盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年6月14日)

令和6年6月14日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化

キーワード

第4回日中韓教育大臣会合の出席、海上自衛隊ヘリコプター捜索に関する海洋研究開発機構の協力について、「文化創造基盤としての書店振興PT車座」ヒアリングへの参加、国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議における審査の結果、教員採用試験標準日前倒しについて、学校給食に関する実態調査の結果及び学校給食費の無償化について、「重大事態」にあたるいじめ事案の第三者委員会設置に向けた課題について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年6月14日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年6月14日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年6月14日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 今日は4件ございます。まず、今日14日金曜日の夕刻、というか夜から16日日曜日の朝にかけまして、第4回日中韓教育大臣会合への出席等のため、韓国を訪問します。今回の会合は、先月27日に4年半ぶりに開催された第9回日中韓サミット後、初めて開催される日中韓の閣僚級会合であります。サミットで合意された日中韓共同宣言を受けて、優先分野の一つである人的交流について具体的な議論を行う重要な機会になると考えています。また、韓国・中国の教育大臣とそれぞれバイ会談も行う予定です。今回の出張を通じて、教育分野における日中韓の関係強化を図ってまいります。
 2件目です。4月20日に発生した海上自衛隊ヘリコプター墜落事故の捜索活動について、防衛省から文部科学省に対して、海洋研究開発機構、JAMSTECのことです、ここに協力の依頼がありました。これを受け、船舶でえい航して深海まで調査・観測が可能なJAMSTECの「ディープ・トウ」を用いて7月上旬から協力することとなりました。JAMSTECにおいては、当該ヘリコプターの捜索に全力で取り組んでいただきたいと考えています。
 3件目です。一昨日12日水曜日、書店振興に向けた「車座」ヒアリングに参加しました。ヒアリングには、斎藤経産大臣、上川外務大臣のほか、作家の今村翔吾さんら書店関係者の皆様も参加され、大変興味深いお話をお伺いすることができました。私からは、書店は、著者と読者をつなぐ「未知の本」との出会いを提供し、新たな興味・関心を喚起させる「知の拠点」として、重要な役割を担っていることについて申し上げました。この車座でいただいた御意見は、今後、立ち上げを予定しております、書店や図書館、出版社等の関係団体の協議会でも参考とさせていただくとともに、文部科学省としても、関係者の方々の協力も得ながら、引き続き、文字・活字文化の振興、読書活動の推進等、関連する施策を推進してまいります。
 最後の4件目です。大学ファンドの支援対象となる国際卓越研究大学に関する審査の結果について、お知らせをいたします。国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議において、一定の条件を付して認定候補としていた、東北大学について、対応状況を継続的に確認してきたところ、今般、国際卓越研究大学の認定及び体制強化計画の認可の水準を満たし得るものとの結論に至ったとの報告を受けました。今後、改正国立大学法人法が施行される10月以降、東北大学がガバナンス体制の整備を行った上で、国際卓越研究大学法に基づく手続きを経て、所管大臣として認定・認可の可否を判断する予定です。有識者会議では、初回公募の振り返りも行い、次回公募に向けた期待をとりまとめていただいておりますが、次回の公募は、初回の国際卓越研究大学の認定後、令和6年度中の開始を予定しております。私からは以上4件です。
 
記者)
 まず、先ほど冒頭にありました国際卓越大学の件で、東北大学の計画案が認可の水準を満たしたとのことですが、水準を満たしたと言える結論に至った判断理由と、認可に向けた今後のスケジュールに関して教えていただけますでしょうか。
 
大臣)
 有識者会議では、認定・認可に向け東北大学に対し、例えば、全学の研究力向上の道筋、あるいは事業・財務戦略の高度化といった事項について、重点成果指標や工程などの一層の精査や明確化が必要であることなどの条件を付しておりました。これらの対応状況を確認してということでございます。この度、東北大学に付した条件への対応について、例えば、研究力の観点では、分野ごとの研究力強化策や人事戦略、全学の教員人事マネジメントの具体的な工程が示されているなど、条件のいずれの事項についても計画の精査や具体化が図られており、国際卓越研究大学の認定及び体制強化計画の認可の水準を満たし得るものとの結論に至ったと承知しています。
 
記者)
 いじめ防止対策についてお伺いいたします。先日毎日新聞が行ったアンケートによりますと、全国の都道府県あるいは政令市でいじめ重大対策の第三者委員会の設置、こちらに係る財源が課題だと考えていた自治体が7割超に上ることが分かりました。具体的に、小さな自治体ではこういった財源が確保できないために第三者委員会の設置が遅れたり、あるいは有識者を見つけること自体が難しいという声が上がっています。こちらについて、いじめ対策防止推進法の改正も含めた国の関与を求める声も多数上がっているのですが、こちらに対する現時点での大臣の御見解と、これから文科省として何か対策ができる検討がございましたらお教えください。
 
大臣)
 今御指摘がありましたように、約7割の都道府県・指定都市が重大事態調査の実施に当たって第三者委員会の設置に伴う財源確保が課題と回答したという報道は承知しておりますが、調査の詳細を把握しておりませんので、具体的なコメントは控えたいと思います。その上でということになりますけれども、いじめ防止対策推進法に基づくいじめの重大事態調査は、学校やその設置者が行うこととされています。文部科学省においても、昨年度から、いじめの重大事態について網羅的に報告を求め、必要な助言や支援を行うとともに、いじめの重大事態調査に関するガイドラインの改訂に向けた検討も進めております。こども家庭庁においても、調査組織の第三者性の確保等に関して助言を行う「いじめ調査アドバイザー」制度を運用しているところであり、引き続き、いじめの重大事態調査が適切に実施されるよう、関係省庁とも連携しながら、各自治体等におけるいじめ防止対策の改善・強化に努めてまいりたいと考えているというところです。
 
記者)
 一昨日に公表されました学校給食の実態調査で、昨年9月1日の時点で3割の自治体が小中学生全員の給食費を無償にしているということが明らかになりました。これだけの自治体が無償にしているということに対する大臣の受け止めと、今回の調査で見えてきた給食の無償化の政策効果、あるいは課題などを踏まえて今後、給食費の無償化というのをどのような考えで検討していくのかというところを教えてください。
 
大臣)
 当省では、昨年6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」において、「まず、学校給食費の無償化を実施する自治体における取組実態や成果・課題の調査、全国ベースでの学校給食の実態調査を速やかに行い、1年以内にその結果を公表する」とされておりましたので、それを受けて、調査を実施し、そして一昨日の12日に、その結果を公表したというところです。それで、学校給食費は、経済的に困窮している家庭の児童生徒については、元々、生活保護による教育扶助、就学援助等により無償化されておりましたが、今回の調査結果では、令和5年度に1,794の自治体中547の自治体、約3割ですね、小中学生の全員を対象に学校給食費の無償化が実施されていること、そして自治体独自の学校給食費の無償化に当たっては、自己財源をはじめ、地方創生臨時交付金など様々な財源が活用されていること等、それをはっきりしたので公表したということでございます。他方で、何らかの形で学校給食費の無償化を実施している722の自治体のうち、成果目標の設定や成果検証を実施した自治体というのはいずれも2割弱にとどまっています。それから、学校給食を未実施の学校や、実施していてもアレルギーや不登校等の理由で学校給食を食べていない、喫食していない児童生徒が相当数存在すること、食材費相当額である学校給食費についても、都道府県間で約1.4倍の開きがある、こういったことが明らかになりました。ということでございますので、学校給食費の無償化については、このような結果を踏まえながら、今後、児童生徒間の公平性、あるいは国と地方の役割分担、政策効果などといった観点や法制面から、課題を整理していくというところでございます。
 
記者)
 確認ですけれども、文科省としては無償化の方向を進めていくということでよろしいですか。
 
大臣)
 まだこれから課題を整理するということでありまして、次の方向性については今の段階では決めておりません。
 
記者)
 教員採用試験について伺いたいのですけれども、文科省が示した標準実施日は6月16日ということで明後日となります。結果的に過半数の教育委員会が16日かそれより前に試験日を設けていますけれども、この教育委員会の対応についてどう受け止めているのかということと、もう1点が、従来より一貫して試験を前倒ししてもなかなか全体の志願者の増加とかにはなかなか結びついていないというような声もあるのですけれども、現時点で効果についてはどのように考えていらっしゃるのか教えてください。
 
大臣)
 まだ明後日なので終わっていないものですから何とも言えないところはありますが、昨年5月に、各教育委員会に対して、教員採用選考の改善そして早期実施ということでお願いをしたというところであります。そして、多くの教育委員会は御理解をしていただいて、同じような危機意識を持って対応していただいているのかなと、そういうふうに思います。それで、我々としましては今後さらにより一層十分に教師、教員を採用する、確保するためにはさらなる選考の前倒しが必要であると考えたことから、本年4月、各教育委員会に対して、令和7年度実施の第一次選考については、5月11日を一つの目安としてさらに前倒しを検討してくださいと、こう要請したところであります。それで今回、効果があるかどうかということでございますけれども、まだ明後日のは終わっていない、あるいはそれ以外の地域もあるわけですね。つまり、もう既に採用なさったところもあれば、明後日されるというところもあり、そしてそれ以降にというところもあるのですが、こういうような本年度の採用選考の状況を丁寧に把握をして、そして効果の検証に努めたいというふうに思うということでございますので、現時点でこれでどの程度どうなるかということはまだ何とも言えないということではないかと思います。
 
記者)
 韓国出張についてお伺いいたします。日韓の二国間会談も予定されているようですが、こちらでは佐渡島の金山についても議題にするお考えでしょうか。
 
大臣)
 それにつきましては、今のところ教育大臣会合ということでございますので我々のほうから持ち出すつもりはありませんし、佐渡島の金山ということだけであれば外交当局においても御議論していただいているのではないかなと思います。
 
記者)
 重ねて、昨日一部イコモス勧告への対応方針を既に決められているようですが、今後、韓国にはどのように伝えて理解を得ていきたいというプロセスを描いていらっしゃいますか。
 
大臣)
 それは、勧告が出たのはまずはイコモスからの勧告でございますので、イコモスにどうお返しをするのかということを関係者とまずしっかりと検討してそれからということではないでしょうか。
 
記者)
 給食費の無償化の件で重ねてお伺いしたいのですけれども、条件付きを含めて何らかの無償化政策を講じている722自治体のうち、来年度以降の方針を訪ねたところで1割にあたる82自治体が実施予定なしに転じているかと思うのですけれども、やはり財源の継続性に一つ大きな課題があるのかなと思うのですけれども、そのことについて大臣のお考えをお聞かせください。
 
大臣)
 それはそのとおりでございまして、財源をどうするのかまだ決まっていないというか、今無償化をなさっているところ、それぞれの自治体で何らかの手当てをされてやっておられる、その財源がどうかというのもそれぞれの自治体に聞かないと分からないわけでございます。私たち文部科学省としてどうするのかというのは、今後、児童生徒間の公平性、あるいは国と地方との役割の分担、あるいは政策効果、あるいは法制面というのもあるかもしれませんが、課題をこれから整備していく、検討していくということかと思います。
 
(了)

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