「全国学生調査」に関する有識者会議(第10回)議事録

1.日時

令和6年4月23日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 「全国学生調査(第4回試行実施)」の実施について

4.出席者

委員

河田悌一座長
浅井 清文、安達 励人、小方 直幸、奥 明子、小林 浩、小林 雅之、高橋 哲也、田中 正弘、仲谷 善雄、福田 眞作、両角亜希子、山田礼子の各委員

文部科学省

(事務局)吉田高等教育企画課長、髙見高等教育政策室長、花田高等教育企画課課長補佐、菅野高等教育政策室技術参与、髙木高等教育政策室企画審議係長、東澤高等教育政策室企画審議係専門職

オブザーバー

 濱中 義隆氏

 

5.議事録

【河田座長】  では15時、所定の時間になりましたので、「全国学生調査」に関する有識者会議の第10回目の会議を開催したいと思います。御多忙な中、今日はこの会場にもお二人来ていただいて開催することができました。本当にありがとうございます。本会議は、いわゆる対面の出席の方とウェブ上の出席の方という形で、ハイブリッド形式で開催したいと思います。
 それでは、議事に入ります前に、事務局のほうから、連絡事項をお願いいたします。
【髙木高等教育政策室企画審議係長】  では、本日の会議の連絡事項について、お話しさせていただきます。本日の会議では、対面とウェブのハイブリッド形式の会議を円滑に行う観点から、御発言の際は挙手のボタンを押していただき、座長から指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言いただければと思います。また、御発言後は再度挙手のボタンを押して、表示を消していただきますようお願いいたします。また、発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど、御配慮いただけますと幸いです。
 会議中、不都合等が生じることもあるかと存じますが、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 会議資料につきましては、議事次第に記載のとおり、事前にメールにてお送りしておりますので御確認いただければと思います。
 また、事務局に人事異動がございましたので報告させていただきます。今年度より高等教育企画課長として吉田光成課長が着任しておりますが、前の用務が押しておりますので到着できておりません。到着次第、挨拶させていただければと思います。
 連絡事項につきましては以上でございます。
【河田座長】  それでは、議事に入りたいと思います。前回の会議、3月11日でしたけど、その議論を踏まえながら、事務局のほうに、3月19日から4月11日まで、各大学に追加のアンケートの調査を実施していただきました。それで、第4回の試行実施の概要案を整理してくださいましたので、本日はそれを中心に議論を進めたいと考えております。
 それでは、まず事務局のほうから、資料についての説明をお願いいたします。これは課長補佐のほうから。どうぞ。
【花田高等教育企画課課長補佐】  それでは、お手元の資料の2を御覧ください。令和6年度「全国学生調査(第4回試行実施)」の実施に関する追加アンケートの結果でございます。
 こちらは、前回の有識者会議の議論を踏まえ、「全国学生調査(第4回試行実施)」のさらなる改善を行うために、令和6年3月19日から4月11日に、前回アンケートにおいて、調査実施方法を「文部科学省が実施するインターネット調査」と回答した547校を対象に実施したものでございます。
 主に、前回会議で調査方法②と称しておりました大学独自の学生調査において、「全国学生調査」の質問項目を追加する新たな調査方法や、情報公表や教学IRなど、調査結果の活用の課題について追加調査をし、下の表のとおり、大学からは77.6%、短大からは63.8%、合計75%の回答率を得たところです。国公私の別は右の表のとおりでございます。
 それでは、続いて2ページを御覧ください。1、「全国学生調査」の質問項目と類似する大学独自の学生調査の有無でございます。結果といたしましては、左上のグラフのとおり、大学独自の調査を実施していると回答があった大学は251校、61%であり、同時に、39%は大学独自の調査を実施していないということが分かりました。
 この結果を踏まえ、調査方法としましては、従来のインターネット調査方法の①も、各大学が選択できるように残したいと考えております。
 3ページ目を御覧ください。2、大学独自の学生調査の回答率です。結果としましては、各大学の回答率に幅がございますが、平均するとおおむね6割であり、大学・短大、国公私別に見ても同じような結果でございました。
 続いて4ページを御覧ください。こちらは、大学独自の調査を実施していると回答した大学に対して、調査方法②を実施する上での課題を確認したものです。
 結果として最も多いのが「①大学独自の学生調査の質問項目の整理・統合が必要」で77.7%。続いて「③大学独自の学生調査結果から、文部科学省提出用紙への入力作業が煩雑」が48.2%。「②大学独自の学生調査が全国学生調査の今想定している11月・2月と調査時期が異なる」が43.4%。「④独自調査に全国学生調査の質問を追加するためのシステム改修が必要」が21.1%でございました。大学・短大、国公私別は右の表のとおりでございます。
 次に、5ページを御覧ください。こちらは、「課題①大学独自の学生調査の質問項目の整理・統合が必要」と回答した大学に対して、具体的な課題や要望を伺ったものでございます。
 指摘があった点といたしましては、主に、すみ括弧にございますとおり、「大学独自の学生調査の目的等と一致しない」「調整コスト・時間がかかる」「経年比較等ができなくなる」「全体として質問数が多くなる」に分けられまして、要望といたしましては、「調整コスト・時間がかかる」の3つ目のポツ、「全国学生調査の質問項目が変更になることも考えられ、その都度対応が必要となり負担」や、4つ目のポツ、「整理・統合には、設問項目を含め、内容について実施年度の4月に検討を開始するので、遅くとも実施の前年度に依頼が欲しい」ということ。「経年比較等ができなくなる」の2つ目のポツ、「一度決めた全国学生調査の設問は、数年間は固定にすることを要望」や、「全体として質問数が多くなる」の最後のポツ、「全国学生調査の類似する質問項目を大学独自の質問項目で代用できるようにしてほしい」といった意見がございました。
 続いて、6ページを御覧ください。こちらは「課題②大学独自の学生調査が全国学生調査の調査時期と異なる」と回答した大学に伺ったものです。
 要望をまとめますと、「1年を通して大学ごとに好きな実施時期を選べるようにしてほしい」というような意見、また、「3月の卒業式の機会を活用したい」というような意見がございました。
 また、その下の「課題③大学独自の学生調査結果から、文部科学省の提出様式への入力作業が煩雑」と回答した大学では、指摘としては、「文科省定提出様式に整えるために、学年の指定や全国学生調査の調査項目の抽出など、一定の作業が必要になる」、「設問が増となった場合、データ量が膨大となり、データの整理が煩雑」「担当職員の負担が増加する」などの指摘がございました。
 要望といたしまして、最後の2つ目のポツにございますとおり、「大学独自の調査の結果をそのまま提出」「文部科学省の様式に自動転記できるなどの手段を構築してほしい」といった意見がございました。
 次に、7ページを御覧ください。こちらは「課題④独自調査に全国学生調査の質問を追加するためのシステム改修が必要」と回答した大学に伺ったものです。
 課題といたしましては、「システム改修には費用がかかる」「短期間での仕様変更は難しい」「人員と時間がかかる」などが挙げられております。
 続いて、その下の記述は、その他の課題などをまとめたものでございます。こちらは2つありまして、まず、「調査が毎年、永続的に実施されるのであれば、質問項目の整理・統合をする価値がある」「大学独自の学生調査は毎年実施しているので、全国学生調査を実施する年と実施しない年で、質問項目の整理・統合が必要になり、事務作業が増える」「全国学生調査は不定期での試行実施が続いているため、安定した実施間隔や、経年比較可能な程度に固定化された設問項目による本格的な実施」「本格実施までに設問が変わるかもしれないのに、学内の調査項目を合わせるわけにはいかない」といった、毎年度の時期や質問項目の固定化を求める意見がございました。
 また、次に、「独自に行っているアンケートを全国学生調査へ置き換えることを視野に入れている」「全国学生調査で本学独自の学生調査のアンケート項目を網羅できるから、全国学生調査が本格実施される場合は、本学独自調査を実施しないことを想定」など、学生調査の統合による効率化をしようというような意見もございました。
 それでは、次に8ページを御覧ください。大学独自の学生調査を実施している大学に質問した、調査結果の公表状況です。
 結果としては、全体の約60%が、ホームページにおいて報告書等の形で公表。37%が学内限定で共有、3%が一切公表していないということでした。国公私別に見ると、国公立よりも私立において、大学独自の調査結果の情報公表が進められるというような結果でございました。
 続いて9ページを御覧ください。こちらは、大学独自の学生調査を実施していない大学も含めて、全国学生調査の自大学結果を、大学のホームページ等で自主的に情報公表を行うことに関する課題について、質問したものでございます。
 考えられる課題を幾つかこちらで示しまして、複数回答可としたもので、結果としましては、「②自大学の全国学生調査の回答率が低い」が53.6%と最も高く、次に、「④公表に適したレポート等を作成する体制が整っていない」が32.2%。「⑥情報公表に係る学内調整や事務作業が煩雑」が30.9%となっており、④と⑥の実数を合わせた、下の棒グラフですが、情報公表の体制や業務遂行に課題を抱えている大学としては、47.5%になりました。
 一方、前回御指摘があった「情報公表に係るインセンティブが設定されていない」は9.5%と最も低く、続いて、「全国学生調査の結果が必ずしもアピールできる内容ばかりではなく、他大学と比較されたくない」は14.1%と低い結果でございました。
 その他の情報公表の課題として意見があったものは、次の10ページにまとめておりますので、こちらも御覧ください。
 例えば、上から、大学の独自調査の結果を情報公表しているから、同じような調査結果を公表する必要がないというような意見や、ある程度、文部科学省が主導して、情報公表を進めてほしいというような意見もございました。
 続いて、11ページを御覧ください。こちらも、大学独自の学生調査を実施していない大学も含めて、全国学生調査の自大学結果を学内のIRやFD・SD活動、自己点検評価において活用することに関する課題について質問したものです。
 情報公表の結果と同様に、「②自大学の全国学生調査の回答率が低い」が53.6%と最も高く、「④学内の活用に適したレポート等を作成する体制が整っていない」と、「⑥全体平均と比較・分析できるレポート作成が煩雑」の実数を合わせた参考の、学内活用の体制に課題を抱えている大学としては、47.3%になりました。
 その他の情報公表の課題として意見があったものは、次の12ページにまとめておりますので、こちらも後ほど御覧いただければと思います。
 この結果を踏まえ、先ほど特に情報公表の課題とも併せて、調査結果の活用に関しまして、やはり体制面で課題を抱える大学が相当数あったことも踏まえると、大学による自主的な対応だけでなく、国のほうで何らかの支援を行うような仕組みも検討する必要があると考えております。
 以上が、追加アンケートの結果の説明でございます。
 続いて、3-1の説明に移らせていただければと思います。
 こちらは、第4回試行実施に向けた主な改善案をまとめたものでございます。前回の会議から改善提案をしている点を分かりやすくするため、該当箇所に下線を引いております。
 まず(1)参加校数増加及び回答率向上に向けた改善案といたしましては、下線のとおり、調査実施時期について、先ほど説明した追加アンケートの結果も踏まえ、11月から2月(4か月)を、10月から3月(約6か月)とし、さらに、調査方法②の実施時期は、各大学の判断で令和6年度中に設定することができることとしました。
 また、質問項目についても、追加アンケートの結果で、試行実施から本格実施で質問項目が変化することを懸念する声が複数あったことも踏まえ、本格実施においては当面、原則として第4回試行実施の質問項目から変更しない方針とするといたしました。
 この点、質問項目についてさらに精査・修正すべき点がないか、また、当面は質問項目を変更しないということでも問題ないか、御確認いただけると幸いでございます。
 次に、2ページを御覧ください。調査結果の活用促進です。
 これは、先ほど御説明した追加案件の結果のとおり、多くの大学で、調査結果の活用に係る体制整備や業務遂行に課題を抱えているということが明らかになったこと。また、前回の会議の、イギリスの先進事例を受けた日本への示唆などの議論も踏まえ、国による情報公表の確保(ポジティブリスト)、また、教学IR等の活用促進の2点を、改善案としてお示しさせていただきました。
 国による情報公表(ポジティブリスト)につきましては、3ページ、参考1のイメージのように、文部科学省において、各質問項目の上位校に限って公表するというものでございます。
 公表イメージに回答数や回答率を表示しておりますが、集計基準により、一定の回答率や回答数を超えた大学を公表対象にするということ、また、左上に「〇〇分野」というふうに、仮に記載しておりますが、この点は、事務局において全分野を対象としたリストを作成しましたところ、医療系などの特定分野を有する大学ばかりが上位校になってしまうような状況が散見されましたため、原則として分野別にリスト化することを想定しております。
 ただし、分野の設定に当たりましては、一定数の母集団が得られることが前提になると考えております。
 参考までに、4ページにございます参考2を御覧ください。こちらは令和4年度全国学生調査の第3回試行実施の、学部・学科の分野別の回答状況ですが、もともと全国学生調査において設定しております各分野において、集計基準に合致した学部・学科等がどれだけあるかというのをお示ししております。
 集計基準の詳細については後ほど御説明いたしますが、第3回試行実施における分野設定をそのまま活用した場合、母集団が少なくなる場合もあることから、公表に当たっては一定数の母集団が得られるように、もっと大くくりの分野にして公表することを想定しております。
 また、短期大学につきましては、5ページのとおり、全分野を合わせても93学科ということですので、次の調査でも同じような結果であれば、そもそも分野で区切るかどうかというところも検討が必要と考えております。
 このポジティブリストの詳細の取扱いにつきましては、改めてまた公表前に、全体の回答状況も踏まえて、本有識者会議において検討いただく必要があると考えておりますが、本日は、事前に設定した集計基準に合致した学部・学科の上位校を、分野別にポジティブリストという形で公表するということ、また、併せてその上位校の教育方法や教育改善のグッドプラクティス事例を公表するということに関して、御確認いただければと考えております。
 続いて、教学IR等の活用促進につきましては、6ページ以降、参考3のイメージのとおり、レーダーチャートや百分率の棒グラフのような形で、各質問項目の大学全体の平均と全国平均との比較と併せて、また各分野の比較もできるような教学IRレポートのひな形を文部科学省で作成した上で、参加大学に御提供するということを考えております。
 以上、第4回試行実施に向けた主な改善案について、前回会議からの変更点を中心に説明をさせていただきました。
 資料3-2でございますが、こちらは前回会議からの変更箇所を青字にしておりまして、今御説明させていただいた内容を盛り込んでおります。 3ページ目には先ほど申し上げた集計基準を設定しており、この基準を超えた学部・学科のみを分析対象としまして、規模別や分野別の分析結果の公表を行っているところです。 集計基準は四角囲みにあるとおり、対象学部の学生数に応じて、必要な回答率や回答数を定めており、この後、高等教育政策室技術参与の菅野のほうから御説明をさせていただきます。
 私の説明は以上でございます。
【河田座長】  ありがとうございました。短期間によくこれだけ調査していただいて、問題点を明記してくださって、本当にどうも御苦労さまでありました。
 では、あと、菅野高等教育政策室の技術参与のほうから、資料4に基づいて御説明をお願いいたします。
【菅野高等教育政策室技術参与】  では、お手元の資料4を御覧ください。こちらをベースに、先ほど花田のほうから言及がありました、現在用いている全国学生調査の有効回答基準について、説明させていただきます。
 まず、2ページ目を御覧ください。現在この学生調査で用いられている集計基準については、今回、その背景と、再度この基準を基にした前回調査の分析結果を説明させていただくのですが、現在用いられている調査の集計公表基準は、2020年12月10日に行われた第3回の有識者会議で議論されたものになっていまして、今回の説明も基本的には当時の議論を基にしたものになっています。
 ここでは、それまで用いられていた「有効回答率10%以上」という一律の条件を廃止して、対象学部・学年の学生数に応じて、60人以上80人未満なら30以上、80人以上200人未満ならば40以上といったように、有効回答者数を段階的に設定したものになっています。
 資料4の2ページ目の上部では、この段階的な設定の背後にある統計理論を再度整理しております。
 この設定の根拠になっているのは、標本平均の安定性について議論するための、母平均の信頼区間に関する理論が基になっています。こうしたサンプリングによるアンケート調査において、ある程度のデータが必要不可欠になる理由というのは、当然、調査結果を安定させるためになりますが、その揺らぎ幅に関する理論的な式から、対象学生数(この式中でN)に応じて必要な有効回答数(式中でのn)を計算することができます。
 詳細な理論的な説明は割愛しますが、ここで重要になるのが、この式から導かれる有効回答数nと母集団の学生総数Nの関係性が、単なる比例関係になるのではなく、学生の総数が大きくなるにつれて、全体がある定数に近づいていくような関係性になっているということになります。
 このページ右上で示しているグラフでは、横軸が対象となる学部の学生数、縦軸が必要な有効回答数を示したものになっていまして、最初の点線で示している色の違う4本のプロットは、それぞれ信頼区間幅を変えた際に、このNとnの関係性がどう変わるかということを示したプロットになっていまして、当然ながら、回答結果に許容する誤差を小さくすればするほど、全体的に必要な有効回答数点は上昇していくんですけれども、どの曲線においても、横軸の値(対象の学生規模)が大きくなればなるほど、特定の値に必要な回答数が収束していくようなグラフになるのが確認できるかと思います。
 黒い点線で示しているのが、今回の基準が導入される以前のように、一律の回答率を基準として設けた場合のプロットになっていますて、この2つの直線と曲線が大きく異なる形になっているというのが、グラフからも見て取れるかと思います。
 このグラフで赤い太字で示しているのが、現在の、学部規模に応じて段階的に有効回答者数の基準を決めていった場合のプロットになっていまして、これが、信頼区間幅がプラスマイナス0.2となる有効回答数というものを段階的な基準で再現したものになっているというのが御確認いただけるかと思います。
 ページ右下の部分に整理したとおり、現在用いられている基準というのは、要点としては、学部規模によらずに一律の許容誤差を各学部に対して課した場合に導かれる必要な有効回答数という考え方になっていまして、当然ここではある種の基準として、その回答数から想定されるべき誤差というものを想定していますので、必要な回答数と想定する許容誤差の間のバランスに関しては注意を払う必要がありますが、様々な規模の学部が同居している中でアンケート調査を行うという今回の調査のような設定においては、集計基準の在り方としては、一律の回答率を全体に定めるよりは、このように誤差を基に設定した基準を導入することは妥当な考え方なのではないかというのが、現時点では我々の考え方になります。
 次に、3ページ目を御覧ください。こちらが、先ほどの議論にも関係しますが、ある許容誤差を想定したときにどれくらいの回答数が必要になるかという値を、その場合にそれぞれどれくらいの集計対象数が実現できるかということを、バランスを検討するための参考の資料として、前回第3回の調査結果を基に、それぞれの許容誤差を基準として導入したときに、集計対象となる学部数や全体の学生数、その対象となる学部の中での有効回答者数がどう変化するかというものを、ヒストグラム及び表で表現したようなものになっています。
 実際、この全体のヒストグラムから見て取れるように、学部規模としては、やはり100から300程度の学部というものがボリュームゾーンになっていまして、ここに対して適切な許容誤差と必要回答数のバランスというものを考えたときに、やはり前回調査の結果を見ても、許容誤差プラスマイナス0.2という設定はある程度バランスの取れたものになっているというのが、今後のプロットからも見て取れるかと思います。
 ページ下部には、先ほど花田のほうからありました、分野別の集計に関する参考資料として、それぞれ分野ごとに区切ったときに、異なる許容誤差を導入すると、実際どれくらいの学部が集計の対象になるかというものを参考までに示しておりますので、御確認ください。
 私からは、この資料の説明は以上になります。
【河田座長】  ありがとうございました。
 それでは、今の菅野参与のお話、それから花田補佐のほうから縷々説明がありました、次回の試行の実施案について、変更点とかいろいろ出ておりますので、諸先生のほうから活発な御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 例えば、考えられる論点といたしましては、質問数が33問でいかがかということですが、そのことについてはどのようなものでしょうか。これよりさらに削る必要があるのか、やっぱりもうちょっと増やすべきかとか、そういう質問数の問題もありますし、さらに、4回の試行実施で一応定着させて、質問の項目を変更しないということでいいのかとか、いろいろあると思いますので、いかがでしょうか。
【奥委員】  すみません、よく聞こえないのですが。もう一回お願いいたします。
【河田座長】  今、菅野参与が話されたお話、それから、その前に花田補佐のほうから話された調査ですね、その点につきまして、先生方の御意見をお願いしたいと思います。
 例えばその中で、質問の数が33問で精査ができるのか、それとももっと増やすべきかとか、それから、第4回の試行実施の質問項目を定着させて変更しないのかとか、幾つか問題があると思いますので、その辺をお願いいたします。
 両角先生、どうぞ。
【両角委員】  両角です。ありがとうございます。一つお伺いします。資料4を用いて、集計基準の設定といったところでお話しいただいて、全体の集計というところの考え方では理解はできるのですが、結局、先ほど花田さんのほうから説明いただいた、何でこういうものを公表しないのかといったときには問題にならないでしょうか。公表しない理由は、全体の割合というよりも、自分の大学での回収率が非常に低いからだという回答が一番大きく、そういった声が大きいときに、全体の集計基準としていいかどうかという議論だけでは、問題は改善しないのではないかというような素朴な疑問を感じました。その辺りを、どう考えたらいいというか、どうお考えなのでしょうかということを教えてください。
【河田座長】  花田補佐、その辺はどうですか。
【花田高等教育企画課課長補佐】  そこについては、やはりこれはあくまで学部や学科の代表性の分かるものという観点ですので、別に公表基準というものを定めるというのも、議論としてあるのかなとは考えております。
 そこについては、先生方にいろいろ御意見いただければと思っております。
【両角委員】  ありがとうございます。
【河田座長】  田中先生、ではお願いいたします。
【田中委員】  質問項目の2番目のところに、「学部・学科の分野を選択してください」というふうにあるのですが、「自動表示」と書いてあるのですが、これは学生が分野を選ぶということでよろしいのですか。
 だとすると、例えば自分が所属している学部が国際教養環境学部とかだったときに、例えば自分は人文系なのかな、社会系なのかな、理学工学なのか、あるいはその他なのかなって、分からないのではないかなと思いまして、そうすると、同じ学部の学生がばらばらの分野を選んでしまって、統計上、どこに飛んでいいのか分からなくなってしまうことってあり得ないのかなというふうに思ったのですが、この点はいかがなのでしょうか。
【河田座長】  どうぞ。
【花田高等教育企画課課長補佐】  この点については、まず1の、あなたが在籍する学部・学科を選択してくださいという、そこを選んだら自動表示されまして、分野があらかじめ設定されております。これは学校基本調査における分野を活用させていただいております。
【田中委員】  分かりました。ありがとうございます。
【河田座長】  今、600を超える学部名があるそうで、昔だと法文経商社とか工とかだったけれど、もういろんな名前の、文理融合というようなこともありますし、これは大変かと思いますが、でも一応、それは分類ができているわけですね。ということだそうです。
 先生、どうぞ。
【小林(雅)委員】  ありがとうございます。小林雅之のほうです。前回欠席したので、少々、アウトオブポイントかもしれないのですが、先ほどの資料の最初のアンケートのことです。大学独自の学生調査について、非常に回収率に差があって、割と大学独自ですから回収率がいいところが多いわけですが、この理由というのは分かりますか。
 というのは、やはり回収率を上げるというのがこの調査で一番大きなポイントの一つになっていると思うので、例えば東大の場合ですと卒業時にやっていますので、回収率9割ぐらいになるわけです。
 意見の中にも、卒業時にできないのかというようなアンケートの結果もあったと思いますけれど、それらについて、この調査結果から回収率を上げるような工夫というのは、何かヒントになるようなことはなかったのでしょうかというのが、事務局に対する御質問です。お願いします。
【河田座長】  花田補佐、いかがですか。
【花田高等教育企画課課長補佐】  この3ページ目の回答率のことについてでしょうか。
【小林(雅)委員】  はい、そのとおりです。
【花田高等教育企画課課長補佐】  そこの回答率の根拠みたいなところまでは、確認していないのですが、大学のほうから声があったものとしては、5ページ目にもありますけれども、かなり質問数を絞って高回答率を引き出しているというような回答もございましたので、こういったところの質問数も影響があるのかなというふうには考えております。
【髙見高等教育政策室長】  付け加えて補足ですけれども、やはり実施時期の話、先ほど先生おっしゃっていただいたように、前回のアンケートでも、11月から2月ということで回答いただいていたのですけども、やはり3月の卒業の時期のタイミングで行うことで、回答率が上がるのではないかという御意見もあったところでございます。
【小林(雅)委員】  ありがとうございました。このあたりは、幾つかの要因がもちろん重なっていますので、時期の問題、それから今の設問数の問題、その辺り、もう少し整理する必要があるかなと思いました。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございます。
 山田礼子先生、お願いします。
【山田委員】  ありがとうございます。今回御説明していただいてよく分かりましたのですけれども、やはり個別の大学の目的と、そして文科省が行う全国学生調査の目的というのはかなり違っていることがよく分かりました。
 やはり個別の大学は、それぞれ自分の大学の改善に生かしていくということが主な目的であるということが分かったのですけれども、その中で、質問項目を33ぐらいに減らしていくということなのですが、その際に、これからの議論になるのでしょうけれども、質問項目を変えないでほしいというような要望がかなりございました。これをどう見るかということが、ちょっと私もどうなのかなというところがございます。
 というのも、文科省のこの全国学生調査の質問項目をかなり精選されているのですけれども、非常に今一般的な内容になっております。ただ、この間、例えばコロナ時代の経験も踏まえて、各大学というか大学全体、高等教育機関がかなり変化してきているところというのはDXの推進なのですよね。ですから、そういうものが実際の先生方の授業方法にかなり反映されているということは間違いないはずなのです。
 これは、私ども大学教育学会で教員調査を行ったときにも、ほぼ、先生方はもうLMSを使って学生とコミュニケートしていますし、事前に資料とか配付物を提供しておりますから、予習ということがある意味で学生にとっては当たり前のようになっているということもあったりするのです。そういう質問項目も入れていくとするならば、変えないというのはちょっと難しいのではないかと思いました。この辺、ちょっとお伺いしたいところでございます。
【河田座長】  補佐のほうからどうぞ。皆さんで、その辺、実際。
【髙見高等教育政策室長】  先ほどの先生の話については、資料2の5ページ目のところで、大学からの意見として、固定してほしいというほうの大学側の希望というのがございます。特に上から7つ目ぐらいの丸ですけども、「質問項目が変更すると、その対応が必要になり負担が増加する」という御意見。それからその2つほど下でございますが、「経年で回答結果を収集・分析しているため、設問は数年間固定してほしい」という御要望もございます。
 そういった大学側の要望と、社会の変化にどれだけ柔軟に対応していくか、このあたりのことについて、ぜひ、ほかの先生方からも御意見いただけたらと存じます。
【小林(浩)委員】  私も山田先生と同じ疑問を持ちまして、これは、大学側は一切、独自の調査では質問項目を変えないということをおっしゃっているようにも思います。多分、調査設計としてそれはあまり適切ではないように思います。経年比較をするとして、8、9割方は固定にするにしても、1、2割はやっぱりアドホックで見ていくものというのを、その時代に合わせたテーマを設定して変えていくのが普通なのではないかというふうに思います。大学独自で取りたい項目と、国が学修成果なり学修者本位の教育をどう進めていくかという観点で見るものは違いますので、国のほうもやはり8、9割方は決定するものの、1、2割あるいは33問でいうと二、三問は最初から変動するものとして質問を設計とした方が良いように思います。質問数は固定して、一部のみ中身は変えるくらいの設定のほうが、割とリーズナブルではないかなというふうに私は思いました。
【河田座長】  ありがとうございます。非常に明快です。
 高橋先生、どうぞ。
【高橋委員】  今の点なのですけど、これ、どういう形で実際調査されるかに拠って変わってきて、システムを使うと、項目設定を変えるたびに一定コストかかってきます。だから、まずは全国学生調査、文科省がやる以上は、一定期間は固定の質問でやる必要があるかなと。これは当然、例えば4年とか5年とか、一定期間はというような形の条件をつけた上でやるべきだなと思っております。
 ですので、できるだけ設問は厳選して少ない質問にして、各大学はそこに独自の質問項目を加えて全体の集計をして、国に統一された全国学生調査の項目の質問結果を返すと、その形でやるしかないのかなと。そうしていけば、各大学は、自分で聞きたいところは必要に応じて項目も変えればいいという形を取れます。
 もう一つは、国のやっているところで、これは何回か言っていますが、どうしても匿名性確保、個人情報を取れないので、各大学は当然、学籍番号等を取って他の調査、一番あるのは成績、GPA等の話だと思うのですが、それと連結して分析しないと、学修成果が本当に上がっているかどうかみたいなところが見られません。それをするためにも、大学のものと国がやるものは、一応基本は別のものだけど、そこで核となる部分を共通とさせて実施するという形を取るしかないのではないかなというふうに思っております。
 それからもう一点、ちょっと私、大学IRコンソーシアムをやっている中で、他の私学教職員の方から、私立大学の改革総合支援事業のところで、卒業時のアンケート調査というのが項目に入っていて、これで3点の満点を取ろうと思うと、85%以上の回収率、実施し調査集計結果を公表しているという条件になっているのです。これでやろうと思うと、やはり3月、卒業式等で実施しなきゃいけなくて、恐らく多くの私学はその形で実施されているのかなと。
 それで、実際どのような数字になっているかというのが公表されていたので見ますと、496の大学が申請している中で、85%以上の回収率というのが287大学、58%あるのです。半分以上です。逆に言うと、そういう高い回収率もやろうと思えばできる。
 今回、全国学生調査の試行実施は非常に低い回答率なのですが、これも国が、文科省が私立大学等の改革総合支援事業をやっていますので、その中でやっている項目、卒業時のアンケート調査というのを見ればそういう形になっていますので、これはやろうと思えばできるのかなというふうに思いました、というところです。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございました。実際の例を挙げていただいて。だから、やろうと思えばやれるのだと思います。やりたくないか、あるいは面倒だからということで、何か理由をつけてぐちゃぐちゃ言っておられるという感じが、今日の調査結果、資料2などを見ているとそういうところが見えます。
 奥先生、どうぞよろしく。短大の場合。どうぞ。
【奥委員】  3月は学校行事と重なってしまいまして出席できなかったので、今回、いろいろと考えながら見させていただいています。まず、質問内容はスリム化して非常に少なくなって、質問の内容に関しても、ごくごく標準的な、汎用的な質問で、私はこれらの質問、そんなに簡単に変えることができないということであれば、これを基盤に、各大学がそれぞれ時流に合った内容に変えていけばいいのかなと思って見ていたのですが、うまくまとまらないですけれども、この質問内容を10分ぐらいでやるということであれば、それはいいのではないかと思います。話は変わりますが、質問内容の問3のところの質問なのですけれども、問3の21番、質問してよろしいでしょうか。
 質問項目の中の問3の21番「多様な人々と協働する力」というのが、これがちょっと、一般の人たちから見ると、「多様な人々」ってどういう人を指しているのかなと、ちょっとその辺が曖昧なのかなと思いました。
 いろいろな国、異文化の人たちと協働する力なのか、またはいろいろと状況の違う方たちもいますし、この4月から障害者の法令も制度化されていますので、いろんな人たちを含む、そういう意味での「多様な」というふうに取っていいのか、そこのところがどうかちょっと分からなかったのです。一般的に「多様」というのはどういう意味なのかなと思ったので、質問させていただきました。
 それから、これらの質問内容がとても一般基準的なものなので、今、なかなか変えるのが難しいというお話も出ていましたので、変えるのは五、六年に一回でいいかとは思うのですけども、各大学、相当、年々学生の気質も変わってきていますので、大学はこれらの質問をもとに変えていって、文科省のと一緒にいろいろやっていくという方法も、一つの方法なのかなと思いました。
 時期的なものは、短大のほうは1月の末までは授業がありますので、一般的に授業の最後でアンケートを取るということで確率が高くなっているのですけど、四大のほうはやはりばらばらで、授業の終わるときとか、卒業論文もありますので、その辺は各大学の判断で決めていいのかなというふうに思いました。
 ちょっと今まだ、すみません、以上でございます。
【河田座長】  ありがとうございました。確かに、この資料2の3の21番ですか、元30番ですが、「多様な人々」というのは、異文化の人々なのか、ちょっと分かりにくいかもしれませんね。
 その辺いかがですか。何か他に意見は出ていますか。
【髙見高等教育政策室長】  こちらについては、おっしゃるとおりの視点もあると思いますので、少し書き方は工夫したいと思いますが、一方で、あまり長くなってしまうとまた、回答者の負担感もありますので、その辺り、より適正な言葉にできないかというのは、一度検討してみたいと思います。
【河田座長】  あと、先生方何か。
 田中先生、お願いします。
【田中委員】  私も、質問項目について2つ質問したいのですが、問1の4番、「理解がしやすいように教え方が工夫されていた」というのが、「理解がしやすい」というのと「教え方が工夫」という2つの要素があって、ダブルバーレルなのかなと思うのですけど。理解はしやすいけど教え方は工夫していないとか、教え方は工夫しているけれど理解しにくいとかってあるのかなと思いまして、特に理解がしやすい科目は、全部授業を工夫しているのかなと学生は思い込んでしまって丸をつけてしまわないかなと思いました。
 その点はいかがですかね。
【河田座長】  先生だったらどういうふうに変えられますか。
【田中委員】  どちらかに絞ってしまったほうが。「理解がしやすい科目がある」とか「教え方に創意工夫がある」、どちらかに絞ったほうがいいのかなと。
 というのも、教え方を工夫するのが、例えば履修者を多くするためにハイフレックスにしているとかいうのは、別に理解がしやすいことは目的にしていないので。
【濱中オブザーバー】  よろしいですか。この質問、ずっとこの形で聞いていて、分析してみると、これは結局、先生の熱意みたいなものを測っているのですよ。分析するとそういう結果になるので、僕はこのままでもいいのかなと。「理解がしやすかった」だと何かぼやっとするし、「教え方の工夫」だけでも分かりにくいので。
 要するに、学生に分からせようと思って教えてくれている、というようなニュアンスで学生は取っているようなので、僕はそんなに問題ないかなと、過去の経験から受け止めていますけど。
【田中委員】  分かりました。あともう一つ、問4の26なのですけど、「教職員が学生と向き合って教育に取り組んでいる」という、この「向き合って」ってどういう意味なのかなというのはありまして、これって学生と対話して教育をよりよくしていこうという意味なのか、あるいは学生の意見を取り入れてという意味なのですかね。あるいは、単純に学生と対面でという意味なのですかね。
【高橋委員】  向き合ってというのは難しいな。
【河田座長】  この辺、何か意見ありますか。
 濱中先生。
【濱中オブザーバー】  これはいつ加わった……3回目で加わったのか。最初からあった質問ではないので、ちょっとどういう議論で入ったか、あまり覚えていないですが……結構これ、「そう思う」の率が高いのですよね。なくてもいいのではないかという気がしないでも。向き合わない学校はないと思うので。
 要するに、質問を増やしていく過程で、大学にとって都合のよさそうな質問が増えてきたという経緯があるような気がしていて。だから、良い結果が出そうなものがどんどん増えていって、外国語の授業とかはできればやめてくださいみたいな。こうした形で議論するのはあんまり生産的ではないし、公表するときに、こんな調査ではやっても意味ないじゃないかって社会に思われても困るので。
 まあ、「向き合って」……。だから、何かぼやかしているのだけど。何だろうな。そうじゃない大学ってそんなにないし。それは単に、むちゃくちゃ大学に対して不満があるということを回答しているだけという気もするので。
 多分、この周りの25、26、27ぐらいは、きっとほぼ同じような数字で出てくるのではないかな。どれか一個あればいいんじゃないのという考え方もできるかと思います。
【髙見高等教育政策室長】  そうですね。おっしゃるとおり、第3回の試行調査では、この質問に対して「そう思う」が36%、「ある程度そう思う」が52%ですので、足し上げれば9割ぐらいが肯定的な回答をしているといった結果は出ております。
【河田座長】  これを省くと32になるのですかね、質問項目が。
 ちょっとまた考えていただくということで、ペンディングにしたいと思います。確かに、「向き合って」というのが……うん。
【髙見高等教育政策室長】  あえて言うならば、これは大学全体の学びを振り返った質問にはなっておりますけども、問24、あるいは問25というのはいわゆる大学全体としての話ですけども、26というのは教員と学生との関係性という話ですので、若干性質は異なる設問となっています。そういった意味で、田中先生の御指摘を踏まえて修文するのか、もしくはこの項目を削除するのかということについては、先生方から御意見いただければと思っております。
【河田座長】  学生に対して真剣に教育をしているということ。ちょっと、これも考えていただくということで。
 あと何かございませんか。小方先生、よろしくお願いいたします。
【小方委員】  御説明ありがとうございました。2点ほど、確認も含めて。分かる範囲で結構なので、1点目は資料2のところで、今回幾つか資料3-1で御提案いただいていますけども、調査方法等に関わる課題が幾つかあるので、調査時期を3月まで含めましょうとか、今、具体的な質問が出ておりますけど、調査項目数を絞りましょうということになっていると思うんですけど、質問としては、独自調査をやっているところが6割で、やっていないところが4割あって、独自調査をやっているところとやっていないところで課題感が違うのか、ほぼほぼどっちも同じ課題感が出ているので対応しようとしているのかというところが分かれば教えていただきたいというのが一点と、もう一点は、資料3-1の回答率の向上のほうは、今お話しした課題への対応で可能な部分で提案いただいていると思うんですけど、先ほど来から出ておりますように、これ、やろうと思ったらできるんじゃないかという話と、でもかなりめんどいよね、という話の中で、これを克服するためには、御提案のように何らかのインセンティブが必要だということだと思うんですけど、このポジティブリストとIR等の活用促進のひな形を提示するという、この案は決して悪くないと思っているんですけど、この案が試行調査でやったときに功を奏するかどうかというのを検証しつつ、実際の本調査の時にはもっとインセンティブを変えるかとか、そういう見通しで、こういうインセンティブがあるから参加しましたということではなくて、とにかくこれはインセンティブをつけてやってみて、参加校が増えるか、回収率が上がるかということを検討した上で、本調査を迎えたいという理解でいいのかということを教えていただきたいというのが2点目です。
【河田座長】  では、文科省のほうから。
【髙見高等教育政策室長】  まず1点目の御質問でございますが、独自調査とそうでない調査について、課題感まで、今回の調査では確認はとっておりません。
 ただ、それぞれの項目について見ていく中で、特に独自調査をやっているところについては、既存の調査との整合性みたいなものをどう考えるといった懸念点は当然、調査方法①で回答したところに比べては出てきているというところでございます。
 それから2番目の御質問で、今後の進め方ということにもつながってくるかと思いますが、ポジティブリストとかIR、それから今回、実施時期についても大きく見直すこととしておりますので、こういったことを通じて、大学の回答率もしくは学生の回答率が向上するかどうかということはしっかり見ていく必要があると思いますし、これをやったことの検証もしっかり行った上で、また必要な改善点が出てくれば、それは本格実施に向けてまた改善をしていくと、こういった考え方で進めていければと考えております。
 以上でございます。
【河田座長】  よろしゅうございますか、小方先生。
【小方委員】  これ、やっぱり全ての大学がより参加してくれて、回収率が上がるということが大事だと思うのですけども、ある程度こちらとしても、もう独自調査をかなり自前でやっているところは難しさもあるかもしれないけども、そうじゃないところがより敷居が下がって、体力とか財政的な問題もあると思いますけども、そちらに少し寄ったような、ターゲットを絞るという言い方は非常によくないんですけども、独自調査がなかなか出来にくいところが敷居をどんどん下げて、御自分の大学でも使っていただけるようなところにちょっと重きを置きながらやるという手もあると思ったので、少し課題感が違うのであれば、そういうところも考慮してはどうかということで質問をさせていただいたところです。ありがとうございました。
【河田座長】  ありがとうございました。
 安達先生、どうぞ。
【安達委員】  ありがとうございます。倉敷市立短期大学の安達でございます。ちょっと話が飛び飛びになって大変恐縮ですが、2つ。
 1つは設問のことについてなのですけれども、具体的な設問の中で、24で、「大学から卒業までに学生が身につけるべき知識や能力が明示されている」ということなのですけど、これ、ちょっと理解が足りていないのかもしれませんが、DPのことであれば、改めてここで問う必要があるのかなと。
 つまり、例えばこれは直す前は、「明示されている」ではなくて「理解している」という問いだったと思うのですが、既にその時に肯定的な回答がかなり高かったので、設問を減らすということで検討の余地があるとすれば、例えばこういったところはどうなのかなというのが、まず一つお尋ねしたいことであります。
 それから、ちょっと話が飛ぶのですが、冒頭のところでも話題になりました、各大学の回収率を高めるということについてなのですけれども、これは多分、私がこの会に入れていただく前に既に検討なさった上でのことだとは思うのですが、2つ。
 1つは、結果を公表するのが、先ほどホームページのほうで公表するのはいろいろ支障があるという結果が出ていましたけれども、せめて各大学の回答してくれた学生たちに対しては、結果は伝えるべきだろうというふうに思います。
 そうすることで回答率が劇的に上がるとは思わないのですけれども、底支えをする、あるいは、非開示のままだと、学生たちというのはますますこの調査に無関心になっていきかねないので、ホームページで社会全体に対して公表することについては別として、学内の答えてくれた学生たちを含む学生たちに対しては、大学というところはきちっと結果をお伝えすべきなのではないかなというふうに思います。
 続けて申し訳ないのですが、回答率を上げるということについては、本学の場合は小さな短大ですので、例えば、ある段階で回答している学生たちの学籍番号だけでも分かれば、答えていない学生たちに対して働きかけをするということはできますが、そういったことができるのか。
 つまり、今は匿名で回答するようになっていますけれども、回答していない学生、回答した学生が誰なのかというのがどこかの段階で分かるような仕組みが、今後もし御検討いただけるのであれば、そういったことが大変回答率を高める力になるのではないかなと思いましたので、蛇足ですけども申し上げました。
 長くなって失礼いたしました。以上でございます。
【河田座長】  今、3つほどお聞きになりましたけど、まず、問題の……。
【濱中オブザーバー】  それでは、質問の話なので。まずはこの24の「DPを知っていますか」という質問、これは普通の学生調査にはあんまり入っていなくて、文科省の意向みたいな質問です。そんなに肯定的な回答の割合が高かったのなら、確かにもうなくてもいいのかなという気はしますし、むしろ、ディプロポリシーを読んだかとかいうふうに、もっと直接的に聞くような質問にしてもいいのかなというふうには思いました。
 それから結果公表については、先ほど花田補佐のほうから話があった、大学ごとのシートみたいなものを大学に送ってあげれば、それを学内で掲示するとかいう形で、今回の案の中で促進ができるのかなというふうに思っているのと、あと、督促ですね。やっぱり個人情報の問題、誰が答えて誰が答えていないかを取るのは、こちらの体制としても個人情報に対するハードルがうんと上がるので、実は第1回の試行の時は内部でかなり検討したのです。
 で、そこまではしないけど、たしか1回目の時は各大学に、おたくの大学で今何人答えていますというのが随時報告されるような仕組みを、あのときは委託でやっていたのでできていて、ちょっと回収率が低いところには連絡して、もう少し上げてくださいみたいな形でお願いをしていました。そういう仕組みはできる可能性がありますけど、直接誰が回答していないかというのは、なかなか難しいかなというふうに思っています。
【高橋委員】  督促等をするためには、参加大学が実施する学生調査のほうで、そこでは多分学籍番号を取っているので、そちらでやるしかないのかなと。
 今回は、だからそちらでやって、文科省の項目の結果だけを文科省に送るという形でやれば、そこはできるので、そういう個人を特定して督促等をするという形を取るのだったら、そちらのほうでやるしかないのかなと思っております。
【河田座長】  学校独自がね。そういうことですが、いかがでしょうか。お答えになっていますでしょうか。
 あと何か御質問。小林先生、お願いします。
【小林(雅)委員】  ありがとうございます。今の点はかなり重要な点なので確認しておきたいのですけれど、記名式ではなくて、今のところはこの調査は無記名式でやるということですね。
 高橋先生が言われたのは、大学独自の調査の場合は記名式もあり得るということですね。それを組み合わせた場合に、無記名式なのか記名式なのかというので、それは大学が判断できるという、そういうことでよろしいのでしょうか。
【花田高等教育企画課課長補佐】  はい、そうです。記名式のものをこの全国学生調査の調査方法②で活用いただくというのも、我々としては想定しております。
【小林(雅)委員】  ですから、繰り返しになりますけど、大学側は、大学の裁量として記名式でも無記名式でもいいということになるということですか。
【花田高等教育企画課課長補佐】  はい。
【河田座長】  そういうことですね。はい。
【小林(雅)委員】  分かりました。ありがとうございました。
【河田座長】  あと、小林先生、何かありますか。
【小林(浩)委員】  さっき、ポジティブリストで掲示するというのは、非常に社会に対する開示として、いいことかなというふうに思います。これは現在、認証評価のこれから第4期に入っていくときに、どの認証機関も学修者本位の教育というところでの、学生アンケートですとか学生インタビューみたいのを重視している方向にありますので、こういったデータを認証評価のところにも使っていただくようなことというのは、ポジティブな使い方としてあり得るのではないかというのを考えていたところでございます。
【福田委員】  よろしいでしょうか。弘前大学の福田ですけれど。本学は比較的回答率は高いほうで、その中で学生さんの自由記載を見ていますと、アンケートの目的が不明確というか、あまり明確でないということと、その結果についてはやはり知りたいというようなコメントが幾つか記載してございました。ですので、学内で、関係者限定となりますけども、公表することを今現在検討しています。
 その際に、ポジティブリストとか、あるいは教学IRのデータは、非常に開示する際に参考となりますので、ぜひやっていただきたいなと思います。
 以上です。
【河田座長】  何かそれについて……。仲谷先生。
【仲谷委員】  立命館の仲谷です。皆さん方の議論を聞きながら頭の中を整理していたので、なかなか手を挙げられなかったのですけども、今のポジティブリストも含めて、やはり学生側に何らかのフィードバックをするというのは、こういう調査をする限り、やっぱり必須だと思うのですよね。これは大学の責任としても、学生さんに対して、学生の時間を使うわけですから、ちゃんと、こういうふうな結果が出ましたよというふうな報告をするというのは、私は学長という立場もありますし、責務だというふうには思うのですよね。
 だから、そういう出し方について、いろいろ、いい方法があれば意見交換をしたいなというのが一つと、前もお話しさせていただきましたけども、うちは自治会と懇談をする機会があるので、そういう学生と話をするときに、こういう結果に基づいて話をしたいのだというふうなことがありますので、ある程度、他大学との比較みたいなことができると、やはりそういう話がしやすいかなというふうに思っています。
 時期については、配慮いただきましてありがとうございます。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございました。先生の立命館は割と開かれた大学で、いろいろやっておられるのですけど、その辺、何か文科省のほうから御意見はありますか。
【髙見高等教育政策室長】  ありがとうございます。学生目線に立ってしっかりやっていくというお話であると思います。
 今、この資料3-2に実施概要をつくっておりまして、これは第1回の試行調査からずっと鋭意改定してきたものでございますが、今改めて読み返してみると、例えば1の背景・目的のところの4段落目ぐらいですか、「このような状況を踏まえ、学修者本位の教育への転換を目指す取組の一環として」というので、①から④までの目的を書いてございます。
 より学修者本位の教育というところをしっかり強調するのであれば、やはりそこの趣旨をより明確にした上で、例えば3ページ目の参加大学の取組というところ、今はこれ、3行しか書いていないのですけれども、学内において共有を図ること、それからIRやFD・SD活動、もしくは自己点検・評価における活用ですとか、学生・社会への自主的な情報公表、活用することによりということで、さらっとは書いてあるのですが、もう少し先生方の御意見、御趣旨を踏まえて、より大学側での活用促進というのを促していくような書きぶりというのは検討していってはどうかと、今、事務局として感じていた次第でございます。
 その辺りについても、先生方からも御意見いただければと思います。
【河田座長】  ということで、参加大学ところは3行なので、もうちょっと詳しく、丁寧に書くということであります。それから3-2の背景・目的の、最後の段落のところ、1、2、3、4と書いてあるから、それを明確にしていくと。ここも最後、令和4年というところ、改行されたらもうちょっと読みやすいと思います。
 あと、何かございませんか。浅井先生、どうぞ。
【浅井委員】  名古屋市立大学の浅井でございます。私も、ほぼ今まで先生方がお話ししていただいた意見と一緒なのですけども、やはり時期を3月まで入れていただいたのは、大学の学事関係からすると非常にありがたいなというふうに思いました。それと、やはりIRの形でフィードバックしていただくのも非常にありがたく思います。
 その時に、こういうグラフという形だけでなく、後で大学独自で加工ができるように、エクセルの一覧みたいな形でデータを提供いただくこともできれば、また大学独自でグラフ化とかして、学生にフィードバックもできるかなと思いましたので、そういう点についても御配慮いただければというふうに思いました。
 私からは以上です。
【河田座長】  時期が長くなったのが非常によかったということですよね。
 それからフィードバックということで、加工ができる返信。それは可能ですか。
 それは可能だそうですので、文科省のほうでそういうこともきちっとやっていただくということにしたいと思います。
 小林雅之先生、どうぞ。
【小林(雅)委員】  何度も恐縮ですが、今の活用ということなのですけれど、これはずっと前から課題なのですけど、結局ベンチマーキングをどうするかという問題ですね。
 今回、ポジティブリストという形で提案があって、これは、そういう意味ではベンチマーキングするということの一つなのですが、ただ、下手するとこれは、ランキングにつながるということは当然考えられます。項目ごとにポジティブリストをつくるというのは非常にいいと思うのですけれど、大学全体に対してこういうリストはつくらないでいただきたいということです。
 これは多分、文科省のほうでも、そういうことがあるので、今回の提案の中に大学全体のスコアというのは入っていないと思うのですけど、それをやるとやはり非常に問題を生じさせると思いますので、そこは配慮していただければという、これは意見です。
 もう一点は、ベンチマーキングの関係から言いますと、レーダーチャートとかで示していただけるというのは、各大学にとってもかなりありがたいことだと思うのですが、全国平均だけではなくて設置者別、それから規模別というのは今までたしか出していただいていると思うのですが、それに今回、分野別というのもグラフの中に入っていました。その辺りをできるだけ細かく、これ、全部やると4重クロスになってしまって、多分、分野によってはどの大学か分かってしまうという問題があるのですけれど、その辺りは考慮しながら、できるだけ細かいデータを出していただければ、自分の大学と同じような大学がどういう状況にあるかということが分かりますので、これは予算の関係もありますから、なかなか全部やるのは難しいかもしれませんが、できるだけ考慮していただければありがたいということで、これは意見です。
 以上です。
【河田座長】  それに何かお答えありますか。文科省のほうから。
【花田高等教育企画課課長補佐】  ぜひ検討させていただければと思います。先ほど、加工できるようなものというところでの御意見もございました。そういったところで、いろんな分野別のものとか、設置者別のものも入れられるような様式を検討したいと思います。ありがとうございます。
【河田座長】  ということが、文科省の御回答です。
 両角先生、何か。どうぞ。
【両角委員】  両角です。ありがとうございます。学生のためにも公表すべきだというような議論について、本当におっしゃるとおりだと思っています。学生調査にはいろいろな目的があって、自分の大学で企画してやるものというのは、やはり教育改善を目的として実施しているのだと思います。もちろん、今回の文科省のこの全国学生調査もそういう形では使えますけれど、ただ、この調査が出てきたもともとの背景というのは、社会に大学教育の成果をより分かりやすく発信していく、説明していくのだというところにあり、そういう説明責任、つまり、大学がちゃんと教育をしているのだということを示していくという点での意義が、もともとは強かったのかなというふうに私は理解しています。
 そう考えていくと、もちろん、各大学で公表するというのも大事で、かなりされていると思うのですけれど、各大学の公表は、正直言ってホームページのどこに必要な情報があるのだか、外部者にはよく分からない点で課題があると思います。私は、すごく関心を持ってその大学のことを探すのですけれど、探すのに苦労することも多いですし、大学によっていろんな情報があり比較もできないということもあります。もちろん大学として説明するのは重要ではあるんですけど、その基本的な前提はさておき、やはり全体のプラットフォームみたいなことで、どう出していくのかという議論を、この調査の目的を考えるのであれば、やはりしていく必要があるかなというふうに思っています。
 ポジティブリストというのも、もちろん一つのいい考え方だと思い、まずはやってみたらいいなと思いながら聞いていたのですが、回収率とかも、本当にどこで区切るのかという問題だって出てくるでしょうし、ちょっとしか答えていない大学でランキングが高いのは信用ならんとか、リストを出せば結構いろんな意見が出てくるということは、もう想像に難くない気がします。
 なので、どこまで本当にこういう結果を出していくつもりがあるのか、しようと私たちが考えるのかみたいなことを、この調査の目的ということを考えると、議論すべきではないのかなというようなことを感じました。いろいろ留意しなければならないことはたくさんあると思いますけれど、どんな形でそういうふうにプラットフォームをつくるのかという議論は、そろそろちゃんとしてもいいのではないかなというような気がしています。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございました。
 どうぞ、小林先生。
【小林(浩)委員】  私は両角先生と同じ意見でして、先ほどの資料2の調査でいくと、独自調査をやっているところが251校、6割で、さらにそれを、251校の中で公表しているところが6割というと、全体の中で公表している大学は36%ということになります。つまり、3分の1しか世の中に公表していないということになりますので、いろいろなあつれきがあるのは、私は大学の外の人間なので、なかなか見えづらいところもあるのですが、大学が社会から見たときにしっかりと情報公表していますよというところを発信していくのは非常に重要だと思います。また、この資料2の10ページ目のところに、「文部科学省主導による情報公表」というような意見が出ていましたので、こういったところも、やはり大学では出しづらいけれども、文科省であれば出してほしいなというような現場の意見もここに入っているのではないかなというふうに認識しました。そのような観点から検討できればと思っております。
【河田座長】  やっぱり、文科省が責任を持って、国として、この間の英国の例もそうでしたけれども、やっているということが大事だというふうに、皆さん思っておられると思うのです。それぞれの大学の自己調査だけでなくて、これが非常に有意義だし、大きな課題を持っているということだと思います。
 あと、先生方、何かございますか。山田礼子先生、お願いします。
【山田委員】  失礼いたしました。16時30分から授業がありますので、先に意見を言わせていただければと思います。
 本当に今、両角先生がおっしゃったように、やはりこれ、何のために公表していくかということを、恐らく各大学と国がやる調査とは目的も違うところがありますし、それを学生のため、そして社会のために公表するということは非常に大事だと思うので、どういう形で――ポジティブリストは非常に良いと思うのですけれども、もう少し、今まで議論もありましたように、目的とかはっきりと、そしてその趣旨ということを明確にして、公表していっていただきたいなというところであります。
 と申しますのも、今までのこの議論の中でも、やっぱり国内の学生を対象にした議論なのですが、実は今、世界中で留学生の獲得というのがすごく大事な視点になっております。
 そうなってきたときに、例えば日本に来る学生――これは別に英語で公表しようが日本語で公表しようが構わないと思うのですけれども、日本の教育の質がどんなものなのかというのは非常に、日本に来ようとする留学生にとっては大事なところなのですよね。
 でも、そういうものが、個々の大学とかに行ってみないと分からないということが、やはり留学生にとっては大きな壁になっているところでありますから、文科省のこの全国学生調査で、いかに日本の教育というものが、社会に対しても世界に対しても公表していて、その意味があるかということを、もう少しポジティブに出していくことというのが、私は大事なのではないかなと思うのです。
 非常に留学生獲得って、世界中で今、すごい競争になっていますから、そういう点でいっても、いかに留学生を獲得するかという視点は、この全国学生調査にとっても大事なところかなと思います。
【河田座長】  そうですね。今朝の、昨日かな、日経新聞にも、中国で大学を出たけれど仕事がないという。私、中国が専門なのですけど、という話もありましたし、やっぱり、そういう外国の留学生を受け入れる意味でも、だから、調査して英語で公表すれば、ホームページにでも載せれば、非常に外国の、シンガポールをはじめ東南アジアの学生たちにとっても有意義でしょうし、そういうことも考えるという第一歩になればいいなと思っております。
【髙見高等教育政策室長】  今の質問票ですと、先ほど先生がおっしゃったような、留学生なのか日本人学生なのかというのが、属性が読み取れない調査設計になっておりますが、そこは、見方を変えればそういったことも聞いておけば、留学生が見る大学と、日本人学生が見る大学というので、少し違いが出てくるかもしれないのですが、その辺りはいかがでしょうか。
【濱中オブザーバー】  基本的には全国の大学を対象にしていて、留学生はほとんどいませんという大学のほうが圧倒的に多分多いので、そのためだけに調査票自体を変えるというのはあまり得策ではない。
 一方で、実は英語バージョンの調査票があるのですよね。だから、恐らく留学生であろう人が英語で答えているというのは分かる。でも、今のところそんなに数はないですよね。毎回英語バージョンの回答者数をチェックはしているけれど、ほんの50、100、そんなものだと思うので、それがもう少し増えてきたら検討する可能性はあるけど、現状であんまり、ここに留学生かそうじゃないかという質問を入れるのは難しいかなとは思います。
【河田座長】  実施されてからの問題ですね、今のところは。
 あと、先生方、何かございませんか。奥先生、どうぞ。
【奥委員】  お話を毎回伺っていて、論点をもう少しはっきりとして、今、例えば質問項目はもうこれで行きましょうということであればこれで行く。それでやり方はどうしましょうかということで、それの今度はいろいろと質疑応答をするとか、そういう論点をもうちょっと絞っていただければ、と思います。
 何か頭がちょっと、いつもまとまらない状態になっておりまして、さっき質問項目についてお話ししたことと、あと時期的なものもお話ししたのですけれども、質問項目が、もうこれ、大分何回もやっていて、これで今回は、これで行きましょうということであればこれで、あとはどういうやり方をするか、記名にするか無記名にするか、いろいろとやり方があると思うのですけど、今度はその辺のところをいろいろと審議していただいたほうが、私は助かると思います。
 この質問項目、出ればまた何回も同じことをやり直し、やり直しというふうになっていくので、大体これ、もうスリム化して、先ほど出た質問も、例えば24番の「大学から卒業時までに学生が身につけるべき知識や能力が明示されている」、これはいろんな大学の考え方があると思います。
 例えば私のところの大学だけではないのですけれども、学生の質がものすごく下がっていまして、「先生、どうやって勉強するの」から始まる学生も入ってきますので、そういったところに、大学はこういうふうにして学んで、こういうふうにしていろいろと知識を身につけていくのだというのを、教職員が全員でやっているような状況もありますので、各大学でそれは判断できることだと私は思っておりますので、質問項目、これで行きましょうということであれば、次の段階で、どういうやり方が一番効果的になるかということに絞ってやっていただいたほうが、助かります。よろしくお願いいたします。
【河田座長】  申し訳ありません。今回は調査をしてくださって、約半月の間にこれだけの成果が出ましたということの報告であったので。申し訳ありません、確かにそのとおりで、次回はもう――あ、今日で終わりか。
【花田高等教育企画課課長補佐】  今日で決めさせていただきたいと思います。
【高橋委員】  多分、今日の資料3-1の改善案についてお認めいただきたいということですよね。そこで修正があるなら修正して、今日認めていただかないと、多分、今年度の、先ほどの10月から3月の実施ということができないのかと思いますので。
【河田座長】  じゃあ、質問項目だけでも、それでいいですかということで。
 じゃあ、先ほどの3-2の質問項目案というのがあります。4ページからですね。
 じゃあ、一応、先生方の御意見がいろいろ出たということで、今日としては3-2の資料の4ページから、一応その質問項目がありますので、それでやらせていただいていいでしょうかということでございますが。
 21のところで、「多様な人々と協働する力」というのが、ここがちょっと分かりにくいという話がありましたけど、これはどういうふうに文科省として。
【髙見高等教育政策室長】  すみません、適切かどうか、ぜひ先生方にも御意見いただけたら。例えば、「多様な文化的背景や価値観を持つ人々」という表現はいかがでしょうか。
【高橋委員】  多分、元の趣旨と変わってしまう気がするのですけど。
【濱中オブザーバー】  まあ、元の趣旨は多分、「他人と協働する力」なのですけど。ただ、「他人」はちょっと表現がきついかな、で、まあ「多様な人々と」ぐらいにしておくかということだったかと。
【髙見高等教育政策室長】  「他者と」。
【濱中オブザーバー】  うん、他者とか、そっちのほうが多分、元のニュアンスには近いかなと思います。
【河田座長】  他者と協働する力。
【両角委員】  すみません、両角ですが、今日の会議で確定したいのは質問項目ですか。どこまでを決めたいのでしょうか。3-2にはかなりいろんな要素が含まっているので、全部なのか。このポジティブリストの出し方から、全てですか。それとも質問項目だけでしょうか。その点を確認させてください。
【花田高等教育企画課課長補佐】  まず、質問項目としてはある程度の、御指摘を踏まえて、最終的に河田先生と御相談させていただきながら修正させていただければと思いますので、ちょっと変だというところがあれば御指摘いただいた上で、我々のほうで河田先生と相談させていただきたいということと、先ほども議論になりましたが、質問項目をもう固定化するべきかというところもございます。その点も含めて、方向性を出していただければと思っております。
 あと、ポジティブリストの出し方については、改めてまたこの会議でお諮りする予定でございますが、大学向けには、集計基準をどういった基準でやるかというところは、先ほど両角先生から御指摘ございましたが、その点についても、事前にそこは決めた上でやることが大学に対してはフェアな形になりますので、集計基準は今現状の、先ほど資料4で御説明したものでよろしいか、また御意見いただければと思っております。
【両角委員】  ありがとうございました。
【河田座長】  ということで、一応、今日出た意見を基にしながら協議させていただいて、文案をつくって、先生方に一度メールで送って、そして1週間ぐらい、もし問題があればそこで訂正をしていただく、あるいは加筆していただくという、そういう方法を取ればどうですか。それでよろしゅうございますでしょうか。
 奥先生、何か問題ございますか。
【奥委員】  私に質問ですか。
【河田座長】  はい。
【奥委員】  毎回、広範囲から、質問項目から始まって、どういうポジティブなやり方をするか、いろいろなことがその都度その都度、話合いされているのですが、一つずつ決めていくということも大事じゃないかと思います。今回は、質問項目はこれでとにかくやってみようとかそういうことで、次回は、質問の時期と質問の取り方はどうするかという、そういうポイントを絞ってやっていただければ、それに向けていろいろと調べてくることもできますので、そういったやり方をしてくだされば、私は助かります。
【河田座長】  ありがとうございます。議長をしながら、私もそうだなと思いながら伺いました。申し訳ありません。
 それじゃ、一応質問項目につきまして、今33でしたっけ、ありますので、これを基にして、問題があったと言われる、特に21番などについて案を打ち合わせて、そして先生方のほうに、こういう形で質問項目をし、かつ、時期はこういう時期でやりますという、その最低限のところは協議して先生方に送って、1週間の間に御返答いただく、あるいは加筆すべきところは加筆するというふうにさせていただければというふうに思います。
 それで文科省のほう、いいですね。
【髙見高等教育政策室長】  はい。21番に加えて24番と26番についても御意見ございましたので、それも含めて、改めて御検討の上ということでお願いしたいと思います。
【河田座長】  はい。では、そういうことでお願いします。
 はい、小林雅之先生。
【小林(雅)委員】  ありがとうございます。今の全体の見通しみたいなことに関しての御質問をしたいのですけれど、これも前回欠席しているので分からないのですけれど、この試行が大体、もともと第3回で終わるというのが第4回に延びたわけですね。これはいろんな理由があったと思うのですけれども、この次、第4回の後はどのような予定で、文科省としては考えておられるのか。何年先に本調査をやるというようなことなのか。
 それによって、質問項目をもう変えないということを今日決めてしまうと、それで固定してしまうわけですけれど、それはいつ頃実施するかということによっても、また変わると思うのです。ですから、その辺りの見通しを少しお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
【河田座長】  では、文科省のほうから。
【花田高等教育企画課課長補佐】  本格実施については、来年度に予定をしておりまして、今回の試行実施を踏まえて、来年度実施させていただく予定で、現状はそういう状況でございます。
 おっしゃるとおり、その状況を踏まえて、質問項目を確定するかどうかといったことについて議論いただければと思っております。
【小林(雅)委員】  分かりました。私の意見では、そうしますともう来年度実施ということになると、あまり動かすというのはさすがにやりにくい――各大学がやりにくくなるということがありますので、そのまま固定でいいのではないかというふうに思います。
 以上です。
【河田座長】  ありがとうございました。そうしたら、本格実施は2025年度ということで、やるということで、一応それは決定ということでやらせていただきます。
【濱中オブザーバー】  質問してよろしいですか。今までの会議で、本格実施の際には、大学別の公表がありという方向で議論を進めてきていたと思うので、そうすると、もう来年度から大学別の公表が実施に移される、各大学との調整はここ1年間でがんばってやると、そういうことで理解して大丈夫ですか。
【髙見高等教育政策室長】  その辺りの扱いについては、現時点でははっきり決められないので、今後、相談させていただきたいと思います。
 やはり大学側の声というのもあるのは事実でございますし、そういった必要な調整を通じて、今後必要な対応を取っていくといったことになると存じます。
【河田座長】  私学の場合は、私立大学連盟は先生が出ているけれど、協会のほうは一遍も、玉川の小原先生は出ておられないし、その辺ちょっと詰めていただいて。それから国大協と公立大学の協会、あるいは短期大学の。その辺ちょっと文科省のほうで、ちゃんと行って、その会議で、こういうことでやりますということを言っていただいたほうがいいかなというふうにも思います。
【髙見高等教育政策室長】  はい。この会議の状況も含めて、随時関係団体にお伝えしておりますし、また今後も、そういった必要な説明は行ってまいりたいと思います。
【河田座長】  で、来年度から、文科省として、国として責任を持って、こういう日本の大学の状況を調査して発表しますということを、公表してしまえばいいと思いますし、それは意義があることだと思います。私が意見を言ってもあれですが。
 あと、何か決めねばならないこと、あるいは問題があること。
 じゃあ一応、その33の案について、問題が幾つか、2つか3つありましたので、その案を座長として決めさせていただいて、それを先生方に送って、これでやりますけど大丈夫ですかということを、1週間でも間を空けていただければいいかなと思います。
 そういう形で、委員の先生方、よろしゅうございますか。
【花田高等教育企画課課長補佐】  河田先生、先ほど申し上げた集計基準についても、念のため確認させていただいてもよろしいでしょうか。
【河田座長】  どうぞ。
【花田高等教育企画課課長補佐】  これ、資料の4でございますけれども、3ページを御覧ください。
 現状の集計基準が、上のところで言いますと、許容誤差プラスマイナス0.2というものを採用しております。これでいきますと、対象学部が662で31%というような状況でございまして、先ほど両角先生からも、公表基準についてはこれでいいのかというような御指摘もございましたが、これを厳しくしていくとすると、かなり母数が少なくなっていくということも一方でございますので、基本的には、現状のこの集計基準を試行実施の中ではやらせていただいて、方向性として何か問題がないかどうかも含めて確認をさせていただいた上で、今後、本格実施につなげていくということも考えておりますけれども、この集計基準のプラスマイナス0.2を採用してもよろしいかという点についても、念のため確認いただければと思います。
【河田座長】  両角先生、どうぞ。
【両角委員】  両角です。これ、公表するときには、この基準以上ということで、それぞれ、例えばポジティブリストで出るときも、この大学、この学部は何%の回収率でこの回答、という形で出るということですよね。
 そうであれば、やってみたらいいのではないかなというのが私の感覚ではあります。各大学の関係者がどう思うかということも大事だと思うので、ほかの先生方の御意見もぜひ聞いてみたほうがいいと思いますが、私個人としては、それでいいのではないかなと思いました。
【河田座長】  ほかの先生方、何か御意見ございますか。
 また何かございましたら、今日発表できなかった、御意見が出なかった場合については、ぜひメールでも御連絡いただいて、それに対処していきたいと思います。
 ではこれで、ちょっと時間、15分ほど早くなりましたけれど、以上となりますので、あと、どういう形で進めるか、最後もうちょっと説明して。
【髙木高等教育政策室企画審議係長】  本日は非常に活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。本日御発言できなかった内容等につきましては、先ほど座長からもお話ありましたが、事務局までメール等で御連絡いただければと思います。
 次回の会議につきましては、開催時期は検討中でございまして、また改めて御連絡させていただければと思います。
 また、第4回試行実施のスケジュールといたしましては、本日いただきました御意見等を踏まえまして、令和6年度全国学生調査(第4回試行実施)実施概要案につきまして、必要な修正等を行った上で、各大学に周知させていただきたいと思います。
 以上でございます。
【河田座長】  最後に、新しく4月から高等教育の企画課長になられた吉田光成さんから、一言御挨拶をお願いします。
【吉田高等教育企画課長】  会議に遅参してまいりまして大変失礼いたしました。4月から着任いたしまして、高等教育企画課長を拝命いたしました吉田でございます。よろしくお願いいたします。
 3月まで学生支援課長をしておりまして、学生支援課では学生生活のほうがどちらかというと中心ではございますけれども、いろいろな調査、JASSOの調査も含めて活用させていただいていたこともございます。
 そういった意味で、学生の状況を知ることはすごく大事だなと、3月までも思っていたところでございまして、企画課のほうに参りまして、この全国学生調査の実施を行っていくということで、やはり政策的にもこういった調査をしながら、今後の大学教育の質というのをどうやって考えていくのかということを明らかにしていくことが非常に大事だと思っております。今日も様々御意見いただきまして、我々のほうもまだまだ考えなきゃいけないところがたくさんあるなというふうに思っているところでございますけども、引き続き、また御指導いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
【河田座長】  じゃあ、これで会議を終えさせていただきます。
 本日はいろいろ積極的な御意見が発表されました。ありがとうございました。
 以上で終わらせていただきます。


―― 了 ――

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