盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年5月31日)

令和6年5月31日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化

キーワード

第30回宇宙開発戦略本部の出席、特別支援学校である都立光明学園の視察、今後の医療的ケア児の支援の在り方について、議員連盟が提唱する「MANGAナショナルセンター(仮称)」の整備、栃木県の山岳部の高校生が雪崩で死亡した事案に対する教師らへの実刑判決が出された件について、工学院大学によるガバナンス改善等のための第三者委員会設置、大型直線加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年5月31日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年5月31日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年5月31日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 今日は冒頭、私から2件ございます。まず1件目でございますが、本日、つい先ほど、官邸においての宇宙開発戦略本部におきまして、「宇宙基本計画工程表改訂に向けた重点事項」が決定されました。会合の中で、私からは、宇宙戦略基金などを活用し、民間企業や大学等による先端技術開発等を強力に推進していくこと、「だいち4号」を搭載したH3ロケット3号機の打上げなど、基幹ロケットの開発・高度化や衛星の開発・運用等に着実に取り組んでいくこと、先般の実施取決めへの署名を踏まえ、与圧ローバの開発など、有人活動に必要な技術開発を推進していくこと、を申し上げ、岸田総理からも、各府省連携して取組を進めていくよう指示がありました。文部科学省としては、関係府省と連携し、これらの重点事項を着実に進めてまいります。
 2点目です。昨日、重度あるいは重複障害など、障害の程度が重い子供が在籍する特別支援学校の取組を拝見するため、東京都立光明学園を視察いたしました。当日は、人工呼吸器の使用など、医療的ケアが必要な子供が、個に応じた支援を受けながら授業を受けている様子を拝見するとともに、看護師の配置など、保護者の付き添いの解消に向けた工夫などについて学校関係者の皆様と意見交換を行いました。視察を通じて、個に応じた学びの場の重要性を改めて認識したところであり、今回の視察も踏まえつつ、引き続き、特別支援教育の充実に努めてまいりたいと考えています。以上、2点です。
 
記者)
 今冒頭でありました特別支援学校の訪問に関連して、現場で学校関係者との意見交換をされたと思いますが、改めて医療的なケアが必要な児童生徒に対する支援の充実に向けて、今後、取組をどのように進められていくのか教えてください。
 
大臣)
 昨日行ったところは1番最新のですね、立派な学校でございました。東京都だからこそできるのかなと思うような施設でもありましたけれども、いずれにせよ、そういう特別支援学校において安全・安心に医療的ケアを受けられる体制を整備することの重要性、あるいは親御さんの手を少しでも、負担をですね、軽くすることの必要性、こういったところを改めて認識をいたしました。文部科学省としましては、各自治体における看護師配置が適切になされるよう、医療的ケア看護職員等の配置に対する支援を実施するほか、保護者の付添いを軽減するための方策や、医療的ケア看護職員の確保・配置方法に関する調査研究事業を着実に実施してまいります。引き続き、これらの取組を通じて医療的ケアを必要とする児童生徒等に対する支援の充実に努めてまいりたいと考えています。
 
記者)
 一昨日、MANGA議連の方からMANGAナショナルセンター構想の提言が大臣に手渡されました。その後ぶら下りでMANGA議連の古谷会長から、どこにどういうものを作るか、正式発表していないから言えないけれども大体分かっているというようなことをおっしゃっていまして、何か具体的に決まっているのかなと感じたのですけれども、どういうものなら作れるのか、文科省として何か構想などありましたら、そういうものを作る意義も含めてお聞かせいただきたいと思います。
 
大臣)
 具体的なですね、場所その他についてというのは何も決まっていないと我々は考えています。議連さんのほうで何かお考えがあるのかどうか知りませんですけれども。それで今御指摘がありましたように、「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」の古谷さんを含む議連の皆様から、MANGAナショナルセンター構想の実現・推進に関する提言は頂戴いたしました。マンガ、アニメ、ゲームを総称する「MANGA」は、海外でも高く評価されておりますし、日本の文化・経済・外交にとって重要なソフトパワーだと思います。また、我が国の今後の成長力の強化にも大いに役立つものであると考えています。今、文化庁のほうでは、担い手でありますクリエイターさんの育成、あるいは作品や資料等のデジタルアーカイブの取組への支援等に加え、今年度から「MANGA」作品・資料の収集・保存・活用に係る調査研究を国立美術館において実施し、産官学連携による収集・保存・デジタル化、人材育成、展示・活用等の実施に向けた検討を進めています。今後、いただいた提言も踏まえて、我が国の誇るべき財産であります「MANGA」の将来に向けて、産官学連携のもとで、「MANGA」に関するナショナルセンターの機能を有する拠点整備を推進し、日本が世界に誇る「MANGA」の力をより一層強化、発信していきたいと考えています。
 
記者)
 栃木県那須町のスキー場周辺で2017年に登山講習中だった生徒ら8人が死亡した雪崩事故で、宇都宮地裁は昨日、教員ら3人にいずれも禁固2年の判決を言い渡しました。このことについて大臣の受け止めをお伺いしたいのと、この判決の影響で部活動の顧問を引き受けたがらない教員が増える可能性も想定されますが、こちらについても大臣の見解をお願いします。
 
大臣)
 もうだいぶ以前になります、平成29年ですね、栃木県那須町で発生した事故につきましては、お亡くなりになられた生徒、教師の方々に深く哀悼の意を表するとともに、御遺族の方々には心よりお悔やみを申し上げたいと思います。それで、今御指摘がありましたとおり、報道でも大きく取り上げられておりますが、昨日、宇都宮地裁が、引率教師等の3名に対して禁固2年の実刑判決を言い渡したことは承知しております。しかしながら、控訴されるかどうかを含めてまだはっきりしておりませんので、その部分についてのコメントは控えたいと思いますが、いずれにせよ、平成29年の事故の後、有識者会議を設置をし、事故防止策を取りまとめるとともに、毎年、冬山登山の事故防止についての通知を発出して注意喚起は行っております。このような痛ましい事故が二度と起こらないよう、今後とも、スポーツ指導者等を対象とした安全管理講習会等を実施し、事故防止のさらなる徹底に取り組みます。それから、本判決で部活動の顧問というのですかね、そういうことに対してどうなるのかということでもございますけれども、今言ったガイドラインの周知徹底ということで、部活動中の事故防止の徹底に取り組んでいただきたいということに尽きるということでございます。
 
記者)
 理事会と評議会が対立してガバナンス不全に陥った工学院大学について伺いたいのですけれども、工学院大学が一昨日、問題の経緯を調査する第三者委員会の設置を発表しました。複数の私学法違反の状態が続いている中で、大学運営の正常化に向けて1歩前進したようにも見て取れるのですけれども、この第三者委員会の設置について大臣の受け止めを聞かせていただけますか。
 
大臣)
 これまで工学院大学で理事長らと評議員らの対立でなかなかうまく機能していないということは承知しております。そして、管理運営上の問題が継続しているということでですね、我々文部科学省のほうから再三にわたりいろいろ指導はしていたところでございますが、そういったことを受けて、この度、工学院大学がガバナンスの改善等を図るために、独立した第三者による調査委員会を設置したということであります。我々は、この調査委員会を通じて速やかに問題の解消が図られる必要があると考えておりますので、今後ともこの第三第者委員会の動き、調査委員会の結論でありですね、それを踏まえて、学校側がどのような対応をしていくのか、そういったことを注視し、必要に応じて指導していきたいと考えています。
 
記者)
 大型直線加速器の国際リニアコライダー、ILCの誘致について伺います。文科省をこの1年取材してきまして、大臣がILCの誘致の要望を受けた場面も取材させていただきました。ただ、ILCの構想については日本側と海外との間で経費の負担、運営、意思決定などに隔たりがありまして、国際的な機運が乏しい状況です。岩手県立大の一部の研究者ですとか一部の自治体、ほんの一部の国内でしか盛り上がっていない状況ですけれども、そういう中で文部科学省はILCの誘致にどのように臨んでいくのか、いよいよ断念する時期も来ているのではないかと考えられるのですけれども、ILCの誘致についての大臣の考えを伺わせてください。
 
大臣)
 ILC計画は、いろいろ今御説明もしていただきましたが、やはり国際的な費用の分担の在り方、そして技術的な成立の可能性など、まだ様々な課題が解決される必要があると思います。そして、今お話が出たように、国内外の幅広い理解と協力が必要だと思います。そういった中で、いろいろありますが、令和4年2月の有識者会議の報告書では、計画の進め方の再検討、あるいは関係国の研究機関との協力のもとでの技術開発などについて提言はいただいておりますので、こういったことについてしっかり御議論をいただいて、合意を形成していただくということが何より重要であります。我々も、そのような検討の進み方、進捗、合意がうまく成立するか、こういったところを見ながら、私どもとしても次のステップにどう進むのかを判断していくということではないかと思います。
 
(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室