科医ですので,そういったインセンティブがなければ,24時間365日対応している医師と,全く日中だけでほぼ対応できる医師との,ほぼ給与が一緒だと,病院内で一緒だというのは,入る者にとっても,今やっている者にとっても継続はサステーナブルではないと感じますので,そういったインセンティブは非常に大事だと考えておりますが,例えば診療報酬の中で加算をつけたときに,その一部は加算を取るのであれば,必ずその行っている科の医師にインセンティブとして与えるというような議論もできないだろうかということを質問,御意見として出させていただきました。以上です。
【永井座長】  事務局,いかがでしょうか。手短にお願いします。
【堀岡企画官】  どうしましょう。診療報酬,なかなか。
【林課長】  厚労省の部分だけでよろしいですか。御質問のところでございますけれども,診療報酬と給与が直接に結びついていないということについては,皆さんの御理解のとおりだと思います。医療機関側にどう使うかという裁量があることが原則だと思います。ただ,テクニカルに診療報酬をつけたら,その一部を処遇改善に使うべきだというような基準を設けることができないかという点について言うと,幾つかの前例はあると思います。実際手術の深夜加算を平成26年改定で置いたときに,幾つか病院が取り組む事項の選択肢の一つとして,手術者等への手当の支払いというのを選択肢として挙げるというような基準を設けたというような前例もあるところでございます。
 したがって,テクニカルに何か絶対これは駄目ということではないと思いますが,いずれにしても医療機関側の裁量ということもあると思いますし,また,中医協での議論ということもあると思いますので,幅広い議論が必要なことだと考えております。
【永井座長】  よろしいですか。
 私から最後に。資料2の40ページ,文科省から,早期から専門的知識・技能等の習得を目指して教育を行うという図が出ていましたけど,エリート教育をするというのは理念としてどうかと思います。もっと目的を明確にして,どういう人材を育てたいのか。エリートを育てるというのはおかしい。そういう言葉は使ってはいけなくて,そんなことを言うと,反発が生まれるだけと思います。
 だから,これはどういう人材,出口として,あるいは将来どういう人材を育てるかということをぜひ明確にしていただきたい。
 それともう一つ,自治医大の立場で少し細かい問題ですけど,推薦入学の在り方について意見があります。自治医大というのは,都道府県の知事会設立ですから,県単位で選抜していますが、地域枠の学生と競合して欠員のある県が出てきています。そうすると,欠員になりそうな県は推薦入学にしたいのですが,今度は文科省の大学入試室から,その県で2名を取るなら1名しか推薦できないということです。定員の50%を超えなくても,その県では1名しか推薦で決められない。残る一人の枠に入試を行うのは現実的でないので、こういうところはもっと医学教育課と文科省の大学入試室が話合いをして,その地域医療人材の確保,推薦入学の在り方を整理していただきたいと思います。
 時間になりましたので,ここで終了いたしますが。
【堀岡企画官】  永井先生,申し訳ありません。永井先生,今,文科省の医学教育課と入試室が云々の後に,30秒ほど何か非常に多分重要なポイントで音が切れましたので,もう一度お話しいただけますか。
【永井座長】  よく相談して,地域医療人材の確保,推薦入学の在り方について,きちんと話合いをしていただきたいということです。
 そうしましたら時間になりましたので,今後のスケジュール,また新任の奥野審議官から一言御挨拶をお願いしたいと思います。
【海老課長補佐】  まず事務局から今後のスケジュールについて説明いたします。次回,第10回を5月17日に開催する予定でございます。以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。今後の予定をお願いします。よろしいでしょうか。
【海老課長補佐】  スケジュールは今申し上げたとおりです。
【永井座長】  それでは,本日これで終了いたします。長時間ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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