盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年5月17日)

令和6年5月17日(金曜日)
教育、科学技術・学術

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早稲田大学の入試における不正行為者の書類送検、中教審特別部会「審議のまとめ」に対する各団体からの意見、米国の大型加速器「EIC」計画への参画の適否について、大学発スタートアップ企業の起業数が昨年度過去最多を記録したことについて

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年5月17日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年5月17日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年5月17日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

記者)
 先日、早稲田大学の入試でスマートグラスを使った不正が発覚した件について、大臣の受け止めと、今年度以降の受験に向けて新たに不正対策を講じたりですとか、大学に向けた注意喚起などを行う予定はありますでしょうか。
 
大臣)
 今御指摘のありました、今年2月ですね、早稲田大学の一般選抜でスマートグラスを用いて試験問題の画像を流出させた疑いということで、受験生が書類送検されたということは承知をしております。これが事実であれば、公正・公平に行われるべき大学入試の信頼性を著しく損なう行為となります。誠に遺憾と思います。こういう不正はあってはならない。他の学生さんは一生懸命ちゃんとやっているわけですので、こういうチーティングというのですかね、ズルはしてはいけないとは思いますが、当省としては、今後の捜査等の進展を注視しながら、大学からの報告を通じて今回の事案の全容を把握した上で、大学入試センターや各大学と協力をしつつ、必要な対応をしていきたい、今の現在ではそういうところでございます。
 
記者)
 13日に取りまとめられました中教審の「質の高い教師の確保特別部会」の審議まとめについて何点かお尋ねします。今週に入って様々な団体が文科省内で記者会見を開きまして、様々な意見がありますが、中には審議まとめが示した給特法の枠組みを維持するというようなところに対して疑問の声ですとか、今後も継続して給特法の在り方については議論をしてほしいといったような意見もありました。教育新聞の電子版でも簡易的なアンケートをしているのですけれども、その中でも今回の審議のまとめについては9割以上が期待以下と答えておりまして、中にはコメントなどの部分では給特法の枠組みを変えなかったことに対する意見というのもいくつか見られます。こうした声に対するまず大臣の受け止めと、あと今後、例えば教員勤務実態調査をもう1回するなどして給特法の議論を継続していくといったようなお考えがありますでしょうか。まずこちらについてお伺いいたします。
 
大臣)
 まず、本件について様々な方が様々な受け止めをしておられる、様々な御意見を出しておられるということは承知しております。ただ、今いろんなことを記者の方から御指摘いただきましたけれども、今回の「審議のまとめ」に関しましては、教職の魅力を向上させ、教師に優れた人材を確保するためということで、昨年の6月から13回にわたって総合的に御検討いただいた結果ということでございます。給特法の廃止というような話も今出ましたけど、給特法自体は、教師の自発性・創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことなどにより、どこまでが職務であるかの切り分けが難しいという教師の職務等の特殊性から、時間外勤務手当ではなく、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして、教職調整額を支給することとなっているものであり、今回の「審議のまとめ」においても、この仕組み自体は合理性を有しているとされているところでございます。そしてまた、今回の「審議のまとめ」は、これも前回火曜日に申し上げたかと思いますけれども、教師の処遇改善ということだけではなく、学校における働き方改革のさらなる加速化、そして教職員定数の改善や支援スタッフの配置拡充など、学校の指導・運営体制の充実、こういったことを一体的に、総合的に推進することが必要とされているものでありますので、そういうことも含めてぜひ御理解をいただきたい。この中教審はそういうことで答申がなされたものであるということをよく御理解賜りたいなと思います。我々としては、この中教審の「審議のまとめ」を踏まえまして、具体的な施策の実現に向けて今後取り組んでいくということになります。
 
記者)
 もう1点お伺いしたいのですけれども、この「審議のまとめ」の中に関しては特別部会の議論の中で工程表を作るべきではないかというような御意見が複数の委員の方からありました。こうした工程表を作るかどうかについてのお考えについてもお聞かせいただけますでしょうか。
 
大臣)
 それはですね、我々が作るというのではなくて、中央教育審議会の中でどのような御審議をされるかということでありますので、中教審で検討されるものであるということではないかと思います。
 
記者)
 アメリカの大型加速器のEIC計画への参加を検討する有識者会議が15日に始まりました。この有識者会議での議論ですとか、EIC計画の日本側の貢献に対して大臣はどのように期待されているのか教えていただけないでしょうか。
 
大臣)
 EIC計画については私よりもお詳しいと思いますので今更御説明することはないと思いますけれども、今後のいろんな幅広い分野、量子コンピュータや将来の新たなエネルギー源など、幅広い応用にも資することが期待されるというふうに承知をしております。この計画につきましては、今年の2月、アメリカから我が国の参加を要請されたことを受けて、我が国が本計画に参加することの意義や研究体制のあり方などを早急に整理するため、有識者会議を設置し、15日に第1回の会合を開催したということであります。この有識者会議の御議論、これからの御議論を踏まえまして、日本としてEIC計画に参加をするかどうか検討するということでございますので、今の段階ではどうだということが決まっているものではありません。ただ、こういう計画と言うのですかね、大変大きな意義を持っているというふうには考えております。
 
記者)
 追加で1点お尋ねなのですけれども、研究者のコミュニティはこのEIC計画へ参加する場合、日本側の負担額は90億円程度と見込んでいます。この金額についてお尋ねしますけれども、これでデータ解析などで日本が主導権を握れるのであれば妥当な金額と言いますか、むしろ安いぐらいかもしれないと思うのですけれども、大臣としては日本側の費用負担についてどのようにお考えでしょうか。
 
大臣)
 90億かどうか分かりませんが、日本の研究者コミュニティがそういうようなことを、概算を検討しておられるということは承知しておりますが、計画への参画の適否を含めて現在、検討が開始されたところでございますので、今の段階で我々がどうだということを判断できる段階ではありません。繰り返しになりますけれども、有識者会議の議論を踏まえてから日本の参画を含めて、日本の貢献というのですかね、そういったことを考えていきたいと思います。
 
記者)
 幹事社さんからも出たんですが、早稲田の件で追加で伺います。共通テストの事件を受けて、文科省としても協議・検討してまさに大学入試のいわゆる実施要項に不正の対策が明記されたと思うのです。個人的には現状、盛り込める対策はもう盛り込んであるのではないかというように感じでいるところなのですけれども、現状、大臣として今以上の対策の必要性を感じていらっしゃるのかということ、そして今以上の対策は現実的に可能だと考えていらっしゃるのかということ、もっと言うと入試制度のあり方そのものまで議論をしていかなければいけないというところまでお考えなのかというところも、今時点で言うのも難しいところはあるかもしれないですけれども、可能な範囲でお願いします。
 
大臣)
 まだ書類送検されたと言うのかな、訴えがあったということですよね、確か昨日かなんかですよね。されたばかりでございますので、それ以上のことを具体的にまだ分かっていないということになります。つまり、やり方、手口含めて本当にどうだったのかというところをまずちゃんと踏まえた上で、大学側として何ができたのではないか、どういうところを、やはりこういうところは大学側としてももっと注意すべきであったのではないか、そんなこともそういった事実を踏まえて検討する必要があるのではないかなと思います。他方、いろいろ言われているように妨害電波を発するような、電波を遮断するようなと言うのですか、そういうような設備を導入したらどうかですとかね、そんな議論もあるようでございますけれども、そういったことは費用対効果のことも含めてこれからどうしていくのかという議論ではないかと思いますので、現状では今の件についてはいろいろ議論あるでしょうけれども、我々としてはここまでかなと思います。そして、最後の部分のお尋ねはですね、これはなかなか大きな話でございますので今急に言えるわけでは、どうだということを言えるわけではありませんが、かねてから言われているのは日本の大学は入るのが難しくて、その後出るのは楽だと言うのですかね、入ってしまえば何とか出れるのではないかとよく言われます。他方、アメリカがどうか分かりませんが、私は行っていないので分かりませんが、入るのは楽だけれども出るのはしんどいというふうにも言われているわけでございまして、そういうところをどういうふうにしていくのか、これは大学のあり方、大学教育のあり方、あるいは大学への進学も含めてどうしていくのか、これは多くの人々にこれから議論していただく必要があると思いますし、また国民の皆様にもですね、 大学というのは何なのだということをよく御理解賜らないとですね、うちの子どもをせっかく大学に入らせたのに、高い入学金と授業料何年分かを払ったのに卒業もさせないのかというようなことをやはり感じられる方も少なからずおられるのではないかと思いますので、幅広い議論を踏まえないと最後のお尋ねに対しては簡単にお答えできることはできないのではないかなと思います。
 
記者)
 経済産業省の調査なのですけれども、大学発ベンチャーがここ数年で非常に急増していると、この結果については大臣はどのように受け止めているのでしょうか。
 
大臣)
 これは、大学発のベンチャーということですね。これは増えているということは大変結構なことではないかなと思います。どちらかというと、これまで首都圏を中心に多かったわけでありますけれども、各地域においてもそのような研究開発、これがうまく進んでいくということは大変いいのではないかなと、そういうふうに思います。我々文部科学省としては、政府のスタートアップ育成5カ年計画を踏まえて、研究成果をスタートアップにつなげるギャップファンドの充実や大学等における起業支援体制の構築を支援してまいりましたが、今後とも強力に進めたいということでございます。
 
記者)
 先ほどのEIC計画について追加でお伺いしたいことがあるのですが、今、有識者会議において検討されているところだと思うのですが、まず有識者会でいつ頃結論を出す予定であるのか、そして文科省としていつ頃参画かどうかというのを判断するのか、その見通しというのがあったら教えていただきたいのと、来年度の概算要求をEICに関しては検討しているということだと、もちろん今検討中だとは思うのですけれども、参画を考えているところだと思うのですけれども、その報道について事実関係を教えていただければと思います。
 
大臣)
 事実関係と言うのですかね、よく分からないですけれども、有識者会議においてはEIC計画への参画の適否について我々としては夏頃までに中間報告を取りまとめていただきたいなと希望はしております。その心は、今御指摘があったように概算要求をどうするかですとかね、そういうようなことを考えていかないといけないものですから、現時点ではまだ白紙でありますが来年度の要求ということに向けて今後検討していくということになろうかと思います。
 
(了)

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