盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年6月7日)

令和6年6月7日(金曜日)
教育、文化

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世界遺産に推薦している「佐渡島の金山」に対する国際記念物遺跡会議(イコモス)の評価結果、過去最低となった出生数・合計特殊出生率について、児童生徒の裸眼視力低下、国立大学の授業料の値上げについて

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年6月7日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年6月7日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年6月7日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、1件ございます。もう御案内のとおりだと思いますが、我が国が世界遺産に推薦している「佐渡島の金山」について、昨日、ユネスコ事務局より、国際記念物遺跡会議、イコモスのことです、の評価結果について連絡がありました。イコモスからは、「佐渡島の金山」について、世界遺産登録を考慮するに値する価値があることは認められました。一方、「記載」に向けた勧告として3点の指摘がなされ、「情報照会」という勧告となりました。構成資産である「相川鶴子金銀山」のうち、江戸期より後、これはpost-Edoです、江戸期より後の証拠が大部分を占める一部の地区、北沢地区のことです、これを資産範囲から除外すること、それから将来的な洋上風力発電施設の建設可能性を踏まえ、「相川鶴子金銀山」の海側の緩衝地帯を拡大すること、鉱業権の所有者が、商業採掘を再開しないという明確な約束を示すこと、この3点であります。このほか、考古学的調査に関する長期的な戦略を構築することや、鉱山採掘が行われた全ての期間を通じ、全体の歴史を包括的に説明・展示する戦略を策定し、施設を整えることなどの追加的な勧告がありました。当省としては、今般の勧告を真摯に受け止め、本年7月にインドで開催される世界遺産委員会において登録されることを目指し、今後、速やかに新潟県・佐渡市、関係省庁とイコモス勧告への対応について検討していきたいと思います。以上です。
 
記者)
 今ありましたイコモスの勧告について、「情報照会」という結果だったことについて改めて受け止めと評価をお願いします。
 
大臣)
 世界遺産登録を考慮するに値する価値が認められたということではありますが、その上で、まだ宿題があるよということですね。「情報照会」ということで、これらの対応をしっかりしていきたい、そして先ほども言いましたけれども、7月のインドでの世界遺産委員会において、委員国に御理解をいただいて、「記載」の決議となることを目指してこれからも努力してまいります。
 
記者)
 昨年6月10日が「こどもの目の日」に制定されたことに関連してお伺いしたいと思います。文科省では、GIGAスクール構想によるデジタル機器の使用で児童生徒の視力悪化が進むことを懸念して、2021年に眼科医や学校関係者と懇談会を開いたり、近視実態調査を実施したりといった対策を進めましたが、その後も児童生徒の視力悪化は進んで、裸眼視力1.0未満の児童生徒の割合が過去最多となっています。3年前に比べると全体的に視力低下対策への熱気というのはやや薄れているとも感じますが、改めてこの児童生徒の視力低下の現状をどう受け止めて、今後どんな対策を進めようとされているのかお聞かせください。
 
大臣)
 この数年という単位ではなくて、数十年という長い期間において、小中学生の視力は低下傾向が続いています。家庭だけではなく、学校生活においても、子供の目の健康に配慮する取組が必要であると認識しております。学校でのICTの活用が進む中、先ほどお話がありましたが、文部科学省では、ICTを活用する際の健康上の留意事項をまとめたガイドブックや啓発リーフレットを作成・周知に取り組んでおります。あわせて、令和3年度から5年度にかけて、児童生徒の視力低下の実態や生活習慣との関係等について把握分析する近視実態調査を実施してきております。その結果等も踏まえ、必要な対応を検討していきたいと考えています。以上です。
 
記者)
 厚生労働省が5日に発表した人口動態統計で、合計特殊出生率が過去最低を更新しました。このことへの大臣の受け止めお伺いしたいのと、子供の教育を所管する文科省として少子化に歯止めをかけるために今後どのような政策を講じていくかなど、お考えがあれば教えてください。
 
大臣)
 一昨日ですか、5日、厚生労働省が公表した「人口動態調査」によると、令和5年の1年間における出生数は約72万7千人で過去最少、合計特殊出生率も1.20で過去最低という衝撃的な数字でありました。ですから、我が国社会における少子化の進行は危機的な状況であり、少子化対策は待ったなしの課題と私も考えます。そんな中で、少子化対策において教育の果たす役割というのは大変大きいものがあるのではないかと我々、文部科学省でもございますので考えているところであります。そういうことで、昨年末に閣議決定された「こども未来戦略」や「こども大綱」においても教育に関する内容が盛り込まれております。我々は、関係省庁と連携をしながら、教育環境の整備・充実、あるいはこども・子育て施策の強化に取り組んでいくつもりです。それで、具体的にはということになりますけれども、「こども未来戦略」、「こども大綱」においては、高等教育費をはじめとする切れ目のない教育費負担の軽減、あるいは質の高い公教育の再生などが盛り込まれています。こういったことも、我々、その他の政府全体の方針のもとで、関係省庁と連携しながら取り組みたいと思っています。以上です。
 
記者)
 世界遺産の関係なのですけれども、先ほど大臣も宿題付きの「情報照会」ということでおっしゃっておりましたけれども、4段階のうち上から二つ目ということで、これは大臣としては不登録ではなくて一安心ということなのか、それともスムーズに登録ではなくてちょっとがっかりというところなのかという御所感をお伺いしたいというのが1点と、あと現段階で、韓国との外交交渉なのですけれども、現段階ではうまくいっているとお考えなのか、そこをお聞かせいただきたいと思っております。
 
大臣)
 がっかりではないですよね。ただ、めでたさも中ぐらいなりけりというところかもしれません。そういうことで、この宿題をあと限られた期間の間に、インドでの委員会までにどうこなしていくのか、それが課題ではないかと思います。韓国との関係につきましては、外務省その他も含めてこれからお話をさらに一層進めていくのかなと考えています。
 
記者)
 先ほどの回答に関してなのですけれども、来週、韓国で日中韓教育大臣会合があると伺っているのですけれども、それに大臣が出席されるとしたら韓国でこの世界遺産委員会のことについて何かお話をする機会というのはあると考えられますか。
 
大臣)
 まず、出張できるかどうかのお許しをいただいておりません。その前提でお答えをすると、今はまだそういう議題は上がっていないと思います。これからどうなるのかということではないでしょうか。何しろ昨日の夜、イコモスの回答が来たばかりですからね。
 
記者)
 世界遺産の関係でお伺いします。大臣も触れられていましたが、追加的勧告の中で全体の歴史を扱う説明、展示を求められています。全体の歴史ということは韓国の主張と表現上も重なるところがあると思うのですけれども、こちらの追加的勧告があったということについては大臣としてはどのように受け止められていますか。
 
大臣)
 前々から言われているところでもありましたので、どういうふうに保護措置を含め、いろんなことにどう対応していくのかということではないかと思いますが、まずは評価結果の内容を十分読んだ上で対応を、それこそ新潟県ですとかね、佐渡もそうですし、御相談をして対応していきたいと思います。
 
記者)
 前々から言われていたというのは、韓国側の主張も含めてのことでしょうか。
 
大臣)
 そういうことです。
 
記者)
 こちらの対応も可能性というか難しさというか、やっていけるという見通しでいらっしゃいますか。
 
大臣)
 この段階では何とも言えませんね。
 
記者)
 大学などの高等教育の学費の問題についてお伺いいたします。現在、報道されておりますとおり、東京大学で学費の値上げの検討がされているということで、こちらに関しまして他の地方の国立大学ですとか、東京大学が検討ということで別の大学も値上げの検討をされているという情報もございます。これに対しまして、学生あるいは保護者の方から懸念の声が上がっているというところと、あと政府といたしましては、2012年に大学や高等専門学校などの高等教育の段階的無償化を求めた国際人権規約の留保を撤回する方針を固めておりまして、こちらに学費の値上げというところで反するのではないかという一部指摘も上がっております。こういった動きに対する大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
 
大臣)
 まず、国立大学の学費というのは標準的な額というのを示していて、120%を上限として各大学法人が決めてくださいということでございますので、その部分は各大学法人が御判断される話です。そして、特にここ最近報道等でですね、学費の値上げをするべきだという御意見も含めていろんな議論が出ております。いろんな方がいろんな御意見を述べられているというのはよく承知をしておりますけれども、それぞれの大学法人でよく御判断をしていただきたいということであります。それから、人権規約でしたか、その関係ではですね、これも国会でも御答弁申し上げているところでございますけれども、全体として無償化といったようなことに取り組むということではありますけれども、個々のこういう動きを含めてですね、人権規約に抵触するものとは政府としては考えておりません。
 
(了)

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