「もんじゅ」廃止措置評価専門家会合(第18回) 議事要旨
1.日時
令和6年3月7日(木曜日)14時00分~15時58分
2.場所
文部科学省5階5F5会議室(オンライン会議)
3.議題
- 「もんじゅ」廃止措置第2段階の実施状況について
- 「もんじゅ」廃止措置第2段階後半に向けた検討状況について
- その他
4.出席者
委員
佐藤座長
井上委員
岩永委員
野口委員
樋口委員
村上委員
山口委員
文部科学省
井出研究開発戦略官(核燃料サイクル・廃止措置担当)
横井原子力研究開発調査官
(説明者)
日本原子力研究開発機構 敦賀廃止措置実証本部
森下本部長代理
竹内副本部長
佐久間廃止措置推進室長
高尾グループリーダー
日本原子力研究開発機構 高速増殖原型炉「もんじゅ」
長沖所長代理
近藤廃止措置部長
5.議事要旨
原子力機構から、「もんじゅ」廃止措置第2段階の実施状況、廃止措置第2段階後半に向けた検討状況について説明を受け、委員より意見をいただいた。主な意見は以下のとおり。
(1)「もんじゅ」廃止措置第2段階の実施状況について
<しゃへい体等取出し作業について>
- 燃料出入機により当該対象物を確実に吊り上げていることを確認する上で、吊り上げ荷重の判定基準は重要となるが、現状の設定範囲が広く、粗いのではないか。サーベイランス2型の取扱い経験が無いということであれば、事前の検討を十分に行った上で、より慎重に実施するべきではないか。事象発生の段階でそのリスクを初めて認識したということであるとすれば、事前のリスク分析が意味を成していなかったのではないかと言わざるを得ない。
- 今後の作業に際しては、吊り上げ荷重の判定手順に、当該対象物の種類ごとの荷重計画値を記載し、確認するとのことであるが、ナトリウム中で取り扱うことに注意しながら慎重に対応する必要がある。
- 廃止措置作業として実施するしゃへい体等取出しに際しては、迅速かつ効率的、更にはコスト面にも留意しつつ進める必要があることを忘れてはならない。今般の本質的な課題は、サーベイランス集合体2型の形状が異なっていたことに対して、特段の手当てをせずに作業を行ったということであり、そのことは事前検討の際に気付くべきであった。「もんじゅ」の設備は特有であるということを踏まえながら、事前のブレインストーミングを十分に実施いただきたい。
<「もんじゅ」タービン建物における負傷者の発生について>
- 今般の事象は、作業開始前にリスク評価を実施していたにも関わらず発生したとのことであるが、その際の有効性評価をどのように行っていたのか。今後の対応に際して適切に確認し、反映していく必要がある。
- 協力会社の作業員に対して、作業内容の指示が正確に伝わっていなかったことが原因とのことであるが、どのような現場管理を行っていたのか。2名の作業員が同一の場所で交互に作業を実施する中で発生するなど、非常に初歩的な事象であり、民間の立場からすると理解し難い。
- 再発防止策の内容について、「確認の強化」「活動の改善」といった抽象的な記載ではよく分からず不十分。今後、今般と同様の事象は発生しないと思われるが、現場作業と体制に整合がとれていない状況が続けば、別の場所、形態で事象が発生する可能性があるということを認識し、体制の再確認を含め、本腰を入れて対応していただきたい。
- 今後、更に大きな事象が発生することも想定し、その可能性や発生した場合に与える影響については、事前の検討を適切に実施いただきたい。
- 今般の事象では協力会社の作業員が負傷したが、発注者である原子力機構がきちんとグリップしなければならない構造的な課題である。また、原子力機構では人事異動等による情報共有の在り方についても課題があると推察されるため、そのことも含め、体制に関しては再度の確認をいただきたい。
- 発注者である原子力機構は、元請けに対して必要な指示を出した上で、その内容が下の協力会社にきちんと伝わっていることを確認するのが役割である。原子力機構が複数の作業をすべて現場確認することはできないため、そのことは徹底いただきたい。
- 再発防止策として「現場確認の強化」とあるが、現場を確認したとしても事象発生を防ぐことはできない。今回の事象発生は協力会社の作業員による作業ミスが原因との認識が原子力機構内にあるとすれば、そのような意識構造は改善しなければならない。今回の事象発生を受けて、どこにどのような課題があり、原子力機構は元請けに対して何を要求し、どのように確認していたのかについては、その妥当性を含め確認、整理いただきたい。地震発生等の不測の事態が生じる可能性がある中、手順が定まっている作業に関してはしっかりと対応する必要がある。
- 原子力施設での作業経験が無い協力会社による労働災害は、軽水炉の現場でも発生しており、これは工事人員が不足している昨今の状況下において構造的な課題となっている。原子力機構においてもこのことをよく認識した上で、対応することが重要である。また、協力会社に対しては、原子力施設で労働災害が発生した場合の世の中の受け止めは厳しいということを認識いただく必要がある。自社のためにも重篤災害は必ず防ぐことができるよう、原子力機構の経験も共有しつつ、軽水炉における取組も参考としながら対応いただきたい。
(2)「もんじゅ」廃止措置第2段階後半に向けた検討状況について
<ナトリウム搬出に向けた検討状況について>
- 「もんじゅ」のナトリウム抜出し、移送作業を確実に実施するための注意点、ナトリウムが漏えいした場合を想定した具体の対応方法について検討いただきたい。
- 「もんじゅ」のナトリウム搬出に際しては、放射性と非放射性で異なる取扱いが想定されることから、これらの手続きや実施に向けて、関係省庁や業者等への相談を早めに開始し、輸送規則等の法令要件を十分に確認した上で遅滞なく対応していく必要がある。特に、放射性ナトリウムを充填したISOタンクコンテナを輸送する際の要件については、規制当局との相談も含めて検討、確認し、改めて報告いただきたい。
- 「もんじゅ」の使用済燃料やナトリウムについては、海外で処理する方向で検討が進められているが、その後の高速炉開発を取り巻く状況も踏まえて、原子力機構として処理する可能性についても併せて検討いただきたい。
<性能維持施設の見直しに向けた検討状況について>
- 「もんじゅ」における性能維持施設の抽出と検討に際して、これまで原子力機構で実施してきた多くの廃止措置に関する経験をどのように活かし、グレーデッドアプローチの仕分けを行っているのか。公開文献等があれば教えていただきたい。
- ナトリウム関連設備の性能維持施設の抽出判断に関し、「もんじゅ」の特殊性を考慮して維持すべき機能かはどのような基準により判断するのか。その判断指標(パフォーマンスインジケーター)は、廃止措置を効率的に進める上で重要であり、明確化する必要があることから、検討、提示いただきたい。
以上
研究開発局 研究開発戦略官(核燃料サイクル・廃止措置担当)付