令和6年6月11日
文部科学省では、国立研究開発法人科学技術振興機構を通じて、国際的な科学技術コンテストに参加する若者を支援する事業を実施しております。このたび「第24回アジア物理オリンピック(主催国:マレーシア)」に参加した生徒が、金メダル等を獲得したとの連絡を受けましたので、報告いたします。 また、文部科学省では、アジア物理オリンピックにおいて、特に優秀な成績をおさめた者に対して文部科学大臣特別賞の授与を行っており、このたびの成績を踏まえ、受賞者を決定しましたので、併せてお知らせします。 (共同発表:公益社団法人物理オリンピック日本委員会)
金メダル1名、銅メダル7名
※金メダルは参加者の成績上位12%、銀メダルは同29%、銅メダルは同51%に与えられる。(第24回アジア物理オリンピックから適用)
○河野 次郎 さん | ラ・サール高等学校(鹿児島県) | 3年 | 金メダル |
○窪田 裕成 さん | 新潟県立新潟高等学校(新潟県) | 3年 | 銅メダル |
○遠山 龍之介 さん | 洛南高等学校(京都府) | 3年 | 銅メダル |
○小林 悠大 さん | 大阪星光学院高等学校(大阪府) | 3年 | 銅メダル |
○角谷 賢斗 さん | 開成高等学校(東京都) | 2年 | 銅メダル |
○坂本 聖 さん | 群馬県立高崎高等学校(群馬県) | 3年 | 銅メダル |
○濱田 泰成 さん | 灘高等学校(兵庫県) | 2年 | 銅メダル |
○伊丹 翔治 さん | 灘高等学校(兵庫県) | 2年 | 銅メダル |
(文部科学大臣特別賞受賞者を○で示す)
28か国・地域/208名
マレーシア(カンパー)(現地開催)/
令和6年6月3日(月曜日)~6月9日(日曜日)(日本時間)
公益社団法人物理オリンピック日本委員会
・アジア物理オリンピックは2000年にインドネシアにて第1回大会が開催された。
・2024年のマレーシア大会は、第24回目。
・日本は2021年から参加を開始し、本年は4回目の参加。
・昨年のモンゴル大会は、28か国・地域から196名の生徒が参加し、日本は金メダル1名、銀メダル1名、銅メダル3名受賞。
・本年のマレーシア大会は、28か国・地域から208名の生徒が参加し、日本は金メダル1名、銅メダル7名受賞。
6月3日(月曜日)Arrival, Registration
4日(火曜日)Opening ceremony, Campus tour
5日(水曜日)Theoretical competition, Culture exchange
6日(木曜日)Excursion
7日(金曜日)Experimental competition, Malaysian Food Fair
8日(土曜日)Malaysian Culture Festival
9日(日曜日)Sports day, Closing ceremony, and Farewell banquet
2021年(第21回 台湾大会)
金メダル1名、銀メダル1名、銅メダル3名
(参加規模:23か国・地域、181名)
2022年(第22回 インド大会)
銅メダル1名
(参加規模:28か国・地域、218名)
2023年(第23回 モンゴル大会)
金メダル1名、銀メダル1名、銅メダル3名
(参加規模:28か国・地域、196名)
アジア物理オリンピックは、ヨーロッパ物理オリンピック(European Physics Olympiad, EuPhO)とならび、毎年7月に行われる国際物理オリンピック(International Physics Olympiad, IPhO)の前哨戦となる地域限定の国際大会である。2000年にインドネシアのカラワチで第1回大会が開催され、それ以後毎年5月にアジア各地で開催されてきた。その参加資格は、IPhOと同じで、20歳未満で且つ大学などの高等教育を受けていないこととされている。各国から高校生等が参加し、物理学に対する興味関心と能力を高め合うとともに、国際的な交流を通じて参加国における物理教育を一層発展させることを目的としている。科学・技術のあらゆる分野において増大する物理学の重要性、また次代を担う青少年の一般的教養としての物理学の有用性を鑑み、開催国を持ち回りとして毎年開催されている。
各国内で選抜された最大8名の代表選手たちが、リーダーやオブザーバーからなる引率役員とともに参加する。1週間という長い会期の間、選手は理論問題・実験問題にそれぞれ5時間をかけて挑戦する。引率役員は、試験問題の自国語への翻訳作業や採点、試験結果についての調整などを担う。各国の引率役員が理科教育推進のための国際的なネットワークを形成し、自国の理科教育を国際標準に照らして見直す良い機会ともなっている。日本は、2020年までは7月に開催されるIPhOにしか参加していなかった。それは、APhOの開催時期が毎年5月であり、高校生である代表選手が新学期開始後、間もない時期で大きな負担をかけることを心配したからであった。しかし、APhOへの参加を希望する声が選手たちから高まったため、2021年からIPhOに向けた海外研修という位置づけでAPhOに参加している。
国際物理オリンピックは、1967年にポーランドのワルシャワで第1回大会が開催された物理の国際的なコンテスト。参加資格は、20歳未満で且つ大学などの高等教育を受けていないこととされている。各国から高校生等が参加し、物理学に対する興味関心と能力を高め合うとともに、国際的な交流を通じて参加国における物理教育を一層発展させることを目的としている。科学・技術のあらゆる分野において増大する物理学の重要性、また次代を担う青少年の一般的教養としての物理学の有用性を鑑み、開催国を持ち回りとして毎年開催されている。成績優秀者には金メダル(参加者の成績上位8%)、銀メダル(同25%)、銅メダル(同50%)が与えられる。
各国内で選抜された最大5名の代表選手たちが、リーダーやオブザーバーからなる引率役員とともに参加する。従来の現地開催形式では、8日間という長い会期の間、選手は理論問題・実験問題にそれぞれ5時間をかけて挑戦するほか、他の国々からの参加者や主催者と国際的な交流を深める。引率役員は、試験問題についての討論会に参加し、自国語への翻訳作業や試験結果についての調整などを担う。現地開催の場合には、現地での交流を通じて各国の引率役員が理科教育推進のための国際的なネットワークを形成し、自国の理科教育を国際標準に照らして見直す良い機会ともなっている。
「物理チャレンジ」は、大学等に入学する前の青少年を対象として物理の持つ面白さと楽しさを体験してもらうことを目的とする全国規模のコンテストで、APhOとIPhOに出場する日本代表選考を兼ねている。
「物理チャレンジ」は、2つの段階から構成されており、一段階目の「第1チャレンジ」は、「理論問題コンテスト」と「実験課題レポート」からなる。理論問題コンテストは全国一斉にオンラインIBT形式(※)で実施し、また実験課題レポートは、参加者が自宅や学校で課題実験に取り組み、レポートにまとめて提出するものである。二段階目の「第2チャレンジ」は、第1チャレンジの総合成績により選抜された約100名が、夏休みに一堂に会する3泊4日の合宿形式のコンテストである。APhOやIPhOの形式に倣い、理論問題と実験問題についてそれぞれ5時間の試験を実施する。ここでは成績上位6名に金賞、続く12名に銀賞、続く12名に銅賞、さらに続く若干名に優良賞等を授与する。
第2チャレンジで優秀な成績をおさめた参加者から、翌年のAPhO/IPhOへの参加資格を持つ日本代表候補者を12名選出し、9月に秋合宿を行った後、7か月間にわたる通信添削、実験実習、冬休み及び春休みの合宿研修等の教育研修を経て、最終選考によって、IPhOに派遣する5名の日本代表選手と、APhOに派遣する8名の日本代表選手を決定する。
なお、第2チャレンジは、APhO/IPhOを模した合宿形式のメリットを活かし、コンテストばかりでなく第一線の研究者との対話や先端研究施設の見学を実施し、参加者同士ならびに参加者と実行委員(物理学研究者)との交流を深める機会を設け、物理に興味を持つ生徒たちにとって充実した4日間となる構成としている。
※IBT形式とはInternet Based Testingの略称で、インターネットにつないだパソコンやタブレットで問題を閲覧して、複数の選択肢から正答をクリックして解答する試験方式のこと。
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