盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年5月14日)

令和6年5月14日(火曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

中教審「質の高い教師の確保特別部会」の「審議まとめ」について、映画「好きでも嫌いなあまのじゃく」とのタイアップ、宇宙関連事業に対する太陽活動(太陽フレア)の影響、「富岳」を用いた大規模言語モデル(LLM)の公開

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年5月14日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年5月14日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年5月14日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 今日は冒頭、二つございます。まず昨日13日、中央教育審議会の「質の高い教師の確保特別部会」におきまして、「審議のまとめ」が取りまとめられ、特別部会の貞広部会長から手交していただきました。特別部会においては、教職の魅力を向上させ、教師に優れた人材を確保するため、昨年6月から、計13回にわたり、教師を取り巻く環境整備について、総合的に御検討いただいてまいりました。今回の「審議のまとめ」においては、例えば、PDCAサイクルを通じて働き方改革を推進するため、働き方改革の進捗状況の公表等を教育委員会が行う仕組みを検討すること、小学校中学年において教科担任制を推進するとともに、生徒指導担当教師を全ての中学校に配置すること、教職調整額の率を少なくとも10%以上とすることなど、多岐にわたる有意義な御提言をいただいたところです。文部科学省としては、学校における働き方改革のさらなる加速化、教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めるため、「審議のまとめ」を踏まえた上で、今後、具体的な施策の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。以上が1点目です。
 もう1点であります。このたび、5月24日の来週の金曜日ですね、から公開される映画「好きでも嫌いなあまのじゃく」とタイアップし、「24時間子供SOSダイヤル」などの周知に向けた広報ポスター、これでございます。これを作成して全国の中学校、高等学校などを対象に配布することとしましたのでお知らせいたします。この映画の中では、自分の気持ちをうまく言えなかった主人公が、様々な人との出会いの中で成長する姿が描かれています。ポスターには「君の気持ちを聞かせてほしい」というメッセージとともに、「24時間子供SOSダイヤル」の番号とSNSなどでも相談できる「子供のSOSの相談窓口」のQRコードを掲載しており、中学生や高校生の皆さんに、一人で悩み苦しむのではなく、自分の気持ちを声に出し、相談して欲しいということが伝わることを願っています。以上2点です。
 
記者)
 昨日、中教審の特別部会が取りまとめた総合的な方策について2点伺います。先ほど大臣が言及されていましたけれども、施策の具体化に向けて今後のスケジュールをどのように考えているかということと、合わせて教職調整額の引き上げには法律改正が必要になりますけれども、どの時期の国会提出を目指されているのか御説明ください。
 
大臣)
 今回の「審議のまとめ」については、今回、中間報告でございます。今後、中央教育審議会の初等中等教育分科会や総会に報告され、その状況も踏まえて、国民の皆様から広く御意見を募集する予定と伺っております。具体的にいつ頃、中央教育審議会として「答申」を取りまとめられるのかにつきましては、意見募集の結果やその後の特別部会における議論の状況によるため、現時点では決まっていないと承知をしております。それから、今後のスケジュールということでございますけれども、昨年6月に閣議決定された「骨太の方針2023」では、令和6年度から3年間を集中改革期間とすること、そして令和6年度中の給特法改正案の国会提出を検討することなどとされておりますので、我々文部科学省としては、今回の「審議のまとめ」に盛り込まれた施策の実現に向けて、そのための方策ですね、これを速やかに検討してまいりたいと考えています。以上です。
 
記者)
 太陽フレアによる人工衛星など、文科省所管の宇宙関連への影響というのは確認されていますでしょうか。また、太陽の活動が来年にかけて活発になる可能性があるということも言われていますけれども、今後の対策等についても教えていただけないでしょうか。
 
大臣)
 1点目でございますけれども、現時点におきましては、JAXAが管理する人工衛星など、文部科学省所管の宇宙関連事業に対する影響についての報告は受けておりません。今のところ大丈夫ということです。今後、こういう状況がこれから収まっていくのかどうか、それは注意をしていきたいと思います。それから、今後のことにつきましては私も実は職員にどうなのだろうねということで話をしていたところでございまして、私も聞きたいところなのですけれども、すみません、太陽の、なぜフレアが急に活発化してきたのかを含めてですね、その辺は我々正直はっきりした知見がありませんので、一定のインターバルをおいてこういうのがあるという事実は理解しているのですけれども、これから半年後、1年後に向けてどうなるかについては正直分からないというのが今の現状でございます。
 
記者)
 冒頭の発言にもあった、「質の高い教師の確保特別部会」の「審議のまとめ」についてお伺いします。この「審議のまとめ」の中では、教職調整額を10%以上に引き上げるというところが出ておりますけれども、仮に10%にした場合に国の負担である義務教育国庫負担金がどれくらい増えるというふうに文科省の中では試算されているのでしょうか。それから、「審議のまとめ」では加えて新たな職の創設ですとか学級担任特別手当の加算、管理職手当の改善など、かなりお金に関することが盛り込まれているのですけれども、これらについても予算増をどれぐらい見込んでいるのかということも教えてください。それから人に関して、小学校中学年の教科担任制の拡大ですとか、全中学校への生徒指導担当教師の配置、こうしたところは教職員定数の改善につながる部分でもあると思うのですが、どれぐらい定数改善が想定されているのかというところも教えていただければと思います。
 
大臣)
 まず教職調整額の予算ということでございますが、もう御案内かと思いますが、公立の義務教育諸学校の教職調整額を含む教職員給与費については、義務教育費国庫負担制度により、国が義務教育費国庫負担金として3分の1を負担する、そして残りの3分の2の地方負担分については、地方財政措置が講じられるということで、必要な財源を確保しているわけであります。現状の義務教育費国庫負担金における教職調整額に係る予算額は、約480億円です。これを前提とした場合、追加的な所要額は国費として約720億円になると見込まれます。単純に計算するとそうなるということです。それから、新たな職級ということでございますけれども、これは今回そのようなことが盛り込まれてはおりますけれども、今後、具体的にどういうふうにしていくのか検討しなければなりませんので、具体的な予算の全体の規模、その他について現時点では何とも言えないということでございますが、「審議のまとめ」という今回の御提言を踏まえてできるだけ速やかに検討して、教師の処遇の改善、学校の指導・運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めたいということです。それから最後3点目、教科担任制の拡大や生徒指導担当教師の全中学校への配置その他ということでございますけれども、これにつきましても今後の具体的などういうふうにしていくのかを検討するということになりますので、これについても今の時点で具体的な見込み、必要な人数ですとか、そういうことをお示することはできないということになります。
 
記者)
 確認なのですけれども、学級担任の特別手当の加算とか管理職手当の改善も同じようにまだ今後の検討というふうな理解でよろしいでしょうか。
 
大臣)
 そうですね、全てこれからの検討ということになりますね。
 
記者)
 あと、具体的にいつ頃までにそういったようなところを目処として立つかというのは。
 
大臣)
 これもさっき幹事社の御質問にお答えしたところでございますが、法改正については6年度中ということであります。そして、それに関連して作業を進めるということにはなると思います。
 
記者)
 先日、スパコンの「富岳」を使って開発された大規模言語モデルが公開されました。大臣としての受け止めと今後への期待をお願いします。
 
大臣)
 先日、東工大、そして企業の合同のチームで神戸の現在の「富岳」を用いて、独自データによる日本語に強い、国産の大規模言語モデルが開発して、それを公開されたということであります。今回の特徴は、GPUではない国産のCPU、つまり「富岳」のもの、これを用いて大規模言語モデルを構築できることを実証したという点で意味があるのではないかなと、そんなふうに思います。いずれにせよ今後ですね、こういう大規模言語モデルというのも含めてこういう知見を踏まえて、あるいは知見をも活用して、国内における生成AIモデル、こういったものに関する研究の向上に寄与していってくれることを期待しているというところでございます。
 
(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室